JP6675953B2 - 通信装置、通信システム及び通信制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の通信装置が縦続接続された通信システムに関する。
複数の通信装置をネットワークに接続して構成した通信システムにおいて、ネットワーク上で送受信されるデータの衝突を防止する通信方式として、ポーリング方式、トークンパッシング方式、競合方式が良く知られている。ポーリング方式は、親装置となる通信装置が、子装置となる他の通信装置それぞれに対して、予め定めた順序で送信するデータの有無を問い合わせ、子装置は、親装置の問い合わせに応答してデータを送信する方式である。また、トークンパッシング方式は、予め定めた順序に従ってネットワーク上にトークンを巡回させ、トークンを受け取った通信装置が、データを送信する方式である(例えば、特許文献1参照)。また、競合方式は、各通信装置が、送信を開始するときに、ネットワーク上に他の通信装置の送信データが存在しないことを確認してから、データを送信する方式である。
特開2010−154555号公報
鉄道で用いられる設備監視システムは、沿線の各所に設置された現場機器のデータを収集し、拠点で集中監視するシステムであり、現場機器それぞれに対応付けた子装置である複数の通信装置と、拠点に設置した親装置となる通信装置とをネットワークで接続した通信システムとして構築される。設備監視システムでは、迅速な故障検出や動作状態の記録を行う必要があるため、全ての現場機器のデータを速やかに収集することが求められる。
しかし、上述した従来の通信方式では、この鉄道設備監視システムの要求を満たすことができなかった。すなわち、何れの通信方式でも、ネットワーク上に送信されるデータは1台の通信装置のデータのみとなる。つまり、子装置からのデータを、1台ずつ順に通信を行って親装置が受信することになり、全ての子装置からのデータを収集するまでに要する時間が、子装置の台数に比例して長くなる。更に、ポーリング方式では、親装置が全ての子装置それぞれに対して一々送信の問い合わせを行う必要があるため、問い合わせ分の時間を必要とし、全ての通信装置のデータの収集に要する時間が更に長くなり、伝送効率が悪い。また、競合方式は、通信装置の台数が多くなるほど、データ衝突が発生する機会が多くなるため、各通信装置がデータの送信を試みる回数が増加し、スループットが低下するとともに、子装置から親装置へのデータの到達時間が一定しない。
なお、一例として鉄道設備監視システムの場合について説明したが、同様の要求があるシステム(例えばプラント監視システムなど)に、上述した従来の通信方式を適用する場合も、同様の課題が生じ得る。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の通信装置を接続して構成した通信システムにおいて、伝送効率の向上を図るとともに、通信装置間のデータの到達時間を一定化し、更に、親装置における各装置のデータ収集に要する時間を短くすること、である。
上記課題を解決するための第1の発明は、
縦続接続された通信装置を周回するように所定周期でフレームが伝送される通信システムにおける前記通信装置であって、
上流側の通信装置からフレームを受信する受信手段(例えば、図5の入出力ポート102)と、
前記受信したフレーム内に、送信先に自装置が含まれるデータがある場合に、当該データを取り出す取得手段(例えば、図5の伝送処理部110)と、
前記受信に応じて前記受信したフレームを下流側の通信装置に送信する中継手段であって、自装置から所与の送信先に送信するデータが有る場合に、当該データを前記受信したフレームのデータに追加して下流側の通信装置に送信する中継手段(例えば、図5の伝送処理部110)と、
を備えた通信装置である。
また、他の発明として、
縦続接続された通信装置を周回するように所定周期でフレームが伝送される通信システムの前記通信装置が実行する通信制御方法であって、
上流側の通信装置からフレームを受信する受信ステップ(例えば、図8の子装置用受信処理、図10の親装置用受信処理)と、
前記受信したフレーム内に、送信先に自装置が含まれるデータがある場合に、当該データを取り出す取得ステップ(例えば、図8のステップA11〜A17)と、
前記受信に応じて前記受信したフレームを下流側の通信装置に送信する中継ステップであって、自装置から所与の送信先に送信するデータが有る場合に、当該データを前記受信したフレームのデータに追加して下流側の通信装置に送信する中継ステップ(例えば、図9の中継送信処理)と、
を含む通信制御方法を構成しても良い。
この第1の発明等によれば、通信装置が縦続接続された通信システムにおいて、通信装置を周回するように伝送されるフレームに、通信装置それぞれが他の通信装置に送信するデータを追加することができる。つまり、複数の通信装置それぞれのデータが追加されたフレームが伝送されるため、衝突を発生させることなくこれらのデータを同じフレームで送信させることができることになり、伝送効率を向上させることが可能となる。また、所定周期でフレームが伝送されることで、通信装置間のデータの到達時間を一定とすることができる。また、フレームが周回する所定周期は、全ての通信装置のデータが追加された場合のフレームの伝送時間に合わせることで、回線の未使用空き時間を低減し、伝送効率を向上させることができる。
第2の発明として、第1の発明の通信装置であって、
前記所与の送信先に送信するデータを任意のタイミングで書き込み可能に格納する送信バッファ、
を更に備え、
前記中継手段は、自装置から所与の送信先に送信するデータが有る場合に、前記受信したフレームのデータの末尾に前記送信バッファに格納されたデータを追加して送信する、
通信装置を構成しても良い。
この第2の発明によれば、フレームには、周回順に通信装置のデータが追加されてゆく。
第3の発明として、第1又は第2の発明の通信装置であって、
前記通信システムは、前記所定周期で新たなフレームを伝送する親装置となる末端ノードと、中継ノードとを有して構成されており、
前記中継手段は、前記所与の送信先を前記親装置とし、
前記中継ノードとして機能する通信装置を構成しても良い。
この第3の発明によれば、末端ノードとなる親装置は、所定周期で新たなフレームを伝送する。中継ノードとして機能する通信装置は、親装置を送信先とするデータをフレームに追加して送信する。これにより、親装置において、中継ノードとして機能する通信装置のデータを、所定周期で収集することができる。
第4の発明として、第3の発明の通信装置であって、
前記中継手段による直前のフレームの送信開始時点からの経過時間が前記所定周期に達した場合に、自装置が生成元であることを示す情報を含んだ新たなフレームを生成して下流側の通信装置に送信する特発制御手段(例えば、図5の伝送処理部110、図11の特発処理)、
を更に備えた通信装置を構成しても良い。
この第4の発明によれば、中継ノードとして機能する通信装置は、直前のフレーム送信開始時点からの経過時間が所定周期に達した場合に、自装置が生成元であることを示す情報を含んだ新たなフレームを生成して下流側の通信装置へ送信することができる。これにより、通信装置間に生じた通信断によって周回の途中でフレームの不達が生じた場合であっても、親装置からのフレームが伝送されない通信装置から新たなフレームが生成されて送信されるため、親装置は、少なくとも当該通信装置以降の通信装置のデータを収集することが可能となる。
第5の発明として、第4の発明の通信装置が縦続接続され、縦続接続された上下両方向に前記所定周期でフレームが伝送される前記通信システムの末端ノードとなる親装置であって、
前記所定周期で、前記親装置が生成元であることを示す情報を含んだ新たなフレームを生成して送信する親送信手段(例えば、図5の伝送処理部110、図11のステップD7)、
を備えた親装置を構成しても良い。
この第5の発明によれば、親装置は、生成元であることを示す情報を含むフレームを生成して通信装置を周回させることができる。これにより、例えば親装置或いは親装置の上位装置が、周回の途中にフレームの不達が生じたか否かを判定するとともに、フレームの不達が生じた伝送箇所を判定することが可能となる。つまり、中継ノードである通信装置がフレームを受信できない場合には、特発制御手段が当該通信装置が生成元であることを示す情報を含んだ新たなフレームを生成して送信するため、上下両方向で受信するフレームの生成元を示す情報を照合することで、不達が生じた伝送箇所を判定できるのである。
通信システムの構成例。 通信システムの構成例。 フレームの伝送タイミングの説明図。 フレームの構成図。 通信装置の構成図。 フレーム受信の際にバッファに格納されるデータ例。 中継送信の際にバッファに格納されているデータ例。 子装置用受信処理のフローチャート。 中継送信処理のフローチャート。 親装置用受信処理のフローチャート。 特発処理のフローチャート。
[システム構成]
図1,図2は、本実施形態の通信システム1の構成例である。図1,図2に示すように、通信システム1は、複数の通信装置10が通信回線で縦続接続されて構成される。通信装置10は、通信システム1の末端ノードとなる親装置20、或いは、中継ノードとなる子装置30として機能する。通信システム1では、所定周期で末端ノードとなる親装置20からフレームが送出され、送出されたフレームが、中継ノードとなる子装置30を周回するように伝送される。
図1,図2は、鉄道における設備監視システムに適用した場合の通信システム1の構成例であり、各子装置30に接続されたセンサ部50で計測された現場機器の状態データが、駅装置40に接続された親装置20まで伝送されて収集されるように構成されている。
図1は、駅間を対象とした通信システム1Aの構成例である。図1によれば、通信システム1Aは、隣接する2つの駅それぞれに設置されて駅装置40と接続された2台の親装置20(20a,20b)と、駅間の沿線に設置されてセンサ部50と接続されたn台の子装置30(30a,30b,・・,30n)とを有し、2台の親装置20を末端ノードとして各子装置30が縦続接続されて構成される。この通信システム1Aでは、親装置20aから子装置30a,30b,・・,30nの順に周回して親装置20bまでフレームが伝送されるL回線と、親装置20bから子装置30n,・・,30b,30aの順に周回して親装置20aまでフレームが伝送されるR回線との伝送方向が逆となる二回線でフレームが伝送される。なお、通信システム1Aを構成する子装置30の台数をn台としたのは一例であり、n台を超える台数或いはn台未満の台数であってもよい。
図2は、駅構内を対象とした通信システム1Bの構成例である。図2によれば、通信システム1Bは、ある駅に設置されて駅装置40と接続された1台の親装置20と、駅構内に設置されてセンサ部50と接続されたn台の子装置30(30a,30b,・・,30n)とが、リング状に接続されて構成される。この通信システム1Bでは、親装置20aから子装置30a,30b,・・,30nの順に周回して親装置20までフレームが伝送されるL回線と、親装置20から子装置30n,・・,30b,30aの順に周回して親装置20aまでフレームが伝送されるR回線との伝送方向が逆となる二回線でフレームが伝送される。なお、通信システム1Bを構成する子装置30の台数をn台としたのは一例であり、n台を超える台数或いはn台未満の台数であってもよい。
親装置20は、周期的に、子装置30に対する制御データをトークンの末尾に追加した新たなフレームを生成し、フレームを周回させる方向(以下「下流側」と称する)の通信装置10へ送信する。すなわち、図1に示す通信システム1Aにおいては、親装置20aは、L回線の下流側である子装置30aへフレームを送信し、親装置20bは、R回線の下流側である子装置30nへフレームを送信する。また、図2に示す通信システム1Bにおいては、親装置20は、L回線の下流側である子装置30a、及び、R回線の下流側である子装置30nのそれぞれへ、フレームを送信する。
子装置30は、フレームの周回方向の上流側(以下単に「上流側」と称する)の通信装置10(親装置20、或いは、子装置30)から送信されるフレームを受信する。そして、受信したフレームに含まれる自装置宛の制御データを取り出して取得するとともに、親装置20に対する状態データを、受信したフレームの末尾に連結(追加)して、下流側の通信装置10(親装置20、或いは、子装置30)へ中継送信する。
[フレームの送受信タイミング]
図3は、通信システム1におけるフレームの伝送タイミングを説明する図である。図3では、上方を上流側、下方を下流側として、複数の通信装置10(親装置20、及び、子装置30)をフレームの伝送順に並べて示しているとともに、横方向を時刻として、通信装置10(親装置20、及び、子装置30)それぞれにおけるフレームの受信、及び、送信のタイミングを示している。便宜的に親装置20を親装置20a,20bとして、通信システム1Aのように図示しているが、図3に示した親装置20a,20bを1台の親装置20として見ることで、通信システム1Bとして見ることができる。すなわち、図3は、通信システム1A,1Bの何れにも該当する例である。また、子装置30を4台の子装置30a〜30dとして図示しているが、これは一例であり、4台を超える台数或いは4台未満の台数であっても良い。
先ず、最も上流の親装置20aからは、所定の伝送周期で周期的に、トークンの末尾に制御データを連結(追加)したフレームが、下流側の子装置30aへ送信される。親装置20aによるフレームの送信から所定の伝搬遅延時間が経過した後に、子装置30aは、フレームを受信する。そして、子装置30aは、フレームの受信から所定の中継遅延時間が経過した後、受信したフレームの末尾に自装置の状態データを連結して、下流側の子装置30bへ送信(中継送信)する、このように、親装置20aから送信されたフレームが、上流側の子装置30a〜30dの順に周回して伝送されるとともに、周回した子装置30a〜30dそれぞれの状態データがフレームの末尾に連結されて伝送される。
そして、最も下流の通信装置10である親装置20bは、トークンに、親装置20aの制御データと、子装置30a〜30dそれぞれの状態データとが連結されたフレームを受信する。従って、伝送周期は、トークンに全ての通信装置10のデータ(制御データ及び状態データ)が追加された場合の最大データ長の伝送時間より長い期間として定められる。
また、図3の右側に示すように、通信装置10間の断線の発生等によって上流側の通信装置10(この場合は親装置20であっても子装置30であってもよい)からフレームを受信できなかった子装置30は、トークンに自装置の状態データを連結した新たなフレームを生成し、下流側の通信装置10(親装置20或いは子装置30)へ送信する“特発”を行う。すなわち、親装置20からは所定の伝送周期でフレームが周期的に送出されていることから、子装置30は、直前のフレームの送信開始時点からの経過時間が所定の伝送周期に達すると、新たなフレームを生成して送信する。
図3では、子装置30a,30bの間で断線が生じており、子装置30bは、子装置30aからのフレームを受信しておらず、直前のフレームの送信開始時点から所定の伝送周期に到達後に、トークンに自装置の状態データを連結した新たなフレームを生成して、下流側の子装置30cへ送信している。
[フレーム構成]
図4は、通信システム1において伝送されるフレームの構成図である。図4に示すように、フレームは、先頭から順に、トークンと、0又は1つのデータ開始コマンド及び制御データの組データと、0又は1以上のデータ開始コマンド及び状態データの組データと、フレームの終了を示すフレーム終了コマンドと、の順に連結されて構成される。トークンは、フレームの開始を示すフレーム開始コマンドと、ヘッダ情報とを含む。ヘッダ情報は、装置IDといった当該フレームの送信元(生成元)の通信装置10を示す情報を含む。
制御データ、及び、状態データそれぞれの直前には、データの区切りを示すデータ開始コマンドが配置される。制御データ及び状態データは、装置IDに基づく送信元及び送信先の通信装置10を示す情報を含む。制御データは、当該フレームの送信元(生成元)の通信装置10が親装置20である場合に、当該親装置20によって連結されたデータである。当該フレームが“特発”で送出された場合、当該フレームは子装置30によって生成されるため、データ開始コマンド及び制御データの組データは無い状態となる。
また状態データは、当該フレームが周回した子装置30によって連結されたデータである。各子装置30が、自装置の状態データをデータ開始コマンドとともに組データとして順次末尾に連結する。したがって、当該フレームの周回順に、データ開始コマンドと状態データとが連結された構成となる。なお、フレームの最後は、当該フレームの終了を示すフレーム終了コマンドが連結される。
このように、フレームのヘッダ情報に、当該フレームの送信元の通信装置10を示す情報が含まれることから、フレームの不達箇所を判定することができる。具体的には、例えば、親装置20が受信したフレームのデータをもとに、親装置20の上位装置である駅装置40において、受信したフレームのヘッダ情報から送信元の通信装置10を判断し、この通信装置10が、R回線及びL回線毎に予め定められた送信元の末端ノードとなる親装置20に一致するならば、不達は生じていないと判定する。送信元として定められた親装置20でないならば、不達が生じており、受信したフレームは、特発処理によって子装置30から送信されたフレームであると判定する。この場合、R回線及びL回線それぞれのフレームのヘッダ情報に含まれている送信元の通信装置10の装置IDを比較し、フレームの周回順序と照らし合わせて、不達が生じている通信装置10間を判定することができる。
[装置構成]
図5は、通信装置10の内部構成図である。図5によれば、通信装置10は、L回線、及び、R回線それぞれ用に、入出力ポート102、受信バッファ104、中継バッファ106、及び、送信バッファ108を備える。また、通信装置10は、L回線及びR回線を含めて伝送処理を統括制御する伝送処理部110を備える。
入出力ポート102は、対応する通信回線(L回線、或いは、R回線)に対するデータの入力及び出力を行うインターフェースである。この入出力ポート102が、受信手段及び送信手段に相当する。
受信バッファ104は、受信したフレームのうち、自装置宛のデータを格納するバッファである。すなわち、通信装置10が親装置20ならば、受信したフレームを全て格納し、子装置30ならば、制御データの送信先が自装置である或いは自装置が含まれている場合に制御データを格納する。
中継バッファ106は、下流側の通信装置10へ中継送信するデータを格納するバッファである。すなわち、通信装置10が子装置30である場合には、上流側の通信装置10から受信したフレームを格納する。
送信バッファ108は、自装置から送信するデータを格納するバッファであり、任意のタイミングで書き込み可能となっている。すなわち、通信装置10が親装置20ならば、駅装置40等の外部装置から与えられる子装置30に対する制御データを格納し、子装置30ならば、センサ部50等の外部装置から与えられる状態データを格納する。
伝送処理部110は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、メモリ等を有して構成される。伝送処理部110は、メモリに記憶されたプログラムやデータに基づいて、受信バッファ104や中継バッファ106、送信バッファ108の各バッファに対する書き込みや読み出しを制御して、フレームの受信や送信といった処理を行う。伝送処理部110が行うフレームの受信及び送信の際の処理を、各バッファに格納されるデータを参照しながら説明する。
図6は、フレームの受信の際に、中継バッファ106及び受信バッファ104に格納されるデータを示す図である。図6(a)は、通信装置10が子装置30の場合を示し、図6(b)は、通信装置10が親装置20の場合を示す。
図6(a)に示すように、通信装置10が子装置30の場合、中継送信を行うために、伝送処理部110は、受信したフレームの全てを、そのまま、中継バッファ106に書き込む。それとともに、受信したフレームに含まれる制御データの送信先装置IDが自装置IDに一致する場合、或いは自装置IDを含むID(例えばブロードキャストID)の場合に、制御データを受信バッファ104に書き込む。
また、図6(b)に示すように、通信装置10が親装置20の場合、中継送信を行わないので、伝送処理部110は、受信したフレームの全てを受信バッファ104に書き込み、中継バッファ106にはデータの書き込みを行わない。
図7は、フレームの中継送信の際に、中継バッファ106及び送信バッファ108に格納されているデータを示す図である。中継送信は、通信装置10が子装置30である場合に行う。図7に示すように、中継バッファ106には、受信したフレームのデータが受信順に格納されており、送信バッファ108には、状態データが、その前にデータ開始コマンドが付加されて格納されている。伝送処理部110は、中継送信の際、中継バッファ106への格納順に中継バッファ106からデータを読み出して送信を行い、全てのデータを読み出した後に続けて、送信バッファ108への格納順に送信バッファ108からデータ(状態データ)を読み出して送信する。従って、通信装置10(自装置)の状態データを、状態データ群の末尾に連結したフレームとして、下流側の通信装置10へ送信させる。
また、伝送処理部110は、通信装置10が親装置20である場合、定期的に、新たなフレームを生成して送信する。すなわち、所定の伝送周期が経過する毎に、自装置の装置IDをヘッダ情報に含めたトークンを生成し、このトークンに続けて、送信バッファ108への格納順に送信バッファ108から読み出したデータ(制御データ)を連結して新たなフレームを生成し、下流側の通信装置10へ送信させる。
また、伝送処理部110は、通信装置10が子装置30である場合、直前のフレームの送信開始時点からの経過時間が所定の伝送周期に達すると、新たなフレームを生成して送信する特発処理を行う。特発処理では、自装置の装置IDをヘッダ情報に含めたトークンを生成し、このトークンに続けて、送信バッファ108への格納順に送信バッファ108から読み出したデータ(状態データ)を連結して新たなフレームを生成し、下流側の通信装置10へ送信させる。
[処理の流れ]
図8〜図11は、伝送処理部110が実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
(A)子装置用受信処理
図8は、子装置用受信処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、通信装置10が子装置30である場合に実行される。
子装置用受信処理では、フレーム開始コマンドの受信が開始されると(ステップA1)、伝送処理部110は、受信したデータの中継バッファ106への書き込みを開始する(ステップA3)。次いで、トークンを受信し(ステップA5)、続いて、データ開始コマンドを受信し(ステップA7)、制御データの送信先の装置IDを受信すると(ステップA9)、受信した送信先装置IDが、自装置IDと一致、又は、自装置を含むIDが含まれているかを判定する。
送信先装置IDが自装置IDと一致、又は、自装置を含むIDが含まれているならば(ステップA11:YES)、受信したデータのうち、制御データのデータ開始コマンドから、受信バッファ104への書き込みを開始する(ステップA13)。その後、次のデータ開始コマンド、或いは、フレーム終了コマンドを受信したならば(ステップA15:YES)、受信バッファ104への書き込みを終了する(ステップA17)。
一方、送信先装置IDが自装置IDと一致せず、且つ、自装置を含むIDが含まれていないならば(ステップA11:NO)、ステップA13〜A17の処理をスキップして、受信バッファ104への書き込みは行わない。
そして、フレーム終了コマンドを検出したならば(ステップA19:YES)、中継バッファ106への書き込みを終了する(ステップA21)。以上の処理を行うと、子装置用受信処理は終了となる。
(B)中継送信処理
図9は、中継送信処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、通信装置10が子装置30である場合に実行される。
子装置用送信処理では、フレーム開始コマンドの受信を完了した後(ステップB1)、所定の中継遅延時間が経過すると(ステップB3)、伝送処理部110は、特発タイマをリセットし(ステップB5)、フレームの中継送信を開始する。特発タイマは、フレームの送信間隔を計測するためのタイマであり、タイマ値が所定の伝送周期時間に達すると、新たなフレームの生成及び送信が行われる。すなわち、中継バッファ106のデータを格納順に読み出して送信し(ステップB7)、中継バッファ106が空であることを確認すると(ステップB9)、続いて、送信バッファ108のデータを格納順に読み出して送信する(ステップB11)。送信バッファ108が空であることを確認すると(ステップB13)、フレーム終了コマンドを送信する(ステップB15)。以上の処理を行うと、子装置用送信処理は終了となる。
(C)親装置用受信処理
図10は、親装置用受信処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、通信装置10が親装置20である場合に実行される。
親装置用受信処理では、フレーム開始コマンドの受信が開始されると(ステップC1)、伝送処理部110は、受信したデータのうち、フレーム開始コマンドから、受信バッファ104への書き込みを開始する(ステップC3)。そして、フレーム終了コマンドの受信を完了したならば(ステップC5:YES)、受信バッファ104への書き込みを終了する(ステップC7)。以上の処理を行うと、親装置用受信処理は終了となる。
(D)特発処理
図11は、特発処理の流れを説明する処理である。この処理は、通信装置10が子装置30の場合に実行される。
特発処理では、伝送処理部110は、特発タイマのタイマ値を監視しており、タイマ値が所定の伝送周期時間に達したならば(ステップD1:YES)、特発タイマをリセットして(ステップD3)、新たなフレームの送信を行う。すなわち、先ず、フレーム開始コマンドを送信し(ステップD5)、次いで、自装置の装置IDを送信元の装置IDとして含むヘッダ情報を作成して送信する(ステップD7)。続いて、送信バッファ108のデータを格納順に読み出して送信し(ステップD9)、送信バッファ108が空になったことを確認した後(ステップD11)、フレーム送信コマンドを送信して(ステップD13)、フレームの送信が終了する。その後、ステップD1に戻り、同様の処理を繰り返す。
[作用効果]
このように、本実施形態の通信システム1によれば、親装置20によって生成され、子装置30を周回するように伝送されるフレームに、子装置30それぞれの状態データが追加されて親装置20まで伝送される。つまり、1つのフレームに子装置30それぞれの状態データが追加されて伝送されるため、フレームの衝突を発生させることなく、各子装置30の状態データを同じフレームで送信させることができる。この結果、伝送効率を向上させることが可能となる。また、親装置20から所定の伝送周期でフレームが生成及び送信されることで、親装置20において、全ての子装置30のデータを所定周期で収集することができる。
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、特発処理は、子装置30が実行することとして説明したが、親装置20も実行することとしてもよい。その場合、親装置20の送信は通常周期での送信となるため、“特発”ではなく、“通常”の送信と言うことができる。
また、本実施形態では、通信システム1を鉄道における設備監視システムに適用した例として説明したが、例えばプラントなどの鉄道以外の設備監視システムに適用することも可能である。
また、本実施形態では、子装置30に接続された外部装置をセンサ部50として説明したが、センサ部50以外の機器(例えば現場機器そのもの)としてもよいことは勿論である。
1 通信システム
10 通信装置
102 入出力ポート、104 受信バッファ
106 中継バッファ、108 送信バッファ
110 伝送処理部
20 親装置
30 子装置
40 駅装置、50 センサ部

Claims (4)

  1. 縦続接続された通信装置を周回するように所定周期でフレームが伝送される通信システムにおける前記通信装置であって、
    中継バッファと、
    自装置から所与の送信先に送信するデータを任意のタイミングで書き込み可能に格納する送信バッファと、
    上流側の通信装置からフレームを受信する受信手段と、
    前記受信したフレーム内のデータを受信順に前記中継バッファに格納する格納制御手段と、
    前記受信したフレーム内に、送信先に自装置が含まれるデータがある場合に、当該データを取り出す取得手段と、
    直前のフレームの送信開始時点からの経過時間が前記所定周期に達するまでの間に上流側の通信装置からフレームを受信した場合に、前記中継バッファに格納されたデータを格納順に読み出して下流側の通信装置に送信し、続けて前記送信バッファに格納されたデータを送信することで、下流側の通信装置にフレームを中継送信する中継手段と、
    前記中継手段による直前のフレームの送信開始時点からの経過時間が前記所定周期に達するまでの間に上流側の通信装置からフレームを受信しなかった場合に、自装置が生成元であることを示す情報を下流側の通信装置に送信し、続けて前記送信バッファに格納されたデータを送信することで、当該下流側の通信装置に新たなフレームを生成・送信する特発制御手段と、
    を備えた通信装置。
  2. 前記通信システムは、前記所定周期で新たなフレームを伝送する親装置となる末端ノードと、中継ノードとを有して構成されており、
    前記中継手段は、前記所与の送信先を前記親装置とし、
    前記中継ノードとして機能する請求項に記載の通信装置。
  3. 請求項に記載の通信装置が中継ノードとして縦続接続され、縦続接続された上下両方向に前記所定周期でフレーム伝送する親装置が末端ノードとして接続された通信システム。
  4. 縦続接続された通信装置を周回するように所定周期でフレームが伝送される通信システムの前記通信装置が実行する通信制御方法であって、
    前記通信装置は、中継バッファと、自装置から所与の送信先に送信するデータを任意のタイミングで書き込み可能に格納する送信バッファと、を備え、
    上流側の通信装置からフレームを受信する受信ステップと、
    前記受信したフレーム内のデータを受信順に前記中継バッファに格納する格納ステップと、
    前記受信したフレーム内に、送信先に自装置が含まれるデータがある場合に、当該データを取り出す取得ステップと、
    直前のフレームの送信開始時点からの経過時間が前記所定周期に達するまでの間に上流側の通信装置からフレームを受信した場合に、前記中継バッファに格納されたデータを格納順に読み出して下流側の通信装置に送信し、続けて前記送信バッファに格納されたデータを送信することで、下流側の通信装置にフレームを中継送信する中継ステップと、
    前記中継ステップによる直前のフレームの送信開始時点からの経過時間が前記所定周期に達するまでの間に上流側の通信装置からフレームを受信しなかった場合に、自装置が生成元であることを示す情報を下流側の通信装置に送信し、続けて前記送信バッファに格納されたデータを送信することで、当該下流側の通信装置に新たなフレームを生成・送信する特発ステップと、
    を含む通信制御方法。
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