JP7226171B2 - X線位相イメージング装置 - Google Patents

X線位相イメージング装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7226171B2
JP7226171B2 JP2019137930A JP2019137930A JP7226171B2 JP 7226171 B2 JP7226171 B2 JP 7226171B2 JP 2019137930 A JP2019137930 A JP 2019137930A JP 2019137930 A JP2019137930 A JP 2019137930A JP 7226171 B2 JP7226171 B2 JP 7226171B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
subject
image
grating
phase
distance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019137930A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021021620A (ja
Inventor
貴弘 土岐
健士 木村
太郎 白井
直樹 森本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadzu Corp filed Critical Shimadzu Corp
Priority to JP2019137930A priority Critical patent/JP7226171B2/ja
Publication of JP2021021620A publication Critical patent/JP2021021620A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7226171B2 publication Critical patent/JP7226171B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
  • Apparatus For Radiation Diagnosis (AREA)

Description

本発明は、X線位相イメージング装置に関する。
従来、X線位相イメージング装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1に開示されているX線位相イメージング装置は、X線源と、検出器と、複数の格子と、を備えている。検出器は、X線源の照射方向に配置されている。複数の格子は、マルチスリットと、第1格子と、第2格子とを含む。マルチスリットは、X線源の可干渉性を高めるために設けられている。マルチスリットは、X線源とX線画像検出器との間において、X線源の近傍に設けられている。第1格子は、X線を回折させるために設けられている。第1格子は、マルチスリットと第2格子との間に配置されている。第2格子は、第1格子によって回折されたX線によって生じる第1格子の自己像と干渉することにより、モアレパターンを形成させるために設けられている。第2格子は、第1格子と検出器との間に設けられている。上記特許文献1に開示されているX線位相イメージング装置は、複数の格子のいずれかを格子ピッチの方向に移動させながら、X線源から照射されたX線を複数の格子を用いて干渉させることにより、被写体を配置した状態と配置していない状態とにおける自己像のずれ量に基づいて、微分位相像(位相コントラスト画像)を生成する。
上記特許文献1に開示されているような従来のX線位相イメージング装置は、第1格子の自己像の明暗の周期と、第2格子の周期とが一致するように、第1格子の周期、第2格子の周期、第1格子の位置、および、第2格子の位置などが設定される。
特開2012-16370号公報
ここで、上記特許文献1に開示されているX線位相イメージング装置において、被写体の位置を変更した場合、位相コントラスト画像の拡大率が変化する。拡大率が変化した場合、被写体の同じ部分を透過したX線が検出器において検出される位置(X線の到達点)が変化する。そのため、拡大率が変化すると、被写体を配置した状態と配置していない状態とにおける自己像のずれ量(自己像のシフト量)が変化する。上記特許文献1に開示されているような従来のX線位相イメージング装置では、被写体を配置した状態と配置していない状態とにおける自己像のシフト量に基づいて位相コントラスト画像を生成している。そのため、自己像のシフト量が変化すると、得られる位相コントラスト画像のコントラストが変化し、位相コントラスト画像の画質が変化する。位相コントラスト画像の画質が変化すると、たとえば、被写体を移動させる前の位相コントラスト画像と、被写体を移動させた後の位相コントラスト画像とを比較する場合に、比較することが困難になるという不都合がある。そのため、被写体の移動前後における位相コントラスト画像の画質が同等になるように被写体の位置調整をしたいなど、被写体の移動前後における位相コントラスト画像の画質の変化を定量的に取得したい場合がある。
しかしながら、上記特許文献1に開示されているような従来のX線位相イメージング装置では、位相コントラスト画像を生成した後でなければ、位相コントラスト画像の画質の変化を定量的に取得することは困難である。したがって、位相コントラスト画像の画質の変化を取得するためには、被写体の位置を調整する毎に、位相コントラスト画像を生成して取得する必要があるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、被写体の位置を移動させる毎に、位相コントラスト画像を生成することなく、生成される位相コントラスト画像の画質の変化を取得することが可能なX線位相イメージング装置を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるX線位相イメージング装置は、X線源と、X線源からX線が照射される第1格子と、第1格子からのX線が照射される第2格子とを含む複数の格子と、X線源から照射されたX線を検出する検出器と、を備え、検出器により検出されたX線の強度分布に基づいて、位相コントラスト画像を生成するとともに、X線源と複数の格子と検出器とを含む光学系の配置情報と、被写体の配置情報とに基づいて、生成される位相コントラスト画像におけるコントラストを評価する指標として、被写体と第1格子との間の第1距離に基づく評価指標を取得するように構成されており、評価指標は第1距離と、X線源と第1格子との間の第2距離と、第1格子と検出器の検出面または第2格子との間の第3距離と、第1格子の自己像の周期または第2格子の周期とに基づいて取得されるか、または、第1距離と、第3距離と、自己像の周期または第2格子の周期とに基づいて取得される、自己像の位相変化の検出感度を表す指標である位相感度を含む。なお、位相コントラスト画像とは、吸収像と、位相微分像と、暗視野像とを含んでいる。吸収像とは、X線が被写体を通過した際に生じるX線の減衰に基づいて画像化した像である。また、位相微分像とは、X線が被写体を通過した際に発生するX線の位相のずれをもとに画像化した像である。また、暗視野像とは、物体の小角散乱に基づくVisibilityの変化によって得られる、Visibility像のことである。また、暗視野像は、小角散乱像とも呼ばれる。「Visibility」とは、自己像の鮮明度のことである。
また、この発明の第2の局面におけるX線位相イメージング措置は、X線源と、X線源からX線が照射される第1格子と、第1格子からのX線が照射される第2格子とを含む複数の格子と、X線源から照射されたX線を検出する検出器と、検出器により検出されたX線の強度分布に基づいて、位相コントラスト画像を生成するとともに、X線源と複数の格子と検出器とを含む光学系の配置情報と、被写体の配置情報とに基づいて、生成される位相コントラスト画像におけるコントラストを評価する指標として、被写体と第1格子との間の第1距離に基づく評価指標を取得する制御部と、評価指標を表示する表示部と、を備え、制御部は、光学系の配置情報および第2格子の周期の少なくとも一方が異なる場合に取得される複数の評価指標を、表示部において比較可能に表示させるように構成されている。
本発明の第1の局面によるX線位相イメージング装置では、上記のように、X線源と複数の格子と検出器とを含む光学系の配置情報と、被写体の配置情報とに基づいて、生成される位相コントラスト画像におけるコントラストを評価する指標として、被写体と第1格子との間の第1距離に基づく評価指標を取得する。評価指標は第1距離と、X線源と第1格子との間の第2距離と、第1格子と検出器の検出面または第2格子との間の第3距離と、第1格子の自己像の周期または第2格子の周期とに基づいて取得されるか、または、第1距離と、第3距離と、自己像の周期または第2格子の周期とに基づいて取得される、自己像の位相変化の検出感度を表す指標である位相感度を含む。これにより、被写体の位置を変更した場合でも、被写体と第1格子との間の第1距離と、第1格子の自己像の周期または第2格子の周期とを取得することにより、位相コントラスト画像のコントラストの評価指標を取得することができる。その結果、位相コントラスト画像を生成することなく、評価指標によって位相コントラスト画像の画質を取得することが可能となるので、被写体の位置を移動させる毎に、位相コントラスト画像を生成することなく、生成される位相コントラスト画像の画質の変化を取得することが可能なX線位相イメージング装置を提供することができる。また、被写体の移動前後における位相コントラスト画像の画質の変化を取得することが可能となるので、位相コントラスト画像の画質の変化に基づいて、被写体の移動前後における位相コントラスト画像の画質を、容易に同等にするように調整することができる。また、被写体を移動させる前の評価指標と、被写体を移動させた後の評価指標とを比較することにより、被写体を移動させる前の位相コントラスト画像の画質と、被写体を移動させた後の位相コントラスト画像の画質とを比較することができる。その結果、評価指標を比較することにより、位相コントラスト画像を生成することなく、被写体の移動前後における位相コントラスト画像の画質を定量的に評価することができる。
一実施形態によるX線位相イメージング装置の構成を示したブロック図である。 一実施形態によるX線位相イメージング装置が生成する位相コントラスト画像を説明するための模式図である。 X線源と第1格子との間に被写体が配置された場合の、自己像のシフト量を説明するための模式図である。 図3に示す状態から、被写体をX線源に近づく方向に移動させた際の、自己像のシフト量を説明するための模式図である。 第1格子と第2格子との間に被写体が配置された場合の、自己像のシフト量を説明するための模式図である。 図5に示す状態から、被写体を第1格子に近づく方向に移動させた際の、自己像のシフト量を説明するための模式図である。 自己像の位相シフト量を説明するための模式図である。 図7に示した例とは異なる光学系における、自己像の位相シフト量を説明するための模式図である。 X線源と第1格子との間に被写体が配置されている際に評価指標を取得する構成を説明するための模式図である。 第1格子と第2格子との間に被写体が配置されている際に評価指標を取得する構成を説明するための模式図である。 第1距離と拡大率との関係を示すグラフである。 第1距離と位相感度との関係を示すグラフである。 表示部に表示される被写体の画像および評価指標を説明するための模式図である。 第1変形例による表示部に表示される評価指標を説明するための模式図である。 第2変形例による表示部に表示される撮影条件の候補を説明するための模式図である。 第3変形例による表示部に表示される評価指標を説明するための模式図である。 第4の変形例による表示部に表示される評価指標を説明するための模式図である。 第5変形例によるX線位相イメージング装置の構成を説明するための模式図である。 第6変形例によるX線位相イメージング装置の構成を説明するための模式図である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(X線位相イメージング装置の構成)
図1を参照して、一実施形態によるX線位相イメージング装置100の構成について説明する。
図1に示すように、X線位相イメージング装置100は、タルボ(Talbot)効果を利用して、被写体90の内部を画像化する装置である。X線位相イメージング装置100は、複数の格子のうち、いずれか1つを、格子の周期方向(Z方向)に並進移動させながら被写体90を撮影するように構成されている。
X線位相イメージング装置100は、光学系1と、制御部2と、表示部3と、記憶部4と、操作入力部5と、被写体移動機構6と、を備えている。
光学系1は、X線源10と複数の格子と検出器11とを含む。
複数の格子は、X線源10と検出器11との間に配置されている。複数の格子は、第1格子12と第2格子13とを含む。なお、本明細書において、鉛直方向(図1の上下方向)を、Z方向とする。Z方向のうち、上方向をZ1方向とし、下方向をZ2方向とする。また、Z方向と直交する面内において、互いに直行する2方向を、それぞれ、X方向およびY方向とする。X方向のうち、図1の紙面の左方向をX2方向、図1の紙面の右方向をX1方向とする。また、Y方向のうち、図1の紙面の奥に向かう方向をY2方向、図1の紙面の手前側に向かう方向をY1方向とする。
図1に示すように、X線源10、複数の格子、および検出器11は、この順にX方向に沿って並んで配置されている。
X線源10は、高電圧が印加されることにより、X線を発生させるように構成されている。X線源10は、発生させたX線を第1格子12に向けて照射するように構成されている。具体的には、X線源10は、発生させたX線を、X1方向に照射する。言い換えると、X線源10は、光軸50が、X方向となるように、X線を照射する。なお、本実施形態において、X線源10は、電子線を発生させるための陰極(図示せず)、電子線が衝突することによりX線を発生させる陽極、陰極と陽極との間に電圧を印加する電圧印加部(図示せず)などを含み、陰極、陽極および電圧印加部が筐体(図示せず)に備えられたX線発生装置である。
第1格子12は、Z方向に所定の周期(ピッチ)pで配列される複数のスリット12a、および、X線位相変化部12bを有している。各スリット12aおよびX線位相変化部12bはそれぞれ、直線状に延びるように形成されている。また、各スリット12aおよびX線位相変化部12bはそれぞれ、平行に延びるように形成されている。第1格子12は、いわゆる位相格子である。
第1格子12は、X線源10と第2格子13との間に配置されており、X線源10からX線が照射される。第1格子12は、タルボ効果により、第1格子12の自己像40(図7参照)を形成するために設けられている。なお、可干渉性を有するX線が、スリットが形成された格子を通過すると、格子から所定の距離(タルボ距離)離れた位置に、格子の像(自己像40)が形成される。これをタルボ効果という。
第2格子13は、Z方向に所定の周期(ピッチ)pで配列される複数のX線透過部13aおよびX線吸収部13bを有する。各X線透過部13aおよびX線吸収部13bはそれぞれ、直線状に延びるように形成されている。また、各X線透過部13aおよびX線吸収部13bはそれぞれ、平行に延びるように形成されている。第2格子13は、いわゆる、吸収格子である。第1格子12および第2格子13は、それぞれ異なる役割を持つ格子であるが、スリット12aおよびX線透過部13aは、それぞれ、X線を透過させる。また、X線吸収部13bは、X線を遮蔽する役割を担っており、X線位相変化部12bはスリット12aとの屈折率の違いによってX線の位相を変化させる。
第2格子13は、第1格子12と検出器11との間に配置されており、第1格子12を通過したX線が照射される。また、第2格子13は、第1格子12からタルボ距離離れた位置に配置される。第2格子13は、第1格子12の自己像40と干渉して、検出器11の検出面11a上にモアレ縞(図示せず)を形成する。このように、本実施形態におけるX線位相イメージング装置100は、いわゆるタルボ干渉計により構成される。
検出器11は、X線を検出するとともに、検出されたX線を電気信号に変換し、変換された電気信号を画像信号として読み取るように構成されている。検出器11は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)である。検出器11は、複数の変換素子(図示せず)と複数の変換素子上に配置された画素電極(図示せず)とにより構成されている。複数の変換素子および画素電極は、所定の周期(画素ピッチ)で、Y方向およびZ方向にアレイ状に配列されている。また、検出器11は、取得した画像信号を、後述する画像処理部20に出力するように構成されている。
制御部2は、X線源10を制御して、X線を照射させる制御を行うように構成されている。また、制御部2は、被写体移動機構6を制御して、X線の光軸50方向における被写体90の位置を変更するように構成されている。また、制御部2は、光学系1の配置情報と、被写体90の配置情報とに基づいて、生成される位相コントラスト画像41におけるコントラストを評価する指標として、被写体90と第1格子12との間の第1距離rob(図9参照)に基づく評価指標30(図12参照)を取得するように構成されている。また、制御部2は、取得した評価指標30を表示部3に表示させるように構成されている。なお、光学系1の配置情報とは、X線源10、第1格子12、第2格子13および検出器11が配置された際の距離の情報である。具体的には、光学系1の配置情報は、後述する第2距離r、および、後述する第3距離rを含む。また、被写体90の配置情報とは、被写体90が配置された際の第1格子12と被写体90との間の距離である、第1距離robを含む。
また、制御部2は、画像処理部20を含む。具体的には、制御部2は、記憶部4に記憶されているプログラムを実行することにより、画像処理部20として機能する。制御部2は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。制御部2が評価指標30を取得する構成の詳細については、後述する。
画像処理部20は、検出器11により検出されたX線の強度分布に基づいて、位相コントラスト画像41(図2参照)を生成するように構成されている。画像処理部20が位相コントラスト画像41を生成する構成の詳細については、後述する。
表示部3は、後述する評価指標30、および、後述する被写体90の画像42(図13参照)を表示するように構成されている。表示部3は、たとえば、液晶モニタなどを含む。
記憶部4は、制御部2が実行するプログラム、画像処理部20が生成した位相コントラスト画像41、評価指標30、および、被写体90の画像42を記憶するように構成されている。記憶部4は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)または不揮発性のメモリなどを含む。
操作入力部5は、操作者の操作入力を受け付け可能に構成されている。操作入力部5は、たとえば、操作ボタン、マウスおよびキーボード、または、タッチパネルなどを含む。
被写体移動機構6は、X線の光軸50方向(X方向)および光軸50と直交する面内(YZ面内)において、被写体90を移動させるように構成されている。また、被写体移動機構6は、X方向周りの回転軸、Y方向周りの回転軸、および、Z方向周りの回転軸の3軸方向周りに被写体90を回動可能に構成されている。具体的には、被写体移動機構6は、操作入力部5を介して入力された信号に基づいて、被写体90をX線の光軸50方向、光軸50と直交する面内(YZ面内)の2方向、および、3軸方向周りの回動方向に移動させるように構成されている。操作者は、被写体移動機構6によって被写体90を移動させることにより、被写体90の位置調整を行う。被写体移動機構6は、たとえば、X方向直動機構と、Y方向直動機構と、Z方向直動機構と、3軸方向周りに被写体90を回動可能な回動機構とを含む。
(位相コントラスト画像)
図2は、画像処理部20が生成する位相コントラスト画像41の模式図である。本実施形態では、画像処理部20は、位相コントラスト画像41として、吸収像41a、位相微分像41bおよび、暗視野像41cを生成するように構成されている。吸収像41aは、X線が被写体90を透過した際に被写体90に吸収されることによる、検出器11によって検出されるX線の強度の変化に基づいて画像化したものである。また、位相微分像41bは、X線が被写体90を透過した際に生じるX線の位相のずれに基づいて被写体90の内部構造を画像化したものである。また、暗視野像41cは、X線が被写体90を透過した際に生じるX線の微小角度の散乱に基づいて被写体90の内部構造を画像化したものである。
本実施形態では、画像処理部20は、被写体90を配置していない状態における自己像40と、被写体90を配置した状態における自己像40とのシフト量Ss(図9参照)に基づいて、位相コントラスト画像41を生成する。なお、自己像40のシフト量Ssとは、被写体90を配置した状態と配置していない状態とにおける自己像40の移動量のことである。
(自己像のシフト)
図3を参照して、被写体90を配置することによって生じる自己像40のシフト(移動)について説明する。
図3に示す例は、被写体90がX線源10と第1格子12との間に配置されている。また、図3に示す例では、被写体90を配置した状態において照射されたX線のうち、被写体90内の点70を通るX線を、実線60で図示している。また、被写体90を配置していない状態において照射されたX線のうち、第1格子12内の点71を通るX線を、破線61で図示している。また、図3に示す例では、簡単のため、被写体90のうち、点70を透過したX線が、第1格子12中の点71を透過することによって形成される自己像40のシフトについて説明する。
図3に示すように、被写体90に照射されたX線は、被写体90内の点70において屈折される。具体的には、被写体90に照射されたX線は、点70の位置において、被写体90の内部構造(図示せず)の境界面において屈折される。被写体90の内部構造によって屈折されたX線は、第1格子12中の点71を透過して検出器11の検出面11a上の点72に到達する。一方、被写体90を配置していない状態において、第1格子12中の点71を透過したX線は、検出面11a上の点73に到達する。すなわち、被写体90を配置した状態と配置していない状態とにおいて、第1格子12中の点71を透過したX線は、距離d分、異なる位置で検出される。すなわち、第1格子12中の点71を透過したX線によって形成される自己像40は、被写体90を配置した状態と配置していない状態とにおいて、距離d分、シフトする。言い換えると、自己像40のシフト量Ssは、距離dである。
(被写体の配置に基づく自己像のシフト量の変化)
次に、図3~図6を参照して、被写体90の配置に基づく自己像40のシフト量Ssの変化について説明する。
図4に示す例は、図3の状態から、矢印51で示すように、被写体90をX線源10の方向(X2方向)に移動させた状態を示している。なお、図4では、図3の状態における被写体90を、破線で図示している。
図4に示す例は、図3と同様に、被写体90を配置した状態において照射されたX線(実線60)が、被写体90内の点70において屈折する。被写体90をX線源10に近づけた場合、被写体90内の点70において屈折したX線は、第1格子12中の点74を透過し、検出面11a上の点75に到達する。なお、被写体90によってX線が屈折する角度は、照射されるX線の性質、および、屈折する境界面が変わらない場合、同一の角度となる。したがって、図4に示す例では、被写体内の点70において屈折したX線(実線60)は、第1格子12内の点71(図3参照)とは異なる点である、点74を透過する。一方、被写体90を配置していない状態において照射されたX線のうち、第1格子12中の点74を透過したX線(破線61)は、検出面11a上の点76に到達する。
図4に示す例では、被写体90を配置した状態と配置していない状態とにおいて、第1格子12中の点73を透過したX線は、検出面11a上において、距離d分異なる位置で検出される。すなわち、自己像40のシフト量Ssは、距離dとなる。なお、図4に示す距離dは、図3に示す距離dよりも小さくなる。言い換えると、被写体90がX線源10と第1格子12との間に配置されている場合には、被写体90をX線源10に近づけた場合、自己像40のシフト量Ssが小さくなる。
次に、図5および図6を参照して、被写体90が第1格子12と第2格子13との間に配置されている場合の自己像40のシフト量Ssについて説明する。
図5および図6に示す例でも、被写体90を配置した状態において照射されたX線のうち、被写体90内の点70通るX線を、実線60で図示している。また、被写体90を配置していない状態において照射されたX線のうち、第1格子12中の点77および点80を通るX線を、破線61で図示している。
図5に示すように、被写体90を配置した状態において照射されたX線(実線60)は、第1格子中の点77を透過した後、被写体90内の点70において屈折し、検出面11a上の点78に到達する。一方、被写体90を配置していない状態において照射されたX線のうち、第1格子中の点77を透過したX線(破線61)は、検出面11a上の点79に到達する。被写体90を配置した状態において検出器11に到達したX線と、被写体90を配置していない状態において検出器11に到達したX線とでは、検出面11a上において、距離d分、異なる位置で検出される。すなわち、自己像40のシフト量Ssは、距離dとなる。
図6に示す例は、図5の状態から、矢印52で示すように、被写体90を第1格子12の方向(X2方向)に移動させた状態を示している。
図6に示すように、被写体90を配置した状態において照射されたX線(実線60)は、第1格子12中の点80を透過した後、被写体90内の点70において屈折する。被写体90内の点70において屈折したX線は、検出面11a上の点81に到達する。一方、被写体90を配置していない状態において照射されたX線のうち、第1格子12中の点80を透過したX線(破線61)は、検出面11a上の点81に到達する。被写体90を配置した状態において検出器11に到達したX線(実線60)と、被写体90を配置していない状態において検出器11に到達したX線(破線61)とでは、検出面11a上において、距離d分、異なる位置で検出される。すなわち、自己像40のシフト量Ssは、距離dとなる。
図6に示す距離dは、図5に示す距離dよりも大きくなる。言い換えると、被写体90が第1格子12と第2格子13との間に配置されている場合には、被写体90を第1格子12に近づけた場合、自己像40のシフト量Ssが大きくなる。
なお、自己像40のシフト量Ssは、光学系1の配置情報、および、被写体90の配置情報に基づいて変化する。すなわち、自己像40のシフト量Ssは、図3~図6において示したように、被写体90の配置情報によって変化するのみならず、光学系1の配置情報に基づいても変化する。なお、X線位相イメージング装置100のようなタルボ干渉計では、自己像40が形成される位置に第2格子13が配置される。また、第2格子13の周期pは、自己像40の周期pと等しくなるように設定される。言い換えると、第1格子12の周期pおよび第2格子13の周期pは、光学系1の配置情報によって設定される。したがって、光学系1の配置情報が変更されると、第1格子12の周期pおよび第2格子13の周期pも変更しなければならない。すなわち、第1格子12の周期p、第2格子13の周期p、光学系1の配置情報は、いずれかを変更しようとした場合、全てを再設定する必要がある。
(光学系に基づく自己像の位相シフト量の変化)
次に、図7および図8を参照して、光学系1に基づく自己像40のシフト量Ssの変化について説明する。なお、図7および図8に示す例では、便宜上、自己像40の明部はハッチングを付した四角形で図示し、暗部は図示していない。
図7および図8に示す例は、第1格子12の周期p、および、第2格子13の周期pがそれぞれ互いに異なる複数(2つ)の光学系を用いた場合の、自己像40と第2格子13との位置関係を図示したものである。第1格子12の周期pが互いに異なっているため、図7および図8に示す自己像40の周期pは、互いに異なる。図7に示す自己像40の周期p3aは、図8に示す自己像40の周期p3bよりも小さい。図7に示す自己像40の周期p3aは、たとえば、2.5μmである。また、図8に示す自己像40の周期pbは、たとえば、10μmである。
また、図7に示す例と図8に示す例とでは、自己像40の周期pが異なるため、第2格子13の周期pも互いに異なる。図7に示す例では、自己像40の周期は、周期p3aであるため、第2格子13の周期p2aは、自己像40の周期p3aと同じ大きさである。また、図8に示す例では、自己像40の周期は、周期p3bであるため、第2格子13の周期p2bは、自己像40の周期p3bと同じ大きさである。
図7および図8に示す例は、ともに、自己像40のシフト量Ssが同じ場合を図示したものである。自己像40のシフト量Ssは、たとえば、2.5μmである。第2格子13の周期pの1周期分を2πとすると、図7に示す例では、自己像40の位相シフト量Pmがπとなる。一方、図8に示す例では、自己像40の位相シフト量Pmが、π/2となる。すなわち、自己像40のシフト量Ssが同じでも、自己像40の周期p(第2格子13の周期p)が異なると、位相シフト量Pmが変化する。具体的には、自己像40の周期pが小さいほど、自己像40の位相シフト量Pmが大きくなる。
(評価指標)
本実施形態では、制御部2は、光学系1の配置情報および被写体90の配置情報に基づいて、少なくとも、第1格子12の自己像40の最大シフト量Ssmaxに対する自己像40のシフト量Ssの比率である自己像シフト比Sr、および、自己像40の位相変化の検出感度を表す指標である位相感度Psのいずれかを、評価指標30として取得するように構成されている。なお、本実施形態では、制御部2は、評価指標30として、自己像シフト比Srおよび位相感度Psの両方を取得する。
ここで、位相コントラスト画像41は、被写体90を配置した状態と配置していない状態とにおいて自己像40がシフトすることに基づいて被写体90の内部構造を画像化したものである。したがって、自己像40のシフト量Ssが大きくなるほど、位相コントラスト画像41のコントラストが大きくなる。すなわち、自己像シフト比Sr、および、位相感度Psが大きくなるにつれて、位相コントラスト画像41の画質が向上する。なお、自己像シフト比Sr、および、位相感度Psが大きくなるにつれて位相コントラスト画像41の画質が向上するとは、コントラストが大きくなることを意味しており、解像度が向上することは含まれない。
(評価指標の取得)
次に、図9および図10を参照して、制御部2が評価指標30を取得する構成について説明する。なお、図9および図10では、便宜上、第2格子13を図示していない。
図9に示す例は、被写体90がX線源10と第1格子12との間に配置されている。図9に示すように、制御部2は、被写体90がX線源10と第1格子12との間に配置される場合に、第1距離robと、X線源10と第1格子12(図1参照)との間の第2距離rとに基づいて、自己像シフト比Srを取得するか、または、第1距離robと、第2距離rと、第1格子12と検出器11の検出面11aまたは第2格子13(図1参照)との間の第3距離rと、自己像40の周期pまたは第2格子13の周期pとに基づいて、位相感度Psを取得するように構成されている。なお、本実施形態では、制御部2は、第3距離rとして、第1格子12と検出器11の検出面11aとの間の距離を用いて、位相感度Psを取得するように構成されている。また、制御部2は、第2格子13の周期pを用いて、位相感度Psを取得するように構成されている。
本実施形態では、自己像40のシフト量Ssは、以下の式(1)~式(3)によって定義される。なお、自己像40のシフト量Ssとは、被写体90を配置した場合と被写体90を配置していない場合とにおいて、自己像40がシフトした量である。
Figure 0007226171000001
ここで、LPは、被写体90が配置されたと仮定した場合に、被写体90を配置していない状態で照射されたX線(破線61)が、被写体90と交差する点83と、X線の光軸50との間の距離である。また、LPは、第1格子12中の点71と、X線の光軸50との間の距離である。また、θは、被写体90によって屈折されたX線の屈折角である。また、Ssは、被写体90がX線源10と第1格子12との間に配置された場合の自己像40のシフト量Ssである。
第1距離robが最小となる場合に、以下に示す式(4)のように、自己像40のシフト量Ssが最大となる。
Figure 0007226171000002
ここで、Ss1_maxは、被写体90がX線源10と第1格子12との間に配置された場合の自己像40の最大シフト量Ssmaxである。
また、制御部2は、自己像40の最大シフト量Ssmaxに対する自己像40のシフト量Ssの比率である自己像シフト比Srを取得する。具体的には、制御部2は、以下に示す式(5)を用いて、自己像シフト比Srを取得する。
Figure 0007226171000003
ここで、Srは、被写体90がX線源10と第1格子12との間に配置された場合の自己像シフト比Srである。
また位相シフト量Pmは、以下の式(6)によって定義される。
Figure 0007226171000004
ここで、Pmは、被写体90が、X線源10と第1格子12との間に配置された場合の位相シフト量Pmである。
また、制御部2は、上記式(6)によって定義された自己像40のシフト量Ssに基づいて、位相感度Psを取得するように構成されている。位相感度Psは、自己像40のシフト量Ssのうち、光学系1によって変動する値である。具体的には、制御部2は、以下の式(7)を用いて、位相感度Psを取得する。
Figure 0007226171000005
ここで、Psは、被写体90がX線源10と第1格子12との間に配置された場合の位相感度Psである。
図10に示す例は、被写体90が第1格子12と第2格子13との間に配置されている。図10に示すように、制御部2は、被写体90が第1格子12と第2格子13との間に配置される場合に、第1距離robと、第1格子12と検出器11の検出面11aまたは第2格子13との間の第3距離rとに基づいて、自己像シフト比Srを取得するか、または、第1距離robと、第3距離rと、自己像40の周期pまたは第2格子13の周期pとに基づいて、位相感度Psを取得するように構成されている。
本実施形態では、制御部2は、第1距離robと、第3距離rとを用いて、自己像シフト比Srを取得する。被写体90が第1格子12と第2格子13との間に配置される場合には、自己像40のシフト量Ssは、以下の式(8)によって定義される。
Figure 0007226171000006
また、被写体90が第1格子12と第2格子13との間に配置されている場合、自己像40の最大シフト量Ssmaxは、以下の式(9)によって定義される。
Figure 0007226171000007
ここで、Ss2_maxは、被写体90が第1格子12と第2格子13との間に配置されている場合の自己像40の最大シフト量Ssmaxである。
また、被写体90が第1格子12と第2格子13との間に配置されている場合、制御部2は、以下に示す式(10)を用いて、自己像シフト比Srを取得する。
Figure 0007226171000008
ここで、Srは、被写体90が第1格子12と第2格子13との間に配置されている場合の自己像シフト比Srである。
また、位相シフト量Pmは、以下に示す式(11)によって定義される。
Figure 0007226171000009
ここで、Pmは、被写体90が第1格子12と第2格子13との間に配置された場合の位相シフト量Pmである。
また、制御部2は、上記式(11)によって定義された自己像40のシフト量Ssに基づいて、位相感度Psを取得するように構成されている。位相感度Psは、自己像40のシフト量Ssのうち、光学系1によって変動する値である。具体的には、制御部2は、以下に示す式(12)を用いて、位相感度Psを取得する。
Figure 0007226171000010
ここで、Psは、被写体90が第1格子12と第2格子13との間に配置された場合の位相感度Psである。
(拡大率と位相感度との関係)
位相感度Psが大きいほど、位相コントラスト画像41のコントラストが向上する。すなわち、位相感度Ps大きいほど、位相コントラスト画像41の画質が向上する。
上記式(7)および式(12)に示すように、位相感度Psおよび位相感度Psは、第1距離robによって決定される指標である。第1距離robを変更すると、位相感度Psが変化するとともに、位相コントラスト画像41における被写体90の拡大率Mも変化する。
図11は、第1距離robと拡大率Mとの関係を示すグラフG1である。グラフG1は、縦軸が拡大率であり、横軸が第1距離である。なお、グラフG1において、第1距離robは、第1格子12の位置を基準(ゼロ)として、X線源10に近づく方向がマイナスの値となり、検出器11に近づく方向がプラスの値となる。
グラフG1に示すように、拡大率Mは、被写体90がX線源10に近づくほど大きくなり、検出器11に近づくほど小さくなる。なお、グラフG1は、第2距離rおよび第3距離rが、それぞれ500mmの場合の例である。したがって、グラフG1は、第1距離robの値が、-500から500の範囲までのグラフとなっている。
図12は、第1距離robと位相感度Psとの関係を示すグラフG2である。グラフG2は、縦軸が位相感度であり、横軸が第1距離である。なお、グラフG2において、第1距離robは、第1格子12の位置を基準(ゼロ)として、X線源10に近づく方向がマイナスの値となり、検出器11に近づく方向がプラスの値となる。
グラフG2に示すように、位相感度Psは、第1距離robの値がゼロに近づくほど大きくなる。言い換えると、被写体90の位置を第1格子12に近づけるほど、位相感度Psが大きくなる。なお、グラフG2は、グラフG1同様に、第2距離rおよび第3距離rが、それぞれ500mmの場合の例である。したがって、グラフG2も、第1距離robの値が、-500から500の範囲までのグラフとなっている。
(被写体画像および評価指標の表示)
本実施形態では、制御部2は、被写体90の拡大率Mおよび被写体90の配置情報の少なくとも一方と、評価指標30とを、表示部3に表示させるように構成されている。具体的には、図13に示すように、制御部2は、被写体90の拡大率Mと、自己像シフト比Srと、位相感度Psとを表示部3に表示させるように構成されている。また、本実施形態では、図13に示すように、制御部2は、評価指標30と、被写体90の画像42とを、表示部3に表示させるように構成されている。また、本実施形態では、制御部2は、被写体移動機構6によって被写体90を移動させた後の被写体90の配置情報に基づいて評価指標30を取得するとともに、取得した評価指標30を表示部3に表示させるように構成されている。なお、被写体90の画像42とは、被写体90の位置調整を行っている際に表示されるX線画像である。被写体90の移動に伴って拡大率Mが変化するため、表示部3に表示される被写体90の画像42は、被写体90の移動に伴って大きさが変化する。
また、表示部3の隣には、カーソルキー5aおよびカーソルキー5bが設けられている。操作者は、カーソルキー5aおよびカーソルキー5bを操作することにより、被写体移動機構6を介して被写体90を移動させることができる。操作者は、表示部3に表示されている評価指標30を確認しながらカーソルキー5aおよびカーソルキー5bによって被写体90を移動させることができる。したがって、被写体90を移動させた際に、生成される位相コントラスト画像41の画質を把握することができる。なお、カーソルキー5aおよびカーソルキー5bは、一方がX線の光軸50方向および光軸50と直交する面内(YZ面内)における被写体90の移動操作を行うように構成されており、他方が、3軸方向周りの回動方向に移動させる操作を行うように構成されている。
ここで、評価指標30の値が小さくなるにつれて、位相コントラスト画像41のコントラストが小さくなる。すなわち、評価指標30の値が小さくなるほど、得られる位相コントラスト画像41の画質が低下する。また、被写体90が、X線の散乱に指向性を有している場合、被写体90配置によっては、X線が強く散乱される。X線が強く散乱されると、検出器11において検出されるX線の強度が低下し、位相コントラスト画像41を生成することが困難になる。このような場合、位相感度Psを下げると、X線が強く散乱されることに起因して検出されるX線の強度が低下することを抑制することができる。
そこで、本実施形態では、制御部2は、評価指標30が、所定の値の範囲44(図12参照)の下限値である第1閾値45(図12参照)を下回るか、または、所定の値の範囲44の上限値である第2閾値46(図12参照)を上回る位置に被写体90が配置された場合に、評価指標30が所定の値の範囲外となる位置に被写体90が配置されていることを報知する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部2は、評価指標30が所定の範囲44外となる位置に被写体90が配置されている場合には、表示部3において、撮影に適していない位置に被写体90が配置されている旨のメッセージを表示する。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置100は、X線源10と、X線源10からX線が照射される第1格子12と、第1格子12からのX線が照射される第2格子13とを含む複数の格子と、X線源10から照射されたX線を検出する検出器11と、を備え、検出器11により検出されたX線の強度分布に基づいて、位相コントラスト画像41を生成するとともに、X線源10と複数の格子と検出器11とを含む光学系1の配置情報と、被写体90の配置情報とに基づいて、生成される位相コントラスト画像41におけるコントラストを評価する指標として、被写体90と第1格子12との間の第1距離robに基づく評価指標30を取得するように構成されている。これにより、被写体90の位置を変更した場合でも、被写体90と第1格子12との間の第1距離robを取得することにより、位相コントラスト画像41のコントラストの評価指標30を取得することができる。その結果、位相コントラスト画像41を生成することなく、評価指標30によって位相コントラスト画像41の画質を取得することが可能となるので、被写体90の位置を移動させる毎に、位相コントラスト画像41を生成することなく、生成される位相コントラスト画像41の画質の変化を取得することが可能なX線位相イメージング装置100を提供することができる。また、被写体90の移動前後における位相コントラスト画像41の画質の変化を取得することが可能となるので、位相コントラスト画像41の画質の変化に基づいて、被写体90の移動前後における位相コントラスト画像41の画質を、容易に同等にするように調整することができる。また、被写体90を移動させる前の評価指標30と、被写体90を移動させた後の評価指標30とを比較することにより、被写体90を移動させる前の位相コントラスト画像41の画質と、被写体90を移動させた後の位相コントラスト画像41の画質とを比較することができる。その結果、評価指標30を比較することにより、位相コントラスト画像41を生成することなく、被写体90の移動前後における位相コントラスト画像41の画質を定量的に評価することができる。
また、本実施形態では、上記のように、位相コントラスト画像41を生成するとともに、第1距離robに基づく指標を取得する制御部2をさらに備え、制御部2は、光学系1の配置情報および被写体90の配置情報に基づいて、少なくとも、第1格子12の自己像40の最大シフト量Ssmaxに対する自己像40のシフト量Ssの比率である自己像シフト比Sr、および、自己像40の位相変化の検出感度を表す指標である位相感度Psのいずれかを、評価指標30として取得するように構成されている。これにより、自己像シフト比Srまたは位相感度Psを取得することにより、位相コントラスト画像41のコントラストを評価することができる。その結果、操作者は、取得された自己像シフト比Srまたは位相感度Psに基づいて、位相コントラスト画像41を生成することなく、位相コントラスト画像41の画質を評価することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部2は、被写体90がX線源10と第1格子12との間に配置される場合に、第1距離robと、X線源10と第1格子12との間の第2距離rとに基づいて、自己像シフト比Srを取得するか、または、第1距離robと、第2距離rと、第1格子12と検出器11の検出面11aまたは第2格子13との間の第3距離rと、自己像40の周期pまたは第1格子12の周期pとに基づいて、位相感度Psを取得するように構成されている。ここで、第2距離r、第3距離r、自己像40の周期p、および、第2格子13の周期pは、同一の撮影装置において撮影する場合、各々、一意の値に設定される。すなわち、撮影時において値が変化し得るのは、第1距離robのみである。したがって、上記のように構成することにより、第1距離robを取得することにより、容易に自己像40のシフト量Ssを取得することが可能となるので、位相コントラスト画像41の画質を容易に取得することができる。その結果、被写体90がX線源10と第1格子12との間に配置される場合でも、位相コントラスト画像41を生成することなく、位相コントラスト画像41の画質を容易に評価することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部2は、被写体90が第1格子12と第2格子13との間に配置される場合に、第1距離robと、第1格子12と検出器11の検出面11aまたは第2格子13との間の第3距離rとに基づいて、自己像シフト比Srを取得するか、または、第1距離robと、第3距離rと、自己像40の周期pまたは第1格子12の周期pとに基づいて、位相感度Psを取得するように構成されている。これにより、第1距離robを取得することによって、容易に自己像40のシフト量Ssを取得することが可能となるので、位相コントラスト画像41の画質を容易に取得することができる。その結果、被写体90が第1格子12と第2格子13との間に配置される場合でも、位相コントラスト画像41を生成することなく、位相コントラスト画像41の画質を容易に評価することができる。
また、本実施形態では、上記のように、評価指標30を表示する表示部3をさらに備え、制御部2は、取得した評価指標30を表示部3に表示させるように構成されている。これにより、評価指標30が表示部3に表示されるので、操作者は、評価指標30を確認しながら被写体90の位置調整を行うことができる。その結果、位相コントラスト画像41を生成することなく、位相コントラスト画像41の画質を評価しながら、被写体90の位置調整を行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、被写体90を移動させる被写体移動機構6をさらに備え、制御部2は、被写体移動機構6によって被写体90を移動させた後の被写体90の配置情報に基づいて評価指標30を取得するとともに、取得した評価指標30を表示部3に表示させるように構成されている。これにより、たとえば、位相コントラスト画像41の拡大率Mを変更するために被写体90を移動させた場合に、移動後における評価指標30を操作者が確認することができる。したがって、移動後における位相コントラスト画像41の画質に合わせて、被写体90の位置調整を行うことが可能となる。その結果、ユーザの利便性を向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部2は、被写体90の拡大率Mおよび被写体90の配置情報の少なくとも一方と、評価指標30とを、表示部3に表示させるように構成されている。これにより、被写体90の拡大率Mおよび被写体90の配置情報の少なくとも一方と、評価指標30とを併せて確認した状態において、被写体90の位置調整を行うことができる。その結果、ユーザの利便性を、より向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部2は、評価指標30と、被写体90の画像42とを、表示部3に表示させるように構成されている。これにより、被写体90の画像42を確認しながら被写体90の位置調整を行うことができる。その結果、被写体90を移動させることにより、被写体90の拡大率Mが変化した場合でも、被写体90の画像42において、位相コントラスト画像41における被写体90の大きさを把握しつつ、位相感度Psによって位相コントラスト画像41の画質を評価することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部2は、評価指標30が、所定の値の範囲44の下限値である第1閾値45を下回るか、または、所定の値の範囲44の上限値である第2閾値46を上回る位置に被写体90が配置された場合に、評価指標30が所定の値の範囲44外となる位置に被写体90が配置されていることを報知する制御を行うように構成されている。これにより、被写体90が所定の値の範囲44外となる位置に配置される場合に、被写体90が撮影に適していない位置に配置されていることが操作者に報知されるため、被写体90の位置を調整することを、操作者に促すことができる。その結果、撮影に適していない位置に被写体90が配置された状態において撮影することを抑制することが可能となるので、生成される位相コントラスト画像41の画質が低くなる位置に被写体90が配置された状態において撮影されることを抑制することができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
(第1変形例)
たとえば、上記実施形態では、制御部2は、同一の光学系1における評価指標30を表示部3に表示させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図14に示す第1変形例のように、制御部2は、光学系1の配置情報および第2格子13の周期pの少なくとも一方が異なる場合に取得される複数の評価指標30を、表示部3において比較可能に表示させるように構成されていてもよい。具体的には、制御部2は、グラフG3を表示させることにより、複数の評価指標30を表示部3において比較可能に表示させるように構成されていてもよい。グラフG3は、縦軸が位相感度であり、横軸が第1距離である。なお、グラフG3において、第1距離robは、第1格子12の位置を基準(ゼロ)として、X線源10に近づく方向がマイナスの値となり、検出器11に近づく方向がプラスの値となる。
図14に示す例では、制御部2は、第1光学系(図示せず)によって撮影する場合の第1評価指標30a、第2光学系(図示せず)によって撮影する場合の第2評価指標30b、および、第3光学系(図示せず)によって撮影する場合の第3評価指標30cを表示部3に表示させている。凡例84に示すように、第1光学系と第2光学系とは、光学系1の配置情報が同じで、第2格子13の周期pが異なる。また、凡例84に示すように、第1光学系と第3光学系とは、光学系1の配置情報が異なり、第2格子13の周期pが同じである。
図14では、第1評価指標30aを実線で図示している。また、第2評価指標30bを破線で図示している。また、第3評価指標30cを一点鎖線で図示している。
第1変形例では、上記のように、制御部2は、光学系1の配置情報および第1格子12の周期pの少なくとも一方が異なる場合に取得される複数の評価指標30を、表示部3において比較可能に表示させるように構成されている。これにより、複数の評価指標30を比較することにより、よりよい撮影条件31となる光学系があるか否かを容易に把握することができる。その結果、所望の画質および拡大率Mの位相コントラスト画像41を取得することが可能な光学系を容易に把握することができる。
(第2変形例)
また、上記実施形態では、制御部2が、評価指標30を表示させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図15に示す第2変形例のように、制御部2は、評価指標30に基づいて、撮影条件31の候補を提示するように構成されてもよい。具体的には、制御部2は、被写体90の位置を変更して撮影する場合に、被写体90の位置を変更する前に撮影した際の評価指標30と、被写体90の位置を変更した後に撮影した際の評価指標30との変化が所定の範囲44内に収まるようなX線の照射時間32の候補を提示するように構成されていてもよい。
図15に示す例は、被写体90の拡大率Mを大きくするために被写体90移動させた際の移動前後の拡大率M、および、位相感度Psを提示している。図15に示す例では、移動後の位相感度Psが移動前の位相感度Psの1/2になっている。そのため、被写体90の移動前後においてX線の照射時間32が同じ場合、位相コントラスト画像41の画質が低下する。そこで、制御部2は、被写体90の移動前後において位相コントラスト画像41の画質が低下することを抑制するために、位相感度Psが変化した分、X線の照射時間32を増加させた撮影条件31を提示する。
たとえば、図15に示すように、位相感度Psが1/2となった場合、ノイズも1/2となるように、X線の照射時間32を増加させる。なお、ノイズとは、主に量子ノイズである。量子ノイズは、X線の照射時間32(X線の線量)の平方根に比例する。したがって、制御部2は、位相感度Psが1/2となった場合、X線の照射時間32を4倍長くした撮影条件31を提示する。
第2変形例では、上記のように、制御部2は、評価指標30に基づいて、撮影条件31の候補を提示するように構成されている。これにより、提示された撮影条件31を選択することにより、被写体90の配置に適した撮影条件31を設定することができる。その結果、評価指標30に基づいて操作者が撮影条件31を決定する構成と異なり、熟練度が低い操作者であっても、被写体90の配置に適した撮影条件31を容易に設定することができる。
また、第2変形例では、上記のように、制御部2は、被写体90の位置を変更して撮影する場合に、被写体90の位置を変更する前に撮影した際の評価指標30と、被写体90の位置を変更した後に撮影した際の評価指標30との変化が所定の範囲内に収まるようなX線の照射時間32の候補を提示するように構成されている。これにより、たとえば、被写体90の位置を変更することにより、評価指標30の値が低下した場合でも、提示された照射時間32の候補を選択することにより、評価指標30に適した照射時間32を設定することができる。その結果、被写体90の移動後における位相コントラスト画像41の画質が低下することを抑制することができる。
(第3変形例)
また、上記実施形態では、制御部2が評価指標30として、自己像シフト比Srの数値および位相感度Psの数値を、表示部3に表示させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図16に示す第3変形例のように、制御部2は、表示部3において、評価指標30の数値とともに、評価指標30のグラフG2を表示させるように構成されていてもよい。このように構成すれば、評価指標30の数値とともに、評価指標30のグラフG2を操作者に提示することができる。したがって、操作者は、評価指標30数値とともに、評価指標30のグラフG2を確認した状態で、被写体90の位置調整を行うことができる。その結果、被写体90の位置における評価指標30の数値のみならず、グラフG2によって評価指標30の取り得る範囲を確認することが可能となるので、操作者は、よりよい撮影位置を容易に把握することができる。
(第4変形例)
また、上記実施形態では、制御部2が、評価指標30の数値を表示させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図17に示す第4変形例のように、制御部2は、評価指標30の数値とともに、評価指標30の推奨範囲を表示するように構成されていてもよい。なお、評価指標30の推奨範囲とは、許容し得る画質が得られる範囲のことである。このように構成すれば、位相コントラスト画像41の画質が許容できる範囲となる位置に、容易に被写体90を配置することができる。
(第5変形例)
また、上記実施形態では、複数の格子が第1格子12と第2格子13とを含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図18に示す第5変形例のように、X線位相イメージング装置100は、複数の格子として、第1格子12と、第2格子13とに加えて、第3格子14とを備えていてもよい。
第3格子14は、Z方向に所定の周期(ピッチ)pで配列される複数のX線透過部14aおよびX線吸収部14bを有する。各X線透過部14aおよびX線吸収部14bはそれぞれ、直線状に延びるように形成されている。また、各X線透過部14aおよびX線吸収部14bはそれぞれ、平行に延びるように形成されている。第3格子14は、いわゆる、マルチスリットである。
第3格子14は、X線源10と第1格子12との間に配置されている。第3格子14は、各X線透過部14aを通過したX線を線光源とするように構成されている。3枚の格子(第1格子12、第2格子13、および、第3格子14)のピッチと格子間の距離とが一定の条件を満たすことにより、X線源10から照射されるX線の可干渉性を高めることが可能である。これを、ロー効果という。なお、第3格子14を配置した場合、各X線透過部14aの位置をX線源とみなすことができる。したがって、第3格子14を配置した場合、第2距離rは、第3格子14と第1格子12との間の距離となる。上記のように構成することにより、X線源10の管球の焦点サイズが大きくても干渉強度を保持できる。このように、第5変形例によるX線位相イメージング装置100は、いわゆる、タルボ-ロー干渉計により構成される。このように構成すれば、X線源10の選択の自由度を向上させることができる。
(第6変形例)
また、上記実施形態では、被写体90をX線の光軸50方向に移動させて撮影する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図19に示す第6変形例のように、被写体90をX線の光軸50と直交する軸線53線周りに回転させながら撮影するように構成されていてもよい。具体的には、第6変形例によるX線位相イメージング装置100は、X線の光軸50方向と直交する方向周りの回転方向において、被写体90と光学系1とを相対回転させる回転機構7を備える。制御部2は、回転機構7を制御することにより、被写体90を、X線の光軸50と直交する軸線53周りの方向に、被写体90を所定の角度ずつ回転させる。制御部2は、被写体90を所定の角度に回転させたそれぞれの角度において被写体90を撮影する制御を行う。第6変形例によるX線位相イメージング装置100は、いわゆる、コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)が可能なように構成されている。
(その他の変形例)
また、上記実施形態では、X線位相イメージング装置100が制御部2を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線位相イメージング装置100は、制御部2と同様の制御を行うことが可能なPC(パーソナルコンピュータ)などに接続されていれば、制御部2を備えていなくてもよい。
また、上記実施形態では、制御部2が記憶部4に記憶されているプログラムを実行することにより、画像処理部20として機能する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、画像処理部20は、制御部2とは異なるハードウェアとして構成されていてもよい。画像処理部20が制御部2とは異なるハードウェアとして構成される場合、画像処理部20は、たとえば、GPU(Graphics Processing Unit)または画像処理用に構成されたFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサを含んでいてもよい。
また、上記実施形態では、制御部2が、第2格子13の周期pを用いて定義された位相シフト量Pmに基づいて、位相感度Psを取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部2は、自己像40の周期pを用いて定義された位相シフト量Pmに基づいて、位相感度Psを取得するように構成されていてもよい。なお、タルボ干渉計では、第2格子13の周期pは、自己像40の周期pと一致するように設計される。したがって、制御部2が第2格子13の周期pを用いても、自己像40の周期pを用いても、定義される位相シフト量Pmに変化はない。
また、上記実施形態では、制御部2が、自己像シフト比Srおよび位相感度Psを取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部2は、自己像シフト比Srおよび位相感度Psのうち、どちらか一方を取得すればよい。
また、上記実施形態では、制御部2が、評価指標30として、自己像シフト比Srおよび位相感度Psを取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部2は、評価指標30として、自己像40のシフト量Ss、および/または、位相シフト量Pmを取得するように構成されていてもよい。なお、被写体90によって屈折されるX線の屈折角θは、微小な角度である。そのため、屈折角θを取得することは困難である。したがって、評価指標30として、自己像40のシフト量Ss、および/または、位相シフト量Pmを取得する場合には、各々の式(式(3)、式(6)、式(8)、および、式(11))におけるtanθ以外の部分を、生成される前記位相コントラスト画像41におけるコントラストを評価するための相対的な評価指標として取得するように構成すればよい。
また、上記実施形態では、制御部2が、第3距離rとして、第1格子12と検出器11の検出面11aとの間の距離を用いる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部2は、第3距離rとして、第1格子12と第2格子13との間の距離を用いてもよい。
また、上記実施形態では、制御部2が評価指標30を表示部3に表示させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、操作者に撮影条件31を提示する構成の場合には、評価指標30を表示部3に表示させなくてもよい。
また、上記実施形態では、X線位相イメージング装置100が被写体移動機構6を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、操作者が被写体90を移動させる場合には、被写体移動機構6を備えていなくてもよい。
また、上記実施形態では、制御部2が拡大率Mと評価指標30とを表示部3に表示させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部2は、被写体90の配置情報と、評価指標30とを表示部3に表示刺させるように構成されていてもよい。また、制御部2は、評価指標30のみを表示部3に表示させるように構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、制御部2が、評価指標30と、被写体90の画像42とを表示部3に表示させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。制御部2は、評価指標30を表示させれば、被写体90の画像42を表示させなくてもよい。しかし、評価指標30とともに被写体90の画像42を表示すれば、位相コントラスト画像41における被写体90の大きさおよび画質を確認しながら位置調整を行うことが可能となるので、評価指標30とともに被写体90の画像42を表示させた方がよい。
また、上記実施形態では、制御部2が、撮影に適していない位置に被写体90が配置されている旨のメッセージを表示することにより報知する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部2は、評価指標30の表示色を異ならせることにより、撮影に適していない位置に被写体90が配置されていることを報知するように構成されていてもよい。また、制御部2は、警告灯を点滅させることによって報知させてもよいし、警告音を発することによって報知させてもよい。撮影に適していない位置に被写体90が配置されていることを報知できれば、制御部2は、どのような方法で報知してもよい。
[態様]
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(項目1)
X線源と、
前記X線源からX線が照射される第1格子と、前記第1格子からのX線が照射される第2格子とを含む複数の格子と、
前記X線源から照射されたX線を検出する検出器と、を備え、
前記検出器により検出されたX線の強度分布に基づいて、位相コントラスト画像を生成するとともに、前記X線源と前記複数の格子と前記検出器とを含む光学系の配置情報と、被写体の配置情報とに基づいて、生成される前記位相コントラスト画像におけるコントラストを評価する指標として、被写体と前記第1格子との間の第1距離に基づく評価指標を取得するように構成されている、X線位相イメージング装置。
(項目2)
前記位相コントラスト画像を生成するとともに、前記第1距離に基づく指標を取得する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記光学系の配置情報および前記被写体の配置情報に基づいて、少なくとも、前記第1格子の自己像の最大シフト量に対する前記自己像のシフト量の比率である自己像シフト比、および、前記自己像の位相変化の検出感度を表す指標である位相感度のいずれかを、前記評価指標として取得するように構成されている、項目1に記載のX線位相イメージング装置。
(項目3)
前記制御部は、被写体が前記X線源と前記第1格子との間に配置される場合に、前記第1距離と、前記X線源と前記第1格子との間の第2距離とに基づいて、前記自己像シフト比を取得するか、または、前記第1距離と、前記第2距離と、前記第1格子と前記検出器の検出面または前記第2格子との間の第3距離と、前記自己像の周期または前記第2格子の周期とに基づいて、前記位相感度を取得するように構成されている、項目2に記載のX線位相イメージング装置。
(項目4)
前記制御部は、被写体が前記第1格子と前記第2格子との間に配置される場合に、前記第1距離と、前記第1格子と前記検出器の検出面または前記第2格子との間の第3距離とに基づいて、前記自己像シフト比を取得するか、または、前記第1距離と、前記第3距離と、前記自己像の周期または前記第2格子の周期とに基づいて、前記位相感度を取得するように構成されている、項目2に記載のX線位相イメージング装置。
(項目5)
前記評価指標を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、取得した前記評価指標を前記表示部に表示させるように構成されている、項目2~4のいずれか1項に記載のX線位相イメージング装置。
(項目6)
被写体を移動させる被写体移動機構をさらに備え、
前記制御部は、前記被写体移動機構によって被写体を移動させた後の前記被写体の配置情報に基づいて前記評価指標を取得するとともに、取得した前記評価指標を前記表示部に表示させるように構成されている、項目5に記載のX線位相イメージング装置。
(項目7)
前記制御部は、被写体の拡大率および前記被写体の配置情報の少なくとも一方と、前記評価指標とを、前記表示部に表示させるように構成されている、項目6に記載のX線位相イメージング装置。
(項目8)
前記制御部は、前記評価指標と、被写体の画像とを、前記表示部に表示させるように構成されている、項目6または7に記載のX線位相イメージング装置。
(項目9)
前記制御部は、前記光学系の配置情報および前記第2格子の周期の少なくとも一方が異なる場合に取得される複数の前記評価指標を、前記表示部において比較可能に表示させるように構成されている、項目6に記載のX線位相イメージング装置。
(項目10)
前記制御部は、前記評価指標に基づいて、撮影条件の候補を提示するように構成されている、項目2~8のいずれか1項に記載のX線位相イメージング装置。
(項目11)
前記制御部は、被写体の位置を変更して撮影する場合に、被写体の位置を変更する前に撮影した際の前記評価指標と、被写体の位置を変更した後に撮影した際の前記評価指標との変化が所定の範囲内に収まるようなX線の照射時間の候補を提示するように構成されている、項目9に記載のX線位相イメージング装置。
(項目12)
前記制御部は、前記評価指標が、所定の値の範囲の下限値である第1閾値を下回るか、または、所定の値の範囲の上限値である第2閾値を上回る位置に被写体が配置された場合に、前記評価指標が所定の値の範囲外となる位置に被写体が配置されていることを報知する制御を行うように構成されている、項目2~9のいずれか1項に記載のX線位相イメージング装置。
1 光学系
2 制御部
3 表示部
6 被写体移動機構
10 X線源
11 検出器
12 第1格子(複数の格子)
13 第2格子(複数の格子)
30 評価指標
40 自己像
41 位相コントラスト画像
42 被写体の画像
44 所定の値の範囲
45 第1閾値
46 第2閾値
90 被写体
100 X線位相イメージング装置
第2格子の周期
自己像の周期
Ps 位相感度
ob 被写体と第1格子との間の第1距離
X線源と第1格子との間の第2距離
第1格子と検出器との間の第3距離
Sr 自己像シフト比
Ss 自己像のシフト量
Ssmax 自己像の最大シフト量

Claims (12)

  1. X線源と、
    前記X線源からX線が照射される第1格子と、前記第1格子からのX線が照射される第2格子とを含む複数の格子と、
    前記X線源から照射されたX線を検出する検出器と、を備え、
    前記検出器により検出されたX線の強度分布に基づいて、位相コントラスト画像を生成するとともに、前記X線源と前記複数の格子と前記検出器とを含む光学系の配置情報と、被写体の配置情報とに基づいて、生成される前記位相コントラスト画像におけるコントラストを評価する指標として、被写体と前記第1格子との間の第1距離に基づく評価指標を取得するように構成されており、
    前記評価指標は、前記第1距離と、前記X線源と前記第1格子との間の第2距離と、前記第1格子と前記検出器の検出面または前記第2格子との間の第3距離と、前記第1格子の自己像の周期または前記第2格子の周期とに基づいて取得されるか、または、前記第1距離と、前記第3距離と、前記自己像の周期または前記第2格子の周期とに基づいて取得される、前記自己像の位相変化の検出感度を表す指標である位相感度を含む、X線位相イメージング装置。
  2. 前記位相コントラスト画像を生成するとともに、前記第1距離に基づく指標を取得する制御部をさらに備え、
    前記評価指標は、前記自己像の最大シフト量に対する前記自己像のシフト量の比率である自己像シフト比をさらに含み、
    前記制御部は、前記光学系の配置情報および前記被写体の配置情報に基づいて、少なくとも、前記自己像シフト比、および、前記位相感度を、前記評価指標として取得するように構成されている、請求項1に記載のX線位相イメージング装置。
  3. 前記制御部は、被写体が前記X線源と前記第1格子との間に配置される場合に、前記第1距離と、前記第2距離とに基づいて、前記自己像シフト比を取得かつ、前記第1距離と、前記第2距離と、前記第3距離と、前記自己像の周期または前記第2格子の周期とに基づいて、前記位相感度を取得するように構成されている、請求項2に記載のX線位相イメージング装置。
  4. 前記制御部は、被写体が前記第1格子と前記第2格子との間に配置される場合に、前記第1距離と、前記第3距離とに基づいて、前記自己像シフト比を取得かつ、前記第1距離と、前記第3距離と、前記自己像の周期または前記第2格子の周期とに基づいて、前記位相感度を取得するように構成されている、請求項2に記載のX線位相イメージング装置。
  5. 前記評価指標を表示する表示部をさらに備え、
    前記制御部は、取得した前記評価指標を前記表示部に表示させるように構成されている、請求項2~4のいずれか1項に記載のX線位相イメージング装置。
  6. 被写体を移動させる被写体移動機構をさらに備え、
    前記制御部は、前記被写体移動機構によって被写体を移動させた後の前記被写体の配置情報に基づいて前記評価指標を取得するとともに、取得した前記評価指標を前記表示部に表示させるように構成されている、請求項5に記載のX線位相イメージング装置。
  7. 前記制御部は、被写体の拡大率および前記被写体の配置情報の少なくとも一方と、前記評価指標とを、前記表示部に表示させるように構成されている、請求項6に記載のX線位相イメージング装置。
  8. 前記制御部は、前記評価指標と、被写体の画像とを、前記表示部に表示させるように構成されている、請求項6または7に記載のX線位相イメージング装置。
  9. X線源と、
    前記X線源からX線が照射される第1格子と、前記第1格子からのX線が照射される第2格子とを含む複数の格子と、
    前記X線源から照射されたX線を検出する検出器と、
    前記検出器により検出されたX線の強度分布に基づいて、位相コントラスト画像を生成するとともに、前記X線源と前記複数の格子と前記検出器とを含む光学系の配置情報と、被写体の配置情報とに基づいて、生成される前記位相コントラスト画像におけるコントラストを評価する指標として、被写体と前記第1格子との間の第1距離に基づく評価指標を取得する制御部と、
    前記評価指標を表示する表示部とを備え、
    前記制御部は、前記光学系の配置情報および前記第2格子の周期の少なくとも一方が異なる場合に取得される複数の前記評価指標を、前記表示部において比較可能に表示させるように構成されている、X線位相イメージング装置。
  10. 前記制御部は、前記評価指標に基づいて、撮影条件の候補を提示するように構成されている、請求項2~8のいずれか1項に記載のX線位相イメージング装置。
  11. 前記制御部は、被写体の位置を変更して撮影する場合に、被写体の位置を変更する前に撮影した際の前記評価指標と、被写体の位置を変更した後に撮影した際の前記評価指標との変化が所定の範囲内に収まるようなX線の照射時間の候補を提示するように構成されている、請求項9に記載のX線位相イメージング装置。
  12. 前記制御部は、前記評価指標が、所定の値の範囲の下限値である第1閾値を下回るか、または、所定の値の範囲の上限値である第2閾値を上回る位置に被写体が配置された場合に、前記評価指標が所定の値の範囲外となる位置に被写体が配置されていることを報知する制御を行うように構成されている、請求項2~9のいずれか1項に記載のX線位相イメージング装置。
JP2019137930A 2019-07-26 2019-07-26 X線位相イメージング装置 Active JP7226171B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019137930A JP7226171B2 (ja) 2019-07-26 2019-07-26 X線位相イメージング装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019137930A JP7226171B2 (ja) 2019-07-26 2019-07-26 X線位相イメージング装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021021620A JP2021021620A (ja) 2021-02-18
JP7226171B2 true JP7226171B2 (ja) 2023-02-21

Family

ID=74574789

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019137930A Active JP7226171B2 (ja) 2019-07-26 2019-07-26 X線位相イメージング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7226171B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116297569B (zh) * 2023-04-28 2023-09-05 杭州睿影科技有限公司 一种基于x射线的物体检测方法、系统及处理设备

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004105437A (ja) 2002-09-18 2004-04-08 Fuji Photo Film Co Ltd 医用画像処理装置及び医用画像撮影システム
JP2014521437A (ja) 2011-07-29 2014-08-28 ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ 微分位相コントラストx線イメージングシステム及びそのためのコンポーネント
WO2015156125A1 (ja) 2014-04-11 2015-10-15 株式会社 日立メディコ 医用画像撮影装置及び医用画像撮影方法
JP2015213665A (ja) 2014-05-12 2015-12-03 キヤノン株式会社 放射線撮像装置
WO2020054158A1 (ja) 2018-09-11 2020-03-19 株式会社島津製作所 X線位相撮像システム

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20100032175A1 (en) * 2008-08-07 2010-02-11 Boyd Joseph J Bubble Fire Extinguisher

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004105437A (ja) 2002-09-18 2004-04-08 Fuji Photo Film Co Ltd 医用画像処理装置及び医用画像撮影システム
JP2014521437A (ja) 2011-07-29 2014-08-28 ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ 微分位相コントラストx線イメージングシステム及びそのためのコンポーネント
WO2015156125A1 (ja) 2014-04-11 2015-10-15 株式会社 日立メディコ 医用画像撮影装置及び医用画像撮影方法
JP2015213665A (ja) 2014-05-12 2015-12-03 キヤノン株式会社 放射線撮像装置
WO2020054158A1 (ja) 2018-09-11 2020-03-19 株式会社島津製作所 X線位相撮像システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021021620A (ja) 2021-02-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3346260B1 (en) Radiographic image generating device
JP6187298B2 (ja) X線撮影システム及び画像処理方法
JP5783987B2 (ja) 放射線撮影装置
JP2012090945A (ja) 放射線検出装置、放射線撮影装置、放射線撮影システム
JP2013513418A (ja) 微分位相コントラストイメージングシステム
US20140286475A1 (en) Interferometer and object information acquisition system
JP2012143549A (ja) 放射線画像生成方法および放射線画像撮影装置
JP2012200567A (ja) 放射線撮影システム及び放射線撮影方法
JP2010190777A (ja) X線撮影装置
JP7226171B2 (ja) X線位相イメージング装置
US11175241B2 (en) X-ray phase image capturing system
WO2020066135A1 (ja) X線位相イメージング装置
WO2020188970A1 (ja) 表示制御装置、放射線撮影システム及びプログラム
JP6743983B2 (ja) X線位相差撮像システム
EP3395253B1 (en) X-ray phase imaging apparatus
JP2014012029A (ja) 放射線撮影システム及び画像処理方法
US20180368799A1 (en) X-ray imaging apparatus and method of composing x-ray imaging images
WO2019123758A1 (ja) X線位相差撮像システム
EP3735905A1 (en) Apparatus for x-ray dark-field and/or x-ray phase contrast imaging using stepping and moiré imaging
JP2014223091A (ja) 放射線撮影装置及び画像処理方法
JP7131625B2 (ja) X線位相イメージング装置
JP7136033B2 (ja) X線位相差撮影装置
CN113453623B (zh) 用于dax成像的全视场散射估计
US20240099682A1 (en) X-ray phase imaging apparatus and display method of preview image in x-ray phase imaging apparatus
JP2014132913A (ja) 放射線撮影システム及び放射線撮影方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211101

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220729

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220802

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220929

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221018

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230110

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230123

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7226171

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151