JP6682099B2 - 溶融塩組成物、それを含む電解質、及び液化溶融塩の増粘方法 - Google Patents

溶融塩組成物、それを含む電解質、及び液化溶融塩の増粘方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶融塩組成物、それを含む電解質、及び液化溶融塩の増粘方法に関する。本発明によれば、高いイオン伝導性及び優れた耐熱性を有する擬固体化した溶融塩、及び電解質を得ることができる。
溶融塩はカチオン及びアニオンからなる塩であり、電解質を添加せずに通電することが可能であり、広い電位窓及び高いイオン伝導性を有している。厳密な分類ではないが、溶融塩の中で、100〜150℃の融点を有する溶融塩はイオン液体と称され、そして比較的高い融点を有する溶融塩が、結晶状態よりも柔軟性を持った固体状態にあるものをプラスチック・クリスタル(柔粘性結晶)と称することもある。溶融塩は、イオン伝導性、難揮発性、難燃性、及び熱安定性などの性質を有しており、二次電池又はキャパシタの電解質などへの応用が期待されている。
溶融塩は、難揮発性、難燃性、及び熱安定性などの電解質に適した性質を有しており、二次電池などの電気化学デバイスの安全性を高めてくれると考えられる。しかしながら、溶融塩は液体であるため、二次電池などに用いた場合、二次電池からの溶融塩の液漏れの問題があった。
一方、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池は、携帯電話、ビデオカメラ、及びノートパソコンなどの携帯型の電子機器の電源として汎用されている。更に、電気自動車、ハイブリッド自動車、及び大型蓄電デバイスの電源としても使用が広まってきている。
現在、これらの非水電解質二次電池の電解質としては、電解塩を非水系溶媒に溶解した液状電解質が使用されている。しかしながら、液状電解質は、可燃性の溶媒を含んでおり、液漏れが発生することもあり、安全性の向上が望まれている。
リチウムイオン二次電池の安全性を向上させるため、液状電解質にかわりに、ドライ系固体電解質を用いた全固体二次電池の開発が進められている。このような全固体二次電池では、ドライ系固体電解質として、難燃性のイオン液体、ゲル状電解質、高分子状の電解質が検討されている。しかしながら、液状電解質と同等の性能を示すドライ系固体電解質は得られていない。
特開2009−191408号公報
「ソリッド・ステイト・イオニクス(Solid State Ionics)」(オランダ)2011年、第201巻、p.11−20 「極少量でイオン液体をゲル化する材料」[online]2012年11月7日掲載、独立行政法人産業技術総合研究所、検索日:2015年2月5日、[http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/nr20121107/nr20121107.html] 「ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・セラミック・ソサイエティー(Journal of the American Ceramic Society)」(米国)2006年、第89巻、p.1861−1869 「ラングミュア(Langmuir)」(米国)2008年、第24巻、p.13393−13398
前記液漏れの問題を解決するため、イオン液体などの溶融塩をゲル化する技術が研究されている。溶融塩をゲル化する技術として、ゲル化剤として無機フィラーを添加してイオン液体をゲル化する方法が報告されている(非特許文献1)。しかしながら、この方法では、添加する無機フィラーの量が多いため、溶融塩のイオン伝導性が低下する問題があった。
また、前記のイオン伝導性の低下の問題を解決する方法として、特定の有機化合物を添加することによって、溶融塩をゲル化する方法が開示されている(非特許文献2)。しかしながら、この方法においては、有機化合物をゲル化剤として用いているため、得られたゲル化した溶融塩の耐熱性が低かった。
従って、本発明の目的は、高いイオン伝導性及び優れた耐熱性を有するゲル化した溶融塩を提供することである。
本発明者は、高いイオン伝導性及び優れた耐熱性を有するゲル化した溶融塩について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、官能基を導入された無機ナノファイバーを液化溶融塩に添加することにより、溶融塩の粘性を増加させることが可能であり、そして液化溶融塩を擬固体化できることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1]表面に溶融塩と分子間相互作用する官能基を有する無機ナノファイバー、及び溶融塩を含むことを特徴とする溶融塩組成物、
[2]前記無機ナノファイバーが、SiOナノファイバー、TiOナノファイバー、ZnOナノファイバー、Alナノファイバー、ZrOナノファイバー及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される無機ナノファイバーである、[1]に記載の溶融塩組成物、
[3]前記溶融塩が、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、モルフォリニウムカチオン、スルホニウムカチオン及びアンモニウムカチオンからなる群から選択される少なくとも1つのカチオン、及びカルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、ハロゲンアニオン、ヒドロキシアニオン、イミドアニオン、ホウ素アニオン、シアノアニオン、リンアニオン、硝酸アニオンからなる群から選択される少なくとも1つのアニオンを含む溶融塩体である、[1]又は[2]に記載の溶融塩組成物、
[4]前記溶融塩が深共晶溶媒である、[1]〜[3]のいずれかに記載の溶融塩組成物、
[5]前記官能基が、アミノ基、水酸基、カルボキシル基及びシロキサン基及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される官能基である、[1]〜[4]のいずれかに記載の溶融塩組成物、
[6]前記無機ナノファイバーの含有量が0.5〜10.0質量%である、[1]〜[5]のいずれかに記載の溶融塩組成物、
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の溶融塩組成物、及び金属イオンを含むことを特徴とする電解質、
[8]前記金属イオンがリチウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、及びマグネシウムイオンからなる群から選択される金属イオンである、[7]に記載の電解質、
[9]表面に溶融塩と分子間相互作用する官能基を有する無機ナノファイバーを液化した溶融塩に添加することを特徴とする液化溶融塩の増粘方法、
[10]前記無機ナノファイバーが、SiOナノファイバー、TiOナノファイバー、ZnOナノファイバー、Alナノファイバー、ZrOナノファイバー及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される無機ナノファイバーである、[9]に記載の液化溶融塩の増粘方法、
[11]前記液化溶融塩が、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、モルフォリニウムカチオン、スルホニウムカチオン及びアンモニウムカチオンからなる群から選択される少なくとも1つのカチオン、及びカルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、ハロゲンアニオン、ヒドロキシアニオン、イミドアニオン、ホウ素アニオン、シアノアニオン、リンアニオン、及び硝酸アニオンからなる群から選択される少なくとも1つのアニオンを含む液化溶融塩である、[9]又は[10]に記載の液化溶融塩の増粘方法、
[12]前記官能基が、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、及びシロキサン基及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される官能基である、[9]〜[11]のいずれかに記載の液化溶融塩の増粘方法、及び
[13]前記無機ナノファイバーの添加量が0.5〜10.0質量%である、[9]〜[12]のいずれかに記載の液化溶融塩の増粘方法、
に関する。
本発明の液化溶融塩の増粘方法によれば、溶融塩の粘度を上昇させ、そして溶融塩を擬固体化又はゲル化することができる。また、本発明の溶融塩組成物に金属イオン添加した電解質は、二次電池又はキャパシタなどにおいて、電解質の液漏れを防止することができる。本発明の溶融塩組成物は、高いイオン伝導性、難揮発性、難燃性、及び熱安定性などの性質を有しており、従って、安全で、且つ優れた電池性能を示す二次電池又はキャパシタなどの電気化学デバイスを提供することができる。また、本発明に用いる溶融塩と分子間相互作用する官能基を導入された無機ナノファイバーは、熱に対する耐性が高く、−95℃〜400℃の広い温度範囲で用いることができる。従って、本発明の溶融塩組成物及び液化溶融塩の増粘方法は、広い温度範囲のアプリケーションに応用することが可能である。
本発明に用いるSiOナノファイバー(A)、及びTiOナノファイバー(B)を示した写真である。 実施例1で得られた、表面に官能基を持つSiOナノファイバーを含む溶融塩組成物(EMIFSA及びSiONF)が25℃(A)、100℃(B)及び150℃(C)において擬固体化していること、及び表面に官能基を持たないSiOナノファイバーを含む溶融塩組成物(D)が擬固体化しないことを示した写真である。 実施例1で得られた溶融塩組成物(EMIFSA及びSiONF)の3次元レーザー顕微鏡写真である。 実施例4で得られた溶融塩組成物の40℃〜150℃におけるレオロジー特性を示したグラフである。 実施例で得られたLi塩添加の溶融塩組成物のイオン伝導度を示したグラフである。 実施例で得られたMg塩添加の溶融塩組成物のイオン伝導度を示したグラフである。 製造例1のSiOナノファイバーの赤外吸収スペクトルの分析結果を示すチャートである。 製造例1のSiOナノファイバーのX線光電子分光測定の分析結果を示すチャートである 実施例3で得られた溶融塩組成物にリチウムイオンを添加した電解質の耐熱性を熱重量測定装置によって測定したグラフである。
[1]溶融塩組成物
本発明の溶融塩組成物は、表面に溶融塩と分子間相互作用する官能基を導入された無機ナノファイバー、及び溶融塩を含むことを特徴とする。
《溶融塩》
溶融塩は、カチオン及びアニオンからなる塩であり、高いイオン伝導率、広い電位窓、難揮発性、難燃性、及び熱安定性などの性質を示すものである。
本発明で用いることのできる溶融塩は、液体の状態になることができる限りにおいて、限定されるものではないが、例えばイオン液体を挙げることができる。本明細書において、イオン液体とは、融点が150℃以下の溶融塩を意味する。しかしながら、本明細書において、溶融塩は融点が150℃を超えるものを含む。また、明細書における溶融塩は、液体の状態となることができ、且つ結晶状態よりも柔軟性を持った固体状態になることができるプラスチック・クリスタル(柔粘性結晶)を含む。溶融塩の融点は、特に限定されるものではないが、本発明においては、−95〜400℃の溶融塩を用いることができる。溶融塩の融点の下限は、−95℃程度であるが、溶融塩と分子間相互作用する官能基を導入された無機ナノファイバーは、0℃以下でも溶融塩の粘度を増加させることができる。また、400℃においても、溶融塩と分子間相互作用する官能基を導入された無機ナノファイバーは、その機能を維持することが可能であり、溶融塩の粘度を増加させることができる。従って、本発明の溶融塩組成物は、−95〜400℃の範囲で、機能することができる。
(カチオン)
前記溶融塩を構成するカチオンは、特に限定されるものではないが、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、モルフォリニウムカチオン、スルホニウムカチオン又はアンモニウムカチオンを挙げることができる。
具体的なカチオンとして、1−エチルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−へキシルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−へキシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムカチオン、1−エチル−3−ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−へキシルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−へキシルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−へプチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピロリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピロリジニウムカチオン、1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−エチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘキシルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−へプチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘキシルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−へプチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピペリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピペリジニウムカチオン、2−メチル−1−ピロリンカチオン、1−エチル−2−フェニルインドールカチオン、1,2−ジメチルインドールカチオン、1−エチルカルバゾールカチオン、又はN−エチル−N−メチルモルフォリニウムカチオンを挙げることができる。
別の具体的なカチオンとして、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、又は1,2,3,4−テトラメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオンを挙げることができる。
更に、別の具体的なカチオンとして、1−メチルピラゾリウムカチオン、3−メチルピラゾリウムカチオン、1−エチル−2−メチルピラゾリニウムカチオン、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオン、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオン、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムカチオン、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムカチオン、又は1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムカチオンを挙げることができる。
更に、別の具体的なカチオンとしてテトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、テトラヘプチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、テトラオクチルホスホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオン、又はジアリルジメチルアンモニウムカチオンを挙げることができる。
(アニオン)
前記溶融塩を構成するアニオンは、特に限定されるものではないが、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、ハロゲンアニオン、ヒドロキシアニオン、イミドアニオン、ホウ素アニオン、シアノアニオン、リンアニオン、又は硝酸アニオンを挙げることができる。
なお、「イミド」は「アミド」と称することもあり、本明細書においては両方の呼称を用いることがある。
具体的なアニオンとしては、Cl、Br、I、AlCl 、AlCl 、BF 、PF 、ClO 、NO 、CHCOO、CFCOO、CHSO 、CFSO 、(CFSO、(CFSO、AsF 、SbF 、NbF 、TaF 、F(HF) 、(CN)、CSO 、(CSO、CCOO、(CFSO)(CFCO)N、SCN、CSO 、CSO 、CSO 、(FSO、(CSO、(CSO、(CHO)PO 、(CO)PO 、(CN)、(CN)、CHOSO 、COSO 、COSO 、n−C13OSO 、n−C17OSO 、CH(OCOSO 、(CPF 、又はCHSO を挙げることができる。前記アニオンを含む化合物として、例えばテトラフルオロボレート(HBF)、ヘキサフルオロホスフェート(HPF)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(CHFNO)、又はビス(フルオロスルホニル)イミド(FNO)を挙げることができる。
(溶融塩)
本発明で用いられる溶融塩としては、限定されるものではないが、前記カチオン及びアニオンを組み合わせたものを用いることができる。例えば、塩化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、臭化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド、ギ酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、酢酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、臭化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレ−ト、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド、チオシアン酸1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、塩化3−メチル−オクチルイミダゾリウム、塩化3−メチル−ヘキサデシルイミダゾリウム、塩化−N−エチルピリジニウム、臭化−N−エチルピリジニウム、塩化−N−ブチルピリジニウム、臭化−N−ブチルピリジニウム、塩化−N−オクチルピリジニウム、塩化4−メチル−N−ブチルピリジニウム、臭化4−メチル−N−ブチルピリジニウム、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド、ヨウ化1,1−ジメチルピロリジニウム、塩化1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、塩化1−へキシル−1−メチルピロリジニウム、塩化1−メチル−1−オクチルピロリジニウム、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド、塩化トリへキシル(テトラデシル)ホスホニウム、トリへキシル(テトラデシル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチルメチル−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド、N,N−ジエチルメチル−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチルメチル−(2−メトキシエチル)アンモニウムヘキサフルオロホスフェート、塩化N,N−ジエチルメチル−(2−メトキシエチル)アンモニウム、臭化N,N−ジエチルメチル−(2−メトキシエチル)アンモニウム、ギ酸N,N−ジエチルメチル−(2−メトキシエチル)アンモニウム、酢酸N,N−ジエチルメチル−(2−メトキシエチル)アンモニウム等を挙げることができる。
前記溶融塩として、深共晶溶媒(deep eutectic solvent)を用いることができる。深共晶溶媒とは、イオン性の固体と共有結合性の固体を混合することで液状となるものである。すなわち、それぞれの成分の融点より低い融点を有する共晶物を形成する混合物を含むイオン性溶媒である。
《溶融塩と分子間相互作用する官能基を有する無機ナノファイバー》
本発明に用いる無機ナノファイバーは、無機ナノファイバーに溶融塩と分子間相互作用する官能基を有し、そして溶融塩に添加することにより溶融塩の粘性を向上させることができる限りにおいて、限定されるものではない。前記官能基は、無機ナノファイバーが元来有するものでもよく、導入された官能基でもよい。
無機ナノファイバーは、限定されるものではないが、例えばSiOナノファイバー、TiOナノファイバー、ZnOナノファイバー、Alナノファイバー、ZrOナノファイバー又はそれらの組み合わせを挙げることができる。無機ナノファイバーの物性は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、無機ナノファイバーの直径は好ましくは10nm〜10μmであり、より好ましくは50nm〜3μmであり、更に好ましくは50nm〜1μmである。また、無機ナノファイバーのアスペクト比(長さ/直径)も限定されるものではないが、好ましくは100以上であり、より好ましくは1000以上である。
官能基は、限定されるものではないが、例えばアミノ基、水酸基、カルボキシル基、シロキサン基、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
従って、官能基を有する無機ナノファイバーとしては、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、若しくはシロキサン基を有するSiOナノファイバー、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、若しくはシロキサン基を有するTiOナノファイバー、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、若しくはシロキサンを有するZnOナノファイバー、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、若しくはシロキサン基が導入されたAlナノファイバー、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、若しくはシロキサン基を有するZrOナノファイバー又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
実施例1及び比較例1からわかるように、本発明の溶融塩組成物においては、無機ナノファイバーが官能基を有することにより、溶融塩の粘度が増加し、溶融塩組成物が擬固体化又はゲル化できるものである。
《官能基を有する無機ナノファイバーの製造方法1》
官能基を有する無機ナノファイバーは、以下の公知の工程(例えば、非特許文献3)によって製造することができる。
まず、金属酸化物の前駆体をゾルゲル反応(例えば、加水分解および重縮合反応)により増粘し、次いで電界紡糸法を用いて繊維を形成させる。ゾルゲル反応に使用できる金属酸化物前駆体は、限定されるものではないが、例えば、SiO、TiO、ZnO、Al、ZrOなどの前駆体となる金属アルコキシドを挙げることができる。これらの金属アルコキシドのゾルゲル反応の条件を適宜調節することによって、金属酸化物の高分子量体を得ることができる。電界紡糸の際に、紡糸液粘度の調整するために、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子を添加してもよい。電界紡糸法によって得られたナノファイバーについては、焼成処理を行った後に、表面に官能基を導入する表面処理を行うことによって、官能基を有する無機ナノファイバーを得ることができる。官能基の導入方法としては、例えば公知の方法(例えば、非特許文献4)を利用して、金属酸化物の表面にアンカーとしてホスホン酸やアルコキシシランを用いてアルキル鎖などの側鎖を導入し、その末端にアミノ基、カルボキシル基、水酸基、シラノール基を導入することができる。
(アミノ基を有するSiOナノファイバー)
更に、官能基を有する無機ナノファイバーのうち、アミノ基を有するSiOナノファイバーは、特許文献1に記載のシリカ含有繊維の紡糸方法によって製造することもできる。
具体的には、成分(a)テトラアルコキシシラン及び/又はその縮合物、成分(b)アミノ基を含むシラン化合物、及び成分(c)ホウ酸、並びに必要に応じて成分(d)有機酸及び/又は成分(e)電解質を混合し、ゾル状紡糸液を作製する。このゾル状紡糸液を、電界紡糸法などによって紡糸することによって、アミノ基を有するSiOナノファイバーを得ることができる。
テトラアルコキシシランのアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、及びそれ以上の炭素数を有するアルコキシ基を挙げることができる。具体的なテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどを挙げることができる。テトラアルコキシシランの含有量は、好ましくは30〜80重量%である。
アミノ基を含むシラン化合物に含まれる有機基としては、モノアミノメチル、ジアミノメチル、トリアミノメチル、モノアミノエチル、ジアミノエチル、トリアミノエチル、テトラアミノエチル、モノアミノプロピル、ジアミノプロピル、トリアミノプロピル、テトラアミノプロピル、モノアミノブチル、ジアミノブチル、トリアミノブチル、テトラアミノブチル、及び、これらよりも炭素数の多いアルキル基またはアリール基を有する有機基を挙げることができる。アミノ基を含むシラン化合物の含有量は、好ましくは10〜40重量%である。
ホウ酸の含有量は、好ましくは0.1〜10重量%である。紡糸方法も特に限定されず、本分野において公知の方法を用いることができる。
《官能基を有する無機ナノファイバーの製造方法2》
官能基を有する無機ナノファイバーは、製造例2〜4に示すように、無機ナノファイバー作製後に、ナノファイバー表面に化学処理を行うことによって、作製することができる。例えば、シリカナノファイバー、チタニアナノファイバー、又はアルミナナノファイバーなどのナノファイバーを常法に従って作製する。これらのナノファイバーを、3−アミノプロピルエトキシシラン/トルエン溶液に浸漬し、減圧ろ過を行い、加熱乾燥させる。そして、トルエン中で5分間超音波洗浄を行う。その後、再度減圧ろ過を行い、アセトン洗浄後に真空乾燥を行うことによって、ナノファイバーの表面にアミノ基を導入することができる。
(溶融塩と無機ナノファイバーとの重量比)
本発明の溶融塩組成物に含まれる無機ナノファイバーの含有量は、溶融塩の粘度が上昇し、擬固体化する限りにおいて限定されるものでないが、下限は好ましくは0.5重量%であり、より好ましくは1.0重量%であり、更に好ましくは1.5重量%である。含有量の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは10.0重量%以下であり、より好ましくは9.0重量%以下であり、更に好ましくは8.0重量%以下である。
本発明の溶融塩組成物に含まれる無機ナノファイバーは、少ない含有量で溶融塩の粘度を増加させ、更に擬固体化又はゲル化することができる。すなわち、少量の無機ナノファイバーで、3次元ネットワークを形成し、安定な擬固体化状態、又はゲル化状態を維持することができる。無機ナノファイバーの含有量が少ないために、溶融塩のイオン伝導率に与える影響が少なく、本発明の溶融塩組成物は、高いイオン伝導効率を示すことができる。
ここで、溶融塩組成物の温度が150℃以下の場合、比較的少量の無機ナノファイバーによって、溶融塩の濃度を上昇させ、ゲル化又は擬固体化させることができる。従って、無機ナノファイバーの含有量の上限は、例えば5.0重量%であり、好ましくは4.5重量%であり、より好ましくは4.0重量%である。しかしながら、溶融塩組成物の温度が高くなると溶融塩の粘度が低下する。従って、溶融塩の温度が高い場合、無機ナノファイバーの含有量が高い方が好ましい。
[2]電解質
本発明の電解質は、前記溶融塩組成物、及び金属イオンを含む。
(電解質の粘度)
電解質の粘度は、二次電池等の蓄電デバイスから、電解質が漏出しない粘度であれば、特に限定されるものではないが、例えば10,000Pa・s以上であり、好ましくは100,000Pa・s以上であり、更に好ましくは200,000Pa・s以上である。電解質の粘度が10,000Pa・s以上であることにより、電解質が擬固体化し、セパレータを必要とせず、電解質漏えいの危険性のない電解質として用いることができる。
(金属イオン)
前記電解質は、金属イオンを含む。金属イオンは、蓄電デバイスに用いられる金属イオンを適宜選択することができるが、例えばリチウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、又はマグネシウムイオンを挙げることができる。
前記金属イオンは、金属塩の形態で電解質に添加することができる。すなわち、リチウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、又はマグネシウム塩の形態で、前記電解質に添加することができる。
リチウム塩としては、限定されるものではないが、炭素原子をアニオンに含まない無機リチウム塩、又は炭素原子をアニオンに含む有機リチウム塩を挙げることができる。
無機リチウム塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、又はLi1212−b(bは0〜3の整数)を挙げることができる。
また、有機リチウム塩としては、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(LiTFSA)、LiN(SOCF、LiN(SO等のLiN(SO2m+1(mは1〜8の整数)で表される有機リチウム塩;LiPF(CF)等のLiPF(C2p+16−n(nは1〜5の整数、pは1〜8の整数)で表される有機リチウム塩;LiBF(CF)等のLiBF(C2s+14−q(qは1〜3の整数、sは1〜8の整数)で表される有機リチウム塩;LiB(Cで表されるリチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB);LiBF(C)で表されるリチウムオキサラトジフルオロボレート(LiODFB)に代表されるハロゲン化LiBOB;LiB(Cで表されるリチウムビス(マロネート)ボレート(LiBMB);LiPF(C)で表されるリチウムテトラフルオロオキサラトフォスフェートを挙げることができる。
ナトリウム塩としては、NaN(CFSO(Natrium bis-trifluoromethanesulfonimide)、又はNaClOを挙げることができる。更に、NaPF、NaTFSA、NaClO、NaAsF、NaSbF、NaBF、NaCFSO、NaN(SOCF、低級脂肪族カルボン酸ナトリウム塩、NaAlCl4、NaNO3、NaOH、NaCl、NaSO及びNaS、NaAsF、NaTaF6、Na10Cl10、NaCFSO、Na(CFSON、又はNa(CSONを挙げることができる。
マグネシウム塩としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、又はヨウ化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、テトラフルオロホウ酸マグネシウム、ヘキサフルオロリン酸マグネシウム、又はヘキサフルオロヒ酸マグネシウムなどのマグネシウム無機塩化合物;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドマグネシウム、安息香酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、フタル酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、又はグリニャール試薬などのマグネシウム有機塩化合物を挙げることができる。
カルシウム塩としては、塩化カルシウム、臭化カルシウム、又はヨウ化カルシウムなどのハロゲン化カルシウム、過塩素酸カルシウム、テトラフルオロホウ酸カルシウム、ヘキサフルオロリン酸カルシウム、又はヘキサフルオロヒ酸カルシウムなどのカルシウム無機塩化合物;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドカルシウム、安息香酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、フタル酸カルシウム、酢酸カルシウム、又はプロピオン酸カルシウムなどのカルシウム有機塩化合物を挙げることができる。
[3]液化溶融塩の増粘方法
本発明の液化溶融塩の増粘方法は、表面に官能基を導入された無機ナノファイバーを液化した溶融塩に添加することを特徴とするものである。
官能基を導入された無機ナノファイバーを、液化溶融塩に添加することにより、無機ナノファイバーの3次元ネットワークが形成され、溶融塩の粘度を上昇させることができる。なお、本明細書において「増粘」とは液化溶融塩の粘度が上昇することのみでなく、液化溶融塩が擬固体化又はゲル化することも含む。
また、溶融塩は一般的に「固体塩を加熱溶解して液体状にした物質」を意味するため、本明細書において用いている「溶融塩」と「液化溶融塩」とは同義である。しかしながら、本発明の「液化溶融塩の増粘方法」によって、擬固体化又はゲル化した溶融塩が得られる。従って、擬固体化又はゲル化した溶融塩と区別するため、液化溶融塩の増粘方法においては、液体状態の溶融塩を「液化溶融塩」と称する。
本発明の液化溶融塩の増粘方法において使用する「溶融塩」、「官能基を導入された無機ナノファイバー」は、前記「[1]溶融塩組成物」の項に記載のものを制限なく使用することができる。
(無機ナノファイバーの添加量)
液化溶融塩に添加する官能基を導入された無機ナノファイバーの量は、液化溶融塩の粘度が上昇する限りにおいて、特に限定されるものではないが、下限は好ましくは0.5重量%であり、より好ましくは1.0重量%であり、更に好ましくは1.5重量%である。含有量の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは10.0重量%以下であり、より好ましくは9.0重量%以下であり、更に好ましくは8.0重量%以下である。
また、無機ナノファイバーの添加方法も特に限定されるものではなく、通常の方法を制限なく用いることができる。
ここで、液化溶融塩の温度が150℃以下の場合、比較的少量の無機ナノファイバーによって、液化溶融塩の増粘させることができる。従って、無機ナノファイバーの含有量の上限は、例えば5.0重量%であり、好ましくは4.5重量%であり、より好ましくは4.0重量%である。しかしながら、液化溶融塩の温度が高くなると溶融塩の粘度が低下する。例えば、250℃程度の液化溶融塩を用いる場合、液化溶融塩及び無機ナノファイバーの組み合わせによっては、5.0重量%を超える無機ナノファイバーが必要なことがある。
(温度)
本発明の増粘方法において、無機ナノファイバーを添加するときの温度は、特に限定されない。しかしながら、本発明で用いる溶融塩は、それぞれの固有の融点を有している。すなわち、溶融塩はそれぞれの溶融塩の融点を超える温度において、液化溶融塩の状態となっている。従って、それぞれの溶融塩の融点を超える温度において、無機ナノファイバーを添加することが好ましい。それぞれの溶融塩の融点と、添加温度の差が小さすぎる場合、均一に混合できないことがあるため、溶融塩の融点と添加温度との差は、好ましくは1℃以上であり、より好ましくは3℃以上であり、更に好ましくは5℃以上である。
従って、無機ナノファイバーを添加するときの温度は、限定されないが、例えば−95〜400℃である。溶融塩の融点の下限は、−95℃程度であるが、官能基を導入された無機ナノファイバーは、0℃以下でも溶融塩の粘度を増加させることができるからである。また、400℃においても、官能基を導入された無機ナノファイバーは、その溶融塩の粘度を増加させることができるからである。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《製造例1》
本製造例では、アミノ基を有するシリカ含有繊維(SiOナノファイバー)を製造した。テトラエトキシシラン(TEOS)オリゴマー61重量%、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン31重量%、ホウ酸8重量%を混合し、粘性ゾル化させた。2日間放置した後に、得られたゾル状紡糸液を、電界紡糸法により紡糸し、アミノ基が導入されたSiOナノファイバーを得た。電界紡糸は、印加電圧24kV、電極基板間距離18cmで実施した。得られた繊維のフィラメント直径は、400nmであった。
《比較製造例1》
本比較製造例では、表面にアミノ基を持たないシリカナノファイバーを作製した。テトラエトキシシラン(TEOS)13重量%、分子量100万のポリビニルピロリドン(PVP)4重量%、無水エタノール82.2重量%を混合した溶液に、塩酸0.8重量%を加えて2時間攪拌したものを紡糸液とした。この紡糸液を電界紡糸法により紡糸し、SiO/PVP複合ナノファイバーを得た。電界紡糸は、印加電圧7kV、電極基板間距離8cmで実施した。得られたナノファイバーについて550℃で3時間焼成処理を行い、熱分解によってPVPを除去し、表面にアミノ基を持たないSiOナノファイバーを作製した。得られた繊維のフィラメント直径は、400nmであった。
《実施例1》
製造例1で得られたSiOナノファイバーを、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(EMIFSA)に3重量%添加して、粘性の増加したEMIFSA組成物1を作製した。具体的には、10mLバイアル瓶にEMIFSAを3mL用意し、これに製造例1で得られたSiOナノファイバーを0.5重量%ずつ添加した。SiOナノファイバーを添加した後、マグネチックスターラーで混合物が均一になるまで十分に撹拌した。SiOナノファイバーの添加量の増加に伴って、EMIFSA組成物の粘度は増加していく。この操作をEMIFSA組成物がゲル化するまで繰り返し行った(EMIFSA組成物1)。なお、これらの操作はすべてアルゴンガス雰囲気下で行った。また、SiOナノファイバーの2重量%又は3.5重量%の添加によっても、EMIFSAはゲル化した。
《ゲル構造の顕微鏡観察》
得られたEMIFSA組成物1の入ったバイアル瓶を倒置して、25℃、100℃、及び150℃で10分間放置した(図2A〜C)。図2(C)に示すように、150℃においても安定なゲル状態を維持していた。25℃における3次元レーザー顕微鏡(キーエンス製VK−9700)による写真を図3に示す。ナノファイバーネットワーク構造が形成されており、少ないナノファイバーの添加量でゲル化していることがわかる。
《比較例1》
比較製造例1で得られたSiOファイバーを実施例1と同様に、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(EMIFSA)に0.5重量%ずつ添加した。このとき、ナノファイバーの添加量を3.5重量%まで増やしてもイオン液体の増粘は起こらなかった。マグネチックスターラーによる攪拌を停止した後では、EMIFSA中にナノファイバーの沈殿が生じ、ゲルは形成できなかった(図2(D))。
《比較例2》
本比較例では、市販のフィラー(関東化学製Nanotek(登録商標)、平均粒子径18.5〜83.6nm)を用いて、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(EMIFSA)のゲル化を試みた。具体的には、10mLバイアル瓶にEMIFSAを3mL用意し、これに前記フィラーを0.5重量%ずつ添加した。前記フィラーを添加した後、マグネチックスターラーで混合物が均一になるまで十分に撹拌した。この操作をEMIFSAがゲル化するまで繰り返し行ったところ、20重量%を超えてもゲル化は起こらず、30重量%のフィラーを添加することによってEMIFSAがゲル化した。
《実施例2》
本実施例では、イオン液体として1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Pyr14TFSA)を用いて溶融塩組成物を作製した。
EMIFSAに代えてPyr14TFSAを用いたこと及びSiOナノファイバー2.5重量%を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、Pyr14TFSA組成物2を得た。
《実施例3》
本実施例では、イオン液体として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(EMITFSA)を用いて溶融塩組成物を作製した。EMIFSAに代えて、EMITFSAを用いたこと、及びSiOナノファイバーの添加量を3重量%又は3.5重量%としたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、EMITFSA組成物3を得た。
《実施例4》
EMIFSAにSiOナノファイバー2重量%添加したことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、EMIFSA組成物4を得た。
EMITFSAにリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(LiTFSA)を25重量%加えて完全に溶解するまで撹拌した後、SiOナノファイバーを適量添加し、実施例1の操作を繰り返して、Li塩添加の溶融塩組成物(電解質)を得た。この組成物の40℃、60℃、80℃、100℃、150℃における貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を、以下の方法によって測定した。
具体的にはアントンパール社製のレオメーター(MCR−301)のパラレルプレートに試料を挟み込み、動的粘弾性測定を行った。測定方法は歪1%の条件で測定周波数0.01〜30Hz、測定温度を40〜150℃とした。図4に示すように、40℃〜150℃のすべての温度において、貯蔵弾性率(G’)が損失弾性率(G”)より大きくなっており、得られた溶融塩組成物が、ゲル状態であることがわかる。
《実施例5》
本実施例では、溶融塩組成物(電解質)のイオン伝導度の測定を行った。
各イオン液体(EMIFSA、EMITFSA、Pyr14TFSA)にリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(LiTFSA)を25重量%加えて完全に溶解するまで撹拌した後、実施例1〜4と同じ量のSiOナノファイバーを添加し、それぞれ、Li塩添加の溶融塩組成物を得た。これらの試料についてイオン伝導度の測定を行った。
具体的には、2枚の導線を取り付けたステンレス電極の間にスペーサーを挟み、スペーサー内に溶融塩組成物を充填し、試料が漏れ出すことのないようイミドテープで密封して測定セルを作製した。この測定セルを用いて25℃から100℃の範囲でバイオロジック社製のSP−150ポテンショスタット/ガルバノスタットを用いて交流インピーダンス測定を行い、得られた抵抗値およびセル定数(スペーサーの厚さおよび試料面積)からイオン伝導度を求めた。なお、これらの操作はすべてアルゴンガス雰囲気下で行った。
図5に示すように、実施例5で得られた溶融塩組成物は、良好なイオン伝導度を示した。
《実施例6》
本実施例では、マグネシウムイオンを用いた場合の、溶融塩組成物(電解質)のイオン伝導度を測定した。
EMITFSAにマグネシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Mg(TFSA))を0.5mol/L加えて完全に溶解するまで撹拌した後、SiOナノファイバーを3.5重量%添加したことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、溶融塩組成物を得た。図6に示すように、実施例6で得られた溶融塩組成物6は、良好なイオン伝導度を示した。
《実施例7》
本実施例では、溶融塩であるテトラエチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド( 2,2,2,2 TFSA)にMg(TFSA)をモル比9:1で混合し、150℃で加熱撹拌して融解させ、これにSiOナノファイバーを3.5重量%添加し、実施例1の操作を繰り返して、溶融塩組成物7−1(電解質)を得た。更に加熱温度を200℃にし、SiOナノファイバーを4.5重量%とすることで、同様に溶融塩組成物7−2(電解質)を得た。いずれの温度においても、SiOナノファイバーの添加により、溶融塩はゲル化した。
《官能基の分析》
製造例1で得られたSiOナノファイバーの官能基を、フーリエ変換赤外分光装置(日本分光製FT/IR−6300)およびX線光電子分光装置(アルバックファイ製Quantum−2000)を用いて分析した。分析結果を、それぞれ図7及び図8に示す。図7の赤外吸収スペクトルにおいてアミノ基に由来するN−H変角振動の吸収ピークが1637cm−1に観察された。製造例1で得られたSiOナノファイバーがアミノ基を有することを裏付けている。更に、測定深度が5nm程度のX線光電子分光測定から得られた図8のスペクトルにおいて、窒素原子のピークが確認された。従って、製造例1で得られたナノファイバーは表面にアミノ基を有することが支持された。
《耐熱性の分析》
0M、0.5M、及び1.32Mのリチウムを含むEMITFSA組成物3(実施例3)の耐熱性を熱重量測定装置(リガク製TermoPlusEVOII)によって測定した。得られた電解質は、室温から350℃までほぼ重量減少がなく、優れた耐熱性を示した(図9)。
《製造例2》
本製造例では、シリカナノファイバー作製後にナノファイバー表面に化学処理を行うことによって、表面にアミノ基を持つシリカナノファイバーを作成した。比較製造例1で製造したシリカナノファイバーを2重量%の3−アミノプロピルエトキシシラン/トルエン溶液に1時間浸漬し、減圧ろ過を行い、100℃で30分加熱乾燥させた。その後、トルエン中で5分間超音波洗浄を行い、再度減圧ろ過を行いアセトン洗浄後に真空乾燥を行って、表面アミノ化シリカナノファイバーを得た。得られた表面アミノ化シリカナノファイバーについてフーリエ変換赤外分光測定を行ったところ、1640cm−1付近にアミノ基に由来するN−H変角振動の吸収ピークが観察され、アミノ基の導入が確認された。
《製造例3》
本製造例は、アミノ基を有するチタニアナノファイバーを作製した。
ゾルゲル前駆体として、TEOSに代えて、オルトチタン酸テトライソプロピル(TTIP)を用いたことを除いては比較製造例1の操作を繰り返して、チタニアナノファイバーを製造した。TTIP26重量%、PVP2.2重量%、無水エタノール41.8重量%、酢酸30重量%を混合した溶液を調製し紡糸液として用いた。TTIPは反応が速いため、溶液の調製は全てアルゴンガス雰囲気下で行った。電界紡糸法によって、調製した溶液の紡糸を行い、チタニア/PVP複合ファイバーを得た。電界紡糸は、印加電圧6kV、電極基板間距離8cmで実施した。得られたナノファイバーに500℃で1時間焼成処理を行うことによって製造したチタニアナノファイバーに製造例2と同じ化学処理を行うことによって、表面アミノ化チタニアナノファイバーを得た。得られた表面アミノ化チタニアナノファイバーについてフーリエ変換赤外分光測定を行ったところ、1640cm−1付近にアミノ基に由来するN−H変角振動の吸収ピークが観察され、アミノ基の導入が確認された。走査型電子顕微鏡(日本電子製JCM−5700)観察により得られたファイバーの平均直径は約270nmであった。
《製造例4》
本製造例は、アミノ基を有するアルミナナノファイバーを作製した。
ゾルゲル前駆体として、TEOSに代えて、アルミニウムイソプロポキシド(AIP)を用いたことを除いては比較製造例1の操作を繰り返して、アルミナナノファイバーを製造した。AIP2.6重量%、PVP7.5重量%、無水エタノール87.8重量%、硝酸2.1重量%を混合した溶液を調製し紡糸液として用いた。電界紡糸は、印加電圧18kV、電極基板間距離18cmで実施した。得られたナノファイバーに1100℃で2時間焼成処理を行うことによって製造したアルミナナノファイバーに製造例2と同じ化学処理を行うことによって、表面アミノ化アルミナナノファイバーを得た。得られた表面アミノ化アルミナナノファイバーについてフーリエ変換赤外分光測定を行ったところ、1640cm−1付近にアミノ基に由来するN−H変角振動の吸収ピークが観察され、アミノ基の導入が確認された。走査型電子顕微鏡(日本電子製JCM−5700)観察により得られたファイバーの平均直径は約300nmであった。
《実施例8》
本実施例では、製造例2で得られた表面アミノ化シリカナノファイバーを、EMITFSAに3重量%添加して、粘性の増加したEMITFSA組成物5を作製した。10mLバイアル瓶にEMITFSAを3mLいれたものを3本用意し、これに製造例2で得られた表面アミノ化シリカナノファイバーをそれぞれ0.5重量%ずつ添加した。バイアル瓶に表面アミノ化シリカナノファイバーを添加した後、マグネチックスターラーで混合物が均一になるまで十分に撹拌した。ナノファイバーの添加量の増加に伴って、EMITFSA組成物の粘度は増加していく。この操作をEMITFSA組成物がゲル化するまで繰り返し行い、3重量%の表面アミノ化シリカナノファイバーの添加で、ゲル化したEMITFSA組成物5(表面アミノ化シリカナノファイバーを用いたイオン液体ゲル)を得た。なお、これらの操作はすべてアルゴンガス雰囲気下で行った。
《実施例9》
本実施例では、製造例3で得られた表面アミノ化チタニアナノファイバーを、EMITFSAに3重量%添加して、粘性の増加したEMITFSA組成物6を作製した。表面アミノ化シリカナノファイバーに代えて、製造例3で得られた表面アミノ化チタニアナノファイバーを用いたことを除いては、実施例8の操作を繰り返して、3重量%の表面アミノ化チタニアナノファイバーの添加で、ゲル化したEMITFSA組成物6(表面アミノ化チタニアナノファイバーを用いたイオン液体ゲル)を得た。
《実施例10》
本実施例では、製造例4で得られた表面アミノ化アルミナナノファイバーを、EMITFSAに3重量%添加して、粘性の増加したEMITFSA組成物7を作製した。表面アミノ化シリカナノファイバーに代えて、製造例で得られた表面アミノ化アルミナナノファイバーを用いたことを除いては、実施例8の操作を繰り返して、3重量%の表面アミノ化アルミナナノファイバーの添加で、ゲル化したEMITFSA組成物7(表面アミノ化アルミナナノファイバーを用いたイオン液体ゲル)を得た。
本発明の溶融塩組成物液化溶融塩の増粘方法は、高いイオン伝導性、難揮発性、難燃性、及び熱安定性を有する二次電池の電解液に用いることができる。更に、広い温度範囲で、様々なアプリケーションに用いることができる。

Claims (13)

  1. 表面に溶融塩と分子間相互作用する官能基を有する無機ナノファイバー、及び溶融塩を含むことを特徴とする溶融塩組成物。
  2. 前記無機ナノファイバーが、SiOナノファイバー、TiOナノファイバー、ZnOナノファイバー、Alナノファイバー、ZrOナノファイバー及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される無機ナノファイバーである、請求項1に記載の溶融塩組成物。
  3. 前記溶融塩が、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、モルフォリニウムカチオン、スルホニウムカチオン及びアンモニウムカチオンからなる群から選択される少なくとも1つのカチオン、及びカルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、ハロゲンアニオン、ヒドロキシアニオン、イミドアニオン、ホウ素アニオン、シアノアニオン、リンアニオン、硝酸アニオンからなる群から選択される少なくとも1つのアニオンを含む溶融塩体である、請求項1又は2に記載の溶融塩組成物。
  4. 前記溶融塩が深共晶溶媒である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融塩組成物。
  5. 前記官能基が、アミノ基、水酸基、カルボキシル基及びシロキサン基及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される官能基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶融塩組成物。
  6. 前記無機ナノファイバーの含有量が0.5〜10.0質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の溶融塩組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の溶融塩組成物、及び金属イオンを含むことを特徴とする電解質。
  8. 前記金属イオンがリチウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、及びマグネシウムイオンからなる群から選択される金属イオンである、請求項7に記載の電解質。
  9. 表面に溶融塩と分子間相互作用する官能基を有する無機ナノファイバーを液化した溶融塩に添加することを特徴とする液化溶融塩の増粘方法。
  10. 前記無機ナノファイバーが、SiOナノファイバー、TiOナノファイバー、ZnOナノファイバー、Alナノファイバー、ZrOナノファイバー及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される無機ナノファイバーである、請求項9に記載の液化溶融塩の増粘方法。
  11. 前記液化溶融塩が、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、モルフォリニウムカチオン、スルホニウムカチオン及びアンモニウムカチオンからなる群から選択される少なくとも1つのカチオン、及びカルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、ハロゲンアニオン、ヒドロキシアニオン、イミドアニオン、ホウ素アニオン、シアノアニオン、リンアニオン、及び硝酸アニオンからなる群から選択される少なくとも1つのアニオンを含む液化溶融塩である、請求項9又は10に記載の液化溶融塩の増粘方法。
  12. 前記官能基が、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、及びシロキサン基及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される官能基である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の液化溶融塩の増粘方法。
  13. 前記無機ナノファイバーの添加量が0.5〜10.0質量%である、請求項9〜12のいずれか一項に記載の液化溶融塩の増粘方法。
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