JP6673189B2 - X線位相コントラスト撮影装置 - Google Patents

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本発明は、X線位相コントラスト撮影装置に関し、特に、格子を一定周期間隔に走査して得られた複数の画像から再構成画像を作成する方法(縞走査法)によって、X線位相コントラスト画像を得るX線位相コントラスト撮影装置に関する。
従来、格子を一定周期間隔に走査して得られた複数の画像から再構成画像を作成する方法(縞走査法)によって、X線位相コントラスト画像を得るX線位相コントラスト撮影装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、格子を周期方向に1/9周期ずつ等間隔に並進させて得た9枚の画像から、X線位相コントラスト画像を得るX線位相コントラスト撮影装置が開示されている。X線位相コントラスト画像には、吸収像、位相微分像および暗視野像が含まれる。なお、「位相微分像」とは、X線が被写体を通過した際に発生するX線の位相のずれをもとに画像化した像である。また、「暗視野像」とは、物体の小角散乱に基づくVisibilityの変化によって得られる、Visibility像のことである。また、暗視野像は、小角散乱像とも呼ばれる。「Visibility」とは、干渉縞の鮮明度のことである。
特開2012−16370号公報
しかしながら、医療現場や非破壊検査において、被写体の内部構造をより明確に把握したいというニーズが存在しており、上記特許文献1に記載されたような従来のX線位相コントラスト撮影装置で生成した位相微分像および暗視野像よりも、位相微分像および暗視野像の特徴点(位相のずれやVisibility(干渉縞の鮮明度)の変化のコントラスト)をより強調した画像が求められている。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、被写体の特定部位のコントラストを強調したX線位相コントラスト画像を生成することが可能なX線位相コントラスト撮影装置を提供することである。
本願発明者らが鋭意検討を行った結果、縞走査法を用いてX線位相コントラスト画像を生成する際、格子の周期に対して非等間隔の所定の相対位置となるように格子を走査させて撮影した場合、被写体の特定部位のコントラストが強調されたX線位相コントラスト画像を生成できるという知見を得ることができ、この知見に基づいて、以下の発明を想到するに至った。すなわち、この発明の一の局面によるX線位相コントラスト撮影装置は、X線源と、X線源から照射されたX線を検出する検出器と、X線源と検出器との間に配置され、X線源から照射されるX線により、自己像を形成するための第1格子と、第1格子の自己像と干渉させるための第2格子とを含む複数の格子と、検出器により検出されたX線の強度分布から、X線位相コントラスト画像を生成する画像処理部とを備え、画像処理部は、被写体の特定部位におけるX線の位相の変化量に基づいて、コントラスト生成に相対的に強く寄与する格子の周期方向における複数の相対位置を選択して、複数の相対位置に複数の格子を配置して撮影された画像から、特定部位を強調したX線位相コントラスト画像を生成するように構成されている。
ここで、X線位相コントラスト画像は、被写体の特定部位によるX線の位相の変化量やVisibility(干渉縞の鮮明度)の変化に基づいて生成される。したがって、被写体の特定部位におけるX線の位相の変化量がわかれば、コントラストの生成に寄与するおおよその位相を求めることができる。したがって、この発明の一の局面におけるX線位相コントラスト撮影装置では、上記のように、被写体の特定部位におけるX線の位相の変化量に基づいて、コントラストの生成に相対的に強く寄与する格子の周期方向の複数の相対位置を選択することができる。その結果、コントラストの生成に相対的に強く寄与する複数の相対位置に複数の格子を配置して撮影された画像から、被写体の特定部位を強調したX線位相コントラスト画像を生成することができる。
上記一の局面によるX線位相コントラスト撮影装置では、好ましくは、画像処理部は、被写体の特定部位におけるX線の位相の変化量に基づき選択されたコントラストの生成に相対的に強く寄与する位置に、複数の格子の少なくともいずれかを格子の周期方向に非等間隔に走査させて撮影した画像から、特定部位を強調したX線位相コントラスト画像を生成するように構成されている。ここで、本発明において「非等間隔」とは、格子を複数の相対位置に走査させる際、各相対位置が全体として格子の周期を等分割する位置にならない間隔のことをいう。また、最もコントラストが強調される位置に複数の格子を配置して撮影した画像からX線位相コントラスト画像を生成した場合、被写体の特定部分はコントラストが強調されるが、それ以外の部分は画像に表示されなくなる。このように構成すれば、被写体の特定部位におけるX線の位相の変化に基づき、コントラストが最も強調される位置に複数の格子を配置することを防ぐことができる。その結果、被写体の全体像を把握しながら、特定部位のコントラストが強調された画像を生成することができる。
この場合、好ましくは、画像処理部は、X線の位相の変化量に基づいて、基準となる位相を決定し、特定部位のX線の変化量に基づいて定められたコントラスト生成のための基準となる位相から、複数の格子の少なくともいずれかを所定位相分非等間隔に走査して撮影された複数の画像から、特定部位を強調したX線位相コントラスト画像を生成するように構成されている。このように構成すれば、コントラストの生成に寄与する複数の格子の相対位置を明確に決定することができる。
さらに好ましくは、基準となる位相は、X線の強度分布から得られる強度信号曲線の周期と、特定部位のX線の位相の変化量とによって決定される。ここで、本発明において「強度信号曲線」とは、ある画素に着目した際に、格子を走査させることによる、検出されるX線の輝度値の変化を表した曲線のことである。このように構成すれば、あらかじめ多数の相対位置に複数の格子を配置して撮影することなく、コントラストの生成に寄与する基準となる位相を決定することができる。
さらに好ましくは、所定位相は、基準となる位相の近傍から、強度信号曲線の周期の1/8未満の範囲に設定される。このように構成すれば、強度信号曲線の1周期を等分割する相対位置に複数の格子を配置することを防ぐことができる。その結果、複数の格子の少なくともいずれかを基準となる位相から移動させる際に、コントラストの生成に寄与する複数の相対位置に複数の格子を配置することができる。
上記特定部位のX線の変化量に基づいて定められたコントラスト生成のための基準となる位相から、複数の格子のいずれかを所定位相分非等間隔に走査する構成において、好ましくは、複数の格子は、X線の位相の変化量に基づいて基準となる位相を決定し、基準となる位相から所定位相分走査させた複数の相対位置に配置される。このように複数の格子を配置すれば、コントラストの生成に寄与する複数の所定相対位置をあらかじめ決定することができるので、決定された複数の所定位置に複数の格子を配置して撮影を行うことができる。その結果、あらかじめ多数の相対位置に格子を配置して撮影を行うことなくコントラストを強調した画像を生成できるので、撮影時間を短縮することができるとともに、X線の被ばく量を低減することができる。
また、好ましくは、画像処理部は、複数の格子のいずれかを走査させて撮影した複数の画像の中から、基準となる位相から所定位相分走査した位置で撮影された複数の画像を選択するように構成されている。このように構成すれば、あらかじめ多数の相対位置に複数の格子を配置して撮影した画像を得ることができるので、基準となる位相から複数の所定位相分走査した画像(コントラストの生成に強く寄与する画像)を組み合わせることにより、被写体の特定部位のコントラストを強調した画像を複数パターン生成することができる。
上記一の局面によるX線位相コントラスト撮影装置では、好ましくは、画像処理部は、以下の式(1)〜(4)を定義した場合、以下の式(5)〜(7)を用いて特定部位を強調したX線位相コントラスト画像を生成するように構成されている。
Figure 0006673189
ここで、kは、画素値の変化を表す信号曲線の所定点である。また、Mは、所定点の総数である。また、Ik(x、y)は、被写体を配置した場合における所定点の強度信号値であり、下記の式(8)で定義される。また、IOK(x、y)は、被写体を配置しない場合における所定点の強度信号値である。また、x、yは、検出器5の検出面上におけるX線の照射軸方向に直交する面内の座標位置である。また、Θkは、強度信号曲線の所定点の位相である。
Figure 0006673189
ここで、anは、干渉縞の各周波数成分の量である。また、d1は、第1格子の周期である。また、z0は、第1格子と第2格子との距離である。
このように構成すれば、上記式(1)および(2)を定義することにより、非等間隔に格子を走査させた場合でも、従来の縞走査法において使用する上記式(5)〜(7)を用いて、被写体の特定部位のコントラストを強調した画像を生成することができる。
この場合、好ましくは、複数の相対位置は、式(5)のarg[S(x,y)]の符号と、arg[S0(x,y)]の符号とが反対になる位置に決定される。このように格子の相対位置を決定することにより、式(5)のarg[S(x,y)]−arg[S0(x,y)]の値が大きくなる。つまり、被写体がある場合とない場合との位相のずれが大きくなる。または、式(7)のS0(x,y)が極小値となる位置に決定されることにより、式(7)のS0(x,y)が極小となるので、式(7)全体の値が極大となる。つまり、被写体がある場合とない場合とのVisibility(干渉縞の鮮明度)の比が極大となる。したがって、コントラストを強調することができる。その結果、これらの相対位置の画像を用いてX線位相コントラスト画像を生成することにより、被写体の特定部位のコントラストを強調した画像を生成することができる。
上記一の局面によるX線位相コントラスト撮影装置では、好ましくは、複数の格子は、X線源と第1格子との間に配置された第3格子をさらに含んでいる。このように構成すれば、第3格子により、X線源から照射されるX線の可干渉性を高めることができる。その結果、焦点距離が微小でないX線源を用いて特定部位のコントラストを強調したX線位相コントラスト画像を生成することができる。
本発明によれば、上記のように、被写体の特定部位のコントラストを強調したX線位相コントラスト画像を生成することが可能なX線位相コントラスト撮影装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態のX線位相コントラスト撮影装置の全体構成を示す図である。 本発明の第1実施形態の位相微分像における位相差が小さい例を示すグラフ(A)および位相差が大きい例を示すグラフ(B)である。 本発明の第1実施形態の暗視野像にVisibility(干渉縞の鮮明度)の差が小さい例を示すグラフ(A)およびVisibility(干渉縞の鮮明度)の差が大きい例を示すグラフ(B)である。 本発明の第1実施形態の被写体をX線の照射軸方向から見たイメージ図(A)および、X方向から見たイメージ図(B)である。 被写体がある場合とない場合との輝度値を基に算出した値を複素平面上にプロットしたグラフ(A)および、重心部分を拡大したグラフ(B)である。 本発明の第1実施形態の基準となる位相の角度を変化させた場合と、所定位相を変化させた場合とにおける位相微分コントラストの関係を示すグラフ(A)および、暗視野像コントラストの関係を示すグラフ(B)である。 本発明の第1実施形態における、格子を等間隔に走査させて生成した位相微分像(A)および格子を非等間隔に走査させて生成した位相微分像(B)のイメージ図である。 本発明の第1実施形態における、格子を等間隔に走査させて生成した暗視野像(A)および格子を非等間隔に走査させて生成した暗視野像(B)のイメージ図である。 本発明の第1実施形態における、格子を等間隔に走査させて生成した位相微分像(A)および格子を非等間隔に走査させて生成した位相微分像(B)のイメージ図の別例である。 本発明の第1実施形態における、格子を等間隔に走査させて生成した暗視野像(A)および格子を非等間隔に走査させて生成した暗視野像(B)のイメージ図の別例である。 本発明の第3実施形態のX線位相コントラスト撮影装置の全体構成を示す図である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1〜図10を参照して、本発明の第1実施形態によるX線位相コントラスト撮影装置100の構成について説明する。
(X線位相コントラスト撮影装置の構成)
まず、図1を参照して、第1実施形態によるX線位相コントラスト撮影装置100の構成について説明する。
図1に示すように、X線位相コントラスト撮影装置100は、X線源1と、位相格子2と、吸収格子4と、検出器5と、画像処理部6と、制御部7と、格子移動機構8とを備えている。なお、本明細書において、X線源1から位相格子2に向かう方向をZ2方向、その逆向きの方向をZ1方向とする。また、Z方向と直交する面内の左右方向をX方向とし、紙面の奥に向かう方向をX2方向、紙面の手前側に向かう方向をX1方向とする。また、Z方向と直交する面内の上下方向をY方向とし、上方向をY1方向、下方向をY2方向とする。なお、位相格子2および吸収格子4はそれぞれ、特許請求の範囲の「第1格子」および「第2格子」の一例である。
X線源1は、高電圧が印加されることにより、X線を発生させるとともに、発生されたX線を照射するように構成されている。
位相格子2は、Y方向に所定の周期(ピッチ)d1で配列される複数のスリット2a、および、X線位相変化部2bを有している。各スリット2aおよびX線位相変化部2bはそれぞれ、X方向に延びるように形成されている。
位相格子2は、X線源1と、吸収格子4との間に設置されており、X線が照射される。位相格子2は、タルボ効果により、自己像を形成するために設けられている。可干渉性を有するX線が、スリットが形成された格子を通過すると、格子から所定の距離(タルボ距離)離れた位置に、格子の像(自己像)が形成される。これをタルボ効果という。自己像は、X線の干渉によって生じる干渉縞である。
吸収格子4は、Y方向に所定の周期(ピッチ)d2で配列される複数のスリット4aおよびX線吸収部4bを有している。各スリット4aおよびX線吸収部4bはそれぞれ、X方向に延びるように形成されている。
吸収格子4は、位相格子2と検出器5との間に配置されており、位相格子2を通過したX線が照射される。また、吸収格子4は、位相格子2からタルボ距離離れた位置に配置される。
X線源1と位相格子2との距離をR1、位相格子2と吸収格子4との距離をR2、X線源1と吸収格子4との距離をR(=R1+R2)とした場合、X線源1と、位相格子2と、吸収格子4との位置関係は、以下の式(9)により表される。
Figure 0006673189
検出器5は、X線を検出するとともに、検出されたX線を電気信号に変換し、変換された電気信号を画像信号として読み取るように構成されている。検出器5は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)である。検出器5は、複数の変換素子(図示せず)と複数の変換素子上に配置された画素電極(図示せず)とにより構成されている。複数の変換素子および画素電極は、所定の周期(画素ピッチ)で、X方向およびY方向に並んで配置されている。
検出器5の検出信号は画像処理部6へと送られる。画像処理部6は、吸収格子4を、複数の所定位置に配置して撮影した画像から、被写体3の特定部位3aのコントラストを強調したX線位相コントラスト画像を生成するように構成されている。ここで、位相微分像では、被写体3の境界部において、X線の位相の変化が大きくなる。暗視野像では、被写体3の内部にある傷などの微細構造部分において、Visibility(干渉縞の鮮明度)の変化が大きくなる。したがって、特定部位3aは、位相微分像であれば、被写体3の境界部近傍に設定され、暗視野像であれば被写体3の内部の傷近傍に設定される。
制御部7は、画像処理部6を用いて被写体3の特定部位3aのコントラストを強調したX線位相コントラスト画像を生成するように構成されている。また、制御部7は、格子移動機構8を用いて、吸収格子4を所定位置へ移動させるように構成されている。
格子移動機構8は、吸収格子4を保持する格子保持部(図示せず)と、保持した格子をZ方向およびY方向に移動させる格子移動ステージ(図示せず)とを有している。格子移動機構8は、制御部7より送られる信号に基づいて、格子保持部で保持した吸収格子4を、Z方向およびY方向の所定方向に移動させるように構成されている。
(従来の縞走査法によるX線位相コントラスト画像生成方法)
ここで、従来の縞走査法において吸収像および暗視野像を生成する方法を説明する。従来の縞走査法では、格子を格子の周期方向に1/M周期ずつ等間隔に並進させて撮影した画像から、X線位相コントラスト画像を生成する。たとえば、Mステップの縞走査を行った場合、各ステップkにおけるX線の強度Ik(x,y)は、以下の式(10)により表される。
Figure 0006673189
ここで、anは、干渉縞の各周波数成分の量である。また、Z0は、位相格子2と吸収格子4との距離である。また、d1は、位相格子2の周期(ピッチ)d1である。また、x、yは検出器5の検出面上における、X線の照射軸に直交する面内の座標位置である。
また、被写体3を配置した場合の強度をIk(x,y)、被写体3を配置しない場合の強度をI0k(x,y)とすると、以下の式(11)および(12)のように、S(x,y)およびS0(x,y)を定義する。
Figure 0006673189
また、位相微分像Φx(x,y)は以下の式(13)により表される。
Figure 0006673189
また、吸収像T(x,y)は、以下の式(14)により表される。
Figure 0006673189
また、被写体3を配置した場合のVisibility(干渉縞の鮮明度)をV(x,y)とし、被写体3を配置しない場合のVisibility(干渉縞の鮮明度)をV0(x,y)とすると、V(x,y)およびV0(x,y)は以下の式(15)および(16)により表される。
Figure 0006673189
また、暗視野像D(x,y)は、以下の式(17)により表される。
Figure 0006673189
従来の縞走査法では、これらの式に基づき、Mステップ分の画素値の全てを用いて、上記式(11)および(12)によってS(x,y)およびS0(x,y)を算出し、上記式(13)および(17)によって、位相微分像および暗視野像を生成する。
(X線位相コントラスト画像のコントラスト強調効果)
次に、図2および図3を参照して、X線位相コントラスト画像のコントラストが強調される仕組みについて説明する。図2および図3では、強度信号曲線の1周期を16分割させる位相の位置に吸収格子4を走査させて検出した画素値をプロットしたものである。
まず、図2を参照して、位相微分像のコントラストが強調される仕組みについて説明する。図2は、被写体3がある場合とない場合とにおける所定の画素に着目したX線の強度信号曲線を表している。格子をステップさせることにより得られる画素値は、正弦波のようなステップカーブを示す。これが強度信号曲線である。また、格子のステップ数は、強度信号曲線の位相に対応している。図2(A)は、式(13)で表す位相差が小さくなる相対位置に吸収格子4を配置した場合の例である。また、図2(B)は、式(13)で表す位相差が大きくなる位置に吸収格子4を配置した場合の例である。
図2(A)の直線20および直線21の位相の位置に吸収格子4を配置した場合を考える。直線22は、被写体3を配置して検出された2か所の位相間の偏角を表しており、右肩下がり(式(18)のΦxがマイナス符号)となっている。また、直線23は、被写体3を配置せずに検出した2か所の位相間の偏角を表しており、こちらも右肩下がりとなっている。位相微分像は、上記式(13)で算出されるが、その中でも、下記に示す式(18)の値によって決定される。
Figure 0006673189
すなわち、被写体3を配置した場合の偏角と、被写体3を配置しない場合の偏角とが、同符号の場合、上記式(18)の値が小さくなるので、得られる位相微分像のコントラストが弱くなる。
一方、図2(B)に示すように、直線24および直線25の位相の位置に、吸収格子4を配置した場合、被写体3を配置した場合の偏角を表す直線26は右肩下がりになっているのに対し、被写体3を配置しない場合の偏角を表す直線27は右肩上がり(式(18)のΦxがプラス符号)となっている。したがって、上記式(18)の値が大きくなるので、得られる位相微分像のコントラストが強くなる。
つまり、図2(B)の直線24および直線25の位相の位置に吸収格子4を配置した場合、位相微分像のコントラストが強調されることがわかる。
次に、図3を参照して、暗視野像のコントラストが強調される仕組みについて説明する。図3(A)はコントラストが弱い(Visibility(干渉縞の鮮明度)の差が小さい)例を示したグラフであり、図3(B)はコントラストが強い(Visibility(干渉縞の鮮明度)の差が大きい)例を示したグラフである。
暗視野像は、上記式(17)を用いて算出される。図3(A)の直線30及び直線31に対応する位相の位置に吸収格子4を配置した場合、直線32で結ばれた2点の画素値を用いて、式(11)によって求めた値(S(x,y))と、直線33で結ばれた2点の画素値を用いて式(12)によって求めた値(S0(x,y))が有限の値になる。したがって、上記式(17)で表されるD(x,y)の値は有限の値となる。
一方、図3(B)において、直線34および直線35の位相の位置に吸収格子4を配置した場合、直線37で結ばれた2点は、画素値が等しく、位相の符号が逆符号なので、式(12)によって算出される値(S0)が略0になるため、直線36で結ばれた2点の値(S)にかかわらず、D(x,y)の値が極大となる。したがって、図3(B)に示した状態では、得られる暗視野像のコントラストが強くなる。
つまり、図3(B)の直線34および直線35の位相の位置に吸収格子4を配置した場合、暗視野像のコントラストが強調されることがわかる。したがって、本実施形態では、以上の知見に基づき、被写体3の特定部位3aのコントラストが強調されたX線コントラスト画像を生成する。
(X線位相コントラスト画像の生成方法)
次に、図4〜図10を参照して、X線位相コントラスト画像の生成方法を説明する。
図4は、被写体3の形状例を示したイメージ図であり、図4(A)は、2方向(検出器5から被写体3の方向)から被写体3を見た場合におけるイメージ図である。また、図4(B)は、被写体3をX方向から見た場合のイメージ図である。
図4(B)に示すように、被写体3は、Z1方向からZ2方向に進むにつれて、Y方向の大きさが小さくなる傾斜部3aを有している。第1実施形態では、被写体3のY2側の傾斜部3aのコントラストを強調するように構成されている。
第1実施形態では、吸収格子4をあらかじめ多数の相対位置(たとえば、40か所)に走査させて撮影した複数の画像から、被写体3の特定部位3aのX線の位相の変化量(図(B)の角度α)に基づいて選択された複数の画像により、X線位相コントラスト画像を生成する。図は、被写体3を配置した場合と、配置しない場合とにおける、吸収格子4を40か所の相対位置に走査させて検出器5で検出した画素値を基に、下記に示す式(19)および(20)で示されたS(x、y)およびS0(x、y)の被積分関数を複素平面上にプロットしたグラフ(図(A))と、その重心部分|S|/M、|S0|/Mを拡大したグラフ(図(B))である。
Figure 0006673189
(A)の各プロットは、上記式(19)および(20)のΘkを変化させたものである。図(A)の原点を通る直線40の傾きは、Θkの値(すなわち、位相)に相当する。
直線40は、被写体3の特定部位3aのX線の位相の変化量(図5(B)の角度α)に基づいて決められたコントラストの生成に寄与する基準となる位相を示している。また、直線41は、基準となる位相(直線40)から所定の位相分(直線40と直線41との差42)格子を走査させて検出する位相の位置を示している。
図5(B)に示す角度αは、被写体3がある場合とない場合とにおける、位相のずれを示しており、位相微分像に該当する。また、|S|/Mと|S0|/Mとの比率は、被写体3がある場合とない場合とにおける、Visibility(干渉縞の鮮明度)の比を表しており、暗視野像に該当する。なお、Mは、格子を走査する回数の総数である。ここで、被写体3の位相のずれは、あらかじめ計測した値を制御部7に接続されているCPU(図示せず)などに記憶させておいてもよく、蓄積されたデータなどを用いてもよい。
ここで、X線位相コントラスト画像のコントラストを強調したい場合、被写体3を配置した場合と配置していない場合とにおける、位相のずれ(角度α)に基づいて、コントラストの生成に寄与する位置に吸収格子4を配置して撮影した画像から、X線位相コントラスト画像を生成すればよい。すなわち、画像処理部6は、図に示すように、被写体3の特定部位3aのX線の位相の変化量(角度α)に基づいて、コントラストの生成に寄与する基準となる位相(直線40)から、所定位相(直線40と直線41との幅42)離れた位置のSおよびS0を求める。求められたSおよびS0を用いて、位相微分像11および暗視野像13を生成する。
また、基準となる位相(直線40)は、以下の式(21)により決定する。
Figure 0006673189
ここで、πは強度信号曲線の周期の半周期であり、Φxは、被写体3の特定部位3aのX線の吸収格子4のピッチに対する自己像シフトの割合(自己像シフト[um]/吸収格子4のピッチ[um]×2π[rad]、図5(B)に示す角度α)である。
また、図6は、基準となる位相(直線40)の角度および、基準となる位相(直線40)から走査させる所定位相(直線40と直線41との幅42)を変化させた際のコントラストの変化を示している。なお、「binD」とは、基準となる位相(直線40)から走査させる所定位相(直線40と直線41との幅42)のことである。図6(A)は、位相微分像における基準となる位相(直線40)の角度および、所定位相(直線40と直線41との幅42で、単位は縞走査の1step)を変化させた際のコントラストの変化を示しており、図6(B)は、暗視野像における基準となる位相(直線40)の角度および、所定位相を変化させた際のコントラストの変化を示している。
図6に示す通り、binDの値が小さいほどコントラストが強調されていることがわかる。しかし、binDが0の場合、すなわち、基準となる位相(直線40)における位置に吸収格子4を走査させて撮影した画像を用いた場合、コントラストが強調されている場所以外は、値が0となっている。つまり、基準となる位相(直線40)では、被写体3の特定部位3aにおいては、最も強い強調効果を得ることができるが、それ以外の場所は、画像として得ることができない。また、binDが等間隔になる位置に吸収格子4を走査させて撮影した画像では、基準となる位相(直線40)の角度を変化させても、得られる画像のコントラストに変化がないことがわかる(強度変調信号がサインカーブに近い場合を想定)。
したがって、binDの値は、基準となる位相(直線40)よりも大きく、等間隔となる値未満に設定すればよい。図5(A)では、吸収格子4を40ステップさせて検出した値をプロットしているので、binDの値は、5未満に設定すればよい。つまり、吸収格子4の総ステップ数の1/8未満に設定すればよい。
第1実施形態では、画像処理部6は、吸収格子4を、直線41に対応する複数の相対位置に配置して撮影された画像からX線位相コントラスト画像を生成する。具体的には、画像処理部6は、上記式(13)を用いて位相微分像11を生成し、上記式(17)を用いて暗視野像13を生成する。図7(A)は、吸収格子4を等間隔に走査させて撮影した画像から生成した位相微分像10である。図7(B)は、吸収格子4を非等間隔に走査させて撮影した画像から生成した位相微分像11である。本実施形態の構成によって生成された位相微分像11の特定部位3aは、従来の方法で生成された位相微分像10の特定部位3aよりも、コントラストが強調されていることがわかる。なお、位相微分像11は、特許請求の範囲の「特定部位のコントラストを強調したX線位相コントラスト画像」の一例である。
また,図8(A)は、吸収格子4を等間隔に走査させて撮影した画像から生成した暗視野像12である。図8(B)は、吸収格子4を非等間隔に走査させて撮影した画像から生成した暗視野像13である。本実施形態の構成によって生成された暗視野像13の特定部位3aは、従来の方法で生成された暗視野像12の特定部位3aよりも、コントラストが強調されていることがわかる。なお、暗視野像13は、特許請求の範囲の「特定部位のコントラストを強調したX線位相コントラスト画像」の一例である。
また、第1実施形態では、画像処理部6は、吸収格子4を、直線41に対応する複数の相対位置に配置して撮影された画像から、図9(B)および図10(B)に示すX線位相コントラスト画像を生成する。図9は、軟骨3を入れ、内部を水で浸した円筒形の容器50を撮影した位相微分像のイメージ図である。図9(A)は、従来の縞走査法で生成した位相微分像15であり、図9(B)は、吸収格子4を非等間隔に走査させて撮影した画像から生成した位相微分像16である。
図9および図10は、軟骨3を入れ、内部を水で浸した円筒形の容器50を撮影したX線位相コントラスト画像のイメージ図である。図9(A)は、従来の縞走査法で生成した位相微分像15であり、図9(B)は、吸収格子4を非等間隔に走査させて撮影した画像から生成した位相微分像16である。図10(A)は、従来の縞走査法で生成した暗視野像17であり、図10(B)は、吸収格子4を非等間隔に走査させて撮影した画像から生成した暗視野像18である。
従来の方法で生成した位相微分像15と比べて、吸収格子4を非等間隔に走査させて生成した位相微分像16では軟骨3のコントラストが強調されていることがわかる。また、従来の方法で生成した暗視野像17と比べて、吸収格子4を非等間隔に走査させて生成した暗視野像18でも軟骨3のコントラストが強調されていることがわかる。
画像処理部6は、被写体3の特定部位3aのX線の位相の変化量(角度α)に基づき、コントラストの生成に相対的に強く寄与する位相の位置、すなわち図2(B)の関係となるような位置に吸収格子4を非等間隔に走査して撮影された画像から、特定部位3aを強調したX線コントラスト画像を生成する。具体的には、画像処理部6は、式(19)および(20)を定義した場合、式(13)、(14)、(17)を用いて位相微分像11および暗視野像13を生成する。
ここで、図2(B)の直線24および直線25に示す位相の位置では、式(13)のarg[S(x,y)]と、arg[S0(x,y)]との符号が反対になるので、式(18)のarg[S(x,y)]−arg[S0(x,y)]の絶対値が大きくなる。つまり、位相微分像のコントラストが大きくなる。また、図3(B)の直線34および直線35に示す位相の位置では、式(17)のS0の値が極小値となる。つまり、式(17)全体の値が極大値となるので、暗視野像のコントラストが大きくなる。したがって、画像処理部6は、式(18)のarg[S(x,y)]−arg[S0(x,y)]の絶対値が大きくなる相対位置、または、式(17)のS0の値が極小値となる相対位置に吸収格子4を走査させて撮影した画像から、位相微分像11および暗視野像13を生成する。
また、コントラストの生成に相対的に強く寄与する相対位置は、被写体3の特定部位3aのX線の位相の変化量(角度α)に基づき、式(21)によって算出された基準となる位相(直線40)から、binD(所定位相分)離れた位相に決定される。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、X線位相コントラスト撮影装置100は、X線源1と位相格子2と吸収格子4と検出器5と画像処理部6と制御部7と格子移動機構8とを備えており、被写体3の特定部位3a(図4参照)におけるX線の位相の変化量(角度α)に基づいて、コントラストの生成に相対的に強く寄与するY方向(格子の周期方向)における複数格子の相対位置を選択して、位相格子2および吸収格子4を複数の相対位置に配置して撮影された画像から、被写体3の特定部位3aが強調された位相微分像11および暗視野像13を生成する。これにより、被写体3の特定部位3aにおけるX線の位相の変化量(角度α)に基づいて、コントラストの生成に相対的に強く寄与するY方向(格子の周期方向)の複数の相対位置を選択することができる。その結果、コントラストの生成に相対的に強く寄与する複数の相対位置に吸収格子4を配置して撮影された画像から、被写体3の特定部位3aを強調した位相微分像11および暗視野像13を生成することができる。
また、第1実施形態では、吸収格子4を等間隔に走査して撮影した画像から生成した位相微分像15比べて、吸収格子4を非等間隔に走査して撮影した画像から生成した位相微分像16は、軟骨3のコントラストが強調されている。また、吸収格子4を等間隔に走査して撮影した画像から生成した暗視野像17では、軟骨3がほとんど写っていないが、吸収格子4を非等間隔に走査して撮影した画像から生成した暗視野像18では、軟骨3を確認することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、画像処理部6は、X線の位相の変化量(角度α)に基づき選択されたコントラストの生成に相対的に強く寄与する位置に、吸収格子4をY方向(吸収格子4の周期方向)に非等間隔に走査させて撮影した画像から、特定部位3aを強調したX線位相コントラスト画像を生成するように構成されている。これにより、被写体3の特定部位3aにおけるX線の位相の変化量(角度α)に基づき、コントラストが最も強調される位置に吸収格子4を配置することを防ぐことができる。その結果、被写体3の全体像を把握しながら、特定部位3aのコントラストが強調された位相微分像11および暗視野像13を生成することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、画像処理部6は、X線の位相の変化量(角度α)に基づいて、基準となる位相(直線40)を決定し、特定部位3aのX線の位相の変化量(角度α)に基づいて定められたコントラスト生成のための基準となる位相(直線40)から、吸収格子4を所定位相分(直線40と直線41との幅42)非等間隔に走査して撮影された複数の画像から、特定部位3aを強調したX線位相コントラスト画像を生成するように構成されている。これにより、コントラストの生成に寄与する吸収格子4の相対位置を明確に決定することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、所定位相(直線40と直線41との幅42)は、基準となる位相(直線40)の近傍から、強度信号曲線の周期の1/8未満の範囲に設定される。これにより、強度信号曲線の1周期を等分割する相対位置に吸収格子4を配置することを防ぐことができる。その結果、吸収格子4を基準となる位相(直線40)から移動させる際に、コントラストの生成に寄与する複数の相対位置に吸収格子4を配置することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、画像処理部6は、吸収格子4を走査させて撮影した複数の画像の中から、基準となる位相(直線40)から所定位相(直線40と直線41との幅42)分走査した位置で撮影された複数の画像を選択するように構成されている。これにより、あらかじめ多数の相対位置に吸収格子4を配置して撮影した画像を得ることができるので、基準となる位相(直線40)から複数の所定位相(直線40と直線41との幅42)分走査した画像(コントラストの生成に強く寄与する画像)を組み合わせることにより、被写体3の特定部位3aのコントラストを強調した画像を複数パターン生成することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、画像処理部6は、式(19)および(20)を定義した場合、式(13)、(14)、(17)を用いて特定部位3aを強調した位相微分像11および暗視野像13を生成するように構成されている。これにより、上記式(19)および(20)を定義することにより、非等間隔に吸収格子4を走査させた場合でも、従来の縞走査法において使用する上記式(13)、(14)、(17)を用いて、被写体3の特定部位3aのコントラストを強調した位相微分像11および暗視野像13を生成することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、複数の相対位置は、式(17)のarg[S(x,y)]の符号と、arg[S0(x,y)]の符号とが反対になる位置、または、式(17)のS0(x,y)が極小値となる位置に決定される。これより、式(18)のarg[S(x,y)]−arg[S0(x,y)]の絶対値が大きくなる。つまり、被写体3がある場合とない場合との位相のずれが大きくなる。また、式(17)のS0(x,y)が極小となるので、式(17)全体の値が極大となる。つまり、被写体3がある場合とない場合とのVisibility(干渉縞の鮮明度)の比が極大となる。したがって、コントラストを強調することができる。その結果、これらの相対位置の画像を用いてX線位相コントラスト画像を生成することにより、被写体3の特定部位3aのコントラストを強調した位相微分像11および暗視野像13を生成することができる。
[第2実施形態]
次に、図1を参照して、本発明の第2実施形態によるX線位相コントラスト撮影装置200について説明する。吸収格子4をあらかじめ多数の相対位置に配置して撮影した画像から、被写体3の特定部位3aのコントラストを強調した位相微分像11および暗視野像13を生成するように構成されている第1実施形態とは異なり、第2実施形態では、被写体3の特定部位3aのX線の位相の変化量(角度α)に基づき、基準となる位相(直線40)を算出し、吸収格子4を配置する複数の相対位置をあらかじめ決定するように構成されている。なお、上記第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。
(複数の相対位置の求め方)
第2実施形態では、画像処理部6は、被写体3の特定部位3aのX線の位相の変化量(角度α)に基づき、式(21)により算出した基準となる位相(直線40)を決定する。そして、画像処理部6は、決定された基準となる位相(直線40)そこからbinD(所定位相)離れた位相の位置に吸収格子4を走査して撮影した画像から、位相微分像11および暗視野像13を生成する。
つまり、40ステップ吸収格子4を走査させるのではなく、基準となる位相(直線40)からbinD(所定位相)離れた位相の4か所に吸収格子4を走査させる。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、基準となる位相(直線40)は、X線の強度分布から得られる強度信号曲線の周期と、特定部位3aのX線の位相の変化量(角度α)とによって決定される。これにより、あらかじめ多数の相対位置に吸収格子4を配置して撮影することなく、コントラストの生成に寄与する基準となる位相(直線40)を決定することができる。
[第3実施形態]
次に、図11を参照して、本発明の第3実施形態によるX線位相コントラスト撮影装置300について説明する。第3実施形態では、上記第1実施形態の構成に加えて、X線源1と位相格子2との間に、マルチスリット9をさらに備えるように構成されている。なお、上記第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。
(X線位相コントラスト撮影装置の構成)
第3実施形態では、図11に示すように、X線位相コントラスト撮影装置300は、X線源1と位相格子2との間に配置されたマルチスリット9をさらに含んでいる。なお、マルチスリット9は、特許請求の範囲の「第3格子」の一例である。
マルチスリット9は、Y方向に所定の周期(ピッチ)d0で配列される複数のスリット9aおよびX線吸収部9bを有している。各スリット9aおよびX線吸収部9bはX方向に延びるように構成されている。
マルチスリット9は、X線源1と位相格子2との間に設置されており、X線源1からX線が照射される。マルチスリット9は、各スリット9aを通過したX線を、各スリット9aの位置に対応する線光源とするように構成されている。これにより、マルチスリット9は、X線源1から照射されるX線の可干渉性を高めることができる。
マルチスリット9と位相格子2との距離をR1、位相格子2と吸収格子4との距離をR2、X線源1と吸収格子4との距離をRとした場合、マルチスリット9と、位相格子2と、吸収格子4との位置関係は、以下の式(22)により表される。
Figure 0006673189
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第3実施形態では、X線源1と位相格子2との間に配置されたマルチスリット9をさらに含んでいる。これにより、X線源1から照射されるX線の可干渉性を高めることができるので、X線源1の焦点距離が微小でない場合でも、被写体3の特定部位3aのコントラストを強調した位相微分像11および暗視野像13を生成することができる。
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1実施形態では、binDが1に対応する4か所に吸収格子4を走査させて撮影した画像により、位相微分像11および暗視野像13を生成する構成を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、binDが5未満となる位置に吸収格子4を配置して撮影した画像から、位相微分像11および暗視野像13を生成してもよい。またbinD=1、2のように複数の箇所(この場合計8か所)に吸収格子4を走査させてもよいし、それ以上の数に吸収格子4を走査させてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、格子移動機構8によって、吸収格子4をY方向(格子の周期方向)に移動させて撮影を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、格子移動機構8によって、位相格子2をY方向に移動させて撮影するように構成されていてもよい。また、格子移動機構8によって、マルチスリット9をY方向に移動させて撮影するように構成されていてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、被写体3を回転させずに撮影した画像から、X線位相コントラスト画像を生成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、被写体3を回転させる回転機構をさらに備え、被写体3を360度回転させながら、所定の回転角度(たとえば、9度)の位置で撮影した複数の画像から、断層撮影(CT撮影)を行うように構成されていてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、基準となる位相(直線40)を求めて吸収格子4の相対位置を決定する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、偏角を算出して、符号が逆転する位相の位置に、吸収格子4を配置するように構成されていてもよい。
また、上記第1実施形態では、吸収格子4を40ステップ走査して撮影する例を示したが、本発明はこれに限られない。吸収格子4のステップ数は任意の数でよい。また、binDの大きさは、ステップ数に応じて異ならせればよい。
また、上記第1および第2実施形態では、タルボ効果による自己像を形成するために設けられている格子を位相格子2としたが、本発明はこれに限られない。本発明では、位相格子2の自己像は縞模様であればよいので、位相格子2の代わりに吸収格子を用いて吸収格子の影を自己像の縞模様として用いてもよい。
1 X線源
2 位相格子または吸収格子(第1格子)
3 被写体
4 吸収格子(第2格子)
5 検出器
6 画像処理部
8 マルチスリット(第3格子)
40 基準となる位相
42 所定位相
100、200、300 X線位相コントラスト撮影装置
α 被写体の特定部位におけるX線の変化量

Claims (10)

  1. X線源と、
    前記X線源から照射されたX線を検出する検出器と、
    前記X線源と前記検出器との間に配置され、前記X線源からX線が照射される第1格子と、前記第1格子を通過した前記X線が照射される第2格子とを含む複数の格子と、
    前記検出器により検出されたX線の強度分布から、X線位相コントラスト画像を生成する画像処理部とを備え、
    前記画像処理部は、被写体の特定部位におけるX線の位相の変化量に基づいて、コントラスト生成に相対的に強く寄与する格子の周期方向における複数の相対位置を選択して、前記複数の相対位置に前記複数の格子を配置して撮影された画像から、前記特定部位を強調したX線位相コントラスト画像を生成するように構成されている、X線位相コントラスト撮影装置。
  2. 前記画像処理部は、前記X線の位相の変化量に基づき選択された前記コントラストに相対的に強く寄与する位置に、前記複数の格子の少なくともいずれかを格子の周期方向に非等間隔に走査させて撮影した画像から、前記特定部位を強調したX線位相コントラスト画像を生成するように構成されている、請求項1に記載のX線位相コントラスト撮影装置。
  3. 前記画像処理部は、前記特定部位のX線の変化量に基づいて定められたコントラスト生成のための基準となる位相から、前記複数の格子の少なくともいずれかを所定位相分非等間隔に走査して撮影された複数の画像から、前記特定部位を強調したX線位相コントラスト画像を生成するように構成されている、請求項2に記載のX線位相コントラスト撮影装置。
  4. 前記基準となる位相は、前記X線の強度分布から得られる強度信号曲線の周期と、前記特定部位のX線の位相の変化量とによって決定される、請求項3に記載のX線位相コントラスト撮影装置。
  5. 前記所定位相は、前記基準となる位相の近傍から、前記強度信号曲線の周期の1/8未満の範囲に設定される、請求項4に記載のX線位相コントラスト撮影装置。
  6. 前記複数の格子は、前記X線の位相の変化量に基づいて前記基準となる位相を決定し、前記基準となる位相から前記所定位相分走査させた複数の相対位置に配置される、請求項3または4に記載のX線位相コントラスト撮影装置。
  7. 前記画像処理部は、前記複数の格子のいずれかを走査させて撮影した複数の画像の中から、前記基準となる位相から前記所定位相分走査した位置で撮影された複数の画像を選択するように構成されている、請求項3に記載のX線位相コントラスト撮影装置。
  8. 前記画像処理部は、以下の式(1)〜(4)を定義した場合、以下の式(5)〜(7)を用いて前記特定部位を強調したX線位相コントラスト画像を生成するように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のX線位相コントラスト撮影装置。
    Figure 0006673189
    ここで、
    an:干渉縞の各周波数成分の量;
    k:画素値の変化を表す信号曲線の所定点;
    M:所定点の総数;
    I(x、y):被写体を配置した場合における所定点の強度信号値;
    IOK(x、y):被写体を配置しない場合における所定点の強度信号値;
    x、y:前記第2格子におけるX線の照射軸方向に直交する面内の座標位置;
    Θk:前記強度信号曲線の所定点の位相;
    Figure 0006673189
    ここで、
    d1:前記第1格子の周期;
    z0:前記第1格子と前記第2格子との距離;
    である。
  9. 前記複数の相対位置は、式(5)のarg[S(x,y)]の符号と、arg[S0(x,y)]の符号とが反対になる位置、または、式(7)のS0(x,y)が極小値となる位置に決定される、請求項に記載のX線位相コントラスト撮影装置。
  10. 前記複数の格子は、前記X線源と前記第1格子との間に配置された第3格子をさらに含んでいる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のX線位相コントラスト撮影装置。
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