JP6666856B2 - 印刷法による電子部品製造用溶剤 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷法により電子部品の配線や電極等を形成するための導体インクに添加する溶剤に関する。本願は、2015年1月21日に日本に出願した、特願2015−009397号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
印刷法により製造される電子部品には太陽電池、プリント配線基板、積層セラミック部品等がある。近年、プリンテッド・エレクトロニクス技術の進展により、前記以外の電子部品も印刷法によって製造することが検討されている。
前記積層セラミック部品にはコンデンサ、インダクタ、バリスタ、サーミスタ、スピーカ、アクチュエータ、アンテナ、固体酸化物燃料電池(SOFC)等があり、これらはセラミック層や導体層の薄層を積み重ねて形成される。
積層体は、焼成した層の上に新たな層を塗布し、焼成する工程を繰り返すことにより製造することができるが、生産性やコストを考慮すると1層積層毎に焼成せず、多層積層した後でまとめて焼成することが好ましい。
例えば、積層セラミックコンデンサは、次のような工程を経て製造される。
1.セラミックスの粉末とポリビニルアセタール樹脂等のバインダー樹脂を溶剤で分散したものをシート状に形成してグリーンシートを得る。
2.ニッケル、パラジウム等の導電性金属材料、エチルセルロース等のバインダー樹脂、及び有機溶剤を主成分とするインク(本明細書においては、「導体インク」と称する場合がある)を、グリーンシート上に印刷法により塗布して導電回路の配線や電極等(以後、「配線等」と称する場合がある)を形成する。
3.上記導体インク中の有機溶剤を乾燥させる。
4.配線等が形成されたグリーンシートを所定寸法に切断し、複数枚積み重ねて加熱圧着して積層体とする。
5.該積層体に電極等を取り付け、高温で焼成させる。
上記工程において、導体インクをグリーンシート上に塗布すると、導体インク中の有機溶剤(例えば、ターピネオール)がグリーンシートを形成するバインダー樹脂を溶解する現象が起こる場合がある。この現象はシートアタック現象と呼ばれている。従来は各層の膜厚が厚かったために特に大きな問題は生じなかったが、近年、積層セラミック部品の高性能化、小型化に伴い、装置を構成する導体層、セラミック層の薄層化が求められるようになった結果、シートアタック現象が顕著に認められるようになった。シートアタック現象は、積層セラミックコンデンサのセラミック層に穴や皺を発生させる現象であり、シートアタック現象が発現すると、積層セラミックコンデンサの電気性能や信頼性が低下し、歩留まりが著しく低下する。
そこで、シートアタック現象の発現を防止する方法として、導体インクに使用する有機溶剤の改善が種々検討された。例えば、特許文献1、2には、有機溶剤としてターピネオール水素添加物、ターピネオールのアセテート、又はターピネオール水素添加物のアセテートを用いることが開示されている。しかし、前記有機溶剤を使用するだけではシートアタック現象の発現を完全に防ぐことは難しく、グリーンシートを形成するバインダー樹脂として汎用されるポリビニルアセタール樹脂においてもアセタール化度が低いものを選択して使用する必要があった。また、導体インクに含有するバインダー樹脂としてのエチルセルロースは上記有機溶剤への溶解性が低いため、経時的に粘度が変動して印刷不良を引き起こす場合があった。
特許文献3には、導体インクに使用される有機溶剤としてヘキサン酸エチル、酢酸2−エチルヘキシル等を用いることが開示されている。しかし、グリーンシートに含まれるバインダー樹脂は低温ではこれらの溶剤に不溶性を示すが、乾燥工程における温度上昇により可溶性を示すようになるため、シートアタック現象の発現を効果的に防止することはできない。
特許文献4には、導体インクに使用される有機溶剤として、ポリビニルアセタール樹脂及びエチルセルロースが不溶性を示す高沸点のトリアセチン(沸点:260℃)をベースとし、これにエチルセルロースが可溶性を示す低沸点の有機溶剤を特定の割合で加えた混合溶剤を用いることでシートアタック現象の発現を防止する発明が開示されている。しかし、蒸発速度の遅いトリアセチンの含有量が多いので、乾燥に長時間の加熱を要し、長時間の加熱によりグリーンシートが軟化、変形したり、グリーンシートのキャリアフィルムにPETフィルムを用いることがあり、PETフィルムも長時間の加熱で顕著に変形するため、積層セラミック部品の精密成型が困難となることが問題であった。
また、積層セラミック部品は近年、1層当たりの厚みがますます薄くなり、積層数が増える傾向があり、1層当たりに従来同様の乾燥時間をかけると積層セラミック部品1個当たりの製造時間が延びて製造効率が低下するという問題も指摘されている。
その他、スクリーン印刷法によって配線等を形成する場合、導体インクは初期せん断粘度が低すぎると微細な印刷パターンを形成することが困難となることから、適度の初期せん断粘度を有することが求められる。初期せん断粘度を高める方法としては、バインダー樹脂を増量する方法が考えられるが、バインダー樹脂を増量すると、焼成によって生じるバインダー樹脂の残渣が増加して導電性の低下を引き起こすことが問題であった。
特開平07−240340号公報 特許平07−021833号公報 特開2005−116504号公報 特開2009−147202号公報
本発明者等は、導体インクに添加する溶剤として、特定のアルキレングリコールジアルキルエーテル及び/又はジアルキレングリコールジアルキルエーテルを使用すると、バインダー樹脂を増量することなく印刷法に適した初期せん断粘度を付与することができることを見いだしたが(特開2012−231119号公報)、近年、配線等のパターニングをより微細化、より高精度化することが求められており、前記溶剤によって発現する初期せん断粘度では、これらの求めに十分に対応できないことがわかった。
従って、本発明の目的は、印刷法により電子部品の配線等を形成するための導体インクに添加する溶剤であって、前記導体インクに含まれるバインダー樹脂の溶解性に優れ、従来品より高い初期せん断粘度を付与することができ、シートアタック現象の発現を防止することができ、低温で速やかに蒸発・乾燥するが、保存安定性にも優れる溶剤を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記式(1)で表される化合物は、エチルセルロースの溶解性に優れ、ポリビニルアセタール樹脂については高温でも広いアセタール化度のものが不溶性を示す、すなわち、エチルセルロースとポリビニルアセタール樹脂に対する溶解性のバランスに優れ、シートアタック現象の発現を効果的に防止することができること、高沸点且つ低凝集エネルギー密度であるため導体インクの調製時や塗布時には揮発が少なく保存安定性に優れ、70〜150℃程度の温度で速やかに揮発すること、下記式(1)で表される化合物を導体インクの溶剤として使用すると、印刷法に適した初期せん断粘度を有する導体インクが得られ、前記導体インクを使用すれば、より微細で、より高密度で、より高精度の印刷パターンを形成することが可能であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)
1O−(A−O)3−R2 (1)
(式中、R1、R2は同一又は異なって、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、又は炭素数3〜5のシクロアルキル基を示す。但し、R1とR2が共にメチル基を示す場合は除く。Aはアルキレン基を示す)
で表される化合物を1種又は2種以上含有する印刷法による電子部品製造用溶剤を提供する。
本発明は、また、式(1)中のAが炭素数2〜3の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基である前記の印刷法による電子部品製造用溶剤を提供する。
本発明は、また、式(1)中のR1がメチル基である前記の印刷法による電子部品製造用溶剤を提供する。
本発明は、また、式(1)中のR1がメチル基であり、R2が炭素数2〜5の直鎖状アルキル基である前記の印刷法による電子部品製造用溶剤を提供する。
本発明は、また、式(1)で表される化合物がトリプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテルである前記の印刷法による電子部品製造用溶剤を提供する。
本発明は、また、電子部品が積層セラミック部品である前記の印刷法による電子部品製造用溶剤を提供する。
本発明は、また、電子部品が積層セラミックコンデンサである前記の印刷法による電子部品製造用溶剤を提供する。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1] 下記式(1)
1O−(A−O)3−R2 (1)
(式中、R1、R2は同一又は異なって、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、又は炭素数3〜5のシクロアルキル基を示す。但し、R1とR2が共にメチル基を示す場合は除く。Aはアルキレン基を示す)
で表される化合物を1種又は2種以上含有する印刷法による電子部品製造用溶剤。
[2] 沸点が230〜300℃、且つSP値が7.5〜10.0(cal/cm31/2である[1]に記載の電子部品製造用溶剤。
[3] 式(1)中のAが炭素数2〜3の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基である[1]又は[2]に記載の印刷法による電子部品製造用溶剤。
[4] 式(1)中のR1がメチル基である[1]〜[3]の何れか1つに記載の印刷法による電子部品製造用溶剤。
[5] 式(1)中のR1がメチル基であり、R2が炭素数2〜5の直鎖状アルキル基である[1]〜[3]の何れか1つに記載の印刷法による電子部品製造用溶剤。
[6] 式(1)で表される化合物がトリプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテルである[1]に記載の印刷法による電子部品製造用溶剤。
[7] 式(1)で表される化合物の含有量が電子部品製造用溶剤全量の75重量%以上である[1]〜[6]の何れか1つに記載の印刷法による電子部品製造用溶剤。
[8] 電子部品が積層セラミック部品である[1]〜[7]の何れか1つに記載の印刷法による電子部品製造用溶剤。
[9] 電子部品が積層セラミックコンデンサである[1]〜[8]の何れか1つに記載の印刷法による電子部品製造用溶剤。
[10] [1]〜[9]の何れか1つに記載の印刷法による電子部品製造用溶剤と導電性金属材料とバインダー樹脂を含む導体インク。
[11] バインダー樹脂がエチルセルロースである[10]に記載の導体インク。
[12] [10]又は[11]に記載の導体インクを印刷法により塗布して配線及び/又は電極を形成する工程を有する電子部品の製造方法。
[13] 前記電子部品が積層セラミック部品である[12]に記載の電子部品の製造方法。
[14] [12]又は[13]に記載の製造方法によって得られる電子部品。
本発明の印刷法による電子部品製造用溶剤は、上記式(1)で表される化合物を含有するため、導体インクに配合するエチルセルロースの溶解性に優れ、且つ、被塗布面部材を形成するポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂は溶解することない。そのため、シートアタック現象の発現を効果的に抑制又は防止することができる。その上、式(1)で表される化合物は、これに、ニッケル、パラジウム等の導電性金属材料やセラミック材料とエチルセルロースを混合することにより得られる導体インクに、高い初期せん断粘度を付与することができるため、印刷法により微細パターンを精度良く形成することができ、印刷パターンの微細化、高密度化、高精度化に対応することができる。
そして、本発明の印刷法による電子部品製造用溶剤を導体インクに使用すれば、エチルセルロースを増量せずとも、式(1)で表される化合物によって導体インクに高い初期せん断粘度を付与することができるため、エチルセルロースを増量する必要がなく、かえって低減することもできる。その結果として、焼成により生じるエチルセルロース由来の残渣、これは機能発現の妨げとなるものであるが、残渣量を低減することが可能となる。更にまた、式(1)で表される化合物は沸点が高いため、本発明の印刷法による電子部品製造用溶剤は保存安定性に優れる。更に、式(1)で表される化合物は、沸点は前述の通り高いが凝集エネルギー密度が同程度の沸点を有するエステル系溶剤やアルコール系溶剤と比べて低いため、本発明の印刷法による電子部品製造用溶剤は70〜150℃程度の温度条件下[とりわけ、100℃以下(例えば、70〜100℃)]でも速やかに乾燥させることができる。それにより、加熱乾燥工程における被塗布面部材の軟化、変形を防止することができ、乾燥後の被塗布面部材を高積層することによって得られる電子部品の製造効率を著しく向上させることができる。
実施例1、比較例1、及び比較例2の溶剤にそれぞれエチルセルロースを溶解して得られる10重量%エチルセルロース溶液の、25℃におけるせん断粘度とせん断速度の関係を示す図である。
[式(1)で表される化合物]
本発明の印刷法による電子部品製造用溶剤は、下記式(1)で表される化合物を1種又は2種以上含有することを特徴とする。
1O−(A−O)3−R2 (1)
(式中、R1、R2は同一又は異なって、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、又は炭素数3〜5のシクロアルキル基を示す。但し、R1とR2が共にメチル基を示す場合は除く。Aはアルキレン基を示す)
前記R1、R2における炭素数1〜5の直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル基等を挙げることができる。分岐鎖状アルキル基としては、例えば、i−プロピル、2,2−ジメチルプロピル、t−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル基等を挙げることができる。炭素数3〜5のシクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル、メチルシクロブチル、シクロペンチル等を挙げることができる。
Aはアルキレン基を示し、例えば、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、トリデカメチレン、テトラデカメチレン、ペンタデカメチレン、ヘキサデカメチレン基等の炭素数2〜16の直鎖状アルキレン基;メチルエチレン、メチルプロピレン、エチルエチレン、1,2−ジメチルエチレン、1,1−ジメチルエチレン、1−エチルプロピレン、2−エチルプロピレン、1,2−ジメチルプロピレン、2,2−ジメチルプロピレン、1−プロピルプロピレン、2−プロピルプロピレン、1−メチル−1−エチルプロピレン、1−メチル−2−エチル−プロピレン、1−エチル−2−メチル−プロピレン、2−メチル−2−エチル−プロピレン、1−メチルブチレン、2−メチルブチレン、3−メチルブチレン、2−エチルブチレン、メチルペンチレン、エチルペンチレン、メチルヘキシレン、メチルヘプチレン、メチルオクチレン、メチルノニレン、メチルデシレン、メチルウンデシレン、メチルドデシレン、メチルテトラデシレン、メチルオクタデシレン基等の炭素数3〜19の分岐鎖状アルキレン基等を挙げることができる。本発明においてはなかでも炭素数2〜3の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基、すなわちエチレン基又はプロピレン基[メチルエチレン基(=イソプロピレン基)、トリメチレン基を含む]が好ましい。
上記式(1)で表される化合物における、式中のAがプロピレン基である化合物には、直鎖状アルキル基を両末端に持つトリプロピレングリコールジエーテル、直鎖状アルキル基及び分岐鎖状アルキル基を末端に持つトリプロピレングリコールジエーテル、直鎖状アルキル基及びシクロアルキル基を末端に持つトリプロピレングリコールジエーテル、分岐鎖状アルキル基を両末端に持つトリプロピレングリコールジエーテル、分岐鎖状アルキル基及びシクロアルキル基を末端に持つトリプロピレングリコールジエーテル、シクロアルキル基を両末端に持つトリプロピレングリコールジエーテル等が含まれる。
前記直鎖状アルキル基を両末端に持つトリプロピレングリコールジエーテルとしては、例えば、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ペンチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ペンチルエーテル、トリプロピレングリコールエチル−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールエチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールエチル−n−ペンチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピル−n−ペンチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチル−n−ペンチルエーテル等を挙げることができる。
前記直鎖状アルキル基及び分岐鎖状アルキル基を末端に持つトリプロピレングリコールジエーテルとしては、例えば、トリプロピレングリコールメチル−i−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールエチル−i−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピル−i−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチル−i−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ペンチル−i−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−i−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールエチル−i−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピル−i−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチル−i−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ペンチル−i−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−t−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールエチル−t−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピル−t−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチル−t−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ペンチル−t−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−s−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールエチル−s−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピル−s−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチル−s−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ペンチル−s−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−3−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールエチル−3−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピル−3−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチル−3−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ペンチル−3−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−2−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールエチル−2−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピル−2−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチル−2−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ペンチル−2−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−1−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールエチル−1−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピル−1−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチル−1−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ペンチル−1−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−1,1−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールエチル−1,1−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピル−1,1−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチル−1,1−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ペンチル−1,1−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−2,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールエチル−2,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピル−2,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチル−2,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ペンチル−2,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−1,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールエチル−1,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピル−1,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチル−1,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ペンチル−1,2−ジメチルプロピルエーテル等を挙げることができる。
前記直鎖状アルキル基及びシクロアルキル基を末端に持つトリプロピレングリコールジエーテルとしては、例えば、トリプロピレングリコールメチルシクロペンチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルシクロペンチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピルシクロペンチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルシクロペンチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ペンチルシクロペンチルエーテル等を挙げることができる。
前記の分岐鎖状アルキル基を両末端に持つトリプロピレングリコールジエーテルとしては、例えば、トリプロピレングリコールジ−i−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールi−プロピル−i−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールi−プロピル−t−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールi−プロピル−s−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールi−プロピル−3−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールi−プロピル−2−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールi−プロピル−1−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールi−プロピル−2,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールi−プロピル−1,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールi−プロピル−1,1−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジ−i−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールi−ブチル−t−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールi−ブチル−s−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールi−ブチル−3−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールi−ブチル−2−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールi−ブチル−1−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールi−ブチル−2,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールi−ブチル−1,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールi−ブチル−1,1−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジ−t−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールt−ブチル−s−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールt−ブチル−3−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールt−ブチル−2−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールt−ブチル−1−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールt−ブチル−2,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールt−ブチル−1,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールt−ブチル−1,1−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジ−s−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールs−ブチル−3−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールs−ブチル−2−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールs−ブチル−1−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールs−ブチル−2,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールs−ブチル−1,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールs−ブチル−1,1−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジ−3−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコール3−メチルブチル−2−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコール3−メチルブチル−1−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコール3−メチルブチル−2,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコール3−メチルブチル−1,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコール3−メチルブチル−1,1−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジ−2−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコール2−メチルブチル−1−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコール2−メチルブチル−2,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコール2−メチルブチル−1,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコール2−メチルブチル−1,1−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジ−1−メチルブチルエーテル、トリプロピレングリコール1−メチルブチル−2,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコール1−メチルブチル−1,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコール1−メチルブチルエーテル−1,1−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジ−2,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコール2,2−ジメチルプロピル−1,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコール2,2−ジメチルプロピル−1,1−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジ−1,2−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコール1,2−ジメチルプロピル−1,1−ジメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジ−1,1−ジメチルプロピルエーテル等、及びこれらの異性体等を挙げることができる。
前記分岐鎖状アルキル基及びシクロアルキル基を末端に持つトリプロピレングリコールジエーテルとしては、例えば、トリプロピレングリコールi−プロピルシクロペンチルエーテル、トリプロピレングリコールi−ブチルシクロペンチルエーテル、トリプロピレングリコールt−ブチルシクロペンチルエーテル、トリプロピレングリコールs−ブチルシクロペンチルエーテル、トリプロピレングリコール3−メチルブチルシクロペンチルエーテル、トリプロピレングリコール1−メチルブチルシクロペンチルエーテル、トリプロピレングリコール1,1−ジメチルプロピルシクロペンチルエーテル、トリプロピレングリコール2,2−ジメチルプロピルシクロペンチルエーテル、トリプロピレングリコール1,2−ジメチルプロピルシクロペンチルエーテル等を挙げることができる。
前記シクロアルキル基を両末端に持つトリプロピレングリコールジエーテルとしては、例えば、トリプロピレングリコールジシクロペンチルエーテル等を挙げることができる。
上記式(1)で表される化合物における、式中のAがプロピレン基以外のアルキレン基である化合物の具体例としては、上記トリプロピレングリコールジエーテルに対応する化合物を挙げることができる。
上記式(1)で表される化合物としては、なかでも、沸点が230〜300℃(好ましくは240〜270℃)のものが好ましく、且つ凝集エネルギー密度の平方根(SP値)が例えば7.5〜10.0(cal/cm31/2[特に好ましくは7.5〜9.0(cal/cm31/2、最も好ましくは7.5〜8.5(cal/cm31/2、とりわけ好ましくは7.5(cal/cm31/2以上、8.5(cal/cm31/2未満]のものが好ましい。沸点と凝集エネルギー密度の平方根の少なくとも一方が上記範囲を上回ると、100℃以下の低温条件において速やかに乾燥させることが困難となる傾向がある。また、沸点が上記範囲を下回ると、導体インクを調製若しくは印刷する際に揮発して組成が変動する恐れがあり、配線等を安定して形成することが困難となる傾向がある。尚、SP値(25℃における)はFedorsの計算式により算出することができる。
本発明における上記式(1)で表される化合物としては、式中のR1、R2が、同一又は異なって、炭素数1〜5の直鎖状アルキル基(特に、R1、R2が、互いに異なって、炭素数1〜5の直鎖状アルキル基)であるトリアルキレングリコールジアルキルエーテル(とりわけ、トリプロピレングリコールジアルキルエーテル、但しR1、R2が共にメチル基である化合物は除く)が好ましく、特に、R1、R2が、互いに異なって、炭素数1〜5の直鎖状アルキル基であるトリアルキレングリコールジアルキルエーテル(とりわけ、トリプロピレングリコールジアルキルエーテル)が好ましく、更に好ましくは、R1がメチル基であり、R2が炭素数2〜5の直鎖状アルキル基であるトリアルキレングリコールジアルキルエーテル(とりわけ、トリプロピレングリコールジアルキルエーテル)、最も好ましくはトリプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル[トリ(n−プロピレングリコール)メチル−n−プロピルエーテル及びトリ(イソプロピレングリコール)メチル−n−プロピルエーテルを含む]である。
[印刷法による電子部品製造用溶剤]
本発明の印刷法による電子部品製造用溶剤(以後、「本発明の溶剤」と称する場合がある)は、上記式(1)で表される化合物を1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて含有することを特徴とする。
本発明の溶剤全量(100重量%)における上記式(1)で表される化合物の含有量(2種以上含有する場合は、その合計含有量)は、例えば5重量%以上(例えば、5〜100重量%)であり、下限は、好ましくは10重量%、より好ましくは30重量%、更に好ましくは40重量%、特に好ましくは50重量%、最も好ましくは75重量%、とりわけ好ましくは85重量%である。本発明の溶剤における上記式(1)で表される化合物の含有量が上記範囲を下回ると、エチルセルロースを増量することなく導体インクの初期せん断粘度を調整することが困難となる傾向がある。また、導体インクに含有するバインダー樹脂の溶解性が低下する傾向があり、更に、シートアタック現象の発現を防止することが困難となる傾向がある。更にまた、低温乾燥条件では速やかに乾燥させることが困難となる傾向がある。
また、本発明の溶剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記式(1)で表される化合物以外に他の有機溶剤を添加することができ、それにより用途に合わせて物性を調整することができる。他の有機溶剤を添加する場合、その添加量(2種以上含有する場合は、その合計含有量)としては、本発明の溶剤全量の、例えば90重量%以下、好ましくは50重量%以下、特に好ましくは25重量%以下、最も好ましくは15重量%以下である。また、本発明の溶剤には、更に、必要に応じて溶剤以外の添加剤を添加してもよい。
他の有機溶剤としては、例えば、シクロアルキルアルコール、シクロアルキルアセテート、アルキレングリコール、アルキレングリコールジアセテート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキレングリコールジアルキルエーテル、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールジアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、トリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、トリアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブタノールアセテート、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアセテート、テルペン系化合物とその誘導体等を挙げることができる。
本発明の溶剤は式(1)で表される化合物を含有するため、エチルセルロースのバインダー性能を十分に発揮させることができ、且つポリビニルアセタール樹脂をバインダー樹脂として含有する被塗布面部材への侵食を生じることがない。その上、ニッケル、パラジウム等の導電性金属材料やバインダー樹脂としてのエチルセルロースを本発明の溶剤中で混合して得られる導体インクは、バインダー樹脂を増量せずとも、若しくはバインダー樹脂の添加量を従来と比べて低減しても、適度な初期せん断粘度を付与することができ、印刷法に応じて初期せん断粘度を適宜調整することができる。
例えば、グラビア印刷法に使用する導体インクの場合は初期せん断粘度が低いもの(例えば5〜500mPa・s程度、好ましくは30〜200mPa・s)が好ましく、本発明の溶剤を使用すれば、バインダー樹脂の添加量を従来の溶剤を使用する場合に比べて低減することにより前記初期せん断粘度を有する導体インクを調製することができる。尚、本発明における初期せん断粘度は、25℃における、せん断速度(1/s)が5の時点のせん断粘度(mPa・s)である。
また、スクリーン印刷法に使用する導体インクの場合は、高い初期せん断粘度とチキソトロピー性(特に、シェアシニング性)を有するものが好ましく、例えば、25℃における初期せん断粘度が1200mPa・s以上であることが好ましく、特に好ましくは1500mPa・s以上、最も好ましくは1800mPa・s以上である。本発明の溶剤を使用すれば、バインダー樹脂を増量せずとも前記初期せん断粘度とチキソトロピー性(特に、シェアシニング性)を有する導体インクを調製することができる。
また、印刷法に関わらず、導体インクはチキソトロピー性(特に、シェアシニング性)を有することが好ましく、TI値は2〜5程度が好ましい。TI値が2以下だとダレやすく、5以上だと印刷物表面の凹凸が大きくなり、精細なパターニングが困難となるためである。本発明の溶剤を使用すれば、前記チキソトロピー性を有する導体インクが得られる。尚、本発明のTI値は下記式から算出される。
TI=[せん断速度5(s-1)におけるせん断粘度(mPa・s)]/[せん断速度100(s-1)におけるせん断粘度(mPa・s)]
本発明の溶剤を使用して得られた導体インクは、印刷法に応じて初期せん断粘度とチキソトロピー性を調整することができる。そのため、微細パターンを精度良く形成して、印刷パターンの微細化、高密度化に対応することができる。
本発明の溶剤を使用して得られる導体インクは、バインダー樹脂を増量せずとも、適度な初期せん断粘度を付与することができる。本発明の溶剤を使用して得られた導体インク全量におけるバインダー樹脂の含有量は、例えば15重量%以下、好ましくは1〜10重量%である。そのため、焼成によって生じるバインダー樹脂の残渣の増加を防止することができ、バインダー樹脂の残渣による導電性低下を抑制することができる。
更に、本発明の溶剤を使用して得られる導体インクは、導体インクを調製若しくは印刷する際の温度(例えば60℃以下、好ましくは10〜40℃)では前記溶剤の揮発性が低いため、導体インクの組成が調製若しくは印刷する際に変動することが無い。そのため、保存安定性に優れ、安定した配線等の形成が可能である。そして、本発明の溶剤を使用して得られる導体インクは、70〜150℃程度、とりわけ100℃以下(例えば70〜100℃、好ましくは70〜80℃)の温度で、例えば0.1〜2時間程度(好ましくは0.1〜1時間)加熱することで前記溶剤が容易に蒸発・乾燥するため、印刷法によって効率よく電子部品を製造することができる。従って、本発明の溶剤は、例えば、太陽電池、プリント配線基板、コンデンサ、インダクタ、バリスタ、サーミスタ、スピーカ、アクチュエータ、アンテナ、固体酸化物燃料電池(SOFC)等の積層セラミック部品(特に、積層セラミックコンデンサ)や、これらを複合したモジュールにおける配線等を印刷法によって形成する際の導体インクに添加する溶剤として有用である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1、比較例1〜5
下記表に記載の溶剤について乾燥性、樹脂溶解性、及びチキソトロピー性から溶剤性能を評価した。
<乾燥性評価>
ガラス製プレパラート上に「エスレックBH−3」(ポリビニルブチラール樹脂、アセタール化度:65±3、積水化学(株)製)のトルエン溶液(樹脂濃度:10重量%)2mLを塗布、乾燥したものを作製し、その上に室温(25℃)で、実施例1及び比較例1〜5の溶剤をそれぞれ滴下し(約2μL)、60℃若しくは80℃に加熱したオーブンに2時間投入した後、取り出して、取り出し直後に溶剤滴下部分を目視で観察し、下記の基準で乾燥性及び溶剤性能を評価した。
乾燥性の評価基準
○:乾固している
×:溶剤が残留しており、濡れている
乾燥性からの溶剤性能評価基準
60℃以下の条件で揮発性が高いとインクの粘性変動が大きくなり安定的に連続印刷することが困難となり、逆に80℃の条件で揮発性が低いと乾燥が困難となる。よって以下のように判定評価した。
60℃、2時間加熱で乾固せず、80℃、2時間加熱で乾固する溶剤:○
60℃、2時間加熱で乾固する、若しくは80℃、2時間加熱でも乾固しない溶剤:×
Figure 0006666856
表1中の略号は以下の通りである。
TPMNP:トリ(イソプロピレングリコール)メチル−n−プロピルエーテル((株)ダイセル製)
DHTA:ジヒドロターピニルアセテート(商品名「メンタノールAC」、日本香料薬品(株)製)
DPMIA:ジプロピレングリコールメチル−i−ペンチルエーテル((株)ダイセル製)
DPMNP:ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル((株)ダイセル製)
TMM:トリプロピレングリコールジメチルエーテル(和光純薬工業(株)製、試薬)
DRA−150:グリセリントリアセテート((株)ダイセル製)
上記表1の結果より、同様の沸点を持つ溶剤であっても、凝集エネルギー密度の違いにより、揮発性に大きな違いがあることがわかった。
<樹脂溶解性評価>
実施例1及び比較例1〜5の溶剤中に、ポリビニルブチラール樹脂として商品名「エスレックBL−S」(アセタール化度:74±3、積水化学(株)製)、商品名「エスレックBL−1」(アセタール化度:63±3、積水化学(株)製)、商品名「エスレックBH−3」(アセタール化度:65±3、積水化学(株)製)及び、エチルセルロースとして商品名「エトセルSTD(45cps)」(ダウ・ケミカル社製)をそれぞれ樹脂濃度が10重量%になるように添加し、液温65℃で3時間加熱溶解し、室温(25℃)で放冷した。
液温65℃で3時間加熱溶解操作を行った時点(下記表2で「65℃」と表記)と、その後、室温(25℃)で放冷した時点(下記表2で「室温」と表記)において、目視観察により各樹脂が各溶剤に対して溶解性を示すか否かを下記の基準で評価した。
樹脂溶解性の評価基準
◎:樹脂がすべて溶解した。
○:樹脂がほぼ溶解した。
△:樹脂が一部溶解した。
×:樹脂が不溶であった。
溶解性からの溶剤性能評価基準
エチルセルロースに対して可溶性を示し、ポリビニルブチラール樹脂に対して、室温においても65℃においても不溶性を示す溶剤:○
エチルセルロースに対して可溶性を示し、ポリビニルブチラール樹脂に対して、室温においては不溶性を示すが、65℃においは可溶性を示す溶剤:△
エチルセルロースに対して可溶性を示し、ポリビニルブチラール樹脂に対して、室温においても65℃においても可溶性を示す溶剤、若しくはエチルセルロースに対して不溶性を示す溶剤:×
Figure 0006666856
<チキソトロピー性評価>
実施例1、比較例1、及び比較例2の溶剤に「エトセルSTD(45cps)」(ダウ・ケミカル社製)を完溶して得られた10重量%エチルセルロース溶液について、粘弾性測定装置(商品名「HAAKE RheoStress 6000」、サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製)を使用して粘弾性測定を行った。測定条件は25℃でせん断速度を5〜100s-1の間で1次連続的に変化させて、約5s-1毎に(合計19点)せん断粘度を測定し、下記式からTI値を算出し、下記基準でチキソトロピー性を評価した。結果を下記表3及び図1に示す。
TI=[せん断速度5(s-1)におけるせん断粘度(mPa・s)]/[せん断速度100(s-1)におけるせん断粘度(mPa・s)]
チキソトロピー性の評価基準
TI値が2.5〜4.5の範囲内である:○
TI値が2.5〜4.5の範囲外である:×
Figure 0006666856
本発明の印刷法による電子部品製造用溶剤は、導体インクに配合するエチルセルロースの溶解性に優れ、且つ、被塗布面部材を形成するポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂は溶解することない。そのため、シートアタック現象の発現を効果的に抑制又は防止することができる。その上印刷法により微細パターンを精度良く形成することができ、印刷パターンの微細化、高密度化、高精度化に対応することができる。
そして、本発明の印刷法による電子部品製造用溶剤を導体インクに使用すれば、焼成により生じるエチルセルロース由来の残渣を低減することが可能となる。また、70〜150℃程度の温度条件下でも速やかに乾燥させることができ、加熱乾燥による被塗布面部材の軟化、変形を防止することができる。

Claims (4)

  1. 下記式(1)
    1O−(A−O)3−R2 (1)
    (式中、 1 はメチル基、R 2 はn−プロピル基、Aは炭素数2〜3の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を示す)
    で表される化合物を1種又は2種以上含有する印刷法による電子部品製造用溶剤。
  2. 式(1)で表される化合物がトリプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテルである請求項1に記載の印刷法による電子部品製造用溶剤。
  3. 電子部品が積層セラミック部品である請求項1又は2に記載の印刷法による電子部品製造用溶剤。
  4. 電子部品が積層セラミックコンデンサである請求項1又は2に記載の印刷法による電子部品製造用溶剤。
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