JP6685029B2 - 板状建材の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、下記特許文献1には、針葉樹単板からなる合板に、ホットメルト樹脂接着剤を介して木質繊維板を積層し、一体に接着する化粧板の製造方法が開示されている。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
図1及び図2は、本実施形態に係る板状建材の製造方法の一例を模式的に示す図である。
また、各単板11,14,15,16,17の厚さは、合板基材10の厚さに応じて、また、各単板11,14,15,16,17の成形性等の観点や、合板基材10の強度上の観点等から適宜の厚さとされたものとしてもよい。例えば、長手方向に繊維方向を沿わせた単板11,15,17の厚さを足し合わせた寸法及び幅方向に繊維方向を沿わせた単板14,16の厚さを足し合わせた寸法のうちの一方が合板基材10の総厚さの40%〜60%の範囲内となるように適宜の厚さとしてもよい。
例えば、各単板11,14,15,16,17の厚さを、0.5mm〜5mm程度としてもよく、1.0mm〜3.0mm程度としてもよい。好ましくは、これらのうちの少なくとも第1単板11を、厚さが1.5mm以上とされたものとしてもよい。これによれば、後記するように乾燥処理が施されて収縮される易収縮部位12を難収縮部位13に対して効果的に収縮させることができ、易収縮部位12の収縮によって突出した難収縮部位13の突出部13aを効果的に除去することができる。この結果、施工後における乾燥等に起因する易収縮部位12の収縮に伴う難収縮部位13の突出をより効果的に抑制することができる。
表面基材21は、表面平滑性の良好な木質系材料(エンジニアドボード(エンジニアドウッド))から形成されたものとしてもよい。このような木質系材料としては、例えば、MDF(中密度繊維板)やHDF(高密度繊維板)等の木質繊維板や、パーティクルボードやOSB(配向性ストランドボード)等の木質ボード等が挙げられる。また、表面基材21は、合成樹脂系材料に木粉や無機フィラー、相溶化剤、着色剤などを所定の含有割合で含有させた木粉・プラスチック複合材(WPC)から形成されたものとしてもよい。また、この表面基材21の厚さは、板状建材1の厚さや、表面材20の薄型化を図りながらも表面平滑性を向上させる観点等から、適宜の厚さとしてもよい。例えば、この表面基材21の厚さを、1.0mm〜5.0mm程度としてもよく、好ましくは1.5mm〜3.0mm程度としてもよい。
まず、図1(a)に示すように、適宜の乾燥装置2を用い、合板基材10の表層側を乾燥させる表層側乾燥工程を実行する。この表層側乾燥工程においては、図1(b)に示すように、第1単板11の易収縮部位12が難収縮部位13よりも収縮して難収縮部位13の突出部13aが形成されるように、少なくとも第1単板11が比較的に低含水率(乾量基準含水率)となるように乾燥させる態様としてもよい。また、このように乾燥すれば、合板基材10は、適度に凹反り(厚さ方向に見た中央部が周囲よりも凹むような反り)した状態となる。
乾燥処理後の第1単板11の含水率を低くし過ぎれば、合板基材10の凹反りが大きくなり過ぎる傾向がある。一方、乾燥処理後の第1単板11の含水率を高くし過ぎれば、易収縮部位12の収縮が小さくなる傾向がある。このような観点から、第1単板11の含水率(目標含水率)が3%以上8%以下となるように表層側乾燥工程を実行する構成としてもよい。これによれば、乾燥処理後における合板基材10の凹反りが大きくなり過ぎるようなことがなく、また、易収縮部位12を難収縮部位13に対して効果的に収縮させることができる。また、好ましくは、第1単板11の含水率(目標含水率)が4%以上6%以下となるように表層側乾燥工程を実行する構成としてもよい。
また、この表層側乾燥工程は、合板基材10の表層側の含水率を適宜の含水率計(表面含水率計(水分計))等によって測定し、上記のような目標含水率となれば、乾燥を終了させるような態様としてもよい。または、乾燥処理後の第1単板11が上記のような目標含水率となるように、実験的または経験的に定められた乾燥時間が経過するまで所定の乾燥態様で乾燥処理を実行する態様としてもよい。
また、乾燥装置2と合板基材10とを相対的に移動させながら乾燥する態様等としてもよい。また、複数種類の乾燥装置2を用いて乾燥処理を実行する態様としてもよい。
また、この表面平滑化工程に用いられる平滑化装置3としては、適宜の研磨装置や研削装置でもよい。研磨装置としては、例えば、研磨布状体をベルト状にしたサンディングベルトを連続的に循環させて研磨するベルトサンダー等が挙げられる。また、研削装置としては、合板基材10の表面に対して平行状に移動される切削刃によって研削する平削盤や、合板基材10の表面に対して直交する軸回りに回転される切削刃によって研削するバーチカルプレーナー等が挙げられる。
これら合板基材10と表面材20とを接着する接着剤としては、比較的に固形分の低い水系接着剤18としてもよい。この水系接着剤18に含まれる固形分を高くし過ぎれば、つまり、水分率を低くし過ぎれば、合板基材10の表層側への水分移行が少なくなる傾向がある。このような観点から、固形分が50%以下の水系接着剤18が好ましい。これによれば、上記のように乾燥処理によって凹反りした合板基材10の表層側に水系接着剤18に含まれる水分が適度に移行して合板基材10の凹反りを軽減することができる。また、乾燥処理によって収縮された易収縮部位12がこの水分の移行によって膨潤して突出し、難収縮部位13が相対的に僅かに陥没したような状態となる(図2(c)参照)。これにより、施工後における乾燥等に起因する易収縮部位12の収縮に伴う難収縮部位13の突出をより効果的に抑制することができる。また、水系接着剤18としては、上記のような観点や接合性の観点等から、固形分が35%以上45%以下のものがより好ましい。
また、図例では、合板基材10の表面に水系接着剤18を塗布した例を示しているが、これに代えて、または加えて、表面材20の裏面に水系接着剤18を塗布する態様としてもよい。また、水系接着剤18としては、水性ビニルウレタン系接着剤や酢酸ビニル系接着剤、変性酢酸ビニル系接着剤等でもよく、その他、種々の水系接着剤でもよい。
また、この表面材積層工程は、水系接着剤18を介して積層された合板基材10と表面材20とを、上下の成形型4,5によって圧締して水系接着剤18を乾燥硬化させて積層一体化する構成としてもよい。このような上下の成形型4,5としては、水系接着剤18の種類にもよるが、ヒーターや熱媒体が流通される媒体流通路が設けられた熱プレス機(ホットプレス)としてもよい。つまり、水系接着剤18を介して積層された合板基材10と表面材20とを、上下の成形型4,5によって熱圧締(熱プレス)する態様としてもよい。
また、合板基材10と表面材20とを熱プレスする際のプレス時間は、水系接着剤18の種類や、プレス温度等に応じて、適宜、設定するようにしてもよい。
例えば、上記のように積層した積層体の四周側端部に実部を設けたり、表面に溝部を設けたり、表面側周縁部に面取部を設けたりしてもよい。また、上記のように積層した積層体の表面に、クリアー塗料等を塗装して透明または半透明のトップコート層(保護層)を設けるようにしてもよい。また、合板基材10の裏面側に、更に種々の機能シートを積層一体化するようにしてもよい。
つまり、易収縮部位12と難収縮部位13とを有した単板(第1単板)11を少なくとも最表層側となる一層目に設けた合板基材10の表層側に、乾燥処理を施して易収縮部位12を収縮させることで難収縮部位13を突出させる構成としている。また、この突出部13aを除去するように合板基材10の表面に平滑化処理を施し、次いで、この合板基材10の表面に表面材20を積層して接着する構成としている。従って、比較的に均質なラワン材と比べて、木目が明瞭で節部が多く、易収縮部位12と難収縮部位13とを有した早生植林木や国産針葉樹等から形成された第1単板11を設けた調達安定性の良好な合板基材10を用いることができる。また、この合板基材10の表層側に、乾燥処理を施して易収縮部位12を収縮させることで突出させた難収縮部位13の突出部13aを除去して表面が平滑化される。これにより、施工後における乾燥等に起因する易収縮部位12の収縮に伴う難収縮部位13の突出が生じ難くなり、この合板基材10に積層された表面材20の表面に凹凸を生じ難くすることができる。
<実施例1>
合板基材を、第1単板の厚さが1.5mmで総厚さが9.0mmの5層のスギ合板とした。このスギ合板を、搬送しながら熱風を吹き付けて乾燥させるジェットドライヤー(設定温度110℃、株式会社荒川製作所製)を3回通過させて乾燥させた。乾燥後の第1単板表面の含水率を、水分計(キクカワエンタープライズ株式会社製)を用いて測定したところ、5%であった。次いで、このように表層側を乾燥させて難収縮部位を突出させたスギ合板の表面を、研磨布状体をベルト状にしたワイドベルトサンダー(キクカワエンタープライズ株式会社製)を用いて研磨し、平滑化した。この際、番手(粒度)が#80のもので研磨した後、番手(粒度)が#100のもので研磨した。そして、このスギ合板を、常温になるよう冷却し、その表面に、固形分47%の水性ビニルウレタン系接着剤(住友林業クレスト株式会社製)を50g/m2塗布し、表面に特殊印刷紙を設けた厚さ2.7mmのMDFを積層して熱プレスした。この際のプレス条件は、プレス温度110℃、プレス圧30N/cm2、プレス時間90秒とした。そして、この表面に、ウレタンアクリレートを塗装し、紫外線を照射して硬化させ、長さが1818mm、幅が303mmの実施例1に係る板状建材を得た。
合板基材を、第1単板の厚さが2.0mmで総厚さが10.0mmの5層のカラマツ合板とした。このカラマツ合板を、ジェットドライヤー(設定温度110℃、株式会社荒川製作所製)を2回通過させて乾燥させた後、ゴム硬度60度のシリコンゴムが表面に装着された熱ロール(設定温度110℃)を1回通過させて乾燥させた。乾燥後の第1単板表面の含水率を、上記同様の水分計を用いて測定したところ、7%であった。次いで、このように表層側を乾燥させて難収縮部位を突出させたカラマツ合板の表面を、バーチカルプレーナー(アミテック株式会社製)を用いて研削し、平滑化した。そして、このカラマツ合板を、常温になるよう冷却し、その表面に、固形分45%の変性酢酸ビニル系接着剤(コニシ株式会社製)を53g/m2塗布し、厚さ2.0mmのHDFを積層して熱プレスした。この際のプレス条件は、プレス温度120℃、プレス圧45N/cm2、プレス時間80秒とした。そして、このHDFの表面に、変性酢酸ビニル系接着剤(コニシ株式会社製)を20g/m2塗布し、厚さが0.2mmのオーク単板を積層して熱プレスした。この際のプレス条件は、プレス温度105℃、プレス圧40N/cm2、プレス時間50秒とした。そして、この表面に、ウレタンアクリレートを塗装し、紫外線を照射して硬化させ、長さが1818mm、幅が303mmの実施例2に係る板状建材を得た。
合板基材を、トドマツ合板としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3に係る板状建材を得た。
<実施例4>
合板基材の第1単板の厚さを1.0mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例4に係る板状建材を得た。
<実施例5>
スギ合板とMDFとを熱プレスする際のプレス圧を90N/cm2としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例5に係る板状建材を得た。
なお、実施例3,4,5の表層側乾燥工程後の合板基材の第1単板表面の含水率を、上記同様の水分計を用いて測定したところ、いずれも、5%であった。
<実施例6>
表層側乾燥工程において、ジェットドライヤーを用いた乾燥後に、熱ロールを2回通過させたこと以外は、実施例2と同様にして実施例6に係る板状建材を得た。これの合板基材の乾燥後の第1単板表面の含水率を、上記同様の水分計を用いて測定したところ、2%であった。
表層側乾燥工程及び表面平滑化工程を実行しないこと以外は、実施例1と同様にして比較例1に係る板状建材を得た。
<比較例2>
表層側乾燥工程及び表面平滑化工程を実行しないこと以外は、実施例2と同様にして比較例2に係る板状建材を得た。
なお、比較例1,2に用いた合板基材の第1単板表面の含水率を、上記同様の水分計を用いて測定したところ、いずれも、10%であった。
<反り評価試験>
この評価試験では、各実施例及び各比較例の板状建材の幅方向両端の二点を基点とし、幅方向中央部位を測定点として幅方向の反り量(矢高)を計測した。この幅方向の反りが、プラスマイナス0.5mm以内を○(良)とし、その範囲外を×(不良)と判断した。
また、各実施例及び各比較例の板状建材の長手方向両端の二点を基点とし、長手方向中央部位を測定点として長手方向の反り量(矢高)を計測した。この長手方向の反りが、マイナス15mm以上プラス20mm以下の範囲を○(良)とし、その範囲外を×(不良)と判断した。
<表面外観評価試験>
この評価試験では、各実施例及び各比較例の板状建材の表面に対して、斜光照明を照射した状態で、表面の凹凸の有無を目視観察して評価した。
10 合板基材
11 第1単板(一層目の単板)
12 易収縮部位
13 難収縮部位
13a 突出部
20 表面材
Claims (5)
- 厚さ方向に収縮し易い易収縮部位と収縮し難い難収縮部位とを有した単板を少なくとも最表層側となる一層目に設けた合板基材の表層側に、乾燥処理を施して前記易収縮部位を収縮させることで前記難収縮部位を突出させ、この突出部を除去するように前記合板基材の表面に平滑化処理を施し、次いで、この合板基材の表面に表面材を積層して接着することを特徴とする板状建材の製造方法。
- 請求項1において、
前記合板基材の一層目の単板の厚さが1.5mm以上であることを特徴とする板状建材の製造方法。 - 請求項1または2において、
前記合板基材の一層目の単板の含水率が3%以上8%以下となるように前記乾燥処理を施すことを特徴とする板状建材の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記合板基材と前記表面材とを、固形分が50%以下の水系接着剤によって接着することを特徴とする板状建材の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記合板基材と前記表面材とを、プレス圧が30N/cm2以上50N/cm2以下で熱プレスして接着することを特徴とする板状建材の製造方法。
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