JP6675883B2 - 靴下および靴下の編成方法 - Google Patents

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Description

本発明は靴下および靴下の編成方法に関する。特に、靴下の履き口部にゴム糸を使用していない靴下に関するものである。
従来の靴下はずり落ち防止のために、履き口部にゴム糸を挿入して、靴下を着用した人の足を強く締め付けるようにしている。このため、ゴム糸を使用している履き口部が足首やふくらはぎに食い込み、ゴムの跡が付いたり、痛み、痒み等不快感を与えていた。また、靴下を履く際には、履き口を広げなくてはならないが、ゴム糸の存在のために強い力で広げなくてはならず、履き難いという問題もあった。特に、足がむくみ易い人や年配者には締め付けの強い靴下は好まれない傾向がある。
このような問題を解決するために、履き口部にゴム糸を挿入しない靴下が提案されている。例えば、特許第4323789号公報(特許文献1)には、靴下の履口部は添え糸編みを基本としこれにスパイラルメッシュ編みを組み合わせて編み糸と弾性糸とによってかつ上記スパイラルメッシュ編みのあぜ目が2/1〜5/1となるように編成されることによって所望のフィット感が与えられる一方、上記履口部は少なくとも二重に折り返されることによってゴム糸を用いることなくずり落ちが阻止されることが開示されている。
また、特許第4600855号公報(特許文献2)には、靴下の締付部が踝部位より上の10cm以上のものからなり、該締付部にゴム糸を挿入せず、本糸に添え糸として40デニールより細いポリウレタン糸を使用し、前記締付部の編成方向に表目のコースを数コース並べ、次に裏目のコースを数コース並べて変性パール編組織を構成し、該表目のコースと裏目のコースで形成される凹凸ジャバラ状の大きな横畦柄組織にて、ウェール方向へ伸縮しうるようにしてズリ落ちを防止することが開示されている。
特許第4323789号公報 特許第4600855号公報
特許文献1記載の靴下では、履口部にスパイラルメッシュ編みのあぜ目が2/1〜5/1が形成されているが、あぜ(凸部)がループを形成する平編目で、みぞ(凹部)が直線状のフロート(すなわちループを作らない浮いた糸部)で形成される。例えば、2/1のあぜ目では平編目が縦方向に連続したウェール(全コースで、平編目が編成される)が2本と、フロートが縦方向に連続したウェール(全コースでその編針がウェルト位置となる)が1本との繰り返しである。また、縦方向(ウェール方向)にフロートが連続しているので、横方向の伸びが悪い。
履き口を二重に折り返えさなければならないことで、この靴下は履き難いと言う問題がある。
また、一般的な靴下は履き口を折返したりしないので、特許文献1の靴下は一般的な靴下とは見た目が異なっているという問題がある。
特許文献2の靴下は、足首からふくらはぎまでの締付部が縦方向(ウェール方向)に10cm以上の長さに亘る凹凸ジャバラ状であり、弛ませて着用する脚ウォーマーのような外観であり、一般的な靴下とは見た目が異なっているという問題がある。また、靴下を履く際、履き口部を持って、爪先から入れて、引っ張り上げていくのが一般的な動作であるが、特許文献2の靴下では履き口部に形成された変性パール編組織の凹凸ジャバラ状部が縦方向に著しく伸びるので、伸び過ぎのために靴下が履き難いという問題がある。
このような問題を解決するために、本願出願人は先に特願2014−156873号において、履き口部の編組織を表糸は平編コースと浮き編コースとが交互し、裏糸は全て平編で編成し、履き口部を非常に伸び易く、ゆったりとしているが、ずれ落ち難く且つ履き易い靴下を提案した。
先の出願においてはこのように、履き口部の編組織が一般の靴下と異なっており、またゆったり感はあるがサポート感はない。
本発明は、従来技術の靴下の問題を解決して、一般的な靴下と同様の外観を有しており且つ履き口の不快な食い込み感を感じることなく、ソフトなサポートが可能なふっくら部分を有し、このふっくら部は履き口部のみならず脚部、足部にも適用でき、肌触りがソフトで、ゴム糸を使用しなくても、ピッタリとフィットして、ずれ落ち難く、着用しやすい靴下を提供することを目的とする。
本発明は、靴下の少なくとも履き口部の編組織が表糸と裏糸とからなる添え糸編みであり、前記表糸は短繊維または長繊維からなる糸であり、前記裏糸はポリウレタン弾性糸を芯糸とし、捲縮加工した複数本のフィラメントからなる被覆糸を前記芯糸に巻き付けた被覆弾性糸であり、前記添え糸編みにおける各編目は前記表糸と前記裏糸によって構成され、編目形成時に表糸よりも裏糸が長めに給糸されたことにより各編目において裏糸における芯糸が縮み、裏糸の被覆糸が緩んで前記フィラメントの捲縮が発現して、靴下の内側で裏糸が膨らんだ状態となっていることを特徴とする靴下により前記目的を達成する。
靴下の内側で裏糸が膨らんだ状態となっているふっくら部分が履き口部に形成されている。または、靴下の内側で裏糸が膨らんだ状態となっているふっくら部分が履き口部および脚部に形成されている。或いは、靴下の内側で裏糸が膨らんだ状態となっているふっくら部分が履き口部、脚部および足部に形成されている。
本発明は、短繊維または長繊維からなる表糸と、ポリウレタン糸を芯糸とし、捲縮加工した複数本のフィラメントからなる被覆糸を前記芯糸に巻き付けた被覆弾性糸を裏糸として添え糸編みで少なくとも靴下の履き口部を編成するに際して、前記被覆弾性糸を第一給糸口から給糸し、前記表糸をシリンダの正回転方向に関して前記第一給糸口よりも上流側に位置する柄糸給糸口から給糸するとともに、靴下の履き口部におけるふっくら部分の編成時にはシンカキャップをシリンダの正回転方向に対して逆方向に回動して、シンカキャップ回動機構が不作用である通常の編成時のシンカ動作のタイミングよりも、ふっくら部分の編成時のシンカの動作タイミングを早めて、前記柄糸給糸口から給糸される表糸をシンカのスロート内に収めるとともに前記第一給糸口から給糸される被覆弾性糸をシンカのフック上に載置した状態で表糸および裏糸を編針のフックに供給して、該編針を下降させて編針がオールドループを脱出してニューループを形成することにより、添え糸編みを編成することを特徴とする靴下の編成方法により前記目的を達成する。
本発明によれば、靴下の少なくとも履き口部において、短繊維または長繊維からなる糸を表糸とし、ポリウレタン弾性糸を芯糸とし、捲縮加工した複数本のフィラメントからなる被覆糸を芯糸に巻き付けた被覆弾性糸を裏糸とした添え糸編みであり、この添え糸編みにおける各編目は表糸と裏糸とによって構成され、各編目において裏糸における芯糸が縮み、裏糸の被覆糸が緩んで前記フィラメントの捲縮が発現して、靴下の内側で裏糸が膨らんだ状態となっている。このように、靴下の内側で裏糸が膨らんだ状態となってふっくら部分を形成している。
このふっくら部分では捲縮したフィラメントが肌に接触するので、肌触りがソフトで感触が良く、また、被覆弾性糸の芯糸のポリウレタン弾性糸により適度のフィット性が得られ、ポリウレタン弾性糸と膨らんだ状態の捲縮フィラメントとの相乗効果によりずれ落ち難く、着用しやすい靴下となる。
本発明によれば、表糸は通常の長さで編成されているので、靴下の外観は普通の編み生地に見え、締まった生地感となる。靴下の内側のふっくら部分は表面とは全く違う伸びやかで、程よく縮むフィット性に優れた編み生地である。
本発明によれば、ふっくら部分は履き口部のみならず脚部にも足部にも形成することができる。脚部や足部にふっくら部分を形成すると、着用者のふくらはぎや足甲を適度に締め付けて、サポート感があり、気持ちが良い。
使用する被覆弾性糸の本数を1〜3本程度で変更したり、太さを変えたりすることによりフィット性を変えることができる。
本発明の方法によれば、通常の丸編み靴下編機を使用して添え糸編みを編成する際に、被覆弾性糸を第一給糸口から給糸し、表糸をシリンダの正回転方向に関して前記第一給糸口よりも上流側に位置する柄糸給糸口から給糸するとともに、シンカキャップをシリンダの正回転方向に対して逆方向に回動して、シンカの動作タイミングを早めて、柄糸給糸口から給糸される表糸をシンカのスロート内に収めるとともに第一給糸口から給糸される被覆弾性糸をシンカのフック上に載置した状態で表糸および裏糸を編針に供給して編成するだけで、ふっくら部分を編成することができる。すなわち、編針が下降する際に、編針のフックが表糸と裏糸を引出してニューループを形成するが、裏糸はシンカのフック上に載っているので、シンカのスロート内に位置する表糸よりも長く引出されることになる。このため、形成された編目において表糸よりも裏糸の長さが長くなり、裏糸が緩む。特に、裏糸の被覆糸が緩んでフィラメントの捲縮が発現して、ふっくらした部分が形成される。
なお、本願出願人が先に出願した特願2014−156873号において、シンカキャップをシリンダの正回転方向に対して逆方向に回動して、シンカの動作タイミングを早めることを提案したが、この先願では表糸も裏糸も第一給糸口から供給するので、両者がともに平編目を編成する際は、両者が一緒にシンカのスロート内に入った状態で編針により編成される。このため、先の出願の方法では、本願発明のふっくら部分を編成することはできない。
本発明の靴下の一実施例を示す平面図である。 本発明の靴下を編成するための編機におけるシリンダ上部、シンカおよびシンカキャップを示す断面図である。 図3はシンカキャップの平面図であり、図3(a)はシンカキャップ回動機構が不作用である状態を示し、図3(b)はシンカキャップ回動機構が作用している状態を示す。なお、シンカキャップの裏側(シンカに面する側)にはカムによりカム溝が設けられており、表側からは見えないが、図3においては、分かり易くするためにカムを実線で描いており、また、図3(a)にはカム溝とシンカおよび編針との関係も模式的に示している。 編針の上下方向の運動とシンカの編針に対する前後方向の運動との関連を説明するための線図である。 表糸および裏糸のそれぞれの給糸口の位置とシリンダの回転方向の関係を示す平面図である。 給糸される表糸および裏糸とシンカの位置関係を示す説明図である。 図7(a)は本発明の靴下を裏返して、靴下の内側を示す写真、図7(b)は図7(a)の左側の丸で囲った部分(通常の編み方で編んだ部分)の編目の拡大写真、図7(c)は図7(a)の右側の丸で囲った部分(本発明の編成方法で編んだふっくら部分)の編目の拡大写真である。
以下、図面に示した実施例に基いて本発明を詳細に説明する。
図1に本発明の靴下10の一実施例を示した。本発明の靴下は履き口部11、脚部12および足部13からなるものであり、図1に示した実施例においては、履き口部11(分かり易く示すために格子状斜線を施した)および脚部12のうち斜線を施した部分12aの内側は本発明のふっくら部分となっている。
本発明の靴下10の特徴は靴下の内側において、各編目における裏糸Y2が膨らんだ状態となってふっくら部分を形成していることである。
本発明の靴下10は履き口部11などのふっくら部分は表糸Y1と裏糸Y2とを使用する添え糸編みであり、表糸Y1は主とて靴下の外側(外表面)に表目で現れ、裏糸Y2は靴下の外側からはほとんど見えず、靴下の内側(内表面)に裏目で現れる。表糸Y1としては短繊維または長繊維からなる編糸であれば、特に限定されず、夏物用、冬物用、紳士用、婦人物用など用途に合せて適宜選択することができる。裏糸Y2としては、ポリウレタン弾性糸を芯糸とし、捲縮加工した複数本のフィラメントからなる被覆糸を芯糸に巻き付けた被覆弾性糸である。例えば、FTYのようにスパンデックスにウーリーナイロン糸を巻き付けた糸を使用する。
例えば、裏糸Y2の被覆弾性糸として、SCY(シングルカバードヤーン)の場合、芯糸のポリウレタンの太さが20〜155dtex、捲縮加工した被覆糸のナイロンまたはポリエステルの太さは33〜166dtexで、フィラメントの本数は15〜75本程度が適当である。
この裏糸Y2を1〜3本程度使用する。
靴下10のふっくら部分以外の部分も同じ編糸を使用して編成すればよい。
以下に説明するように、本発明におけるふっくら部分は本発明による特別な添え糸編みにより形成される。添え糸編みの各編目は表糸Y1と裏糸Y2によって構成され、各編目はおいて、表糸Y1により形成される編目は通常の編目であるが、裏糸Y2により形成される編目は表糸Y1よりも裏糸Y2の長さが長く、裏糸Y2における芯糸が縮み、裏糸Y2の被覆糸が緩んでフィラメントの捲縮が発現して、靴下の内側で裏糸Y2が膨らんだ状態となって、ふっくらした部分が形成される。
以下に本発明の靴下におけるふっくら部分の編成方法を説明する。
本発明の靴下10は、K式シングルシリンダー靴下編機で、第一給糸口(1F糸道、本編み糸給糸口などとも称する)および柄糸給糸口(ボス糸給糸口とも称する)を備えた靴下編機を使用して編成する。なお、第一給糸口には6〜8つの糸道が設置されており、一般的には表糸用糸道として複数個、メークアップ・ゴム表糸用糸道、メークアップ・補助糸用糸道、ヒール、トウ用糸道、裏糸用糸道などとして使用され、それぞれの糸道から所定の糸が編針に給糸される。一方、柄糸給糸口はシリンダの正回転方向(反時計回り)に関して第一給糸口よりも上流側に設置されており、一般的には水玉柄、花柄、ボーダー柄等を編成する際に使用される糸用の複数の糸道を備えている。
図2に示すように、靴下編機は回転するシリンダ1に編針2が上下動可能に配列される。シリンダ1の上部にシンカベッド4が取付けられており、シンカベッド4の放射状溝にシンカ3が編針2に対して前後動可能に配列されている。シンカキャップ5がシンカベッド4上に嵌合されている。
本発明においては、靴下10の履き口部11などのふっくら部分の編成時には、シンカキャップ5を通常の位置よりもシリンダ1の正回転方向に対して逆方向に回動して、シンカ3の動作タイミングを早める。
シンカキャップ5はその裏側(シンカ3に面する側)にカム溝51が設けられている(なお、図3に示したシンカキャップ5は複数個のカム52によりカム溝51が規定されているが、シンカキャップ5は図示したものに限定されるものではない)。
シンカキャップ5には、シリンダ1と一緒に回転しないように、調整ネジ54を有する2つの突当て部53が設けられている。2つの突当て部53の間に機台に固定した支柱7が位置する。シンカキャップ5は突当て部53の調整ネジ54が支柱7に当接するまではシリンダ1の回転に追随するが、支柱7に当接すると回転は阻止される。なお、2つの突当て部53が存在するのはシリンダ1が靴下10の踵部を編成する際は正転と逆転を繰り返すからである。
靴下10のふっくら部分以外の部分を編成する通常の状態では図3(a)に示すように、シンカキャップ5の一方の突当て部53の調整ネジ54が支柱7に当接している。
本発明によれば、シンカキャップ5を通常の編成時の位置よりもシリンダ1の正回転方向に対して逆方向に回動するシンカキャップ回動機構が設けられている。
図3に示した実施例では、シンカキャップ回動機構6は、シンカキャップ5の突当て部53に取付けられた支持部材62と、この支持部材62に摺動可能に設けられた押出し部材61と、この押出し部材61を作動させるアクチュエータ(図示せず)からなる。なお、シンカキャップ回動機構6は図示したものに限られず、押出し部材61の支持部材62を機台側に設置し、シンカキャップ5の突起部(例えば、突当て部53)を押出し部材61がその作動時に押すようにしてもよい。また、押出し部材61を作動させるのに、空気によるアクチュエータではなく、電気部品等を含め機械的に作動させてもよい。
図3(a)ではシンカキャップ回動機構の押出し部材61が引っ込んでいる不作用状態であり、押出し部材61が支柱7に接触していない通常の編成状態である。これに対して図3(b)では、押出し部材61が突出している作用状態であり、押出し部材61は支柱7に接触している。この状態は図3(a)に示した状態よりもシリンダ1の正回転方向(反時計方向)に対して逆方向(時計方向)に回動した状態であり、本発明の靴下10の履き口部11などのふっくら部分を編成する際の状態である。
シンカ3は、その端部のバット33(図6参照)がシンカキャップ5のカム溝51に係合し、シリンダ1の回転とともに針2に対して前後動し、針2の上下動による編目形成時に編目の保持や給糸量の決定を補助するものである。一方、シンカキャップ5を回動することにより、カム溝51によるシンカ3の前後運動のタイミングがずれることになる。
図4は編針2の上下方向の運動とシンカ3の編針2に対する前後方向の運動との関連を説明するための線図であり、シンカ・レベルはシンカのプラットフォームの高さであり、この高さに対して針がどのように上下動するかを示すのが針の運動ラインである(針のフックの高さで示している)。一方、針の位置はシリンダ上の針の位置を基準として、この針に向かって前進するか後退するかを示すのがシンカの運動ラインである。
図4において、シンカ・レベルに対する針の上下運動は図3(a)に示したシンカキャップ回動機構が不作用である通常の編成状態でも、図3(b)に示したシンカキャップ回動機構が作用している状態のふっくら部分(例えば、履き口部11)編成状態でも同じである。しかし、針の位置とシンカの前後方向の運動は異なっているので、図4において、図3(a)に示したシンカキャップ回動機構が不作用である通常の編成状態におけるシンカの運動ラインを点線で示し、図3(b)に示したシンカキャップ回動機構が作用している状態のふっくら部分の編成状態におけるシンカの運動ラインを実線で示した。
通常の編成状態における針2とシンカ3との関係を、図4の状態1〜12に基いて説明する。なお、シリンダの回転(すなわち、時間の経過)とともに状態1から状態12へと変化して行く。
状態1ではシンカは針の位置より少し前進した位置で停止しており、針に掛かっている既成のループ(オールドループ)をシンカのフックで押えており、一方、針はシンカ・レベルよりも高い位置にあり、ループが針のベラに引っ掛かっている。シリンダが回転して状態2になると針は更に上昇し、ループから針のベラが外れようとする。状態3では針は最高位置まで上昇しており、完全にループからベラが外れてクリヤー状態となる。
状態4では針は最高位置にあり、一方シンカは後退し始めている。状態5では針は最高位置にあり、シンカが後退し終り、次の給糸を待つ状態となる。更に、シリンダが回転して状態6になると、針が下降し始め、給糸された糸を針のフックの下部に受ける。このときシンカはシンカのフックに給糸された糸が引っ掛からない後退位置に止まっている。状態7では針の下降中に、給糸された糸が針のフックに引っ掛かり、一方、既成のループ(オールドループ)がベラを起こし始めている。シンカは後退位置に止まっている。
状態8では針がシンカ・レベルまで更に下がり、ベラは完全に閉じてフック内の糸を保持し、シンカは後退位置から針の位置まで前進してくる。状態9では針がシンカ・レベルより下の最下降位置となり、既成ループ(オールドループ)の中に針が通ることにより新しいループ(ニューループ)が形成され、既成ループは完全に針から外れて前進してくるシンカによりシリンダの内側に向かって押出される。このとき針が最下降位置であるので、編目の大きさが決まる。
状態10では針が少し上昇し、シンカが既成ループを完全に押し切った最前進位置となって、編目の安定をはかっている。状態11では、新しくできたループの中を通って針が上昇し、一方、シンカは新しいループが針と一緒に持ち上がらないように最前進位置でシンカのフックで新しいループを押えている。状態12では、針は更に上昇し、一方、シンカは少し後退するが、針の位置より前方に止まり、新しくできたループを押えている。その後は状態1に戻って、連続的に編地が編成される。
そして、図4に示すように、図3(b)に示したシンカキャップ回動機構が作用している状態のふっくら部分の編成状態におけるシンカの運動ライン(実線で示した)を、点線で示した通常の編成状態シンカの運動ラインと比較すると、針の運動ラインに対して、実線で示したシンカの運動ラインの方が点線で示したシンカの運動ラインによりも進んでいる。すなわち、ふっくら部分の編成時のシンカ3の動作タイミングは、通常の編成時のシンカ3の動作タイミングよりも早められている。
一方、本発明では、表糸Y1と裏糸Y2の糸道を通常使用する糸道とは異ならせている。すなわち、図5に示すように、シリンダ1の正回転方向(矢印で示した)に関して第一給糸口8よりも上流側に位置する柄糸給糸口9から表糸Y1は給糸する。裏糸Y2は第一給糸口8から給糸する。このように給糸位置が異なっているので、表糸Y1は早く編針2に供給されるが、裏糸Y2は遅れて編針2に供給されることになる。
従って、図4の針の運動ラインおよび実線のシンカの運動ラインに示すように、シリンダ1が回転して状態6になると、針2が下降し始め、柄糸給糸口9から供給された表糸Y1を針2のフックの下部に受ける。このときシンカ3はシンカのフック32に表糸Y1が引っ掛からないように後退位置に止まっている。状態7では針2の下降中に、給糸された表糸Y1が針2のフックに引っ掛かり、一方、既成のループ(オールドループ)がベラを起こし始めている。シンカ3は針2の位置まで前進し、表糸Y1がシンカ3のスロート31(図6参照)内に入る。
状態7〜8の間でシンカ3が更に前進を続け、同時に第一給糸口8から裏糸Y2が針2に供給される。この際、シンカ3が針の位置よりも前方に(シリンダの中心に向かって)前進した位置にあるので、裏糸Y2はシンカ3のフック32の上に載った状態となり、その状態で針2のフック内に給糸される。状態8では、針2のフック内に表糸Y1と裏糸Y2が入った状態で針2がシンカ・レベルまで更に下がる。ベラは完全に閉じてフック内の糸を保持し、シンカは更に前進を続ける。
状態9では針がシンカ・レベルより下の最下降位置となり、既成ループ(オールドループ)の中に針が通ることにより新しいループ(ニューループ)が形成され、既成ループは完全に針から外れて、シンカ3によりシリンダの内側に向かって押出される。この間、裏糸Y2はシンカ3のフック32の上に載った状態のままである。そして、針2が最下降位置まで下がる間、針2のフック内に給糸されている表糸Y1および裏糸Y2は針2の下降運動につれて引出される。
針2の最下降位置で編目の大きさが決まるが、編目の大きさ(ループ長)は編機の高さ方向におけるシンカにおける糸の通過位置と針2の最下降位置との間の距離により決まり、シンカにおける糸の通過位置が変わると、編目の大きさ(ループ長)も変化する。針2の最下降位置が同じであれば、シンカにおける糸の通過位置が高い方がループ長が長くなり、編目が大きくなる。
図6は、状態8および状態9における表糸Y1と裏糸Y2とシンカの位置関係を示しており、表糸Y1はシンカ3のスロート31内に入っており、裏糸Y2はシンカ3のフック32の上に載っている。この状態のまま、針2が最下降位置まで下降するが、その間、表糸Y1および裏糸Y2が引出される。
本発明においては靴下10のふっくら部分の編成時には、図5に示すように表糸Y1は柄糸給糸口から給糸し、裏糸Y2は第一給糸口から給糸して、表糸Y1と裏糸Y2の給糸位置を通常の給糸位置と異ならせるとともに、図3(b)に示すように、シンカ3を回動して、図4に示すようにシンカ3の作動タイミングを早めたことにより、添え糸編み(表糸Y1と裏糸Y2が1本の編針で一緒にニューループを形成する編み方)の編成時に同じ針2に供給される表糸Y1と裏糸Y2は、図6に示すように表糸Y1をシンカ3のスロート内を通過させるとともに裏糸Y2をシンカ3のフック32上に載せて通過させて、シンカ3における表糸Y1の通過位置よりも裏糸Y2の通過位置の方が高くなるようにしている。その結果、添え糸編みの各編目において、表糸Y1はシンカ3を回動させたにも拘らず通常の編成時と同じループ長であり、他方、裏糸Y2のループ長は、表糸Y1のループ長よりも長くなる。
そして、添え糸編みとしての編目の大きさ、すなわち編目のコース方向およびウェール方向の寸法は表糸Y1の大きさと同じであるが、裏糸Y2のループ長が長いため、裏糸Y2は靴下の内側で余った状態となる。ところが、裏糸Y2はポリウレタン弾性糸を芯糸とし、捲縮加工した複数本のフィラメントからなる被覆糸を芯糸に巻き付けた被覆弾性糸である。このため、芯糸は縮んで余分な長さ分を吸収できるが、芯糸に巻き付けた被覆糸は余分に長いままであり、巻き付けが緩んだ状態となり、フィラメントの捲縮が発現して、靴下の内側で裏糸Y2(被覆糸)が膨らんだ状態となる。このようにして、本発明のふっくら部分が形成される。
なお、柄糸給糸口から給糸される表糸Y1は編成中に靴下の部分により色などが異なった糸に変えることができる。また、第一給糸口から給糸される裏糸Y2である被覆弾性糸は1本に限らず、2本でも3本でもよい。使用する被覆弾性糸の本数を1〜3本程度で変更したり、太さを変えたりすることによりフィット性を変えることができる。
また、図1ではふっくら部分が靴下の履き口部11と脚部12の部分12aに形成されていたが、ふっくら部分は履き口部11だけでもよく、また、脚部12にも足部13にも形成することができる。脚部12や足部13にふっくら部分を形成すると、着用者のふくらはぎや足甲を適度に締め付けて、サポート感があり、気持ちが良い。
〔実施例1〕
下記の糸を使用して、本発明の方法により、靴下の履き口部および脚部の上部を編成する際はシンカキャップ回動機構を作用状態として編成し、脚部の下部および足部を編成する際はシンカキャップ回動機構を不作用状態として靴下を編成した。
履き口と脚部においては、表糸として綿70%、アクリル30%の184dtexの糸1本、裏糸としてSCY(ポリウレタン33dtex/ポリエステル83dtex)およびSCY(ポリウレタン155dtex/ナイロン77dtex)の計2本を使用した。
また、足部においては、表糸として綿70%、アクリル30%の184dtexの糸3本、裏糸としてポリウレタン33dtex/ポリエステル83dtexのSCY1本を使用した。
図7は前記実施例により編成された本発明の靴下の写真であり、(a)は靴下を裏返して、靴下の内側を示しており、(b)は(a)の左側の丸で囲った部分(通常の編み方で編んだ部分)の添え糸編みの編目の拡大写真であり、(c)は(a)の右側の丸で囲った部分(本発明の編成方法で編んだふっくら部分)の編目の拡大写真である。(b)の写真と(c)の写真を比較すると、(c)の写真の編目の方ふっくらしていることが明らかである。(c)の写真の丸で囲った箇所にはフィラメントがばらけて、ふわっとなっていることが写っている。また、写真に撮った実物の靴下では、ふっくら部分は他の部分よりも厚みがあり、ふっくらしており、手触りがソフトであった。
1 シリンダ
2 針
3 シンカ
31 シンカのスロート
32 シンカのフック
4 シンカベッド
5 シンカキャップ
6 シンカキャップ回動機構
Y1 表糸
Y2 裏糸

Claims (5)

  1. 靴下の少なくとも履き口部の編組織が表糸と裏糸とからなる添え糸編みであり、前記表糸は短繊維または長繊維からなる糸であり、前記裏糸はポリウレタン弾性糸を芯糸とし、捲縮加工した複数本のフィラメントからなる被覆糸を前記芯糸に巻き付けた被覆弾性糸であり、前記添え糸編みにおける各編目は前記表糸と前記裏糸によって構成され、編目形成時に表糸よりも裏糸が長めに給糸されたことにより各編目において裏糸における芯糸が縮み、裏糸の被覆糸が緩んで前記フィラメントの捲縮が発現して、靴下の内側で裏糸が膨らんだ状態となっていることを特徴とする靴下。
  2. 前記靴下の内側で裏糸が膨らんだ状態となっている部分が履き口部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の靴下。
  3. 前記靴下の内側で裏糸が膨らんだ状態となっている部分が履き口部および脚部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の靴下。
  4. 前記靴下の内側で裏糸が膨らんだ状態となっている部分が履き口部、脚部および足部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の靴下。
  5. 短繊維または長繊維からなる表糸と、ポリウレタン糸を芯糸とし、捲縮加工した複数本のフィラメントからなる被覆糸を前記芯糸に巻き付けた被覆弾性糸を裏糸として添え糸編みで少なくとも靴下の履き口部を編成するに際して、前記被覆弾性糸を第一給糸口から給糸し、前記表糸をシリンダの正回転方向に関して前記第一給糸口よりも上流側に位置する柄糸給糸口から給糸するとともに、靴下の履き口部におけるふっくら部分の編成時にはシンカキャップをシリンダの正回転方向に対して逆方向に回動して、通常の編成時のシンカ動作のタイミングよりも、ふっくら部分の編成時のシンカの動作タイミングを早めて、編針が下降してシンカ・レベルに達する以前にシンカが後退位置から針の位置より前方に前進して、前記柄糸給糸口から給糸される表糸をシンカのスロート内に収めるとともに、前記第一給糸口から給糸される被覆弾性糸をシンカのフック上に載置した状態とし、前記表糸および前記被覆弾性糸を編針のフックに供給して、該編針を下降させて編針がオールドループを脱出してニューループを形成することにより、添え糸編みを編成することを特徴とする靴下の編成方法。
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