JP6673285B2 - 被圧延材の形状制御装置及び形状制御方法ならびに金属薄板の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に示す薄板圧延の板形状制御方法は、目標形状と実形状との偏差を最小とする操作量を算出し、形状偏差の板幅方向の分布までを制御して、板幅方向で局所的に伸び率差の大きい箇所を発生させないようにするものである。
即ち、被圧延材を冷間圧延する冷間圧延機の出側には、デフレクタロールやパスラインロールなどのロールが多数配置されているのが一般的である。特許文献1に示す薄板圧延の板形状制御方法の場合、これらロールにミスアライメントが生じると、即ち、当該ロールが圧延ライン方向に対して垂直方向及び水平方向に傾くと、目標形状と実形状との偏差がない場合でも被圧延材の形状不良が発生していた。ロールが圧延ライン方向に対して垂直及び水平な向きに傾くことにより、被圧延材の幅方向両端のパスライン長に差が生じ、パスライン長が長い側の被圧延材の端部は弾性的に延びるため、パスライン長が長い側の端部の張力が高くなる。これにより、形状計の被圧延材から受ける荷重は、パスライン長が長い側の端部が高くなり、形状計がより延びていないと認識する。特許文献1に示す薄板圧延の板形状制御方法によれば、それに基づいてワークロールベンディング機構を制御することで、目標形状と実形状とに偏差がない場合でも、制御後の形状が目標形状と異なる形状となるため、形状不良が発生していた。
また、本発明の別の態様に係る金属薄板の製造方法は、上記被圧延材の形状制御方法を用いることを要旨とする。
先ず、各ロール211〜21i+1にミスアライメントが生じると、各ロール211〜21i+1が傾く。これにより、設定当初ゼロであった各ロール211〜21i+1の水平度及び直行度が水平度α1〜αi+1及び直行度β1〜βi+1となる。
また、冷間圧延機10を出てからn番目のロール21nの直行度βnは、n番目のロール21nの圧延ライン方向に対する水平な方向の傾きであり、図2(B)に示すように、直行度βn=δ2n/ロール胴長で表せる。δ2nはロールの胴長方向端部の圧延ライン方向のずれ量であり、圧延ライン方向の出側を正とする。
また、第1及び第2テンションリール22a,22bの水平度αTR1,αTR2及び直行度βTR1,βTR2も被圧延材Sの板幅方向の一側と他側の伸び差率差Δεの算出に必要であるため、予め測定しておく。
次に、各ロール211〜21i+1にミスアライメントが生じ、各ロール211〜21i+1が傾くことにより、各ロール211〜21i+1の被圧延材一端の高さと被圧延材他端の高さとの間に高さ差Δa1〜Δai+1が生じるとともに、各ロール211〜21i+1の被圧延材一端のライン方向位置と被圧延材他端のライン方向位置との間に距離差Δb1〜Δbi+1が生じる。
また、冷間圧延機10を出てからn番目のロール21nの距離差Δbnは、図2(B)に示すように、前述の直行度βnを用いて、距離差Δbn=直行度βn×板幅で表せる。
また、第1及び第2テンションリール22a,22bの水平度αTR1,αTR2に起因して第1及び第2テンションリール22a,22bの被圧延材一端の高さと被圧延材他端の高さとの間に高さ差ΔaTR1、ΔaTR2が生じ、また、第1及び第2テンションリール22a,22bの直行度βTR1,βTR2に起因して第1及び第2テンションリール22a,22bの被圧延材一端のライン方向位置と被圧延材他端のライン方向位置との間に距離差ΔbTR1、ΔbTR2が生じる。
また、第1テンションリール22aの距離差ΔbTR1は、前述の直行度βTR1を用いて、距離差ΔbTR1=直行度βTR1×板幅で表せる。また、第2テンションリール22bの距離差ΔbTR2は、前述の直行度βTR2を用いて、距離差ΔbTR2=直行度βTR2×板幅で表せる。
Δan−1、Δan:前述のように算出された出側n−1番目のロール21n、出側n番目のロール21nの被圧延材一端の高さと被圧延材他端の高さとの間に高さ差、
Δbn−1、Δbn:前述のように算出された出側n−1番目のロール21n、出側n番目のロール21nの被圧延材一端のライン方向位置と被圧延材他端のライン方向位置との間の距離差、
rn-1、rn:出側n−1番目のロール21n、出側n番目のロール21nのロール半径、
ln-1〜n:出側n-1番目のロール21n-1から出側n番目のロール21nの板中心におけるロール中心間のライン方向距離、
Hn-1〜n:出側n-1番目のロール21n-1から出側n番目のロール21nの板中心におけるロール中心間の高さ差
である。これらΔan−1,Δan、Δbn−1,Δbn、rn-1,rn、ln-1〜n、及びHn-1〜nは、以下の(7)式〜(12)式において同じ意味である。
Δai:前述のように算出された出側i番目のロール21iの被圧延材一端の高さと被圧延材他端の高さとの間に高さ差、
ΔaTR1:前述のように算出された第1テンションリール22aの被圧延材一端の高さと被圧延材他端の高さとの間の高さ差、
Δbi:前述のように算出された出側i番目のロール21iの被圧延材一端のライン方向位置と被圧延材他端のライン方向位置との間の距離差、
ΔbTR1:前述のように算出された第1テンションリール22aの被圧延材一端のライン方向位置と被圧延材他端のライン方向位置との間の距離差、
ri:出側i番目のロール21iのロール半径、
rTR1:第1テンションリール22aに巻き取られる被圧延材のコイル半径
li〜TR1:出側i番目のロール21iから第1テンションリール22aの板中心におけるロール及びリール中心間のライン方向距離、
Hi〜TR1:出側i番目のロール21iから第1テンションリール22aの板中心におけるロール及びリール中心間の高さ差
である。
また、(2)式における、被圧延材Sの板幅方向の両端の、出側i+1番目のロール21i+1から第2テンションリール22bに至るまでのパスライン長差Δdi+1〜TR2は、次の(16)式のように表せる。
Δai+1:前述のように算出された出側i+1番目のロール21i+1の被圧延材一端の高さと被圧延材他端の高さとの間の高さ差、
ΔaTR2:前述のように算出された第2テンションリール22bの被圧延材一端の高さと被圧延材他端の高さとの間の高さ差、
Δbi+1:前述のように算出された出側i+1番目のロール21i+1の被圧延材一端のライン方向位置と被圧延材他端のライン方向位置との間の距離差、
ΔbTR2:前述のように算出された第2テンションリール22bの被圧延材一端のライン方向位置と被圧延材他端のライン方向位置との間の距離差、
ri+1:出側i+1番目のロール21i+1のロール半径、
rTR2:第2テンションリール22bに巻き取られる被圧延材のコイル半径
li+1〜TR2:出側i+1番目のロール21i+1から第2テンションリール22bの板中心におけるロール及びリール中心間のライン方向距離、
Hi+1〜TR2:出側i+1番目のロール21i+1から第2テンションリール22bの板中心におけるロール及びリール中心間の高さ差
である。
以上のように、目標形状補正部2は、被圧延材Sが経路1で巻き取られる場合、(1)式に基づいて、冷間圧延機10の出側の1番目からi番目のロール211〜21iを経て第1テンションリール22aに巻き取られる被圧延材Sの板幅方向の両端間におけるトータルのパスライン長差Δdを算出し、被圧延材Sが経路2で巻き取られる場合、(2)式に基づいて、冷間圧延機10の出側の1番目からi+1番目のロール211〜21i+1を経て第2テンションリール22bに巻き取られる被圧延材Sの板幅方向の両端間におけるトータルのパスライン長差Δdを算出する。
Δε=Δd/d ……(19)
1.各ロール211〜21iのロール半径r1〜rr
2.隣接するロール211〜212、212〜213、・・・21i-1〜21iの板中心におけるロール中心間のライン方向距離l1〜2、l2〜3、・・・li-1〜i
3.隣接するロール211〜212、212〜213、・・・21i-1〜21iの板中心におけるロール中心間の高さ差H1〜2、H2〜3、・・・Hi-1〜i
4.第1テンションリール22aに巻きつけられる被圧延材Sのコイル半径rTR1を算出するための、コイルの板厚、コイル長、第1テンションリール22aのリール半径TR1、スリーブ厚
5.出側i番目のロール21iから第1テンションリール22aの板中心におけるロール及びリール中心間のライン方向距離li〜TR1
6.出側i番目のロール21iから第1テンションリール22aの板中心におけるロール及びリール中心間の高さ差Hi〜TR1
11.各ロール211〜21i+1のロール半径r1〜rr+1
12.隣接するロール211〜212、212〜213、・・・21i〜21i+1の板中心におけるロール中心間のライン方向距離l1〜2、l2〜3、・・・li〜i+1
13.隣接するロール211〜212、212〜213、・・・21i〜21i+1の板中心におけるロール中心間の高さ差H1〜2、H2〜3、・・・Hi〜i+1
14.第2テンションリール22bに巻きつけられる被圧延材Sのコイル半径rTR2を算出するための、コイルの板厚、コイル長、第2テンションリール22bのリール半径TR2、スリーブ厚
15.出側i+1番目のロール21i+1から第2テンションリール22bの板中心におけるロール及びリール中心間のライン方向距離li+1〜TR2
16.出側i+1番目のロール21i+1から第2テンションリール22bの板中心におけるロール及びリール中心間の高さ差Hi+1〜TR2
なお、第1テンションリール22aに巻きつけられる被圧延材Sのコイル半径rTR1及び第2テンションリール22bに巻きつけられる被圧延材Sのコイル半径rTR2を算出するためのコイル長は、トラッキングにて計測し、その計測値が入力部6から目標形状補正部2に入力される。
制御部5は、形状偏差算出部4により算出された被圧延材Sの形状偏差に基づいて、冷間圧延機10に設けられたワークロールベンダー13a,13bの動作量及び圧下装置14によるレベリング量を制御するものである。つまり、制御部5は、補正された目標形状と形状計3により計測された形状測定値との偏差である形状偏差に対応するワークロールベンダー13a,13bの動作量及び圧下装置14によるレベリング量を制御する。
被圧延材Sの形状制御方法において、形状制御装置1の目標形状補正部2は、先ず、ステップS101において、入力部6から冷間圧延機10によって冷間圧延される被圧延材Sに関する情報の他に、被圧延材Sが巻き取られる経路(経路1か経路2か)を取得する。
なお、第1テンションリール22a及び第2テンションリール22bにおけるコイル長は、第1テンションリール22a及び第2テンションリール22bに巻付く被圧延材Sをトラッキングして計測し、その計測値が目標形状補正部2で取得される。
具体的に述べると、目標形状補正部2は、被圧延材Sが経路1で巻き取られる場合には、(1)式、(3)式、(5)〜(15)式及び(19)式に基づいて、被圧延材Sの板幅方向の一側と他側の伸び差率差Δεを算出する。
また、目標形状補正部2は、被圧延材Sが経路2で巻き取られる場合には、(2)式、(4)式、(5)〜(12)式、(16)〜(18)式及び(19)式に基づいて、被圧延材Sの板幅方向の一側と他側の伸び差率差Δεを算出する。
その後、目標形状補正部2は、ステップS106において、取得された目標形状の補正をする。
具体的に述べると、被圧延材Sが経路1で巻き取られる場合には、(1)式、(3)式、(5)〜(15)式及び(19)式で算出された被圧延材Sの板幅方向の一側と他側の伸び差率差Δεに基づいて、被圧延材Sにおいて延びている側の端部の伸び分が目標形状から差し引かれるように、予め設定された目標形状を補正する。
次に、形状偏差算出部4は、ステップS107において、形状計3で計測された被圧延材Sの形状測定値を取得する。
そして、形状偏差算出部4は、ステップS108において、形状計3により計測された被圧延材Sの形状計測値と目標形状補正部2により補正された目標形状との偏差である被圧延材Sの形状偏差を算出する。
そして、制御部5は、ステップS109において、形状偏差算出部4により算出された被圧延材Sの形状偏差に基づいて、冷間圧延機10に設けられたワークロールベンダー13a,13bの動作量及び圧下装置14によるレベリング量を制御する。
例えば、冷間圧延機10の出側に配置されるロールの数は、複数に限らず、単数であってもよい。
また、テンションリールの数は、2つに限らず、単数であってもよいし、3つ以上であってもよい。
2 目標形状補正部
3 形状計
4 形状偏差算出部
5 制御部
6 入力部
10 冷間圧延機(圧延機)
11a,11b ワークロール
12a,12b バックアップロール
13a,13b ワークロールベンダー
14 圧下装置
211〜21i+1 ロール
22a 第1テンションリール(テンションリール)
22b 第2テンションリール(テンションリール)
S 被圧延材
Claims (3)
- 圧延機により圧延された被圧延材を前記圧延機の出側に配置されたロールを介してテンションリールで巻き取る圧延ラインに適用される被圧延材の形状制御装置であって、
予め測定した前記ロール及び前記テンションリールの水平度及び直行度に基づいて、前記被圧延材の板幅方向の一側と他側の伸び差率差を算出し、算出された伸び差率差に基づいて、予め設定された被圧延材の目標形状を補正する目標形状補正部と、
前記圧延機により圧延された前記被圧延材の板幅方向における形状を計測する形状計と、
該形状計により計測された形状計測値と前記目標形状補正部により補正された目標形状との偏差である被圧延材の形状偏差を算出する形状偏差算出部と、
該形状偏差算出部により算出された被圧延材の形状偏差に基づいて前記圧延機に設けられたワークロールベンダーの動作量及び圧下装置によるレベリング量を制御する制御部とを備えたことを特徴とする被圧延材の形状制御装置。 - 圧延機により圧延された被圧延材を前記圧延機の出側に配置されたロールを介してテンションリールで巻き取る圧延ラインに適用される被圧延材の形状制御方法であって、
予め測定した前記ロール及び前記テンションリールの水平度及び直行度に基づいて、前記被圧延材の板幅方向の一側と他側の伸び差率差を算出し、算出された伸び差率差に基づいて、予め設定された被圧延材の目標形状を補正し、
前記被圧延材の板幅方向における形状を計測する形状計により計測された形状計測値と補正された目標形状との偏差である被圧延材の形状偏差を算出し、
算出された被圧延材の形状偏差に基づいて前記圧延機に設けられたワークロールベンダーの動作量及び圧下装置によるレベリング量を制御することを特徴とする被圧延材の形状制御方法。 - 請求項2に記載の被圧延材の形状制御方法を用いることを特徴とする金属薄板の製造方法。
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