JP6680395B1 - 漂白パルプの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】白色度や褪色性などの様々な性能に総合的に優れた漂白パルプの新たな製造方法の提供。【解決手段】リグノセルロース物質を蒸解する蒸解工程と、蒸解工程により得られる未漂白パルプを、アルカリ酸素漂白するアルカリ酸素漂白工程と、アルカリ酸素漂白工程により得られるパルプを、モノ過硫酸を併用しつつ二酸化塩素で処理する二酸化塩素処理工程と、を備えた漂白パルプの製造方法であり、二酸化塩素処理工程における処理液のpH値が2〜8の範囲内にある、漂白パルプの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、木材等に由来するリグノセルロース物質を材料とする漂白パルプの製造方法に関するものである。
従来、製紙用の漂白パルプの製造方法が知られている(例えば、特許文献1〜5)。従来の漂白パルプの製造方法においては、未漂白パルプに対して様々な処理が施され、漂白パルプが製造される。
WO2009/081714号公報 WO2007/132836号公報 特開2010−270410号公報 特開2010−265564号公報 特開2008−088606号公報
従来の漂白パルプの製造方法においては、未漂白パルプに対する処理工程には種々のものがあり、その組合せも様々である。そして、白色度や褪色性などの様々な性能に総合的に優れた漂白パルプの新たな製造方法の開発が求められている。
本発明は、以下の漂白パルプの製造方法を提供する。
(1)リグノセルロース物質を蒸解する蒸解工程と、
前記蒸解工程により得られる未漂白パルプを、アルカリ酸素漂白するアルカリ酸素漂白工程と、
前記アルカリ酸素漂白工程により得られるパルプを、モノ過硫酸を併用しつつ二酸化塩素で処理する二酸化塩素処理工程と、
を備えた漂白パルプの製造方法であって、
前記二酸化塩素処理工程における処理液のpH値が2〜8の範囲内にある、漂白パルプの製造方法。
(2)前記二酸化塩素処理工程において、前記モノ過硫酸の添加量が、絶乾パルプ質量当たり0.01〜2.00質量%であり、且つ前記二酸化塩素の添加量が、絶乾パルプ質量当たり0.01〜2.00質量%である、上記(1)に記載の漂白パルプの製造方法。
(3)前記二酸化塩素処理工程の時間が、20〜200分間であり、前記二酸化塩素処理工程における温度が、40〜70℃である、上記(1)又は(2)のいずれかに記載の漂白パルプの製造方法。
(4)前記漂白パルプが、製紙用パルプである、上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(5)前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である処理液のpH値を測定するpH測定工程をさらに有する、上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(6)前記二酸化塩素処理工程における処理前の前記処理液のpH値である処理前pH値と、処理後の前記処理液のpH値である処理後pH値とのいずれもが2〜8の範囲内にある、上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(7)前記二酸化塩素処理工程における処理前の前記処理液のpH値である処理前pH値と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の前記処理液のpH値である処理後pH値との差が、3.0以下である、上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(8)前記処理前pH値が、3.0以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が1.0以下であり、
前記処理前pH値が、3.0より高く5.5以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が2.0以下であり、
前記処理前pH値が、5.5より高く8.0以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が2.5以下であるようにpH値である、上記(7)に記載の漂白パルプの製造方法。
(9)前記二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプのISO白色度が、60%以上である、上記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(10)前記二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプのK価が、1.50〜4.50である、上記(1)〜(9)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(11)前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前のK価である処理前K価と、前記二酸化塩素処理工程における処理後のK価である処理後K価とを測定するK価測定工程をさらに有する、上記(1)〜(10)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(12)前記処理前K価であるKと、前記処理後K価であるKとから算出される、K価残存率であるK/K×100の値が80%以下である、上記(11)に記載の漂白パルプの製造方法。
(13)前記二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含有量が、30.00μmol/g以下である、上記(1)〜(12)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(14)前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前のヘキセンウロン酸含有量の値であるH(μmol/g)と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含有量の値であるH(μmol/g)とから算出される、ヘキセンウロン酸含有量の残存率であるH/H×100の値が90%以下である、上記(1)〜(13)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(15)前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前のISO白色度の値であるW(%)と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の漂白パルプのISO白色度の値であるW(%)とから算出される、白色度上昇率であるW/W×100の値が115%以上である、上記(1)〜(14)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(16)前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前の粘度の値であるA(cP)と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の漂白パルプの粘度の値であるA(cP)とから算出される、粘度保持率であるA/A×100の値が60%以上である、上記(1)〜(15)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。(17)前記二酸化塩素処理工程において用いる、二酸化塩素とモノ過硫酸との質量比の値が、1以上である、上記(1)〜(16)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(18)前記二酸化塩素処理工程の後に、前記二酸化塩素で処理されたパルプをさらに、過酸化水素処理で処理する過酸化水素処理工程をさらに有する、上記(1)〜(17)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(19)前記pH測定工程において、前記処理液の処理前のpH値である処理前pH値と、前記処理液の処理後のpH値である処理後pH値とを測定する、上記(1)〜(18)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
本発明の漂白パルプの製造方法によれば、パルプの処理工程の諸条件を調整して、白色度が高く、かつ褪色性に優れている等の総合的に優れた性状を有するパルプを得ることが可能である。
各実施例、及び、比較例の漂白パルプのISO白色度(%)を示すグラフである。 各実施例、及び、比較例の漂白パルプのK価を示すグラフである。 各実施例、及び、比較例の漂白パルプのヘキセンウロン酸(HexA)量を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、発明の効果を有する範囲において任意に変更して実施することができる。
[漂白パルプの製造方法]
本発明の漂白パルプの製造方法は、リグノセルロース物質を蒸解する蒸解工程と、所定の未漂白パルプをアルカリ酸素漂白処理するアルカリ酸素漂白工程と、アルカリ酸素漂白処理されたパルプに対する二酸化塩素処理工程とを含む。二酸化塩素処理工程においては、処理の対象である処理液のpH値が所定の範囲に調整される。
[リグノセルロース物質]
本発明で用いられるリグノセルロース物質としては、ヘキセンウロン酸を生成するメチルグルクロン酸を多く含有する広葉樹材が好適であるが、針葉樹材でもよい。また、リグノセルロース物質は、竹や麻のような非木材であってもよく、さらに、上述の広葉樹材、針葉樹材、及び、非木材の混合物でもよく、特に限定されるものではない。
[蒸解工程]
本発明おいては、リグノセルロース物質を蒸解する蒸解工程によって未漂白パルプが得られる。蒸解工程において使用される未漂白パルプを得るための蒸解法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、酸性サルファイト蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができるが、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法、または、ポリサルファイド蒸解が好適に用いられる。
例えば、広葉樹材100%のリグノセルロースをクラフト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5〜75質量%、好ましくは15〜45質量%、有効アルカリ添加率は絶乾木材質量当たり5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%である。また、蒸解温度は130〜170℃であり、蒸解の方式は、連続蒸解法あるいはバッチ蒸解法のどちらでもよい。蒸解において、連続蒸解釜を用いる場合は、蒸解液を多点で添加する修正蒸解法でもよく、その方式は特に問われない。
リグノセルロース物質の蒸解工程においては、脱リグニン処理が施される。最終的に、漂白パルプとして製紙用パルプを得る場合、蒸解工程において、リグニンとともに、リグノセルロース物質由来のヘミセルロースを除去しておくこともできる。脱ヘミセルロース処理が望まれる場合、例えば、クラフト蒸解法などのアルカリ蒸解法を採用してリグニンを除去する工程の前段に、加水分解処理の工程を設けてヘミセルロースを除去しても良い。また、酸性サルファイト蒸解法でリグニンを除去すると、ヘミセルロースもリグニンとともに除去することが可能であるため、酸性サルファイト蒸解法を用いた蒸解工程を用いることもできる。
本発明の漂白パルプの製造方法の対象は、特に限定されないものの、製紙用パルプであることが好ましい。
蒸解工程においては、絶乾パルプ質量当たり5〜30質量%の活性アルカリを添加することが好ましい。蒸解工程において、好ましくは、10〜25質量%の活性アルカリを使用し、より好ましくは、12〜20質量%、さらに好ましくは15〜18質量%の活性アルカリを使用する。蒸解工程における活性アルカリについて、特に制限されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。蒸解工程において、好ましくは、活性アルカリとして水酸化ナトリウムが用いられる。
また、リグノセルロース物質の蒸解工程においては、使用する蒸解液に蒸解助剤として、公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体、或いは前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物を用いることができる。さらには、ディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10−ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれた1種或いは2種以上が添加されてもよい。これら蒸解助剤の添加率は、通常の添加率であり、例えば、木材チップ等のリグノセルロース物質の絶乾パルプ質量当たり0.001〜1.0質量%である。
[アルカリ酸素漂白工程]
上述の蒸解により得られた未漂白パルプは、必要に応じて、洗浄、粗選、及び精選工程を経る。その後、アルカリ酸素漂白工程により、さらなる脱リグニン処理が施され、漂白される。
アルカリ酸素漂白工程として、公知の中濃度法あるいは高濃度法が適用できるが、パルプ濃度が8〜40質量%であることが好ましく、パルプ濃度が10〜35質量%であることがより好ましい。
アルカリ酸素漂白工程において、パルプに添加するアルカリとしては、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カリウム、酸化されたクラフト白液等を使用することができる。また、アルカリ酸素漂白工程においては、アルカリとともに酸素ガスを添加しても良い。酸素ガスとして、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。
アルカリ酸素漂白工程において、アルカリと、併用される酸素は、例えば、ミキサーにおいてパルプスラリーに添加され、混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素及びアルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ送られ、脱リグニンされる。アルカリ酸素漂白工程の反応条件は、例えば以下の通りである。
すなわち、酸素ガスの添加率は、絶乾(BD;bonedry)パルプ質量当たり0.5〜3質量%、アルカリ添加率は0.5〜4質量%、反応温度は80〜120℃、反応時間は15〜100分、パルプ濃度は8〜40質量%、好ましくは10〜35質量%であり、この他の条件は公知のものが適用できる。
アルカリ酸素漂白工程において、上記アルカリ酸素漂白の処理を連続して複数回行い、できる限り脱リグニンを進め、重金属の含有量を減らしておくことが好ましい。アルカリ酸素処理が実施された後のパルプは、好ましくは洗浄工程へ送られる。
[二酸化塩素処理工程]
二酸化塩素処理工程においては、好ましくは洗浄工程にて洗浄されたパルプに対して、以下のように、二酸化塩素処理が施される。二酸化塩素処理においては、アルカリ酸素漂白工程により得られたパルプに対して、モノ過硫酸と二酸化塩素とが添加される。
二酸化塩素処理工程において、モノ過硫酸の絶乾パルプ質量当たりの添加量は、0.01〜2.00質量%であることが好ましく、より好ましくは0.02〜1.00質量%であり、さらに好ましくは0.05〜0.80質量%であり、特に好ましくは、0.1〜0.6質量%である。
なお、モノ過硫酸は、ペルオキシ一硫酸(peroxymonosulfuric acid)ともよばれるものであり、ペルオキシ二硫酸を加水分解して製造することもできるし、過酸化水素と硫酸を任意の割合で混合して製造することもできるが、その製造方法については特に限定されるものではない。また、モノ過硫酸の複塩(2KHSO・KHSO・KSO)であるオキソン等を使用することもできる。ただし、経済性を考慮すると、安価な高濃度の過酸化水素と安価な高濃度の硫酸を混合して低コストでモノ過硫酸を製造し、使用することが好ましい。
高濃度の過酸化水素と高濃度の硫酸を混合してモノ過硫酸を製造する方法としては、20〜70質量%、好ましくは35〜70質量%濃度の過酸化水素水に、80〜98質量%、好ましくは93〜98質量%濃度の濃硫酸を滴下、混合する方法が好適である。前記硫酸と過酸化水素の混合モル比は好ましくは1:1〜5:1であり、さらに好ましくは2:1〜4:1である。過酸化水素水、硫酸共に、濃度の低いものを用いるとモノ過硫酸の製造効率が低下するため適さない。また、これらの濃度が高すぎると、発火等の危険性が大きくなるため適さない。さらに、硫酸と過酸化水素の混合モル比が1:1〜5:1から外れる場合にもモノ過硫酸の製造効率が低下するために好ましくない。
二酸化塩素処理工程においては、モノ過硫酸とともに、洗浄されたパルプに対して二酸化塩素を用いる。二酸化塩素処理工程において用いる二酸化塩素の量は、絶乾パルプ質量当たり0.01〜2.00質量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜1.50質量%であり、さらに好ましくは0.1〜1.00質量%であり、特に好ましくは、0.3〜0.80質量%である。
このように、本発明にて用いられる二酸化塩素処理工程においては、高価な二酸化塩素の使用量を抑制することが可能であるため、コストの面で有利である。さらに、二酸化塩素とモノ過硫酸とを併用することにより、パルプを効率的に漂白させることもできる。
また、本発明においては、分子状の塩素が不要であるのみならず、塩素系の化合物である二酸化塩素の使用量も最低限であり、安全が確保される他、環境負荷を抑えられるという効果も認められる。
また、二酸化塩素処理工程において用いる、二酸化塩素とモノ過硫酸との質量比の値(二酸化塩素の質量/モノ過硫酸の質量)については、1以上であること、すなわち、二酸化塩素をモノ過硫酸よりも多く用いることが好ましく、上記比の値は、2以上であることが好ましい。
二酸化塩素処理工程において、無機ペルオキシ酸および/またはその塩(モノ過硫酸)を、二酸化塩素とともに反応液に添加することにより、両漂白試薬が反応し浪費される可能性もあるが、モノ過硫酸の添加により高価な二酸化塩素の使用量を抑制できる。よって、総合的にコスト面で有利になる。また、既存の二酸化塩素のみによる処理工程のための設備に、モノ過硫酸を単独で用いる処理工程を導入する場合、漂白タワーの新設等の初期設備投資が莫大となる一方、モノ過硫酸と二酸化塩素をともに反応液に添加して併用する方法は、既存の二酸化塩素処理のための設備に、モノ過硫酸注入ラインの追加等の多少の改造を加えるだけで容易に導入でき、よって多くの工場で導入可能である。
二酸化塩素処理工程の時間は、10〜200分であることが好ましく、より好ましくは15〜180分、さらに好ましくは20〜100分、特に好ましくは25〜60分である。二酸化塩素処理工程において、処理温度は好ましくは20〜100℃、より好ましくは30〜90℃、特に好ましくは40〜70℃、である。二酸化塩素処理工程の処理対象のパルプの濃度に関しては特に限定されるものではないが、通常5〜30質量%であり、操作性の点から好適には8〜15質量%である。
[pH測定工程及びpHの調整]
二酸化塩素処理工程においては、処理液のpH値を良好な範囲に維持することが好ましい。具体的には、二酸化塩素処理工程における処理液のpH値を2〜8に調整し、好ましくはpH値を3〜8、より好ましくは4〜8、さらに好ましくは4.5〜7.5、特に好ましくは5〜7に調整する。
さらに、pH値が所定の範囲内にあると二酸化塩素から漂白活性のあるイオンが効率的に生成されることから、二酸化塩素処理工程においては、当該処理工程の処理中のpH値のみならず、当該処理工程の処理前の処理液のpH値である処理前pH値、特に、当該処理工程の開始時あるいは開始直前のpH値、及び、処理後のpH値である処理後pH値、特に処理直後の処理液のpH値が、いずれも2〜8等の上述の範囲内となるように調整されることが好ましい。ただし、処理前pH値と処理後pH値の少なくともいずれかが、2〜8等の上述の範囲内にあっても良い。また、二酸化塩素処理工程の処理の間、常に、処理液のpH値が2〜8等の上述の範囲内にあることが好ましい。
二酸化塩素処理工程は、処理の対象である処理液のpH値を測定するpH測定工程をさらに有することが好ましい。
二酸化塩素処理工程において、処理後のパルプの高い白色度を実現する観点からは、処理液のpH値の範囲は好ましくは3.5〜7.5、例えば、3.5以上あるいは3.5より大きい値であって7以下であり、より好ましくは4〜7、例えば、4以上あるいは4より大きい値であって7以下であるように、調整される。
また、二酸化塩素処理工程において、処理後のパルプのK価とヘキセンウロン酸含有量との値を抑制する観点からは、処理液のpH値の範囲は好ましくは2〜6.5であり、より好ましくは2.5〜6であり、さらに好ましくは、3〜5.5であるように、調整される。
このように、pH値の経時変化に留意しつつ、当該処理工程において常に処理液のpH値を好適な範囲に調整する二酸化塩素処理工程においては、パルプを必要以上に厳しい条件下にさらすことなく、効率的な漂白が可能である。
二酸化塩素処理工程において、必ずしも複数回に渡りpH値を測定することは必要ではなく、例えば経験則によりpHの値の範囲を所望の範囲内に制御できるようであれば、pH値を測定する必要はない。ただし、pH測定工程においては、複数回の測定、例えば、処理液の処理前pH値と、処理後pH値、特に処理直後のpH値である処理後pH値とを測定し、好適なpH範囲が確保されていることを確認することが好ましく、また、少なくとも、二酸化塩素処理の処理前(処理開始の直前、あるいは、処理開始直後でも良い)、処理中(例えば、二酸化塩素処理工程に要する時間の半分が経過したとき)、処理後(処理終了直後、あるいは、処理終了の直前でも良い)のいずれかの段階でpH値を測定しても良い。
また、二酸化塩素処理工程の処理液のpH調整のために、公知のアルカリおよび酸を処理液に添加することができる。
二酸化塩素処理工程においては、処理前pH値と、処理後pH値との差が、3.0以下であることが好ましく、必要に応じてそのようにpH値を調整することが好ましい。なお、処理液のpH値の調整は、上述の公知の手法によっても可能であるが、経験則に基づき、予め、pH値を好ましい範囲内に維持できる処理液を用いることが好ましい。処理前pH値と処理後pH値との差は、2.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましく、特に好ましくは1.5以下である。
処理前pH値が、3.0以下であるとき、処理前pH値と処理後pH値との差が1.0以下であることが好ましく、処理前pH値と処理後pH値との差が0.5以下であることがより好ましい。
処理前pH値が、3.0より高く5.5以下であるとき、処理前pH値と処理後pH値との差が2.0以下であることが好ましく、処理前pH値と処理後pH値との差が1.6以下であることがより好ましい。
また、処理前pH値が、5.5より高く8.0以下であるとき、処理前pH値と処理後pH値との差が2.5以下であることが好ましく、処理前pH値と処理後pH値との差が2.0以下であることがより好ましく、1.6以下であることが特に好ましい。
[パルプの性状]
二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプのISO白色度は、60(%)以上であることが好ましく、65(%)以上であることがより好ましく、70(%)以上であることがさらに好ましく、72(%)以上であることが特に好ましい。
なお、漂白パルプのISO白色度は高い方が好ましいため、その上限値は重要でないものの、二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプのISO白色度の上限値は、例えば、90(%)以下である。
二酸化塩素処理工程においては、処理の対象であるパルプの処理前のISO白色度の値であるW(%)と、二酸化塩素処理工程における処理後の漂白パルプのISO白色度の値であるW(%)とから算出される、白色度上昇率であるW/W×100の値が115%以上であることが好ましい。白色度上昇率は、120%以上であることがより好ましく、125%以上であることがさらに好ましく、130%以上、例えば135%以上であることが特に好ましい。
白色度上昇率は高い方が好ましいため、その上限値は重要でないものの、例えば、白色度上昇率の上限値は160%以下である。
なお、二酸化塩素処理工程においては、パルプの白色度の値を測定する白色度測定工程をさらに有することが好ましく、処理の対象であるパルプの処理前(特に、処理開始の直前)の処理前ISO白色度の値と、二酸化塩素処理工程における処理後(特に、処理終了の直後)の処理後ISO白色度の値を測定する白色度測定工程をさらに有することが好ましい。
二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプのK価は、1.50〜4.50、例えば、4.50以下であることが好ましく、1.50〜4.50、例えば、4.50以下であることが好ましく、1.80〜4.10、例えば、4.10以下、あるいは4.00以下であることがさらに好ましく、2.10〜3.80であることがより好ましく、2.50〜3.50であることが特に好ましい。
二酸化塩素処理工程においては、処理の対象であるパルプの処理前(特に、処理開始の直前)のK価である処理前K価と、二酸化塩素処理工程における処理後(特に、処理終了の直後)のK価である処理後K価とを測定するK価測定工程をさらに有することが好ましい。
また、処理前K価であるKと、処理後K価であるKとから算出される、K価残存率であるK/K×100の値が80%以下であることが好ましく、70%以下であることが好ましい。K価残存率は、65%以下であることがより好ましく、60%以下であることがさらに好ましく、50%以下、例えば45%以下であることが特に好ましい。
K価残存率は低い方が好ましいため、その下限値は重要でないものの、例えば、K価残存率は20%以上である。
なお、二酸化塩素処理工程によって得られるパルプの粘度の値(cP)は、10以上30以下であることが好ましく、より好ましくは15以上25以下である。
二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含有量は、30.00μmol/g以下であることが好ましい。このヘキセンウロン酸含有量は、25.00μmol/g以下であることがより好ましく、20.00μmol/g以下であることがさらに好ましい。
なお、ヘキセンウロン酸含有量は低い方が好ましいため、その下限値は重要でないものの、二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含有量は、例えば、10.00μmol/g以上である。
二酸化塩素処理工程における処理の対象であるパルプの処理前のヘキセンウロン酸含有量の値であるH(μmol/g)と、二酸化塩素処理工程における処理後の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含有量の値であるH(μmol/g)とから算出される、ヘキセンウロン酸含有量の残存率であるH/H×100の値は、90%以下であることが好ましい。
ヘキセンウロン酸含有量の残存率であるH/H×100の値は、80%以下であることがより好ましく、75%以下であることがさらに好ましく、70%以下、例えば、60%以下や50%以下であることが特に好ましい。
ヘキセンウロン酸含有量は低い方が好ましいため、その下限値は重要でないものの、例えば、ヘキセンウロン酸含有量は20%以上である。
二酸化塩素処理工程におけるパルプの粘度の値(cP)の保持率、すなわち、二酸化塩素処理工程によって得られるパルプの粘度の値A(cP)の二酸化塩素処理工程の直前のパルプの粘度の値A(cP)に対する比(A/A×100(%))の値(cP)は、60%以上であることが好ましい。上記保持率は、80%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは、85%以上、特に好ましくは90%以上、例えば、95%以上である。
なお、パルプの粘度の保持率は高い方が好ましいため、その上限値は重要でないものの、二酸化塩素処理工程の後のパルプの粘度の保持率は、例えば、100%以下である。
また、二酸化塩素処理工程は、パルプの粘度の値を測定する粘度測定工程をさらに有することが好ましく、二酸化塩素処理工程においては、当該処理工程の処理中のパルプの粘度の値、当該処理工程の処理前のパルプの粘度の値である処理前粘度値、特に、当該処理工程の開始時あるいは開始直前の粘度値、及び、処理後の粘度値である処理後粘度値、特に処理直後のパルプの粘度値を測定することが好ましい。
なお、二酸化塩素処理工程によって得られるパルプの粘度の値(cP)は、10以上30以下であることが好ましく、より好ましくは15以上25以下である。
[過酸化水素処理工程]
過酸化水素処理工程においては、洗浄されたパルプに対して、過酸化水素が添加される。また、過酸化水素処理工程は、二酸化塩素処理工程の後段であることが好ましく、この場合、少なくとも一度は二酸化塩素処理が施されたパルプが、過酸化水素処理工程の対象となる。
過酸化水素処理工程における過酸化水素の添加率は、絶乾パルプ質量当たり0.1〜2.0質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.2〜1.0質量%である。
また、過酸化水素処理工程における処理温度は、好ましくは20〜100℃、より好ましくは40〜90℃である。過酸化水素処理工程においては、反応系のpH値を8〜14に調整することが好ましく、より好ましくは、pH値は10.5〜12.0に調整される。pHの調整には、公知のアルカリおよび酸を使用することができる。また、過酸化水素処理工程におけるパルプ濃度に関しては特に限定されるものではないが、操作性の点から好適には8〜15質量%で行われる。
過酸化水素処理工程においては、さらに、マグネシウム塩、及び、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ)の少なくともいずれかを用いることが好ましい。マグネシウム塩として、例えば、硫酸マグネシウムをパルプに添加することが好ましい。また、ケイ酸ナトリウムとして、例えば、NaSiO,NaSiO,NaSi,NaSi等の化合物のいずれかをパルプに添加することが好ましい。マグネシウム塩、又は、ケイ酸ナトリウムを、パルプを含む反応系に添加すると、銅、鉄、マンガンなどの重金属、遷移金属によってアルカリ性の系内で酸素または過酸化水素に作用して活性酸素ラジカルを生成することによるパルプの粘度低下を防止できる。
過酸化水素処理工程におけるマグネシウム塩の添加率は、絶乾パルプ質量に対してMgが0.01〜1.0質量%となる量が好ましく、より好ましくは、絶乾パルプ質量に対してMgが0.02〜0.5質量%となる量であり、さらに好ましくは、絶乾パルプ質量に対してMgが0.05〜0.2質量%となる量である。
また、過酸化水素処理工程におけるケイ酸ナトリウム化合物の添加率は、絶乾パルプ質量に対して0.1〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは、絶乾パルプ質量に対して0.2〜1.5質量%であり、さらに好ましくは、絶乾パルプ質量に対して0.5〜1.0質量%である。
過酸化水素処理工程においては、上述のように反応系をアルカリ性に保つことが好ましく、過酸化水素の質量を基準として0.1〜5.0質量%となる量、より好ましくは0.2〜3.0質量%となる量、さらに好ましくは0.3〜2.0質量%のアルカリ成分を用いることが好ましい。アルカリ成分としては、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カリウム等を使用することができる。
[各種工程の種類と段数]
漂白パルプの製造方法においては、二酸化塩素処理工程が一段のみであることが好ましい。この場合、漂白パルプの製法の工程を簡素化することができる。ただし、漂白パルプの製造方法において、アルカリ酸素漂白処理されたパルプに対して、さらに、モノ過硫酸を行う第2の二酸化塩素処理工程が含まれていても良い。また、上述の過酸化水素処理工程に加えて、過酸化水素処理をさらに行う第2の過酸化水素処理工程が含まれていても良い。なお、第2の二酸化塩素処理工程と、第2の過酸化水素処理工程とが含まれる漂白パルプの製造方法においても、少なくともいずれかの過酸化水素処理工程は、二酸化塩素処理の後段であることが好ましい。
また、漂白パルプの製造方法においては、過酸化水素処理工程、及び、二酸化塩素処理工程以外の漂白のための処理工程、例えば、未漂白パルプをオゾンで処理するオゾン処理工程、塩素処理工程、次亜塩素酸塩処理工程等が含まれていても良い。ただし、漂白パルプの製法の工程の簡素化、及び、安全の確保の観点からは、オゾン処理工程、塩素処理工程、及び、次亜塩素酸塩処理工程が含まれないことが好ましい。
1.モノ過硫酸の製造
45質量%過酸化水素水(三菱ガス化学製)15.2g中に98%硫酸(試薬特級、キシダ化学製)60.2gを添加し、モノ過硫酸を製造した。製造したモノ過硫酸水溶液の組成は、モノ過硫酸23.4質量%、過酸化水素1.8質量%、硫酸59.8質量%、水15.0質量%であった。
2.パルプ白色度の測定
漂白パルプを離解後、ISO3688−1977に従って、坪量400g/m2のシートを2枚作製し、JIS P 8148に従ってパルプの白色度(%)を測定した。
3.パルプの過マンガン酸カリウム価(K価)の測定
過マンガン酸カリウム価の測定は、TAPPI UM 253に準じて行った。
4.パルプのヘキセンウロン酸(HexA)量の測定
完全洗浄したパルプを絶乾質量で0.8g精秤した。このパルプを耐圧容器に入れ、純水80mLを加えた後、蟻酸を加えてpH値を3に調整した。この耐圧容器をオーブンに入れ、120℃で4時間処理し、HexAを酸加水分解した。処理後ろ過を行い、濾別された溶液中に存在する、HexAの酸加水分解物である2−フランカルボン酸と5−カルボキシ−2−フランアルデヒドをHPLCにて定量し、それらのモル量の合計から元のHexA量を求めた。
5.パルプ粘度の測定
パルプ粘度の測定は、J.TAPPI No.44法に準じて行った。
6.使用未晒パルプ物性
使用した未晒パルプの物性を以下に示す。
未晒パルプ:アルカリ酸素漂白後パルプ
パルプ1:ISO白色度 48.0%、K価 8.0、HexA含量 44.9μmol/パルプg、粘度 24.19cP
パルプ2:ISO白色度 54.1%、K価 6.6、HexA含量 37.8μmol/パルプg、粘度 19.07cP
7.洗浄条件
上述の漂白処理後の各パルプ(パルプ1又はパルプ2)に純水を添加してパルプ濃度2.4%とし、次いでパルプ濃度20%になるまで脱水した(洗浄率90%)。
(実施例1)
未晒パルプ1を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度12%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが4.5程度となる量の水酸化ナトリウム水溶液を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。このときのpHは4.8であった。
60℃の恒温水槽に36分間浸漬することにより、漂白処理を行った(二酸化塩素処理工程)。上記の洗浄条件で洗浄した漂白後のパルプを、純水で2Lに希釈後、亜硫酸水でpH5.5に調整し、ブフナーロート上に2枚のパルプシートを作製した(酸性抄紙)。12時間風乾後、抄紙したサンプルのISO白色度、K価、HexA量を測定した。
(実施例2)
未晒パルプ1を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度12%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが6程度となる量の水酸化ナトリウム水溶液を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。
このときのpHは6.3であった。それ以降は、実施例1と同様の操作を行った。
(実施例3)
未晒パルプ2を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが2.5程度となる量の硫酸を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。このときのpHは2.5であった。
60℃の恒温水槽に30分間浸漬することにより、漂白処理を行った(二酸化塩素処理工程)それ以降は、実施例1と同様の操作を行った。
(実施例4)
未晒パルプ2を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが5.0程度となる量の水酸化ナトリウム水溶液を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。
このときのpHは5.2であった。それ以降は、実施例3と同様の操作を行った。
(実施例5)
未晒パルプ2を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが6.5程度となる量の水酸化ナトリウム水溶液を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。
このときのpHは6.6であった。それ以降は、実施例3と同様の操作を行った。
(比較例1)
未晒パルプ1を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度12%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが1.5程度となる量の硫酸を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二
酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。
このときのpHは1.4であった。それ以降は実施例1と同様の操作を行った。
(比較例2)
未晒パルプ1を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度12%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが8.0程度となる量の水酸化ナトリウム水溶液を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。
このときのpHは8.1であった。それ以降は実施例1と同様の操作を行った。
(比較例3)
未晒パルプ2を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが1.5程度となる量の硫酸を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。
このときのpHは1.3であった。それ以降は実施例3と同様の操作を行った。
(比較例4)
未晒パルプ2を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが8.0程度となる量の水酸化ナトリウム水溶液を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。
このときのpHは8.2であった。それ以降は実施例3と同様の操作を行った。
実施例1及び2、比較例1及び2の結果を表1に、実施例3〜5、比較例3及び4の結果を表2に、それぞれ示した。また、白色度、K価、ヘキセンウロン酸量については、各実施例1〜5、及び、比較例1〜4の結果を、図1〜図3にそれぞれ示した。
なお、図1〜3の各グラフにおいては、左右両端の点が、比較例の結果を示し、それ以外の点が実施例の結果を示す。
各実施例にて、白色度が良好なレベルに維持されているとともに、K価、及び、ヘキセンウロン酸含有量の値が抑制されていて、総合的に優れた性状の漂白パルプが得られることが確認された。

Claims (19)

  1. リグノセルロース物質を蒸解する蒸解工程と、
    前記蒸解工程により得られる未漂白パルプを、アルカリ酸素漂白するアルカリ酸素漂白工程と、
    前記アルカリ酸素漂白工程により得られるパルプを、モノ過硫酸を併用しつつ二酸化塩素で処理する二酸化塩素処理工程と、
    を備えた漂白パルプの製造方法であって、
    前記二酸化塩素処理工程における処理液のpH値が2〜8の範囲内にあり、
    前記二酸化塩素処理工程における処理前の前記処理液のpH値である処理前pH値が3.0以下であるとき、前記処理前pH値と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の前記処理液のpH値である処理後pH値との差が1.0以下であり、
    前記処理前pH値が、3.0より高く5.5以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が2.0以下であり、
    前記処理前pH値が、5.5より高く8.0以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が2.5以下である、漂白パルプの製造方法。
  2. 前記二酸化塩素処理工程において、前記モノ過硫酸の添加量が、絶乾パルプ質量当たり0.01〜2.00質量%であり、且つ前記二酸化塩素の添加量が、絶乾パルプ質量当たり0.01〜2.00質量%である、請求項1に記載の漂白パルプの製造方法。
  3. 前記二酸化塩素処理工程の時間が、20〜200分間であり、前記二酸化塩素処理工程における温度が、40〜70℃である、請求項1又は2のいずれかに記載の漂白パルプの製造方法。
  4. 前記漂白パルプが、製紙用パルプである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
  5. 前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である処理液のpH値を測定するpH測定工程をさらに有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
  6. 前記二酸化塩素処理工程における処理前の前記処理液のpH値である処理前pH値と、処理後の前記処理液のpH値である処理後pH値とのいずれもが2〜8の範囲内にある、請求項1〜5のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
  7. 前記処理前pH値と、前記処理後pH値との差が、2.0以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
  8. 前記処理前pH値が、3.0以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が0.5以下であり、
    前記処理前pH値が、3.0より高く5.5以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が1.6以下であり、
    前記処理前pH値が、5.5より高く8.0以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が2.0以下である、請求項7に記載の漂白パルプの製造方法。
  9. 前記二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプのISO白色度が60%以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
  10. 前記二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプのK価が、1.50〜4.50である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
  11. 前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前のK価である処理前K価と、前記二酸化塩素処理工程における処理後のK価である処理後K価とを測定するK価測定工程をさらに有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
  12. 前記処理前K価であるKと、前記処理後K価であるKとから算出される、K価残存率であるK/K×100の値が80%以下である、請求項11に記載の漂白パルプの製造方法。
  13. 前記二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含有量が、30.00μmol/g以下である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
  14. 前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前のヘキセンウロン酸含有量の値であるH(μmol/g)と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含有量の値であるH(μmol/g)とから算出される、ヘキセンウロン酸含有量の残存率であるH/H×100の値が90%以下である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
  15. 前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前のISO白色度の値であるW(%)と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の漂白パルプのISO白色度の値であるW(%)とから算出される、白色度上昇率であるW/W×100の値が115%以上である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
  16. 二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前の粘度の値であるA(cP)と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の漂白パルプの粘度の値であるA(cP)とから算出される、粘度保持率であるA/A×100の値が60%以上である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
  17. 前記二酸化塩素処理工程において用いる、二酸化塩素とモノ過硫酸との重量比の値が、1以上である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
  18. 前記二酸化塩素処理工程の後に、前記二酸化塩素で処理されたパルプをさらに、過酸化水素処理で処理する過酸化水素処理工程をさらに有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
  19. 前記pH測定工程において、前記処理液の処理前のpH値である処理前pH値と、前記処理液の処理後のpH値である処理後pH値とを測定する、請求項に記載の漂白パルプの製造方法。
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