JP6674868B2 - 地下構造物の施工方法 - Google Patents

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本発明は、ケーソンを用いた地下構造物の施工方法に関する。
シールドトンネルの立坑、下水処理場建屋などの深い地下構造物の施工方法として、ニューマチックケーソン工法やオープンケーソン工法などケーソンを用いるものがある。これらの工法は、遮水壁を不要とすることから多くの施工実績がある。
図9はニューマチックケーソン工法の概要を示す図である。ニューマチックケーソン工法は、図9(a)に示すように地表面付近で底版105、側壁107、刃口125を有するニューマチックケーソン103(以下、単にケーソンということがある)を構築した後、図9(b)に示すように側壁107を上部に継ぎ足しながら底版105下の地盤の掘削とケーソン103の沈設を繰り返すものである。
側壁107は底版105の外周部に沿って底版105の上面に筒状に設けられ、刃口125は底版105の外周部に沿って底版105の下面に設けられる。底版105にはマンロック109aやマテリアルロック109bなどの開口部が設けられる。マンロック109aは底版105下の掘削部111への作業員の出入りに用いられ、マテリアルロック109bは底版105下の掘削部111への機材投入や掘削土の搬出に用いられる。
地盤の掘削とケーソン103の沈設作業を行う際は、高圧の空気やヘリウムガス等を用いて底版105下の掘削部111の気圧を地下水圧より高圧とすることによって、地下水の浸入を防いで底版105下の掘削部111を水の無いドライな状態の作業空間とする。
ケーソン103を深く沈設する場合には掘削部111の気圧が5〜7kgf/cm2(水深50〜70m相当)にも達し、掘削部111に作業員が入っての作業が困難になることから自動掘削が多く行われる。これは、掘削機(不図示)を底版105の下面に配置した走行レールに取付け、当該掘削機を地上の操作盤で操作して地盤の掘削を行い、これに併せてマテリアルロック109bからの排土を行うものである。自動掘削を行うことで、工費は高くなるものの安全に作業を行うことができる。
図9(c)に示すように地盤を掘削し所定位置までケーソン103の沈設が完了した後、床付地盤110上の高圧気状態の掘削部111に作業員が入り掘削機等の解体、撤去、床付地盤110の整形を行う。そして、図9(d)に示すように掘削部111にコンクリートを打設して間詰めを行う。その後、マンロック109a、マテリアルロック109bなどの底版105の開口部をコンクリートで塞ぐ。
図10はオープンケーソン工法の概要を示す図である。オープンケーソン工法は、図10(a)に示すように地表面付近で側壁119と刃口127を有するオープンケーソン117(以下、単にケーソンということがある)を構築した後、図10(b)に示すように側壁119を上部に継ぎ足しながらケーソン117の内側の地盤の水中掘削とケーソン117の沈設を繰り返すものである(例えば、特許文献1、2参照)。
側壁119は筒状の構造物であり、刃口127は側壁119の周方向に沿って側壁119の下面に設けられる。また、この例では地盤にアンカ115を設置し、当該アンカ115を反力にとってジャッキ116によりケーソン117を圧入して沈設を行っている。ただし、アンカ115やジャッキ116を用いずにケーソン117の自重で沈設させる場合もある。
図10(c)に示すように所定位置までケーソン117の沈設が完了し、地盤を床付位置まで掘削した後、床付地盤110の上に水中コンクリート123を打設する。その後、図10(d)に示すようにケーソン117の内側の排水を行って、水中コンクリート123上にコンクリートを打設して底版121の構築を行う。水中コンクリート123は、ケーソン117の内側の排水時に地下水がケーソン117の内側に浸入しないように設けられる。
特許第3926804号 特許第5670595号
以上の例では地盤の透水層中にケーソンを根入れしており、地下水の浸入を防ぐためにニューマチックケーソン工法では底版105下の掘削部111を高圧気状態とし、オープンケーソン工法では水中コンクリート123を打設している。これは、図11のように地盤の透水層2下にある軟岩層などの不透水層3にケーソンが根入れされる場合も同様である。すなわち、ケーソンの沈設時に刃口によってケーソンの外側の不透水層3が崩れて水みちができる可能性があり、地下水の浸入を防止するため同様の処置が必要になる。図11はニューマチックケーソン工法の例であり、底版105、側壁107、刃口125を有するニューマチックケーソン103を示しているが、オープンケーソン工法の場合も同様である。
しかしながら、このように地下水の浸入を防ぐための処置を施すことは施工の難しさにもつながっている。例えばニューマチックケーソン工法において高圧気状態の掘削部111にコンクリートを打設するには、掘削部111の気圧に負けない超高圧のコンクリートポンプ車が必要なうえ、コンクリート内部の気泡が圧力でつぶされて空気量が減少することからコンクリートの流動性が低下し、安定した状態でのコンクリート打設が困難であった。
さらに、高圧気状態の掘削部111に作業員が入ってコンクリートホースの振り回し、目で見ながらの打設、振動締固めを行うのは難しく、底版105下の掘削部111を完全にコンクリートで充填することは困難である。そのためコンクリートの打設後に残った空間をモルタル注入で塞ぐことが必要であった。
また地盤の自動掘削を行うと床付地盤110を深掘し易い傾向にあり、深掘により掘削部111に打設するコンクリートの量が増えるという課題もある。また、自動掘削ではケーソン103が沈下しにくい場合があり、その場合は床付位置より下方まで掘削を行ってケーソン103を沈下させた後床付位置まで埋め戻すことになり、緩んだ土が残りやすく支持力の面で問題があった。
また掘削機等の解体、搬出なども、高圧気状態の掘削部111に作業員が入って行うため危険を伴う作業となり、また一回の作業可能時間が極端に短いことから作業終了に時間がかかっていた。
一方、オープンケーソン工法の場合も、地下水の浸入防止のために水中コンクリート123を打設することから、水中コンクリート123の厚さ分の地盤を余計に掘削しなければならない。設計にもよるが、ケーソン117の内側の排水時に作用する荷重(水中コンクリート123下からの水圧)に耐えるためには水中コンクリート123の厚さが2〜4m程度必要であり、ケーソン117もその分長いものが必要になる。
さらに、水中コンクリート123を打設するにはトレミー管や水中不分離コンクリートの使用が必要であり、工費が嵩む。また、ケーソン117内面と水中コンクリート123との境界部の水密性を保ち、上記の荷重を水中コンクリート123から側壁119に伝達するため、側壁119の内面の清掃やせん断キーの配置が事前に必要であった。
さらに、水中掘削であることから掘削深度の管理が難しく、計画よりも深い掘削となり易い。また床付地盤110に凸凹ができやすく、床付地盤110を傷めて支持力を得にくい場合もあった。
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、施工が容易な地下構造物の施工方法を提供することである。
前述した目的を達成するための第1の発明は、ケーソンの下端部を、地盤の透水層の下方にある不透水層に根入れする工程(a)と、前記ケーソンと前記ケーソンの外側の前記不透水層との境界部を凍結させ、遮水を行う工程(b)と、前記ケーソンの内側でコンクリートを打設する工程(c)と、を具備し、前記ケーソンは底版を有するニューマチックケーソンであり、前記ケーソンに、凍結用の流体を循環させる凍結管が設けられ、前記凍結管は環状の水平配管を有し、前記水平配管は前記ケーソンの下端部のみに配置されることを特徴とする地下構造物の施工方法ことを特徴とする地下構造物の施工方法である。
本発明では、ケーソンの下端部を地盤の不透水層に根入れした後、ケーソンとその外側の不透水層との境界部を凍結させて遮水を行う。これにより、ケーソンの沈設時にケーソンの外側の不透水層にできた水みちを塞ぐことができ、上方の透水層から地下水がケーソンの内側に浸入し、地下構造物の施工時の支障となるのを防止できる。
例えば、前記工程(a)において、前記底版の下方の地盤の掘削を、掘削部の気圧を地下水圧より高圧としながら行って前記ケーソンを沈設し、前記工程(c)において、前記掘削部を大気圧として前記掘削部に前記コンクリートを打設する。また前記工程(c)において、前記掘削部を大気圧とした後、前記掘削部に作業員を入れ、前記底版の下方の地盤を床付位置まで掘削する。
ニューマチックケーソン工法の場合、上記のようにしてケーソンと不透水層の境界部を遮水することにより、底版下の掘削部を大気圧に戻した後、作業員による掘削部内での各種の作業やコンクリートによる掘削部の間詰が可能となる。従って、掘削機等の解体や搬出も効率的かつ安全な状態で行うことができる。また大気圧下でコンクリートを打設して間詰を行うことから空気量などコンクリートの性状が変わることが無く、作業員が中に入って打設作業を行うことができバイブレータの使用による締固めも可能なので、通常のコンクリートポンプ車を用いて高品質なコンクリートを容易に打設することができる。また、底版下で人力により床付位置まで掘削を行うことができ、深掘を防止しやすい。自動掘削時に生じた緩んだ土が残っていればこれを除去して床付地盤の支持力を確保することもできる。また掘削部内に作業員が入れることから、平板載荷試験等を行うことにより床付地盤の支持力を原位置で測定することも可能である。
第2の発明は、ケーソンの下端部を、地盤の透水層の下方にある不透水層に根入れする工程(a)と、前記ケーソンと前記ケーソンの外側の前記不透水層との境界部を凍結させ、遮水を行う工程(b)と、前記ケーソンの内側でコンクリートを打設する工程(c)と、を具備し、前記ケーソンはオープンケーソンであり、前記工程(a)において、前記ケーソンの内側の地盤を水中掘削しつつ前記ケーソンを沈設し、前記工程(c)において、前記ケーソンの内側の排水を行い前記ケーソンの内側で前記コンクリートを打設して底版を構築することを特徴とする地下構造物の施工方法である。また前記工程(c)において、前記ケーソンの内側の排水を行った後、前記ケーソンの内側に作業員を入れ、前記ケーソンの内側の地盤を床付位置まで掘削する。
オープンケーソン工法の場合、上記のようにしてケーソンと不透水層の境界部を遮水することにより、高コストとなる水中コンクリートの打設が不要となり直接底版を構築できる。そのため施工が容易となり、掘削深度を浅く、ケーソンを短くできるので工費を節減できる。また床付位置付近の掘削を大気中で人力や小型掘削機によって行うことが可能となり、深掘を防止しやすく床付地盤を痛めるのも防止できる。また、水中掘削に伴い発生した緩んだ土を除去して床付地盤の支持力を確保することができ、平板載荷試験等により床付地盤の支持力を原位置で測定することもできる。
前記ケーソンに、凍結用の流体を循環させる凍結管が設けられることが望ましい。
このように、予めケーソンに設けた凍結管を用いて凍結を行うことにより、容易に遮水を行うことができる。
前記ケーソンに、温度センサが設けられることが望ましい。
温度センサによる測定データを用いて、凍結部が所定の位置に形成されているかを確認することができる。
本発明によれば、施工が容易な地下構造物の施工方法を提供できる。
ニューマチックケーソン工法による地下構造物の施工方法について示す図。 凍結管20を示す図。 ニューマチックケーソン工法による地下構造物の施工方法について示す図。 ニューマチックケーソン工法による地下構造物の施工方法について示す図。 オープンケーソン工法による地下構造物の施工方法について示す図。 凍結管60を示す図。 オープンケーソン工法による地下構造物の施工方法について示す図。 オープンケーソン工法による地下構造物の施工方法について示す図。 ニューマチックケーソン工法の概要を示す図。 オープンケーソン工法の概要を示す図。 ケーソン103を不透水層3に根入れする例。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の地下構造物の施工方法について、図1〜図4を参照して説明する。第1の実施形態は、ニューマチックケーソン工法において、ニューマチックケーソンの下端部を地盤の透水層の下方にある不透水層に根入れして地下構造物を施工する例である。
本実施形態では、図1に示すように底版7、側壁9、刃口19を有するニューマチックケーソン5(以下、単にケーソンということがある)を用いる。底版7や側壁9は、場所打ちコンクリートやプレキャストコンクリートによって構築される。底版7、側壁9、刃口19は図9で説明した底版105、側壁107、刃口125と略同様の構成を有し、前記と同様、底版7にはマンロック13aやマテリアルロック13b等の開口部が設けられる。
ただし、本実施形態では、ケーソン5の外周部に図2に示すように凍結管20が設けられる。凍結管20は後述する低温の不凍液を循環させるものであり、ケーソン5の周方向(図2の左右方向に対応する)に沿った略環状の水平配管23と、入側の鉛直配管25および出側の鉛直配管27を有する。凍結管20はケーソン5の側壁9等のコンクリート内に埋設される。
水平配管23はケーソン5の下端部に配置され、例えば直径が75mm程度のパイプが用いられる。水平配管23は、例えばケーソン5の外周面からのかぶりが25cm以下の位置に埋設される。本実施形態では凍結管20が3段に用いられ、水平配管23が所定の間隔で上下3段に配置される。この間隔は例えば50cm程度とするが、これに限ることはない。
また上下の水平配管23の間の中央部付近には温度センサ29が配置される。温度センサ29もケーソン5の側壁9等のコンクリート内に埋設される。図の例では温度センサ29をケーソン5の周方向に1つ設けているが、ケーソン5の周方向に沿って間隔を空けて複数配置することも可能である。
鉛直配管25、27は、水平配管23の端部から上方に延び、ケーソン5の側壁9の上面に達するように設けられる。
ケーソン5の沈設方法は図9等で説明したものと略同様であり、前記と同様、側壁9を上部に継ぎ足しながら、底版7下の地盤の掘削とケーソン5の沈設を繰り返す。地盤の掘削時には、底版7下の掘削部11の気圧を大気圧および地下水圧よりも高い高圧気状態としながら、底版7の下面に設けた掘削機等によって自動掘削を行う。上記した鉛直配管25、27は、ケーソン5の沈設時に側壁9を継ぎ足すのに合わせて継ぎ足し、上方に延伸させる。
ただし、本実施形態では、図1に示すようにケーソン5を所定位置まで沈設し、その下端部を軟岩層などの不透水層3に根入れした後、図3に示すようにケーソン5とその外側の不透水層3との境界部に凍結部33を形成してケーソン5と不透水層3の間を遮水する。
ここで、不透水層3とは難透水層と呼ばれるものも含む広義の不透水層を指すものとする。本実施形態では、不透水層3が土丹などの軟岩層であり、透水係数が1×10-5cm/sec以下、例えば1×10-6〜1×10-8cm/sec程度である。また、軟岩層は地下構造物の支持層としての役割も有しており、その一軸圧縮強度は例えば5〜20kgf/cm2以上である。なお、ケーソン5の不透水層3への根入れ長は例えば4〜5m以上とするが、これに限ることはない。
このような不透水層3は水圧によって崩壊することは無いが、ケーソン5の沈設時に刃口19によって不透水層3が削られて崩れると、ケーソン5とその外側の不透水層3との境界部に隙間ができ、当該隙間が水みちとなって透水層2の地下水がケーソン5の内側の掘削部11に浸入する可能性がある。
そのため、本実施形態では、凍結用の流体である-20〜-30℃の不凍液をポンプ(不図示)等によって前記した凍結管20(水平配管23、鉛直配管25、27)に循環させる。これにより、ケーソン5とその外側の不透水層3との境界部を凍結させて凍結部33を形成し、ケーソン5と不透水層3との間を遮水する。不凍液にはナイブライン(登録商標)などを用いることができる。
凍結管20による凍結中は、前記した温度センサ29で測定した測定データをコンピュータ(不図示)に送信し、当該コンピュータにて熱伝導解析を行い、凍結部33が所望の位置に形成されていることを確認する。例えば前記したように水平配管23の上下の間隔が約50cmである場合、ケーソン5の外周面から凍結部33の外縁までの最大距離rが1mに達していれば、ケーソン5と不透水層3の間の遮水性が確保されたと判断する。
こうして凍結部33を形成し遮水を行った後、底版7下の掘削部11の気圧を徐々に下げ、漏水量の少ないこと(凍結による遮水の効果)を確認しつつ掘削部11を大気圧に戻す。
掘削部11を大気圧に戻した後、掘削部11に作業員や重機を入れ、掘削機等の撤去、床付位置までの地盤の掘削、および自動掘削時に生じた緩んだ土が残っている場合はその撤去も行い、図4に示すようにケーソン5の内側で床付地盤30上の掘削部11にコンクリートを打設して間詰めを行う。また底版7のマンロック13a、マテリアルロック13bなどの開口部をコンクリートによって閉塞する。
凍結管20中の不凍液の循環運転は、少なくとも掘削部11へのコンクリートの打設完了まで行い、この間温度センサ29による温度測定と測定データに基づく遮水性の確認も行う。コンクリートの打設完了後、適当な時点で不凍液の循環運転を停止し、凍結部33の凍結を自然に解除する。循環運転の停止後は、凍結管20から不凍液を抜き、グラウト材を充填するか、窒素ガス等の不活性ガスを封入する。
このように、第1の実施形態では、ケーソン5の下端部を地盤の不透水層3に根入れした後、ケーソン5とその外側の不透水層3との境界部を凍結させて遮水を行う。これにより、ケーソン5の沈設時にケーソン5の外側の不透水層3が削られて水みちとなり、上方の透水層2から地下水がケーソン5の内側に浸入し、地下構造物の施工時の支障となるのを防止できる。
本実施形態のようなニューマチックケーソン工法の場合、上記のようにしてケーソン5と不透水層3の境界部を遮水することにより、底版7下の掘削部11を大気圧に戻した後、作業員による掘削部11内での各種の作業やコンクリートによる掘削部11の間詰が可能となる。従って、掘削機等の解体や搬出も効率的かつ安全な状態で行うことができる。
また大気圧下でコンクリートを打設して間詰を行うことから空気量などコンクリートの性状が変わることが無く、作業員が中に入って打設作業を行うことができバイブレータの使用による締固めも可能なので、通常のコンクリートポンプ車を用いて高品質なコンクリートを容易に打設することができる。
また、底版7下で人力により床付位置まで掘削を行うことができ、目視での確認ができるため深掘を防止しやすい。また自動掘削時に生じた緩んだ土が残っていればこれを除去して床付地盤30の支持力を確保することもできる。また掘削部11内に作業員が入れることから、平板載荷試験等を行うことにより床付地盤30の支持力を原位置で測定することも可能である。
しかしながら、本発明はこれに限らない。例えば本実施形態では、掘削部11をコンクリートにより間詰めしたが、掘削部11の間詰めに用いる材料はコンクリートに限らない。最終的に底版7のマンロック13a、マテリアルロック13bはコンクリートで閉塞されることから、掘削部11を砕石やソイルモルタルなど安価な材料で間詰することも可能である。
また、不透水層3は軟岩層に限らず、粘土層、シルト層、硬岩等でもよい。さらに、不透水層3の一軸圧縮強度、透水係数も上述したものに限らない。設計計算により、不透水層3の水圧に対する安定性、湧水量が工事に支障無い程度であることが確認されれば、さらに小さい一軸圧縮強度、大きい透水係数の不透水層3においても、本実施形態の地下構造物の施工方法を適用することができる。
また本実施形態では、凍結管20を3つ設け水平配管23を3段としたが、凍結管20は少なくとも1つ設けられていればよい。また凍結管20の構成についても、1本の鉛直配管25から3段の水平配管23が分岐し、これらの水平配管23が1本の鉛直配管27に接続されるものなど本実施形態以外の他の配管方式も可能である。また、本実施形態ではケーソン5の側壁9等のコンクリートに凍結管20を埋設しているが、凍結管20をケーソン5の内周面あるいは外周面に配置する場合もある。また、ケーソン5を沈設した後、別途凍結管20を地盤に設置することも可能である。また、ケーソン5の側壁9はコンクリート製のものに限らず、例えば鋼殻などの鋼材を用いてもよい。
またケーソン5の形状も特に限定されない。例えば側壁9は筒状のものであればよく、その平面形状は略円形、略矩形状あるいはその他の略多角形状とできる。
次に、本発明の別の例を第2の実施形態として説明する。第2の実施形態は第1の実施形態と異なる点について主に説明し、同様の点については図等で同じ符号を付すなどして説明を省略する。
[第2の実施形態]
図5〜図8は本発明の第2の実施形態の地下構造物の施工方法について示す図である。第2の実施形態は、オープンケーソン工法において、オープンケーソンの下端部を地盤の透水層の下方にある不透水層に根入れして地下構造物を施工する例である。
すなわち、本実施形態では、図5に示すように側壁47、刃口55を有するオープンケーソン45(以下、単にケーソンということがある)を用いる。側壁47は場所打ちコンクリートやプレキャストコンクリートによって構築される。側壁47、刃口55は図10等で説明した側壁119、刃口127と略同様の構成を有する。
ただし、本実施形態でも、図6に示すように不凍液を循環させるための凍結管60がケーソン45の側壁47のコンクリート内に埋設される。凍結管60は、ケーソン45の周方向(図6の左右方向に対応する)に沿った略環状の水平配管63と、入側の鉛直配管65および出側の鉛直配管67を有する。これらの構成および配置等はそれぞれ前記した凍結管20の水平配管23、鉛直配管25、27と同様である。また本実施形態でも上下の水平配管63の間の中央部付近に温度センサ69が配置される。温度センサ69は前記の温度センサ29と同様、ケーソン45の側壁47のコンクリート内に埋設される。
ケーソン45の沈設方法は図10等で説明したものと略同様であり、ケーソン45の内側の地盤を水中掘削しつつ、アンカ53を反力にとってジャッキ54によりケーソン45を圧入して沈設させる。アンカ53、ジャッキ54は図10等で説明したアンカ115、ジャッキ116と同様である。場合によってはアンカ53やジャッキ54を用いずケーソン45の自重で沈設させることも可能である。上記した鉛直配管65、67は、第1の実施形態と同様、ケーソン45の沈設時に側壁47を継ぎ足すのに合わせて継ぎ足し、上方に延伸させる。
ただし、本実施形態でも、図5に示すようにケーソン45を所定位置まで沈設し、その下端部を軟岩層などの不透水層3に根入れした後、図7に示すようにケーソン45とその外側の不透水層3との境界部に凍結部73を形成してケーソン45と不透水層3の間を遮水する。これにより、ケーソン45の沈設時に刃口55によって不透水層3が削られ、ケーソン45と不透水層3の境界部に形成された隙間から透水層2の地下水がケーソン45の内側に浸入するのを防ぐ。
本実施形態でもポンプ(不図示)等によって不凍液を凍結管60に循環させ、ケーソン45とその外側の不透水層3との境界部を凍結させて凍結部73を形成し、ケーソン45と不透水層3との間を遮水する。温度センサ69で測定した温度データを用いて熱伝導解析を行い、凍結部73が所望の位置に形成され遮水性が確保されていることを確認するのも前記と同様である。
こうして凍結部73を形成し遮水を行った後、ケーソン45の内側の排水を行って水位を徐々に下げ、漏水量の少ないこと(凍結遮水が出来ていること)を確認して、ケーソン45の内側の排水を完了する。排水の完了後、ケーソン45の内側に作業員や重機を入れ、床付位置までの地盤の掘削、水中掘削時に崩れ落ちた土などの軟弱な土砂の除去を行う。図8に示すように、床付地盤30の仕上げを行った後その上に砕石81を敷き詰め、砕石81上に底版83を構築する。底版83はコンクリートを打設して構築する。
凍結管60中の不凍液の循環運転は、少なくとも底版83の構築完了まで行い、この間温度センサ69による温度測定と測定データに基づく遮水性の確認も行う。底版83の構築完了後、適当な時点で不凍液の循環運転を停止し、凍結部73の凍結を自然に解除する。循環運転の停止後は、前記と同様、凍結管60から不凍液を抜き、グラウト材または窒素ガス等の不活性ガスを封入する。
このように、第2の実施形態でも、ケーソン45とその外側の不透水層3との境界部を凍結させて遮水を行うことで、上方の透水層2から地下水がケーソン45の内側に浸入し、地下構造物の施工時の支障となるのを防止できる。
本実施形態のようなオープンケーソン工法の場合、上記のようにしてケーソン45と不透水層3の境界部を遮水することにより、高コストとなる水中コンクリートの打設が不要となり直接底版83を構築できる。そのため施工が容易となり、掘削深度を浅く、ケーソン45を短くできるので工費を節減できる。また床付位置付近の掘削を大気中で人力や小型掘削機によって行うことが可能となり、深掘を防止しやすく床付地盤30を痛めるのも防止できる。また、水中掘削に伴い発生した緩んだ土を除去して床付地盤30の支持力を確保することができ、平板載荷試験等により床付地盤30の支持力を原位置で測定することもできる。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
3:不透水層
5、103:ニューマチックケーソン
7、83、105、121:底版
9、47、107、119:側壁
11、111:掘削部
13a、109a:マンロック
13b、109b:マテリアルロック
19、55、125、127:刃口
20、60:凍結管
23、63:水平配管
25、27、65、67:鉛直配管
29、69:温度センサ
30、110:床付地盤
33、73:凍結部
45、117:オープンケーソン
53、115:アンカ
54、116:ジャッキ
81:砕石
123:水中コンクリート

Claims (7)

  1. ケーソンの下端部を、地盤の透水層の下方にある不透水層に根入れする工程(a)と、
    前記ケーソンと前記ケーソンの外側の前記不透水層との境界部を凍結させ、遮水を行う工程(b)と、
    前記ケーソンの内側でコンクリートを打設する工程(c)と、
    を具備し、
    前記ケーソンは底版を有するニューマチックケーソンであり、
    前記ケーソンに、凍結用の流体を循環させる凍結管が設けられ、
    前記凍結管は環状の水平配管を有し、前記水平配管は前記ケーソンの下端部のみに配置されることを特徴とする地下構造物の施工方法。
  2. 記工程(a)において、前記底版の下方の地盤の掘削を、掘削部の気圧を地下水圧より高圧としながら行って前記ケーソンを沈設し、
    前記工程(c)において、前記掘削部を大気圧として前記掘削部に前記コンクリートを打設することを特徴とする請求項1記載の地下構造物の施工方法。
  3. 前記工程(c)において、前記掘削部を大気圧とした後、前記掘削部に作業員を入れ、前記底版の下方の地盤を床付位置まで掘削することを特徴とする請求項2記載の地下構造物の施工方法。
  4. ケーソンの下端部を、地盤の透水層の下方にある不透水層に根入れする工程(a)と、
    前記ケーソンと前記ケーソンの外側の前記不透水層との境界部を凍結させ、遮水を行う工程(b)と、
    前記ケーソンの内側でコンクリートを打設する工程(c)と、
    を具備し、
    前記ケーソンはオープンケーソンであり、
    前記工程(a)において、前記ケーソンの内側の地盤を水中掘削しつつ前記ケーソンを沈設し、
    前記工程(c)において、前記ケーソンの内側の排水を行い前記ケーソンの内側で前記コンクリートを打設して底版を構築することを特徴とする地下構造物の施工方法。
  5. 前記工程(c)において、前記ケーソンの内側の排水を行った後、前記ケーソンの内側に作業員を入れ、前記ケーソンの内側の地盤を床付位置まで掘削することを特徴とする請求項4記載の地下構造物の施工方法。
  6. 前記ケーソンに、凍結用の流体を循環させる凍結管が設けられることを特徴とする請求項4または請求項に記載の地下構造物の施工方法。
  7. 前記ケーソンに、温度センサが設けられることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の地下構造物の施工方法。
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