JP6680395B1 - 漂白パルプの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)リグノセルロース物質を蒸解する蒸解工程と、
前記蒸解工程により得られる未漂白パルプを、アルカリ酸素漂白するアルカリ酸素漂白工程と、
前記アルカリ酸素漂白工程により得られるパルプを、モノ過硫酸を併用しつつ二酸化塩素で処理する二酸化塩素処理工程と、
を備えた漂白パルプの製造方法であって、
前記二酸化塩素処理工程における処理液のpH値が2〜8の範囲内にある、漂白パルプの製造方法。
(2)前記二酸化塩素処理工程において、前記モノ過硫酸の添加量が、絶乾パルプ質量当たり0.01〜2.00質量%であり、且つ前記二酸化塩素の添加量が、絶乾パルプ質量当たり0.01〜2.00質量%である、上記(1)に記載の漂白パルプの製造方法。
(3)前記二酸化塩素処理工程の時間が、20〜200分間であり、前記二酸化塩素処理工程における温度が、40〜70℃である、上記(1)又は(2)のいずれかに記載の漂白パルプの製造方法。
(4)前記漂白パルプが、製紙用パルプである、上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(5)前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である処理液のpH値を測定するpH測定工程をさらに有する、上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(6)前記二酸化塩素処理工程における処理前の前記処理液のpH値である処理前pH値と、処理後の前記処理液のpH値である処理後pH値とのいずれもが2〜8の範囲内にある、上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(7)前記二酸化塩素処理工程における処理前の前記処理液のpH値である処理前pH値と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の前記処理液のpH値である処理後pH値との差が、3.0以下である、上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(8)前記処理前pH値が、3.0以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が1.0以下であり、
前記処理前pH値が、3.0より高く5.5以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が2.0以下であり、
前記処理前pH値が、5.5より高く8.0以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が2.5以下であるようにpH値である、上記(7)に記載の漂白パルプの製造方法。
(9)前記二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプのISO白色度が、60%以上である、上記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(10)前記二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプのK価が、1.50〜4.50である、上記(1)〜(9)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(11)前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前のK価である処理前K価と、前記二酸化塩素処理工程における処理後のK価である処理後K価とを測定するK価測定工程をさらに有する、上記(1)〜(10)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(12)前記処理前K価であるK1と、前記処理後K価であるK2とから算出される、K価残存率であるK2/K1×100の値が80%以下である、上記(11)に記載の漂白パルプの製造方法。
(13)前記二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含有量が、30.00μmol/g以下である、上記(1)〜(12)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(14)前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前のヘキセンウロン酸含有量の値であるH1(μmol/g)と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含有量の値であるH2(μmol/g)とから算出される、ヘキセンウロン酸含有量の残存率であるH2/H1×100の値が90%以下である、上記(1)〜(13)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(15)前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前のISO白色度の値であるW1(%)と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の漂白パルプのISO白色度の値であるW2(%)とから算出される、白色度上昇率であるW2/W1×100の値が115%以上である、上記(1)〜(14)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(16)前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前の粘度の値であるA1(cP)と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の漂白パルプの粘度の値であるA2(cP)とから算出される、粘度保持率であるA2/A1×100の値が60%以上である、上記(1)〜(15)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。(17)前記二酸化塩素処理工程において用いる、二酸化塩素とモノ過硫酸との質量比の値が、1以上である、上記(1)〜(16)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(18)前記二酸化塩素処理工程の後に、前記二酸化塩素で処理されたパルプをさらに、過酸化水素処理で処理する過酸化水素処理工程をさらに有する、上記(1)〜(17)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
(19)前記pH測定工程において、前記処理液の処理前のpH値である処理前pH値と、前記処理液の処理後のpH値である処理後pH値とを測定する、上記(1)〜(18)のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
本発明の漂白パルプの製造方法は、リグノセルロース物質を蒸解する蒸解工程と、所定の未漂白パルプをアルカリ酸素漂白処理するアルカリ酸素漂白工程と、アルカリ酸素漂白処理されたパルプに対する二酸化塩素処理工程とを含む。二酸化塩素処理工程においては、処理の対象である処理液のpH値が所定の範囲に調整される。
本発明で用いられるリグノセルロース物質としては、ヘキセンウロン酸を生成するメチルグルクロン酸を多く含有する広葉樹材が好適であるが、針葉樹材でもよい。また、リグノセルロース物質は、竹や麻のような非木材であってもよく、さらに、上述の広葉樹材、針葉樹材、及び、非木材の混合物でもよく、特に限定されるものではない。
本発明おいては、リグノセルロース物質を蒸解する蒸解工程によって未漂白パルプが得られる。蒸解工程において使用される未漂白パルプを得るための蒸解法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、酸性サルファイト蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができるが、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法、または、ポリサルファイド蒸解が好適に用いられる。
本発明の漂白パルプの製造方法の対象は、特に限定されないものの、製紙用パルプであることが好ましい。
上述の蒸解により得られた未漂白パルプは、必要に応じて、洗浄、粗選、及び精選工程を経る。その後、アルカリ酸素漂白工程により、さらなる脱リグニン処理が施され、漂白される。
アルカリ酸素漂白工程として、公知の中濃度法あるいは高濃度法が適用できるが、パルプ濃度が8〜40質量%であることが好ましく、パルプ濃度が10〜35質量%であることがより好ましい。
すなわち、酸素ガスの添加率は、絶乾(BD;bonedry)パルプ質量当たり0.5〜3質量%、アルカリ添加率は0.5〜4質量%、反応温度は80〜120℃、反応時間は15〜100分、パルプ濃度は8〜40質量%、好ましくは10〜35質量%であり、この他の条件は公知のものが適用できる。
二酸化塩素処理工程においては、好ましくは洗浄工程にて洗浄されたパルプに対して、以下のように、二酸化塩素処理が施される。二酸化塩素処理においては、アルカリ酸素漂白工程により得られたパルプに対して、モノ過硫酸と二酸化塩素とが添加される。
二酸化塩素処理工程において、モノ過硫酸の絶乾パルプ質量当たりの添加量は、0.01〜2.00質量%であることが好ましく、より好ましくは0.02〜1.00質量%であり、さらに好ましくは0.05〜0.80質量%であり、特に好ましくは、0.1〜0.6質量%である。
このように、本発明にて用いられる二酸化塩素処理工程においては、高価な二酸化塩素の使用量を抑制することが可能であるため、コストの面で有利である。さらに、二酸化塩素とモノ過硫酸とを併用することにより、パルプを効率的に漂白させることもできる。
また、本発明においては、分子状の塩素が不要であるのみならず、塩素系の化合物である二酸化塩素の使用量も最低限であり、安全が確保される他、環境負荷を抑えられるという効果も認められる。
また、二酸化塩素処理工程において用いる、二酸化塩素とモノ過硫酸との質量比の値(二酸化塩素の質量/モノ過硫酸の質量)については、1以上であること、すなわち、二酸化塩素をモノ過硫酸よりも多く用いることが好ましく、上記比の値は、2以上であることが好ましい。
二酸化塩素処理工程においては、処理液のpH値を良好な範囲に維持することが好ましい。具体的には、二酸化塩素処理工程における処理液のpH値を2〜8に調整し、好ましくはpH値を3〜8、より好ましくは4〜8、さらに好ましくは4.5〜7.5、特に好ましくは5〜7に調整する。
さらに、pH値が所定の範囲内にあると二酸化塩素から漂白活性のあるイオンが効率的に生成されることから、二酸化塩素処理工程においては、当該処理工程の処理中のpH値のみならず、当該処理工程の処理前の処理液のpH値である処理前pH値、特に、当該処理工程の開始時あるいは開始直前のpH値、及び、処理後のpH値である処理後pH値、特に処理直後の処理液のpH値が、いずれも2〜8等の上述の範囲内となるように調整されることが好ましい。ただし、処理前pH値と処理後pH値の少なくともいずれかが、2〜8等の上述の範囲内にあっても良い。また、二酸化塩素処理工程の処理の間、常に、処理液のpH値が2〜8等の上述の範囲内にあることが好ましい。
二酸化塩素処理工程は、処理の対象である処理液のpH値を測定するpH測定工程をさらに有することが好ましい。
また、二酸化塩素処理工程において、処理後のパルプのK価とヘキセンウロン酸含有量との値を抑制する観点からは、処理液のpH値の範囲は好ましくは2〜6.5であり、より好ましくは2.5〜6であり、さらに好ましくは、3〜5.5であるように、調整される。
このように、pH値の経時変化に留意しつつ、当該処理工程において常に処理液のpH値を好適な範囲に調整する二酸化塩素処理工程においては、パルプを必要以上に厳しい条件下にさらすことなく、効率的な漂白が可能である。
また、二酸化塩素処理工程の処理液のpH調整のために、公知のアルカリおよび酸を処理液に添加することができる。
処理前pH値が、3.0以下であるとき、処理前pH値と処理後pH値との差が1.0以下であることが好ましく、処理前pH値と処理後pH値との差が0.5以下であることがより好ましい。
処理前pH値が、3.0より高く5.5以下であるとき、処理前pH値と処理後pH値との差が2.0以下であることが好ましく、処理前pH値と処理後pH値との差が1.6以下であることがより好ましい。
また、処理前pH値が、5.5より高く8.0以下であるとき、処理前pH値と処理後pH値との差が2.5以下であることが好ましく、処理前pH値と処理後pH値との差が2.0以下であることがより好ましく、1.6以下であることが特に好ましい。
二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプのISO白色度は、60(%)以上であることが好ましく、65(%)以上であることがより好ましく、70(%)以上であることがさらに好ましく、72(%)以上であることが特に好ましい。
なお、漂白パルプのISO白色度は高い方が好ましいため、その上限値は重要でないものの、二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプのISO白色度の上限値は、例えば、90(%)以下である。
白色度上昇率は高い方が好ましいため、その上限値は重要でないものの、例えば、白色度上昇率の上限値は160%以下である。
なお、二酸化塩素処理工程においては、パルプの白色度の値を測定する白色度測定工程をさらに有することが好ましく、処理の対象であるパルプの処理前(特に、処理開始の直前)の処理前ISO白色度の値と、二酸化塩素処理工程における処理後(特に、処理終了の直後)の処理後ISO白色度の値を測定する白色度測定工程をさらに有することが好ましい。
また、処理前K価であるK1と、処理後K価であるK2とから算出される、K価残存率であるK2/K1×100の値が80%以下であることが好ましく、70%以下であることが好ましい。K価残存率は、65%以下であることがより好ましく、60%以下であることがさらに好ましく、50%以下、例えば45%以下であることが特に好ましい。
K価残存率は低い方が好ましいため、その下限値は重要でないものの、例えば、K価残存率は20%以上である。
なお、二酸化塩素処理工程によって得られるパルプの粘度の値(cP)は、10以上30以下であることが好ましく、より好ましくは15以上25以下である。
なお、ヘキセンウロン酸含有量は低い方が好ましいため、その下限値は重要でないものの、二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含有量は、例えば、10.00μmol/g以上である。
ヘキセンウロン酸含有量の残存率であるH2/H1×100の値は、80%以下であることがより好ましく、75%以下であることがさらに好ましく、70%以下、例えば、60%以下や50%以下であることが特に好ましい。
ヘキセンウロン酸含有量は低い方が好ましいため、その下限値は重要でないものの、例えば、ヘキセンウロン酸含有量は20%以上である。
なお、パルプの粘度の保持率は高い方が好ましいため、その上限値は重要でないものの、二酸化塩素処理工程の後のパルプの粘度の保持率は、例えば、100%以下である。
また、二酸化塩素処理工程は、パルプの粘度の値を測定する粘度測定工程をさらに有することが好ましく、二酸化塩素処理工程においては、当該処理工程の処理中のパルプの粘度の値、当該処理工程の処理前のパルプの粘度の値である処理前粘度値、特に、当該処理工程の開始時あるいは開始直前の粘度値、及び、処理後の粘度値である処理後粘度値、特に処理直後のパルプの粘度値を測定することが好ましい。
なお、二酸化塩素処理工程によって得られるパルプの粘度の値(cP)は、10以上30以下であることが好ましく、より好ましくは15以上25以下である。
過酸化水素処理工程においては、洗浄されたパルプに対して、過酸化水素が添加される。また、過酸化水素処理工程は、二酸化塩素処理工程の後段であることが好ましく、この場合、少なくとも一度は二酸化塩素処理が施されたパルプが、過酸化水素処理工程の対象となる。
また、過酸化水素処理工程における処理温度は、好ましくは20〜100℃、より好ましくは40〜90℃である。過酸化水素処理工程においては、反応系のpH値を8〜14に調整することが好ましく、より好ましくは、pH値は10.5〜12.0に調整される。pHの調整には、公知のアルカリおよび酸を使用することができる。また、過酸化水素処理工程におけるパルプ濃度に関しては特に限定されるものではないが、操作性の点から好適には8〜15質量%で行われる。
過酸化水素処理工程におけるマグネシウム塩の添加率は、絶乾パルプ質量に対してMgが0.01〜1.0質量%となる量が好ましく、より好ましくは、絶乾パルプ質量に対してMgが0.02〜0.5質量%となる量であり、さらに好ましくは、絶乾パルプ質量に対してMgが0.05〜0.2質量%となる量である。
また、過酸化水素処理工程におけるケイ酸ナトリウム化合物の添加率は、絶乾パルプ質量に対して0.1〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは、絶乾パルプ質量に対して0.2〜1.5質量%であり、さらに好ましくは、絶乾パルプ質量に対して0.5〜1.0質量%である。
漂白パルプの製造方法においては、二酸化塩素処理工程が一段のみであることが好ましい。この場合、漂白パルプの製法の工程を簡素化することができる。ただし、漂白パルプの製造方法において、アルカリ酸素漂白処理されたパルプに対して、さらに、モノ過硫酸を行う第2の二酸化塩素処理工程が含まれていても良い。また、上述の過酸化水素処理工程に加えて、過酸化水素処理をさらに行う第2の過酸化水素処理工程が含まれていても良い。なお、第2の二酸化塩素処理工程と、第2の過酸化水素処理工程とが含まれる漂白パルプの製造方法においても、少なくともいずれかの過酸化水素処理工程は、二酸化塩素処理の後段であることが好ましい。
45質量%過酸化水素水(三菱ガス化学製)15.2g中に98%硫酸(試薬特級、キシダ化学製)60.2gを添加し、モノ過硫酸を製造した。製造したモノ過硫酸水溶液の組成は、モノ過硫酸23.4質量%、過酸化水素1.8質量%、硫酸59.8質量%、水15.0質量%であった。
漂白パルプを離解後、ISO3688−1977に従って、坪量400g/m2のシートを2枚作製し、JIS P 8148に従ってパルプの白色度(%)を測定した。
過マンガン酸カリウム価の測定は、TAPPI UM 253に準じて行った。
完全洗浄したパルプを絶乾質量で0.8g精秤した。このパルプを耐圧容器に入れ、純水80mLを加えた後、蟻酸を加えてpH値を3に調整した。この耐圧容器をオーブンに入れ、120℃で4時間処理し、HexAを酸加水分解した。処理後ろ過を行い、濾別された溶液中に存在する、HexAの酸加水分解物である2−フランカルボン酸と5−カルボキシ−2−フランアルデヒドをHPLCにて定量し、それらのモル量の合計から元のHexA量を求めた。
パルプ粘度の測定は、J.TAPPI No.44法に準じて行った。
使用した未晒パルプの物性を以下に示す。
未晒パルプ:アルカリ酸素漂白後パルプ
パルプ1:ISO白色度 48.0%、K価 8.0、HexA含量 44.9μmol/パルプg、粘度 24.19cP
パルプ2:ISO白色度 54.1%、K価 6.6、HexA含量 37.8μmol/パルプg、粘度 19.07cP
上述の漂白処理後の各パルプ(パルプ1又はパルプ2)に純水を添加してパルプ濃度2.4%とし、次いでパルプ濃度20%になるまで脱水した(洗浄率90%)。
未晒パルプ1を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度12%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが4.5程度となる量の水酸化ナトリウム水溶液を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。このときのpHは4.8であった。
60℃の恒温水槽に36分間浸漬することにより、漂白処理を行った(二酸化塩素処理工程)。上記の洗浄条件で洗浄した漂白後のパルプを、純水で2Lに希釈後、亜硫酸水でpH5.5に調整し、ブフナーロート上に2枚のパルプシートを作製した(酸性抄紙)。12時間風乾後、抄紙したサンプルのISO白色度、K価、HexA量を測定した。
未晒パルプ1を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度12%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが6程度となる量の水酸化ナトリウム水溶液を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。
このときのpHは6.3であった。それ以降は、実施例1と同様の操作を行った。
未晒パルプ2を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが2.5程度となる量の硫酸を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。このときのpHは2.5であった。
60℃の恒温水槽に30分間浸漬することにより、漂白処理を行った(二酸化塩素処理工程)それ以降は、実施例1と同様の操作を行った。
未晒パルプ2を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが5.0程度となる量の水酸化ナトリウム水溶液を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。
このときのpHは5.2であった。それ以降は、実施例3と同様の操作を行った。
未晒パルプ2を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが6.5程度となる量の水酸化ナトリウム水溶液を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。
このときのpHは6.6であった。それ以降は、実施例3と同様の操作を行った。
未晒パルプ1を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度12%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが1.5程度となる量の硫酸を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二
酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。
このときのpHは1.4であった。それ以降は実施例1と同様の操作を行った。
未晒パルプ1を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度12%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが8.0程度となる量の水酸化ナトリウム水溶液を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。
このときのpHは8.1であった。それ以降は実施例1と同様の操作を行った。
未晒パルプ2を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが1.5程度となる量の硫酸を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。
このときのpHは1.3であった。それ以降は実施例3と同様の操作を行った。
未晒パルプ2を、ポリエチレン袋に絶乾質量16g、サンプリングした。パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸膜濾過水を添加後、反応開始時のpHが8.0程度となる量の水酸化ナトリウム水溶液を添加してよく混合した。その後、パルプ質量に対して0.75質量%の二酸化塩素と0.4質量%のモノ過硫酸を添加し、さらに混合した。
このときのpHは8.2であった。それ以降は実施例3と同様の操作を行った。
なお、図1〜3の各グラフにおいては、左右両端の点が、比較例の結果を示し、それ以外の点が実施例の結果を示す。
Claims (19)
- リグノセルロース物質を蒸解する蒸解工程と、
前記蒸解工程により得られる未漂白パルプを、アルカリ酸素漂白するアルカリ酸素漂白工程と、
前記アルカリ酸素漂白工程により得られるパルプを、モノ過硫酸を併用しつつ二酸化塩素で処理する二酸化塩素処理工程と、
を備えた漂白パルプの製造方法であって、
前記二酸化塩素処理工程における処理液のpH値が2〜8の範囲内にあり、
前記二酸化塩素処理工程における処理前の前記処理液のpH値である処理前pH値が3.0以下であるとき、前記処理前pH値と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の前記処理液のpH値である処理後pH値との差が1.0以下であり、
前記処理前pH値が、3.0より高く5.5以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が2.0以下であり、
前記処理前pH値が、5.5より高く8.0以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が2.5以下である、漂白パルプの製造方法。 - 前記二酸化塩素処理工程において、前記モノ過硫酸の添加量が、絶乾パルプ質量当たり0.01〜2.00質量%であり、且つ前記二酸化塩素の添加量が、絶乾パルプ質量当たり0.01〜2.00質量%である、請求項1に記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記二酸化塩素処理工程の時間が、20〜200分間であり、前記二酸化塩素処理工程における温度が、40〜70℃である、請求項1又は2のいずれかに記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記漂白パルプが、製紙用パルプである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である処理液のpH値を測定するpH測定工程をさらに有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記二酸化塩素処理工程における処理前の前記処理液のpH値である処理前pH値と、処理後の前記処理液のpH値である処理後pH値とのいずれもが2〜8の範囲内にある、請求項1〜5のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記処理前pH値と、前記処理後pH値との差が、2.0以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記処理前pH値が、3.0以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が0.5以下であり、
前記処理前pH値が、3.0より高く5.5以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が1.6以下であり、
前記処理前pH値が、5.5より高く8.0以下であるとき、前記処理前pH値と前記処理後pH値との差が2.0以下である、請求項7に記載の漂白パルプの製造方法。 - 前記二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプのISO白色度が60%以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプのK価が、1.50〜4.50である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前のK価である処理前K価と、前記二酸化塩素処理工程における処理後のK価である処理後K価とを測定するK価測定工程をさらに有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記処理前K価であるK1と、前記処理後K価であるK2とから算出される、K価残存率であるK2/K1×100の値が80%以下である、請求項11に記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記二酸化塩素処理工程の後の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含有量が、30.00μmol/g以下である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前のヘキセンウロン酸含有量の値であるH1(μmol/g)と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含有量の値であるH2(μmol/g)とから算出される、ヘキセンウロン酸含有量の残存率であるH2/H1×100の値が90%以下である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前のISO白色度の値であるW1(%)と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の漂白パルプのISO白色度の値であるW2(%)とから算出される、白色度上昇率であるW2/W1×100の値が115%以上である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
- 二酸化塩素処理工程における処理の対象である前記パルプの処理前の粘度の値であるA1(cP)と、前記二酸化塩素処理工程における処理後の漂白パルプの粘度の値であるA2(cP)とから算出される、粘度保持率であるA2/A1×100の値が60%以上である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記二酸化塩素処理工程において用いる、二酸化塩素とモノ過硫酸との重量比の値が、1以上である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記二酸化塩素処理工程の後に、前記二酸化塩素で処理されたパルプをさらに、過酸化水素処理で処理する過酸化水素処理工程をさらに有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の漂白パルプの製造方法。
- 前記pH測定工程において、前記処理液の処理前のpH値である処理前pH値と、前記処理液の処理後のpH値である処理後pH値とを測定する、請求項5に記載の漂白パルプの製造方法。
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