JP6670075B2 - キャップ用ライナー、ライナー付きキャップ及びキャップ付き容器並びにキャップ用ライナーの製造方法 - Google Patents
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Description
近年、このようなキャップの開栓時に、内容液の液だれ等が発生することを防ぐために、種々の提案が行われている。例えば、特許文献1には、キャップ付きボトルのキャップの内面側に設けられるライナーに撥水性物質を含有させ、内容液の接触角を高めてライナーに付着しようとする内容液をはじくことで、液だれを抑制する技術が提案されている。
さらに、特許文献3には、転写法によって一次凹凸と、二次凹凸とが形成され、二次凹凸が微細な繊毛状とされているプラスチック成形体が記載されている。なお、このプラスチック成形体は、ボトルの口部やキャップ本体に適用されている。
すなわち、ライナーの材料自体に撥水性物質を含有させる場合、ライナー全体が撥水性を有することになり、部分的に撥水性を持たせることが難しいと共に、含有させる撥水性物質によって材料の特性(密封性や柔軟性等)が変わるおそれもあった。また、ライナーではなく蓋材の下面に微細な凹凸構造を設ける場合、ライナーを蓋材内に設置すると、ライナー自体に内容液が付着して液だれすることを防止できないという不都合があった。さらに、ライナーに微細な繊毛状の凹凸を形成する場合、表面積が大きくなり過ぎて飲料中の有用成分(例えば香料)が吸着されてフレーバー性を悪くしたり、微細な繊毛状の凸部が飲料中に脱落するおそれもあった。また、針状のものでエンボスを行う場合では、水滴との接触面が平坦になり、性能が十分に発揮されない可能性があり、特にキャップ内側のように弾性変形する軟質材料では、針状のものでエンボスをしても復元してしまい、十分な撥水性を得ることが困難になる可能性もあった。
すなわち、このキャップ用ライナーでは、断面円弧状の凸部が、格子状又は千鳥状に配列された複数のドット状の凸部であるので、配列された凸部が水滴を少なくとも3点支持又は4点支持することで極めて小さい接触面積となり、高い撥水性が得られる。
すなわち、このキャップ用ライナーでは、柔軟な密封層の表面に撥水領域が形成されているので、凸部の成形が容易であると共に高いシール性が得られる。
すなわち、このキャップ用ライナーでは、撥水領域が、少なくとも口部が当接する部分に形成されているので、高いシール性と撥水性とが得られる。なお、口部に当接した凸部は弾性を有して柔軟であることから、潰れると共に口部に密着して高いシール性を維持することができ、開栓後は、潰れた凸部が弾性によってある程度復元することで撥水性が完全に失われてしまうことも防止できる。
すなわち、このキャップ用ライナーでは、撥水領域が、薄肉部と厚肉部との表面に形成され、段差面に形成されていないので、撥水性の高い薄肉部と厚肉部との表面で水滴が弾かれて滑るが、撥水性が低い段差部では水滴が捕捉されて垂れ難くなる。このため、ライナーが傾斜しても段差部で水滴が保持されて液だれが生じ難い。
すなわち、このキャップ用ライナーでは、撥水領域が、外周縁に沿った環状の領域に形成され、環状の領域の内側に、半径方向外側に向けて放射状に延在する複数の溝パターンが形成されているので、複数の溝パターンが水滴を半径方向外側の撥水領域に向けてガイドし、撥水領域まで達した水滴が弾かれることで、液だれをさらに抑制することができる。なお、成形時にパンチを押し当てて放射状の複数の溝パターンを形成することで、溶融したライナー材料の半径方向外側への流れ性を確保することができ、ライナーの外周縁までしっかりと溶融したライナー材料を行き渡らせることができる。
すなわち、このキャップ用ライナーの製造方法では、密封層形成工程で、密封層となる溶融樹脂を硬質シート上に滴下し、パンチで溶融樹脂を型押し成形して密封層及び断面円弧状の凸部を成形するので、密封層の形成と同時に微細な複数の凸部を容易に成形することができる。
すなわち、ライナー付きキャップでは、ライナーが、第1から第6の発明のいずれかのキャップ用ライナーであるので、開栓時の液だれを抑制することができる。
なお、容器本体に内容液を充填し、口部を封止した後に熱処理をかけても、ライナーの撥水性を得ることができる。特に、レトルト処理(100℃を超える熱処理)を行ってもライナーの撥水性が得られる。さらに、充填品を輸送したり、ベンダー等で横置きにしたりして、繰り返し内容液がライナーに付着しても性能が低下し難い。
すなわち、本発明に係るキャップ用ライナー、ライナー付きキャップ及びキャップ付き容器によれば、容器本体側に露出する面の少なくとも一部に、内容液に対する接触角が平坦面よりも大きいと共に複数の微細な断面円弧状の凸部が配列されて構成された撥水領域を有しているので、高い撥水性が得られて液だれを抑制できると共に、凹凸一部の脱落の心配やフレーバー性の劣化も無い。
また、本発明に係るキャップ用ライナーの製造方法によれば、パンチで溶融樹脂を型押し成形して密封層及び断面円弧状の凸部を成形するので、型押し成形によって断面円弧状の凸部を容易に密封層と同時に形成可能である。
このキャップ用ライナー1は、全体が合成樹脂で円盤状に形成され、キャップ本体6に対して回転自由に設置される。
上記密封層3は、円盤状に一定厚さで形成された第1平坦部3aと、第1平坦部3aの半径方向外側であって少なくとも口部5の上端が接触する部分に第1平坦部3aよりも厚く平坦に形成された第2平坦部3bと、第2平坦部3bの半径方向内側に形成され外周に向かって漸次厚くなる傾斜部3cとを有している。第1平坦部3aと第2平坦部3bとの厚さ差は、例えば0.55mmに設定されている。
なお、図1及び図2では、キャップ用ライナー1の容器本体4側の面を上側にして図示している。
上記凸部3dは、突起高さが20〜100μm、凸部3dの直径が20〜50μm、凸部3d間のピッチが20〜200μmの範囲に設定されることが好ましい。例えば、上記凸部3dは、突起高さが50μmで、凸部3dの直径が50μm、凸部3d間のピッチが200μmに設定される。
上記断面円弧状の凸部3dは、図4に示すように、格子状に配列された複数のドット状の凸部である。なお、複数の凸部3dを千鳥状に配列しても構わない。
上記密封層3としては、エラストマー又は樹脂とエラストマーとのブレンド等が採用され、エラストマーとしては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、塩ビ系エラストマー等が採用可能である。
上記密封層形成工程では、密封層3となる溶融樹脂を硬質シート上に滴下し、パンチで溶融樹脂を型押し成形して密封層3及び断面円弧状の凸部3dを成形する。
インシェルモールド方式でライナー1を設置する場合、インシェルモールド工程で押出機から押し出され溶融されたエラストマー等軟質樹脂の一定量を、摺動層2の硬質シートが挿入されたキャップ本体6に入れ、直ちに冷却された金型であるパンチで、上記第1平坦部3a、第2平坦部3b及び傾斜部3cを有した形状の密封層3を形作ると共に、複数の断面円弧状の凸部3dを形成する。
上記口部5の上端部には、外側に折り返したカール部5aが形成されている。このカール部5aは、口部5の上端部をカールさせるカール加工と、カールした部分をかしめるスロットル加工とで形成される。したがって、カール部5aの外周面は、スロットル加工により平坦面を有している。このカール部5aの外周面に第2平坦部3bが面接触して密着している。
また、上記キャップ10は、天板部6aの周縁をライナー1と共に前記垂下の方向に肩絞り加工で変形させられている。
すなわち、口部5に被せたキャップ10の天板部6aを、プレッシャーブロックでボトル底部の方向に押圧し、この状態でプレッシャーブロックによる絞り加工により、キャップ10の肩部にキャップ傾斜部を形成する。さらに、この状態でネジローラーによりネジ部を形成し、スカートローラーで口部5のカブラ部5cにスカート部6eを巻きつけることで、キャッピング加工が行われる。
一方、開栓するときは、キャップ10を回してミシン目から切断し、キャップ10を口部5から外すことにより、口部5が開栓され内容物が取り出されることになる。そして、取り外したキャップ10を口部5に再び取り付けることにより、再閉栓することが可能になっている。
また、柔軟な密封層3の表面に撥水領域WRが形成されているので、凸部3dの成形が容易であると共に高いシール性が得られる。
特に、撥水領域WRが、少なくとも口部5が当接する部分に形成されているので、高いシール性と撥水性とが得られる。なお、口部5に当接した凸部3dは弾性を有して柔軟であることから、潰れると共に口部5に密着して高いシール性を維持することができ、開栓後は、潰れた凸部3dが弾性によって元に戻ることで高い撥水性が得られる。
また、撥水領域WR1が、薄肉部の第1平坦部23aの表面に形成され、撥水領域WR2が、厚肉部の第2平坦部23bの表面に形成され、段差部23cの段差面に撥水領域が形成されていない。
上記溝パターン33eは、パンチの成形面の所定環状領域に放射線状に延在する複数の突条部を形成しておき、成形時に密封層33のガイド領域33cに転写することで形成される。
本発明の実施例として、密封層の表面に撥水領域の凸部をパンチによる転写で形成したものを作製した。上記パンチとしては、成形面(パンチ面)にレーザ加工によって断面円弧状の溝を格子状に形成したものを使用した。
なお、比較例として、図9に示すように、密封層の表面に撥水領域を形成していない平坦面としたものについても、同様に接触角を観察した。その結果を、図11に示す。
これらの観察結果から分かるように、撥水領域を有さない比較例のライナーでは、水滴に対する接触角が96°であったが、複数の断面円弧状の凸部で構成された撥水領域を有する本発明の実施例のライナーでは、水滴に対する接触角が125°と大きくなり、高い撥水性が得られている。
Claims (8)
- 内容液を入れた容器本体の口部を封じ天板部と該天板部の周縁から垂下した筒状周壁部とからなるキャップ本体内に設けられるキャップ用ライナーであって、
前記容器本体側に露出する面の少なくとも一部に、前記内容液に対する接触角が平坦面よりも大きいと共に複数の微細な断面円弧状の凸部が配列されて構成された撥水領域を有し、
外周縁に沿って環状に形成されている半径方向外側の厚肉部と、前記厚肉部の内側の薄肉部と、前記薄肉部と前記厚肉部との間で前記薄肉部に対して垂直な段差面を有した段差部とを有し、
前記撥水領域が、前記薄肉部と前記厚肉部との表面に形成され、前記段差面に形成されていないことを特徴とするキャップ用ライナー。 - 内容液を入れた容器本体の口部を封じ天板部と該天板部の周縁から垂下した筒状周壁部とからなるキャップ本体内に設けられるキャップ用ライナーであって、
前記容器本体側に露出する面の少なくとも一部に、前記内容液に対する接触角が平坦面よりも大きいと共に複数の微細な断面円弧状の凸部が配列されて構成された撥水領域を有し、
前記撥水領域が、外周縁に沿った環状の領域に形成され、
前記環状の領域の内側に、半径方向外側に向けて放射状に延在する複数の溝パターンが形成されていることを特徴とするキャップ用ライナー。 - 請求項1又は2に記載のキャップ用ライナーにおいて、
前記断面円弧状の凸部が、格子状又は千鳥状に配列された複数のドット状の凸部であることを特徴とするキャップ用ライナー。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のキャップ用ライナーにおいて、
前記天板部の内面側に配される摺動層と、
前記摺動層に積層され前記摺動層よりも柔軟な密封層とを備え、
前記撥水領域が、前記密封層の表面に成形されていることを特徴とするキャップ用ライナー。 - 請求項4に記載のキャップ用ライナーにおいて、
前記撥水領域が、少なくとも前記口部が当接する部分に形成されていることを特徴とするキャップ用ライナー。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載のキャップ用ライナーを製造する方法であって、
前記天板部の内面側に配される摺動層となる硬質シート上に、前記硬質シートよりも柔軟な密封層を積層する密封層形成工程を有し、
前記密封層形成工程で、前記密封層となる溶融樹脂を前記硬質シート上に滴下し、パンチで前記溶融樹脂を型押し成形して前記密封層及び前記断面円弧状の凸部を成形することを特徴とするキャップ用ライナーの製造方法。 - 容器本体の口部を封じるライナー付きキャップであって、
天板部と該天板部の周縁から垂下した筒状周壁部とからなるキャップ本体と、
前記天板部の内面に設けられたライナーとを備え、
前記ライナーが、請求項1から5のいずれか一項に記載のキャップ用ライナーであることを特徴とするライナー付きキャップ。 - 容器本体の口部にキャップを装着したキャップ付き容器であって、
前記キャップが、請求項7に記載のライナー付きキャップであることを特徴とするキャップ付き容器。
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