JP6670584B2 - 気泡液濃縮装置、気泡液濃縮方法、及び高密度微細気泡液生成装置 - Google Patents

気泡液濃縮装置、気泡液濃縮方法、及び高密度微細気泡液生成装置 Download PDF

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Description

本発明は、供給液中に存在する気泡を分離膜により濃縮する気泡液濃縮装置、気泡液濃縮方法、並びに、これを用いた高密度微細気泡液生成装置、及び高密度微細気泡液生成方法に関し、特に、液体中に存在する直径1μm未満の気泡(ウルトラファインバブル、UFB)を濃縮する技術として有用である。
近年、長期にわたり安定なウルトラファインバブルを含む水を生成する技術の研究が盛んに行われている。例えば、非特許文献1には、ウルトラファインバブルを多量に生成する装置が開示されている。また、非特許文献2では、ウルトラファインバブルが水中に安定的に存在する点について報告されている。
また、ウルトラファインバブルを生成する方法としても種々の方法が存在し、例えば、特許文献1の微細気泡発生装置では、流体旋回室内において気体と液体とが混合された混合流体を高速に旋回させ、旋回流に発生する剪断力により気泡が微細化される。
しかし、ウルトラファインバブルを含む水は、機械的に水と空気とを混合することにより生成されるため、微細気泡の生成量は、0.1億個/mL〜10億個/mL程度であり、微細気泡を含む液体の用途の研究や、微細気泡を含む液体の取り扱いの効率化のためには、微細気泡の高密度化が重要であった。
このため、特許文献2には、微細気泡の密度が高い液体を容易に生成することを目的として、直径が200nmより大きい微細気泡を通さない濾過フィルタに、微細気泡を含む液体の一部を透過させ、その液体の残部である高密度微細気泡液を得る高密度微細気泡液生成方法が、開示されている。ただし、特許文献2では、微細気泡を含む液体が膜面に対して垂直な方向に流動する濾過方式を採用しており、また濾過フィルタの材質等については開示されていない。
特許第4129290号公報 特開2014−155920号公報
「FZ1N−02形ナノバブル発生装置」カタログ、[online]、2011年5月23日、IDEC株式会社、[2011年12月20日検索]、インターネット<URL:http://www.idec.com/jpja/products/dldata/pdf_b/P1383-0.pdf> 寺坂宏一、他5名、「気液混合せん断法により生成したナノバブルの分析法の検討」、日本混相流学会年会講演会2011講演論文集、日本混相流学会年会講演会2011(京都)実行委員会、2011年8月、P424−425
しかしながら、特許文献2の高密度微細気泡液生成方法のように、微細気泡を含む液体が膜面に対して垂直な方向に流動する濾過方式では、気泡液の濃縮の際に、膜との接触により気泡が消失し易いため、供給した液中の気泡の総量に対して、濃縮後の気泡の総量が大幅に減少することが判明した。また、分離膜として通常使用される濾過フィルタを用いた場合、この現象が顕著になることが判明した。
そこで、本発明の目的は、高濃度の気泡含有液を得ることができる気泡液濃縮装置、気泡液濃縮方法、並びに、これを用いた高密度微細気泡液生成装置、及び高密度微細気泡液生成方法を提供することにある。
本発明者らは、気泡液の濃縮を行う際の濾過方式や膜面における供給液の線速度について鋭意検討した結果、供給液の膜面における線速度が大きくなるクロスフロー方式を採用することで、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の気泡液濃縮装置は、気泡を含有した供給液を分離膜により濃縮する気泡液濃縮装置において、前記分離膜の一方の膜面に沿って前記供給液が流動しながら、透過液を前記分離膜の他方の膜面側に透過させる構造を有し、前記供給液の流量と流路断面積から計算される線速度が5cm/秒以上であることを特徴とする。
本発明の気泡液濃縮装置によると、このようなクロスフロー方式を可能とする構造を採用することで、供給液の膜面における線速度を大きくできるため、膜面に気泡が付着しにくくなり、気泡液濃縮の際に膜との接触により気泡が消失するのを抑制することができ、高濃度の気泡含有液を得ることができる。
特に、本発明では、前記供給液に、直径1μm未満の気泡が含まれていることが好ましい。上記のようなクロスフロー方式を採用することで、直径1μm未満の微細気泡に対しても、膜面に気泡を付着しにくくすることができ、効率良く気泡を分離して濃縮することができる。
記供給液の流量と流路断面積から計算される線速度が5cm/秒以上であると、気泡液濃縮の際に膜との接触により気泡が消失するのをより確実に抑制することができる。
また、前記分離膜は、前記供給液が流動する側の表面について、水中において気泡の接線方向と分離膜の表面との成す接触角(以下、気泡接触角という。)が140°以上であることが好ましい。濃縮に用いる分離膜の表面の空気との気泡接触角が140°以上であると、濃縮の際に膜面に気泡が付着しにくくなる。つまり、図1に示すように、水中における気泡接触角104°(図1a)の場合と気泡接触角167°(図1c)の場合とでは、気泡の付着状態が大きく異なり、後者の方が膜面に気泡が付着しにくくなることで、気泡が消失するのを抑制することができると考えられる。
一方、本発明の高密度微細気泡液生成装置は、上記いずれかに記載の気泡液濃縮装置と、その気泡液濃縮装置に直径1μm未満の気泡を含む供給液を供給する気泡生成装置と、を備えることを特徴とする。本発明の高密度微細気泡液生成装置によると、前記分離膜の一方の膜面に沿って前記供給液が流動しながら、透過液を前記分離膜の他方の膜面側に透過させる構造を有するため、上記の理由により、気泡液濃縮の際に膜との接触により気泡が消失するのを抑制することができ、高濃度の気泡含有液を得ることができる。
他方、本発明の気泡液濃縮方法は、気泡を含有した供給液を分離膜により濃縮する気泡液濃縮方法において、前記分離膜の一方の膜面に沿って前記供給液を流動させながら、透過液を前記分離膜の他方の膜面側に透過させ、前記供給液の流量と流路断面積から計算される線速度が5cm/秒以上であることを特徴とする。
本発明の気泡液濃縮方法によると、このようなクロスフロー方式を採用することで、供給液の膜面における線速度を大きくできるため、膜面に気泡が付着しにくくなり、気泡液濃縮の際に膜との接触により気泡が消失するのを抑制することができ、高濃度の気泡含有液を得ることができる。
特に、本発明では、前記供給液に、直径1μm未満の気泡が含まれていることが好ましい。上記のようなクロスフロー方式を採用することで、直径1μm未満の微細気泡に対しても、膜面に気泡を付着しにくくすることができ、効率良く気泡を分離して濃縮することができる。
記供給液の流量と流路断面積から計算される線速度が5cm/秒以上であると、気泡液濃縮の際に膜との接触により気泡が消失するのをより確実に抑制することができる。
また、前記分離膜は、前記供給液が流動する側の表面について、水中における空気との気泡接触角が140°以上であることが好ましい。
一方、本発明の高密度微細気泡液生成方法は、上記いずれかに記載の気泡液濃縮方法を利用した高密度微細気泡液生成方法であって、直径1μm未満の気泡を含む液体を前記供給液として生成する気泡生成工程を含むものである。本発明の高密度微細気泡液生成方法によると、前記分離膜の一方の膜面に沿って前記供給液を流動させながら、透過液を前記分離膜の他方の膜面側に透過させるため、上記の理由により、気泡液濃縮の際に膜との接触により気泡が消失するのを抑制することができ、高濃度の気泡含有液を得ることができる。
なお、気泡生成装置で生成した供給液には直径が1μm未満の気泡だけではなく、直径が1μm以上から500nm以下の気泡も含まれている。したがって、本発明の気泡液濃縮装置により得た気泡含有液にも直径1μm以上の気泡が含まれていてもよい。
水中における気泡接触角を説明するための写真であり、(a)が気泡接触角104°、(b)が気泡接触角135°、(c)が気泡接触角167°の場合を示す。 本発明における膜エレメントの一例を示す分解斜視図である。 本発明における膜モジュールの一例を示す縦断面図である。 本発明における膜モジュールの他の例を示す縦断面図である。 本発明の気泡液濃縮装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の気泡液濃縮装置の他の例を示す概略構成図である。 本発明の高密度微細気泡液生成装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の高密度微細気泡液生成装置の気泡生成装置の例を示す縦断面図である。 実施例等における気泡液濃縮前後のUFBの濃縮倍率を示すグラフである。
(気泡液濃縮装置の概要)
本発明の気泡液濃縮装置は、気泡を含有した供給液を分離膜により濃縮する気泡液濃縮装置において、前記分離膜の一方の膜面に沿って前記供給液が流動しながら、透過液を前記分離膜の他方の膜面側に透過させる構造を有することを特徴とする。つまり、本発明の気泡液濃縮装置は、例えば図5に示すように、気泡液濃縮用の分離膜2を備えており、例えば図2に示すように、分離膜2の一方の膜面に沿って供給液7が流動しながら、透過液8を分離膜2の他方の膜面側に透過させる構造を有する膜エレメント1を備えている。また、例えば図3に示すように、分離膜2を有する膜エレメント1と、その膜エレメント1を収容して濃縮側流路と透過側流路とを形成する容器31とを含む膜モジュール30を備えることが好ましい。
本発明における気泡液濃縮装置は、例えば直径100μm以下の気泡を含有する液(気泡液)を濃縮して、含有される気泡を高濃度化する際に使用するものであり、特に、液体中に存在する直径1μm未満の気泡を含有する気泡液を濃縮する際に使用することが好ましい。
液体中に存在する直径1μm未満の気泡は、ウルトラファインバブル(UFB)と呼ばれ、直径がより大きいマイクロバルブと比較して、液体中で長期にわたり安定し、液体が透明な性質を有する。
また、UFBは、気体富化、界面活性、圧壊、帯電、比表面積増加、などの特性を有しており、枚葉剥離、乳化、香気封入、鮮度保持などが可能である。このため、UFBは、半導体装置、フラットパネルディスプレイ、電子機器、太陽電池、二次電池などの用途の他、食品、飲料、化粧品、薬品、医療、植物栽培、新機能材料、放射性物質除去等の種々の用途に使用可能である。
UFBは、種々の方法で生成することが可能であり、例えば、流体旋回室内において気体と液体とが混合された混合流体を高速に旋回させ、旋回流に発生する剪断力により気泡を微細化する方法が挙げられる。
気泡を有する液体としては、水、アルコール水溶液、オゾン水、酸性水溶液、アルカリ水溶液、界面活性剤水溶液などが挙げられる。
UFBの平均直径としては、上記のような機能を発現させる観点から、通常1μm未満であり、0.01〜0.5μmが好ましい。また、濃縮前の液体中の数密度は、濃縮後の数密度を高める観点から、少なくとも0.3億個/mL以上が好ましく、1億個/mL〜10億個/mLであることがより好ましい。
(気泡液濃縮用の分離膜)
気泡液濃縮用の分離膜としては、親水性の分離膜又は疎水性の分離膜が使用できるが、少なくとも一方の表面について、水中における気泡接触角が140°以上であることが好ましく、両方の表面が気泡接触角140°以上であってもよい。一方の表面のみが気泡接触角140°以上である場合、その表面が供給液側(濃縮前の原液)に配置され、他方の面から透過液側に配置される。
水中における気泡接触角は、好ましくは140°以上180°未満であるが、気泡液濃縮の際に膜との接触により気泡が消失するのをより確実に抑制する観点から、145°以上が好ましく、150°以上がより好ましく、160以上が最も好ましい。また、水中における気泡接触角は、分離膜の製造のし易さ等の観点から、178°以下が好ましく、175°以下がより好ましく、170°以下が最も好ましい。
このような気泡接触角を有する分離膜は、疎水性のポリマー多孔質層の少なくとも表面を親水化処理する方法や、親水性のポリマーで分離膜を製造することで得ることができる。
後者のように、親水性のポリマーで分離膜を製造する場合、例えば、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ樹脂、を用いる方法や、更に架橋構造を導入することで、上記の気泡接触角を有する分離膜を得ることができる。このような分離膜としては、分離膜の耐久性、耐圧性、透過流量、などの観点から、親水性のポリマー多孔質層が不織布層の片面に形成されているものが好ましい。また、本発明では、平膜に限らず、中空糸膜、チューブ状膜も使用することができる。
但し、分離膜の耐久性、製造性、などの観点から、疎水性のポリマー多孔質層の表面を親水化処理する方法が好ましい。特に、親水化処理が、親水性物質のコーティング、又は親水性ポリマーのグラフトにより行なわれていることが好ましい。
親水化処理に用いる分離膜としては、疎水性のポリマー多孔質層を有するものが挙げられ、分離膜の耐久性、耐圧性、透過流量、などの観点から、ポリマー多孔質層が不織布層の片面に形成されているものが好ましい。また、本発明では、平膜に限らず、中空糸膜、チューブ状膜も使用することができる。
疎水性のポリマーとしては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンに例示されるポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂など種々のものをあげることができる。特に化学的、機械的、熱的に安定である点からポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホンが好ましい。
親水化処理に用いる分離膜としては、膜の両面で平均孔径が異なる非対称膜であっても、対称膜であってもよいが、濃縮時の処理効率の観点から、非対称膜であることが好ましい。
分離膜の平均孔径(孔径が小さい方の表面の平均孔径)は、親水化処理後の孔径、親水化処理のし易さ、などの観点から、0.001〜2μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.01〜0.4μmが更に好ましい。
分離膜又はポリマー多孔質層の厚みは、10〜300μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。不織布層の厚みは、30〜200μmが好ましく、
50〜150μmがより好ましい。
不織布層としては、前記分離膜の分離性能および透過性能を保持しつつ、適度な機械強度を付与するものであれば特に限定されるものではなく、市販の不織布を用いることができる。この材料としては例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、セルロースなどからなるものが用いられ、複数の素材を混合したものも使用することができる。特に成形性の点ではポリエステルを用いることが好ましい。また適宜、長繊維不織布や短繊維不織布を用いることができるが、ピンホール欠陥の原因となる微細な毛羽立ちや膜面の均一性の点から、長繊維不織布を好ましく用いることができる。また、このときの前記不織布層単体の通気度としては、これに限定されるものではないが、0.5〜10cm/cm・s程度のものを用いることができ、1〜5cm/cm・s程度のものが好ましく用いられる。
上記のような分離膜は、各種市販されており、親水性ポリマーの分離膜は、そのまま使用することができる。また、疎水性ポリマーの分離膜は、親水化処理に使用することができる。また、分離膜を公知の方法により製造することも可能である。
前記ポリマー多孔質層のポリマーが、ポリスルホンである場合の製造方法について例示する。ポリマー分離膜は一般に湿式法または乾湿式法と呼ばれる方法により製造できる。まず、ポリスルホンと溶媒及び各種添加剤を溶解した溶液準備工程と、前記溶液で不織布上を被覆する被覆工程と、この溶液中の溶媒を蒸発させてミクロ相分離を生じさせる乾燥工程と、水浴等の凝固浴に浸漬することで固定化する固定化工程を経て、不織布上のポリマー多孔質層を形成することができる。前記ポリマー多孔質層の厚さは、不織布層に含浸される割合も計算の上、前記溶液濃度及び被覆量を調整することで設定することができる。
次ぎに、親水化処理について説明する。親水化処理は、親水性物質のコーティング、又は親水性ポリマーのグラフトにより行なうことが好ましいが、その他、親水性基の導入による表面処理、プラズマ処理、エキシマレーザー照射、コロナ放電処理等による表面処理、などによっても、親水化処理が可能である。
親水性物質のコーティングには、親水性物質として低分子を用いる方法と、高分子を用いる方法があるが、低分子を用いて重合反応を行ない高分子化することも可能である。
高分子を用いる方法としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ヒドロキシプロピルセルロース、等のポリマーを用いて、溶媒に溶解し、その溶液を分離膜に塗布又は含浸させた後、乾燥させる方法が挙げられる。その際、架橋剤等を用いて、ポリマー同士又は分離膜との間で架橋反応させることも可能である。
また、親水性物質として低分子を用いる方法でも、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビトール、グリセリンなどの多価アルコールや、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤、乳酸ナトリウム、グリセリン等を用いて、溶媒に溶解し、その溶液を分離膜に塗布又は含浸させた後、乾燥させる方法が挙げられる。
また、分離膜との反応性を有する官能基を有する親水性物質を使用し、分離膜の間で反応させることも可能である。
親水性ポリマーをグラフトさせる場合、例えばビニル型の親水性モノマーが使用される。ビニル型の親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシメチルメタクリル酸、スルホエチルメタクリル酸、スチレンスルホン酸又はそれらのアルカリ金属塩などが使用できる。
グラフトを行う際には、分離膜に電子線照射、開始剤を用いるケミカルグラフト重合、光開始グラフト重合などを行うことが好ましい。また、重合終了後に、余分なモノマーが除去される。
低分子を用いて重合反応させることにより、コーティングを行なう方法としては、グラフトに使用するビニル型の親水性モノマーと、重合開始剤、必要に応じて架橋剤等を用いて、重合反応させる方法、又は、次ぎに述べるような界面重合を用いる方法などが挙げられる。
界面重合を用いる方法では、例えばポリアミド系のコート層が形成され、一般に、視認できる孔のない均質膜が得られる。ポリアミド系のコート層としては、例えば、多官能アミン成分と多官能酸ハライド成分とを多孔性支持膜上で界面重合させてなるポリアミド系分離機能層がよく知られている。このようなポリアミド系分離機能層はひだ状の微細構造を有することが知られており、この層の厚さは特に限定されるものではないが、0.05〜2μm程度であって、好ましくは0.1〜1μmである。この層が薄すぎると膜面欠陥が生じやすくなり、厚すぎると透過性能が悪化することが知られている。
前記ポリアミド系分離機能層を前記ポリマー多孔質層の表面に形成する方法は特に制限されずにあらゆる公知の方法を用いることができる。例えば、界面重合法、相分離法、薄膜塗布法などの方法が挙げられるが、本発明では特に界面重合法が好ましく用いられる。界面重合法は例えば、前記ポリマー多孔質層上を多官能アミン成分含有アミン水溶液で被覆した後、このアミン水溶液被覆面に多官能酸ハライド成分を含有する有機溶液を接触させることで界面重合が生じ、スキン層を形成する方法である。この方法では、アミン水溶液及び有機溶液の塗布後、適宜余剰分を除去して進めることが好ましく、この場合の除去方法としては対象膜を傾斜させて流す方法や、気体を吹き付けて飛ばす方法、ゴム等のブレードを接触させて掻き落とす方法などが好ましく用いられている。
また、前記工程において、前記アミン水溶液と前記有機溶液が接触するまでの時間は、アミン水溶液の組成、粘度及び多孔性支持膜の表面の孔径にもよるが、1〜120秒程度であり、好ましくは2〜40秒程度である。前記の間隔が長すぎる場合には、アミン水溶液が多孔性支持膜の内部深くまで浸透・拡散し、未反応多官能アミン成分が多孔性支持膜中に大量に残留し、不具合が生じる場合がある。前記溶液の塗布間隔が短すぎる場合には、余分なアミン水溶液が残存しすぎるため、膜性能が低下する傾向にある。
このアミン水溶液と有機溶液との接触後には、70℃以上の温度で加熱乾燥してスキン層を形成することが好ましい。これにより膜の機械的強度や耐熱性等を高めることができる。加熱温度は70〜200℃であることがより好ましく、特に好ましくは80〜130℃である。加熱時間は30秒〜10分程度が好ましく、さらに好ましくは40秒〜7分程度である。
前記アミン水溶液に含まれる多官能アミン成分は、2以上の反応性アミノ基を有する多官能アミンであり、芳香族、脂肪族、及び脂環式の多官能アミンが挙げられる。前記芳香族多官能アミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、N,N’−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、アミドール、キシリレンジアミン等が挙げられる。前記脂肪族多官能アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、n−フェニル−エチレンジアミン等が挙げられる。前記脂環式多官能アミンとしては、例えば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、4−アミノメチルピペラジン等が挙げられる。これらの多官能アミンは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に本発明では、緻密性の高い分離機能層が得られるm−フェニレンジアミンを主成分とすることが好ましい。
前記有機溶液に含まれる多官能酸ハライド成分は、反応性カルボニル基を2個以上有する多官能酸ハライドであり、芳香族、脂肪族、及び脂環式の多官能酸ハライドが挙げられる。前記芳香族多官能酸ハライドとしては、例えば、トリメシン酸トリクロライド、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、ビフェニルジカルボン酸ジクロライド、ナフタレンジカルボン酸ジクロライド、ベンゼントリスルホン酸トリクロライド、ベンゼンジスルホン酸ジクロライド、クロロスルホニルベンゼンジカルボン酸ジクロライド等が挙げられる。前記脂肪族多官能酸ハライドとしては、例えば、プロパンジカルボン酸ジクロライド、ブタンジカルボン酸ジクロライド、ペンタンジカルボン酸ジクロライド、プロパントリカルボン酸トリクロライド、ブタントリカルボン酸トリクロライド、ペンタントリカルボン酸トリクロライド、グルタリルハライド、アジポイルハライド等が挙げられる。前記脂環式多官能酸ハライドとしては、例えば、シクロプロパントリカルボン酸トリクロライド、シクロブタンテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロペンタントリカルボン酸トリクロライド、シクロペンタンテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロヘキサントリカルボン酸トリクロライド、テトラハイドロフランテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロペンタンジカルボン酸ジクロライド、シクロブタンジカルボン酸ジクロライド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、テトラハイドロフランジカルボン酸ジクロライド等が挙げられる。これら多官能酸ハライドは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、緻密性の高い分離機能層が得られる芳香族多官能酸ハライドを用いることが好ましい。また、多官能酸ハライド成分の少なくとも一部に3価以上の多官能酸ハライドを用いて、架橋構造を形成することが好ましい。
前記界面重合法において、アミン水溶液中の多官能アミン成分の濃度は特に限定されるものではないが、0.1〜7重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜5重量%である。多官能アミン成分の濃度が低すぎると、スキン層に欠陥が生じやすくなり、塩阻止性能が低下する傾向にある。一方で多官能アミン成分の濃度が高すぎる場合には、厚くなりすぎて透過流束が低下する傾向にある。
前記有機溶液中の多官能酸ハライド成分の濃度は特に制限されないが、0.01〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3重量%である。多官能酸ハライド成分の濃度が低すぎると、未反応多官能アミン成分が増加するため、スキン層に欠陥が生じやすくなる。一方、多官能酸ハライド成分の濃度が高すぎると、未反応多官能酸ハライド成分が増加するため、スキン層が厚くなりすぎて透過流束が低下する傾向にある。
前記多官能酸ハライドを含有させる有機溶媒としては、水に対する溶解度が低く、多孔性支持膜を劣化させることなく、多官能酸ハライド成分を溶解するものであれば特に限定されず、例えば、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、及びノナン等の飽和炭化水素、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン等のハロゲン置換炭化水素などを挙げることができる。好ましくは沸点が300℃以下、さらに好ましくは沸点が200℃以下の飽和炭化水素である。
前記アミン水溶液や有機溶液には、各種性能や取り扱い性の向上を目的とした添加剤を加えてもよい。前記添加剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などのポリマー、ソルビトール、グリセリンなどの多価アルコールや、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤、重合により生成するハロゲン化水素を除去する水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、及びトリエチルアミン等の塩基性化合物、アシル化触媒及び、特開平8−224452号公報記載の溶解度パラメータが8〜14(cal/cm1/2の化合物などが挙げられる。
前記ポリアミド系分離機能層の露出表面には、各種ポリマー成分からなるコーティング層を更に設けてもよい。前記ポリマー成分は、分離機能層及び多孔性支持膜を溶解せず、また水処理操作時に溶出しないポリマーであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、及びケン化ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらのうち、ポリビニルアルコールを用いることが好ましく、特にケン化度が99%以上のポリビニルアルコールを用いるか、ケン化度90%以上のポリビニルアルコールを前記スキン層のポリアミド系樹脂と架橋させることで、水処理時に溶出しにくい構成とすることが好ましい。
本発明では、親水性ポリマーの分離膜又は親水化処理後の分離膜の少なくとも一方の表面が、平均孔径1,000nm以下の多孔質構造、又は非多孔質構造であり、透過流量を高めて濃縮の処理効率を高める観点から、平均孔径1〜500nmの多孔質構造であることが好ましい。
(膜エレメント)
本発明における膜エレメントは、以上のような気泡液濃縮用の分離膜を備えている。このような膜エレメントの形態としては、特に限定されるものではなく、フレームアンドプレート型などの平膜型、スパイラル型、プリーツ型などが挙げられる。また、気泡液濃縮用分離膜が中空糸膜である場合は、複数の中空糸膜を束ねて、一方又は両方の端部を樹脂等で封止した中空糸膜エレメントが使用される。これらの膜エレメントのうち、一般に圧力と流れ効率の関係よりスパイラル型膜エレメントが好ましい。
スパイラル型の膜エレメントは、例えば図2に示すように、分離膜2、供給側流路材6及び透過側流路材3を含む積層体と、その積層体を巻回した有孔の中心管5と、供給側流路と透過側流路との混合を防止する封止部21とを備えている。本実施形態では、分離膜2、供給側流路材6及び透過側流路材3を含む複数の分離膜ユニットが、中心管5の回りに巻きつけられた巻回体Rである場合の例を示す。
供給側流路と透過側流路との混合を防止するための封止部21は、例えば、透過側流路材3の両面に分離膜2を重ね合わせて3辺を接着することにより封筒状膜4(袋状膜)を形成する場合、外周側端辺の封止部21と上流側端辺及び下流側端辺とに封止部21が形成される。また、上流側端辺及び下流側端辺の内周側端部と中心管5との間にも封止部21を設けるのが好ましい。
封筒状膜4は、その開口部を中心管5に取り付け、ネット状(網状)の供給側流路材6とともに中心管5の外周面にスパイラル状に巻回することにより、巻回体Rが形成される。この巻回体Rの上流側には、例えば、シールキャリア等の上流側端部材10が設けられ、下流側には、必要に応じてテレスコープ防止材等の下流側端部材20が設けられる。
このようなスパイラル型の膜エレメントにおいては、通常、封筒状膜4は20〜40組の封筒状膜4を巻回することが可能となる。
上記膜エレメント1を使用する際、供給液7(濃縮前の原液)は膜エレメント1の一方の端面側から供給される。供給された供給液7は、供給側流路材6に沿って中心管5の軸芯方向A1に平行な方向に流れ、膜エレメント1の他方の端面側から濃縮液9として排出される。また、供給液7が供給側流路材6に沿って流れる過程で分離膜2を透過した透過液8は、図中破線矢印に示すように透過側流路材3に沿って開孔5aから中心管5の内部に流れ込み、この中心管5の端部から排出される。つまり、この膜エレメント1は、分離膜2の一方の膜面に沿って供給液が流動しながら、透過液を分離膜2の他方の膜面側に透過させる構造を有する。
なお、流路材は一般に、膜面に流体を満遍なく供給するための間隙を確保する役割を有する。このような流路材は、例えばネット、編み物、凹凸加工シートなどを用いることができ、最大厚さが0.1〜3mm程度のものを適宜必要に応じて用いることができる。このような流路材では、圧力損失が低い方が好ましく、さらに適度な乱流効果を生じさせるものが好ましい。また、流路材は分離膜の両面に設置するが、供給液側には供給側流路材、透過液側には透過側流路材として、異なる流路材を用いることが一般的である。供給側流路材では目が粗く厚いネット状の流路材を用いる一方で、透過側流路材では目の細かい織物や編物の流路材を用いる。
前記供給側流路材は、例えば前記の二つ折りにした分離膜の内面側に設けられる。供給側流路材の構造は、一般に線状物を格子状に配列した網目構造のものを好ましく利用することができる。構成する材料としては特に限定されるものではないが、ポリエチレンやポリプロピレンなどが用いられる。この供給側流路材の厚さは、一般に0.2〜2.0mmであり、0.5〜1.2mmが好ましい。
前記透過側流路材は、例えば前記の二つ折りにした分離膜の外面側に設けられる。この透過側流路材には膜にかかる圧力を膜背面から支えるとともに、透過液の流路を確保することが求められる。一般にはポリエチレンやポリプロピレンから構成されるネットやトリコット編物が用いられる。特にポリエチレンテレフタレートからなるトリコット編物が特に好ましく用いられる。
前記中心管としては、パイプ(中空管)の壁面に複数の小孔を有する有孔中空管であれば特に限定されるものではない。気泡液濃縮の際には、分離膜を経た透過水が壁面の孔から中空管中に侵入し、透過水流路を形成する。中心管の長さはエレメントの軸方向長さより長いものが一般的だが、複数に分割するなど連結構造の中心管を用いてもよい。中心管を構成する材料としては特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が用いられる。
(膜モジュール)
本発明における膜モジュールは、前述のような膜エレメントと、その膜エレメントを収容して濃縮側流路と透過側流路とを形成する容器と、を備えるものである。
本実施の形態で示す膜モジュール30は、例えば、図3に示すように、スパイラル型の膜エレメント1と、これを収容し、供給液7を供給する供給部32、濃縮液9を排出する濃縮液排出部33、および透過液8を排出する透過液排出部34を有する容器31と、を備える。
図示した例では、上流側端部材10がシール材11を保持し、シール材11が容器31の内壁に圧接することで、供給液7を膜エレメント1の巻回体Rの内部に導く構造になっている。巻回体Rの内部から流出した濃縮液9は、容器31の内部空間を経て濃縮液排出部33と流動する。また、中心管5の一端(図3で左端)が閉塞され、他端(図3で右端)が容器31の透過液排出部34に連結されている。膜エレメント1が容器31内に複数収容される場合は、隣接する膜エレメント1の中心管5同士が、連結部材(図示省略)等を介して連結される。このような構造により、容器31は、濃縮側流路と透過側流路とを形成している。
本発明では、濃縮側流路が加圧された状態で、直径1μm未満の気泡を含有する液体を、供給液7として供給部32から供給することで、気泡液濃縮用分離膜により気泡液が濃縮された濃縮液9を濃縮液排出部33から排出することができる。また、気泡液濃縮用分離膜を透過した透過液8を透過液排出部34から排出することができる。
なお、排出される透過液8には気泡が含まれていない(ほぼ液体のみが分離されている)ことがより好ましいが、分離膜の性質、透過流量、濃縮の処理効率などにより透過液8にも少量の気泡が含まれていてもよい。
(気泡液濃縮装置及び気泡液濃縮方法)
本発明の気泡液濃縮装置及び気泡液濃縮方法は、例えば図5に示すように、気泡を含有した供給液を分離膜2により濃縮するものであり、膜モジュール30の供給側流路(濃縮側流路)が加圧された状態で、気泡液の濃縮が行われる。そして、例えば図2に示すように、分離膜2の一方の膜面に沿って供給液7が流動しながら、透過液8を分離膜2の他方の膜面側に透過させる構造を有することを特徴とする。
濃縮側流路が加圧された状態とするため、例えば図5に示すように、供給液槽35から供給液7をポンプ37で容器31に加圧供給する際に、供給液7の一部を配管42で循環させつつ、濃縮液9を弁39を介して配管41により循環させながら、弁39により流量を調整することで、濃縮側流路の圧力を調整することができる。その際、圧力計38と流量計40により、各々、圧力と流量を測定することができる。透過液8は、透過液槽43に排出される。
配管42には、圧力調整を容易にするために、流量を調整する弁を設けることが好ましい。また、ポンプ37と弁39により、圧力と流量を適切に設定できる場合には、配管42を省略することも可能である。つまり、本発明では、膜モジュール30に対して、圧力と流量を調整する圧力流量調整手段を有している。
本発明の気泡液濃縮装置により、気泡液の濃縮を行う場合、気泡が消失するのを抑制する観点から、供給液の流量と流路断面積から計算される線速度が5cm/秒以上であることが好ましく、7〜50cm/秒がより好ましく、さらに好ましくは8〜30cm/秒である。供給液の線速度が低すぎると気泡消失抑制効果が不十分となり、高すぎると流路の圧損増大、エネルギーの消費が大きくなり好ましくない。
線速度の計算において、供給液の流量としては分離膜への流入部の流量が採用され、流路断面積は流路幅の平均値と流路高さの平均値から計算される値が採用される。例えば、スパイラル型膜エレメントの場合、封筒状の分離膜の巻回方向の長さの平均値が流路幅に相当し、ネット等の流路材を介して隔てた分離膜同士の間隔の平均値が流路高さに相当し、膜エレメントの総流量を封筒状の分離膜の数で除した値が、分離膜への流入部の流量に相当する。中空糸膜の場合は、中空部の断面積の総和又は中空糸膜が占有していない流路の面積を、流路断面積として計算することができる。
このようなクロスフロー方式で濃縮を行う際の流路断面積によって調整することが可能であるが、直接的には、供給液の流量により調整することが可能である。供給液の流量は、ポンプ37の能力や制御によって調整できる他、配管41に設けた弁39や配管42に設けた弁により調整できる。
また、気泡液濃縮の際の濃縮側流路の圧力は、分離膜の透過流束に応じて決定されるが、例えば0.05〜6MPaが挙げられ、濃縮速度とエネルギーの消費量の観点から、0.05〜2MPaが好ましい。
(気泡液濃縮装置及び気泡液濃縮方法の他の実施形態)
(1)前述の実施形態では、平膜を有するスパイラル型の膜エレメントを用いる気泡液濃縮装置の例を示したが、本発明では、中空糸膜を有する膜エレメントやこれを用いた膜モジュールを構成することも可能である。
例えば、図4に示すように、分離膜2である複数の中空糸膜を束ねて、一方の端部(図4で左端)を樹脂等の閉塞部材15で閉塞するように封止し、他方の端部(図4で右端)を樹脂等の封止部材16で開口するように封止した中空糸膜エレメントが使用できる。封止部材16の外周と、容器31との内面には、シール材17が介在する。これにより、濃縮側流路が形成され、供給液7を供給部32から供給することで、気泡液濃縮用分離膜により気泡液が濃縮された濃縮液9を濃縮液排出部33から排出することができる。また、気泡液濃縮用分離膜を透過した透過液8を透過液排出部34から排出することができる。
図示した例では、一方の端部(図4で左端)を樹脂等の閉塞部材15で閉塞するように封止しているが、複数の中空糸膜をU字型に配置して、両方の端部を樹脂等の封止部材16で開口するように封止した中空糸膜エレメントとすることも可能である。
また、中空糸膜の両側の端部を樹脂等の封止部材16で開口するように封止した中空糸膜エレメントとすることも可能であり、その場合、両側の封止部材16の外周と、容器31との内面に、シール材17を介在させることで、容器31内に、濃縮側流路と透過側流路とを形成することができる。このような構造の膜モジュールでは、中空糸膜の外部だけでなく、内部にも気泡液濃縮のための液体を供給することが可能である。
(2)前述の実施形態では、液体を循環させながら気泡液の濃縮を行う方式の気泡液濃縮装置の例を示したが、本発明の気泡液濃縮装置は、1パスで気泡液の濃縮を行う方式であってもよい。
例えば、図6に示すように、供給液槽35から供給液7をポンプ37で容器31に加圧供給する際に、濃縮液9を弁39を介して配管41により排出しながら、弁39により流量を調整することで、濃縮側流路の圧力を調整することができる。これにより気泡液を濃縮しつつ、透過液8を排出することができる。
(3)前述の実施形態では、気泡を有する供給液を供給液槽に溜めてから膜モジュールに供給する気泡液濃縮装置の例を示したが、直径1μm未満の気泡を有する液体を生成する装置から、直接、膜モジュールに液体を供給することも可能である。
(高密度微細気泡液生成装置及び方法)
本発明の高密度微細気泡液生成装置は、例えば図7に示すように、以上のような本発明の気泡液濃縮装置と、その気泡液濃縮装置に直径1μm未満の気泡を含む供給液を供給する気泡生成装置50と、を備えることを特徴とする。また、本発明の高密度微細気泡液生成方法は、本発明の気泡液濃縮方法を利用した高密度微細気泡液生成方法であって、直径1μm未満の気泡を含む液体を前記供給液として生成する気泡生成工程を含むものである。
本発明では、気泡生成装置50から直接、気泡液濃縮装置に供給液を供給してもよく、供給液槽に溜めてから供給してもよい。気泡生成装置50としては、例えば、特開2014−155920号公報に詳述されているようなものを採用することが可能である。
図8には、気泡生成装置50の一例の縦断面図を示している。気泡生成装置50は、気体と液体とを混合して、当該気体の微細気泡を含む液体を生成する。本実施の形態では、混合前の対象液51として水が使用される。水と混合される気体として、空気が使用される。気泡生成装置50は、微細気泡生成ノズル52と、加圧液生成部53と、送出配管54aと、補助配管54bと、戻し配管54cと、ポンプ54dと、液貯留部55とを備える。液貯留部55には対象液51が貯留される。気泡生成装置50を稼動することにより、対象液51が供給液となる。
送出配管54aは、加圧液生成部53と微細気泡生成ノズル52とを接続する。加圧液生成部53は、気体を加圧溶解させた加圧液56を生成し、送出配管54aを介して微細気泡生成ノズル52に供給する。微細気泡生成ノズル52の噴出口は、液貯留部55内に位置し、送出配管54aは、実質的に加圧液生成部53と液貯留部55とを接続する。
微細気泡生成ノズル52から加圧液56を対象液51中に噴出することにより、対象液51中に微細気泡が生成する。本実施の形態では、空気の微細気泡が対象液51中に生成する。
補助配管54bは、送出配管54aと同様に、加圧液生成部53と液貯留部55とを接続する。補助配管54bは、加圧液生成部53にて余剰の気体を分離する際に余剰の気体と共に排出される液体を液貯留部55へと導く。戻し配管54cにはポンプ54dが設けられ、ポンプ54dにより、戻し配管54cを経由して、対象液51が液貯留部55から加圧液生成部53へと戻される。
加圧液生成部53は、混合ノズル57と、加圧液生成容器58とを備える。混合ノズル57の気体流入口からは、レギュレータや流量計等を介して空気が流入する。混合ノズル57では、ポンプ54dにより圧送された液体と、空気とが、混合ノズル57により混合され、加圧液生成容器58内に向けて噴出される。
加圧液生成容器58内は、後述する微細気泡生成ノズル52の形状と微細気泡生成ノズル52を加圧液56が通過することにより加圧されて、大気圧よりも圧力が高い状態(以下、「加圧環境」という。)となっている。混合ノズル57から噴出された液体と気体とが混合された流体(以下、「混合流体59」という。)は、加圧液生成容器58内を加圧環境下にて流れる間に、気体が液体に加圧溶解した加圧液56となる。
混合ノズル57は、上述のポンプ54dにより圧送された液体が流入する液体流入口と、気体が流入する気体流入口と、混合流体59を噴出する混合流体噴出口とを備える。混合流体59は、液体流入口から流入した液体および気体流入口から流入した気体が混合されることにより生成される。液体流入口、気体流入口および混合流体噴出口はそれぞれ略円形である。液体流入口から混合流体噴出口に向かうノズル流路の流路断面、および、気体流入口からノズル流路に向かう気体流路の流路断面も略円形である。流路断面とは、ノズル流路や気体流路等の流路の中心軸に垂直な断面、すなわち、流路を流れる流体の流れに垂直な断面を意味する。また、以下の説明では、流路断面の面積を「流路面積」という。ノズル流路は、流路面積が流路の中間部で小さくなるベンチュリ管状である。
混合ノズル57は、液体流入口から混合流体噴出口に向かって順に連続して配置される導入部と、第1テーパ部と、喉部と、気体混合部と、第2テーパ部と、導出部とを備える。混合ノズル57は、また、内部に気体流路が設けられた気体供給部を備える。
混合ノズル57では、液体流入口からノズル流路に流入した液体が、喉部で加速されて静圧が低下し、喉部および気体混合部において、ノズル流路内の圧力が大気圧よりも低くなる。これにより、気体流入口から気体が吸引され、気体流路を通過して気体混合部に流入し、液体と混合されて混合流体59が生成される。混合流体59は、第2テーパ部および導出部において減速されて静圧が増大し、混合流体噴出口を介して加圧液生成容器58内に噴出される。
図8に示すように、加圧液生成容器58は、上下方向に積層される第1流路58aと、第2流路58bと、第3流路58cと、第4流路58dと、第5流路58eとを備える。流路58a〜58eは、水平方向に延びる管路であり、流路58a〜58eの長手方向に垂直な断面は略矩形である。本実施の形態では、流路58a〜58eの幅は、約40mmである。
第1流路58aの上流側の端部(すなわち、図8中の左側の端部)には、混合ノズル57が取り付けられており、混合ノズル57から噴出された後の混合流体59は、加圧環境下にて図8中の右側に向かって流れる。本実施の形態では、第1流路58a内の混合流体59の液面より上方にて混合ノズル57から混合流体59が噴出され、噴出された直後の混合流体59は、第1流路58aの下流側の壁面(すなわち、図8中の右側の壁面)に衝突する前に上記液面に直接衝突する。混合ノズル57から噴出された混合流体59を液面に直接衝突させるためには、第1流路58aの長さを、混合ノズル57の混合流体噴出口57bの中心と第1流路58aの下面との間の上下方向の距離の7.5倍よりも大きくすることが好ましい。
加圧液生成部53では、混合ノズル57の混合流体噴出口57bの一部または全体が、第1流路58a内の混合流体59の液面よりも下側に位置してもよい。これにより、上述と同様に、第1流路58a内において、混合ノズル57から噴出された直後の混合流体59が、第1流路58a内を流れる混合流体59に直接衝突する。
第1流路58aの下流側の端部の下面には、略円形の開口58oが設けられており、第1流路58aを流れる混合流体59は、下方に位置する第2流路58bへと開口58oを介して落下する。このようにして、第1流路58a、第2流路58b、第3流路58c、第4流路58dへと落下する。第1流路58a〜第4流路58dでは、混合流体59は、気泡を含む液体の層と、その上方に位置する気体の層に分かれている。
第4流路58dでは、下流側の端部の下面に設けられた略円形の開口58oを介して、下方に位置する第5流路58eへと流入(すなわち、落下)する。第5流路58eでは、第1流路58a〜第4流路58dとは異なり、気体の層は存在しておらず、第5流路58e内に充満する液体内において、第5流路58eの上面近傍に気泡が僅かに存在する状態となっている。
加圧液生成部53では、加圧液生成容器58の流路58a〜58eを、段階的に緩急を繰り返しつつ上から下に流れ落ちる(すなわち、水平方向への流れと下方向への流れとを交互に繰り返しつつ流れる)混合流体59において、気体が液体に徐々に加圧溶解する。第5流路58eにおいては、液体中に溶解している気体の濃度は、加圧環境下における当該気体の(飽和)溶解度の60%〜90%にほぼ等しい。そして、液体に溶解しなかった余剰の気体が、第5流路58e内において、視認可能な大きさの気泡として存在している。
加圧液生成容器58は、第5流路58eの下流側の上面から上方へと延びる余剰気体分離部58fをさらに備え、余剰気体分離部58fには混合流体59が充満している。余剰気体分離部58fの上下方向に垂直な断面は略矩形であり、余剰気体分離部58fの上端部は、圧力調整用の絞り部58gを介して補助配管54bに接続される。第5流路58eを流れる混合流体59の気泡は、余剰気体分離部58f内を上昇して混合流体59の一部と共に補助配管54bに流れ込む。
このようにして、混合流体59の余剰な気体が混合流体59の一部と共に分離されることにより、少なくとも容易に視認できる大きさの気泡を実質的に含まない加圧液56が生成され、第5流路58eの下流側の端部に接続された送出配管54aへと送出される。本実施の形態では、加圧液56には、大気圧下における気体の(飽和)溶解度の約2倍以上の気体が溶解している。加圧液生成容器58において流路58a〜58eを流れる混合流体59の液体は、生成途上の加圧液56と捉えることもできる。補助配管54bに流入した混合流体59は、液貯留部55内の対象液51へと導かれる。補助配管54bは、長時間ポンプ54dを稼働した場合における対象液51の減少を防止するための補助流路として機能する。
第1流路58aの上方には、排気弁61も設けられる。排気弁61は、ポンプ54dの停止時に開放され、混合流体59が混合ノズル57へと逆流することを防止する。
微細気泡生成ノズル52は、加圧液流入口から加圧液噴出口に向かって順に連続して配置される導入部と、テーパ部と、喉部とを備える。導入部では、流路面積は、ノズル流路0の中心軸方向の各位置においてほぼ一定である。テーパ部では、加圧液56の流れる方向に向かって(すなわち、下流側に向かって)流路面積が漸次減少する。テーパ部の内面は、ノズル流路の中心軸を中心とする略円錐面の一部である。当該中心軸を含む断面において、テーパ部の内面の成す角度は、10°以上90°以下であることが好ましい。
喉部25は、テーパ部24と加圧液噴出口22とを連絡する。喉部25の内面は略円筒面であり、喉部25では、流路面積はほぼ一定である。喉部25における流路断面の直径は、ノズル流路20において最も小さく、喉部25の流路面積は、ノズル流路20において最も小さい。加圧液56が喉部25を通過することにより加圧液生成部53の内部は加圧環境となっているが、喉部25を通過した加圧液56が急減圧されることで、加圧液56内に溶解していた気体が気泡として生成されるとともに、減圧時の剪断力によって気泡が微細化される。
気泡生成装置50の構造は様々に変更されてよく、さらには、異なる構造のものが使用されてもよい。例えば、微細気泡生成ノズル52は、複数の加圧液噴出口を備えてもよい。微細気泡生成ノズル52と加圧液生成部53との間に圧力調整弁が設けられ、微細気泡生成ノズル52に与えられる圧力が高精度にて一定に維持されてもよい。加圧液生成容器58の流路の断面形状は、円形でもよい。気体と液体との混合には、機械的攪拌等の他の手段が利用されてもよい。
(4)前述の実施形態では、気泡液の濃縮を行う際に液体を循環させる方式の気泡液濃縮装置の例を示したが、それに限らず濃縮側流路を気泡生成装置50へ循環させて、気泡液の生成と濃縮を繰り返す方式の高密度微細気泡液生成装置であってもよい。
例えば、図7の配管41を図8における気泡生成装置50の戻し配管54cへ接続し、
濃縮液9が混合ノズル57へ再度供給されるようにしてもよい。
また、配管41を気泡生成装置50の液貯留部55へ循環させてもよい。この場合、加圧状態であった濃縮側流路が減圧されることを利用し、配管41の液貯留部55側に微細気泡生成ノズル(図示せず)を設けて減圧し、濃縮液9内の気泡を剪断力によりさらに微細化させてもよく、濃縮側流路を加圧状態とする弁39の代わりとして微細気泡生成ノズルを配置してもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(分離膜の作製例)
ポリエステル製不織布(阿波製紙(株)製、70g/m、厚さ90μm)上に、ポリスルホン(ソルベイアドバンストポリマーズ社製、P‐3500)18.3重量%とジメチルホルムアミド81.7重量%の混合液を塗布した。その後、その混合液を塗布したポリエステル製不織布を20℃の純水に浸漬し、さらに、45℃の純水に浸漬した。このようにして、約130μmの厚さのポリスルホン製多孔質膜を得た。
ここの分離膜は、膜の両面で平均孔径が異なる非対称膜であり、孔径が小さい方の表面の平均孔径は、20nmであった。なお、平均孔径は、SEMの表面観察から読み取ることにより測定した。
m−フェニレンジアミン3.0g、ラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ベンゼンスルホン酸6.0g、トリエチルアミン3.0g、及び水87.85gを混合して水溶液(A)を調製した。水溶液(A)を上記で得られたポリスルホン製多孔質膜の上に塗布して、余分なアミン水溶液を除去した。次に、トリメシン酸クロライド0.2重量%を含むイソオクタン溶液を更に塗布した。その後、余分なイソオクタン溶液を除去して100℃の乾燥器内で2分間保持することで、分離膜上にポリアミドからなるスキン層(厚さ約200nm、非多孔質構造)を形成して、気泡液濃縮用分離膜を得た。
(水中での気泡接触角の測定)
作製した気泡液濃縮用分離膜を25℃の純水に10分間浸漬した後、自動接触角測定装置(共和界面科学株式会社製の商品名「DM−300」)を用いて、気泡液濃縮用分離膜に付着している空気(気泡)の接触角を測定した。測定は、気泡の直径が400〜500μmのものを対象とし、N=5回で行った。このとき気泡の供給をシリンジ針で行ないながら測定した。その結果、水中における気泡接触角は150°であった。
<実施例1>
作製した気泡液濃縮用分離膜と、供給側流路材(ポリプロピレン製ネット、厚み0.38mm、糸径190μm、ネット交差角90°)と、透過側流路材(ポリエチレンテレフタレート製トリコット編物、厚み0.6mm)とを用いて、スパイラル型膜エレメント(1.5インチタイプ、長さ200mm)を作製した。このスパイラル型膜エレメントの供給側流路の流路幅は122.7cm、流路高さは0.038cmであった。
このスパイラル型膜エレメント1本を逆浸透濾過用の圧力容器内に収容し、図5に示す気泡液濃縮装置を用いて、圧力(差圧)0.2MPa、供給液の流量と流路断面積から計算される線速度が6.7cm/秒になるように、ウルトラファインバブル原水を供給して気泡液濃縮を行った。その際、ウルトラファインバブル発生装置(IDEC株式会社製、FZ1N−02形)にて生成されたウルトラファインバブル水(気泡の最頻直径は、0.1μm、数密度1億個/mL)が、12Lが入ったタンクを準備し、原水タンクが1.2Lになるまでウルトラファインバブル原水を循環させながら濾過し、10倍濃縮液を得た。
そして、ウルトラファインバブル原水と10倍濃縮液に含まれるウルトラファインバブルの数密度をナノ粒子解析装置(ナノサイト社製、NS500)にてそれぞれ計測し、ウルトラファインバブルの個数保持率と濃縮倍率を算出した。
<実施例2>
実施例1において、圧力(差圧)0.1MPa、線速度が7.8cm/秒になるように、ウルトラファインバブル原水を供給したこと以外は、実施例1と同じ条件で、気泡液濃縮を行った。
<実施例3>
実施例1において、スパイラル型膜エレメントを作製する代わりに平膜評価用のセルを用いて、圧力(差圧)0.6MPa、線速度が22.5cm/秒になるように、4Lの原水タンク(濃縮倍率10倍)からウルトラファインバブル原水を供給したこと以外は、実施例1と同じ条件で、気泡液濃縮を行った。
具体的には、気泡液濃縮用分離膜を所定の形状、サイズに切断し、平膜評価用のセル(日東電工株式会社製、C10−T)にセットした。次いで、ウルトラファインバブル発生装置(IDEC株式会社製、FZ1N−02形)にて生成されたウルトラファインバブル水(気泡の最頻直径は、0.1μm、数密度1億個/mL)4Lが入ったタンクを準備し、気泡液濃縮用分離膜の孔径の小さい側(分離面側)に0.6MPaの圧力でウルトラファインバブル原水を供給した。この操作によって原水タンクが0.4Lになるまでウルトラファインバブル原水を循環させながら濾過し、10倍濃縮液を得た。
<参考例1>
実施例1において、線速度が0.3cm/秒になるように、ウルトラファインバブル原水を供給したこと以外は、実施例1と同じ条件で、気泡液濃縮を行った。
<参考例2>
実施例1において、線速度が3.3cm/秒になるように、ウルトラファインバブル原水を供給したこと以外は、実施例1と同じ条件で、気泡液濃縮を行った。
<参考例3>
実施例1において、圧力(差圧)0.6MPa、線速度が3.7cm/秒になるように、ウルトラファインバブル原水を供給したこと以外は、実施例1と同じ条件で、気泡液濃縮を行った。
実施例1〜3及び参考例1〜3に係る気泡液濃縮方法の測定結果のうち、ウルトラファインバブルの個数保持率を濃縮条件と共に表1に示し、ウルトラファインバブルの濃縮倍率を図9に示す。
表1及び図9の結果が示すように、実施例1〜3のように、クロスフロー方式において線速度が5cm/秒以上である場合には、気泡液濃縮の際に膜との接触により気泡が消失するのを抑制して、高濃度の気泡含有液を得ることができる。なお、クロスフロー方式において線速度が5cm/秒未満である場合(参考例1〜3)には、ウルトラファインバブルの個数保持率が低下しており、このことは、クロスフロー方式以外の方式、例えば分離膜の膜面に垂直な方向から供給液が流動しながら、透過液を他方の膜面側に透過させ、供給液の一部を排出する濾過方式などでは、分離膜の表面付近で線流速を高めることができないため、気泡液濃縮の際に膜との接触により気泡が消失して、高濃度の気泡含有液が得られないことを意味している。
<参考例4>
実施例3において、分離膜の作製例で得られたポリスルホン製多孔質膜(水中での気泡接触角136°)をそのまま気泡液濃縮用分離膜として使用したこと以外は、実施例3と同じ条件で、気泡液濃縮を行った。濃縮前後のUFB数密度の測定を同様に行った結果、10倍濃縮時のUFB数密度の増加率は、実施例3の半分以下であった。
1 膜エレメント
2 分離膜
3 透過側流路材
4 封筒状膜
5 中心管
6 供給側流路材
7 供給液
8 透過液
9 濃縮液
30 膜モジュール
31 容器
50 気泡生成装置

Claims (8)

  1. 気泡を含有した供給液を分離膜により濃縮する気泡液濃縮装置において、
    前記分離膜の一方の膜面に沿って前記供給液が流動しながら、透過液を前記分離膜の他方の膜面側に透過させる構造を有し、
    前記供給液の流量と流路断面積から計算される線速度が5cm/秒以上であることを特徴とする気泡液濃縮装置。
  2. 前記供給液には、直径1μm未満の気泡が含まれている請求項1記載の気泡液濃縮装置。
  3. 前記分離膜は、前記供給液が流動する側の表面について、水中における空気との気泡接触角が140°以上である請求項1又は2に記載の気泡液濃縮装置。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の気泡液濃縮装置と、その気泡液濃縮装置に直径1μm未満の気泡を含む供給液を供給する気泡生成装置と、を備える高密度微細気泡液生成装置。
  5. 気泡を含有した供給液を分離膜により濃縮する気泡液濃縮方法において、
    前記分離膜の一方の膜面に沿って前記供給液を流動させながら、透過液を前記分離膜の他方の膜面側に透過させ、
    前記供給液の流量と流路断面積から計算される線速度が5cm/秒以上であることを特徴とする気泡液濃縮方法。
  6. 前記供給液には、直径1μm未満の気泡が含まれている請求項5記載の気泡液濃縮方法。
  7. 前記分離膜は、前記供給液が流動する側の表面について、水中における空気との気泡接触角が140°以上である請求項5又は6に記載の気泡液濃縮方法。
  8. 請求項5〜7いずれかに記載の気泡液濃縮方法を利用した高密度微細気泡液生成方法であって、
    直径1μm未満の気泡を含む液体を前記供給液として生成する気泡生成工程を含む高密度微細気泡液生成方法。
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