JP2023037999A - 電子部品包装用カバーテープおよび包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】視認性の悪化を抑制しつつ、ブロッキングを抑制することが可能な電子部品包装用カバーテープを提供する。【解決手段】基材層2と、上記基材層の一方の面側に配置されたヒートシール層3と、を有する電子部品包装用カバーテープ1であって、上記電子部品包装用カバーテープは、ヘーズ値が50%以下であり、水蒸気透過度が2.0g/(m2・day)以上、9.0g/(m2・day)以下である、電子部品包装用カバーテープ。【選択図】図1

Description

本開示は、電子部品包装用カバーテープおよびそれを用いた包装体に関する。
近年、IC、抵抗、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、圧電素子レジスタ等の電子部品は、テーピング包装され、表面実装に供せられる。テーピング包装においては、電子部品を収納する収納部を複数有するキャリアテープに電子部品を収納した後に、キャリアテープをカバーテープでヒートシールし、電子部品を保管および搬送するための包装体を得る。電子部品の実装時には、カバーテープをキャリアテープから剥離し、電子部品を自動的に取り出して基板に表面実装する。なお、カバーテープはトップテープとも称される。
テーピング包装体は未開封の状態で、カバーテープの上から、カバーテープ越しに収納物である電子部品を目視又は機械で確認することが行われている。そのため、カバーテープには優れた視認性が必要とされている。
また、カバーテープは、キャリアテープにヒートシールする前には、省スペース化、交換作業低減のため、通常巻かれた状態で保管、移送される。この際、テープ間で固着(ブロッキング)が生じる場合がある。ブロッキングを抑制する目的で、ヒートシール層や帯電防止層にシリカ粒子等をアンチブロッキング剤として添加する方法が提案されている(特許文献1)。
特開平9-201922号公報
ヒートシール層や帯電防止層に粒子を添加する場合、ヘーズが悪化したり、粒子の凹凸に起因して製造設備を傷つけたり、粒子の脱落により製造設備や製品を汚染する場合がある。また、ヘーズの悪化を抑制するために、粒径の小さな粒子を添加することも考えられるが、分散不良により、ブロッキングを抑制できない場合がある。
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、視認性の悪化を抑制しつつ、ブロッキングを抑制することが可能な電子部品包装用カバーテープを提供することを目的とする。
本開示の一実施形態は、基材層と、上記基材層の一方の面側に配置されたヒートシール層と、を有する電子部品包装用カバーテープであって、上記電子部品包装用カバーテープは、ヘーズ値が50%以下であり、水蒸気透過度が2.0g/(m・day)以上、9.0g/(m・day)以下である、電子部品包装用カバーテープである。
本開示の一実施形態は、基材層と、上記基材層の一方の面側に配置されたヒートシール層と、を有する電子部品包装用カバーテープであって、上記ヒートシール層は、エチレン系重合体を含み、示差走査熱量計(DSC)により測定される相転移温度が45℃以上である、電子部品包装用カバーテープである。
本開示の一実施形態は、電子部品を収納する複数の収納部を有するキャリアテープと、上記収納部に収納された電子部品と、上記収納部を覆うように配置された、上述の電子部品包装用カバーテープと、を備える、包装体である。
本開示は、視認性の悪化を抑制しつつ、ブロッキングを抑制することが可能な電子部品包装用カバーテープを提供することができるという効果を奏する。
本開示の電子部品包装用カバーテープを例示する概略断面図である。 本開示の包装体を例示する概略平面図および断面図である。 本開示の電子部品包装用カバーテープを例示する概略断面図である。 実施例におけるブロッキング評価方法を説明する図である。
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」、あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面側に」または「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
以下、本開示の電子部品包装用カバーテープおよび包装体について、詳細に説明する。なお、本明細書において、「電子部品包装用カバーテープ」を単に「カバーテープ」と称する場合がある。
I.電子部品包装用カバーテープ
本開示における電子部品包装用カバーテープは、二つの態様に分けることができる。以下、それぞれについて、説明する。
1.電子部品包装用カバーテープ(第一実施形態)
本発明者らは、カバーテープの視認性の悪化を抑制しつつ、ブロッキングを抑制する方法について鋭意検討した結果、カバーテープの水蒸気透過度を低くし、所定の範囲に制御することにより、ブロッキングを抑制することができることを知見した。これは、カバーテープの水蒸気透過度を所定の範囲に低くした場合、外部環境中の水分を取り込みにくくなるため、テープ間で水を介して水貼りのように貼りついたり、水分の影響で材料が分解し、材料起因で貼りつくことを抑制できるためと推定される。さらに、ヒートシール層や帯電防止層に、中心粒径0.5μmを超える大きさのアンチブロッキング剤としての粒子を添加する必要がないため、視認性の悪化を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本実施形態のカバーテープについて、図面を参照して説明する。図1は本実施形態のカバーテープの一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本開示のカバーテープ1は、基材層2と、基材層2の一方の面側に配置されたヒートシール層3とを有する。本開示のカバーテープ1は、ヘーズ値が50%以下であり、水蒸気透過度が2.0g/(m・day)以上、9.0g/(m・day)以下であることを特徴とする。また、図3に示すように、本実施形態のカバーテープは、基材層2とヒートシール層3との間に中間層4を有していてもよく、また、基材層2のヒートシール層3側の面とは反対の面側に帯電防止層5を有していてもよい。
図2(a)、(b)は本開示の電子部品包装用カバーテープを用いた包装体の一例を示す概略平面図および断面図であり、図2(b)は図2(a)のA-A線断面図である。図2(a)、(b)に示すように、包装体10は、電子部品13を収納する複数の収納部12を有するキャリアテープ11と、収納部12に収納された電子部品13と、収納部12を覆うように配置されたカバーテープ1と、を備える。キャリアテープ11にはカバーテープ1がヒートシールされており、カバーテープ1のヒートシール層3の両端に所定の幅でライン状にヒートシール部3hが設けられている。また、包装体10において、キャリアテープ11は、送り穴14を有することができる。
以下、本実施形態のカバーデープについて、有すべき特性および層構成に分けて、説明する。
A.特性
本実施形態のカバーテープは、以下の特性を有するものである。
(1)水蒸気透過度
本実施形態におけるカバーテープは、水蒸気透過度が2.0g/(m・day)以上、9.0g/(m・day)以下である。このように水蒸気透過度が低い場合、ブロッキングを抑制することができる。そのため、ヒートシール層や帯電防止層への中心粒径0.5μmを超える大きさのアンチブロッキング剤の添加が不要となり、ヘーズ値の悪化を抑制することができる。
水蒸気透過度は、好ましくは8g/(m・day)以下、特に好ましくは6g/(m・day)以下である。水蒸気透過度が大きすぎると、ブロッキングを抑制することができない。
また、カバーテープの水蒸気透過度の測定は、JIS K 7129B 2008に準拠して、温度25℃50%RHの設定で、水蒸気透過度測定装置を用いて測定することができる。水蒸気透過度測定装置としては、例えば、モコン社製PERMATRAN3/33を用いることができる。測定は、カバーテープの測定試料(サンプルサイズ7cm×7cm程度)の表面のうち、厚み方向においてヒートシール層に対して基材層側に位置する上記表面が高湿度側(水蒸気供給側)となるようにして、上記装置の上室と下室との間に装着し上記の条件で行う。1つの条件で少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件での水蒸気透過度の値とする。サンプルサイズ7cm×7cm程度が推奨されるが、水蒸気を遮断できる金属製のマスクを作製すれば、小さいサイズの測定も可能である。3回の平均値を測定値とし、単位はg/m・dayとする。
上述した水蒸気透過度を有するカバーテープを得る手段としては、特に限定されないが、例えば、後述するように、結晶性が高いエチレン系重合体を含有するヒートシール層を使用する方法が挙げられる。また、カバーテープの厚みを厚くする方法、またはカバーテープにバリア性樹脂膜を設ける方法等を、単独で、または組み合わせることによって、上述した水蒸気透過度を得ることもできる。
(2)ヘーズ値
本実施形態におけるカバーテープにおけるヘーズ値は、例えば50%以下であり、46%以下であることが好ましく、特には44%以下であることが好ましい。ヘーズ値は、JIS-K-7136に準拠して、ヘーズメーターNDH 7000(日本電色工業製)で測定した値である。このような光学的特性を有するものであれば、視認性の良いカバーテープとなる。
上述したヘーズ値を有するカバーテープを得る手段としては、特に限定されないが、例えば、後述するように、結晶性が高いエチレン系重合体を含有するヒートシール層を使用する方法、ブロッキングを抑制するための微粒子を添加しない方法、軟化点の低い(例えば、約40~60℃)樹脂を用い、製膜後にエージング(例えば、60℃で48h程度)を行うことでフィルム表面を平滑にする方法、また、最表面に平滑な層を塗工する方法、押出工程で表面を平滑にする方法等を挙げることができる。
(3)表面粗さ
本実施形態におけるカバーテープのヒートシール層側の表面の算術平均粗さRaは、特に限定されないが、例えば0.5μm以上、1.5μm以下である。カバーテープのヒートシール層側の表面の算術平均粗さRaは、例えば、ヒートシール層を形成する際の押出ラミネートに使用する冷却ロールの表面粗さに影響される。算術平均粗さRaは、JIS B 0601-2001に基づいて、小型表面粗さ測定機 Surftest SJ-210(株式会社ミツトヨ製)を使用し、測定した値である。試験条件及び試験手順としては、後述する実施例に記載の条件を採用することができる。
(4)全光線透過率
本実施形態におけるカバーテープは、上述の各層を積層してなるカバーテープにおける全光線透過率が80%以上であることが好ましく、特には85%以上であることが好ましい。
全光線透過率は、JIS-K-7361に準拠して、ヘーズメーターNDH 7000(日本電色工業製)で測定した値である。このような光学的特性を有するものであれば、より視認性の良いカバーテープとなる。
(5)幅及び長さ
本実施形態におけるカバーテープの幅および長さは、キャリアテープの幅および長さに応じて適宜設定することができる。例えば、カバーテープの幅は1~100mm程度であり、5.25mm~5.5mmであってもよい。また、長さは100~10000m程度である。本実施形態のカバーテープは、使用前(キャリアテープにヒートシールする前)に、通常、トラバース巻きで巻かれた状態で保管される。
B.層構成
次に、本実施形態におけるカバーテープの層構成について、各層に分けて説明する。
(1)ヒートシール層
本実施形態におけるヒートシール層は、基材層の一方の面側に配置される層である。ヒートシール層は、本実施形態のカバーテープを用いて包装体を製造する際に、キャリアテープに対してヒートシールすることにより、カバーテープとキャリアテープとが接着される。ヒートシール層は、中心粒径0.5μmを超える大きさのアンチブロッキング剤を含まないことが好ましい。
(a)材料
本実施形態に用いられるヒートシール層に用いられる樹脂は、上記特性を有するカバーテープを得ることができるのであれば、特に限定されるものではない。
例えば、エチレン系重合体、アクリル系樹脂、アクリル-スチレン共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、および塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体のいずれか、あるいは、これらを主成分とする樹脂が挙げられる。
本実施形態においては、エチレン系重合体を含むヒートシール層であることが好ましく、中でも結晶性が高いエチレン系重合体を含むヒートシール層であることが好ましい。
具体的には、示差走査熱量計(DSC)により測定される相転移温度が45℃以上であるヒートシール層を有することが好ましい。
上記ヒートシール層が、このような相転移温度を有することにより、カバーテープの厚みの調整やバリア性樹脂膜の配置を行わなくても、上述した水蒸気透過度を得ることができる。また、上述したヘーズ値をより確実に得ることができるからである。
本実施形態におけるヒートシール層は、上述した通り、熱可塑性樹脂としてエチレン系重合体を有する。なかでも、エチレン鎖がある程度配向されたエチレン系重合体であることが特に好ましい。
エチレン系重合体とは、エチレン単位(エチレンに由来する構成単位)を含む重合体であり、例えば、エチレン単独重合体(ポリエチレン)、及び、エチレンと他の単量体との共重合体(エチレン共重合体)が挙げられる。
エチレン単独重合体としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
エチレン共重合体を構成する他の単量体としては、オレフィン系単量体(プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン等)、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸等)、不飽和カルボン酸エステル(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等)、ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、フマル酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル等)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
エチレン共重合体中のエチレンの含有量は、特に限定されないが、60質量%以上98質量%以下にでき、70質量%以上97質量%以下であってもよい。エチレン共重合体中の他の単量体の含有量は、特に限定されないが、2質量%以上40質量%以下にでき、3質量%以上30質量%以下であってもよい。
中でも、エチレン共重合体は、エチレン-酢酸ビニル系共重合体(EVA樹脂)、エチレン-アクリル酸共重合体が好ましい。特に、ヒートシール層はEVA樹脂を含有することが好ましい。ヒートシール層がEVA樹脂を含むことにより、キャリアテープに対するヒートシール性が良好になる。そのため、搬送、保管中等において意図しない剥がれの発生を抑制することができる。
本実施形態においてEVA樹脂とは、少なくとも、エチレンモノマー単位と酢酸ビニルモノマー単位とを含む共重合体である。エチレンモノマー単位とは、エチレンモノマー由来の構成単位をいい、酢酸ビニルモノマー単位とは、酢酸ビニルモノマー由来の構成単位をいう。EVA樹脂中のエチレンの含有量は、特に限定されないが、60質量%以上98質量%以下にでき、70質量%以上97質量%以下であってもよい。EVA樹脂中の酢酸ビニルの含有量は、特に限定されないが、2質量%以上40質量%以下にでき、3質量%以上30質量%以下であってもよい。
EVA樹脂は、エチレンモノマー単位と酢酸ビニルモノマー単位の他に、第三のモノマー単位を含んでもよい。第三のモノマー単位は帯電防止性能を有する官能基を含んでいてもよい。
ヒートシール層におけるEVA樹脂の含有量は、特に限定されないが、50質量%以上100質量%以下にでき、60質量%以上80質量%以下にできる。EVA樹脂の含有量を増やすとヒートシール性能が向上する。
本実施形態におけるヒートシール層がEVA樹脂を含む場合、ヒートシール層は更にポリエチレン樹脂を含んでいてもよい。ポリエチレン樹脂を配合することで、良好なヒートシール性を保ちつつ、表面タック性を低くし、高湿熱環境下に置いた後の劣化を抑制することができる。
ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等の種々のポリエチレンが挙げられるが、分散性の観点から優位であることから、低密度ポリエチレン(LDPE、密度0.910~0.930未満)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度0.910~0.925)が好適に用いられる。
また、本実施形態において、各種ポリエチレンの分類は、旧JIS K6748:1995やJIS K6899-1:2000において定義されたものを指す。ヒートシール層におけるポリエチレン樹脂の含有量は、例えば0質量%以上50質量%以下であってもよく、20質量%以上40質量%以下であってもよい。ポリエチレン樹脂の含有量を増やすとヒートシール性能が低下するが、表面タック力が低くなる傾向がある。
ヒートシール層には、必要に応じて、例えば、粘着付与剤、帯電防止剤、分散剤、充填剤、可塑剤、着色剤等の添加剤が含まれていてもよい。
ヒートシール層は、中心粒径0.5μmを超える大きさのアンチブロッキング剤を含まないことが好ましい。さらに好ましくは、アンチブロッキング剤を含まないことが好ましい。このようなアンチブロッキング剤としては、シリカ、アルミナ、ゼオライト、タルク、珪藻土等の無機粒子、架橋または未架橋アクリルビーズ、架橋または未架橋スチレンビーズ等の樹脂ビーズが挙げられる。本明細書において、「ヒートシール層がアンチブロッキング剤を含まない」とは、ヒートシール層におけるアンチブロッキング剤の含有量が、例えばフィルム最外層に位置する層中に1質量%以下、好ましくはフィルム最外層に位置する層中に0.5質量%以下であることをいう。
(b)相転移温度
本実施形態における、エチレン系重合体を含むヒートシール層は、特定の示差走査熱量計(DSC)により測定される相転移温度が45℃以上である。このようなヒートシール層を有するカバーテープであれば、ヘーズ値および水蒸気透過度を確実に上記範囲内とすることができる。ヒートシール層の相転移温度は、好ましくは50℃以上であり、より好ましくは55℃以上である。一方、例えば、100℃以下であり、90℃以下であることが好ましい。
本実施形態において、示差走査熱量計(DSC)による測定において、1stスキャン(初回昇温時)における10℃/minの昇温速度での加熱時に、30℃~100℃の範囲内で、0.05mW/mg以上の強度を持つ吸熱ピークを、ヒートシール層の相転移温度と定義する。示差走査熱量計(DSC)としては、例えばNETZSCH社製のDSC204を用いることができる。
ヒートシール層がエチレン系重合体を含む場合、示差走査熱量計(DSC)により測定される相転移温度が比較的高い場合は、エチレン系重合体中のエチレン鎖がある程度配向されているため、相転移温度がある程度高くなっていることが想定される。
そして、エチレン鎖をある程度配向させたエチレン系重合体を用いることにより、水蒸気透過度を上述の範囲に制御することができるものと想定される。
また、エチレン系重合体中のエチレン鎖がランダムである領域は、入射された光を散乱させる効果があると考えられるため、このエチレン鎖をある程度配向させたエチレン系重合体を用いることにより、ヒートシール層としてのヘーズ値をより低く抑えられるものと想定される。
(c)厚さ
ヒートシール層の厚さは、特に限定されず、例えば、1μm以上30μm以下、好ましくは、10μm以上20μm以下とすることができる。ヒートシール層の厚さが薄すぎると、シール性に劣る場合があり、また、均一な膜が得られない場合がある。ヒートシール層の厚さが厚すぎると、カバーテープの透明性が低下するおそれがあり、かつ、ヒートシール層単層での応力増加により、タックが悪化(増加)するおそれがある。
(d)ヒートシール層形成方法
ヒートシール層の形成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、熱溶融させたフィルムの原材料を基材層または中間層にTダイ等で押出して、冷却ロールで基材層または中間層と圧着する方法(押出ラミネート法)が挙げられる。また、予め製造したフィルムを接着剤で基材層または中間層に貼り合せる方法も挙げられる。接着剤としては、例えば、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤等を用いることができる。
また、ヒートシール層の他の形成方法としては、例えば、熱可塑性樹脂、帯電防止剤及びその他に添加剤等を溶媒に分散または溶解したヒートシール層用組成物を用い、後述する基材層上に上記ヒートシール層用組成物を塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。上記ヒートシール層用組成物の塗布方法としては、例えば、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ロッドコ-ト、キスコート、ナイフコート、ダイコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の塗布法が挙げられる。
相転移温度が45℃以上であるヒートシール層を得るためには、製膜後にエージングすることが好ましい。エージングすることによって、エチレン系共重合体の配向性が良好となり、DSCピークを高くすることができる。エージング条件としては、特に限定されないが、エージング温度が、例えば35℃以上であり、40℃以上が好ましい。一方、60℃以下であり、58℃以下が好ましい。また、エージング時間が、例えば24時間以上であり、48時間以上が好ましい。一方、例えば72時間以下である。
また、45℃以上の相転移温度を有する、エチレン系共重合体を含むヒートシール層を得るための他の方法としては、押出ラミネート法において、従来の冷却ロール温度よりも高温に設定した冷却ロールを複数用いることで、冷却を徐々に行う方法が挙げられる。冷却を徐々に行うことで、急冷する場合と比較し、エチレン系共重合体中のエチレン鎖の配向性が良好となる。
(2)基材層
本実施形態における基材層は、中間層、ヒートシール層や後述する帯電防止層を支持する層である。基材層としては、保存および搬送時の外力に耐える機械的強度や、製造およびテーピング包装に耐える耐熱性等を有していれば、種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体、テレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルが、コスト面および機械的強度が良いため、好ましく用いられる。本実施形態においては、延伸、無延伸ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンなどが好ましい。水蒸気バリア性が良好であるからである。
また、基材層には、必要に応じて、例えば充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。基材層は、単層であってもよく、同種または異種の複数層の積層体であってもよい。また、基材層は、延伸フィルムであってもよく、未延伸フィルムであってもよい。中でも、基材層は、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよい。
基材層の厚さは、例えば、2.5μm以上300μm以下とすることができ、6μm以上100μm以下であってもよく、12μm以上50μm以下であってもよい。基材層の厚さが厚すぎると、テーピング包装時の剛性が強くなりハンドリング性とコスト面でも不利である。また、基材層の厚さが薄すぎると、水蒸気バリア性が低下し、機械的強度が不足する場合がある。
(3)中間層
本実施形態のカバーテープは、基材層とヒートシール層との間に中間層を有していてもよい。中間層により、基材層およびヒートシール層の密着性を向上させることができる。また、中間層により、本実施形態のカバーテープをキャリアテープにヒートシールする際に、クッション性を向上させることができるために、より均一にヒートシール層に熱を与えることができる。
中間層に用いられる樹脂材料としては、基材層およびヒートシール層の材料等に応じて適宜選択することができ、例えば、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、およびポリエステル等が挙げられる。本実施形態においては、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましい。水蒸気バリア性が良好であるからである。
中間層の厚さは、例えば、5μm以上50μm以下とすることができる。中間層としては、フィルムを用いることができる。この場合、基材層および中間層の積層方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、熱溶融させたフィルムの原材料を基材層にTダイ等で押出して、上記冷却ロールで急冷固化し、基材層と圧着する方法(押出ラミネート法)が挙げられる。これにより、基材層の一方の面側に中間層が形成される。なお、基材層の中間層が配置される側の面には、予め、アンカーコート層が形成されることが好ましい。また、予め製造したフィルムを接着剤で基材層に貼り合せる方法も挙げられる。
(4)帯電防止層
本実施形態では、基材層のヒートシール層側の面とは反対の面側に、帯電防止層が配置されていることが好ましい。帯電防止層は、カバーテープが帯電することを防止するための層である。帯電防止層を有することによって、キャリアテープからカバーテープを剥離する際の剥離帯電によりチップの損傷や静電気による実装不良を抑制すること、他の面との接触による静電気の発生を防止することや、静電気が帯電してカバーテープの表面へのゴミやチリ等の付着を防止することができる。
帯電防止層は、基材層に帯電防止剤をコーティングすることにより形成することができる。帯電防止剤としては、導電性高分子が挙げられ、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール等が挙げられる。中でも、導電性高分子は、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびポリピロールからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。湿度に依存しない十分な帯電防止性および透明性が得られるからである。ポリチオフェンとしては、例えば、PEDOT/PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸)が好ましく用いられる。ポリアニリンとしては、例えば、スルホン化ポリアニリンが好ましく用いられる。上記導電性高分子を含む帯電防止層であれば厚みが薄くとも、低い表面抵抗率を得ることができるために好ましい。帯電防止層の厚みが薄いことで、カバーテープの光の透過率を向上させることができる。また、帯電防止層の厚みが薄いことで、カバーテープの光の吸収率を低くすることができる。そのため、カバーテープの視認性を向上させることができる。
また、本実施形態における帯電防止層は、導電性高分子以外の帯電防止剤を含むことにより帯電防止性を発現するものであっても良い。導電性高分子以外の帯電防止剤としては、例えば、高分子型界面活性剤、低分子型界面活性剤等が挙げられる。それぞれ、ノニオン、カチオン、アニオン型があり、この界面活性剤としては、帯電防止性能、塗工性の観点からはカチオン型高分子界面活性剤が好ましく、コスト、光学物性、インキ化の観点からはノニオン系低分子型界面活性剤が好ましい。カチオン型高分子界面活性剤としては、高分子型4級アンモニウム塩が好ましい。4級アンモニウム塩のカウンターアニオンは特に限定されず、例えば、ハロゲンイオン、硫化物イオン等が用いられ、アンモニウムの1~3位まではアリール基、アルキル基が入り、特に限定されないが、溶解性の観点から炭素数が6個以下であることが好ましい。
高分子型4級アンモニウム塩の主鎖にはアクリル主鎖が透明性、基材密着性の観点から好ましい。ノニオン系低分子型界面活性剤は特に限定されないが、親油基が10~20の脂肪酸エステル型、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのエーテル型、エステルエーテル型、アルカノールアミド型、アルキルグリコシド型、アルキルアミン型が好ましい。また、塗膜に光学特性、機械特性を付与するため、特にアクリル系樹脂バインダー、または、その架橋型バインダーを含んでもよい。
帯電防止層の形成方法としては、例えば、帯電防止剤等を溶媒に分散または溶解した帯電防止層用組成物を用い、基材層のヒートシール層側とは反対の面側に上記帯電防止層用組成物を塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。上記帯電防止層用組成物の塗布方法としては、例えば、エアドクター、ブレードコート、ナイフコート、ロッドコート、バーコート、ダイレクトロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、スライドコート等の公知の塗布法が挙げられる。
帯電防止層の厚さは、例えば、0.02μm以上3μm以下とすることができる。この程度の厚さの帯電防止層とすることにより、カバーテープに帯電防止性を付与することができる。
帯電防止層は、アンチブロッキング剤を含まないことが好ましい。このようなアンチブロッキング剤としては、上述した「(1)ヒートシール層」に記載した内容と同様である。本明細書において、「帯電防止層がアンチブロッキング剤を含まない」とは、帯電防止層におけるアンチブロッキング剤の含有量が、1wt%を超えないことをいう。
(5)接着剤層
更に、基材層と中間層との間、又は中間層とヒートシール層との間に、接着剤層を有していてもよい。接着剤層を形成することで、基材層、中間層又はヒートシール層が接着力に乏しい場合であっても、基材層と中間層との間、又は中間層とヒートシール層との間の密着性を向上させることができる。接着剤層としては、基材層、中間層、ヒートシール層に用いられる材料に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。接着剤層は、例えば、オレフィン系、アクリル系、イソシアネート系、ウレタン系、エステル系の接着剤等のような接着性の良好な樹脂で形成することができる。
また、接着剤の塗布は、特に限定されないが、グラビアコーティング、ロールコーティング等で行うことができる。
接着剤層の厚さは、適宜調整することができるが、例えば、カバーテープに適度な剛性を与えるように、1~10g/mであり、好ましくは、2~5g/mである。1g/m以上であれば、接着強度を均一にすることができる。
(6)その他
本実施形態においては、カバーテープの厚みを厚くする方法、またはバリア性樹脂膜を設ける方法等を、単独で、または組み合わせることによって、上述した水蒸気透過度を得ることもできる。
(a)カバーテープの厚みの調整
カバーテープの厚みを厚くすることで、カバーテープの水蒸気透過度を上記所定の範囲に調整することができる。この場合、カバーテープの厚さは、例えば、40μm以上であり、50μm以上であることが好ましい。一方、カバーテープの厚さは、例えば、80μm以下であり、70μm以下であってもよい。
なお、上述した「B.層構成」のカバーテープであれば、ヒートシール層に、エチレン鎖をある程度配向させたエチレン系重合体を用いるため、カバーテープの厚さが薄くとも、上記水蒸気透過度を得ることができる。
(b)バリア性樹脂膜の配置
水蒸気バリア性を有するバリア性樹脂膜を配置することにより、カバーテープの水蒸気透過度を上記所定の範囲に調整することができる。バリア性樹脂膜は、基材層とヒートシール層との間に配置され、上述した中間層として機能するものであることが好ましい。
このようなバリア性樹脂膜としては、例えば、アルミ蒸着樹脂フィルム、延伸または無延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。
上記バリア性樹脂膜の厚みは、所望のバリア性および透明性を得ることができれば特に限定されない。また、本実施形態におけるカバーテープは、バリア性樹脂膜の他にも、金属膜、無機化合物膜等のバリア層を配置してもよい。これらのバリア層は、基材層のヒートシール層側とは反対側に配置されてもよいし、基材層とヒートシール層との間に配置されてもよい。カバーテープが帯電防止層を有する場合、バリア層は、帯電防止層と基材層との間に配置されてもよい。カバーテープは、通常、帯電防止層が外側(外気側)となるように巻き取られるため、より効果的に水分の侵入を抑制することができるからである。
2.電子部品包装用カバーテープ(第二実施形態)
本発明者らは、カバーテープの視認性の悪化を抑制しつつ、ブロッキングを抑制する方法について鋭意検討した結果、エチレン系重合体が含まれるヒートシール層の示差走査熱量計(DSC)により測定される相転移温度が比較的高い場合に、上述した理由により、ヘーズ値の悪化を抑制しつつ、水蒸気透過率を下げることができるという事実を新たに見出し、本発明を完成するに至ったものである。
本実施形態の電子部品包装用カバーテープは、基材層と、上記基材層の一方の面側に配置されたヒートシール層と、を有する電子部品包装用カバーテープであって、上記ヒートシール層は、エチレン系共重合体を含み、示差走査熱量計(DSC)により測定される相転移温度が45℃以上であることを特徴とする。
本実施形態における電子部品包装用カバーテープであれば、ヘーズ値および水蒸気透過度が低いものとなる。従って、良好な視認性を保ちつつ、ブロッキングを抑制することが可能となる。水蒸気透過度およびヘーズ値等の特性としては、特に限定されるものではないが、上述した「1.電子部品包装用カバーテープ(第一実施形態) A.特性」の欄で記載した範囲内ものが好ましい。
本実施形態における電子部品包装用カバーテープのヒートシール層、基材層等の層構成については、上述した「1.電子部品包装用カバーテープ(第一実施形態) B.層構成」と同様である。
II.包装体
本開示の包装体は、電子部品を収納する複数の収納部を有するキャリアテープと、上記収納部に収納された電子部品と、上記収納部を覆うように配置された、上述のカバーテープと、を備える。
本開示のカバーテープを用いた包装体は、カバーテープ越しに電子部品を目視又は機械で確認する場合において、電子部品の視認性が向上したものとなる。
図2(a)、(b)は本開示の包装体の一例を示す概略平面図および断面図である。なお、図2(a)、(b)については、上記「I.電子部品包装用カバーテープ」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
以下、本開示の包装体の各構成について説明する。
1.カバーテープ
本開示におけるカバーテープについては、上記「I.電子部品包装用カバーテープ」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
本開示の包装体においては、カバーテープのヒートシール層とキャリアテープとはヒートシール部で接着されている。ヒートシール部は、例えば、カバーテープのヒートシール層がキャリアテープと接する部分の一部に配置することができる。すなわち、ヒートシール層は、ヒートシール部と非ヒートシール部とを有していてもよい。これにより、キャリアテープに対するカバーテープの剥離性を良くすることができる。
2.キャリアテープ
本開示におけるキャリアテープは、電子部品を収納する複数の収納部を有する部材である。
キャリアテープとしては、複数の収納部を有するものであればよく、例えば、エンボスキャリアテープ(エンボステープとも称される。)、パンチキャリアテープ(パンチテープとも称される。)、プレスキャリアテープ(プレステープとも称される。)のいずれも用いることができる。中でも、コスト、成形性、寸法精度等の観点から、エンボスキャリアテープが好ましく用いられる。
キャリアテープの材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ABS樹脂等のプラスチックや、紙等が挙げられる。本開示において紙とは、セルロースを主成分とするものをいい、更に樹脂成分が含まれていてもよい。
キャリアテープの厚さは、キャリアテープの材質や、電子部品の厚さ等に応じて適宜選択される。例えば、キャリアテープの厚さは、30μm以上1500μm以下とすることができる。キャリアテープの厚さが厚すぎると、成形性が悪くなり、キャリアテープの厚さが薄すぎると、強度が不足する場合がある。
キャリアテープは、複数の収納部を有する。収納部は、通常、キャリアテープの長手方向に所定の間隔をおいて配置される。収納部の大きさ、深さ、ピッチ等としては、電子部品の大きさ、厚さ等に応じて適宜調整される。
収納部を有するキャリアテープの形成方法としては、一般的なキャリアテープの成形方法を適用することができ、キャリアテープの種類や材質等に応じて適宜選択される。例えば、プレス成形、真空成形、圧空成形、打抜加工、圧縮加工等が挙げられる。
3.電子部品
本開示の包装体に用いられる電子部品としては、特に限定されず、例えば、IC、抵抗、コンデンサ、インダクタ、トランジスタ、ダイオード、LED(発光ダイオード)、液晶、圧電素子レジスタ、フィルター、水晶発振子、水晶振動子、コネクタ、スイッチ、ボリュウム、リレー等が挙げられる。ICの形式についても、特に限定されない。
4.その他
本開示の包装体は、電子部品の保管および搬送のために用いられる。電子部品は、包装体の状態で保管および搬送され、実装に供される。実装時には、カバーテープを剥離し、キャリアテープの収納部に収納されている電子部品を取り出し、基板等へ実装される。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本開示をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
基材層として、厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(フタムラ化学社製 FE2002、以下PETフィルム)を準備した。PETフィルムの一方の面側に帯電防止コート剤(導電性高分子としてPEDOTを含み、硬化剤としてアジリジンを含む、アラコートAS601D/CL910(質量比)=10/1 荒川化学社製、溶液固形分濃度1.5wt%)を塗布することによって、帯電防止層(厚さ0.05μm)を形成した。PETフィルムの帯電防止層が形成された面とは反対の面側に、ウレタン系アンカーコート剤(タケネートA-3075/タケラックA-3210(質量比)=3/1 酢酸エチルで5%希釈)を塗布し(ウェット厚さ1μm)、接着剤層を形成した。次いで、ポリエチレン樹脂(ノバテックLC600A、日本ポリエチレン社製)を溶融させて、接着剤層の形成されたPETフィルム表面に押出し、押出ラミネート法により、厚さ15μmの中間層を形成した。
次いで、CMPS V8021(EVA樹脂を含む 三井ダウポリケミカル株式会社製)およびエレストマスターHE-510(花王株式会社製)を150:3の配合比率(重量比)で含むヒートシール材料(相転移温度42℃)を溶融させて中間層表面に押出し、算術平均粗さRa0.41μmおよび最大高さ粗さRz2.90μmの表面を有する冷却ロールを用いた押出ラミネート法により製膜した。製膜後、40℃、48時間の条件でエージングを行い、厚さ15μmのヒートシール層を形成した。形成されたヒートシール層の中間層側とは反対側の表面の粗さは、算術平均粗さRa0.50μm、最大高さ粗さRz5.05μmであった。これによって、帯電防止層/基材層/接着剤層/中間層/ヒートシール層からなる構成の実施例1のカバーテープを作製した。
なお、算術平均粗さRaおよび最大高さ粗さRzは、JIS B 0601-2001に基づいて、小型表面粗さ測定機 Surftest SJ-210(株式会社ミツトヨ製)を使用し、下記試験条件及び試験手順で測定した値である。
(試験条件)
・規格 JIS B 0601-2001
・曲線:R
・フィルタ:GAUSS
・λc/λs:2.5mm/8μm
・区間数:×5
・測定速度0.5mm/s
・合計5点を測定し、平均値を算出
(カバーテープのヒートシール層側の表面粗さの試験手順)
上記で得られたカバーテープを50mm×20mmにカットしサンプルを得る。サンプルのヒートシール層側の面を上に向け、スライドガラス(76×26mm,0.8~1.0mmt)上に平坦になるように3MTM耐熱ポリイミドテープ 7414を用い、サンプル4隅、または4辺にポリイミドテープがスライドガラスからはみ出さないように貼り付けた。小型表面粗さ測定機、及びその走査プローブを、サンプル表面上に対し水平になるように設置した。上記の試験条件で、走査プローブをフィルム表面上で走査させ、粗さ曲線の算術平均粗さRaおよび最大高さ粗さRzの各値を取得した。
(実施例2)
CMPS V8021(EVA樹脂を含む 三井ダウポリケミカル株式会社製)、スミカセン L705(住友化学株式会社製)およびESR-702(理研ビタミン株式会社製)を115:33:5の配合比率(重量比)で含むヒートシール材料(相転移温度48℃)を用い、算術平均粗さRa0.79μmおよび最大高さ粗さRz7.90μmの表面を有する冷却ロールを用いた押出ラミネート法により製膜し、製膜後に40℃、48時間の条件でエージングを行うことにより、中間層側とは反対側の表面が算術平均粗さRa1.10μm、最大高さ粗さRz6.55μmであるヒートシール層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で、カバーテープを作製した。これによって、帯電防止層/基材層/接着剤層/中間層/ヒートシール層からなる構成の実施例2のカバーテープを作製した。
(実施例3)
CMPS V70(EVA樹脂を含む 三井ダウポリケミカル株式会社製)、エレマスターHE-510(花王株式会社製)を150:3の配合比率(重量比)で含むヒートシール材料(相転移温度46℃)を用い、算術平均粗さRa1.20μmおよび最大高さ粗さRz9.70μmの表面を有する冷却ロールを用いた押出ラミネート法により製膜し、製膜後に40℃、48時間の条件でエージングを行うことにより、中間層側とは反対側の表面が算術平均粗さRa1.31μm、最大高さ粗さRz8.18μmであるヒートシール層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で、カバーテープを作製した。
(比較例1)
実施例1と同様に、帯電防止層―基材層―接着層―中間層を作製した。次いで、エチレン-酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)社製、ウルトラセン625)64質量%、改質剤(荒川化学工業(株)社製、アルコンP100)を14.4質量%、低密度ポリエチレン(住友化学工業(株)社製、スミカセンCE4043)を21質量%、帯電防止剤(花王株式会社製、エレクトロストリッパーTS-3B)0.6質量%を含むヒートシール材料(相転移温度44℃)を溶融させて中間層表面に押出し、算術平均粗さRa0.41μmおよび最大高さ粗さRz2.90μmの表面を有する冷却ロールを用いた押出ラミネート法により製膜し、厚さ15μmのヒートシール層を形成した。
形成されたヒートシール層の中間層側とは反対側の表面の粗さは、算術平均粗さRa0.54μm、最大高さ粗さRz4.80μmであった。これによって、帯電防止層/基材層/接着剤層/中間層/ヒートシール層からなる構成の比較例1のカバーテープを作製した。
[示差走査熱量計(DSC)測定]
実施例1~3、比較例1で製造したカバーテープに対して、上記「1.電子部品包装用カバーテープ(第一実施形態) B.層構成 (1)ヒートシール層 (b)相転移温度」で記載した方法により相転移温度(DSCピーク)を測定した。結果を表1に示す。
[水蒸気透過度]
実施例1~3、比較例1で製造したカバーテープの水蒸気透過度を、上記「1.電子部品包装用カバーテープ(第一実施形態) A.特性 (1)水蒸気透過度」で記載した方法により測定した。結果を表1に示す。
[ヘーズの測定]
実施例1~3、比較例1で製造したカバーテープのヘーズを、上記「1.電子部品包装用カバーテープ(第一実施形態) A.特性 (2)ヘーズ値」で記載した方法により測定した。結果を表1に示す。
[ブロッキング評価]
実施例1~3、比較例1のカバーテープを、幅5.25mmに裁断した。そして、裁断されたカバーテープを巻き取って巻回物を得た。耐ブロッキング性の有無を、以下の評価方法および評価基準で評価した。結果を表1に示す。
・評価方法
5.25mm幅にスリットした3000mトラバース巻(3インチコア、幅180mm、紙管)のカバーテープフィルムのフィルム端を巻ズレ防止のため、セロテープ(登録商標)で止めて、ニューポリ袋(規格袋) LDPE・透明 0.025mm厚 12号 230×340mm(福助工業)に入れ、袋の口を紙管に入れた。その後、トラバース巻を縦にして40℃90%RH環境下に3時間入れ、その後、室温環境(20~25℃、40±10%RH)に取出し、開封せず、60秒以内に7℃の冷蔵環境にトラバース巻を縦にして3時間投入した。冷蔵環境から取り出した後、袋に入れた状態で室温環境(20~25℃、40±10%RH)で12時間トラバース巻を縦にして静置した。
上記サンプルのフィルム端を5~8m廃棄し、図4に示すように、(1)フィルム端を50mm引出し、(2)そのフィルム端に15mgの荷重をかけ、(3)ロールを2~3秒/回転で回転させたときの耐ブロッキング性を以下の基準で評価した。
・評価基準
× 耐ブロッキング性なし(図4(a)):ロールを回転させたとき、引出したフィルム端が9時の位置までロールに貼りついて、剥がれなかった場合
〇 耐ブロッキング性あり(図4(b)):ロールを回転させたとき、引出したフィルム端が9時の位置前にロールから剥がれ、自然落下した場合
Figure 2023037999000002
表1に示されるように、45℃以上の相転移温度を有する、エチレン-酢酸ビニル系共重合体を含むヒートシール層を有する実施例1~3のカバーテープは、ヘーズ値が50%以下、水蒸気透過度が9.0g/(m・day)以下であり、視認性の悪化を抑制しつつ、ブロッキングが抑制されたことが確認された。一方、比較例1のカバーテープは、実施例1~3のカバーテープに対して、ヘーズ値および水蒸気透過率が高く、耐ブロッキング性がないことが確認された。また、実施例1は、比較例1とヒートシール層の表面粗さがほぼ同等であるが、相転移温度が45℃以上であることによって、ヘーズ値が低く抑えられ、かつ、ブロッキングが抑制できていることが確認された。
1 … カバーテープ
2 … 基材層
3 … ヒートシール層
4 … 中間層
5 … 帯電防止層
10 … 包装体
11 … キャリアテープ
12 … 収納部
13 … 電子部品

Claims (7)

  1. 基材層と、
    前記基材層の一方の面側に配置されたヒートシール層と、を有する電子部品包装用カバーテープであって、
    前記電子部品包装用カバーテープは、ヘーズ値が50%以下であり、
    水蒸気透過度が2.0g/(m・day)以上、9.0g/(m・day)以下である、電子部品包装用カバーテープ。
  2. 前記ヒートシール層は、エチレン系重合体を含み、示差走査熱量計(DSC)により測定される相転移温度が45℃以上である、請求項1に記載の電子部品包装用カバーテープ。
  3. 前記エチレン系重合体が、エチレン-酢酸ビニル系共重合体である、請求項2に記載の電子部品包装用カバーテープ。
  4. 基材層と、
    前記基材層の一方の面側に配置されたヒートシール層と、を有する電子部品包装用カバーテープであって、
    前記ヒートシール層は、エチレン系重合体を含み、示差走査熱量計(DSC)により測定される相転移温度が45℃以上である、電子部品包装用カバーテープ。
  5. 前記基材層と前記ヒートシール層との間に、中間層を有する、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の電子部品包装用カバーテープ。
  6. 前記基材層の前記ヒートシール層側の面とは反対の面側に、帯電防止層を有する、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の電子部品包装用カバーテープ。
  7. 電子部品を収納する複数の収納部を有するキャリアテープと、
    前記収納部に収納された電子部品と、
    前記収納部を覆うように配置された、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に
    記載の電子部品包装用カバーテープと、
    を備える、包装体。
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