JP6680533B2 - 積層体および積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂層を有する積層体に関する。
樹脂基材上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成し、この積層体を延伸、染色することにより偏光膜を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1)。このような方法によれば、厚みの薄い偏光膜が得られるため、例えば、画像表示装置の薄型化に寄与し得るとして注目されている。
上記偏光膜は、上記樹脂基材に積層された状態のままで用いられ得る。このような実施形態においては、ポリビニルアルコール系樹脂層(偏光膜)と樹脂基材とが十分な密着性を有することが求められる。具体的には、偏光膜の製造において(例えば、延伸、搬送において)ポリビニルアルコール系樹脂層が樹脂基材から剥離しないこと、リワーク時に偏光膜と樹脂基材とが剥離しないこと、加工(例えば、打ち抜き)時や使用中の衝撃に対して偏光膜または樹脂基材の浮きが発生しないこと等が求められる。
上記密着性を向上させるため、樹脂基材とポリビニルアルコール系樹脂層との間にポリビニルアルコール系材料を含む下塗り層を設けることが提案されている(特許文献2)。しかし、下塗り層を設ける場合、優れた外観が得られにくいという問題がある。
特開2000−338329号公報 特許第4950357号
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、優れた密着性と優れた外観とを兼ね備えた積層体を提供することにある。
本発明によれば、積層体が提供される。本発明の積層体は、樹脂基材と該樹脂基材の片側に形成されたポリビニルアルコール系樹脂層とを有する。上記ポリビニルアルコール系樹脂層の上記樹脂基材側は、ポリオレフィン系成分が存在する中間領域とされている。
1つの実施形態においては、上記中間領域は、ポリビニルアルコール系成分とポリオレフィン系成分とを含む。
1つの実施形態においては、上記ポリビニルアルコール系成分は、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを含む。
1つの実施形態においては、上記ポリビニルアルコール系成分と上記ポリオレフィン系成分との配合比は、5:95〜60:40である。
1つの実施形態においては、上記中間領域の厚みは、100nm〜1000nmである。
本発明の別の局面によれば、積層体の製造方法が提供される。この積層体の製造方法は、樹脂基材の片側にポリオレフィン系成分を含む下塗り層形成用組成物を塗布して下塗り層を形成する工程と、この下塗り層表面にポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液を塗布してポリビニルアルコール系樹脂塗布層を形成する工程とを含む。
1つの実施形態においては、上記下塗り層形成用組成物は、ポリビニルアルコール系成分とポリオレフィン系成分とを含む。
1つの実施形態においては、上記ポリビニルアルコール系成分は、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを含む。
1つの実施形態においては、上記ポリビニルアルコール系成分と上記ポリオレフィン系成分との固形分配合比は、5:95〜60:40である。
1つの実施形態においては、上記下塗り層の厚みは、500nm〜3000nmである。
本発明のさらに別の局面によれば、偏光板の製造方法が提供される。この偏光板の製造方法は、上記製造方法により得られた積層体を延伸および染色する工程を含む。
本発明のさらに別の局面によれば、偏光板が提供される。この偏光板は、樹脂基材と該樹脂基材の片側に形成されたポリビニルアルコール系樹脂層とを有する。上記ポリビニルアルコール系樹脂層の上記樹脂基材側は、ポリオレフィン系成分が存在する中間領域とされており、上記ポリビニルアルコール系樹脂層は、二色性物質が吸着配向した偏光膜である。
1つの実施形態においては、上記中間領域は、ポリビニルアルコール系成分とポリオレフィン系成分とを含む。
1つの実施形態においては、上記ポリビニルアルコール系成分は、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを含む。
1つの実施形態においては、上記ポリビニルアルコール系成分と上記ポリオレフィン系成分との配合比は、5:95〜60:40である。
1つの実施形態においては、上記中間領域の厚みは、100nm〜1000nmである。
本発明によれば、ポリビニルアルコール系樹脂層の樹脂基材側をポリオレフィン系成分が存在する中間領域とすることにより、優れた密着性と優れた外観とを兼ね備えた積層体を得ることができる。
実施例および比較例の積層体の断面のSEM観察写真である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.積層体
本発明の積層体は、樹脂基材と樹脂基材の片側に形成されたポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」と称する)層とを有し、少なくともPVA系樹脂層の樹脂基材側はポリオレフィン系成分が存在する中間領域とされている。1つの実施形態においては、中間領域が、実質的に後述の下塗り層に相当し、PVA系樹脂層が、下塗り層と後述のPVA系樹脂塗布層とを含む。別の実施形態においては、PVA系樹脂層が、実質的に単一の層を成し、中間領域が、例えば、PVA系樹脂塗布層と下塗り層との相溶領域とされている。なお、PVA系樹脂層が各種処理により偏光膜とされ、積層体が偏光板とされていてもよい。
A−1.樹脂基材
上記樹脂基材の構成材料としては、任意の適切な材料が採用され得る。例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂が挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂が用いられる。中でも、非晶質のポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましく用いられる。非晶質のポリエチレンテレフタレート系樹脂の具体例としては、ジカルボン酸としてイソフタル酸をさらに含む共重合体や、グリコールとしてシクロヘキサンジメタノールをさらに含む共重合体が挙げられる。
樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは170℃以下である。このような樹脂基材を用いることにより、PVA系樹脂層の結晶化を抑制しながら、延伸性を十分に確保することができる。水による樹脂基材の可塑化と、水中延伸を良好に行うことを考慮すると、120℃以下であることがさらに好ましい。1つの実施形態においては、樹脂基材のガラス転移温度は、好ましくは60℃以上である。このような樹脂基材を用いることにより、後述のPVA系樹脂を含む塗布液を塗布・乾燥する際に、樹脂基材が変形(例えば、凹凸やタルミ、シワ等の発生)する等の不具合を防止することができる。また、積層体の延伸を、好適な温度(例えば、60℃〜70℃程度)にて行うことができる。別の実施形態においては、PVA系樹脂を含む塗布液を塗布・乾燥する際に、樹脂基材が変形しなければ、60℃より低いガラス転移温度であってもよい。なお、ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準じて求められる値である。
1つの実施形態においては、樹脂基材は、吸水率が0.2%以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.3%以上である。このような樹脂基材は水を吸収し、水が可塑剤的な働きをして可塑化し得る。その結果、水中延伸において延伸応力を大幅に低下させることができ、延伸性に優れ得る。一方、樹脂基材の吸水率は、好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。このような樹脂基材を用いることにより、製造時に樹脂基材の寸法安定性が著しく低下して、得られる積層体の外観が悪化するなどの不具合を防止することができる。また、水中延伸時に破断したり、樹脂基材からPVA系樹脂膜が剥離したりするのを防止することができる。なお、吸水率は、JIS K 7209に準じて求められる値である。
樹脂基材の厚みは、好ましくは20μm〜300μm、さらに好ましくは30μm〜200μmである。
樹脂基材表面には、予め、表面改質処理(例えば、コロナ処理等)が施されていてもよいし、易接着層が形成されていてもよい。このような処理によれば、密着性をさらに向上させ得る。
A−2.PVA系樹脂層
上記PVA系樹脂層を形成するPVA系樹脂としては、任意の適切な樹脂が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。PVA系樹脂のケン化度は、通常85モル%〜100モル%であり、好ましくは95.0モル%〜99.95モル%、さらに好ましくは99.0モル%〜99.93モル%である。ケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。このようなケン化度のPVA系樹脂を用いることによって、耐久性に優れた偏光膜が得られ得る。ケン化度が高すぎる場合には、ゲル化してしまうおそれがある。
PVA系樹脂の平均重合度は、目的に応じて適切に選択され得る。平均重合度は、通常1000〜10000であり、好ましくは1200〜4500、さらに好ましくは1500〜4300である。なお、平均重合度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
PVA系樹脂層の厚みは、代表的には20μm以下、好ましくは15μm以下である。PVA系樹脂層が偏光膜とされている場合、その厚みは、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、さらに好ましくは7μm以下、特に好ましくは6μm以下である。一方、PVA系樹脂層の厚みは、好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは2.0μm以上である。
PVA系樹脂層が偏光膜とされている場合、PVA系樹脂層は、実質的には二色性物質が吸着配向された状態であり、好ましくは、波長380nm〜780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。この場合、PVA系樹脂層の単体透過率は、好ましくは40.0%以上、より好ましくは41.0%以上、さらに好ましくは42.0%以上、特に好ましくは43.0%以上である。PVA系樹脂層の偏光度は、好ましくは99.8%以上、より好ましくは99.9%以上、さらに好ましくは99.95%以上である。
上述のとおり、PVA系樹脂層の樹脂基材側は、ポリオレフィン系成分が存在する中間領域とされている。このような領域が形成されていることにより、優れた密着性と優れた外観とを達成し得る。中間領域の厚みは、例えば100nm〜1000nmである。中間領域は、例えば、積層体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより確認することができる。また、ポリオレフィン系成分の有無は、例えば、飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF−SIMS)や赤外分光法(IR)により確認することができる。1つの実施形態においては、中間領域は、ポリビニルアルコール系成分とポリオレフィン系成分とを含む。なお、ポリオレフィン系成分およびポリビニルアルコール系成分の詳細については、後述する。
B.製造方法
本発明の積層体は、上記構成が得られる限り、任意の適切な方法により製造され得る。1つの実施形態においては、樹脂基材の片側にポリオレフィン系成分を含む下塗り層形成用組成物を塗布して下塗り層を形成する工程と、この下塗り層表面にPVA系樹脂を含む塗布液を塗布してPVA系樹脂塗布層を形成する工程とを含む方法により製造される。
B−1.下塗り層の形成
上記下塗り層形成用組成物は、好ましくは、ポリビニルアルコール系成分とポリオレフィン系成分とを含む。このような組成とすることにより、優れた密着性と優れた外観とを兼ね備えた積層体を得ることができる。ポリビニルアルコール系成分としては、任意の適切なPVA系樹脂が用いられ得る。具体的には、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールが挙げられる。変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、アセトアセチル基、カルボン酸基、アクリル基および/またはウレタン基で変性されたポリビニルアルコールが挙げられる。これらの中でも、アセトアセチル変性PVAが好ましく用いられる。アセトアセチル変性PVAとしては、下記一般式(I)で表わされる繰り返し単位を少なくとも有する重合体が好ましく用いられる。
上記式(I)において、l+m+nに対するnの割合は、好ましくは1%〜10%である。
アセトアセチル変性PVAの平均重合度は、好ましくは1000〜10000であり、好ましくは1200〜5000である。アセトアセチル変性PVAのケン化度は、好ましくは97モル%以上である。アセトアセチル変性PVAの4重量%水溶液のpHは、好ましくは3.5〜5.5である。なお、平均重合度およびケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
上記ポリオレフィン系成分としては、任意の適切なポリオレフィン系樹脂が用いられ得る。ポリオレフィン系樹脂の主成分であるオレフィン成分としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のオレフィン系炭化水素が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のオレフィン系炭化水素が好ましく、さらに好ましくはエチレンが用いられる。
上記ポリオレフィン系樹脂を構成するモノマー成分のうち、オレフィン成分の占める割合は、好ましくは50重量%〜95重量%である。
上記ポリオレフィン系樹脂は、カルボキシル基および/またはその無水物基を有することが好ましい。このようなポリオレフィン系樹脂は水に分散し得、下塗り層が良好に形成され得る。このような官能基を有するモノマー成分としては、例えば、不飽和カルボン酸およびその無水物、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミドが挙げられる。これらの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂の分子量は、例えば5000〜80000である。
上記下塗り層形成用組成物において、ポリビニルアルコール系成分とポリオレフィン系成分との配合比(固形分)は、好ましくは5:95〜60:40、さらに好ましくは20:80〜50:50である。ポリビニルアルコール系成分が多すぎると密着性が十分に得られないおそれがある。具体的には、PVA系樹脂層を樹脂基材から剥離する際に要する剥離力が低下して、十分な密着性が得られないおそれがある。一方、ポリビニルアルコール系成分が少なすぎると得られる積層体の外観が損なわれるおそれがある。具体的には、後述の下塗り層の形成の際に、塗布膜が白濁する等の不具合が発生して、外観に優れた積層体を得るのが困難となるおそれがある。
下塗り層形成用組成物は、好ましくは水系である。下塗り層形成組成物は、有機溶剤を含み得る。有機溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。下塗り層形成用組成物の固形分濃度は、好ましくは1.0重量%〜10重量%である。
下塗り層形成用組成物に添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤等が挙げられる。架橋剤としては、例えば、オキサゾリン、ホウ酸、トリメチロールメラミン等のメチロール化合物、カルボジイミド、イソシアネート化合物、エポキシ化合物等が挙げられる。下塗り層形成用組成物における添加物の配合量は、目的等に応じて適切に設定され得る。例えば、架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコール系成分とポリオレフィン系成分との合計100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは0.01重量部〜10重量部、さらに好ましくは0.1重量部〜5重量部である。
下塗り層形成用組成物の塗布方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ナイフコート法(コンマコート法等)等が挙げられる。
下塗り層形成用組成物は、得られる下塗り層の厚みが500nm〜3000nmとなるように塗布することが好ましく、さらに好ましくは800nm〜2000nmである。下塗り層の厚みが薄すぎると、十分な密着性が得られないおそれがある。一方、下塗り層の厚みが厚すぎると、後述のPVA系樹脂塗布層の形成の際に、ハジキが発生する、得られる塗布膜にムラが生じる等の不具合が発生して、外観に優れた積層体を得るのが困難となるおそれがある。
下塗り層形成用組成物の塗布後、塗布膜は乾燥され得る。乾燥温度は、例えば50℃以上である。
B−2.PVA系樹脂塗布層の形成
上記PVA系樹脂を含む塗布液を塗布する下塗り層表面は、予め、表面改質処理(例えば、コロナ処理等)が施されていてもよい。このような処理によれば、密着性をさらに向上させ得る。
上記PVA系樹脂を含む塗布液としては、代表的には、上記PVA系樹脂を溶媒に溶解させた溶液が用いられる。溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、各種グリコール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、好ましくは、水である。塗布液のPVA系樹脂濃度は、溶媒100重量部に対して、好ましくは3重量部〜20重量部である。このような樹脂濃度であれば、均一な塗布膜を形成することができる。
塗布液に、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、界面活性剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤が挙げられる。これらは、得られるPVA系樹脂層の均一性や染色性、延伸性をより一層向上させる目的で使用され得る。また、添加剤としては、例えば、易接着成分が挙げられる。易接着成分を用いることにより、密着性をさらに向上させ得る。易接着成分としては、例えば、アセトアセチル変性PVAなどの変性PVAが用いられる。
塗布液の塗布方法は、上記下塗り層形成用組成物の塗布方法と同様の方法が採用され得る。塗布後、塗布膜は乾燥され得る。乾燥温度は、例えば50℃以上である。
B−3.偏光膜の製造
上述のように、積層体は、各種処理が施されていてもよい。各種処理の具体例としては、染色処理、延伸処理、不溶化処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理が挙げられる。これらの処理は、目的に応じて適宜選択され得る。また、処理順序、処理のタイミング、処理回数等、適宜設定され得る。以下、各々の処理について説明する。
(染色処理)
上記染色処理は、代表的には、PVA系樹脂層を二色性物質で染色することにより行う。好ましくは、PVA系樹脂層に二色性物質を吸着させることにより行う。当該吸着方法としては、例えば、二色性物質を含む染色液にPVA系樹脂層(積層体)を浸漬させる方法、PVA系樹脂層に当該染色液を塗工する方法、当該染色液をPVA系樹脂層に噴霧する方法等が挙げられる。好ましくは、染色液にPVA系樹脂層を浸漬させる方法である。二色性物質が良好に吸着し得るからである。
上記二色性物質としては、例えば、ヨウ素、有機染料が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。二色性物質は、好ましくは、ヨウ素である。二色性物質としてヨウ素を用いる場合、上記染色液は、好ましくは、ヨウ素水溶液である。ヨウ素の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜0.5重量部である。ヨウ素の水に対する溶解度を高めるため、ヨウ素水溶液にヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ヨウ化カリウムである。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.02重量部〜20重量部、さらに好ましくは0.1重量部〜10重量部である。
染色液の染色時の液温は、PVA系樹脂の溶解を抑制するため、好ましくは20℃〜50℃である。染色液にPVA系樹脂層を浸漬させる場合、浸漬時間は、PVA系樹脂層の透過率を確保するため、好ましくは5秒〜5分である。また、染色条件(濃度、液温、浸漬時間)は、最終的に得られる偏光膜の偏光度もしくは単体透過率が所定の範囲となるように、設定することができる。1つの実施形態においては、得られる偏光膜の偏光度が99.98%以上となるように、浸漬時間を設定する。別の実施形態においては、得られる偏光膜の単体透過率が40%〜44%となるように、浸漬時間を設定する。
(延伸処理)
積層体の延伸方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。具体的には、固定端延伸(例えば、テンター延伸機を用いる方法)でもよいし、自由端延伸(例えば、周速の異なるロール間に積層体を通して一軸延伸する方法)でもよい。また、同時二軸延伸(例えば、同時二軸延伸機を用いる方法)でもよいし、逐次二軸延伸でもよい。積層体の延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。多段階で行う場合、後述の積層体の延伸倍率(最大延伸倍率)は、各段階の延伸倍率の積である。
延伸処理は、積層体を延伸浴に浸漬させながら行う水中延伸方式であってもよいし、空中延伸方式であってもよい。1つの実施形態においては、水中延伸処理を少なくとも1回施し、好ましくは、水中延伸処理と空中延伸処理を組み合わせる。水中延伸によれば、上記樹脂基材やPVA系樹脂層のガラス転移温度(代表的には、80℃程度)よりも低い温度で延伸し得、PVA系樹脂層を、その結晶化を抑えながら、高倍率に延伸することができる。その結果、優れた偏光特性を有する偏光膜を製造することができる。
積層体の延伸方向としては、任意の適切な方向を選択することができる。1つの実施形態においては、長尺状の積層体の長手方向に延伸する。具体的には、積層体を長手方向に搬送し、その搬送方向(MD)である。別の実施形態においては、長尺状の積層体の幅方向に延伸する。具体的には、積層体を長手方向に搬送し、その搬送方向(MD)と直交する方向(TD)である。
積層体の延伸温度は、樹脂基材の形成材料、延伸方式等に応じて、任意の適切な値に設定することができる。空中延伸方式を採用する場合、延伸温度は、好ましくは樹脂基材のガラス転移温度(Tg)以上であり、さらに好ましくは樹脂基材のガラス転移温度(Tg)+10℃以上、特に好ましくはTg+15℃以上である。一方、積層体の延伸温度は、好ましくは170℃以下である。このような温度で延伸することで、PVA系樹脂の結晶化が急速に進むのを抑制して、当該結晶化による不具合(例えば、延伸によるPVA系樹脂層の配向を妨げる)を抑制することができる。
延伸方式として水中延伸方式を採用する場合、延伸浴の液温は、好ましくは40℃〜85℃、さらに好ましくは50℃〜85℃である。このような温度であれば、PVA系樹脂層の溶解を抑制しながら高倍率に延伸することができる。具体的には、上述のように、樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、PVA系樹脂層の形成との関係で、好ましくは60℃以上である。この場合、延伸温度が40℃を下回ると、水による樹脂基材の可塑化を考慮しても、良好に延伸できないおそれがある。一方、延伸浴の温度が高温になるほど、PVA系樹脂層の溶解性が高くなって、優れた偏光特性が得られないおそれがある。
水中延伸方式を採用する場合、積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することが好ましい(ホウ酸水中延伸)。延伸浴としてホウ酸水溶液を用いることで、PVA系樹脂層に、延伸時にかかる張力に耐える剛性と、水に溶解しない耐水性とを付与することができる。具体的には、ホウ酸は、水溶液中でテトラヒドロキシホウ酸アニオンを生成してPVA系樹脂と水素結合により架橋し得る。その結果、PVA系樹脂層に剛性と耐水性とを付与して、良好に延伸することができ、優れた偏光特性を有する偏光膜を作製することができる。
上記ホウ酸水溶液は、好ましくは、溶媒である水にホウ酸および/またはホウ酸塩を溶解させることにより得られる。ホウ酸濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜10重量部である。ホウ酸濃度を1重量部以上とすることにより、PVA系樹脂層の溶解を効果的に抑制することができ、より高特性の偏光膜を作製することができる。なお、ホウ酸またはホウ酸塩以外に、ホウ砂等のホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等を溶媒に溶解して得られた水溶液も用いることができる。
好ましくは、上記延伸浴(ホウ酸水溶液)にヨウ化物を配合する。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。ヨウ化物の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは0.05重量部〜15重量部、さらに好ましくは0.5重量部〜8重量部である。
積層体の延伸浴への浸漬時間は、好ましくは15秒〜5分である。好ましくは、水中延伸処理は染色処理の後に行う。
積層体の延伸倍率(最大延伸倍率)は、積層体の元長に対して、好ましくは4.0倍以上、さらに好ましくは5.0倍以上である。このような高い延伸倍率は、例えば、水中延伸方式(ホウ酸水中延伸)を採用することにより、達成し得る。なお、本明細書において「最大延伸倍率」とは、積層体が破断する直前の延伸倍率をいい、別途、積層体が破断する延伸倍率を確認し、その値よりも0.2低い値をいう。
(不溶化処理)
上記不溶化処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。特に水中延伸方式を採用する場合、不溶化処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。不溶化浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜40℃である。好ましくは、不溶化処理は、積層体作製後、染色処理や水中延伸処理の前に行う。
(架橋処理)
上記架橋処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。架橋処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。また、上記染色処理後に架橋処理を行う場合、さらに、ヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜5重量部である。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。架橋浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜50℃である。好ましくは、架橋処理は水中延伸処理の前に行う。好ましい実施形態においては、染色処理、架橋処理および水中延伸処理をこの順で行う。
(洗浄処理)
上記洗浄処理は、代表的には、ヨウ化カリウム水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。
(乾燥処理)
乾燥処理における乾燥温度は、好ましくは30℃〜100℃である。
B−4.その他
上記偏光板は、偏光膜の樹脂基材が配置されている側とは反対側に配置された保護フィルムを有していてもよい。保護フィルムの形成材料としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。保護フィルムの厚みは、好ましくは10μm〜100μmである。保護フィルムは、偏光膜に接着層を介して積層してもよいし、密着させて(接着層を介さずに)積層してもよい。接着層は、代表的には、接着剤または粘着剤で形成される。
偏光板は、例えば、液晶表示装置に搭載され得る。この場合、偏光膜が樹脂基材よりも液晶セル側に配置されるように搭載されることが好ましい。このような構成によれば、樹脂基材が有し得る位相差が、得られる液晶表示装置の画像特性に及ぼす影響を排除することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、厚みの測定方法は以下の通りである。また、下記実施例および比較例における「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
(厚み)
デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC−351C」)を用いて測定した。
[実施例1]
樹脂基材として、長尺状で、吸水率0.75%、Tg75℃の非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm)を用いた。
樹脂基材の片面に、コロナ処理を施し、このコロナ処理面に、アセトアセチル変性PVA(日本合成化学工社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」、重合度1200、ケン化度99.0モル%以上、アセトアセチル変性度4.6%)の4.0%水溶液と変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(ユニチカ社製、商品名「アローベースSE1030N」、固形分濃度22%)と純水を混合した混合液(固形分濃度4.0%)を、乾燥後の厚みが2000nmになるように塗布し、60℃で3分間乾燥し、下塗り層を形成した。ここで、混合液におけるアセトアセチル変性PVAと変性ポリオレフィンとの固形分配合比は30:70であった。
次いで、下塗り層表面に、コロナ処理を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(重合度1200、アセトアセチル変性度4.6%、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を9:1の比で含む水溶液を25℃で塗布および乾燥して、厚み11μmのPVA系樹脂層を形成した。こうして、積層体を作製した。
得られた積層体を、120℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.0倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸)。
次いで、積層体を、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴に、得られる偏光板が所定の透過率となるようにヨウ素濃度、浸漬時間を調整しながら浸漬させた。本実施例では、水100重量部に対して、ヨウ素を0.2重量部配合し、ヨウ化カリウムを1.0重量部配合して得られたヨウ素水溶液に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸)。
その後、積層体を液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
こうして、厚み30μmの樹脂基材の片側に厚み5μmの偏光膜が形成された積層体(偏光板)を得た。
[実施例2]
上記混合液を乾燥後の厚みが1000nmになるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を得た。
[実施例3]
上記混合液を乾燥後の厚みが500nmになるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を得た。
[実施例4]
混合液におけるアセトアセチル変性PVAと変性ポリオレフィンとの固形分配合比を50:50としたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を得た。
[実施例5]
下塗り層の形成に際し、アセトアセチル変性PVA(ゴーセファイマーZ200)の4.0%水溶液と変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(ユニチカ社製、商品名「アローベースSD1030N」、固形分濃度22%)と純水を混合した混合液(固形分濃度4.0%)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を得た。
[実施例6]
下塗り層の形成に際し、アセトアセチル変性PVA(ゴーセファイマーZ200)の4.0%水溶液と変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(ユニチカ社製、商品名「アローベースSE1035NJ2」、固形分濃度22%)と純水を混合した混合液(固形分濃度4.0%)を用いたこと以外は実施例4と同様にして、偏光板を得た。
[実施例7]
下塗り層の形成に際し、アセトアセチル変性PVA(日本合成化学工社製、商品名「ゴーセファイマーZ410」、重合度2200、ケン化度97.5〜98.5%、アセトアセチル変性度4.6%)の4.0%水溶液と変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(ユニチカ株式会社製、商品名「アローベースSE1030N」、固形分濃度22%)と純水を混合した混合液(固形分濃度4.0%)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を得た。
[実施例8]
空中補助延伸の延伸倍率を4.0倍とし、不溶化処理および水中延伸を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、厚み37μmの樹脂基材の片側に厚み6μmの偏光膜が形成された偏光板を得た。
[比較例1]
下塗り層を形成することなく、樹脂基材上に直接PVA系樹脂塗布層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を得た。
[比較例2]
下塗り層を形成することなく、樹脂基材上に直接PVA系樹脂塗布層を形成したこと以外は実施例8と同様にして、偏光板を得た。
[比較例3]
下塗り層の形成に際し、アセトアセチル変性PVA(ゴーセファイマーZ200)の4.0%水溶液を用いたこと以外は実施例3と同様にして、偏光板を得た。
[比較例4]
下塗り層の形成に際し、アセトアセチル変性PVA(ゴーセファイマーZ200)の4.0%水溶液を用いたこと以外は実施例2と同様にして、偏光板を得た。
[比較例5]
下塗り層の形成に際し、アセトアセチル変性PVA(ゴーセファイマーZ200)の4.0%水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を得た。
[比較例6]
下塗り層の形成に際し、アセトアセチル変性PVA(ゴーセファイマーZ200)の4.0%水溶液を用いたこと、および、この混合液を乾燥後の厚みが1000nmになるように塗布したこと以外は実施例8と同様にして、偏光板を得た。
[比較例7]
下塗り層の形成に際し、ポリエステル水性エマルション樹脂(ユニチカ社製、商品名「エリーテルKT0507E6」)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、偏光板を得た。
[比較例8]
下塗り層の形成に際し、ポリエステル水性エマルション樹脂(ユニチカ社製、商品名「エリーテルKT0507E6」)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、偏光板を得た。
[比較例9]
下塗り層の形成に際し、変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(アローベースSB1035NJ2)、を用いたこと以外は実施例2と同様にして、偏光板を得た。
[比較例10]
下塗り層の形成に際し、アセトアセチル変性PVA(ゴーセファイマーZ200)の4.0%水溶液10gとポリエステル水性エマルション樹脂(エリーテルKT0507E6)62.5gとを混合した混合液を用いたこと以外は実施例3と同様にして、偏光板を得た。ここで、混合液におけるアセトアセチル変性PVAとポリエステルとの固形分配合比は50:50であった。
[比較例11]
下塗り層の形成に際し、アセトアセチル変性PVA(ゴーセファイマーZ200)の4.0%水溶液10gとポリエステル水性エマルション樹脂(エリーテルKT0507E6)62.5gとを混合した混合液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を得た。ここで、混合液におけるアセトアセチル変性PVAとポリエステルとの固形分配合比は50:50であった。
(評価)
上記実施例および比較例について、以下の評価を行った。評価結果を表1にまとめる。また、実施例1、実施例2、実施例8、比較例1および比較例11における延伸後の積層体の断面のSEM観察(6500倍)の結果を図1に示す。
1.密着性
PVA剥離力および基材剥離力を測定することにより、密着性を評価した。PVA剥離力および基材剥離力の測定方法は、以下のとおりである。
(PVA剥離力)
ガラス板に得られた偏光板を樹脂基材面側に粘着剤を塗布して貼り合わせ、偏光膜面に補強用のポリイミドテープ(日東電工(株)製、ポリイミド粘着テープNo.360A)を貼り合わせて、測定用サンプルを作製した。この測定用サンプルの偏光膜と樹脂基材との間にカッターナイフで切込みを入れ、偏光膜および補強用のポリイミドテープを樹脂基材面に対して90°の角度をなすように立ち上げ、剥離速度3000mm/minで剥離する際に要する力(N/15mm)を角度自在タイプ粘着・皮膜剥離解析装置「VPA−2」(共和界面化学株式会社製)により測定した。
(基材剥離力)
ガラス板に、得られた偏光板を偏光膜面側に粘着剤を塗布して貼り合わせて、測定用サンプルを作製した。この測定用サンプルの偏光膜と樹脂基材との間にカッターナイフで切込みを入れ、樹脂基材を偏光膜面に対して90°の角度をなすように立ち上げ、剥離速度3000mm/minで剥離する際に要する力(N/15mm)を上記「VPA−2」により測定した。
2.外観
下塗り層の形成およびポリビニルアルコール溶液を塗布する際に、塗布膜の外観を目視にて観察した。
表1に示すように、実施例の積層体は密着性にも外観にも優れる。水中延伸を施しても十分な密着性が保持されている。一方、下塗り層を形成しない比較例1,2では十分な密着性が得られない。ポリオレフィン系成分を使用せずに下塗り層を形成した比較例3〜6では十分な密着性が得られない上に、下塗り層を厚くするほど下塗り層形成時(塗布時)にハジキが発生し、ハジキ発生部が気泡となって外観が低下する。ポリビニルアルコール系成分を使用せずに下塗り層を形成した比較例7〜9では下塗り層形成時に塗布膜が白濁し、優れた外観が得られない。ポリビニルアルコール系成分とポリエステル系成分とを用いて下塗り層を形成した比較例10,11では下塗り層に凝集物(ブツブツ)が生じ、優れた外観が得られない。
本発明の積層体は、例えば、画像表示装置に好適に用いられる。具体的には、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯ゲーム機、カーナビゲーション、コピー機、プリンター、ファックス、時計、電子レンジ等の液晶パネル、有機ELデバイスの反射防止板等として好適に用いられる。

Claims (16)

  1. 樹脂基材と該樹脂基材の片側に形成されたポリビニルアルコール系樹脂層とを有し、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂層が、ポリビニルアルコール系樹脂塗布層と下塗り層とを含み、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂塗布層の前記樹脂基材側が、前記下塗り層とされており
    前記下塗り層が、ポリビニルアルコール系成分とポリオレフィン系成分とを含み、架橋剤を含まない、
    積層体。
  2. 前記ポリオレフィン系成分が、エチレンをモノマー成分として含むポリオレフィン系樹脂である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記ポリビニルアルコール系成分が、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを含む、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記ポリビニルアルコール系成分と前記ポリオレフィン系成分との配合比が、5:95〜60:40である、請求項1から3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記下塗り層の厚みが、100nm〜1000nmである、請求項1から4のいずれかに記載の積層体。
  6. 樹脂基材の片側にポリビニルアルコール系成分とポリオレフィン系成分を含む下塗り層形成用組成物を塗布して下塗り層を形成する工程と、
    前記下塗り層表面にポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液を塗布してポリビニルアルコール系樹脂塗布層を形成する工程と
    を含む、積層体の製造方法。
  7. 前記ポリオレフィン系成分が、エチレンをモノマー成分として含むポリオレフィン系樹脂である、請求項6に記載の積層体の製造方法。
  8. 前記ポリビニルアルコール系成分が、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを含む、請求項6または7に記載の積層体の製造方法。
  9. 前記ポリビニルアルコール系成分と前記ポリオレフィン系成分との固形分配合比が、5:95〜60:40である、請求項6から8のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  10. 前記下塗り層の厚みが、500nm〜3000nmである、請求項6から9のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  11. 請求項6から10のいずれかに記載の製造方法により得られた積層体を延伸および染色する工程
    を含む、偏光板の製造方法。
  12. 樹脂基材と該樹脂基材の片側に形成されたポリビニルアルコール系樹脂層とを有し、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂層が、ポリビニルアルコール系樹脂塗布層と下塗り層とを含み、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂塗布層の前記樹脂基材側が、前記下塗り層とされており、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂塗布層が、二色性物質が吸着配向した偏光膜であ
    前記下塗り層が、ポリビニルアルコール系成分とポリオレフィン系成分とを含み、架橋剤を含まない、
    偏光板。
  13. 前記ポリオレフィン系成分が、エチレンをモノマー成分として含むポリオレフィン系樹脂である、請求項12に記載の偏光板。
  14. 前記ポリビニルアルコール系成分が、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを含む、請求項12または13に記載の偏光板。
  15. 前記ポリビニルアルコール系成分と前記ポリオレフィン系成分との配合比が、5:95〜60:40である、請求項12から14のいずれかに記載の偏光板。
  16. 前記下塗り層の厚みが、100nm〜1000nmである、請求項12から15のいずれかに記載の偏光板。
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