以下、本実施形態の発電ユニット1について説明する。
<発電ユニット1の構成>
図1に示すように、本実施形態の発電ユニット1は、燃料電池発電装置2と、第一電力変換器4と、第二電力変換器5と、制御装置8と、複数(同図では、三つ)の補機9とを備えている。また、第一電力変換器4は、昇圧型DC/DCコンバータ41とインバータ42とを備えており、第二電力変換器5は、降圧型DC/DCコンバータ6と、降圧型AC/DCコンバータ7と、一対のダイオード50a,50bとを備えている。なお、系統電源3に接続された一つまたは複数(同図では、一つ)の負荷31には、インバータ42から出力される交流電力および系統電源3の交流電力のうちの少なくとも一方が供給可能になっている。
(燃料電池発電装置2)
燃料電池発電装置2は、燃料と酸化剤ガスとによって発電する燃料電池スタック21cを備える発電装置であり、直流電力を出力する。図1に示すように、燃料電池発電装置2は、燃料電池スタック21cを備える燃料電池モジュール21と、熱交換器22と、水タンク23とを備えている。なお、本実施形態では、燃料電池スタック21cの発電によって生じた排熱を利用するコジェネレーションシステムが構成されている。コジェネレーションシステムは、発電ユニット1および貯湯槽24を備えている。
燃料電池モジュール21は、蒸発部21a、改質部21bおよび燃料電池スタック21cを備えており、これらは、密閉されたケーシング21d内に収容されている。また、ケーシング21d内において、蒸発部21aおよび改質部21bと、燃料電池スタック21cとの間には、燃焼部21eが形成されている。燃料電池モジュール21には、改質用原料、改質水およびカソードエア(酸化剤ガスともいい、本実施形態では空気を用いる。)が供給可能になっている。具体的には、改質用原料は、改質用原料ポンプ21fによって燃料電池モジュール21の蒸発部21aに供給される。改質水は、改質水用ポンプ21gによって水タンク23から燃料電池モジュール21の蒸発部21aに供給される。空気(カソードエア)は、カソードエアブロワ21hによって燃料電池モジュール21の燃料電池スタック21cに供給される。改質用原料ポンプ21f、改質水用ポンプ21gおよびカソードエアブロワ21hは、複数(三つ)の補機9に含まれる。
熱交換器22は、燃料電池モジュール21から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽24からの貯湯水が供給され、燃焼排ガスと貯湯水とが熱交換する熱交換器である。貯湯槽24は、貯湯水を貯湯するものであり、貯湯水は熱交換器22および貯湯槽24を循環する。熱交換器22には、燃料電池モジュール21からの排気管21iが接続(貫設)されている。また、熱交換器22には、水タンク23に接続されている凝縮水供給管21jが接続されている。
熱交換器22において、燃料電池モジュール21からの燃焼排ガスは、排気管21iを通って熱交換器22内に導入され、貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは、排気管21iを通って外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管21jを通って水タンク23に供給される。なお、水タンク23は、例えば、凝縮水をイオン交換樹脂によって純水化することができる。このようにして、熱交換器22および貯湯槽24によって、排熱回収システムが構成されている。排熱回収システムは、燃料電池モジュール21の排熱を貯湯水に回収して蓄える。
蒸発部21aは、燃料電池スタック21cの燃焼ガスにより加熱され、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに供給された改質用原料を予熱する。蒸発部21aは、生成された水蒸気と予熱された改質用原料とを混合して改質部21bに供給する。改質用原料は、例えば、天然ガス、LPガスなどの改質用気体燃料を用いることができ、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料を用いることもできる。
改質部21bは、上述した燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給される。これにより、改質部21bは、蒸発部21aから供給された水蒸気と改質用原料の混合ガスとから燃料である改質ガスを生成する。改質部21b内には、触媒(例えば、ルテニウムまたはニッケル系の触媒など)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて、水素と一酸化炭素などを含んだガスが生成される(いわゆる水蒸気改質反応)。
これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)は、燃料電池スタック21cに供給される。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。このように、改質部21bは、改質用原料(原燃料)と改質水とから改質ガス(燃料)を生成して燃料電池スタック21cに供給する。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応である。
燃料電池スタック21cは、種々の燃料電池(例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)など)を用いることができる。燃料電池スタック21cは、複数の燃料電池セル(図示略)を備えている。複数の燃料電池セルの各々は、燃料極、電解質および空気極(酸化剤極)を備えており、複数の燃料電池セルの各々は、燃料極、電解質および空気極がこの順に積層されている。燃料極には、燃料である既述の改質ガスが供給される。燃料電池セルの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路が形成されている。燃料電池セルの空気極側には、空気(カソードエア)が流通する空気流路が形成されている。空気流路には、空気(カソードエア)がカソードエアブロワ21hによって供給される。
複数の燃料電池セルの各々では、燃料極に供給された燃料と、空気極に供給された酸化剤ガス(空気)とによって発電が行われる。具体的には、燃料極では、下記化1および下記化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。すなわち、空気極で生成した酸化物イオン(O2−)が電解質を透過し、燃料極で水素と反応することにより、電気エネルギーが発生する。
(化1)
H2+O2−→H2O+2e−
(化2)
CO+O2−→CO2+2e−
(化3)
1/2O2+2e−→O2−
なお、発電に使用されなかった燃料(改質ガス)が燃料流路から導出し、発電に使用されなかった酸化剤ガス(空気)が空気流路から導出する。発電に使用されなかった燃料(改質ガス)および酸化剤ガス(空気)は、燃焼部21eにおいて燃焼される。蒸発部21aおよび改質部21bは、燃焼ガスによって加熱される。また、燃焼ガスは、ケーシング21d内を動作温度に加熱する。
(系統電源3、負荷31)
系統電源3は、交流の系統電源であり、電力会社が保有する商用の配電線網から供給される電源が挙げられる。系統電源3は、単相であっても、多相(例えば、三相)であっても良い。図1に示すように、インバータ42と負荷31との間には、電路L13が形成されており、インバータ42から出力された交流電力を負荷31に給電可能になっている。また、系統電源3と負荷31との間には、電路L14が形成されており、系統電源3の交流電力を負荷31に給電可能になっている。
負荷31は、電力を駆動源とする負荷であり、例えば、家庭用電気機器(電化製品など)や産業用電気機器(ロボットなど)が挙げられる。負荷31は、一つであっても複数であっても良い。なお、図1では、電路L13および電路L14は、それぞれ一本の直線によって模式的に示されている。実際は、複数の電路が設けられており、各電路は、例えば、公知の電力用電線などを用いて形成されている。以上のことは、後述する電路についても同様である。
(第一電力変換器4)
第一電力変換器4は、燃料電池スタック21cと系統電源3との間に設けられており、昇圧型DC/DCコンバータ41およびインバータ42を備えている。図1に示すように、燃料電池スタック21cと昇圧型DC/DCコンバータ41との間は、電路L11によって接続されており、昇圧型DC/DCコンバータ41とインバータ42との間は、電路L12によって接続されている。
(昇圧型DC/DCコンバータ41)
昇圧型DC/DCコンバータ41は、燃料電池スタック21cから出力された直流電力を昇圧して、インバータ42に出力する。本明細書では、燃料電池スタック21cから出力された直流電力を第一直流電力という。図2に示すように、昇圧型DC/DCコンバータ41は、入力側端子41a,41bおよび出力側端子41c,41dを備えている。入力側端子41aと出力側端子41cとの間には、電路L411が形成されており、入力側端子41bと出力側端子41dとの間には、電路L412が形成されている。燃料電池スタック21cから出力された第一直流電力は、電路L11を介して、入力側端子41a,41bに入力される。昇圧型DC/DCコンバータ41によって昇圧された直流電力は、出力側端子41c,41dから出力される。なお、入力側端子41aおよび出力側端子41cは、正極(+)側であり、入力側端子41bおよび出力側端子41dは、負極(−)側である。
昇圧型DC/DCコンバータ41は、リアクトル41e、ダイオード41f、スイッチング素子41gおよびコンデンサ41hを備えている。これらの素子は、公知の電力用デバイスを用いることができる。例えば、スイッチング素子41gは、公知の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)などを用いることができ、コンデンサ41hは、公知の電解コンデンサを用いることができる。
電路L411には、入力側端子41a側から順に、リアクトル41e、ダイオード41fが設けられている。また、リアクトル41eとダイオード41fとの間の電路L411には、接続点41iが設けられており、接続点41iには、スイッチング素子41gのドレイン41g1が接続されている。スイッチング素子41gのソース41g2は、電路L412に設けられる接続点41jに接続されており、接続点41iと接続点41jとの間には、電路L413が形成されている。なお、スイッチング素子41gのゲート41g3は、ドライバ回路などの駆動回路(図示略)を介して、後述する制御装置8に接続されている。
また、ダイオード41fと出力側端子41cとの間の電路L411には、接続点41kが設けられており、接続点41kには、コンデンサ41hの一端側(正極側)が接続されている。コンデンサ41hの他端側(負極側)は、電路L412に設けられる接続点41lに接続されている。なお、昇圧型DC/DCコンバータ41は、燃料電池スタック21cから出力された第一直流電力を昇圧することができれば良く、上述の構成に限定されるものではない。
昇圧型DC/DCコンバータ41には、公知の電圧検出器、電流検出器などの各種検出器を設けることができる。例えば、昇圧型DC/DCコンバータ41の出力電圧(出力側端子41c,41dの間の直流電圧)を測定する電圧検出器を設けることができる。電圧検出器は、例えば、昇圧型DC/DCコンバータ41の出力電圧を、抵抗値が既知の抵抗器によって分圧して、分圧された電圧値に基づいて昇圧型DC/DCコンバータ41の出力電圧(直流電圧)を算出することができる。具体的には、上述した抵抗器によって分圧された直流電圧は、制御装置8に入力される。そして、制御装置8は、公知のA/D変換器(図示略)などによって分圧された直流電圧を知得し、昇圧型DC/DCコンバータ41の出力電圧(直流電圧)を算出することができる。
制御装置8は、出力電力の目標値に基づいて、昇圧型DC/DCコンバータ41を駆動させるスイッチング素子41gの制御信号であるパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)信号のデューティ比を決定する。制御装置8は、ドライバ回路などの駆動回路を介して、当該デューティ比に基づくパルス信号をスイッチング素子41gのゲート41g3に付与する。スイッチング素子41gのゲート41g3に付与される電圧がハイレベル(所定電圧値を超えている状態)のときには、スイッチング素子41gのドレイン41g1とソース41g2との間が電気的に導通された閉状態になり、リアクトル41eに電磁エネルギーが蓄えられる。
スイッチング素子41gのゲート41g3に付与される電圧がローレベル(所定電圧値以下の状態)のときには、スイッチング素子41gのドレイン41g1とソース41g2との間が電気的に遮断された開状態になり、リアクトル41eに蓄えられた電磁エネルギーがコンデンサ41hに充電されて、昇圧型DC/DCコンバータ41の出力電力は増大する。このようにして、制御装置8は、昇圧型DC/DCコンバータ41の出力電力を所望の電力値(出力電力の目標値)に制御することができる。
(インバータ42)
インバータ42は、昇圧型DC/DCコンバータ41によって昇圧された直流電力を交流電力に変換して系統電源3に接続されている負荷31に出力する。図3に示すように、インバータ42は、入力側端子42a,42bおよび出力側端子42c,42dを備えている。昇圧型DC/DCコンバータ41から出力された直流電力は、電路L12を介して、入力側端子42a,42bに入力される。インバータ42によって変換された交流電力は、出力側端子42c,42dから出力される。なお、入力側端子42aは、正極(+)側であり、入力側端子42bは、負極(−)側である。
インバータ42は、第一スイッチング素子42e〜第四スイッチング素子42hを備えており、第一スイッチング素子42e〜第四スイッチング素子42hは、ブリッジ接続されている。第一スイッチング素子42e〜第四スイッチング素子42hは、昇圧型DC/DCコンバータ41のスイッチング素子41gと同様に、公知の電界効果トランジスタ(FET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などを用いることができる。
第一スイッチング素子42e〜第四スイッチング素子42hの各ゲート42e3〜42h3は、ドライバ回路などの駆動回路(図示略)を介して、制御装置8に接続されており、第一スイッチング素子42e〜第四スイッチング素子42hは、制御装置8から出力される駆動信号に基づいて開閉制御される。例えば、第一スイッチング素子42eのゲート42e3にハイレベル(所定電圧値を超えている状態)が付与されると、第一スイッチング素子42eのドレイン42e1とソース42e2との間が電気的に導通された閉状態になる。一方、第一スイッチング素子42eのゲート42e3にローレベル(所定電圧値以下の状態)が付与されると、第一スイッチング素子42eのドレイン42e1とソース42e2との間が電気的に遮断された開状態になる。
以上のことは、第二スイッチング素子42f(ドレイン42f1、ソース42f2、ゲート42f3)についても同様である。また、第三スイッチング素子42g(ドレイン42g1、ソース42g2、ゲート42g3)についても同様である。さらに、第四スイッチング素子42h(ドレイン42h1、ソース42h2、ゲート42h3)についても同様である。制御装置8は、例えば、パルス幅変調(PWM)によりデューティ比を可変して、当該デューティ比に基づいて第一スイッチング素子42e〜第四スイッチング素子42hを開閉制御することができる。
インバータ42は、第一スイッチング素子42eおよび第四スイッチング素子42hの両方が閉状態であり、かつ、第二スイッチング素子42fおよび第三スイッチング素子42gの両方が開状態である第一状態と、第一スイッチング素子42eおよび第四スイッチング素子42hの両方が開状態であり、かつ、第二スイッチング素子42fおよび第三スイッチング素子42gの両方が閉状態である第二状態とを交互に繰り返すことによって、インバータ42の入力側端子42a,42bから入力された直流電力を交流電力に変換して、出力側端子42c,42dから交流電力を出力することができる。
なお、インバータ42と負荷31との間には、公知のフィルタ回路(図示略)を設けることができる。フィルタ回路は、例えば、公知のLC回路を用いることができる。これにより、インバータ42の出力側端子42c,42dから出力されるインバータ42の出力電流に含まれる高調波成分が低減され、インバータ42の出力電流が正弦波状に整形される。
(第二電力変換器5)
図1に示すように、第二電力変換器5は、降圧型DC/DCコンバータ6、降圧型AC/DCコンバータ7および一対のダイオード50a,50bを備えており、第二電力変換器5は、第一電力変換器4と並列接続されている。電路L11は、分岐しており、電路L11の分岐点は、電路L15の一端側と接続されている。また、電路L13は、分岐しており、電路L13の分岐点は、電路L17の一端側と接続されている。電路L15の他端側は、降圧型DC/DCコンバータ6と接続されており、電路L17の他端側は、降圧型AC/DCコンバータ7と接続されている。さらに、降圧型DC/DCコンバータ6と降圧型AC/DCコンバータ7との間は、電路L16によって接続されている。
(降圧型DC/DCコンバータ6)
降圧型DC/DCコンバータ6は、燃料電池スタック21cから出力された第一直流電力を降圧する。図4に示すように、降圧型DC/DCコンバータ6は、入力側端子60a,60bおよび出力側端子60c,60dを備えている。入力側端子60a,60bとトランスT0との間には、電路L61,L62が形成されており、トランスT0と出力側端子60c,60dとの間には、電路L63,L64が形成されている。なお、電路L61,L62の間には、コンデンサC01が接続されており、第一直流電力のリップルが低減されている。
燃料電池スタック21cから出力された第一直流電力は、電路L15を介して、入力側端子60a,60bに入力される。降圧型DC/DCコンバータ6によって降圧された直流電力は、出力側端子60c,60dから出力される。本明細書では、降圧型DC/DCコンバータ6から出力される直流電力を第二直流電力という。なお、入力側端子60aおよび出力側端子60cは、正極(+)側であり、入力側端子60bおよび出力側端子60dは、負極(−)側である。図4に示すように、降圧型DC/DCコンバータ6は、電源制御回路61と、駆動制御回路62と、放電回路63とを備えている。電源制御回路61は、トランスT0と、駆動用スイッチング素子Q0と、電源制御ICと、フィードバック検出回路FBとを備えている。電源制御回路61には、電源制御ICの周辺回路が含まれる。
トランスT0は、一次巻線T0aと二次巻線T0bと補助巻線T0cとを備えている。一次巻線T0aは、第一直流電力が供給される側に設けられ、二次巻線T0bは、第二直流電力が出力される側に設けられる。一次巻線T0aの巻数および二次巻線T0bの巻数は、第一直流電力の直流電圧と第二直流電力の直流電圧との変圧比に合わせて設定されている。補助巻線T0cは、二次巻線T0bに生成される交流電力を降圧して一次巻線T0a側の回路に出力する。トランスT0は、公知の電力用トランスを用いることができ、一次側と二次側とが電気的に絶縁された絶縁トランスを用いると好適である。
駆動用スイッチング素子Q0は、一次巻線T0aと直列接続されており、第一直流電力の供給を断続させる。具体的には、一次巻線T0aの一端側(巻始め側)は、電路L61を介して、入力側端子60aと接続されている。一次巻線T0aの他端側(巻終り側)は、駆動用スイッチング素子Q0のドレインQ0aと接続されている。駆動用スイッチング素子Q0のソースQ0bは、シャント抵抗器Rsおよび電路L62を介して、入力側端子60bと接続されている。また、駆動用スイッチング素子Q0のゲートQ0cは、抵抗器R01を介して、電源制御ICの出力端子TOUTに接続されている。
駆動用スイッチング素子Q0は、例えば、公知の電界効果トランジスタ(FET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などを用いることができる。電源制御ICの出力端子TOUTから抵抗器R01を介して、駆動用スイッチング素子Q0のゲートQ0cにハイレベル(所定電圧値を超えている状態)が付与されると、駆動用スイッチング素子Q0のドレインQ0aとソースQ0bとの間が電気的に導通された閉状態になる。一方、電源制御ICの出力端子TOUTから抵抗器R01を介して、駆動用スイッチング素子Q0のゲートQ0cにローレベル(所定電圧値以下の状態)が付与されると、駆動用スイッチング素子Q0のドレインQ0aとソースQ0bとの間が電気的に遮断された開状態になる。閉状態および開状態を交互に繰り返すことにより、駆動用スイッチング素子Q0は、第一直流電力の供給を断続させることができる。
本実施形態の降圧型DC/DCコンバータ6は、フライバック型のDC/DCコンバータである。フライバック型のDC/DCコンバータは、駆動用スイッチング素子Q0が閉状態のときに、トランスT0のコアに電磁エネルギーを蓄える。そして、駆動用スイッチング素子Q0が閉状態から開状態に切り替わると、トランスT0の一次側から二次側に電力が伝えられる。よって、一次巻線T0aの巻始め位置は、二次巻線T0bの巻終り位置に対向し、一次巻線T0aの巻終り位置は、二次巻線T0bの巻始め位置に対向している。図4では、一次巻線T0aおよび二次巻線T0bの巻始め位置が、それぞれ黒丸で示されている。
トランスT0の二次側には、ダイオードD01とコンデンサC02とを備える整流回路が設けられている。具体的には、二次巻線T0bの一端側(巻終り側)には、ダイオードD01のアノード側が接続され、ダイオードD01のカソード側は、コンデンサC02の正極側に接続されている。コンデンサC02の負極側は、二次巻線T0bの他端側(巻始め側)に接続されている。二次巻線T0bの一端側(巻終り側)と出力側端子60cとの間には、電路L63が形成されており、二次巻線T0bの他端側(巻始め側)と出力側端子60dとの間には、電路L64が形成されている。ダイオードD01は、公知の整流ダイオードを用いることができ、コンデンサC02は、公知の電解コンデンサを用いることができる。整流回路により、二次巻線T0bから出力された交流電力は、整流および平滑されて第二直流電力が生成され、生成された第二直流電力は、出力側端子60c,60dから出力される。
電源制御ICは、擬似共振型(RCC:Ringing Choke Converter)の電源制御用集積回路である。擬似共振型の電源制御ICは、トランスT0の一次巻線T0aのインダクタンスと、駆動用スイッチング素子Q0の静電容量(寄生容量)とによる共振現象を利用して、自励発振を行う。なお、駆動用スイッチング素子Q0のドレインQ0aとソースQ0bとの間に、別途、共振用のコンデンサを設けることもできる。図4に示すように、電源制御ICは、制御ブロックとして捉えると、起動制御部ICaと、タイミング検出部ICbと、フィードバック検出部ICcと、電流検出部ICdと、駆動信号出力部ICeとを備えている。
起動制御部ICaは、電源制御ICの高圧端子TVHおよび抵抗器R02を介して、電路L61に接続されており、燃料電池スタック21cから出力された第一直流電力が、電源制御ICの起動時の駆動用電源として供給可能になっている。具体的には、高圧端子TVHと、第一直流電力の基準電位と同電位のグランド端子TGNDとの間の端子間電圧が所定電圧値以上になると、起動制御部ICaが起動する。起動制御部ICaは、電源端子TVCCを介して、電源端子TVCCとグランド端子TGNDとの間に設けられる起動コンデンサC03を充電する。これにより、電源端子TVCCとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧が上昇し、当該端子間電圧が所定電圧値以上になると、電源制御ICが起動して、駆動用スイッチング素子Q0の開閉信号を出力可能になる。
このように、トランスT0の補助巻線T0cから電源端子TVCCに電力供給がない場合、燃料電池スタック21cから出力された第一直流電力が、電源制御ICの駆動用電源として供給される。一方、トランスT0の補助巻線T0cから電源端子TVCCに電力供給が可能になると、起動制御部ICaは、起動コンデンサC03の充電を停止する。この場合、電源制御ICは、補助巻線T0cから供給される電力によって駆動され、起動コンデンサC03は、補助巻線T0cから供給される電力によって充電される。具体的には、補助巻線T0cから供給された交流電力は、ダイオードD02によって整流され、起動コンデンサC03によって平滑されて、電源端子TVCCに直流電力が供給される。
タイミング検出部ICbは、駆動用スイッチング素子Q0を開状態から閉状態に切り替えるタイミングを検出する。具体的には、タイミング検出部ICbは、電源制御ICのゼロクロス検出端子TZCDを介して、直列接続された二つの抵抗器R04,R05の一端側(抵抗器R04側)に接続されている。直列接続された二つの抵抗器R04,R05の他端側(抵抗器R05側)は、グランド端子TGNDと同電位の電路L62に接続されている。また、抵抗器R04と抵抗器R05との間には、補助巻線T0cの一端側(巻終り側)が接続されている。補助巻線T0cの他端側(巻始め側)は、グランド端子TGNDに接続されている。
補助巻線T0cから供給される交流電力の経時変化に合わせて、ゼロクロス検出端子TZCDとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧が変動する。そのため、タイミング検出部ICbは、駆動用スイッチング素子Q0を開状態から閉状態に切り替えるタイミングを知得することができる。例えば、駆動信号出力部ICeは、ゼロクロス検出端子TZCDとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧が所定電圧値以下になったときに、駆動用スイッチング素子Q0を開状態から閉状態に切り替えるタイミングであると判断することができる。
フィードバック検出部ICcは、トランスT0の二次側からのフィードバック信号を検出する。トランスT0の二次側の電路L63と電路L64との間には、フィードバック検出回路FBが設けられている。フィードバック検出回路FBは、降圧型DC/DCコンバータ6の過負荷状態を検出することができれば良く、限定されない。本実施形態では、フィードバック検出回路FBは、直列接続された二つの抵抗器R06,R07と、直列接続された抵抗器R08、フォトカプラPC0のフォトダイオードPD0およびシャントレギュレータSR0と、これらの間に接続されるコンデンサC04とを備えている。
直列接続された二つの抵抗器R06,R07は、降圧型DC/DCコンバータ6の出力電圧(電路L63と電路L64との間の電圧)を分圧する。分圧された電圧は、シャントレギュレータSR0のリファレンスSR0bに入力される。シャントレギュレータSR0は、カソードSR0cからリファレンスSR0bへのネガティブフィードバックにより、アノードSR0aとカソードSR0cとの間の電圧が変化する可変型のシャントレギュレータである。これにより、降圧型DC/DCコンバータ6の出力電力(出力電圧)の変化に応じて、シャントレギュレータSR0のリファレンスSR0bに入力される電圧が変化し、シャントレギュレータSR0のアノードSR0aとカソードSR0cとの間の電圧が変化する。
フォトカプラPC0のフォトトランジスタPT0は、コレクタPC0cが電源制御ICの動作基準端子TFBに接続されており、エミッタPC0dが電源制御ICのグランド端子TGNDに接続されている。動作基準端子TFBは、電源制御ICの内部においてダイオード、抵抗器等を介して内部電源(いずれも図示略)にバイアスされている。降圧型DC/DCコンバータ6の出力電力が増大すると、出力電圧(電路L63と電路L64との間の電圧)が低下する。そして、フォトダイオードPD0のアノードPC0bとカソードPC0aとの間の電圧が所定電圧値以下になると、フォトトランジスタPT0は、コレクタPC0cとエミッタPC0dとの間が電気的に遮断された開状態になる。その結果、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、上昇する。電源制御ICは、この状態を検出して過負荷状態を判定することができる。
電流検出部ICdは、駆動用スイッチング素子Q0に流れる電流(ドレインQ0aとソースQ0bとの間に流れる電流)を検出する。具体的には、電流検出部ICdは、電源制御ICの電流検出端子TISおよび抵抗器R03を介して、駆動用スイッチング素子Q0のソースQ0bとシャント抵抗器Rsとの間に接続されている。これにより、電流検出部ICdは、シャント抵抗器Rsによる電圧降下分を電流値に変換して、駆動用スイッチング素子Q0に流れる電流値を検出することができる。
電流検出端子TISとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、電圧レベルが調整されて電流検出値に変換され、電源制御ICの内部の電流コンパレータ(図示略)に入力される。また、既述した動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、電圧レベルが調整されて基準電流値に変換され、上述した電流コンパレータに入力される。電流検出値が基準電流値に到達すると、駆動信号出力部ICeは、駆動用スイッチング素子Q0を閉状態から開状態に切り替える。
駆動信号出力部ICeは、駆動用スイッチング素子Q0の駆動信号を出力する。具体的には、駆動信号出力部ICeは、電源制御ICの出力端子TOUTおよび抵抗器R01を介して、駆動用スイッチング素子Q0のゲートQ0cに接続されている。また、駆動信号出力部ICeには、タイミング検出部ICbの検出結果および上述した電流コンパレータの比較結果が入力される。これらに基づいて、駆動信号出力部ICeは、駆動用スイッチング素子Q0を開状態から閉状態に切り替えることができ、駆動用スイッチング素子Q0を閉状態から開状態に切り替えることができる。具体的には、駆動信号出力部ICeは、出力端子TOUTから抵抗器R01を介して、駆動用スイッチング素子Q0のゲートQ0cにハイレベル(所定電圧値を超えている状態)を付与することにより、駆動用スイッチング素子Q0を閉状態にする。また、駆動信号出力部ICeは、出力端子TOUTから抵抗器R01を介して、駆動用スイッチング素子Q0のゲートQ0cにローレベル(所定電圧値以下の状態)を付与することにより、駆動用スイッチング素子Q0を開状態にする。
駆動制御回路62は、電源制御ICに対して駆動許可または駆動禁止を指示する制御回路である。駆動許可は、第二直流電力の出力を許可する指示をいい、駆動禁止は、第二直流電力の出力を禁止する指示をいう。既述したように、電流検出端子TISとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧に基づく電流検出値が、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧に基づく基準電流値に到達すると、電源制御ICの駆動信号出力部ICeは、駆動用スイッチング素子Q0を閉状態から開状態に切り替えて、降圧型DC/DCコンバータ6の第二直流電力の出力を停止させる。そのため、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧を操作することにより、駆動許可または駆動禁止を規定することができる。つまり、電源制御ICは、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧が所定電圧値(例えば、グランド端子TGNDと略同電位の電圧値)を超えているときに駆動制御回路62から駆動許可が指示され、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧が所定電圧値以下のときに駆動制御回路62から駆動禁止が指示されると好適である。
また、降圧型DC/DCコンバータ6は、同一構成の駆動制御回路62を複数(本実施形態では、二つ)備えており、駆動制御回路62が多重化されていると好適である。本明細書では、説明の便宜上、複数(二つ)の駆動制御回路62のうちの一方を第一駆動制御回路62aとし、複数(二つ)の駆動制御回路62のうちの他方を第二駆動制御回路62bとする。
第一駆動制御回路62aは、第一直流電力の高電位側に設けられる一つまたは複数(本実施形態では、二つ)の第一抵抗器R11,R12と、第一直流電力の低電位側に設けられる第一動作制御用スイッチング素子Q1とが直列接続されていると好適である。また、電源制御ICの動作基準端子TFBは、第一駆動制御回路62aの一つまたは複数(本実施形態では、二つ)の第一抵抗器R11,R12と第一動作制御用スイッチング素子Q1との間に接続されていると好適である。
具体的には、直列接続された複数(二つ)の第一抵抗器R11,R12の一端側は、電路L61(第一直流電力の高電位側)に接続されている。直列接続された複数(二つ)の第一抵抗器R11,R12の他端側は、第一動作制御用スイッチング素子Q1のベースQ1aに接続されている。第一動作制御用スイッチング素子Q1のコレクタQ1bは、電源制御ICの動作基準端子TFBに接続され、第一動作制御用スイッチング素子Q1のエミッタQ1cは、電路L62(第一直流電力の低電位側)に接続されている。なお、図4に示すように、第一動作制御用スイッチング素子Q1には、過電流および過電圧から第一動作制御用スイッチング素子Q1を保護する抵抗器が設けられている。このことは、後述する第二動作制御用スイッチング素子Q2についても同様である。
また、直列接続された複数(二つ)の第一抵抗器R11,R12の他端側と、第一動作制御用スイッチング素子Q1のベースQ1aとの間には、第一フォトカプラPC1の第一フォトトランジスタPT1のコレクタPC1cが接続されている。第一フォトトランジスタPT1のエミッタPC1dは、電路L62(第一直流電力の低電位側)に接続されている。第一フォトカプラPC1の第一フォトダイオードPD1のアノードPC1aは、外部端子60eに接続され、第一フォトダイオードPD1のカソードPC1bは、外部端子60hに接続されている。外部端子60hは、制御用グランドと同電位である。制御用グランドは、既述したグランド端子TGNDとは電気的に絶縁されており、制御回路の基準電位である。
外部端子60e,60hは、制御装置8の出力ポート(図示略)に接続されており、制御装置8から制御電圧が印加可能になっている。外部端子60e,60h間の端子間電圧がローレベル(所定電圧値以下の状態)の場合、第一フォトトランジスタPT1は、コレクタPC1cとエミッタPC1dとの間が電気的に遮断された開状態になる。そのため、第一直流電力の直流電圧(電路L61と電路L62との間の電圧)が第一動作制御用スイッチング素子Q1に供給され、第一動作制御用スイッチング素子Q1のベースQ1aとエミッタQ1cとの間の電圧(ベース・エミッタ間電圧)が所定電圧値を超えると、第一動作制御用スイッチング素子Q1のコレクタQ1bとエミッタQ1cとの間が電気的に導通した閉状態になる。その結果、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、グランド端子TGNDと略同電位になり、電源制御ICは、第一駆動制御回路62aから駆動禁止が指示される。
このように、第一直流電力の直流電圧が、降圧型DC/DCコンバータ6から第二直流電力を出力可能になる出力可能下限値を超えるまでの間に、第一直流電力を用いて第一動作制御用スイッチング素子Q1が閉状態にされ、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧が所定電圧値以下に設定されて、電源制御ICは、第一駆動制御回路62aから駆動禁止が指示されると好適である。なお、降圧型DC/DCコンバータ6は、第一直流電力を降圧して第二直流電力を出力するので、出力可能下限値は、少なくとも第二直流電力の直流電圧値を超えている。
一方、外部端子60e,60h間の端子間電圧がハイレベル(所定電圧値を超えている状態)の場合、第一フォトトランジスタPT1は、コレクタPC1cとエミッタPC1dとの間が電気的に導通された閉状態になる。そのため、第一直流電力の直流電圧(電路L61と電路L62との間の電圧)が第一動作制御用スイッチング素子Q1に供給されても、第一動作制御用スイッチング素子Q1のベースQ1aとエミッタQ1cとの間の電圧(ベース・エミッタ間電圧)は、ローレベル(所定電圧値以下の状態)が維持され、第一動作制御用スイッチング素子Q1のコレクタQ1bとエミッタQ1cとの間は電気的に遮断された開状態になる。その結果、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、グランド端子TGNDと略同電位の電圧には拘束されず、電源制御ICは、第一駆動制御回路62aから駆動許可が指示される。
第二駆動制御回路62bは、第一直流電力の高電位側に設けられる一つまたは複数(本実施形態では、二つ)の第二抵抗器R21,R22と、第一直流電力の低電位側に設けられる第二動作制御用スイッチング素子Q2とが直列接続されている。また、電源制御ICの動作基準端子TFBは、第二駆動制御回路62bの一つまたは複数(本実施形態では、二つ)の第二抵抗器R21,R22と第二動作制御用スイッチング素子Q2との間に接続されている。第一駆動制御回路62aについて既述したことは、第二駆動制御回路62bについても同様に言える。
具体的には、複数(二つ)の第二抵抗器R21,R22は、複数(二つ)の第一抵抗器R11,R12に相当する。また、第二動作制御用スイッチング素子Q2(ベースQ2a、コレクタQ2b、エミッタQ2c)は、第一動作制御用スイッチング素子Q1(ベースQ1a、コレクタQ1b、エミッタQ1c)に相当する。さらに、第二フォトカプラPC2(第二フォトダイオードPD2、第二フォトトランジスタPT2)は、第一フォトカプラPC1(第一フォトダイオードPD1、第一フォトトランジスタPT1)に相当する。また、第二フォトダイオードPD2(アノードPC2a、カソードPC2b)は、第一フォトダイオードPD1(アノードPC1a、カソードPC1b)に相当する。さらに、第二フォトトランジスタPT2(コレクタPC2c、エミッタPC2d)は、第一フォトトランジスタPT1(コレクタPC1c、エミッタPC1d)に相当する。また、第二フォトダイオードPD2のアノードPC2aは、外部端子60fに接続され、第二フォトダイオードPD2のカソードPC2bは、外部端子60hに接続されている。外部端子60fは、第一駆動制御回路62aの外部端子60eに相当する。第二駆動制御回路62bの作用効果は、第一駆動制御回路62aと同様であるので、重複する説明を省略する。
電源制御ICは、過負荷時の保護機能として、ラッチ停止機能を備えている。ラッチ停止機能は、第二直流電力が所定出力値を超えている過負荷状態であるときに、駆動用スイッチング素子Q0を開状態にして第二直流電力の出力を停止させ第二直流電力が所定出力値以下になっても第二直流電力の出力を停止し続ける保護機能をいう。本実施形態では、電源制御ICは、内蔵タイマ(図示略)を備えており、過負荷状態が所定時間継続すると、駆動信号出力部ICeは、駆動用スイッチング素子Q0を開状態にする。そして、駆動信号出力部ICeは、第二直流電力が所定出力値以下になっても(過負荷状態が解消しても)、駆動用スイッチング素子Q0を開状態に維持して、第二直流電力の出力を停止し続ける。過負荷状態の判定は、既述したように、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧が所定電圧値(閾値VF0)を超えたか否かによって行うことができる。
また、第二直流電力の出力停止が継続すると、補助巻線T0cから電源端子TVCCへの電力供給が断たれるので、電源制御ICの起動制御部ICaは、電源端子TVCCを介して、電源端子TVCCとグランド端子TGNDとの間に設けられる起動コンデンサC03を充電する。本実施形態の電源制御ICにおいて、設定されたラッチ停止機能を解除するためには、第一直流電力の供給を遮断して、起動制御部ICaからの電力供給を停止させる必要がある。これにより、電源端子TVCCとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、所定電圧値(閾値VH0)以下に低下して、電源制御ICのラッチ停止機能が解除される。
このように、電源制御ICは、第一直流電力の基準電位と同電位のグランド端子TGNDとの間の端子間電圧が所定電圧値(閾値VH0)を超えているときにラッチ停止機能を設定可能にし、上記端子間電圧が所定電圧値(閾値VH0)以下になったときに設定されているラッチ停止機能を解除するラッチ基準端子TLAT(本実施形態では、電源端子TVCC)を備えていると好適である。また、起動コンデンサC03は、一端側(正極側)がラッチ基準端子TLAT(電源端子TVCC)と接続されており、他端側(負極側)がグランド端子TGNDと接続されていると好適である。この場合、起動コンデンサC03は、ラッチ停止機能が設定されているときに、ラッチ基準端子TLAT(電源端子TVCC)を介して充電されると好適である。
なお、第一直流電力は、高電圧の直流電力であるので、例えば、電路L61にリレー等の開閉器を設けて第一直流電力の供給を遮断すると、開閉器が大型化し、コストの上昇を招来する可能性がある。そこで、ラッチ基準端子TLAT(電源端子TVCC)とグランド端子TGNDとの間の端子間電圧を低下させるために、降圧型DC/DCコンバータ6は、放電回路63を備えていると好適である。
放電回路63は、一つまたは複数(本実施形態では、二つ)の抵抗器R31,R32と、放電用スイッチング素子(本実施形態では、フォトカプラPC3のフォトトランジスタPT3)とが直列接続され、起動コンデンサC03に対して並列接続されている。具体的には、直列接続された複数(二つ)の抵抗器R31,R32の一端側は、起動コンデンサC03の正極側と接続されている。直列接続された複数(二つ)の抵抗器R31,R32の他端側は、フォトトランジスタPT3のコレクタPC3cに接続されている。フォトトランジスタPT3のエミッタPC3dは、電路L62(第一直流電力の低電位側)に接続されている。フォトカプラPC3のフォトダイオードPD3のアノードPC3aは、外部端子60gに接続され、フォトダイオードPD3のカソードPC3bは、外部端子60hに接続されている。外部端子60hは、既述した制御用グランド(制御回路の基準電位)である。
外部端子60g,60hは、制御装置8の出力ポート(図示略)に接続されており、制御装置8から制御電圧が印加可能になっている。外部端子60g,60h間の端子間電圧がローレベル(所定電圧値以下の状態)の場合、フォトトランジスタPT3は、コレクタPC3cとエミッタPC3dとの間が電気的に遮断された開状態になる。そのため、起動コンデンサC03に充電されている電荷は放電されない。一方、外部端子60g,60h間の端子間電圧がハイレベル(所定電圧値を超えている状態)の場合、フォトトランジスタPT3は、コレクタPC3cとエミッタPC3dとの間が電気的に導通された閉状態になる。そのため、起動コンデンサC03に充電されている電荷が放電される。
このように、放電回路63は、放電用スイッチング素子(フォトカプラPC3のフォトトランジスタPT3)を所定時間TDC1、閉状態にすることにより起動コンデンサC03に充電されている電荷を放電すると好適である。また、一つまたは複数(本実施形態では、二つ)の抵抗器R31,R32の抵抗値および所定時間TDC1は、起動コンデンサC03に充電されている電荷の放電を許容しつつラッチ基準端子TLAT(本実施形態では、電源端子TVCC)からの放電を規制可能に、複数(二つ)の抵抗器R31,R32の抵抗値と起動コンデンサC03の静電容量とを乗じた時定数に基づいて設定されていると好適である。
複数(二つ)の抵抗器R31,R32の抵抗値(抵抗器R31,R32の抵抗値を加算)を抵抗値R3とし、起動コンデンサC03の静電容量を静電容量C3とし、時定数を時定数τとする。時定数τは、抵抗値R3と静電容量C3とを乗じて得られる。なお、放電前(時刻tが0のとき)に起動コンデンサC03に充電されている電荷を電荷Q3とし、放電前の起動コンデンサC03の端子間電圧を電圧V3とし、時刻tのときの起動コンデンサC03の端子間電圧を電圧V3(t)とする。このとき、電圧V3は、下記数1で示され、電圧V3(t)は、下記数2で示される。
(数1)
V3=Q3/C3
(数2)
V3(t)=V3×exp(−t/τ)
数1および数2から分かるように、起動コンデンサC03の端子間電圧は、放電が開始されると、放電前の電圧V3から次第に低下していく。また、起動コンデンサC03の端子間電圧は、時定数τ経過後に所定電圧(放電前の電圧V3の約36.8%)になる。このように、起動コンデンサC03に充電されている電荷を放電するのに要する所要時間を概算することができる。よって、放電用スイッチング素子(フォトカプラPC3のフォトトランジスタPT3)を閉状態にする所定時間TDC1を上述した所要時間に設定することにより、起動コンデンサC03に充電されている電荷(電荷Q3)を確実に放電することができる。また、電荷(電荷Q3)の放電完了後は、放電用スイッチング素子(フォトカプラPC3のフォトトランジスタPT3)が開状態になるので、電源制御ICの無用な電力消費を抑制することができる。このように、放電回路63は、起動コンデンサC03に充電されている電荷(電荷Q3)の放電を許容しつつ、ラッチ基準端子TLAT(電源端子TVCC)からの放電を規制することができる。
(降圧型AC/DCコンバータ7)
降圧型AC/DCコンバータ7は、系統電源3の交流電力を直流電力に変換して降圧する。図5に示すように、降圧型AC/DCコンバータ7は、入力側端子70a,70bおよび出力側端子70c,70dを備えている。図1および図5に示すように、系統電源3の交流電力は、電路L14、電路L13および電路L17を介して、降圧型AC/DCコンバータ7の入力側端子70a,70bに入力される。入力された交流電力は、降圧型AC/DCコンバータ7によって直流電力に変換されて降圧される。降圧された直流電力は、出力側端子70c,70dから出力される。本明細書では、降圧型AC/DCコンバータ7から出力される直流電力を第三直流電力という。なお、出力側端子70cは、正極(+)側であり、出力側端子70dは、負極(−)側である。
図5に示すように、降圧型AC/DCコンバータ7は、整流回路7DBと、電源制御回路71と、駆動制御回路72とを備えている。電路L71〜電路L74は、降圧型DC/DCコンバータ6の電路L61〜電路L64に相当する。整流回路7DBは、系統電源3から供給された交流電力を整流して直流電力に変換する。整流回路7DBは、例えば、公知のダイオードブリッジを用いることができる。整流回路7DBによって変換された直流電力は、電路L71,L72を介して、電源制御回路71に供給される。電源制御回路71は、整流回路7DBによって変換された直流電力を降圧して第三直流電力を生成する。生成された第三直流電力は、電路L73,L74を介して、出力側端子70c,70dから出力される。
電源制御回路71は、降圧型DC/DCコンバータ6の電源制御回路61に相当する。電源制御回路71は、電源制御回路61と同様の符号番号が付されており、重複する説明を省略する。なお、降圧型AC/DCコンバータ7の電源制御ICは、過負荷時の保護機能として、ラッチ停止機能の代わりに自動復帰機能を備えている。自動復帰機能は、第三直流電力が所定出力値を超えている過負荷状態であるときに、駆動用スイッチング素子Q0を開状態にして第三直流電力の出力を停止させ、過負荷状態が解消されると、駆動用スイッチング素子Q0の開閉動作を再開させ第三直流電力の出力を再開させる保護機能をいう。
駆動制御回路72は、降圧型DC/DCコンバータ6の駆動制御回路62に相当する。駆動制御回路72は、第一フォトカプラPC1を備えている。具体的には、第一フォトカプラPC1の第一フォトトランジスタPT1のコレクタPC1cが電源制御ICの動作基準端子TFBに接続されており、エミッタPC1dがグランド端子TGNDに接続されている。第一フォトカプラPC1の第一フォトダイオードPD1のアノードPC1aは、外部端子70eに接続され、第一フォトダイオードPD1のカソードPC1bは、外部端子70fに接続されている。外部端子70fは、既述した外部端子60hと同電位であり、制御用グランドである。外部端子70e,70fは、制御装置8の出力ポート(図示略)に接続されており、制御装置8から制御電圧が印加可能になっている。
電源制御回路71には、系統電源3の交流電力を整流した直流電力が常時供給可能になっている。そのため、制御装置8は、降圧型AC/DCコンバータ7からの電力供給(第三直流電力の供給)によって起動することができる。制御装置8の起動後は、制御装置8からの指示に応じて、降圧型AC/DCコンバータ7は、第三直流電力を出力し、第三直流電力の出力を停止する。具体的には、外部端子70e,70f間の端子間電圧がローレベル(所定電圧値以下の状態)の場合、第一フォトトランジスタPT1は、コレクタPC1cとエミッタPC1dとの間が電気的に遮断された開状態になる。そのため、電源制御ICの動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、グランド端子TGNDと略同電位の電圧には拘束されず、駆動制御回路72から駆動許可が指示される。この場合、降圧型AC/DCコンバータ7は、第三直流電力を出力する。
一方、外部端子70e,70f間の端子間電圧がハイレベル(所定電圧値を超えている状態)の場合、第一フォトトランジスタPT1は、コレクタPC1cとエミッタPC1dとの間が電気的に導通された閉状態になる。そのため、電源制御ICの動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、グランド端子TGNDと略同電位になり、駆動制御回路72から駆動禁止が指示される。この場合、降圧型AC/DCコンバータ7は、第三直流電力の出力を停止する。
なお、駆動制御回路72は、降圧型DC/DCコンバータ6の駆動制御回路62と同様に多重化することもできる。また、降圧型AC/DCコンバータ7は、系統電源3の交流電力を直流電力に変換して降圧することができれば良く、上述の構成に限定されない。降圧型AC/DCコンバータ7は、例えば、駆動制御回路72の代わりに、公知の開閉器(リレーなど)を備えることもできる。この場合、開閉器は、入力側端子70a,70bと整流回路7DBとの間に設けることができる。
開閉器は、常時閉状態(入力側端子70a,70bと整流回路7DBとの間の電路が電気的に導通されている状態)の開閉器を用いると好適である。また、開閉器は、制御装置8から指示を受けると、開状態(上述した電路が電気的に遮断されている状態)に切り替え可能であると好適である。これにより、本実施形態と同様に、制御装置8は、降圧型AC/DCコンバータ7からの電力供給(第三直流電力の供給)によって起動することができる。制御装置8の起動後は、制御装置8からの指示に応じて、降圧型AC/DCコンバータ7は、第三直流電力を出力し、第三直流電力の出力を停止することができる。なお、降圧型DC/DCコンバータ6および降圧型AC/DCコンバータ7のいずれのコンバータにおいても、公知の保護回路(例えば、過電圧保護回路、過電流保護回路、突入電流保護回路)などを適宜、設けることができる。
(ダイオード50a,50b)
図1に示すように、電路L16には、一対のダイオード50a,50bが設けられている。一対のダイオード50a,50bは、公知の電力用ダイオードを用いることができる。ダイオード50aのアノード側は、降圧型DC/DCコンバータ6の出力側端子60cと接続されている。ダイオード50bのアノード側は、降圧型AC/DCコンバータ7の出力側端子70cと接続されている。また、一対のダイオード50a,50bのカソード同士は、電路L16によって接続されている。さらに、一対のダイオード50a,50bのカソード同士を接続する区間において、電路L16は、分岐しており、電路L18の一端側が接続されている。電路L16の分岐点を接続点5P1とする。
降圧型DC/DCコンバータ6から出力された第二直流電力は、ダイオード50a、接続点5P1、電路L18を通って、出力される。このとき、ダイオード50bは、第二直流電力が降圧型AC/DCコンバータ7側に出力されることを規制する。一方、降圧型AC/DCコンバータ7から出力された第三直流電力は、ダイオード50b、接続点5P1、電路L18を通って、出力される。このとき、ダイオード50aは、第三直流電力が降圧型DC/DCコンバータ6側に出力されることを規制する。このようにして、第二電力変換器5は、降圧型DC/DCコンバータ6から出力される第二直流電力、および、降圧型AC/DCコンバータ7から出力される第三直流電力のうちの少なくとも一方を出力可能になっている。なお、図1に示すように、電路L18の他端側は、3つに分岐しており、制御装置8、補機駆動回路9aおよび補機駆動回路9bの補機用DC/DCコンバータ91にそれぞれ接続されている。これにより、第二電力変換器5から出力された直流電力(第二直流電力、第三直流電力)は、制御装置8、補機駆動回路9aおよび補機駆動回路9bの補機用DC/DCコンバータ91に供給可能になっている。
(制御装置8)
既述のとおり、制御装置8には、第二直流電力および第三直流電力のうちの少なくとも一方が駆動用電源として供給される。また、図6に示すように、制御装置8は、公知の中央演算装置80a、記憶装置80bおよび入出力インターフェース80cを備えており、これらは、バス80dを介して接続されている。制御装置8は、これらを用いて、燃料電池発電装置2、第一電力変換器4、第二電力変換器5および複数(三つ)の補機9などを駆動制御することができる。
中央演算装置80aは、CPU:Central Processing Unitであり、種々の演算処理を行うことができる。記憶装置80bは、第一記憶装置80b1および第二記憶装置80b2を備えている。第一記憶装置80b1は、読み出しおよび書き込み可能な揮発性の記憶装置(RAM:Random Access Memory)であり、第二記憶装置80b2は、読み出し専用の不揮発性の記憶装置(ROM:Read Only Memory)である。
例えば、中央演算装置80aは、第二記憶装置80b2に記憶されている昇圧型DC/DCコンバータ41の駆動制御プログラムを第一記憶装置80b1に読み出して、駆動制御プログラムを実行する。中央演算装置80aは、駆動制御プログラムに基づいて、昇圧型DC/DCコンバータ41の駆動信号を生成する。生成された駆動信号は、入出力インターフェース80cおよびドライバ回路などの駆動回路を介して、昇圧型DC/DCコンバータ41のスイッチング素子41gのゲート41g3に付与される。このようにして、昇圧型DC/DCコンバータ41は、制御装置8によって駆動制御される。以上のことは、インバータ42についても同様である。また、既述したように、制御装置8は、駆動制御プログラムに基づいて、降圧型DC/DCコンバータ6および降圧型AC/DCコンバータ7に対して、それぞれ出力可否を指示する。
なお、図1では、破線の矢印によって、制御装置8の入出力信号(上述の駆動信号を含む)が示されている。本実施形態では、制御装置8は、第一電力変換器4および第二電力変換器5の他に、改質用原料ポンプ21f、改質水用ポンプ21gおよびカソードエアブロワ21hなどの複数(同図では、三つ)の補機9を駆動制御することができる。また、制御装置8は、補機駆動回路9a、補機駆動回路9bおよび補機用DC/DCコンバータ91を駆動制御することができる。さらに、制御装置8は、これらの他にも各種電気機器を駆動制御することができる。
(補機9)
複数(同図では、三つ)の補機9は、発電ユニット1を駆動させる補機であり、例えば、既述の改質用原料ポンプ21f、改質水用ポンプ21gおよびカソードエアブロワ21hなどが挙げられる。既述したように、補機駆動回路9aおよび補機用DC/DCコンバータ91には、第二直流電力および第三直流電力のうちの少なくとも一方が駆動用電源として供給される。補機駆動回路9aおよび補機駆動回路9bは、公知のドライバ回路を用いることができる。
また、補機9の種類によっては、制御装置8の駆動用電源と比べて、駆動用電源の電圧等が異なる場合がある。補機駆動回路9aには、制御装置8と同じ駆動用電源が供給され、補機駆動回路9bには、補機用DC/DCコンバータ91によって電圧等が変更された駆動用電源が供給される。補機用DC/DCコンバータ91は、第二電力変換器5の出力(第二直流電力、第三直流電力)を昇圧または降圧することができる。
<発電ユニット1の制御>
図7に示すように、制御装置8は、制御ブロックとして捉えると、発電制御部81と、ラッチ解除制御部82と、DC/DC駆動制御部83と、AC/DC駆動制御部84とを備えている。発電制御部81は、燃料電池スタック21cの発電状態を検出し、燃料電池スタック21cの発電を制御する。燃料電池スタック21cの発電状態は、例えば、燃料電池スタック21cの温度(各燃料電池セルの温度、雰囲気温度など)、改質用原料ポンプ21fが吐出する改質用原料(燃料)の流量、改質水用ポンプ21gが吐出する改質水の流量、カソードエアブロワ21hが送出する空気(酸化剤ガス)の流量などに基づいて検出することができる。また、発電制御部81は、改質用原料ポンプ21f、改質水用ポンプ21gおよびカソードエアブロワ21hなどの補機9を駆動制御して、燃料電池スタック21cの発電を制御する。
燃料電池スタック21cの発電状態には、発電停止状態、発電準備完了状態および発電中状態が含まれる。発電停止状態は、燃料電池スタック21cに所定量の燃料および酸化剤ガスが供給されておらず、燃料電池スタック21cが発電を停止している状態をいう。発電停止状態には、燃料電池スタック21cの温度が高温になっている発電停止後の数時間が含まれる。
発電準備完了状態は、燃料電池スタック21cに燃料および酸化剤ガスが供給され燃料電池スタック21cが正常に発電可能な状態をいう。発電準備完了状態では、上述した複数(三つ)の補機9が駆動制御されて、燃料電池スタック21cに所定量の燃料および酸化剤ガスが供給可能になっている。また、発電準備完了状態では、燃料電池スタック21cの温度が所定温度(起動時目標温度)になっている。なお、発電中状態は、上述した複数(三つ)の補機9が駆動制御されて、燃料電池スタック21cが発電して昇圧型DC/DCコンバータ41などから直流電力が掃引されている状態をいう。
ラッチ解除制御部82は、発電準備完了状態において、電源制御ICのラッチ停止機能を解除して降圧型DC/DCコンバータ6に対して第二直流電力を出力させる。ラッチ解除制御部82は、発電制御部81によって発電準備完了状態が設定されると、放電回路63に対して、所定時間TDC1、ラッチ停止機能を解除する指令(リセット信号)を送信する。具体的には、ラッチ解除制御部82は、発電制御部81によって発電準備完了状態が設定されると、図4に示す降圧型DC/DCコンバータ6の外部端子60g,60h間にパルス信号を送信する。これにより、外部端子60g,60h間の端子間電圧は、ローレベル(所定電圧値以下の状態)からハイレベル(所定電圧値を超えている状態)に切り替わり、ハイレベルが所定時間TDC1維持されて、ハイレベルからローレベルに切り替わり、ローレベルが維持される。
降圧型DC/DCコンバータ6の放電回路63は、ラッチ解除制御部82からラッチ停止機能を解除する指令(リセット信号)を受信したときに、起動コンデンサC03に充電されている電荷を放電し、ラッチ基準端子TLAT(本実施形態では、電源端子TVCC)とグランド端子TGNDとの間の端子間電圧を所定電圧値(閾値VH0)以下に低下させて、電源制御ICのラッチ停止機能を解除すると好適である。また、放電回路63は、ラッチ解除制御部82からラッチ停止機能を解除する指令(リセット信号)を受信したときに、放電用スイッチング素子(フォトカプラPC3のフォトトランジスタPT3)を所定時間TDC1、閉状態にすることにより、起動コンデンサC03に充電されている電荷を放電すると好適である。
DC/DC駆動制御部83は、第二直流電力の出力可否を決定する。DC/DC駆動制御部83は、発電停止状態および発電停止状態から発電準備完了状態になるまでの間は、いずれも第二直流電力の出力を不可とする。DC/DC駆動制御部83は、発電制御部81によって発電準備完了状態が設定され、ラッチ解除制御部82によって電源制御ICのラッチ停止機能が解除されると、第二直流電力の出力を可とする。具体的には、第二直流電力の出力を不可にする場合、DC/DC駆動制御部83は、図4に示す降圧型DC/DCコンバータ6の外部端子60e,60h間の端子間電圧をローレベル(所定電圧値以下の状態)に設定し、外部端子60f,60h間の端子間電圧をローレベル(所定電圧値以下の状態)に設定する。これにより、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、グランド端子TGNDと略同電位になり、電源制御ICは、駆動制御回路62(第一駆動制御回路62aおよび第二駆動制御回路62b)から駆動禁止が指示される。
一方、第二直流電力の出力を可にする場合、DC/DC駆動制御部83は、図4に示す降圧型DC/DCコンバータ6の外部端子60e,60h間の端子間電圧をハイレベル(所定電圧値を超えている状態)に設定し、外部端子60f,60h間の端子間電圧をハイレベル(所定電圧値を超えている状態)に設定する。これにより、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、グランド端子TGNDと略同電位の電圧には拘束されず、電源制御ICは、駆動制御回路62(第一駆動制御回路62aおよび第二駆動制御回路62b)から駆動許可が指示される。
AC/DC駆動制御部84は、第三直流電力の出力可否を決定する。AC/DC駆動制御部84は、降圧型DC/DCコンバータ6が第二直流電力を出力可能であるときには、降圧型AC/DCコンバータ7に対して、第三直流電力の出力を不可とすることができる。具体的には、第三直流電力の出力を不可にする場合、AC/DC駆動制御部84は、図5に示す降圧型AC/DCコンバータ7の外部端子70e,70f間の端子間電圧をハイレベル(所定電圧値を超えている状態)に設定する。これにより、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、グランド端子TGNDと略同電位になり、電源制御ICは、駆動制御回路72から駆動禁止が指示される。
一方、AC/DC駆動制御部84は、降圧型DC/DCコンバータ6が第二直流電力の出力を停止している若しくは第二直流電力の出力を停止する可能性があるときには、降圧型AC/DCコンバータ7に対して、第三直流電力の出力を可とする。具体的には、第三直流電力の出力を可にする場合、AC/DC駆動制御部84は、降圧型AC/DCコンバータ7の外部端子70e,70f間の端子間電圧をローレベル(所定電圧値以下の状態)に設定する。これにより、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、グランド端子TGNDと略同電位の電圧には拘束されず、電源制御ICは、駆動制御回路72から駆動許可が指示される。なお、第二直流電力の出力を停止しているときには、例えば、制御装置8からの指示などによって降圧型DC/DCコンバータ6の出力が停止している場合などが挙げられる。また、第二直流電力の出力を停止する可能性があるときには、例えば、過負荷状態などの異常によって降圧型DC/DCコンバータ6の出力が停止する可能性がある場合などが挙げられる。
制御装置8は、図8に示すフローチャートに従って駆動制御プログラムを実行することにより、発電ユニット1を制御することができる。駆動制御プログラムは、図6に示す第二記憶装置80b2に記憶されており、発電ユニット1の起動時に、第一記憶装置80b1に読み出される。以下、図8および図9を参照しつつ発電ユニット1の制御について説明する。
図9は、制御信号等の経時変化の一例を示すタイミングチャートである。曲線CL11は、発電ユニット1の入力ブレーカ(図示略)の入力状態の経時変化の一例を示している。縦軸は、ON状態またはOFF状態を示している。曲線CL12は、降圧型AC/DCコンバータ7の駆動状態の経時変化の一例を示している。縦軸は、駆動許可状態または駆動禁止状態を示している。曲線CL13は、制御装置8の駆動状態の経時変化の一例を示している。縦軸は、起動状態または停止状態を示している。曲線CL14は、第一直流電力の直流電圧の経時変化の一例を示している。縦軸は、電圧を示している。曲線CL15は、燃料電池スタック21cの発電可否の経時変化の一例を示している。縦軸は、発電可能であるOK状態または発電可能でないNG状態を示している。曲線CL16は、電源制御ICのラッチ停止機能を解除する指令(リセット信号であり、降圧型DC/DCコンバータ6の外部端子60g,60h間の端子間電圧)の経時変化の一例を示している。縦軸は、当該端子間電圧がローレベル(所定電圧値以下の状態)またはハイレベル(所定電圧値を超えている状態)であることを示している。曲線CL17は、降圧型DC/DCコンバータ6の駆動状態の経時変化の一例を示している。縦軸は、駆動許可状態または駆動禁止状態を示している。曲線CL18は、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧の経時変化の一例を示している。縦軸は、電圧を示している。曲線CL19は、発電指示の経時変化の一例を示している。縦軸は、発電が指示されたON状態または発電が指示されないOFF状態を示している。曲線CL20は、降圧型DC/DCコンバータ6の起動コンデンサC03の端子間電圧の経時変化の一例を示している。縦軸は、電圧を示している。曲線CL11〜曲線CL20の横軸は、いずれも時刻を示している。
図9の曲線CL11に示すように、時刻t11において、発電ユニット1の入力ブレーカがOFF状態からON状態に切り替わったとする。これにより、系統電源3の交流電力が降圧型AC/DCコンバータ7に供給される。そして、時刻t12において、降圧型AC/DCコンバータ7が起動して、降圧型AC/DCコンバータ7から第三直流電力が出力される(図8のステップS11)。降圧型AC/DCコンバータ7から出力された第三直流電力が制御装置8に供給されて、時刻t13において、制御装置8が起動する。
発電制御部81は、発電停止状態において、上位の制御装置から指示を受けると、発電準備(起動運転)を開始する(図8のステップS12)。具体的には、発電制御部81は、既述した複数(三つ)の補機9などを駆動制御して、燃料電池スタック21cに燃料および酸化剤ガスを供給可能にする。これにより、図9の曲線CL14に示すように、燃料電池スタック21cの出力電圧(第一直流電力の直流電圧)は、上昇し始め、燃料電池スタック21cの温度も上昇し始める。
また、発電制御部81は、発電準備完了状態であるか否かを判断する(図8のステップS13)。燃料電池スタック21cの温度が所定温度(起動時目標温度)に達して、燃料電池スタック21cが正常に発電可能になったとき(Yesの場合)には、発電制御部81は、発電状態を発電準備完了状態に設定する。燃料電池スタック21cが正常に発電可能になっていないとき(Noの場合)には、ステップS13の判断を所定時間毎に繰り返し、燃料電池スタック21cが正常に発電可能になるまで待機する。
図9に示す時刻t14において、燃料電池スタック21cの温度が所定温度(起動時目標温度)に達して、燃料電池スタック21cが正常に発電可能になったとする。これにより、発電制御部81は、発電状態を発電準備完了状態に設定する。曲線CL15に示すように、燃料電池スタック21cの発電可否の状態は、発電可能でないNG状態から発電可能であるOK状態に切り替わる。なお、曲線CL20に示すように、降圧型DC/DCコンバータ6の起動コンデンサC03の端子間電圧は、時刻t13から上昇し始めて、時刻t14において、電圧Vcc1に達している。
ラッチ解除制御部82は、発電制御部81によって発電準備完了状態が設定されると、放電回路63に対して、所定時間TDC1(図9の時刻t15から時刻t16までの時間)、電源制御ICのラッチ停止機能を解除する指令(リセット信号)を送信する(図8のステップS14)。これにより、図9の曲線CL20に示すように、起動コンデンサC03に充電されている電荷が放電されて、起動コンデンサC03の端子間電圧(ラッチ基準端子TLATである電源端子TVCCとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧)は、所定電圧値(閾値VH0)以下に低下し、電源制御ICのラッチ停止機能が解除される。
なお、上述したケースでは、入力ブレーカがON状態になってから初めて降圧型DC/DCコンバータ6が起動するので、ラッチ停止機能が設定されているとは考えにくい。しかしながら、ノイズ等の何らかの原因でラッチ停止機能が設定される可能性がある。そのため、本実施形態では、実際にラッチ停止機能が設定されているか否かに関わらず、降圧型DC/DCコンバータ6の起動時には、電源制御ICのラッチ停止機能を解除することにしている。
ラッチ解除制御部82によって電源制御ICのラッチ停止機能が解除されると、DC/DC駆動制御部83は、第二直流電力の出力を可とする。駆動制御回路62(第一駆動制御回路62aおよび第二駆動制御回路62b)は、電源制御ICに対して駆動許可を指示する(図8のステップS15)。これにより、図9の曲線CL17に示すように、時刻t16において、降圧型DC/DCコンバータ6の駆動状態は、駆動禁止状態から駆動許可状態に切り替わる。また、曲線CL18に示すように、時刻t16において、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、電圧0から電圧VFb1になる。さらに、曲線CL20に示すように、時刻t16において、起動コンデンサC03の端子間電圧は、上昇し始めて、時刻t17において、電圧Vcc1に達している。
制御装置8は、降圧型DC/DCコンバータ6によって第二直流電力の出力が開始された後に、降圧型AC/DCコンバータ7に対して第三直流電力の出力を停止させると好適である。具体的には、AC/DC駆動制御部84は、第二直流電力の出力が開始された後に、降圧型AC/DCコンバータ7に対して第三直流電力の出力を不可とすることができる。駆動制御回路72は、電源制御ICに対して駆動禁止を指示する(図8のステップS16)。これにより、図9の曲線CL12に示すように、時刻t17において、降圧型AC/DCコンバータ7の駆動状態は、駆動許可状態から駆動禁止状態に切り替わる。
第三直流電力の出力が停止されると、発電制御部81は、発電開始を指示する(図8のステップS17)。これにより、図9の曲線CL19に示すように、時刻t18において、発電が指示されないOFF状態から、発電が指示されたON状態に切り替わる。発電制御部81は、発電状態を発電準備完了状態から発電中状態に設定して、燃料電池スタック21cから出力される第一直流電力が所望の出力電力になるように、改質用原料ポンプ21f、改質水用ポンプ21gおよびカソードエアブロワ21hなどの補機9を駆動制御する。また、制御装置8は、出力電力の目標値に応じて、昇圧型DC/DCコンバータ41およびインバータ42を駆動制御する。
発電制御部81は、発電開始から所定時間経過したか否か、または、異常検知があるか否かを判断する(図8のステップS18)。例えば、図9の時刻t19において、降圧型DC/DCコンバータ6の出力が過負荷状態になったとする。これにより、曲線CL18に示すように、時刻t19において、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、所定電圧値(閾値VF0)を超える。
図8のステップS18で条件が成立する場合(Yesの場合)、AC/DC駆動制御部84は、降圧型AC/DCコンバータ7に対して、第三直流電力の出力を可とする。駆動制御回路72は、電源制御ICに対して駆動許可を指示する(図8のステップS19)。これにより、図9の曲線CL12に示すように、時刻t19において、降圧型AC/DCコンバータ7の駆動状態は、駆動禁止状態から駆動許可状態に切り替わる。一方、図8のステップS18で条件が成立しない場合(Noの場合)、ステップS18の判断を所定時間毎に繰り返し、燃料電池スタック21cは、発電を継続する。なお、降圧型DC/DCコンバータ6の出力が過負荷状態になると、降圧型DC/DCコンバータ6の出力電圧が低下する。そのため、発電制御部81は、例えば、降圧型DC/DCコンバータ6の出力電圧が所定電圧値以下になったときに、降圧型DC/DCコンバータ6の出力が過負荷状態であると判断することができる。
図9の時刻t20において、降圧型DC/DCコンバータ6の電源制御ICが、ラッチ停止機能により第二直流電力の出力を停止させたとする。図4に示すように、第二直流電力の出力が停止されると、補助巻線T0cから電源端子TVCCへの電力供給が断たれるので、電源制御ICの起動制御部ICaは、電源端子TVCCを介して、電源端子TVCCとグランド端子TGNDとの間に設けられる起動コンデンサC03を充電する。そのため、図9の曲線CL20に示すように、時刻t20から時刻t23までの時間において、起動コンデンサC03の端子間電圧は、電圧Vcc1近傍の電圧で、若干変動している。
また、DC/DC駆動制御部83は、第二直流電力の出力を不可とする。駆動制御回路62(第一駆動制御回路62aおよび第二駆動制御回路62b)は、電源制御ICに対して駆動禁止を指示する(図8のステップS20)。これにより、図9の曲線CL17に示すように、時刻t20において、降圧型DC/DCコンバータ6の駆動状態は、駆動許可状態から駆動禁止状態に切り替わる。また、曲線CL18に示すように、時刻t20において、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、電圧0になる。
さらに、発電制御部81は、発電停止を指示し、発電停止処理が開始される(図8のステップS21)。これにより、図9の曲線CL19に示すように、時刻t20において、発電が指示されたON状態から、発電が指示されないOFF状態に切り替わる。また、発電制御部81は、発電状態を発電停止状態に設定する。これにより、曲線CL15に示すように、燃料電池スタック21cの発電可否の状態は、発電可能であるOK状態から発電可能でないNG状態に切り替わる。燃料電池スタック21cの発電が停止されるので、曲線CL14に示すように、燃料電池スタック21cの出力電圧(第一直流電力の直流電圧)は、低下し始め、燃料電池スタック21cの温度も低下し始める。
発電制御部81は、燃料電池スタック21cの発電を許可するか否か(再起動するか否か)を判断する(図8のステップS22)。燃料電池スタック21cのメンテナンス等が終了した場合または異常等が解消された場合には、発電制御部81は、燃料電池スタック21cの発電を許可する。この場合(ステップS22でYesの場合)、発電制御部81は、発電準備を開始する(ステップS12)。一方、発電制御部81は、燃料電池スタック21cの発電を許可しない場合(ステップS22でNoの場合)、待機状態を継続するか否かを判断する(ステップS23)。待機状態を継続する場合(ステップS23でYesの場合)、発電制御部81は、燃料電池スタック21cの発電を許可するか否かを判断する(ステップS22)。待機状態を継続しない場合(ステップS23でNoの場合)、発電ユニット1の制御は、一旦、終了する。
図9の時刻t21において、異常などが解消して、発電制御部81は、発電準備(起動運転)を開始したとする(図8のステップS12)。これにより、曲線CL14に示すように、燃料電池スタック21cの出力電圧(第一直流電力の直流電圧)は、上昇し始め、燃料電池スタック21cの温度も上昇し始める。
次に、発電制御部81は、発電準備完了状態であるか否かを判断する(図8のステップS13)。図9の時刻t22において、燃料電池スタック21cの温度が所定温度(起動時目標温度)に達して、燃料電池スタック21cが正常に発電可能になったとする。これにより、発電制御部81は、発電状態を発電準備完了状態に設定する。曲線CL15に示すように、燃料電池スタック21cの発電可否の状態は、発電可能でないNG状態から発電可能であるOK状態に切り替わる。
ラッチ解除制御部82は、発電制御部81によって発電準備完了状態が設定されると、放電回路63に対して、所定時間TDC1(図9の時刻t23から時刻t24までの時間)、電源制御ICのラッチ停止機能を解除する指令(リセット信号)を送信する(図8のステップS14)。これにより、図9の曲線CL20に示すように、起動コンデンサC03に充電されている電荷が放電されて、起動コンデンサC03の端子間電圧は、所定電圧値(閾値VH0)以下に低下し、電源制御ICのラッチ停止機能が解除される。
ラッチ解除制御部82によって電源制御ICのラッチ停止機能が解除されると、DC/DC駆動制御部83は、第二直流電力の出力を可とする。駆動制御回路62(第一駆動制御回路62aおよび第二駆動制御回路62b)は、電源制御ICに対して駆動許可を指示する(図8のステップS15)。これにより、図9の曲線CL17に示すように、時刻t24において、降圧型DC/DCコンバータ6の駆動状態は、駆動禁止状態から駆動許可状態に切り替わる。また、曲線CL18に示すように、時刻t24において、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧は、電圧0から電圧VFb1になる。さらに、曲線CL20に示すように、時刻t24において、起動コンデンサC03の端子間電圧は、上昇し始めて、時刻t25において、電圧Vcc1に達している。
AC/DC駆動制御部84は、第二直流電力の出力が開始された後に、降圧型AC/DCコンバータ7に対して第三直流電力の出力を不可とすることができる。駆動制御回路72は、電源制御ICに対して駆動禁止を指示する(図8のステップS16)。これにより、図9の曲線CL12に示すように、時刻t25において、降圧型AC/DCコンバータ7の駆動状態は、駆動許可状態から駆動禁止状態に切り替わる。
第三直流電力の出力が停止されると、発電制御部81は、発電開始を指示する(図8のステップS17)。これにより、図9の曲線CL19に示すように、時刻t26において、発電が指示されないOFF状態から、発電が指示されたON状態に切り替わる。時刻t26以降、既述した制御が繰り返される。
本実施形態の発電ユニット1によれば、降圧型DC/DCコンバータ6は、駆動制御回路62を備える。駆動制御回路62は、燃料電池スタック21cの発電停止状態から、燃料電池スタック21cに燃料および酸化剤ガスが供給され燃料電池スタック21cが正常に発電可能な発電準備完了状態になるまでの間は、電源制御ICに対して第二直流電力の出力を禁止する駆動禁止を指示する。そのため、本実施形態の発電ユニット1は、発電準備中(例えば、起動運転中など)に降圧型DC/DCコンバータ6からの出力(第二直流電力の出力)を停止させることができ、燃料電池スタック21cの劣化を抑制することができる。
また、本実施形態の発電ユニット1によれば、第一直流電力の直流電圧が、降圧型DC/DCコンバータ6から第二直流電力を出力可能になる出力可能下限値を超えるまでの間に、第一直流電力を用いて動作制御用スイッチング素子(第一動作制御用スイッチング素子Q1,第二動作制御用スイッチング素子Q2)が閉状態にされ、動作基準端子TFBとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧が所定電圧値(閾値VF0)以下に設定されて、電源制御ICは、駆動禁止が指示される。そのため、本実施形態の発電ユニット1は、燃料電池スタック21cに残電力が生じている場合においても、発電停止状態から発電準備完了状態になるまでの間は、降圧型DC/DCコンバータ6の駆動(第二直流電力の出力)を確実に停止させることができる。
さらに、本実施形態の発電ユニット1によれば、降圧型DC/DCコンバータ6は、同一構成の駆動制御回路62を複数(二つ)備え、駆動制御回路62が多重化されている。そのため、本実施形態の発電ユニット1は、複数(二つ)の駆動制御回路62(第一駆動制御回路62a,第二駆動制御回路62b)のうちの一方の駆動制御回路62(例えば、第一駆動制御回路62a)を構成する電子部品(例えば、図4の抵抗器R11)に短絡故障または開放故障が発生しても、正常な駆動制御回路62(この場合、第二駆動制御回路62b)によって、発電停止状態から発電準備完了状態になるまでの間は、確実に駆動禁止を指示することができる。なお、短絡故障は、電子部品の端子間が常に電気的に導通された故障をいう。また、開放故障は、電子部品の端子間が常に電気的に遮断された故障をいう。
また、本実施形態の発電ユニット1によれば、制御装置8は、ラッチ解除制御部82を備える。ラッチ解除制御部82は、発電準備完了状態において、電源制御ICのラッチ停止機能を解除して降圧型DC/DCコンバータ6に対して第二直流電力を出力させる。発電準備完了状態では、燃料電池スタック21cに燃料および酸化剤ガスが供給されて、燃料電池スタック21cが正常に発電可能になっている。そのため、燃料電池スタック21cは、発電準備中(例えば、起動運転中など)と比べて、降圧型DC/DCコンバータ6の起動による劣化の可能性が少ない。つまり、本実施形態の発電ユニット1は、燃料電池スタック21cの劣化を抑制しつつ、降圧型DC/DCコンバータ6を起動させることができ、燃料電池スタック21cの保護と利便性の向上との両立を図ることができる。
さらに、本実施形態の発電ユニット1によれば、放電回路63は、ラッチ解除制御部82からラッチ停止機能を解除する指令(リセット信号)を受信したときに、起動コンデンサC03に充電されている電荷を放電し、ラッチ基準端子TLAT(本実施形態では、電源端子TVCC)とグランド端子TGNDとの間の端子間電圧を所定電圧値(閾値VH0)以下に低下させて、電源制御ICのラッチ停止機能を解除する。これにより、本実施形態の発電ユニット1は、上記ラッチ基準端子TLAT(電源端子TVCC)を備えている電源制御ICにおいて、確実に且つ容易にラッチ停止機能を解除することができる。
また、本実施形態の発電ユニット1によれば、放電回路63は、複数(二つ)の抵抗器R31,R32と、放電用スイッチング素子(フォトカプラPC3のフォトトランジスタPT3)とが直列接続され、起動コンデンサC03に対して並列接続されている。放電回路63は、放電用スイッチング素子(フォトカプラPC3のフォトトランジスタPT3)を所定時間TDC1、閉状態にすることにより起動コンデンサC03に充電されている電荷を放電する。また、複数(二つ)の抵抗器R31,R32の抵抗値および所定時間TDC1は、起動コンデンサC03に充電されている電荷の放電を許容しつつラッチ基準端子TLAT(電源端子TVCC)からの放電を規制可能に、複数(二つ)の抵抗器R31,R32の抵抗値と起動コンデンサC03の静電容量とを乗じた時定数に基づいて設定されている。これらにより、本実施形態の発電ユニット1は、起動コンデンサC03に充電されている電荷を確実に放電するとともに、電源制御ICの無用な電力消費を抑制することができる。
さらに、本実施形態の発電ユニット1によれば、制御装置8は、降圧型DC/DCコンバータ6によって第二直流電力の出力が開始された後に、降圧型AC/DCコンバータ7に対して第三直流電力の出力を停止させる。これにより、本実施形態の発電ユニット1は、第二直流電力の出力が開始された後も第三直流電力の出力を停止させない場合と比べて、系統電源3から受電する購入電力を低減させることができる。
<その他>
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。例えば、降圧型DC/DCコンバータ6は、フライバック型のDC/DCコンバータに限定されるものではなく、例えば、フォワード型のDC/DCコンバータに適用することもできる。また、降圧型DC/DCコンバータ6は、自励式のDC/DCコンバータに限定されるものではなく、他励式のDC/DCコンバータに適用することもできる。さらに、電源制御ICは、電源端子TVCCとは異なる専用のラッチ基準端子TLATを設けることもできる。この場合、例えば、ラッチ基準端子TLATとグランド端子TGNDとの間の端子間電圧を、ローレベル(所定電圧値以下の状態)からハイレベル(所定電圧値を超えている状態)にすることにより、設定されているラッチ停止機能を解除することができる。