JP6668970B2 - ガスセンサ及び情報処理システム - Google Patents
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Description
最近、ヒトの呼気に含まれる特定のガス成分が、そのヒトの健康状態を表す指標となるとされており、簡便な検査方法として、ヒトの呼気のガス成分をガスセンサによって測定し、分析することが注目されつつある。
また、劣化の程度は、使用環境やセンサ個体差などによって様々であるため、劣化しているか否かを、使用回数や使用時間のみで単純に判断することは難しい。
本発明は、劣化を確実に判定できるようにして、正確な検査結果が得られるようにすることを目的とする。
1つの態様では、情報処理システムは、上述のガスセンサと、ガスセンサによって得られたデータを処理するコンピュータとを備える。
本実施形態にかかるガスセンサは、環境大気中、食品の匂い、あるいは、ヒトの呼気や皮膚表面などの生体ガス中に含まれる特定の還元性ガスや揮発性有機化合物ガス成分を検知(検出)しうるガスセンサであって、特に、ヒトの呼気ガス成分を検出する呼気ガスセンサである。
ここで、第1電極2及び第2電極3は、測定系(測定装置;ここでは抵抗測定器)9が接続される接続端子電極であって、例えば金やプラチナなどの金属からなる金属電極である。なお、第1電極2及び第2電極3を、一対の電極ともいう。
ここで、感応膜4は、固体電解質又はp型半導体から構成されていることが好ましい。また、感応膜4は、銅又は銀を含む組成を有するものであることが好ましい。また、感応膜4は、還元性ガス分子の吸着によって抵抗上昇を生じるガス検知膜であることが好ましい。この場合、ガスセンサを還元性ガスセンサともいう。
光検出器6は、例えばフォトディテクタ(PD)などの受光素子であって、感応膜4を透過又は反射してきた光を検出するものである。なお、光検出器6を、受光器又は受光装置ともいう。
制御演算部7は、光検出器6によって検出された値(検出値)に基づいて感応膜4の劣化を判定するものである。
ところで、上述のように構成しているのは、以下の理由による。
つまり、ガスセンサは、使用に伴って劣化し、使用時間が一定時間を超えると、ガスに応答しなくなり、破損してしまう。
特に、呼気ガスセンサは、高湿度環境で使用されるため、センサの劣化が著しい。つまり、呼気ガスセンサは、高湿度環境中で使用されるため、使用を開始してからセンサが破損するまでの期間が他のセンサと比較して短い。
このため、劣化の程度が大きくなる前にセンサを交換する必要がある。
しかしながら、劣化の程度は、使用環境やセンサ個体差などによって様々であるため、劣化しているか否か、即ち、センサの交換タイミングを、センサの使用回数や使用時間のみで単純に判断することは難しい。
この技術では、ガス導入口の直線上に第1センサを、枝分かれした経路に第2センサを、それぞれ設置した構造とし、第2センサの劣化が第1センサと比較して軽微であることを利用して、2個のセンサの出力値を比較して第1センサの使用限界を自己診断している。
ここで、図6は、呼気ガスセンサに備えられるガスセンサデバイスの外形の一例を示している。
そして、電極間の抵抗値の変化をモニタリングすることによって、検出対象ガスの濃度を検出するようになっている。
検出対象ガスがないときの抵抗値を初期抵抗R0(Ω)とし、呼気を導入して抵抗が変化したときの抵抗値をRs(Ω)とした場合、抵抗値の変化|R0−Rs|が検出対象ガスの濃度に対応する(図8中、符号(a)参照)。この濃度と抵抗値との対応は、事前に、濃度が既知の校正用ガスを用いて測定しておく。
さらに測定を繰り返すと、最終的には、ガスに応答しなくなる(図8中、符号(c)参照)。
劣化して応答がなくなったセンサは、正電極(+電極)側の感応膜4が切断していることがわかった(図7中、符号X参照)。
このように、センサを繰り返し使用すると、感応膜4が薄くなり、さらには切断して、センサ抵抗が上昇していることがわかった。
上述のような実験結果をもとに、劣化を確実に判定できるようにして、正確な検査結果が得られるようにすべく、上述の本実施形態のガスセンサの構成を採用している。
なお、光透過性を有する基板8は、光源5から感応膜4に照射される光に対して透過性を有するものであれば良い。
このように、光透過性を有する基板8には、光源5に対応した基板を用いれば良い。
また、本実施形態では、図1に示すように、光源5は、基板8の一方の側、即ち、基板8の裏面側に設けられている。
また、本実施形態では、光検出器6は、基板8を挟んで一方の側の反対側、即ち、基板8の表面側に設けられており、感応膜4を透過してきた光を検出するようになっている。
ここでは、遮光部材10は、基板8の裏面(即ち、第1電極2、第2電極3及び感応膜4が設けられていない側の表面)に貼り付けられ、遮光性がある材料からなる遮光シートである。
ここで、スリット10Aの幅(図3参照)は、呼気ガスセンサの形状、感応膜4の種類やセンシングする劣化の程度によって異なるが、例えば数100μmとすれば良い。
この場合、スリット10Aの長さは、正電極3の長さよりも、照射する光の波長分短いことが好ましい(図3参照)。このようにしてスリットマージンを設けることで、意図しない光の検出を防ぐことができる。
なお、ここでは、開口部10Aをスリットとしているが、これに限られるものではなく、光が通過しうる開口部であれば良い。例えば、開口部を円形状の穴としても良い。
また、上述のように構成されるガスセンサデバイス1、光源5、光検出器6は、図4に示すように、センサチャンバ11に収納(内蔵)されており、センサチャンバ11の開口部から呼気を導入することができるようになっている(図4中、矢印参照)。なお、図4では、光源5及び光検出器6の図示を省略している。
また、本実施形態では、上述のように構成されるガスセンサデバイス1に抵抗測定器9が接続されており、この抵抗測定器9によって抵抗値が測定されるようになっている。なお、抵抗測定器9を抵抗測定部、抵抗測定装置又は抵抗測定回路ともいう。
そして、抵抗測定器9で測定された抵抗値は、制御演算部7で濃度に変換されて、表示器12に表示されるようになっている。この変換式は、事前に濃度が既知のガスで測定したデータに基づいている。
また、本実施形態では、制御演算部7は、光検出器6によって検出された、感応膜4を透過した光の透過量に基づいて、感応膜4の劣化を判定するようになっている。例えば、正電極3の縁の直上の感応膜部分を透過した光の透過量をモニタリングすることによって、感応膜4の劣化の程度を判定(センシング)するようになっている。
また、本実施形態では、制御演算部7による判定結果に基づいて感応膜4の劣化を報知する劣化報知部13を備える。ここでは、劣化報知部13として、例えばインジケータが設けられている。なお、ランプや例えば文字などを表示しうる表示部などであっても良い。
なお、ここでは、測定前の初期設定として閾値電圧Vthを入力する。
ここで、Vthは、ガスセンサの感応膜4が劣化していると判断されるときのPD(光検出器)6の電圧値である。
精度よくセンシングすることが必要な場合にはVthを小さく設定し、それほど精度は必要ではなく、劣化がある程度まで進むまでは交換が不要な場合にはVthを大きく設定するなど、Vthはその状況に応じて設定すれば良い。
次に、制御演算部7は、PD6によって検出された検出値(検出電圧;出力電圧)VDを取り込み、この検出電圧VDが閾値電圧Vthよりも大きいか否かを判定する(ステップS3)。
その後、一定時間後に、ガスセンサの電源をオフ(power off)にする(ステップS6)。
そして、センサチャンバ11内に呼気が導入されたら、制御演算部7は、抵抗測定器9で測定された抵抗値を読み込み(ステップS9)、この抵抗値を濃度に変換して(ステップS10)、表示器12に表示させる制御を行なう(ステップS11)。
したがって、本実施形態にかかるガスセンサ及び情報処理システムによれば、劣化を確実に判定できるようになり、正確な検査結果が得られるようになるという効果を有する。これにより、ガスセンサの信頼性を高めることが可能となる。
例えば、集光機構14として、集光レンズ14A、14Bを設ければ良い。
また、例えば、図9(B)に示すように、感応膜4の劣化をセンシングする部分が細い長方形である場合は、集光レンズ14Bとしてかまぼこ型の集光レンズを用い、光源5からの光を細い長方形にして感応膜4の劣化をセンシングする部分に集光させるようにすれば良い。
このほか、集光機構14を設ける代わりに、直進性の高い発光体を光源5に用いることなども考えられる。
また、上述の実施形態では、感応膜4を透過してきた光を検出する光検出器6を用いているが、これに限られるものではなく、感応膜4を透過又は反射してきた光を検出する光検出器6を用いれば良い。
この場合、光源5の焦点を正電極3の縁直上の感応膜表面に合わせ、その部分からの反射光を検出できる位置に光検出器6を配置すれば良い。感応膜4の劣化(切断等)によって、感応膜4の形状が変化し、光源5から照射された光の反射角が変化して、光検出器6(ここではPD)に入射する光量が減少することになる。このため、反射率の減少で感応膜4の劣化をモニタリング(センシング)することができる。
ところで、上述の実施形態のガスセンサを、例えば図11に示すように、例えばパーソナルコンピュータなどのコンピュータ17に接続し、ガスセンサ18を用いて測定したデータがコンピュータ17へ送られるようにし、ガスセンサ18によって得られたデータをコンピュータ17で処理して、対象ガス成分の濃度を示す指標あるいは疾病の有無等を、コンピュータ17の画面上に表示させるようにしても良い。
また、上述のようなガスセンサ18を用いて測定したデータ(情報)を、ネットワークを介して収集し、蓄積して、データベースを構築したり、これらのデータを解析し、その結果をフィードバックしたりすることも可能である。
以下、上述の実施形態に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する感応膜と、
前記感応膜に光を照射する光源と、
前記感応膜を透過又は反射してきた光を検出する光検出器と、
前記光検出器によって検出された値に基づいて前記感応膜の劣化を判定する制御演算部とを備えることを特徴とするガスセンサ。
前記第1電極、前記第2電極及び前記感応膜は、光透過性を有する基板上に設けられており、
前記光源は、前記基板の一方の側に設けられており、
前記光検出器は、前記基板を挟んで前記一方の側の反対側に設けられており、前記感応膜を透過してきた光を検出することを特徴とする、付記1に記載のガスセンサ。
前記基板の前記光源が設けられている側に設けられ、前記感応膜に対応する位置に開口部を有する遮光部材を備えることを特徴とする、付記2に記載のガスセンサ。
(付記4)
前記開口部は、前記第1電極及び前記第2電極のうち正電極となる方の縁に沿って設けられたスリットであることを特徴とする、付記3に記載のガスセンサ。
前記スリットの長さは、前記正電極の長さよりも、照射する光の波長分短いことを特徴とする、付記4に記載のガスセンサ。
(付記6)
前記基板と前記光源との間に設けられた集光機構を備えることを特徴とする、付記2に記載のガスセンサ。
前記光源及び前記光検出器は、前記基板の前記第1電極、前記第2電極及び前記感応膜が設けられている側に設けられており、
前記光源は、前記感応膜に対して一方の側に設けられており、
前記光検出器は、前記感応膜を挟んで前記一方の側の反対側に設けられており、前記感応膜を反射してきた光を検出することを特徴とする、付記1に記載のガスセンサ。
前記光源は、可視光源又は赤外光源であり、
前記光検出器は、可視光検出器又は赤外光検出器であることを特徴とする、付記1〜7に記載のガスセンサ。
(付記9)
前記制御演算部による判定結果に基づいて前記感応膜の劣化を報知する劣化報知部を備えることを特徴とする、付記1〜8のいずれか1項に記載のガスセンサ。
前記感応膜は、固体電解質又はp型半導体から構成されることを特徴とする、付記1〜9のいずれか1項に記載のガスセンサ。
(付記11)
付記1〜10のいずれか1項に記載のガスセンサと、
前記ガスセンサによって得られたデータを処理するコンピュータとを備えることを特徴とする情報処理システム。
2 第1電極
3 第2電極
4 感応膜
5 光源(LED)
6 光検出器(PD)
7 制御演算部
8 基板
9 抵抗測定器
10 遮光部材(遮光シート)
10A 開口部(スリット)
11 センサチャンバ
12 表示器
13 インジケータ(ランプ)
14 集光機構(集光レンズ)
14A 集光レンズ(凸レンズ)
14B かまぼこ型の集光レンズ
15、16 レンズ
17 コンピュータ
18 ガスセンサ
19 情報処理システム
20 ネットワーク
21 サーバ(コンピュータ)
Claims (6)
- 光透過性を有する基板上に設けられた第1電極と、
前記基板上に設けられた第2電極と、
前記基板上に設けられ、前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する感応膜と、
前記基板の一方の側に設けられ、前記感応膜に光を照射する光源と、
前記基板の前記光源が設けられている側に設けられ、前記感応膜に対応する位置に開口部を有する遮光部材と、
前記基板を挟んで前記一方の側の反対側に設けられ、前記感応膜を透過してきた光を検出する光検出器と、
前記光検出器によって検出された値に基づいて前記感応膜の劣化を判定する制御演算部とを備え、
前記開口部は、前記第1電極及び前記第2電極のうち正電極となる方の縁に沿って設けられたスリットであることを特徴とするガスセンサ。 - 前記基板と前記光源との間に設けられた集光機構を備えることを特徴とする、請求項1に記載のガスセンサ。
- 前記光源は、可視光源又は赤外光源であり、
前記光検出器は、可視光検出器又は赤外光検出器であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガスセンサ。 - 前記制御演算部による判定結果に基づいて前記感応膜の劣化を報知する劣化報知部を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサ。
- 前記感応膜は、固体電解質又はp型半導体から構成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスセンサ。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスセンサと、
前記ガスセンサによって得られたデータを処理するコンピュータとを備えることを特徴とする情報処理システム。
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