JP6673048B2 - フッ化水素の製造方法 - Google Patents
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Description
(a)フッ化カルシウム粒子に、硫酸を、フッ化カルシウム1molに対して流量0.002〜1mol/minで、硫酸/フッ化カルシウムのモル比が0.9〜1.1となる量まで供給しながら、フッ化カルシウムと硫酸とを、フッ化カルシウム粒子と硫酸とからなる混合物が実質的に粉粒体を維持するように混合および反応させて、フッ化水素を得る工程
を含む方法が提供される。
(b)フッ化カルシウム粒子に、硫酸を、フッ化カルシウム1molに対して流量0.002〜1mol/minで、硫酸/フッ化カルシウムのモル比が0.9〜1.1となる量まで供給しながら、フッ化カルシウムと硫酸とを、フッ化カルシウム粒子と硫酸とからなる混合物が実質的に粉粒体を維持するように混合および反応させて、中間生成混合物と、フッ化水素とを得る工程と、
(c)該中間生成混合物を工程(b)より高温条件下で混合および反応させて、フッ化水素を得る工程と
を含む方法が提供される。
本実施形態は、本発明の第一の要旨によるフッ化水素製造方法に関する。
フッ化カルシウム粒子に、硫酸を供給しながら、フッ化カルシウム粒子と硫酸とを、混合物が実質的に粉粒体を維持するように混合および反応させる。
ηj=(ymax−yj)/(ymax−yst)
式中、ymaxは炭酸カルシウムの出力値、yjは時間tにおける試料jの出力値、ystは参照混合粉体の明度である。参照混合粉体は、所定の配合比率で各粉体成分を完全分散状態に混合した混合粉体であり、規格SAP16−13に準じて調製される。混合物全体の混合到達度の平均値ηは下記式で表される。
本実施形態は、本発明の第二の要旨によるフッ化水素製造方法に関する。以下、実施形態1と異なる点を中心に説明するものとし、特段説明のない限り、実施形態1と同様の説明が当て嵌まる。
フッ化カルシウム粒子に、硫酸を供給しながら、フッ化カルシウム粒子と硫酸とを、混合物が実質的に粉粒体を維持するように混合および反応させる。
上記の工程(b)により得られる粉粒状の中間生成混合物を、工程(c)において、工程(b)より高温条件下で混合および反応させる。工程(c)における混合および反応は、80〜500℃の温度で行うことが好ましい。80℃以上とすることによって、フッ化水素を十分な蒸発速度で気相中に得ることができる。加熱温度は、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上である。90℃以上であると、式(3)の反応を促進することができ、100℃以上であると、反応はより促進される。更に好ましくは、加熱温度を170℃以上とする。170℃以上にすることにより、式(3)の反応を更に一層促進することができる。加熱温度を500℃以下とすることにより、硫酸の熱分解や蒸発を防止することができる。この温度条件の下では、式(2)および(3)の反応が支配的に起こる。式(2)の反応により生じる硫酸は、混合物中に存在する未反応のフッ化カルシウム粒子と直ちに反応して消費され、その結果、混合物は、ペースト状の付着物を発生させることなく(即ち、第二ペースティを発生させることなく)、全体として粉粒体を維持し得る。混合および反応は、より好ましくは250℃以下で行われる。250℃以下であると、硫酸の分解および装置の腐食をより効果的に抑制することができる。このとき、フッ化カルシウム粒子の比表面積が0.5〜30m2/gであると、式(3)のほうが式(2)よりも反応速度が速くなるので、第二ペースティの発生をより効果的に抑制することができる。工程(c)の間、反応混合物を積極的に混合(または攪拌)すると気相中に不要な粉塵が舞ってフッ化水素に同伴され得るので好ましくないが、副生する石膏を、流動性を有する(粉体)状態で得たい場合には混合(または攪拌)してもよい。
本実施例は、本発明の第一の要旨によるフッ化水素の製造方法に関する。
フッ化カルシウム(CaF2)粒子として、平均粒径10μm、比表面積1m2/gの蛍石を用いた。このフッ化カルシウム粒子500g(6.40mol)を反応器に入れ、反応器温度を120℃に設定し、蛍石を反応器の設定温度に予熱した。
別途120℃に予熱しておいた硫酸625g(6.37mol)を、流量31.25g/min(フッ化カルシウム粒子1molに対して0.05mol/min)で反応器に供給しながらフッ化カルシウムと硫酸とを撹拌混合した。混合温度は反応器の設定温度(即ち120℃)と考えて差し支えない。
反応器に設けられたのぞき窓から反応器内の様子を目視で観察した。同時に、発生するフッ化水素の量、ならびに撹拌羽根のトルクおよび電流値のモニタリングも行った。目視により、工程(a)の間、混合物が固体(即ち粒状)の状態を維持し、反応器内にペースティが発生しなかったことが確認された。また、工程(a)の間、撹拌羽根のトルクおよび電流値の急激な上昇およびハンチングは観察されなかった。更に、フッ化水素の発生量のモニタリングの結果、工程(a)の間、フッ化水素の発生量は、理論値の99%であった。以上の結果より、工程(a)の間、混合物が実質的に粉粒体を維持したと判定した。
本実施例は、実施例1の改変例であって、各原料の使用量を実施例1の2倍にしたものである。
工程(a)
フッ化カルシウム(CaF2)粒子として、実施例1において用いたものと同じ蛍石を用いた。このフッ化カルシウム粒子1000g(12.8mol)を反応器に入れ、反応器温度を120℃に設定し、蛍石を反応器の設定温度に予熱した。
別途120℃に予熱しておいた硫酸1250g(12.7mol)を、流量25g/min(フッ化カルシウム粒子1molに対して0.02mol/min)で反応器に供給しながらフッ化カルシウムと硫酸とを撹拌混合した。混合温度は反応器の設定温度(即ち120℃)と考えて差し支えない。
反応器に設けられたのぞき窓から反応器内の様子を目視で観察した。同時に、発生するフッ化水素の量、ならびに撹拌羽根のトルクおよび電流値のモニタリングも行った。目視により、工程(a)の間、混合物が固体(即ち粒状)の状態を維持し、反応器内にペースティが発生しなかったことが確認された。また、工程(a)の間、撹拌羽根のトルクおよび電流値の急激な上昇およびハンチングは観察されなかった。更に、フッ化水素の発生量のモニタリングの結果、工程(a)の間、フッ化水素の発生量は、理論値の99%であった。以上の結果より、工程(a)の間、混合物が実質的に粉粒体を維持したと判定した。
本実施例は、本発明の第二の要旨によるフッ化水素の製造方法に関する。
工程(b)
フッ化カルシウム(CaF2)粒子として、実施例1において用いたものと同じ蛍石を用いた。このフッ化カルシウム粒子1000g(12.8mol)を反応器に入れ、反応器温度を80℃に設定し、蛍石を反応器の設定温度に予熱した。
別途80℃に予熱しておいた硫酸1250g(12.7mol)を、流量25g/min(フッ化カルシウム粒子1molに対して0.02mol/min)にて反応器に供給しながらフッ化カルシウムと硫酸とを撹拌混合した。混合温度は反応器の設定温度(即ち80℃)と考えて差し支えない。
反応器に設けられたのぞき窓から反応器内の様子を目視で観察した。同時に、発生するフッ化水素の量、ならびに撹拌羽根のトルクおよび電流値のモニタリングも行った。目視により、工程(b)の間、混合物が固体(即ち粒状)の状態を維持し、反応器内にペースティが発生しなかったことが確認された。また、工程(b)の間、撹拌羽根のトルクおよび電流値の急激な上昇およびハンチングは観察されなかった。更に、フッ化水素の発生量のモニタリングの結果、工程(b)の間、フッ化水素の発生量は、理論値の99%であった。以上の結果より、工程(b)の間、混合物が実質的に粉粒体を維持したと判定した。
硫酸の供給は、供給開始から50分後に完了した。この時点において、フッ化カルシウムの転化率は50%であると計算された。
次いで、反応器の設定温度を130℃に上昇させ、中間生成混合物の混合および反応を行った。目視により、工程(c)の間、混合物が固体(即ち粒状)の状態を維持し、反応器内に付着物が発生しなかったことが確認された。
工程(c)の開始から40分後にフッ化水素が発生しなくなった。この時点で加熱および撹拌を終了した。フッ化水素の発生量より、フッ化カルシウムの転化率は98%であると計算された。
本実施例は、実施例3の改変例であって、硫酸の流量を増加したものである。
工程(b)
硫酸の流量を62.5g/min(フッ化カルシウム粒子1molに対して0.05mol/min)とした以外は実施例3と同様の手順で工程(b)を行った。目視により、工程(b)の間、混合物が固体(即ち粒状)の状態を維持し、反応器内にペースティが発生しなかったことが確認された。また、工程(b)の間、撹拌羽根のトルクおよび電流値の急激な上昇およびハンチングは観察されなかった。更に、フッ化水素の発生量のモニタリングの結果、工程(b)の間、フッ化水素の発生量は、理論値の99%であった。以上の結果より、工程(b)の間、混合物が実質的に粉粒体を維持したと判定した。
硫酸の供給は、供給開始から20分後に完了した。この時点において、フッ化カルシウムの転化率は40%であると計算された。
次いで、実施例3と同様の手順で工程(c)を行った。目視により、工程(c)の間、混合物が固体(即ち粒状)の状態を維持し、反応器内に付着物が発生しなかったことが確認された。
工程(c)の開始から100分後にフッ化水素が発生しなくなった。この時点で加熱および撹拌を終了した。フッ化水素の発生量より、フッ化カルシウムの転化率は98%であると計算された。
本実施例は、実施例3の改変例であり、実施例3において用いた撹拌羽根よりも羽根のサイズが小さく混合性の低い撹拌羽根を有する容量2Lの槽型反応器(以下、「反応器B」ともよぶ)を反応器として用いたものである。
硫酸の流量を8.3g/min(フッ化カルシウム粒子1molに対して0.007mol/min)とした以外は実施例3と同様の手順で工程(b)を行った。目視により、工程(b)の間、混合物が固体(即ち粒状)の状態を維持し、反応器内にペースティが発生しなかったことが確認された。また、工程(b)の間、撹拌羽根のトルクおよび電流値の急激な上昇およびハンチングは観察されなかった。更に、フッ化水素の発生量のモニタリングの結果、工程(b)の間、フッ化水素の発生量は、理論値の99%であった。以上の結果より、工程(b)の間、混合物が実質的に粉粒体を維持したと判定した。
硫酸の供給は、供給開始から150分後に完了した。この時点において、フッ化カルシウムの転化率は50%であると計算された。
次いで、実施例3と同様の手順で工程(c)を行った。目視により、工程(c)の間、混合物が固体(即ち粒状)の状態を維持し、反応器内に付着物が発生しなかったことが確認された。
工程(c)の開始から100分後にフッ化水素が発生しなくなった。この時点で加熱および撹拌を終了した。フッ化水素の発生量より、フッ化カルシウムの転化率は98%であると計算された。
本実施例は、実施例5の改変例であり、硫酸の流量を増加したものである。
工程(b)
硫酸の流量を16.7g/min(フッ化カルシウム粒子1molに対して0.013mol/min)とした以外は実施例5と同様の手順で工程(b)を行った。目視により、工程(b)の間、混合物が固体(即ち粒状)の状態を維持し、反応器内にペースティが発生しなかったことが確認された。また、工程(b)の間、撹拌羽根のトルクおよび電流値の急激な上昇およびハンチングは観察されなかった。更に、フッ化水素の発生量のモニタリングの結果、工程(b)の間、フッ化水素の発生量は、理論値の99%であった。以上の結果より、工程(b)の間、混合物が実質的に粉粒体を維持したと判定した。
硫酸の供給は、供給開始から75分後に完了した。この時点において、フッ化カルシウムの転化率は40%であると計算された。
次いで、実施例5と同様の手順で工程(c)を行った。目視により、工程(c)の間、混合物が固体(即ち粒状)の状態を維持し、反応器内に付着物が発生しなかったことが確認された。
工程(c)の開始から225分後にフッ化水素が発生しなくなった。この時点で加熱および撹拌を終了した。フッ化水素の発生量より、フッ化カルシウムの転化率は98%であると計算された。
また、装置の機械的負荷変動および耐久性に悪影響を与え得るペースティの発生、ならびにペースティ中の硫酸による腐食を防止することができ、その結果、装置コストを低減し得る。本発明の方法は、従来の方法と比較して低温かつ短時間で実施可能であり、エネルギーコストを大幅に低減し得る。
3 誘導管
5 ロータリーキルン
7 連続式反応器
Claims (10)
- フッ化カルシウムと硫酸とを反応させてフッ化水素を製造する方法であって、
(a)フッ化カルシウム粒子に、硫酸を、フッ化カルシウム1molに対して流量0.002〜0.07mol/minで、硫酸/フッ化カルシウムのモル比が0.9〜1.1となる量まで供給しながら、フッ化カルシウムと硫酸とを、フッ化カルシウム粒子と硫酸とからなる混合物が実質的に粉粒体を維持するように混合および反応させて、フッ化水素を得る工程
を含む方法。 - 工程(a)において、混合開始から1分後における混合到達度が0.1以上である装置を用いて混合を行う、請求項1に記載の方法。
- 工程(a)が、0〜500℃の温度で行われる、請求項1または2に記載の方法。
- フッ化カルシウム粒子の比表面積が0.5〜30m2/gである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 工程(a)において、硫酸の供給が終了した後、フッ化カルシウムと硫酸との反応が完結するまで混合を継続する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- フッ化カルシウムと硫酸とを反応させてフッ化水素を製造する方法であって、
(b)フッ化カルシウム粒子に、硫酸を、フッ化カルシウム1molに対して流量0.002〜0.07mol/minで、硫酸/フッ化カルシウムのモル比が0.9〜1.1となる量まで供給しながら、フッ化カルシウムと硫酸とを、フッ化カルシウム粒子と硫酸とからなる混合物が実質的に粉粒体を維持するように混合および反応させて、中間生成混合物と、フッ化水素とを得る工程と、
(c)該中間生成混合物を工程(b)より高温条件下で混合および反応させて、フッ化水素を得る工程と
を含む方法。 - 工程(b)において、混合開始から1分後における混合到達度が0.1以上である装置を用いて混合を行う、請求項6に記載の方法。
- 工程(b)が、0〜170℃の温度で行われる、請求項6または7に記載の方法。
- 工程(c)が、80〜500℃の温度で行われる、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
- フッ化カルシウム粒子の比表面積が0.5〜30m2/gである、請求項6〜9のいずれかに記載の方法。
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