JP3227835U - 靴下 - Google Patents

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Abstract

【課題】一般的な靴下と同様の外観を有しており且つ履き口の不快な食い込み感を感じることなく、ソフトなサポート感を有する靴下を提供する。
【解決手段】靴下1は履き口部11、脚部12、踵部13、足部14および爪先部15からなる。履き口部11、脚部12および足部14は編機のシリンダーの全回転動により編成され、踵部13および爪先部15はシリンダーの往復半回転動により編成される。履き口部11はダブルウェルトで、袋状になっている。靴下1はFTY糸を挿入した領域Aを有するものであり、FTY糸挿入領域Aは履き口部11から脚部12の少なくとも半分に達している。
【選択図】図1

Description

本考案は靴下に関する。特に、靴下の履き口部にゴム糸を使用していない靴下に関するものである。
従来の靴下はずり落ち防止のために、履き口部にゴム糸を挿入して、靴下を着用した人の足を強く締め付けるようにしている。このため、ゴム糸を使用している履き口部が足首やふくらはぎに食い込み、ゴムの締め付け跡が付いたり、痛み、痒み等不快感を与えていた。また、靴下を履く際には、履き口を広げなくてはならないが、ゴム糸の存在のため拡開するためには強い力を必要とし、強力で広げなくてはならず、履き難いという問題もあった。特に、足がむくみ易い人や年配者には締め付けの強い靴下は好まれない傾向がある。
このような問題を解決するために、履き口部にゴム糸を挿入しない靴下が提案されている。例えば、特許第4323789号公報(特許文献1)には、靴下の履口部は添え糸編みを基本とし、これにスパイラルメッシュ編みを組み合わせて編み糸と弾性糸とにより、かつ上記スパイラルメッシュ編みのあぜ目が2/1〜5/1となるように編成されることによって所望のフィット感が与えられる一方、上記履口部は少なくとも二重に折り返されることによってゴム糸を用いることなくずり落ちが阻止されることが開示されている。
また、特許第4600855号公報(特許文献2)には、靴下の締付部が踝部位より上の10cm以上のものからなり、該締付部にゴム糸を挿入せず、本糸に添え糸として40デニールより細いポリウレタン糸を使用し、前記締付部の編成方向に表目のコースを数コース並べ、次に裏目のコースを数コース並べて変性パール編組織を構成し、該表目のコースと裏目のコースで形成される凹凸ジャバラ状の大きな横畦柄組織にて、ウェール方向へ伸縮しうるようにしてズリ落ちを防止することが開示されている。
更に、本願出願人の特許第6375169号公報(特許文献3)には、履き口部の編組織を表糸は平編コースと浮き編コースとが交互し、裏糸は全て平編で編成することにより、履き口部を非常に伸び易く、ゆったりとしているが、ずれ落ち難く且つ履き易い靴下を開示している。
特許第4323789号公報 特許第4600855号公報 特許第6375169号公報
特許文献1記載の靴下では、履口部にスパイラルメッシュ編みのあぜ目が2/1〜5/1が形成されているが、あぜ(凸部)がループを形成する平編目で、みぞ(凹部)が直線状のフロート(すなわちループを作らない浮いた糸部)で形成される。例えば、2/1のあぜ目では平編目が縦方向に連続したウェール(全コースで、平編目が編成される)が2本と、フロートが縦方向に連続したウェール(全コースでその編針がウェルト位置となる)が1本との繰り返しである。また、縦方向(ウェール方向)にフロートが連続しているので、横方向の伸びが悪い。
この靴下は、履き口を二重に折り返えさなければならないことで、履き難いと言う問題がある。
また、一般的な靴下は履き口を折返したりしないので、特許文献1の靴下は一般的な靴下とは見た目が異なっているという問題がある。
特許文献2の靴下は、足首からふくらはぎまでの締付部が縦方向(ウェール方向)に10cm以上の長さに亘り凹凸ジャバラ状であることから、弛ませて着用する形態をとっている。この靴下の外観は脚ウォーマーの形態をなし、一般的な靴下とは見た目が異なっているという問題がある。また、靴下を履く際、履き口部を持って、爪先から入れて、引っ張り上げていくのが一般的な動作であるが、特許文献2の靴下では履き口部に形成された変性パール編組織の凹凸ジャバラ状部が縦方向に著しく伸びるので、伸び過ぎのために靴下が履き難いという問題がある。
特許文献3の靴下は、履き口部の編組織を表糸は平編コースと浮き編コースとが交互し、裏糸は全て平編で編成しているので、履き口部の編組織が一般の靴下と異なっており、またゆったり感はあるがサポート感がない。
本考案は、従来技術の靴下の問題を解決して、一般的な靴下と同様の外観を有しており且つ履き口の不快な食い込み感を感じることなく、ソフトなサポート感が得られる靴下を提供することを目的とする。
本考案は、編目ループを形成する地糸により編成された靴下において、履き口部にはゴム糸を挿入することなく、履き口部から脚部の少なくとも半分の範囲においてFTY糸が挿入されていることを特徴とする靴下により前記目的を達成する。
本考案によれば、ゴム糸を使用しないことにより履き口の不快な食い込み感を感じることない。さらに、通常の靴下の外観を呈していながらソフトなサポート感で脚部にピッタリとフィットして、ずれ落ち難く、しかも履き心地のよい靴下を提供する。
本考案の靴下の一実施例を示す平面図である。 本考案の靴下において、FTY糸が挿入された領域の編地の一実施例を編目で示した編組織図である。 図2に示した編組織を編成する際のFTY糸の挿入時の編針の状態を示す表である。 本考案の靴下において、FTY糸が挿入された領域の編地の別の実施例を編目で示した編組織図である。 図4に示した編組織を編成する際のFTY糸の挿入時の編針の状態を示す表である。
以下、図面に示した実施例に基いて本考案を詳細に説明する。
本考案はシングルシリンダーの靴下編機(例えば、K式靴下編機)を使用して編成される靴下に関するものである。
本考案の靴下1は履き口部11、脚部12、踵部13、足部14および爪先部15からなる。履き口部11、脚部12および足部14は編機のシリンダーの全回転動により編成され、踵部13および爪先部15はシリンダーの往復半回転動により編成される。本考案において履き口部11はダブルウェルトで、袋状になっていることが好ましい。
本考案の靴下はFTY糸を挿入した領域Aを有するものであり、FTY糸挿入領域Aは履き口部11から脚部12の少なくとも半分に達している。また、FTY糸挿入領域Aは踵部13および爪先部15を除き、編機のシリンダーが全回転動する履き口部11、脚部12および足部14の全てに存在していてもよい。
図1に示した実施例では、履き口部11から脚部の足首付近までFTY糸挿入領域Aとなっている。このFTY糸挿入領域Aを斜線を施して示した。
また、図1に示した実施例では、履き口部11の長さ(脚部方向への幅)が広く、脚部12の下方に向かって幅が狭く、テーパー形状となっている。この形状は度目調整などファッショニングにより編目の大きさを変化させることにより形成される。なお、履き口部11と脚部12の幅を同一としてもよい。
次に、本考案の靴下1の編成を、図2、図3により、説明する。
本考案の靴下は靴下本体を編成する地糸10と、地糸10の編目に挿入されるFTY糸20により構成される。
地糸の素材は特に限定されない。天然繊維糸でも合成繊維糸でもよく、また、1種類の糸のみでもよい。或いは表糸と裏糸とをプレーティングしたものでもよい。地糸の太さは300〜800デニール程度が適当である。
FTY糸20はポリウレタン弾性糸の芯糸に巻き糸(ナイロン糸やポリエステル糸)でカバリングしたものである。芯糸の太さは20〜100デニール程度で、カバリング糸の太さは30〜300デニール程度である。
FTY糸20は芯糸を2.8〜3倍伸ばした状態で、カバリング糸でカバリングされている。これに対して、通常の靴下の履き口部に挿入されているゴム糸は芯糸となるゴム糸を4.5〜5倍伸ばした状態で巻き糸で二重にカバリングしたものである。従って、FTY糸20はゴム糸を芯糸とした従来の編成に比較して小さな力で伸び易く、締付け力も弱い編成となる。
さらに、通常の靴下では履き口部の個所にのみゴム糸を挿入して、着用時靴下がずり落ちないように強力に把持するため、靴下の着用者の脚部への締付け力が強い。
しかし、本考案の靴下では履き口部11のみならず脚部の半分以上の範囲に伸びやすく締め付け力も弱いFTY糸20を挿入した編成により、弱い力で靴下の着用者の脚部を把持するため、過剰な締め付けがなく、着用者トレスを与えず、靴下の着用感がよい。
FTY糸20は編成時に各コースに挿入してもよいし、複数コースおき(例えば1〜3コース)の間隔を開けて挿入してもよい。
図2には、FTY糸20の挿入領域における編地の一実施例を編目で示した編組織図を示した。この実施例の編地では、地糸10による編目の表側と裏側を交互に通るように、各コース毎にFTY糸20が挿入されている。また、各ウェールにおいてFTY糸20が編目の表側を通るウェールと編目の裏側を通るウェールが交互して配置されている。このため、図2に示した編地は畦編み(リブ編み)のような状態となる。
FTY糸20を編地に挿入するには、地糸10の給糸口と隣接する地糸10の給糸口の間に設置された給糸口(例えば、通常はゴム糸を給糸するための給糸口)からFTY糸20を給糸する。
図3にFTY糸20を給糸する際の編針の状態を示した。図3において符号Cはコースを表し、Wはウェールを表す。また、記号Fはフロート(ミス)となる位置に編針が位置し、給糸されたFTY糸20は編針のフックに掛けられることなく、編針の後側を通ることを示している。記号Tは編針がタック位置に上昇しており、給糸されたFTY糸20は編針のフックに掛けられ、編針の前側を通ることを示している。タックされたFTY糸20はその後、編針が下降して地糸10と共にオールドループを抜けるが、隣接するウェールにおける裏糸Y20がフロート状態であるので、地糸のような編目を作らず、地糸の編目と編目の間に挿入されている状態となる。
図2に示した実施例では、各コースにおけるタックとフロートの割合が1:1であったが、タック:フロートの割合が1/1〜1/3、または2/2でもよい(なお、分子がタックの数、分母がフロートの数を表す)。
図4には、FTY糸20の挿入領域における編地の別の実施例を編目で示した編組織図を示した。この実施例の編地では、地糸10による編目の表側と裏側を交互に通るように、各コースにFTY糸20が挿入されている。隣接するコースにおいては、編地の表側と裏側を通るFTY糸20の位置がずれている。そのため、各ウェールにおいてFTY糸20が編目の表側を通るものと裏側を通るものとが交互に配置される。このため、図4に示した編地はカノコ編みのような状態となる。
図5は図4示した編地を編成する場合の、FTY糸20を給糸する際の編針の状態を示す。図5においては、図3と同様に、符号Cはコースを表し、Wはウェールを表す。また、記号Fはフロート(ミス)となる位置に編針が位置し、給糸されたFTY糸20は編針のフックに掛けられることなく、編針の後側を通ることを示している。記号Tは編針がタック位置に上昇しており、給糸されたFTY糸20は編針のフックに掛けられ、編針の前側を通ることを示している。
以上説明したように、本考案の実施例に示す靴下は、履き口部から脚部にかけて半分以上の範囲をFTY糸による編成としていることにより、過度な締め付けによる使用者の不快感をなくし、心地よい履き心地を提供する。また、脚部の半分以上の広い範囲をFTY糸による編成としているので、着用者の脚部にソフトにフィットしずれ落ちることがない。
11 履き口部
12 脚部
13 踵部
14 足部
15 爪先部
10 地糸
20 FTY糸
A FTY糸挿入領域
F フロート
T タック
C コース
W ウェール

Claims (6)

  1. 履き口部、脚部、かかと部、つま先部を連結する編目ループを形成する地糸により編成された靴下において、前記履き口部にはゴム糸を挿入することなく、履き口部から脚部の少なくとも半分の範囲においてFTY糸が挿入されていることを特徴とする靴下。
  2. 踵部および爪先部を除き、全体的にFTY糸が挿入されていることを特徴とする請求項1記載の靴下。
  3. FTY糸は弾性糸の芯糸が20〜100デニールで、ナイロンまたはポリエステルからなる巻き糸が30〜300デニールであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の靴下。
  4. 履き口部がダブルウェルトであることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の靴下。
  5. FTY糸が編目ループの1コース毎に挿入されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の靴下。
  6. FTY糸が編目ループの複数コースおきに挿入されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の靴下。
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