JP6686797B2 - 分光光度計における検出信号値の補正方法及び検出信号値の補正機能を備えた分光光度計 - Google Patents
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Description
dsinθ=mλ
ただし、dは格子定数、θは検出位置(°)、mは次数(整数)
からわかるように、ある波長の光の2次回折光(m=2)は、その波長の2倍の波長の光の1次回折光(m=1)と重なる。つまり200nmの2次回折光は400nmの光と同じ検出位置に来るため、重なってしまう。すなわち、ある波長範囲で発光する光源を用いた場合に、波長範囲のうち長波長側の波長範囲で短波長側の波長範囲の2次回折光が長波長側の波長範囲の光と重なって検出されるのであり、短波長側の波長範囲では、2次回折光と重なって検出されることはない。
前記PDAにおいて前記第2波長範囲の光を検出する長波長側フォトダイオードの検出信号値に含まれる、前記第1波長範囲の光の2次回折光に由来する検出信号値の割合に関する補正係数を決定する補正係数決定ステップと、
前記補正係数決定ステップで決定した前記補正係数を用いて、前記長波長側フォトダイオードの検出信号値のうち前記第2波長範囲の光に由来する検出信号値を求める補正ステップと、を備えている。
前記回折格子によって分光された前記測定波長範囲の光を前記PDA入射させ、前記長波長側フォトダイオードに入射する光から前記第1波長範囲の光を、前記第1波長範囲の光を透過させず前記第2波長範囲の光を透過させる2次回折光カットフィルタを用いて除去することにより、前記第2波長範囲の光に由来する前記長波長側フォトダイオードの検出信号値を測定する第1測定ステップと、
前記回折格子によって分光された前記測定波長範囲の光を前記PDAに入射させ、前記2次回折光カットフィルタを用いることなく前記長波長側フォトダイオードの検出信号値を測定する第2測定ステップと、
前記第1測定ステップの測定値と前記第2測定ステップの測定値の比率により前記補正係数を求めるステップと、を含んでいる。
前記光源からの光の光路上に配置され、試料を流通させるフローセルと、
前記フローセルを経た光を波長成分ごとに分光する回折格子と、
入射する光の光量を検出する複数のフォトダイオードを有し、前記回折格子により分光された光を波長成分ごとに検出するPDAと、
前記フォトダイオードのうち前記第2波長範囲の光を検出する長波長側フォトダイオードの検出信号値に含まれる、前記第1波長範囲の光の2次回折光に由来する検出信号値の割合に関する補正係数を保持する補正係数保持部と、
前記補正係数保持部に保持された前記補正係数を用い、前記長波長側フォトダイオードの検出信号値から前記第2波長範囲の光に由来する検出信号値を求める補正部と、を備えている。
I'λ=Iλ−K×Iλ (1)
Iλ≒I'λ+Iiiλ/2 (2)
(Iiiλ/2)/Iλ=K (3)
とすると、上記(2)式は(1)式と同じ式となる。すなわち、Kは、波長λの光を検出するフォトダイオードの検出信号値Iλにおける波長λ/2の光の2次回折光に由来する検出信号値Iiiλ/2の割合を表わす係数である。
重水素ランプである第1光源2のみを点灯させてPDA18の検出信号値を測定する。重水素ランプは200nm〜800nmの波長の光を発する。2次回折光はその2倍の波長の1次回折光と重なって検出されるため、重水素ランプを用いた場合には、200nm〜400nm(第1波長範囲)の光には2次回折光が重ならないが、400nm〜800nm(第2波長範囲)の光に200nm〜400nm(第1波長範囲)の2次回折光が重なる。
Iλ≒I'λ+0
となり、K=0となる。
I1λ≒I'1λ+I1iiλ/2
=I'1λ+K×I1λ (4)
と表すことができる。
I1λ(filter)=T×I'1λ (5)
と表すことができる。
したがって、上記(4)、(5)式より、補正係数Kは、
K=1−I1λ(filter)/(T×I1λ) (6)
と表すことができる。
次に、上記(5)式における透過率Tを正確に求めるために、第2光源4を点灯させ、上記の2次回折光カットフィルタを用いた場合と用いない場合とで、検出信号値の測定を行なう。ハロゲンランプである第2光源4は、400nm〜800nm(第2波長範囲)の光を発する。第2光源4のみを点灯させた場合には波長200nm〜400nm(第1波長範囲)の光が存在しないため、この第2波長範囲の光を検出するフォトダイオードに2次回折光が入射しない。
I2λ=I'2λ (7)
と表すことができる。
I2λ(filter)=T×I'2λ (8)
と表すことができる。
T=I2λ(filter)/I2λ (9)
としてTを求めることができる。上記(9)式により得られたTを上記(6)式に適用することにより、2次回折光カットフィルタの透過率Tを考慮した正確な補正係数Kを得ることができる。
4 第2光源
6 ハーフミラー
8 集光レンズ
10 フローセル
12 入口スリット
14 ミラー
16 回折格子
18 フォトダイオードアレイ(PDA)
20 演算処理装置
22 演算部
24 補正係数保持部
26 補正部
Claims (11)
- 短波長側の一定範囲を第1波長範囲、前記第1波長範囲よりも長波長側にある範囲を第2波長範囲とし、前記第2波長範囲の最長波長が前記第1波長範囲の最長波長の略2倍である測定波長範囲の光を回折格子で分光してフォトダイオードアレイに導く分光光度計の前記フォトダイオードアレイの検出信号値の補正方法であって、
前記フォトダイオードアレイにおいて前記第2波長範囲の光を検出する長波長側フォトダイオードの検出信号値に含まれる、前記第1波長範囲の光の2次回折光に由来する検出信号値の割合を補正係数として決定する補正係数決定ステップと、
前記長波長側フォトダイオードの検出信号値に前記補正係数決定ステップで決定した前記補正係数を乗ずることによって前記第1波長範囲の光の2次回折光に由来する検出信号値を求め、前記長波長側フォトダイオードの検出信号値から前記2次回折光に由来する検出信号値を差し引くことで、前記長波長側フォトダイオードの検出信号値のうち前記第2波長範囲の光に由来する検出信号値を求める補正ステップと、を備えた補正方法。 - 前記補正係数決定ステップは、
前記回折格子によって分光された前記測定波長範囲の光を前記フォトダイオードアレイに入射させ、前記長波長側フォトダイオードに入射する光から前記第1波長範囲の光を、前記第1波長範囲の光を透過させず前記第2波長範囲の光を透過させる2次回折光カットフィルタを用いて除去することにより、前記第2波長範囲の光に由来する前記長波長側フォトダイオードの検出信号値を測定する第1測定ステップと、
前記回折格子によって分光された前記測定波長範囲の光を前記フォトダイオードアレイに入射させ、前記2次回折光カットフィルタを用いることなく前記長波長側フォトダイオードの検出信号値を測定する第2測定ステップと、
前記第1測定ステップの測定値と前記第2測定ステップの測定値の比率により前記補正係数を求めるステップと、を含む請求項1に記載の補正方法。 - 前記第1測定ステップでは、前記2次回折光カットフィルタの透過率を考慮して前記第2波長範囲の光に由来する前記長波長側フォトダイオードの検出信号値を求める請求項2に記載の補正方法。
- 前記補正係数決定ステップは、前記第1波長範囲を含まず前記第2波長範囲を含む波長範囲の光を前記回折格子により分光して前記フォトダイオードアレイに入射させ、前記2次回折光カットフィルタを用いたときと用いないときの前記長波長側フォトダイオードの検出信号値をそれぞれ測定し、それらの測定値の比率により前記透過率を求める透過率測定ステップをさらに含む請求項3に記載の補正方法。
- 前記分光光度計は、前記測定波長範囲の光を発する第1光源、及び前記第2波長範囲の光を発する第2光源を備えており、
前記透過率測定ステップでは前記第2光源から発せられる光を用いて前記透過率を求める請求項4に記載の補正方法。 - 前記第1光源は重水素ランプであり、前記第2光源はハロゲンランプである請求項5に記載の補正方法。
- 短波長側の一定範囲を第1波長範囲、前記第1波長範囲よりも長波長側にある範囲を第2波長範囲とし、前記第2波長範囲の最長波長が前記第1波長範囲の最長波長の略2倍である測定波長範囲の光を発する光源と、
前記光源からの光の光路上に配置され、試料を流通させるフローセルと、
前記フローセルを経た光を波長成分ごとに分光する回折格子と、
入射する光の光量を検出する複数のフォトダイオードを有し、前記回折格子により分光された光を波長成分ごとに検出するフォトダイオードアレイと、
前記フォトダイオードのうち前記第2波長範囲の光を検出する長波長側フォトダイオードの検出信号値に含まれる、前記第1波長範囲の光の2次回折光に由来する検出信号値の割合を補正係数として保持する補正係数保持部と、
前記長波長側フォトダイオードの検出信号値に前記補正係数保持部に保持された前記補正係数を乗ずることによって前記第1波長範囲の光の2次回折光に由来する検出信号値を求め、前記長波長側フォトダイオードの検出信号値から前記2次回折光に由来する検出信号値を差し引くことで、前記長波長側フォトダイオードの検出信号値のうち前記第2波長範囲の光に由来する検出信号値を求める補正部と、を備えた分光光度計。 - 前記回折格子と前記フォトダイオードアレイとの間に、高次回折光を除去するフィルタが配置されていない請求項7に記載の分光光度計。
- 前記測定波長範囲の光を発する第1光源、及び前記第2波長範囲の光を発する第2光源を前記光源として含む請求項7又は8に記載の分光光度計。
- 前記補正係数は、前記回折格子によって分光された前記第1光源からの光を前記フォトダイオードアレイに入射させ、前記長波長側フォトダイオードに入射する光から前記第1波長範囲の光を、前記第1波長範囲の光を透過させず前記第2波長範囲の光を透過させる2次回折光カットフィルタを用いて除去することにより前記長波長側フォトダイオードで得られた第1の検出信号値と、前記回折格子によって分光された前記第1光源からの光を前記フォトダイオードアレイに入射させ、前記2次回折光カットフィルタを用いることなく前記長波長側フォトダイオードで得られた第2の検出信号値との比率であって、前記第1の検出信号値は前記2次回折光カットフィルタの透過率を考慮したものであり、
前記2次回折光カットフィルタの透過率は、前記第2光源からの光を前記回折格子により分光して前記フォトダイオードアレイに入射させ、前記2次回折光カットフィルタを用いたときと用いないときの前記長波長側フォトダイオードの検出信号値をそれぞれ測定し、それらの測定値の比率により求められたものである請求項9に記載の分光光度計。 - 前記第1光源は重水素ランプであり、前記第2光源はハロゲンランプである請求項9又は10に記載の分光光度計。
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