JP6667205B2 - 酢酸吸着性フィルム及びフィルム積層体 - Google Patents

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本発明は、酢酸吸着フィルムに関する。また本発明は、そのフィルムを含む包装袋、及びその包装袋を用いた医療器材袋に関する。特に、本発明は、医薬分野等の酢酸ガスが発生する場所で用いるのに適切な酢酸吸着フィルムに関する。
従来から医療器具の消毒液として、過酢酸が使用されている(例えば、特許文献1)。この場合、過酢酸は分解しやすいため、ガス抜き構造を有する容器に過酢酸を収容している。したがって、分解によって発生した酢酸ガスは、ガス抜き構造を通して容器外に漏れ出るため、生産後から使用されるまでの間、酢酸臭が問題となっている。
このため現在は、過酢酸が入っているボトル容器と、酢酸吸着剤を収容したパックとを一緒にチャック付き袋に入れて収納している。ボトル容器からは酢酸ガスが発生し続けるため、酢酸吸着剤には、長期的に酢酸ガスを吸着する能力が求められていた。さらに、このような使用態様では、酢酸吸着剤を収容したパックが、医療現場において異物となる可能性があった。
また、美術館に展示される美術品を設置する木製架台から酢酸ガスが微量に長期的に発生し、美術品を腐食させてしまう問題があることも分かっている。
同様の課題は、アセテートフィルムを用いた記録材料においても存在しており、特許文献2及び3では、これらのフィルムから発生する酢酸ガスを除去するための成形品を開示している。ここでは、フィルムの吸湿による劣化を避けるための調湿剤と、吸ガス剤とを熱可塑性樹脂に混練して、プレート状の成形品を得ている。特許文献2及び3では、このような構成とすることで、長期間にわたって調湿・吸ガス能力が持続し、遅効性を与えることができるとしている。
特開2002−350742号公報 特開平08−217913号公報 特開2013−104030号公報
しかしながら、特許文献2及び3に記載の酢酸吸着用成形品では、酢酸の吸着容量が不十分な場合があった。また、これらの文献に記載されている酢酸吸着用成形品は、基本的にフィルム状ではないために使用法に制限がある場合があった。そこで、本発明は、長期的かつ高い吸着容量で、酢酸を吸着でき、かつ成形が容易な酢酸吸着フィルムを与えることを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討したところ、以下の手段により上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は以下のとおりである:
[1] エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択される樹脂を含むバインダー、前記バインダーに分散している酢酸吸着剤、並びに非イオン性脂肪酸エステル系界面活性剤を含有する、酢酸吸着フィルム。
[2] 前記酢酸吸着剤が、酢酸を化学的に吸着する無機吸着剤である、[1]に記載の酢酸吸着性フィルム。
[3] 前記酢酸吸着剤が、酸化マグネシウムを含む、[2]に記載の酢酸吸着性フィルム。
[4] 前記バインダー100質量部のうち、80質量部以上がエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択される樹脂である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の酢酸吸着性フィルム。
[5] 前記バインダー100質量部のうち、50質量部以上がエチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体であり、かつ10質量部以上がその他の樹脂である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の酢酸吸着性フィルム。
[6] 前記バインダー100質量部のうち、50質量部以上がエチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体であり、かつ10質量部以上がエチレン−α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン又はこれらの混合物である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の酢酸吸着性フィルム。
[7] 前記バインダー100質量部のうち、10質量部以上がエチレン−α−オレフィン共重合体であり、かつ50質量部以上が前記エチレン−α−オレフィン共重合体よりも密度が高いポリエチレンである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の酢酸吸着性フィルム。
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の酢酸吸着性フィルム上に、スキン層が積層されている、フィルム積層体。
[9] 前記スキン層が前記酢酸吸着性フィルムの両側に積層されている、[8]に記載のフィルム積層体。
[10] エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択される樹脂を含むバインダー、酢酸吸着剤、並びに非イオン性脂肪族エステル系界面活性剤を混練して、マスターバッチを作製することと、
前記マスターバッチを製膜して酢酸吸着フィルムを形成することと
を含む、酢酸吸着フィルムの製造方法。
[11] 前記マスターバッチがペレット状であり、かつ前記マスターバッチをリペレット加工してから製膜して酢酸吸着フィルムを形成することを更に含む、[10]に記載の酢酸吸着フィルムの製造方法。
本発明の酢酸吸着フィルムによれば、酢酸吸着剤の分散性が改良されていることによって、長期的かつ高い吸着容量で酢酸を吸着できる。また、このフィルムは、樹脂組成物から容易に成形することができ、かつ様々な用途で用いることができる。さらに、このフィルムを含む包装袋を用いることで、医療現場で有用な過酢酸ボトル収容袋を提供することができる。
図1は、本発明の酢酸吸着フィルム積層体の層構成の概略図である。 図2は、過酢酸ボトル収容袋の概略図である。 図3は、実施例1の表面状態を示す光学顕微鏡画像である。 図4は、比較例1の表面状態を示す光学顕微鏡画像である。 図5は、比較例2の表面状態を示す光学顕微鏡画像である。 図6は、比較例3の表面状態を示す光学顕微鏡画像である。 図7は、比較例4の表面状態を示す光学顕微鏡画像である。 図8は、比較例5の表面状態を示す光学顕微鏡画像である。 図9は、比較例6の表面状態を示す光学顕微鏡画像である。 図10は、比較例7の表面状態を示す光学顕微鏡画像である。 図11は、実施例3の表面状態を示す光学顕微鏡画像である。 図12は、実施例5の表面状態を示す光学顕微鏡画像である。
<酢酸吸着フィルム>
本発明のフィルムは、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択される含むバインダー、バインダーに分散している酢酸吸着剤、並びに非イオン性脂肪族エステル系界面活性剤を含む。
通常、吸着剤を樹脂中に分散させると、樹脂のガス透過性の低さに起因して、吸着剤の吸着性能は大きく低下する。しかしながら、本発明者らは、本発明の構成のフィルムにおいては、酢酸の吸着容量に関して、予想外にも一定程度その性能が維持できることを発見した。この理由としては、理論に拘束されるものではないが、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体については、そのカルボン酸基又はそのエステル部分の存在が酢酸との親和性を高めており、かつ/又はそれらの分子構造が比較的嵩高い立体構造を有していることによって、これにより酢酸のバインダーへの透過性が高いことに起因していると推測される。さらに、エチレン−α−オレフィン共重合体については、α−オレフィンに由来する分岐に起因してポリマーマトリクス中に大きな空間が生じていることによって、酢酸分子が空間的に侵入しやすく、バインダーへの透過性が高いことに起因していると推測される。
(バインダー)
本発明のフィルムに用いられるバインダーには、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体、及びエチレン−α−オレフィン共重合体の一種以上の樹脂が含まれる。これらの樹脂は、上述の通り、酢酸の透過性が高いと推測されるだけではなく、フィルムへの加工が比較的容易であるために好ましい。
(バインダー:エチレン−酢酸ビニル共重合体)
エチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレンと酢酸ビニルとを少なくとも含む単量体組成物を共重合して得られる樹脂である。単量体組成物中の酢酸ビニル含有量は、2重量%以上、3重量%以上、5重量%以上、又は10重量%以上であり、50重量%以下、40重量%以下、又は30重量%以下とすることができる。一般に、酢酸ビニル含有量が高い場合、得られる樹脂の結晶化度が低くなり、酢酸ビニル含有量が低い場合、得られる樹脂の密度が低くなる。最終の用途によって、適切な酢酸ビニル含有量の樹脂を選択することができる。
好ましいエチレン−酢酸ビニル共重合体の熱特性としては、例えば、そのメルトマスフローレートが、温度190℃かつ荷重21.18Nの条件の下で、JIS K6924−1に準拠して測定した場合に、好ましくは0.1g/10min以上、0.5g/10min以上、1.0g以上、3.0g/10min以上、又は5.0g/10min以上であり、3000g/10min以下、100g/10min以下、50g/10min以下、又は30g/10min以下である。
(バインダー:エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体)
エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体は、エチレンと(メタ)アクリル系モノマーとを少なくとも含む単量体組成物を共重合して得られる樹脂である。単量体組成物中の(メタ)アクリル系モノマーの含有量は、2重量%以上、3重量%以上、5重量%以上、又は10重量%以上であり、50重量%以下、40重量%以下、又は30重量%以下とすることができる。一般に、(メタ)アクリル系モノマーの含有量が高い場合、得られる樹脂の軟化温度が低くなり、(メタ)アクリル系モノマーの含有量が低い場合、得られる樹脂の密度が低くなる。最終の用途によって、適切な(メタ)アクリル系モノマー含有量の樹脂を選択することができる。
ここで、適切な(メタ)アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
具体的なエチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体の例としては、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−メタクリレート共重合体(EMMA)等を挙げることができる。
好ましいエチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体の熱特性としては、例えば、そのメルトマスフローレートが、温度190℃かつ荷重21.18Nの条件の下で、JIS K7210−1999に準拠して測定した場合に、好ましくは0.1g/10min以上、0.5g/10min以上、1.0g以上、3.0g/10min以上、又は5.0g/10min以上であり、500g/10min以下、100g/10min以下、50g/10min以下、又は30g/10min以下である。
(バインダー:エチレン−α−オレフィン共重合体)
エチレン−α−オレフィン共重合体は、α−オレフィンに起因する短鎖の分岐鎖を有し、その分岐鎖も含めてメチレン基の繰返し単位を60mol%以上、70mol%以上、80mol%以上、90mol%以上、95mol%以上、又は98mol%以上含む樹脂である。エチレン−α−オレフィン共重合体は、好ましくは密度が0.910g/cm未満の超低密度ポリエチレンである。
特に、エチレン−α−オレフィン共重合体は長鎖分岐を実質的に有していない直鎖状低密度ポリエチレンであり、低圧法でポリエチレンを製造する際にα−オレフィンを特定の割合で共重合させることによって得られる。したがって、特に、エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと少なくとも1種のα−オレフィンとを含む単量体組成物を、メタロセン触媒、チーグラー・ナッタ触媒等を用いて低圧法で重合した共重合体である。α−オレフィンとしては、炭素原子数4〜18、4〜10、又は4〜8のα−オレフィンが挙げられ、例えば1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−オクテンを挙げることができる。また、この共重合体には、プロピレンを共重合させてもよい。
具体的なエチレン−α−オレフィン共重合体の例としては、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体等を挙げることができる。
このエチレン−α−オレフィン共重合体は、好ましくは0.870g/cm以上、0.875g/cm以上、又は0.880g/cm以上の密度を有し、0.905g/cm以下の密度を有する。なお、本明細書において、密度とは、JIS K7112−1999に準拠して測定した値をいう。
好ましいエチレン−α−オレフィン共重合体の熱特性としては、例えば、そのメルトマスフローレートが、温度190℃かつ荷重21.18Nの条件の下で、JIS K7210−1999に準拠して測定した場合に、好ましくは0.1g/10min以上、0.5g/10min以上、1.0g以上、3.0g/10min以上、又は5.0g/10min以上であり、100g/10min以下、50g/10min以下、30g/10min以下、又は20g/10min以下である。
(バインダー:組成)
バインダーは、上記のエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体、及びエチレン−α−オレフィン共重合体のみから構成される必要はない。特に、バインダー100質量部のうち、上記のエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、又はこれらの混合物は、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上、30質量部以上、50質量部以上、60質量部以上、70質量部以上、80質量部以上、90質量部以上、又は95質量部以上であってもよい。
本発明者らは、上記の樹脂のうちの少なくとも2種類の樹脂を組み合わせることで、又は上記の樹脂のうちの少なくとも1種類の樹脂とその他の樹脂を組み合わせることで、酢酸吸着性能及び/又はフィルムへの加工性を高められることを見出した。
具体的には、本発明者らは、上記のエチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体と共に、その他の樹脂を組み合わせて用いることで、それらを単独で用いる場合よりも、本発明の組成物の酢酸吸着性能を向上できることを予想外にも見出した。これは、理論に拘束されないが、ポリマーブレンドによって生じる海島構造に起因して、酢酸の透過性が高まるためと考えられる。
この場合、バインダー100質量部のうち、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体、又はこれらの混合物は、50質量部以上、60質量部以上、70質量部以上、80質量部以上、90質量部以上、又は95質量部以上であり、残部がその他の樹脂である。
エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体以外にバインダーとして用いることができるその他の樹脂としては、特に限定されるものではないが、特に上記のエチレン−α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等を挙げることができる。理論に限定されないが、これらの樹脂とブレンドした場合に、海島構造を少なくとも部分的に形成できる樹脂であることが好ましいと考えられる。
本明細書中で、低密度ポリエチレンとは、分岐鎖を含めて、メチレン基の繰返し単位を80mol%以上、90mol%以上、95mol%以上、若しくは98mol%以上含み、又は実質的にすべての繰返し単位がメチレン基である、密度が0.910g/cm以上0.930g/cm未満のポリエチレンをいう。これは特に、長鎖の分岐構造を有し、エチレンを高圧法によってラジカル重合することによって得られる。
好ましい低密度ポリエチレンの熱特性としては、例えば、そのメルトマスフローレートが、温度190℃かつ荷重21.18Nの条件の下で、JIS K6922−1に準拠して測定した場合に、好ましくは0.1g/10min以上、0.5g/10min以上、1.0g以上、3.0g/10min以上、又は5.0g/10min以上であり、100g/10min以下、50g/10min以下、30g/10min以下、又は20g/10min以下である。
本明細書中で、高密度ポリエチレンとは、分岐鎖を有する場合その分岐差を含め、メチレン基の繰返し単位を80mol%以上、90mol%以上、95mol%以上、若しくは98mol%以上含み、又は実質的にすべての繰返し単位がメチレン基である、密度が0.930g/cm以上のポリエチレンをいう。これは特に、0.942g/cm以上の密度を有し、長鎖の分岐構造を実質的に有しておらず、エチレンを低圧法によってラジカル重合することによって得られる。
好ましい高密度ポリエチレンの熱特性としては、例えば、そのメルトマスフローレートが、温度190℃かつ荷重21.18Nの条件の下で、JIS K6922−2に準拠して測定した場合に、好ましくは0.1g/10min以上、0.5g/10min以上、1.0g以上、3.0g/10min以上、又は5.0g/10min以上であり、100g/10min以下、50g/10min以下、30g/10min以下、又は20g/10min以下である。
さらに、本発明者らは、特にエチレン−α−オレフィン共重合体をバインダーに用いた場合には、それよりも密度が高い樹脂を組み合わせて用いることで、酢酸吸着性能を一定程度維持しながら、その追加的に用いた樹脂と同程度の加工性を、本発明のフィルムにおいて達成できることを見出した。
この場合、バインダー100質量部のうち、10質量部以上、20質量部以上、30質量部以上、50質量部以上、60質量部以上、80質量部以上、又は90質量部以上が、エチレン−α−オレフィン共重合体よりも密度が高い樹脂であってよい。
ここで、エチレン−α−オレフィン共重合体よりも密度が高い樹脂としては、特に低密度ポリエチレン又は高密度ポリエチレンを挙げることができる。
(酢酸吸着剤)
本発明で用いる酢酸吸着剤は、酢酸を吸着することができれば特に限定されず、化学吸着剤であっても物理吸着剤であってもよい。また、本発明で用いる吸着剤は、無機吸着剤であっても有機吸着剤であってもよく、有機−無機ハイブリッドの吸着剤であってもよい。好ましくは、本発明で用いる吸着剤は、酢酸を化学的に吸着する無機吸着剤である。
具体的には、本発明で用いる無機吸着剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、酸化アルミニウム、生石灰、シリカゲル、無機の分子篩等を挙げることができる。その中でも特に、酸化マグネシウムを挙げることができ、これを含む物質、例えばハイドロタルサイトも有用である。有機吸着剤としては、上記特許文献3に記載のカルボン酸塩を挙げることができる。
本発明で用いる吸着剤は、バインダー樹脂100質量部に対して、混練性及び吸着性能を考慮して、0.1質量部以上、1質量部以上、3質量部以上、5質量部以上又は10質量部以上含むことが好ましく、500質量部以下、300質量部以下、100質量部以下、50質量部以下、40質量部以下、又は30質量部以下で含むことが好ましい。
(非イオン性脂肪酸エステル系界面活性剤)
非イオン性脂肪酸エステル系界面活性剤は、脂肪酸から誘導された非イオン性エステル系界面活性剤を言うものである。この界面活性剤を含有させることにより、酢酸吸着剤を良好に分散させることができ、これにより酢酸吸着量を向上させることができる。
脂肪酸としては、炭素数が4以上、6以上、8以上、10以上、又は12以上であり、かつ炭素数が100以下、50以下、30以下、22以下、20以下、又は18以下の脂肪酸が好ましい。このような脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びアラキジン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、エルカ酸等の一価不飽和脂肪酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、リノール酸、α−リノレン酸等の多価不飽和脂肪酸が挙げられる。これらの脂肪酸は単体で用いてもよく、又は脂肪酸の混合物を用いてもよい。
脂肪酸の混合物としては、菜種油、オリーブオイル、大豆脂、紅花油、ごま油、パーム油、ひまわり油、ヤシ油、カカオバター、ひまし油等の植物性油脂、豚脂、牛脂等の動物性油脂が挙げられる。好ましくは、植物性油脂、特にヤシ油、パーム油が好ましい。
脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量は、35質量%以上、40質量%以上、又は42質量%以上が好ましく、また95%以下、90%以下、又は88%以下が好ましい。
<フィルム積層体>
フィルム積層体は、酢酸吸着フィルム上に、スキン層が積層されている。
図1(a)に示すように、スキン層(4)は、酢酸吸着フィルム(2)の片側に積層されていてもよく、また、図1(b)に示すように酢酸吸着フィルム(2)の両側に積層されていてもよい。
図1(a)に示すように、スキン層(4)が酢酸吸着フィルム(2)の片側に積層されている場合、もう片側には他の層(6)、例えばバリア層を積層させることができる。
酢酸吸着フィルム上に更にスキン層を積層させることにより、酢酸吸着フィルムに含有されている酢酸吸着剤の脱落を防止することができる。
本発明の酢酸吸着フィルム積層体は、特定の態様では、酢酸吸着フィルムに吸着された酢酸が酢酸吸着剤と結合して酢酸塩を形成した場合において、その酢酸塩が潮解して酢酸吸着フィルム積層体の表面に現れる前に、その酢酸塩を酢酸吸着フィルム積層体の内部にせき止めることができると考えられる。その結果、本発明の酢酸吸着フィルム積層体は、酢酸塩が表面に滲出しないという利点を有する。
(スキン層)
スキン層は、酢酸吸着フィルム上に積層されている層であって、その層を通して酢酸を酢酸吸着フィルムに吸着させる層である。このスキン層により、酢酸吸着フィルムに含有されている酢酸吸着剤の脱落を防止することができる。
スキン層は、ポリオレフィンで構成されることが好ましく、中でもポリエチレンで構成されることが好ましい。このポリエチレンとしては、例えばバインダーに関して挙げた、エチレン−α−オレフィン共重合体よりも密度が高い樹脂、特に低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが挙げられる。
スキン層の厚さは、酢酸の透過を可能としつつ、酢酸吸着剤の脱落を防止できるように選択することができ、例えば酢酸吸着フィルムの厚さの5%以上、10%以上、又は15%以上であることができ、また35%以下、30%以下、又は25%以下であることができる。
(他の層)
他の層としては、例えばバリア層が挙げられる。バリア層は、酢酸吸着フィルム上に積層されている層であって、酢酸を実質的に透過させない層である。バリア層としては、例えばアルミニウム箔等の金属箔を使用することができる。
<酢酸吸着フィルムの製造方法>
本発明の酢酸吸着フィルムは、上記のバインダー、吸着剤、及び界面活性剤を混練して樹脂組成物を得て、これをフィルム化することによって製造することができる。混練は、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ミキシングロールコニカルミキサー、などのバッチ式混練機や、2軸混練機などの連続混練機などが用いられる。この際には、使用する材料に応じて、100℃以上、120℃以上、又は140℃以上で、かつ220℃以下、200℃以下、又は180℃以下の温度で混練することができる。
上記の混練した樹脂組成物をフィルムに成形して、本発明の酢酸吸着フィルムを得ることができる。例えば、上記の混練した樹脂組成物を、プレス成型、インフレーション法、Tダイ法、共押出等の押出成型又は射出成型等することによりフィルム状に成形することができ、他のフィルムとの積層体として得ることもできる。
特に、本発明の酢酸吸着フィルムの製造方法は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択される樹脂を含むバインダー、酢酸吸着剤、並びに非イオン性脂肪族エステル系界面活性剤を混練して、マスターバッチを作製することと、前記マスターバッチを製膜して酢酸吸着フィルムを形成することとを含む。このマスターバッチは、任意の形状、例えば棒状、球状等であってよい。
好ましくは、本発明の酢酸吸着フィルムの製造方法は、酢酸吸着剤をより良好に分散させる観点から、マスターバッチをリペレット加工してから製膜して酢酸吸着フィルムを形成することを更に含む。
<酢酸吸着フィルム積層体の製造方法>
まず、酢酸吸着フィルムの製造方法に関して挙げた方法により樹脂組成物を得て、この樹脂組成物及び例えばポリエチレンをそれぞれ酢酸吸着フィルム及びスキン層に成形して、これを積層させて本発明の酢酸吸着フィルム積層体を得ることができる。例えば、樹脂組成物を、プレス成型、インフレーション法、Tダイ法等の押出成型又は射出成型等することによりフィルム状に成形することができる。また、共押出インフレーション法、又は共押出Tダイ法等の共押出法により成形及び積層を共に行うこともできる。
<包装袋>
上記の酢酸吸着フィルム又は酢酸吸着フィルム積層体を通常の方法で本発明の包装袋に形成することができる(参照:「包装用フィルム概論 改訂版」,改訂第3版,株式会社東洋紡パッケージング・プラン・サービス)。この場合、酢酸吸着フィルム又は酢酸吸着フィルム積層体を、包装袋の最内層として用いることが好ましい。
<過酢酸ボトル収容袋>
本発明は、さらに上記の包装袋に過酢酸入りのボトルを収容した、医療器材消毒用の過酢酸ボトル収容袋に関する。上述のように医療器材、例えば内視鏡を消毒するために過酢酸が用いられており、医療現場では、医療器材の消毒に使うまでの間、過酢酸はガス抜き構造を有するボトルに入れられ、そのボトルが図1のように収納袋に入れられている。本発明の過酢酸ボトル収容袋(10)には、過酢酸入りのボトル(30)が、通常用いられる袋内(10a)に上記の酢酸吸着フィルム若しくは酢酸吸着フィルム積層体(20)が入れられており、又は袋自体が上記の包装袋で構成されている。袋自体が上記の包装袋で構成されている場合には、酢酸吸着フィルム又は酢酸吸着フィルム積層体(20)が、本発明の過酢酸ボトル収容袋(10)に収納されなくてもよい。
実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
≪エチレン−メタクリル酸メチル共重合体を単独で用いた場合の添加剤の種類及び有無による表面状態の比較≫
<酢酸吸着フィルムの作製>
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、酢酸吸着剤(キョーワード2200、協和化学社)、及び以下の表1に示す添加剤を89.9:10:0.1で配合し、2軸混練機にて直接導入しTダイ製膜機にて単層の酢酸ガス吸着フィルム50μmを得た。
<表面観察>
得られたフィルムを、光学顕微鏡により200倍に拡大して表面を観察した。実施例1のフィルムの表面を図3に示し、比較例1〜7のフィルムの表面を図4〜10に示す。
図3〜10から、実施例1の酢酸吸着フィルムは、比較例1〜7の酢酸吸着フィルムと比較して、固体分、すなわち酢酸吸着剤がより良好に分散している。従って、添加剤として非イオン性脂肪酸エステル系界面活性剤を加えることが有効であることが理解されよう。
≪エチレン−メタクリル酸メチル共重合体を他の樹脂と混合させて用いた場合の界面活性剤の有無による比較≫
<酢酸吸着フィルムの作製>
(実施例2)
酢酸吸着剤としての酸化マグネシウム40質量部と、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体59.2質量部と、と、実施例1に使用した非イオン性脂肪酸エステル系界面活性剤0.8質量部とを、75Lバンバリーミキサーにて8分間混練してマスターバッチを得た。このマスターバッチ25質量部と、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体59.96質量部と、低密度ポリエチレン15.04質量部とをドライブレンドし、小型インフレーション製膜機で製膜して単層の実施例2の酢酸吸着フィルムを得た。酢酸吸着フィルムの厚さは50μmであった。
(比較例8)
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体を60質量部の量で用い、かつ非イオン性脂肪酸エステル系界面活性剤を用いなかったマスターバッチを使用したことを除き、実施例2と同様にして、単層の比較例8の酢酸吸着フィルムを得た。
<酢酸吸着量の比較>
実施例2及び比較例8の酢酸吸着フィルムを20mm×20mmにトリミングし、20mLのバイアル瓶に30μLの氷酢酸と共に封入し、1日後に重量を測定することにより吸着量を得た。結果を表2に示す。
表2から、実施例2及び比較例8を比較してみると、界面活性剤を加えることにより、酢酸の吸着量が向上することが理解されよう。このことと表面観察の結果を合わせると、酢酸吸着剤の分散性が酢酸吸着量に影響することが理解されよう。
≪リペレット加工の有無による比較≫
<酢酸吸着フィルムの作製>
以下の実施例においては、実施例2で作製したマスターバッチと同一のマスターバッチを使用した。
(実施例3)
まず、マスターバッチを2軸押出機でリペレット加工した。このリペレット加工したマスターバッチ25質量部と、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体59.96質量部と、低密度ポリエチレン15.04質量部とをドライブレンドした。これを、実施例3に用いる酢酸吸着フィルム用組成物とした。
この酢酸吸着フィルム用組成物を、インフレーション製膜機により製膜して、単層の実施例3の酢酸吸着フィルムとした。酢酸吸着フィルムの厚さは50μmであった。
(実施例4)
リペレット加工したマスターバッチに代えて、リペレット加工されていないマスターバッチを用いたことを除いて、実施例3と同様にして、単層の実施例4の酢酸吸着フィルムを得た。酢酸吸着フィルムの厚さは50μmであった。
(実施例5)
実施例3と同様にして製造した酢酸吸着フィルム用組成物を、スキン層に用いる直鎖状低密度ポリエチレンと共に、2種3層の多層インフレーション製膜機により製膜して、実施例5の酢酸吸着フィルム積層体を得た。層構成としては、スキン層/酢酸吸着フィルム/スキン層であった。スキン層の厚さは10μmであり、酢酸吸着フィルムの厚さは50μmであった。
(実施例6)
リペレット加工したマスターバッチに代えて、リペレット加工されていないマスターバッチを用いたことを除いて、実施例5と同様にして、実施例6の酢酸吸着フィルム積層体を作製した。スキン層の厚さは10μmであり、酢酸吸着フィルムの厚さは50μmであった。
<表面観察>
実施例3及び5の酢酸吸着フィルム(積層体)を光学顕微鏡により200倍に拡大して表面を観察した。実施例3及び5の画像を図11及び12に示す。
図3及び11を比較してみると、単層の酢酸吸着フィルムについては、リペレット加工を行った実施例3(図11)は、リペレット加工を行っていない実施例1(図3)と比較して、酢酸吸着剤がより一様に分散していることが確認される。従って、実施例3は実施例1よりも酢酸吸着剤が良好に分散していることが理解されよう。また、図12から、多層の酢酸吸着フィルムの場合も、単層の場合と同様に酢酸吸着剤が一様に分散していることが理解されよう。
<酢酸吸着量の比較>
実施例3〜6の酢酸吸着フィルム(積層体)を20mm×20mmにトリミングし、20mLのバイアル瓶に30μLの氷酢酸と共に封入し、1日後、2日後、及び7日後に重量を測定することにより吸着量を得た。結果を表3に示す。
表3から、実施例3は実施例4よりも全ての時期において吸着量が多く、かつ実施例5は実施例6よりも全ての時期において吸着量が多いことがわかる。すなわち、単層フィルム及びフィルム積層体のいずれの場合でも、リペレット加工をすることにより、酢酸吸着量が向上していることが理解されよう。このことと表面観察の結果を合わせると、酢酸吸着剤の分散性が酢酸吸着量に影響することが理解されよう。
また、実施例3及び実施例4は、7日後において吸着量が低下しているが、これは、吸着剤と酢酸との反応により生じた塩が表面から滲出したためであると考えられる。このことから、長期的な酢酸吸着を考えた場合にフィルム積層体として使用することがより有利であることが理解されよう。
≪参考例≫
参考例及び参考比較例により界面活性剤を含まない酢酸吸着フィルムを具体的に説明するが、このフィルムは、参考例に限定されるものではない。この参考例は、酢酸吸着フィルムに適した樹脂を示しているものである。この参考例で用いられている樹脂のいずれを用いた場合であっても、上記の実施例と同様に、界面活性剤を含有させること、及びリペレット加工を行うことにより、酢酸吸着剤の分散性は同様に向上するということに留意されたい。
表4に記載のポリマーを用いて、表5のような組成で樹脂組成物を調製した。ここでは、酢酸吸着能を有する吸着剤として、ハイドロタルサイトを含むキョーワード2200(協和化学株式会社製)を用いた。表5の組成中、各数値は質量部である。
これらの樹脂組成物をコニカルミキサーで回転数100rpm、温度140℃で5分混練し、この混練体を、プレス機で温度140℃圧力20MPaで30秒間プレスして、厚さ50μmの参考例1〜11及び参考比較例1〜2の酢酸吸着フィルムを得た。
これらのフィルムを20mm×20mmにトリミングして20mLのバイアル瓶に入れ、1日後に5μL、8日後には8μLの氷酢酸をそのバイアル瓶に注入した。そして、一定時間後のバイアル瓶中の酢酸ガス量をガスクロマトグラフィーで測定することにより吸着量を得た。
これらの結果を表5に示す。
参考例1〜5と参考比較例1及び2とを比較すると、本発明に用いる酢酸吸着フィルム、高い酢酸吸着性能を与えることがわかる。特に、8日後の吸着量において、参考例1〜5と参考比較例1及び2では顕著に差が出ていることがわかる。
また、参考例2と、参考例6〜8とを比較すると、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体(EMMA)を単独で用いた参考例2よりも、これとポリエチレンとを混合して用いている参考例6〜8の方が、高い酢酸吸着性能を与えていることがわかる。
参考例4と、参考例9〜13とを比較すると、エチレン−α−オレフィン共重合体と低密度ポリエチレンとを配合してバインダーとして用いることで、酢酸吸着性能を一定程度維持することがわかる。
ところで、フィルム化した際、フィルムがタック性を有すると、フィルム同士が張り付いてしまい、フィルムの巻き取りや他のフィルムとの積層等、フィルム化後の加工(加工性)に問題が生じてしまう。そこで、フィルムの加工性を、同種のフィルム同士を用いて、一方のフィルムを台上に載せ、もう一方のフィルムを重ねあわせることで、それらが引き剥がせるか否か(タック性の有無)で判断した。参考例1及び3はフィルム同士の張り付きはなく、タック性が無いため、加工性に優れていた。参考例2と参考例6〜8を比較すると、参考例2ではフィルム同士の張り付きがみられ、若干のタック性を有していたが、参考例6〜8では、フィルム同士の張り付きは見られず、タック性はなく、参考例6〜8の方が、加工性が向上していることが分かった。また、参考例4と参考例9〜12とを比較すると、参考例4では、フィルム同士が容易に引き剥がせる程度に若干の張り付きがみられたが、参考例9〜12では、フィルム同士の張り付きは見られず、タック性が抑制され、フィルムとしての加工性が向上していることが分かった。また、参考例5及び13は、参考例4と略同程度のタック性であり、加工性を有することも確認された。

Claims (11)

  1. 酢酸吸着性フィルム、及び前記酢酸吸着性フィルム上に積層されている、ポリエチレンスキン層を有する、フィルム積層体であって、前記酢酸吸着性フィルムが、
    エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択される樹脂を含むバインダー、前記バインダーに分散している酢酸吸着剤、並びに非イオン性脂肪酸エステル系界面活性剤を含有しており、かつ
    前記バインダー100質量部のうち、50質量部以上がエチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体であり、かつ10質量部以上がその他の樹脂である、
    フィルム積層体。
  2. 酢酸吸着性フィルム、及び前記酢酸吸着性フィルム上に積層されている、ポリエチレンスキン層を有する、フィルム積層体であって、前記酢酸吸着性フィルムが、
    エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択される樹脂を含むバインダー、前記バインダーに分散している酢酸吸着剤、並びに非イオン性脂肪酸エステル系界面活性剤を含有しており、かつ
    前記バインダー100質量部のうち、50質量部以上がエチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体であり、かつ10質量部以上がエチレン−α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン又はこれらの混合物である、
    フィルム積層体。
  3. エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択される樹脂を含むバインダー、前記バインダーに分散している酢酸吸着剤、並びに非イオン性脂肪酸エステル系界面活性剤を含有しており、かつ
    前記バインダー100質量部のうち、10質量部以上がエチレン−α−オレフィン共重合体であり、かつ50質量部以上が前記エチレン−α−オレフィン共重合体よりも密度が高いポリエチレンである、
    酢酸吸着性フィルム。
  4. 請求項3に記載の酢酸吸着性フィルム上に、ポリエチレンスキン層が積層されている、フィルム積層体。
  5. 前記ポリエチレンスキン層が前記酢酸吸着性フィルムの両側に積層されている、請求項1、2及び4のいずれか一項に記載のフィルム積層体。
  6. 前記酢酸吸着剤が、酢酸を化学的に吸着する無機吸着剤である、請求項1、2、4及び5のいずれか一項に記載のフィルム積層体。
  7. 前記酢酸吸着剤が、酸化マグネシウムを含む、請求項6に記載のフィルム積層体。
  8. 前記バインダー100質量部のうち、80質量部以上がエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択される樹脂である、請求項1又は2に記載のフィルム積層体。
  9. エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択される樹脂を含有しているバインダー、酢酸吸着剤、並びに非イオン性脂肪酸エステル系界面活性剤を混練して、マスターバッチを作製することと、
    前記マスターバッチを製膜して酢酸吸着性フィルムを形成することと、
    前記酢酸吸着性フィルム上に、ポリエチレンスキン層を積層することと
    を含む、フィルム積層体の製造方法。
  10. エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系モノマー共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択される樹脂を含有しているバインダー、酢酸吸着剤、並びに非イオン性脂肪酸エステル系界面活性剤を混練して、マスターバッチを作製することと、
    前記マスターバッチを製膜して酢酸吸着性フィルムを形成することと
    を含み、
    前記バインダー100質量部のうち、10質量部以上がエチレン−α−オレフィン共重合体であり、かつ50質量部以上が前記エチレン−α−オレフィン共重合体よりも密度が高いポリエチレンである、
    酢酸吸着性フィルムの製造方法。
  11. 前記マスターバッチをリペレット加工してから製膜して酢酸吸着性フィルムを形成することを更に含む、請求項9又は10に記載の方法。
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