以下、本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態の画像形成装置を示す概略構成図である。図1に示されている画像形成装置1は、プリンタ機能及び複写機能を有する複合機となっており、原稿読取り部10、装置本体部20、及び用紙収納部30を備えている。
原稿読取り部10は、原稿搬送部11及び読取り装置12を備えている。原稿搬送部11は、原稿トレイ111に置かれた原稿を原稿搬送路112に沿って、透明板であるプラテン113上を経由して原稿排出トレイ114まで搬送する。読取り装置12は、読取機121を備えている。この読取機121は、プラテン113の下方に配置され、プラテン113上を搬送されている原稿の画像を読み取って、その画像を表す画像データを生成する。生成した画像データは、装置本体部20に送られる。
用紙収納部30は、シート状の記録媒体としての用紙を収納する複数の収納部31,32,33と、用紙取出し搬送路34とを備えている。複数の収納部31,32,33には、互いにサイズの異なる用紙が収納される。各収納部31,32,33内の用紙は、用紙取出し搬送路34においてピックアップローラ341によって1枚ずつ取り出され、装置本体部20へと搬送される。また、本実施形態では、装置本体部20の側壁から突出した形で、手差し用紙トレイ35が設けられている。この手差し用紙トレイ35に載置された用紙も、ピックアップローラ341によって1枚ずつ取り出され、装置本体部20へと搬送される。
装置本体部20は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)の4色のトナーを用いてフルカラーの画像を形成する。装置本体部20は、YMCK4色の像形成部21Y、21M,21C,21K、及び光書込み部22を備えている。
本実施形態の画像形成装置1は、4色の像形成部21Y、21M,21C,21Kが水平方向に並べて配置されたタンデムタイプの画像形成装置となっている。各色の像形成部21Y、21M,21C,21Kは、感光体ドラム211Y、211M,211C,211Kを備えている。この感光体ドラム211Y、211M,211C,211Kが、図中で反時計回りに回転し、回転中の感光体ドラム211Y、211M,211C,211Kの周面に、光書込み部22からの走査露光により静電潜像が書き込まれる。各色の感光体ドラム211Y、211M,211C,211Kの静電潜像が各色のトナーで現像されて、各色のトナー像が形成される。
装置本体部20は、画像形成装置1における各構成要素の動作を制御する制御部23が、設けられている。この制御部23では、上記の原稿読取り部10から送られてくる画像データや、画像形成装置1の外部のコンピュータ等で生成されて送られてくる画像データが受け取られる。そして、これらの画像データに基づいた制御の下で、光書込み部22による走査露光や像形成部21Y、21M,21C,21Kでのトナー像の形成が行われる。
また、装置本体部20は、各色の一次転写器24Y,24M,24C,24Kと、中間転写ベルト25と、レジストレーションローラ26と、二次転写器27と、定着器28と、用紙搬送路29と、を備えている。
中間転写ベルト25は、図中時計回りに循環移動する。この移動中の中間転写ベルト25に、各色の一次転写器24Y,24M,24C,24Kにより各色の感光体ドラム211Y、211M,211C,211Kから各色のトナー像が互いに重なり合うように一次転写される。これにより、中間転写ベルト25にカラーのトナー像が形成される。このトナー像は、中間転写ベルト25の移動につれて二次転写器27へと運ばれる。
上記の用紙収納部30から搬送される用紙や、手差し用紙トレイ35から搬送される用紙は、二次転写器27の手前でレジストレーションローラ26によって一時的に留め置かれる。そして、このレジストレーションローラ26は、中間転写ベルト25上のトナー像が二次転写器27に達するタイミングに合わせて用紙を二次転写器27に送り込む。二次転写器27によってトナー像が用紙に二次転写される。二次転写後の用紙は、用紙搬送路29に沿って定着器28に搬送される。この定着器28によって用紙上のトナー像が用紙に定着する。
ここで、本実施形態では、用紙の両面へのトナー像の形成が可能となっている。トナー像の形成を用紙の片面のみとするか、あるいは両面とするかは、ユーザの設定操作や外部装置からの設定情報に基づいて設定される。片面のみの形成が設定された場合には、片面にトナー像が形成されて定着器28を通過した用紙が、排紙ローラ291によって排紙トレイ292へと排出される。
他方、両面への形成が設定された場合には、片面にトナー像が形成されて定着器28を通過した用紙は、用紙反転経路293へと搬送される。この用紙反転経路293を通過することで、用紙は、トナー像未形成の裏面が中間転写ベルト25側を向くように反転され、レジストレーションローラ26によって二次転写器27へともう一度送り込まれる。そして、裏面へのトナー像の二次転写と定着が行われた後に、排紙ローラ291によって排紙トレイ292へと排出される。
また、装置本体部20における用紙搬送路29の各所に、用紙の存在を検出する用紙センサ294が配置されている。本実施形態では、用紙センサ294が、手差し用紙トレイ35のピックアップローラ341の下流側、用紙収納部30からの用紙の取り込み口、レジストレーションローラ26の上流側に配置されている。さらに、二次転写器27の下流側、定着器28の上流側及び下流側、排紙ローラ291の上流側にも、用紙センサ294が配置されている。これらの用紙センサ294での検出結果は、制御部23において、例えば用紙搬送路29で紙詰まりが発生したときの詰まった場所の特定等に用いられる。
画像形成装置1は、概略、以上に説明した構成を有している。ここで、本実施形態では、引出し41を有する引出しユニット40が、装置本体部20に設けられている。そして、中間転写ベルト25の下方に位置する、レジストレーションローラ26、二次転写器27、定着器28、用紙搬送路29等の構成部品が、引出し41に搭載されている。引出し41は、装置本体部20の筐体も兼ねる引出しユニット40の筐体42に出し入れされる。
図2は、図1に示された画像形成装置に設けられた引出しユニットを示す模式的な斜視図であり、図3は、図1に示された画像形成装置に設けられた引出しユニットを示す模式的な側面図である。また、図4は、図2及び図3に模式的に示されている引出しを詳細に示す斜視図である。尚、図2では、上述した引出し41の搭載部品のうち定着器28以外の搭載部品は図示が省略され、図3では、全ての搭載部品について図示が省略されて、図示の簡略化が図られている。
画像形成装置1の装置本体部20に設けられ引出しユニット40では、引出し41は、ユーザが位置するフロント側から奥へと向かう挿入方向D1に、筐体42に挿入されるとともに、その挿入方向D1とは逆向きの抜出し方向D2に、筐体42から抜出される。引出し41は、定着器28等の構成部品を保持するキャリア411と、このキャリア411のフロント側に取り付けられた前カバー412とからなる引出し本体41aを備えている。引出し本体41aは、筐体42に設けられたレール421に、上記の挿入方向D1及び抜出し方向D2の移動が自在となるように支持されている。
また、図3に示されているように、引出し本体41aのキャリア411には、引出し側制御部413が設けられており、この引出し側制御部413が、装置本体部20の制御部23や電源装置等と、ケーブル414によって電気的に接続されている。引出し側制御部413は、装置本体部20の制御部23による制御の下で、キャリア411の搭載部品である定着器28等の動作制御を行う。本実施形態では、ケーブル414は、引出し41の抜出し方向D2に伸長し挿入方向D1に短縮するようにコイル状に巻かれている。これにより、ケーブル414は、引出し41の抜出しや挿入に応じて伸縮するようになっている。
また、図4に示されているように、引出し本体41aのキャリア411は、底板411aと、前カバー412に対面するように底板411aのリア側の縁から立ち上がったリア板411bと、を備えている。また、このリア板411bからは、引出し41の挿入方向D1に位置決めピン411cが突出している。
ここで、引出し41は、前カバー412からリア板411bへと挿入方向D1に沿って延びる回転軸415が設けられている。この回転軸415のリア側の端部が、リア板411bを貫通して突出しており、その端部に、ロック部材41bが設けられている。ロック部材41bは、引出し41が、筐体42に挿入された状態で、筐体42側の後述する構造物に係止することで、引出し41が筐体42から不用意に抜け出さないようにロックする部材である。
図5は、図4に示されている引出し本体の前カバー、回転軸、及びロック部材を示す図である。図5(a)には斜視図が示されており、図5(b)には前カバー412をフロント側から見た平面図が示されている。
本実施形態では、挿入した引出し41をロックしたり、引出し41の抜出しに先立ってロックを解除したりするための操作ハンドル416が、前カバー412に設けられている。操作ハンドル416は、リング状の枠416aと、この枠416aの内側を直径方向に横切る把持部416bと、を有している。この操作ハンドル416は、操作ハンドル416を操作するユーザから見て反時計回りとなる操作方向D3に回転するように構成されている。上述したようにリア側の端部にロック部材41bが設けられた回転軸415のフロント側の端部が、この操作ハンドル416に接続されている。このため、操作ハンドル416が操作方向D3に回転されると、回転軸415及び、そのリア側の端部のロック部材41bが、その操作方向D3に回転する。
前カバー412には、ロック状態を表すロックマーク416cと、ロック解除状態を表すロック解除マーク416dとが描かれている。把持部416bがロックマーク416cと一致するように操作ハンドル416が操作されると、ロック部材41bが筐体42側の構造物に係止して引出し41がロックされる。また、把持部416bがロック解除マーク416dと一致するように操作ハンドル416が操作されると、上記の係止が解除されて引出し41のロックが解除される。
ここで、本実施形態では、操作ハンドル416は、操作方向D3にしか回転できないように構成されている。引出し41をロックするときには、把持部416bがロック解除マーク416dからロックマーク416cへと向かうロック回転方向D3−1に操作ハンドル416が回される。これによりロック部材41bが、ロック解除位置からロック位置へとそのロック回転方向D3−1に回転する。また、引出し41のロックを解除するときには、把持部416bがロックマーク416cからロック解除マーク416dへと向かうロック解除回転方向D3−2に操作ハンドル416が回される。これによりロック部材41bが、ロック位置からロック解除位置へとロック解除回転方向D3−2に回転する。
把持部416bがロック解除マーク416dと一致したロック解除状態で、引出し41の挿入と抜出しが行われる。そして、引出し41の挿入後に把持部416bがロックマーク416cと一致したロック状態に操作ハンドル416が操作される。また、この操作ハンドル416は、ユーザが引出し41を挿入したり抜出したりするときの手掛かりとしても利用される。
図6は、引出しのリア側と、筐体内においてこの引出しのリア側と対面する構造を示した斜視図である。図6(a)には、引出し41が筐体42から抜き出された状態が示されており、図6(b)には、引出し41が筐体42に挿入された状態が示されている。
上述したように引出し41における引出し側制御部413から延びたケーブル414は、コイル状に巻かれており、引出し41が筐体42から抜き出された状態では伸長し、引出し41が筐体42に挿入された状態では短縮する。また、引出し41のリア板411bからは位置決めピン411cが突出している。筐体42において、引出し41のリア板411bと対面する対面板422には、位置決め穴422aが設けられている。レール421に保持された引出し41が、挿入方向D1に挿入される際には、引出し41の位置決めピン411cが、筐体42の位置決め穴422aへと進入することで、筐体42内における引出し41の位置決めが行われる。
ここで、ロック部材41bは、引出し41のリア板411bから突出した回転軸415のリア側の端部から挿入方向D1と交差する方向に延びている。そして、筐体42の対面板422には、このロック部材41bを受け入れるとともに、上述したように操作ハンドル416がロック状態に操作されたときにこのロック部材41bと係止するロック受け部材423が設けられている。以下、ロック部材41bとロック受け部材423について詳細に説明する。
図7は、ロック部材と、その周辺構造とを示す拡大斜視図である。引出し41のリア板411bから突出した回転軸415のリア側の端部には、角柱形状の嵌合部材415aが取り付けられている。この嵌合部材415aから、挿入方向D1と交差する方向にロック部材41bが突出して取り付けられている。ロック部材41bは、嵌合部材415aから、挿入方向D1と交差する方向に突出した1本のコロ軸417と、このコロ軸417に回転可能に取り付けられた回転コロ418とを備えている。ロック部材41bは、上述したように回転軸415回りに操作方向D3に回転する。
図8は、筐体側に設けられるロック受け部材を示す図である。この図8には、筐体42については、引出し41のリア板411bと対面する対面板422等が除かれてロック受け部材423のみが示されている。
ロック受け部材423は、2つの円筒423a,423bが画像形成装置1における上下方向に繋がった平面視ダルマ形状を有している。そして、2つの円筒423a,423bのリア側の縁には、このロック受け部材423を筐体42の対面板422に固定するためのフランジ423cが設けられている。2つの円筒423a,423bのうちの下側の円筒423aの内部が、引出し41の筐体42への挿入時に上記の嵌合部材415aごとロック部材41bが進入するロック進入孔423a−1となっている。ここで、本実施形態では、引出し41において、回転軸415の上方に図1に示されている二次転写器27が位置する。この二次転写器27は円筒状の回転部材であり、本実施形態では、ロック部材41bの上方では、その二次転写器27の回転軸の一端がリア板411bから突出している。このため、ロック受け部材423では、2つの円筒423a,423bのうちの上側の円筒423bの内部が、引出し41の挿入時に二次転写器27の回転軸の一端が進入する二次転写器用進入孔423b−1となっている。このロック受け部材423では、ロック進入孔423a−1の内側に、ロック部材41bが係止するための構造等が設けられている。
図8では、引出し41の挿入直後で操作ハンドル416がロック解除状態にあり、ロック部材41bがロック解除位置に置かれた状態が図示されている。図5に示されている操作ハンドル416が操作方向D3に操作されると、図7及び図8に示されているように、ロック部材41bがこの操作方向D3に回転する。
図9は、ロック部材がロック進入孔に進入した状態のロック受け部材をリア側から見た平面図である。この図9にも、ロック部材41bがロック解除位置に置かれた状態が図示されている。
ロック進入孔423a−1の内側には、引出し41のロック時にロック部材41bが係止する被係止壁423dが設けられている。また、ロック進入孔423a−1の内側には、ロックの解除時にロック部材41bがロック解除回転方向D3−2に回転する際に、ロック部材41bが当接してロック部材41bごと引出し41を押し出す押出し壁423eが設けられている。さらに、ロック回転方向D3−1の上流側に被係止壁423dに隣接して、ロック時にロック部材41bを被係止壁423dへと案内するとともに、ロック部材41bごと引出し41を引き込む引込み壁423fが設けられている。平面視で押出し壁423eと引込み壁423fとの間は間隙423gとなっている。
図10は、図9にも示されているロック受け部材の平面図である。図11は、ロック受け部材を、図9中で下方から見上げたときの斜視図であり、図12は、ロック受け部材を、図9中で右方から見たときの斜視図である。また、図13は、ロック受け部材を、図10中のA−A断面でカットしたときの斜視図であり、図14は、ロック受け部材を、図10中のB−B断面でカットしたときの斜視図である。
図5に示されている操作ハンドル416の把持部416bがロック解除マーク416dに合されると、ロック部材41bが間隙423gに位置する。この間隙423gが、ロック部材41bのロック解除位置となっている。また、把持部416bがロックマーク416cに合されると、ロック部材41bが被係止壁423dにおいて他の部分よりも挿入方向D1に一段高くなっているロック受け部423d−1に位置する。このロック受け部423d−1が、ロック部材41bのロック位置となっている。
引出し41の挿入の際には、操作ハンドル416の把持部416bがロック解除マーク416dに合される。そして、ロック部材41bがロック解除位置に位置する状態で、引出し41が挿入され、ロック部材41bがロック受け部材423のロック進入孔423a−1に挿入方向D1に進入する。その後、引出し41のロックのために、操作ハンドル416の把持部416bがロックマーク416cに合されてロック部材41bがロック位置へとロック回転方向D3−1に回転する。
被係止壁423dにおけるロック受け部423d−1は、ロック位置に位置するロック部材41bよりも抜出し方向D2の前方に位置してこのロック部材41bが係止する。また、被係止壁423dにおける他の部分は、ロック受け部423d−1よりも一段低いロック部423d−2となっている。この一段低いロック部423d−2も、ロック部材41bよりも抜出し方向D2の前方に位置している。ロック受け部423d−1からロック部材41bが外れてロック解除方向D3−2に回転しても、ロック部材41bが押出し壁423eに当接するまでは、ロック部材41bが係止してロック状態を維持する。
引出し41が抜出し方向D2に抜出される際には、この引出し41の抜出しに先立って、ロック解除のために、図5に示されている操作ハンドル416の把持部416bがロック解除マーク416dに合される。これにより、ロック部材41bが、ロック解除位置までロック解除方向D3−2に回転する。
押出し壁423eは、被係止壁423dよりも挿入方向D1の前方に位置し、ロック解除回転方向D3−2について抜出し方向D2に傾斜した壁である。ロック解除回転方向D3−2にロック部材41bが回転すると、やがて、ロック部材41bは、被係止壁423dのロック部423d−2から外れて押出し壁423eに当接する。ロック部材41bがロック解除回転方向D3−2にさらに回転すると、上記のように傾斜した押出し壁423eによって、ロック部材41bの回転につれてロック部材41bが抜出し方向D2に押し出される。
また、本実施形態では、ロック回転方向D3−1の上流側で被係止壁423dに隣接し、ロック回転方向D3−1について挿入方向に傾斜した引込み壁423fが設けられている。引出し41の挿入後に把持部416bがロックマーク416cに合されてロック部材41bがロック解除位置からロック位置へと回転する際には、ロック部材41bは、まずこの引込み壁423fに当接する。そして、ロック部材41bは、上記のように傾斜した引込み壁423fに沿って、一段高いロック受け部423d−1へと案内される。このときには、ロック部材41bは、挿入方向D1に引き込まれる。
図15は、引出しのロックのためにロック部材がロック解除位置からロック位置へと回転する様子、及び、ロック解除のためにロック部材がロック位置からロック解除位置へと回転する様子を模式的に示す図である。この図では、横軸に、ロック解除位置を0°としたときのロック部材41bの回転角度がとられている。縦軸は、ロック部材41bの挿入方向D1の位置を表している。縦軸上方が挿入方向D1の前方に相当し、縦軸下方が抜出し方向D2の前方に相当する。
ロック部材41bがロック解除位置からロック位置へとロック回転方向D3−1に回転すると、上述したように、ロック部材41bは、傾斜した引込み壁423fに沿って、被係止壁423dにおける一段高いロック受け部423d−1へと案内される。このときには、ロック部材41bは、挿入方向D1に引き込まれる。そして、ロック部材41bがロック位置からロック解除位置へとロック回転方向D3−2に回転すると、ロック部材41bは、一段低いロック部423d−2の上を通過して、上述したように押出し壁423eに当接する。このとき、押出し壁423eは、ロック解除回転方向D3−2における起点が、ロック解除回転方向D3−2における被係止壁423dの終点よりも抜出し方向D2の後方に位置し、ロック解除回転方向D3−2について抜出し方向D2の前方に向かって傾斜した壁である。ロック部材41bがロック解除回転方向D3−2にさらに回転すると、傾斜した押出し壁423eによって、ロック部材41bが抜出し方向D2に押し出される。
ロック部材41bが押出し壁423eによって、抜出し方向D2に押し出されることで、引出し41が、ロック部材41bごと抜出し方向D2に押し出される。このように、引出し41の抜出しに先立って、ロック解除のために操作ハンドル416aが操作されてロック部材41bがロック解除回転方向D3−2に回転することにより、引出し41が、ロック部材41bごと抜出し方向D2に押し出される。
引出し41が筐体42に挿入されロックされている状態では、上述したように位置決めピン411cが位置決め穴422aに挿入された状態にある。また、詳細な説明は割愛するが、引出し41は、ケーブル414による接続以外にも、コネクタ接続等により筐体42側の電気部品と電気的に接続されている。引出し41が筐体42に挿入されロックされている状態では、このコネクタ接続のためのコネクタが嵌合状態にある。このため、引出し41の抜出しは、その初期段階において、位置決めピン411cを位置決め穴422aから抜くときの抵抗力や、コネクタの嵌合を解除するときの抵抗力等に反して行われることとなる。本実施形態の引出しユニット40によれば、引出し41の抜出しに先立って行われるロック解除の操作により、引出し41が抜出し方向D2に押し出される。この押出しにより、位置決めピン411cは位置決め穴422aからある程度抜出され、コネクタの嵌合もある程度解除された状態となる。その結果、上記のような抜出しの初期段階における抵抗力が軽減される。つまり、本実施形態の引出しユニット40によれば、引出し41の抜出し力を低減することができる。
また、本実施形態では、ロック回転方向D3−1の上流側で被係止壁423dに隣接して引込み壁423fが設けられている。そして、引出し41の挿入後のロック時に行われるロック操作により、ロック回転方向D3−1にロック部材41bが回転すると、ロック部材41bが引込み壁423f当接する。ロック部材41bがさらに回転してロック位置へと向かうと、このロック部材41bの回転につれて引出し41が挿入方向D1に引き込まれる。引出し41を挿入した段階で、位置決めピン411cの位置決め穴422aへの挿入の程度やコネクタの嵌合の程度が不十分であったとしても、挿入後のロック操作によって上記のように引出し41が挿入方向D1に引き込まれる。これにより、位置決めピン411cの位置決め穴422aへの挿入やコネクタの嵌合を完全なものとすることができる。
また、本実施形態では、ロック部材41bが引出し41に設けられ、押出し壁423eが筐体42に設けられている。筐体42は、その内部空間の殆どが引出し41で占められることから、スペースに余裕がない。本実施形態では、回転軸415等が設けられ場所をとるロック部材41bが、比較的にスペースに余裕がある引出し41に設けられ、それほど場所をとらない押出し壁423eが筐体42に設けられている。本実施形態によれば、このように引出しユニット40が、内部空間を有効に活用して構成されている。
また、本実施形態では、被支持壁423dがロック位置のロック部材41bよりも抜出し方向D2の前方に配置されている。そして、押出し壁423eが、被支持壁423dよりも挿入方向D1の前方に配置され、ロック解除回転方向D3−2について抜出し方向D2に傾斜した壁となっている。これにより、ロック解除回転方向D3−2に回転するロック部材41bが、傾斜した押出し壁423eに沿って滑らかに移動でき、その結果、ロック部材41bのロック解除回転方向D3−2に回転に対する抵抗が軽減されている。
また、本実施形態では、引込み壁423fが、ロック回転方向D3−1について挿入方向D1に傾斜して被係止壁423dへと達する壁となっている。これにより、ロック回転方向D3−1に回転するロック部材41bが、傾斜した引込み壁423fに沿って滑らかに移動でき、その結果、ロック部材41bのロック回転方向D3−1に回転に対する抵抗についても軽減されている。
また、本実施形態では、ロック部材41bがコロ軸417と回転コロ418とを備えて構成されている。このため、ロック操作時にロック部材41bが引込み壁423fに当接して被係止壁423dへと移動する際や、ロック解除操作時にロック部材41bが押出し壁423eに当接して間隙423gへと移動する際の、ロック部材41bと各壁との接触抵抗が抑制される。その結果、ロック操作やロック解除操作における操作ハンドル416の操作抵抗が軽減されることとなっている。
以上で本発明の第1実施形態についての説明を終了し、次に、本発明の第2実施形態について説明を行う。尚、第2実施形態は、ロック受け部材の構成が、上述した第1実施形態におけるロック受け部材423の構成と異なっている他は、第1実施形態と同等である。以下では、第2実施形態について第1実施形態との相違点に注目して説明を行い、例えば画像形成装置や引出しユニットの構成等といった共通点については説明を割愛する。
図16は、本発明の第2実施形態におけるロック受け部材の平面図である。図17は、ロック受け部材を、図16中で右方から見たときの斜視図であり、図18は、ロック受け部材を、図16中のC−C断面でカットしたときの斜視図である。そして、図19は、第2実施形態において引出しのロックのためにロック部材がロック解除位置からロック位置へと回転する様子、及び、ロック解除のためにロック部材がロック位置からロック解除位置へと回転する様子を模式的に示す図である。尚、図16〜図19では、上述の第1実施形態におけるロック受け部材423について示す図10〜図15中の構成要素や矢印と同等な構成要素や矢印については、図10〜図15の符号と同じ符号が付されている。以下では、それら同等な構成要素や矢印についての重複説明を省略する。また、以下の説明では、第1実施形態の説明に用いた図1〜図15に示されている共通の構成要素を、特に断らずに参照する。
第2実施形態のロック受け部材500では、第1実施形態のロック受け部材423のように傾斜した引込み壁423fが設けられていない。そして、ロック進入孔423a−1の内側に、ロック解除位置としての間隙423gから、ロック回転方向D3−1及びロック解除回転方向D3−2に沿って押出し壁423eの手前まで円弧状に延びる平坦な被支持壁501が設けられている。
引出し41が挿入方向D1に挿入されるとロック部材41bが、その挿入方向D1にロック進入孔423a−1に進入する。そして、図19に示されているように、ロック部材41bがロック解除位置からロック位置へとロック回転方向D3−1に回転すると、まず、ロック部材41bは、平坦な被支持壁501に乗り上げる。そして、操作ハンドル416の把持部416bがロックマーク416cに一致するまで、平坦な被支持壁501上を移動する。そして、ロック部材41bがロック位置からロック解除位置へとロック回転方向D3−2に回転すると、ロック部材41bは、被支持壁501上を通過して押出し壁423eに当接する。ロック部材41bがロック解除回転方向D3−2にさらに回転すると、傾斜した押出し壁423eによって、抜出し方向D2に押し出される。
このようなロック受け部材500が設けられた第2実施形態では、上記のようにロック操作の初期段階でロック部材41bが平坦な被支持壁501に乗り上げる。このため、第1実施形態のように傾斜した引込み壁423fに沿ってロック部材41bが移動するのに比べると、若干操作抵抗は大きくなる。しかしながら、この第2実施形態でも、ロック部材41bが平坦な被支持壁501に乗り上げる際に、引出し41を挿入方向D1に引き込む引込み力が発生する。従って、引出し41の挿入後のロック操作により、位置決めピン411cの位置決め穴422aへの挿入やコネクタの嵌合を完全なものとすることができる点は、第1実施形態と同様である。
また、この第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、押出し壁423eによるロック部材41b及び引出し41の押出しにより引出し41の抜出し力を低減することができることは言うまでもない。
次に、本発明の第3実施形態について説明を行う。第3実施形態では、引出し41のロ
ックやロック解除が、操作ハンドル416の操作によって行われる上述した第1実施形態とは異なり、モータ駆動によって行われる。一方で、例えば画像形成装置や引出しユニットの構成等は第1実施形態と共通している。以下では、第3実施形態について第1実施形態との相違点に注目して説明を行い共通点については説明を割愛する。
図20は、本発明の第3実施形態において引出しのロックやロック解除をモータ駆動によって行う構造を示す図である。尚、この図20では、第1実施形態と同等な構成要素については第1実施形態の説明で使われた符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素についての重複説明を省略する。この点は、第3実施形態の説明で参照する後述の図21及び図22においても同様である。また、以下の説明では、第1実施形態の説明に
用いた図1〜図15に示されている共通の構成要素を、特に断らずに参照する。
図20に示されているように、図5等に示されている引出し41の前カバー412と、キャリア411におけるフロント板411dとの間に、ロック部材41bの回転軸415を回転駆動する駆動部600が配置されている。駆動部600は、モータ601と、そのモータ601の回転駆動力を回転軸415に伝達するギア群602とを備えている。
本実施形態では、図3に示されている引出し側制御部413によって駆動部600の動作が次のように制御される。引出し側制御部413は、引出し41が挿入されるとロック解除位置からロック位置へとロック部材41bが回転するように駆動部600を制御する。また、引出し側制御部413は、引出し41の抜出しの際には抜出しに先立ってロック位置からロック解除位置へとロック部材41bが回転するように駆動部600を制御する。この引出し側制御部413が、本発明にいう駆動制御部の一例に相当する。
ここで、引出し41が挿入されたときのロック解除位置からロック位置へのロック部材41bの回転駆動は、引出し側制御部413の制御の下、次のようなセンサが引出し41の挿入を検出したことをトリガとして開始される。
図21は、引出しの挿入を検出するセンサを示す図である。引出し41の挿入を検出するセットセンサ610は、引出し41のリア板411bから挿入方向D1に突出した挿入フィン611と、筐体42の対面板422に設けられたフォトセンサ612とを備えている。フォトセンサ612は、発光素子と受光素子が図中上下方向に距離を開けて配列されたものである。引出し41が未挿入の状態では、発光素子の発光光が受光素子で検知されてオン状態となる。他方、引出し41が挿入されると、引出し41の挿入フィン611が、筐体42の対面板422の貫通孔を通ってフォトセンサ612における発光素子と受光素子の間に挿入される。このときには、発光素子の発光光が挿入フィン611によって遮られてフォトセンサ612がオフ状態となる。このように、セットセンサ610は、引出し41が挿入されたときにフォトセンサ612がオフ状態となることで引出し41の挿入を検出する。
引出し41が挿入されてセットセンサ610によって上記のように挿入が検出されると、引出し側制御部413が、駆動部600に、回転軸415、即ちロック部材41bのロック回転方向D3−1への回転駆動を開始させる。
他方、引出し41の抜出しの際には、次のような事象をトリガとして、引出し側制御部413が、駆動部600に、回転軸415、即ちロック部材41bのロック解除回転方向D3−2への回転駆動を開始させる。本実施形態では、引出し41の前カバー412に、ロック解除を支持する解除ボタンが設けられている。引出し41の抜出しに先立ってユーザが解除ボタンを押すと、それをトリガとして、引出し側制御部413が、駆動部600に、回転軸415、即ちロック部材41bのロック解除回転方向D3−2への回転駆動を開始させる。
そして、本実施形態では、ロック部材41bがロック解除位置からロック位置に達したこと、及び、ロック位置からロック解除位置に達したことを、各々検出する次のようなセンサが設けられている。引出し側制御部413は、上記のように開始させた駆動部600の動作を、そのセンサでの検出結果に基づいて制御する。
図22は、ロック部材がロック解除位置からロック位置に達したこと、及び、ロック位置からロック解除位置に達したことを、各々検出するセンサを示す図である。ロック部材41bにおけるこのような動作を検出するロックセンサ620は、ロック部材41bの回転軸415に、リア板411bよりもリア側に取り付けられた挿入フィン621を備えている。この挿入フィン621は、回転軸415と直交して延在する円板の一部が切り欠かれた形状を有している。また、ロックセンサ620は、リア板411bのリア側に設けられたフォトセンサ622を備えている。フォトセンサ622は、発光素子622aと受光素子622bが挿入方向D1に距離を開けて配列されたものである。挿入フィン621が、発光素子622aと受光素子622bとの間を遮るとフォトセンサ622がオフ状態となり、挿入フィン621の切欠き部分が発光素子622aと受光素子622bとの間を通過しているときにオン状態となる。
挿入フィン621は、ロック部材41bがロック回転方向D3−1に回転してロック位置に達したときに、第1の切欠き端縁621aが発光素子622aと受光素子622bとの間に達するように形成されている。つまり、ロック部材41bがロック回転方向D3−1に回転している最中はフォトセンサ622がオン状態で、ロック部材41bがロック位置に達したときにフォトセンサ622がオフ状態となる。このように、ロックセンサ620は、フォトセンサ622がオン状態からオフ状態に遷移したことを以て、ロック部材41bがロック解除位置からロック位置に達したことを検出する。
また、挿入フィン621は、ロック部材41bがロック解除回転方向D3−2に回転してロック解除位置に達したときに、第2の切欠き端縁621bが発光素子622aと受光素子622bとの間に達するように形成されている。つまり、ロック部材41bがロック解除回転方向D3−2に回転している最中はフォトセンサ622がオフ状態で、ロック部材41bがロック解除位置に達したときにフォトセンサ622がオン状態となる。このように、ロックセンサ620は、フォトセンサ622がオフ状態からオン状態に遷移したことを以て、ロック部材41bがロック位置からロック解除位置に達したことを検出する。
引出し側制御部413は、上述したように、引出し41の挿入検出をトリガとして駆動部600にロック部材41bのロック回転方向D3−1への回転駆動を開始させる。そして、引出し側制御部413は、ロックセンサ620によって、ロック部材41bがロック位置に達したことが検出されると駆動部600に回転駆動を停止させる。この停止により、引出し41のロックが完了する。
また、引出し側制御部413は、上述したように、解除ボタンが押されたことをトリガとして駆動部600にロック部材41bのロック解除回転方向D3−2への回転駆動を開始させる。そして、引出し側制御部413は、ロックセンサ620によって、ロック部材41bがロック解除位置に達したことが検出されると駆動部600に回転駆動を停止させる。この停止により、引出し41のロック解除が完了する。
以上に説明した第3実施形態によれば、ロック部材41bを回転駆動する駆動部600と、その駆動部600を制御する引出し側制御部413が設けられている。これにより、引出し41のロックとロック解除が自動で行われることとなり、ユーザの負担が一層軽減される。
また、第3実施形態によれば、ロック部材41bがロック解除位置からロック位置に達したこと、及び、ロック位置からロック解除位置に達したことを、各々検出するロックセンサ620が設けられている。そして、引出し側制御部413が、ロックセンサ620での検出結果に基づいて駆動部600の動作を制御する。具体的には、駆動部600による回転駆動を停止させる。これにより、ロック部材41bのロック位置やロック解除位置への到達が高精度で制御されるので、引出し41のロックやロック解除の確実を期することができる。
ここで、図1や図2に示されているように、構成要素の一部が引出し41に搭載された画像形成装置1において、引出し41の内外に跨って用紙が詰まったとき、そのまま引出し41が抜出されると、詰まった用紙の変形や破れが生じる。このような詰まった用紙の変形や破れは、用紙の除去を困難なものとする恐れがあり好ましいものではない。
上述した第3実施形態によれば、引出し41のロック解除が引出し側制御部413によって制御されている。このため、引出し41の内外に跨って用紙が詰まったときには、そのような用紙が除去されるまで、あるいは、そのような用紙を引出し41の内外いずれかの側に移動させるまで駆動部600による回転駆動を禁止するように制御することが可能となる。このような制御により、引出し41の内外に跨がる位置から用紙が無くなるまでロックが解除されず、用紙の変形や破れを生じさせるような引出し41の抜出しが回避されることとなる。
図1を参照して説明したように、画像形成装置1には、用紙搬送路29の各所に用紙センサ294が配置されている。例えば、手差し用紙トレイ35のピックアップローラ341の下流側の用紙センサ294で用紙の存在が検知されたときの紙詰まりが、引出し41の抜出しによる変形や破れが懸念される紙詰まりに相当する。また、用紙収納部30からの用紙の取り込み口の用紙センサ294や、排紙ローラ291の上流側の用紙センサ294で用紙の存在が検知されたときの紙詰まりも、同様の懸念がある紙詰まりに相当する。これらの用紙センサ294で用紙の存在が検知されたときの紙詰まり時には、上記の制御により、用紙の変形や破れを生じさせるような引出し41の抜出しを回避することができる。
次に、本発明の第4実施形態について説明を行う。第4実施形態では、引出し41のロ
ックやロック解除が、第3実施形態と同様に、モータ駆動によって行われるが、そのモータ駆動によるロック解除のさせ方が、第3実施形態と異なっている。一方で、例えば画像形成装置や引出しユニットの構成等は、第3実施形態と同様に、第1実施形態と共通している。以下では、第4実施形態について第3実施形態との相違点に注目して説明を行い共通点については説明を割愛する。また、以下の説明では、第1〜第3実施形態の説明に用いた図1〜図22に示されている共通の構成要素を、特に断らずに参照する。
第3実施形態では、画像形成装置1において紙詰まりが発生した場合のロック解除と、それ以外の場合のロック解除とでロック部材41bの回転方向が異なるように構成されている。
上述した第1〜第3実施形態については説明を省いたが、画像形成装置1では、次のようにして紙詰まりが検知される。上述したように、画像形成装置1には、用紙搬送路29の各所に用紙センサ294が配置されている。紙詰まりが無く、用紙がスムーズに搬送されるときには、用紙は、各用紙センサ294を、予め定められたタイミングで通過する。他方、紙詰まりが生じた場合には、用紙の搬送方向について紙詰まり箇所よりも下流側の用紙センサ294では、本来用紙が通過するタイミングが到来しても用紙の存在が検知されない。このように本来あるべき用紙検知が無かった場合に、制御部23が紙詰まりの発生を認識(即ち、検知)する。紙詰まりを検知すると、制御部23は、その旨を引出し41へと通知する。
ここで、本実施形態でも、第3実施形態と同様に、引出し41にはユーザによって操作されるロックの解除ボタンが設けられている。本実施形態では、解除ボタンが押される前に紙詰まり検知の通知が無かった場合には、ユーザがロックの解除ボタンを押したことをトリガとして、ロック解除に向けてのロック部材41bの回転駆動が開始される。他方、解除ボタンが押される前に紙詰まりの検知が通知されていた場合には、解除ボタンの操作には依らず後述するような制御の下で自動的にロック部材41bの回転駆動が開始される。
そして、本実施形態では、解除ボタンが押される前に紙詰まりの検知が通知されていた場合と、そのような通知が無かった場合とで、ロック部材41bの回転方向が次のように異なっている。
図23は、第4実施形態において、紙詰まりが発生した場合のロック解除の際におけるロック部材の回転方向と、そのようなとき以外の場合のロック解除の際におけるロック部材の回転方向を示す図である。また、図24は、図23に示されている2つの回転方向への回転を経てロック部材がロック解除位置に至る様子を模式的に示す図である。図23及び図24では、上述の第1〜第3実施形態について示す図1〜図22中の構成要素や矢印と同等な構成要素や矢印については、図1〜図22の符号と同じ符号が付されている。以下では、それら同等な構成要素や矢印についての重複説明を省略する。この点は、第4実施形態の説明で参照する後述の図25〜図28においても同様である。
図23及び図24に示されているように、本実施形態では、ロック受け部材として、第2実施形態で図16〜図19を参照して説明した平坦な被支持壁501が設けられたロック受け部材500が採用されている。
まず、本実施形態では、ロック部材41bの回転軸415が、ロック回転方向D3−1やロック解除回転方向D3−2とは逆方向となる第2のロック解除回転方向D3−3にも回転可能となっている。このとき、被支持壁501上のロック位置から押出し壁423eを経由してロック解除位置としての隙間423gまでロック解除回転方向D3−2に回転するときには、ロック部材41bは第1の回転角度φ1だけ回転する。他方、これとは逆向きに、ロック位置からロック解除位置まで第2のロック解除回転方向D3−3に回転するときには、ロック部材41bは第2の回転角度φ2だけ回転する。そして、第1の回転角度φ1よりも第2の回転角度φ2が小さくなっている。
ここで、画像形成装置1の制御部23から引出し41に向けて発せられた紙詰まり検知の通知は、引出し側制御部701で受けられる。そして、解除ボタンが押される前に紙詰まりの検知が通知されていた場合には、引出し側制御部701は、ロック部材41bがロック解除回転方向D3−2に回転してロック解除位置に至るように駆動部600を制御する。他方、解除ボタンが押される前にそのような通知が無かった場合には、引出し側制御部701は、ロック部材41bが第2のロック解除回転方向D3−3に回転してロック解除位置に至るように駆動部600を制御する。
紙詰まりが発生した場合には、詰まった紙の除去のために、引出し41が引き出される可能性が高い。このため、本実施形態では、このような場合には、ロック部材41bがロック解除回転方向D3−2に回転し、押出し壁423eによって押し出されて引出し41が押し出されるようになっている。
他方、紙詰まりが発生していない場合には、解除ボタンが押されてロックが解除されたものの引出し41が抜出されることなく再度ロックされる場合がある。例えば、メンテナンス時の点検や部品交換の際に、ユーザが一旦ロックを解除したものの、引出し41の抜出しを行う前にやっておくべき他の作業に思い至り、画像形成装置1が放置されてしまうことが考えられえる。この場合、押出し壁423eによって押し出される距離が大きい場合、D3−1の回転で再度ロックできないことが考えられる。紙詰まりが発生していない場合には、引出し41が抜出されることなく再度ロックされることや、押し出される量によっては再度ロックができなくなる可能性があることから、押出しをしない方が都合が良い。さらに、直ぐに再度ロックされる可能性があることに鑑みると、ロック解除に要する時間は短い方が望ましい。
そこで、本実施形態では、紙詰まりが発生していない場合には、押出し壁423eを経由せずにロック部材41bが第2のロック解除回転方向D3−3に回転してロック解除がなされる。このときには、第2のロック解除回転方向D3−3の第2の回転角度φ2が、ロック解除回転方向D3−2の第1の回転角度φ1よりも小さいので、短時間でロック解除を行うことができる。また、ロック解除の際に引出し41が抜出し方向D2押し出されず、この方向についてのロック部材41bの位置が変わらない。このため、引出し41が抜出されることなく再度ロックされる場合には、ロック時にロック部材41bがスムーズに被支持壁501上へと移動する。これにより、ロック時にロック部材41bや駆動部600に掛かる負荷を抑えて再度ロックを行うことができる。
また、本実施形態では、紙詰まりが発生した場合のロック解除が、ロックの解除ボタンの操作に依らず引出し制御部701における次のような制御の下で自動的に行われる。
まず、画像形成装置1では、紙詰まりが発生した場合には、引出し41の抜出しステップを含む複数ステップの処理を経て紙詰まりが解消される。これら複数ステップには、例えば、引出し41の内外に跨って用紙が詰まった場合に、引出し41の抜出しステップに先立ってそのような用紙を引出し41の内外いずれかの側に移動させるステップ等が含まれる。あるいは、引出し41以外の場所で詰まった用紙を、引出し41の抜出しステップに先立って除去するステップ等も含まれる。
本実施形態では、上記のような複数ステップの処理が、画像形成装置1の制御部23の制御の下で実行される。そして、引出し41の抜出しステップが到来すると、制御部23がその旨を引出し側制御部701に通知する。そして、引出し側制御部701が、そのような通知を受けたことをトリガとして、駆動部600に、ロック部材41bの回転を開始させる。このときの回転は、上記のように押出し壁423eを経由してロック解除位置に至るロック解除回転方向D3−2の回転となり、ロック解除と同時に引出し41が抜出し方向D2に押し出される。これにより、引出し41の抜出し時の抵抗力が軽減される。更に、このようなタイミングでの引出し41の押出しにより、引出し41の抜出しステップの処理と、それに続く引出し41からの用紙の除去ステップの処理との実行タイミングの到来を、ユーザに知らしめることができる。
また、本実施形態では、挿入方向D1及び抜出し方向D2について、引出し41の後述のような2つの位置を検出する位置センサが設けられている。
図25は、第4実施形態において挿入方向D1及び抜出し方向D2について、引出しの2つの位置を検出する位置センサを示す図である。この図25に示されている位置センサ710は、引出し41のリア板411bから挿入方向D1に突出した挿入フィンユニット711と、筐体42の対面板422に設けられたフォトセンサユニット712とを備えている。
挿入フィンユニット711は、図中で上下方向に位置をずらして配置された第1挿入フィン711a及び第2挿入フィン711bを有している。第1挿入フィン711aが、第2挿入フィン711bの下方に設けられている。
また、フォトセンサユニット712は、第1挿入フィン711a及び第2挿入フィン711bに一対一に対応する第1フォトセンサ712a及び第2フォトセンサ712bを有している。第1フォトセンサ712a及び第2フォトセンサ712bは、いずれも発光素子と受光素子が図中上下方向に距離を開けて配列されたものである。引出し41が未挿入の状態では、発光素子の発光光が受光素子で検知されてオン状態となる。他方、引出し41が挿入されると、第1挿入フィン711a及び第2挿入フィン711bが、それぞれ対応する第1フォトセンサ712a及び第2フォトセンサ712bにおける発光素子と受光素子の間に挿入される。このときには、発光素子の発光光が遮られて第1フォトセンサ712a及び第2フォトセンサ712bのいずれもがオフ状態となる。
図26は、第1挿入フィン及び第2挿入フィンが、それぞれ対応する第1フォトセンサ及び第2フォトセンサにおける発光素子と受光素子の間に挿入された状態の位置センサを示す斜視図である。図27は、図26に示されている位置センサの、図26中のV1矢視を示す平面図である。
本実施形態では、図27に示されているように、第1フォトセンサ712a及び第2フォトセンサ712bは、引出し41の挿入方向D1及び抜出し方向D2について位置をずらして配置されている。即ち、第1フォトセンサ712aは、挿入方向D1の前方側に配置され、第2フォトセンサ712bは、抜出し方向D2の前方側に配置されている。この第2フォトセンサ712bは、抜出し方向D2について、第1フォトセンサ712aから所定の離隔距離L1だけ離れた位置に設けられる。
引出し41が挿入方向D1に挿入されるときには、筐体42の内部における所定の挿入完了位置から、抜出し方向D2に離隔距離L1だけ離れた離隔位置に達した段階で、位置センサ710において次のような検知が行われる。この段階で、上段側の第2挿入フィン711bが、同じく上段側の第2フォトセンサ712bにおける発光素子と受光素子の間に挿入される。その結果、第2フォトセンサ712bがオフ状態となり、位置センサ710では、これを以て、引出し41が挿入時に上記の離隔位置に達したことが検知される。
更に引出し41の挿入が進んで、引出し41が挿入完了位置まで挿入された段階で下段側の第1挿入フィン711aが、同じく下段側の第1フォトセンサ712aにおける発光素子と受光素子の間に挿入される。その結果、第1フォトセンサ712aがオフ状態となる。この間、第2フォトセンサ712bのオフ状態は維持される。位置センサ710では、第1フォトセンサ712aがオフ状態となることを以て、引出し41が挿入時に挿入完了位置に達したことが検知される。
引出し41が抜出し方向D2に抜き出されるときには、まず、第1挿入フィン711aが第1フォトセンサ712aにおける発光素子と受光素子の間から抜けて、第1フォトセンサ712aがオン状態となる。更に抜出しが進んで、引出し41が離隔位置に達すると第2挿入フィン711bが第2フォトセンサ712bにおける発光素子と受光素子の間から抜けて、第2フォトセンサ712bがオン状態となる。この間、第1フォトセンサ712aのオン状態は維持される。位置センサ710では、第2フォトセンサ712bがオン状態となることを以て引出し41が抜出し時に離隔位置に達したことが検知される。
このように、第1フォトセンサ712aが、挿入完了位置に引出し41が位置していることを検知する第1センサとなっており、第2フォトセンサ712bが、離隔位置に引出し41が位置していることを検知する第2センサとなっている。
第1フォトセンサ712a及び第2フォトセンサ712bでの検知結果は、引出し側制御部701を介して画像形成装置1の制御部23に通知される。
ここで、本実施形態では、画像形成装置1で紙詰まりが発生したときには、操作パネルにおける表示画面に、紙詰まりを解消するための複数ステップの処理それぞれを案内するガイド画像が表示される。このとき、引出し41の抜出しステップの処理と、それに続く引出し41からの用紙の除去ステップの処理については、次のようなガイド画像が表示される。
図28は、引出しの抜出しステップの処理と、それに続く引出しからの用紙の除去ステップの処理と、のそれぞれを案内するガイド画像を示す図である。図28(A)には、抜出しステップの処理のガイド画像GI−1が示され、図28(B)には、用紙の除去ステップの処理のガイド画像GI−2が示されている。
図28(A)に示されているガイド画像GI−1は、図中左側の画像から右側の画像へと段階的に変化して、引出し41が引き出される様子が表される簡易的なアニメーション画像となっている。他方、図28(B)に示されているガイド画像GI−2は、引出し41において複数存在している用紙の抜き取り箇所のうち、今回用紙を抜き取るべき箇所を示す画像である。このときのガイド画像GI−2としては、複数の抜き取り箇所のうち、今回の抜き取り箇所に対応した画像が表示される。また、引出し41内の複数個所で紙詰まりが発生しており、用紙を抜き取るべき箇所が複数存在する場合には、用紙が1枚除去される度にガイド画像GI−2が切り替わって、用紙の除去が順次に案内される。
引出し41の抜出しステップの処理が到来すると、まず図28(A)に示されているガイド画像GI−1が表示されるとともに、上述したように引出し側制御部701の制御により、ロック部材41bのロック解除回転方向D3−2の回転が開始される。その結果、引出し41が抜出し方向D2に押し出される。
このとき、本実施形態では、上記の離隔距離L1が、上記の押出しにより引出し41が押し出される押出し距離よりも長く設定されている。従って、ロック部材41bの回転による押出しが完了した段階では、第1フォトセンサ712aはオン状態となっているが第2フォトセンサ712bは未だオフ状態のままとなっている。
そして、本実施形態では、押し出された引出し41をユーザが更に抜出して、第2フォトセンサ712bがオン状態となるまで、図28(A)に示されているガイド画像GI−1の表示が続けられる。即ち、アニメーション画像であるガイド画像GI−1が繰り返し表示される。その後、引出し41が十分に抜き出されて、第2フォトセンサ712bがオン状態となると、図28(B)に示されているガイド画像GI−2に表示が切り替わる。このような画像の切替えは、第1フォトセンサ712a及び第2フォトセンサ712bの検知結果の通知を受けた制御部23の制御の下で行われる。
このように、本実施形態では、引出し41の2つの位置を検知する第1フォトセンサ712a及び第2フォトセンサ712bを設けたことで、上記のようにユーザの処理の進行に応じたガイド画像の切替えが可能となっている。ユーザは、このガイド画像を見ながらスムーズに引出し41の抜出しと用紙の除去を進めることができる。
尚、前述した4つの実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の引出しユニット及び画像形成装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
例えば、前述した4つの実施形態では、本発明にいう引出しユニットの一例として、画像形成装置に組み込まれた引出しユニット40が例示されている。しかしながら、本発明にいう引出しユニットはこれに限るものではない。本発明にいう引出しユニットは、例えば机やキャビネット等に組み込まれたものであってもよく、引出しと筐体とを有する引出しユニットであれば具体的な構成を問うものではない。
また、前述した4つの実施形態では、本発明にいう引出しユニットの一例として、ロック部材41bが引出し41に設けられ、被係止壁423や押出し壁423e等が筐体42に設けられた引出しユニット40が例示されている。しかしながら、本発明にいう引出しユニットはこれに限るものではない。本発明にいう引出しユニットは、ロック部材が筐体に設けられ、被係止壁や押出し壁等が引出しに設けられたものであってもよい。ただし、ロック部材を引出しに設け、被係止壁や押出し壁等を筐体に設けることで、内部空間の有効活用が図られることは上述した通りである。尚、ロック部材を筐体に設け、被係止壁や押出し壁等を引出しに設ける場合には、被係止壁と押出し壁との位置関係や、押出し壁の傾斜方向は、前述した4つの実施形態とは逆となる。
また、前述した4つの実施形態では、本発明にいう画像形成装置の一例として、カラーのプリンタ機能及び複写機能を有する複合機としての画像形成装置1が例示されている。しかしながら、本発明にいう画像形成装置はこれに限るものではなく、単なるプリンタや複写機、あるいはファクシミリ等であってもよい。また、本発明にいう画像形成装置は、カラーの画像形成装置に限るものでもなく、モノクロの画像形成装置であってもよい。