JP6673509B1 - カバーテープおよび電子部品包装体 - Google Patents
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一方、電子部品の実装時には、カバーテープがキャリアテープから剥離された後、パッケージから電子部品が自動的に取り出されて電子回路基板上に実装される。このとき、キャリアテープからカバーテープを剥離するために必要な強度である剥離強度が高すぎると、カバーテープがキャリアテープから剥離される際にキャリアテープが振動し、電子部品が格納ポケットから飛び出してしまう懸念がある。
そのため、カバーテープには、キャリアテープに対して十分な接着強度を有していると同時に、実装工程においてキャリアテープから首尾よく剥離される剥離性が要求される。
特許文献1(特開2016−132459号公報)には、特定の組成物からなるシール層、特定の組成物からなる中間層およびラミネート層からなるカバーテープ用シーラントフィルムについて記載されており、同文献によれば、かかるシーラントフィルムを用いてなるカバーテープは、低温ヒートシールにて十分なヒートシール強度を有し、且つヒートシール強度のヒートシール温度依存性が少なく、ソフトピール性を有しているとされている。
基材層と、
シーラント層と、
前記基材層および前記シーラント層の間に設けられた中間層と、
を含み、
電子部品を収容できる凹部を有するキャリアテープを、前記シーラント層によりシールするために用いる、カバーテープであって、
前記中間層が、
前記基材層に接して設けられているとともにスリップ剤を含む第1の中間層と、
前記第1の中間層と前記シーラント層との間に設けられている第2の中間層と、
を含み、
前記シーラント層中の前記スリップ剤の濃度が、前記第1の中間層中の前記スリップ剤の濃度よりも低く、
前記中間層と前記シーラント層との界面における前記中間層中の前記スリップ剤の濃度が、前記中間層と前記基材層との界面における前記中間層中の前記スリップ剤の濃度よりも低い、カバーテープが提供される。
電子部品が凹部に収容されたキャリアテープと、
前記本発明におけるカバーテープと、
を有し、
前記電子部品を封止するように前記シーラント層が前記キャリアテープに接着された、電子部品包装体が提供される。
本実施形態において、電子部品包装体は、電子部品が格納されたカバーテープと、キャリアテープとを接着して得られた構造体であって、たとえば、キャリアテープにカバーテープをヒートシールして得られるものである。
図1は、電子部品包装用カバーテープをキャリアテープにシールした状態の一例を示す斜視図である。図1において、電子部品包装体100は、電子部品(不図示)が凹部に収容されたキャリアテープ20と、後述の積層構造を有するカバーテープ10と、を有し、電子部品を封止するようにカバーテープ10のシーラント層(図2等)がキャリアテープ20に接着されたものである。
以下、電子部品包装体100に用いられるカバーテープ10について説明する。
本実施形態において、カバーテープ10は、電子部品を収容できる凹部を有するキャリアテープを、シーラント層(図2等)によりシールするために用いるものである。すなわち、カバーテープ10は、具体的には電子部品包装用であり、さらに具体的には、半導体ICチップなどの電子部品を運搬するために格納ポケットを備えるキャリアテープをヒートシール等によりシールすることが可能なものである。
図2は、本実施形態におけるカバーテープの構成を模式的に示す断面図である。図2に示したカバーテープ10は、基材層101と、シーラント層103と、基材層101およびシーラント層103の間に設けられた中間層105と、を含む。中間層105は、基材層101に接して設けられているとともにスリップ剤を含む第1の中間層107と、第1の中間層107とシーラント層103との間に設けられている第2の中間層109と、を含む。そして、シーラント層103中のスリップ剤の濃度が、第1の中間層107中のスリップ剤の濃度よりも低い。
以下、カバーテープ10を構成する各層について説明する。
基材層101は、キャリアテープ20に対してカバーテープ10を接着させる際、カバーテープ10の使用時等に外部から加わる応力に耐えうることができる程度の機械的強度、キャリアテープ20に対してカバーテープ10を接着させる際に加わる熱履歴に耐えうることができる程度の耐熱性を有したものがよい。
また、基材層101を構成する材料の形態は、限定されないが、加工が容易である観点から、フィルム状に加工されたものであることが好ましい。製膜されたフィルム、中でも二軸延伸フィルムを好適に用いることができる。
基材層101の厚さは、一般的には、5〜100μmである。
本実施形態において、中間層105は、第1の中間層107および第2の中間層109を含む。中間層105を構成する層の数は2以上であればよく、中間層105が第1の中間層107および第2の中間層109の2つの層から構成されてもよいし、3以上の層を含んでもよい。
第1の中間層107および第2の中間層109の基材となる材料は同じであっても異なっていてもよい。一例として、カバーテープ10全体のクッション性を向上する観点および中間層105を構成する各層の密着性を向上する観点から、第1の中間層107および第2の中間層109の材料が同じであり、これらの材料がいずれもポリエチレン等のオレフィン樹脂であり、さらにこれらの材料がいずれもLLDPEであることが挙げられる。
具体的には、第1の中間層107中のスリップ剤の濃度は、カバーテープ10の製造効率を高める観点から、第1の中間層107を構成する組成物の全組成に対して、好ましくは10ppm以上である。
また、カバーテープ10のキャリアテープ20との密着性を向上する観点から、第1の中間層107中のスリップ剤の濃度は、第1の中間層107を構成する組成物の全組成に対して、好ましくは10000ppm以下であり、より好ましくは1000ppm以下である。
また、カバーテープ10の薄型化、軽量化の観点から、第1の中間層107の厚さは、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。
また、カバーテープ10のキャリアテープ20との密着性を向上する観点から、第2の中間層109中のスリップ剤の濃度は、第2の中間層109を構成する組成物の全組成に対して、好ましくは10000ppm以下であり、より好ましくは1000ppm以下である。
また、カバーテープ10の薄型化、軽量化の観点から、第2の中間層109の厚さは、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは30μm以下である。
シーラント層103は、ヒートシール性を有し、キャリアテープ20に対して接着させられるものであり、使用時に容易に剥がすことのできる易剥離性を示すものである。
シーラント層103は、たとえば主材である樹脂中に帯電防止剤が分散している構成とすることができる。帯電防止剤は、たとえばシーラント層103全体にわたって一様に分散している。
また、ヒートシールのためのシールコテの温度を高く設定する必要がある、あるいはヒートシールのためにシールコテを接触させる時間を長くする必要があるなどの、使用上の制約を減らす観点から、シーラント層103の厚みは、好ましくは40μm以下であり、より好ましくは30μm以下である。
第3の中間層111の基材となる材料の具体例としては、中間層105の材料として前述したものが挙げられる。また、たとえば第1の中間層107、第2の中間層109および第3の中間層111の材料がLLDPEまたはVLDPEである。
また、カバーテープ10の薄型化、軽量化の観点から、第3の中間層111の厚さは、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。
図4に示したカバーテープ14の基本構成は図2に示したカバーテープ10と同様であるが、基材層101の中間層105と反対側の面に設けられた帯電防止層113をさらに含む点で異なる。帯電防止層113を備えるカバーテープ14を電子部品包装体100に用いることにより、静電気の蓄積をより効果的に抑止することができる。たとえば、電子部品包装体100を搬送工程において、キャリアテープ20の底面とカバーテープ14の表面とを密着させた電子部品包装体100が搬送する方法が採用された場合、帯電防止層113の表面は、キャリアテープ20の底面と接触し摩擦を生じる可能性を有している。このような場合でも、静電気の蓄積をより効果的に抑止することができる。
以下、帯電防止層113の構成を説明する。
帯電防止層113は、たとえば、アジリジニル化合物やその開環化合物等のバインダー樹脂を含むことができる。アジリジニル化合物は、一般に、アジリジニル基を有する化合物のことを指し、その具体例としては、N,N'−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジカルボキシアミド)、N,N'−ジフェニルメタン−4,4'−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N'−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリエチレンメラミン、トリメチロールプロパン−トリ−β(2−メチルアジリジン)プロピオネート、ビスイソフタロイル−1−2−メチルアジリジン、トリ−1−アジリジニルフォスフィンオキサイド、トリス−1−2−メチルアジリジンフォスフィンオキサイド等が挙げられる。また、上記アジリジニル化合物として、日本触媒社製のケミタイトPZ−33、DZ−22E等の市販品を使用することもできる。なお、アジリジニル化合物の開環化合物は、アジリジニル化合物中のアジリジニル基が開環した状態にある化合物のことを指す。
また、使用態様により、帯電防止層113に使用する材料として前述した材料を基材層101に添加し、帯電防止効果を付与してもよいし、これらの帯電防止効果を付与せずともよい。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 基材層と、
シーラント層と、
前記基材層および前記シーラント層の間に設けられた中間層と、
を含み、
電子部品を収容できる凹部を有するキャリアテープを、前記シーラント層によりシールするために用いる、カバーテープであって、
前記中間層が、
前記基材層に接して設けられているとともにスリップ剤を含む第1の中間層と、
前記第1の中間層と前記シーラント層との間に設けられている第2の中間層と、
を含み、
前記シーラント層中の前記スリップ剤の濃度が、前記第1の中間層中の前記スリップ剤の濃度よりも低い、カバーテープ。
2. 前記シーラント層が前記スリップ剤を含む、1.に記載のカバーテープ。
3. 前記中間層と前記シーラント層との界面における前記中間層中の前記スリップ剤の濃度が、前記中間層と前記基材層との界面における前記中間層中の前記スリップ剤の濃度よりも低い、1.または2.に記載のカバーテープ。
4. 前記第2の中間層中の前記スリップ剤の濃度が、前記第1の中間層中の前記スリップ剤の濃度よりも低い、1.乃至3.いずれか1項に記載のカバーテープ。
5. 前記中間層が、前記第2の中間層と前記シーラント層との間に設けられた第3の中間層をさらに含み、
前記第2および前記第3の中間層中の前記スリップ剤の濃度が、いずれも、前記第1の中間層中の前記スリップ剤の濃度よりも低い、4.に記載のカバーテープ。
6. 前記中間層が、前記第2の中間層と前記シーラント層との間に設けられた第3の中間層をさらに含み、
前記第1および前記第3の中間層中の前記スリップ剤の濃度が、いずれも、前記第2の中間層中の前記スリップ剤の濃度よりも高い、1.乃至3.いずれか1項に記載のカバーテープ。
7. 前記中間層が、オレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂およびスチレン樹脂からなる群から選択される1または2以上の熱可塑性樹脂を含む、1.乃至6.いずれか1項に記載のカバーテープ。
8. 前記スリップ剤が、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイルパルミドアミド、ステアリルパルミドアミド、メチレンビスステアリルアミド、メチレンビスオレイルアミド、エチレンビスオレイルアミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよび水添ひまし油からなる群から選択される1種または2種以上を含む、1.乃至7.いずれか1項に記載のカバーテープ。
9. 電子部品が凹部に収容されたキャリアテープと、
1.乃至8.いずれか1項に記載のカバーテープと、
を有し、
前記電子部品を封止するように前記シーラント層が前記キャリアテープに接着された、電子部品包装体。
カバーテープの作製:基材層として、膜厚25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート製フィルム(東洋紡社製、T7140)を準備した。この基材層に、中間層として、ポリエチレンを膜厚が25μmとなるように積層した。この中間層をコロナ処理した後、シーラント層としてのアクリル系シーラント樹脂(大日本インキ社製、A450A)を、膜厚が2μmとなるように製膜し、図1に示す層構造のカバーテープを得た。中間層に使用したポリエチレンはLLDPEを使用し、基材層に接して設けられているとともにスリップ剤を含む第1の中間層(厚さ5μm)と、第1の中間層とシーラント層との間に設けられている第3の中間層(厚さ5μm)と、第1の中間層と第3の中間層との間に設けられている第2の中間層(厚さ15μm)とを含み、第1の中間層にはスリップ剤としてオレイン酸アミドスリップ剤を800ppm含み、第2の中間層にはスリップ剤を含まず、第3の中間層にはスリップ剤としてオレイン酸アミドを800ppm含む。シーラント層中にはスリップ剤を含まない。
ここで、スリップ剤の濃度は、層を構成する組成物の全組成に対するスリップ剤の濃度である。
カバーテープの作製:基材層として、膜厚25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート製フィルム(東洋紡社製、T7140)を準備した。この基材層に、中間層として、ポリエチレンを膜厚が25μmとなるように積層した。この中間層をコロナ処理した後、シーラント層としてのアクリル系シーラント樹脂(大日本インキ社製、A450A)を、膜厚が2μmとなるように製膜し、図1に示す層構造のカバーテープを得た。中間層に使用したポリエチレンは、基材層に接して設けられているとともにスリップ剤を含む第1の中間層(厚さ5μm)と、第1の中間層とシーラント層との間に設けられている第3の中間層(厚さ5μm)と、第1の中間層と第3の中間層との間に設けられている第2の中間層(厚さ15μm)とから構成されており、第1の中間層にはスリップ剤としてオレイン酸アミドスリップ剤を800ppm含み、第2の中間層および第3の中間層には、いずれも、スリップ剤を含まない。シーラント層中にはスリップ剤を含まない。
カバーテープの作製:基材層として、膜厚25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート製フィルム(東洋紡社製、T7140)を準備した。この基材層に、中間層として、ポリエチレンを膜厚が25μmとなるように積層した。この中間層をコロナ処理した後、シーラント層としてのアクリル系シーラント樹脂(大日本インキ社製、A450A)を、膜厚が2μmとなるように製膜し、図1に示す層構造のカバーテープを得た。中間層に使用したポリエチレンは1層からなり、スリップ剤としてオレイン酸アミドを800ppm含む。シーラント層中にはスリップ剤を含まない。
上述の実施例1、2および比較例1で得たカバーテープをそれぞれ、5.5mm幅にスリットし、8mm幅のキャリアテープに、以下の条件でヒートシールして、試験片とした。
設備:ISMECA MBM4000
シール時のアイロン形状:刃幅0.3mm/刃長54mm/刃間隔1.95mm
シール温度:180℃
シール時間:50ms
シール圧力:4kgf
(剥離強度)
剥離機:856VS(General Production Devices社製)
剥離速度:300mm/min
剥離角度:175〜180°
規格:JIS K 806−3
測定結果を以下に示す。
実施例1:剥離強度63g
実施例2:剥離強度60g
比較例1:剥離強度50g
12 カバーテープ
14 カバーテープ
20 キャリアテープ
21 ポケット
100 電子部品包装体
101 基材層
103 シーラント層
105 中間層
107 第1の中間層
109 第2の中間層
111 第3の中間層
113 帯電防止層
Claims (8)
- 基材層と、
シーラント層と、
前記基材層および前記シーラント層の間に設けられた中間層と、
を含み、
電子部品を収容できる凹部を有するキャリアテープを、前記シーラント層によりシールするために用いる、カバーテープであって、
前記中間層が、
前記基材層に接して設けられているとともにスリップ剤を含む第1の中間層と、
前記第1の中間層と前記シーラント層との間に設けられている第2の中間層と、
を含み、
前記シーラント層中の前記スリップ剤の濃度が、前記第1の中間層中の前記スリップ剤の濃度よりも低く、
前記中間層と前記シーラント層との界面における前記中間層中の前記スリップ剤の濃度が、前記中間層と前記基材層との界面における前記中間層中の前記スリップ剤の濃度よりも低い、カバーテープ。 - 前記シーラント層が前記スリップ剤を含む、請求項1に記載のカバーテープ。
- 前記第2の中間層中の前記スリップ剤の濃度が、前記第1の中間層中の前記スリップ剤の濃度よりも低い、請求項1または2に記載のカバーテープ。
- 前記中間層が、前記第2の中間層と前記シーラント層との間に設けられた第3の中間層をさらに含み、
前記第2および前記第3の中間層中の前記スリップ剤の濃度が、いずれも、前記第1の中間層中の前記スリップ剤の濃度よりも低い、請求項3に記載のカバーテープ。 - 前記中間層が、前記第2の中間層と前記シーラント層との間に設けられた第3の中間層をさらに含み、
前記第1および前記第3の中間層中の前記スリップ剤の濃度が、いずれも、前記第2の中間層中の前記スリップ剤の濃度よりも高い、請求項1または2に記載のカバーテープ。 - 前記中間層が、オレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂およびスチレン樹脂からなる群から選択される1または2以上の熱可塑性樹脂を含む、請求項1乃至5いずれか1項に記載のカバーテープ。
- 前記スリップ剤が、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイルパルミドアミド、ステアリルパルミドアミド、メチレンビスステアリルアミド、メチレンビスオレイルアミド、エチレンビスオレイルアミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよび水添ひまし油からなる群から選択される1種または2種以上を含む、請求項1乃至6いずれか1項に記載のカバーテープ。
- 電子部品が凹部に収容されたキャリアテープと、
請求項1乃至7いずれか1項に記載のカバーテープと、
を有し、
前記電子部品を封止するように前記シーラント層が前記キャリアテープに接着された、電子部品包装体。
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