1.播種施設の全体構成
以下に、本願発明を具備した播種施設の全体構成について、図面に基づいて説明する。図1は、播種施設を示す概略平面図であり、図2は、播種施設における播種作業室の概略側面図であり、図3は、播種施設における種籾搬送機構の概略正面図である。
図1に示す如く、播種施設は、種子(種籾など)を水に浸漬させて催芽する浸種槽や塩水消毒槽などを備える種子処理室1と、床土及び覆土を形成する原料土や床土に混合させる肥料及び農薬などを格納する培土置室2と、育苗箱17に床土、種子、及び覆土を供給する播種装置8が設置された播種作業室3と、播種作業室3で播種済みとなった育苗箱17が搬入されて出芽させる出芽室4と、出芽室4で出芽した育苗箱17が搬入されて一定期間育苗する緑化室5とで構成されている。なお、出芽室4及び緑化室5は、引戸などで仕切られており、稲苗並びに各種野菜の苗の発育に応じた温度及び湿度に調節するように構成されている。
図1及び図2に示す如く、播種作業室3において、播種装置8は、育苗箱17を搬送する播種用搬送コンベヤ(搬送装置)9と、播種用搬送コンベヤ9を搬送される育苗箱17に床土を投入する土入れ機(床土供給装置)10と、床土が敷き詰められた育苗箱17に種子を播種する播種機(種子供給装置)11と、種子が播種された育苗箱17に覆土を投入する覆土機(覆土供給装置)12とを備える。また、培土置室2から供給される床土を貯留する床土タンク14が、土入れ機10上方に設けられ、種子処理室1で催芽処理された種子(催芽籾)を貯留する種子タンク15が、播種機11上方に設けられ、培土置室2から供給される覆土を貯留する覆土タンク16が、覆土機12上方に設けられている。
図2に示す如く、播種施設の1階フロアにおいて、播種作業室3が構成されており、播種施設の2階フロアでは、洗浄された空の育苗箱17が多段に積み重ねられた積層状育苗箱17Aが、ストックコンベヤ(図示省略)上で保管されている。ストックコンベヤの終端には、一組の積層状育苗箱17Aを受けて待機させる待機コンベヤ19が設置され、待機コンベヤ19は、播種施設の2階フロアから1階フロアへ一組の積層状育苗箱17Aを下降させる育苗箱自動供給装置20と連結している。育苗箱自動供給装置20は、積層状育苗箱17Aを下降するリフト21と、1階フロアに下降された積層状育苗箱17Aから育苗箱17を1箱ずつ分離して播種装置8に供給する育苗箱分離供給機22とを備える。
播種用搬送コンベヤ9の送り始端側に育苗箱自動供給装置20の育苗箱分離供給機22を配設させており、育苗箱分離供給機22から順次送り出される育苗箱17が、播種用搬送コンベヤ9に供給される。一方、播種用搬送コンベヤ9の送り終端側に箱排出コンベヤ23が配設されており、箱排出コンベヤ23から送出される播種済みの育苗箱17が育苗台車24に積重ね搭載される。播種済みの育苗箱17を搭載した育苗台車24が、次工程の出芽室4に搬送されると、出芽室4内に所定期間保管される。出芽室4内で出芽した育苗箱17を搭載した育苗台車24は、次工程の緑化室5に搬送され、苗が所定の大きさまで育成されるまで緑化室5に保管される。なお、育苗台車24が、苗の育成状態に応じて出芽室4と緑化室5とで異なるものとされる場合、出芽室4で出芽した育苗箱17が、出芽室4用の育苗台車(出芽台車)24から、緑化室5用の育苗台車(緑化台車)24に積み替えられる。
2.播種装置
次いで、播種作業室3に設置される播種装置8について、図3〜図7を参照して、以下に説明する。図3〜図7に示す如く、播種装置8は、床土コンベヤ9A上に土入れ機10を設置した床土ユニット8Aと、播種コンベヤ9B上に播種機11を設置した播種ユニット8Bと、覆土コンベヤ9C上に覆土機12を設置した覆土ユニット8Cとを直列に連結して構成されている。すなわち、播種装置8は、育苗箱17の搬送方向に従って、床土ユニット8A、播種ユニット8B、覆土ユニット8Cの順に連結されて構成されている。なお、以下の説明において、図3などに示す如く、播種用搬送コンベヤ9の搬送方向を前後方向とし、播種用搬送コンベヤ9の幅方向を左右方向とする。
また、播種用搬送コンベヤ9は、ユニット8A〜8C毎に分離可能に構成されており、床土コンベヤ9A、播種コンベヤ9B、及び覆土コンベヤ9Cが連結されることで、育苗箱分離供給機22からの育苗箱17を搬送する搬送装置として構成される。すなわち、床土コンベヤ9Aの搬送方向終端側と播種コンベヤ9Bの搬送方向始端側とが中継コンベヤ9Dを介して連結されるとともに、覆土コンベヤ9Cの搬送方向始端側が播種コンベヤ9Bの搬送方向終端側と連結されて、播種用搬送コンベヤ9が構成されている。
各コンベヤ9A〜9Dはそれぞれ、床面より立設された脚フレーム26により支持された左右一対の側縁フレーム27に軸支されたガイドローラ28により、育苗箱17を側縁フレーム27の延設方向に沿って搬送させる。また、床土コンベヤ9Aの搬送始端側における搬入部には、搬入ベルト29が設けられており、育苗箱自動供給装置20から受けた育苗箱17が、床土コンベヤ9Aのガイドローラ28まで誘導される。また、コンベヤ9B〜9Dそれぞれの搬送始端側には、コンベヤ9D,9B,9C,9Aそれぞれの搬送終端側と連結する連結部30が設けられており、この連結部30によりコンベヤ9A〜9Dを連結することで、後述の搬送用駆動モータ37からの動力がコンベヤ9A〜9Dそれぞれのガイドローラ28及び搬入ベルト29に伝達される。
床土ユニット8Aは、床土コンベヤ9Aにおける左右側縁フレーム27上に土入れ機10を架設して構成されており、土入れ機10よりも搬送上流側(後側)の搬入部には、高さ規制部31が設けられている。高さ規制部31は、左右両側で前方下側に向けて斜行するように設けられた規制板の先端を、育苗箱17の左右側壁上面に接触させることで、土入れ機10に搬送する育苗箱17の高さ位置を規制する。これにより、高さ規制部31よりも搬送方向下流側(前側)において、育苗箱17が上下に重なることなく、1箱ずつ連続的に床土コンベヤ9A上を搬送される。
また、床土ユニット8Aの土入れ機10の搬送下流側(前側)には、育苗箱17内の床土を均す均平機32と、育苗箱17の前後隅に堆積した余分な土を均す隅取り機33と、育苗箱17に敷き詰められた床土に散水する灌水機34とが、前側から、灌水機34、隅取り機33、均平機32の順に設けられている。均平機32、隅取り機33、及び灌水機34は、左右側縁フレーム27に架設されており、床土コンベヤ9Aで搬送される育苗箱17が、均平機32、隅取り機33、及び灌水機34それぞれの下方を通過する。
隅取り機33は、育苗箱17の前隅に堆積した土を後方に均すように押圧する前隅取り機33Aと、育苗箱17の後隅に堆積した土を押圧しながら掻き取る後側隅取り機33Bとで構成されている。また、灌水ポンプ35が、灌水機34上方に載置されており、灌水ポンプ35により貯水槽などから吸い上げられた水が灌水機34に供給される。灌水ポンプ35が灌水機34上部に設置されて、灌水ポンプ35を灌水機34と上下一体に構成することで、床土ユニット8Aの小型化を図れるとともに、灌水ポンプ35と灌水機34とを接続する給水経路を短尺化できる。
床土ユニット8Aは、床土コンベヤ9A上を搬送される育苗箱17に対して、まず、土入れ機10により床土が投入されると、育苗箱17に投入された床土表面が均平機32により均される。その後、床土が均された育苗箱17は、前隅取り機33Aを通過して、育苗箱17前隅の余分な土が掻き取られるか押圧された後、後隅取り機33Bを通過して、育苗箱17後隅の余分な土が掻き取られるか押圧されて、育苗箱17における前後隅の床土の高さが均される。このようにして床土が均一に敷き詰められた育苗箱17が、床土コンベヤ9Aにより灌水機34に搬送されると、灌水ポンプ35を通じて灌水機34に供給された水が育苗箱17の床土表面に噴霧される。
播種ユニット8Bは、播種コンベヤ9Bにおける左右側縁フレーム27上に播種機11を架設して構成されており、播種機11よりも搬送上流側(後側)には、播種コンベヤ9B上方にコントローラ36が設置される一方、播種コンベヤ9B下方に搬送用駆動モータ37が設置される。また、播種ユニット8Bの播種機11の搬送下流側(前側)には、育苗箱17の外周縁に周設された前後左右の側壁上面の種子を掃き落とす種子落とし機38が設置される。コントローラ36及び種子落とし機38は、左右側縁フレーム27に架設されており、播種コンベヤ9Bで搬送される育苗箱17が、コントローラ36及び種子落とし機38それぞれの下方を通過する。
コントローラ36は、土入れ機10、播種機11、覆土機12、灌水ポンプ35、及び搬送用駆動モータ37と電気的に接続しており、播種機11、覆土機12、灌水ポンプ35、及び搬送用駆動モータ37それぞれの駆動を制御する。すなわち、コントローラ36は、土入れ機10及び覆土機12それぞれの動作を制御することで、育苗箱17に投入される床土量及び覆土量を調整し、播種機11の動作を制御することで、育苗箱17への播種量を調整し、灌水ポンプ35の動作を制御することで、灌水機34,39による育苗箱17への灌水量を調整する。また、コントローラ36は、搬送用駆動モータ37の動作を制御することで、播種用搬送コンベヤ9による育苗箱17の搬送速度を調整する。
搬送用駆動モータ37は、コントローラ36からの信号を受けて駆動するとともに、その回転速度が制御される。搬送用駆動モータ37からの回転動力が、動力伝達機構42を通じて、播種ユニット8Bの側縁フレーム27に設けられた搬送チェーン41に伝達されることで、ガイドローラ28を回転させる。また、播種装置8における各連結部30には、動力中継機構43が設けられており、各コンベヤ9A〜9Dそれぞれにおける搬送チェーン41に、搬送用駆動モータ37からの回転動力が伝達される。これにより、各コンベヤ9A〜9Dにおけるガイドローラ28が回転するとともに、均平機32、種子落とし機38、及び覆土落とし機40それぞれが動作する。
播種ユニット8Bは、灌水後の床土が敷き詰められた育苗箱17を、床土ユニット8Aの床土コンベヤ9Aから、中継コンベヤ9Dを介して、播種コンベヤ9Bで受けて、播種機11下方へ育苗箱17を搬送する。播種コンベヤ9Bが育苗箱17を搬送することで、育苗箱17が、播種機11及び種子落とし機38下方を通過する。これにより、育苗箱17に種子が播種機11で播種された後、育苗箱17の側壁上面に播かれた種子が種子落とし機38で掃き落とされる。
覆土ユニット8Cは、覆土コンベヤ9Cにおける左右側縁フレーム27上に覆土機12を架設して構成されており、覆土機12よりも搬送上流側(後側)に、灌水ポンプ35から給水される灌水機39が設置される一方、覆土機12よりも搬送下流側(前側)に、育苗箱17における前後左右の側壁上面の覆土を掃き落とす覆土落とし機40が設置される。コントローラ36及び覆土落とし機40は、左右側縁フレーム27に架設されており、覆土コンベヤ9Cで搬送される育苗箱17が、灌水機39及び覆土落とし機40それぞれの下方を通過する。
覆土ユニット8Cは、播種後の育苗箱17を、播種ユニット8Bの播種コンベヤ9Bから、覆土コンベヤ9Cで受けて、灌水機39下方へ育苗箱17を搬送する。覆土コンベヤ9Cが育苗箱17を搬送することで、育苗箱17が、灌水機39、覆土機12及び覆土落とし機40下方を通過する。これにより、まず、灌水ポンプ35を通じて灌水機34に供給された水が育苗箱17の播種後の床土表面に散水された後、覆土機12により覆土が育苗箱17に投下される。育苗箱17が覆土機12を通過することで、播種後の床土表面に覆土が敷き詰められると、覆土落とし機40により、育苗箱17の側壁上面に投下された余分な土(覆土)が掃き落とされる。
3.播種ユニット
上述の播種装置8における播種ユニット8Bの詳細について、図7〜図12を参照して以下に説明する。図7〜図12に示す如く、播種ユニット8Bは、中継コンベヤ9Dの終端側と連結部30で連結された播種コンベヤ9Bを備えており、コントローラ36、播種機11、及び種子落とし機38が搬送方向上流側から順に播種コンベヤ9Bに上載されるとともに、コントローラ36下方となる位置に、搬送用駆動モータ37が播種コンベヤ9Bに吊り下げ支持されている。
図7〜図12に示す如く、播種コンベヤ9Bは、前後方向(育苗箱17搬送方向)に沿って平行に延設された2本の側縁フレーム27を床面から立設された脚フレーム26で支持した構成を有している。また、左右一対の側縁フレーム27に対して複数本の梁フレーム44が架設されることで、左右の側縁フレーム27が等間隔となるように設置されており、ガイドローラ28を左右に備えたローラ軸45(播種コンベヤ9B前後端側のローラ軸45F,45Bを含む)が2本の側縁フレーム27両方に回転可能に軸架されている。ローラ軸45は、前後方向に沿って等間隔に配置されており、ローラ軸45の左右両端が左右の側縁フレーム27を貫通して軸支されている。
また、左側縁フレーム27外側(左側)において、搬送チェーン41が側縁フレーム27に沿うようにして張設されており、搬送チェーン41に噛合する搬送スプロケット46がローラ軸45の左端に固定されている。搬送チェーン41は、側縁フレーム27に沿って配置された複数の搬送スプロケット46と、搬送スプロケット46の下側に配置された補助スプロケット47に巻装されている。本実施形態では、側縁フレーム27の前端側、後端側、及び中央の三箇所に、補助スプロケット47が回転可能に軸支されており、搬送チェーン41の上側が、搬送スプロケット46と噛合する一方、搬送チェーン41の下側が、補助スプロケット47と噛合している。
播種コンベヤ9Bにおけるローラ軸45のうち、播種コンベヤ9B前端側(搬送方向下流側)のローラ軸45F及び播種コンベヤ9B後端側(搬送方向上流側)のローラ軸45Bはそれぞれ、その左端を他のローラ軸45の左端よりも左側に突出している。そして、前後端側ローラ軸45F,45Bそれぞれは、搬送スプロケット46よりも左側(外側)に中継スプロケット48を回転不能に軸通している。前端側ローラ軸45Fの中継スプロケット48は、覆土コンベヤ9Cの後端側ローラ軸45Bの中継スプロケット48とともに、その外周に搬送中継チェーン49が巻回されている。同様に、後端側ローラ軸45Bの中継スプロケット48は、中継コンベヤ9Dの前端側ローラ軸45Fの中継スプロケット48とともに、その外周に搬送中継チェーン49が巻回されている。
播種コンベヤ9Bにおける左右の側縁フレーム27前端が、覆土コンベヤ9Cにおける左右の側縁フレーム27後端と、連結ブラケット50で連結されている。同様に、播種コンベヤ9Bにおける左右の側縁フレーム27後端が、中継コンベヤ9Dにおける左右の側縁フレーム27前端と、連結ブラケット50で連結されている。側縁フレーム27前後に固定された連結ブラケット50に補助スプロケット51が回転可能に軸支されている。連結ブラケット50の補助スプロケット51と上述の中継スプロケット48の外周側に、搬送中継チェーン49が周装されることで、播種コンベヤ9Bの前後端に動力中継機構43が構成されている。
播種コンベヤ9Bは、後端側ローラ軸45Bの左端が、前端側ローラ軸45Fの左端よりも左側に突出しており、後端側ローラ軸45Bの左端に、入力スプロケット52が回転不能に軸着されている。すなわち、後端側ローラ軸45Bには、搬送スプロケット46、中継スプロケット48、及び入力スプロケット52が、側縁フレーム27左側(外側)から後端側ローラ軸45Bの左端に向かって順番に配置されている。また、搬送用駆動モータ37のモータ軸53が左側方(外側)に突出しており、モータ軸53の先端(左端)には、出力スプロケット54が回転不能に軸着している。そして、後端側ローラ軸45B左端の入力スプロケット52とモータ軸53先端の出力スプロケット54との外周に、搬送駆動チェーン55が周装されている。
搬送用駆動モータ37は、モータ取付フレーム56を介して、側縁フレーム27に吊り下げ固定されて、後端側ローラ軸45Bの下方位置に配置されている。すなわち、モータ取付フレーム56が、左右の側縁フレーム27の下端にボルト締結されており、搬送用駆動モータ37が、モータ軸53を左側の側縁フレーム27より左側方に向けて突出させるように、モータ取付フレーム56にボルト締結される。また、左側縁フレーム27の左側、及び右側縁フレーム27の右側が、側部カバー57により覆われるとともに、左側縁フレーム27の前後端に設けた連結部30が連結部カバー58で覆われる。
播種コンベヤ9Bでは、搬送用駆動モータ37からの回転動力が、モータ軸53の出力スプロケット54から出力されると、搬送駆動チェーン55を介して、入力スプロケット52に伝達される。搬送用駆動モータ37からの回転動力に基づき、入力スプロケット52が回転すると、入力スプロケット52と後端側ローラ軸45Bで同軸となる搬送スプロケット46及び中継スプロケット48が、後端軸ローラ軸45Bと共に回転駆動する。後端側ローラ軸45Bの搬送スプロケット46が回転することで、搬送チェーン41を介して、前後端側ローラ軸45F,45Bを含むローラ軸45全てにおける搬送スプロケット46が回転する。これにより、播種コンベヤ9Bにおけるガイドローラ28を回転させ、播種コンベヤ9B上で育苗箱17を搬送させる。
また、前後端側ローラ軸45F,45Bが回転することで、前後端側ローラ軸45F,45Bの中継スプロケット48が回転するため、搬送中継チェーン49を介して、覆土コンベヤ9C及び中継コンベヤ9Dそれぞれに、搬送用駆動モータ37からの回転動力を伝達できる。更に、搬送用駆動モータ37からの回転動力が、中継コンベヤ9Dから連結部30を介して床土コンベヤ9Aにも伝達される。これにより、床土コンベヤ9A、覆土コンベヤ9C、及び中継コンベヤ9Dそれぞれにおけるガイドローラ28が、播種コンベヤ9Bのガイドローラ28と同様に回転し、育苗箱17が、床土コンベヤ9A、中継コンベヤ9D、播種コンベヤ9B、覆土コンベヤ9Cの順に搬送される。
門型の架台フレーム59の脚部が、左右の側縁フレーム27上面に固定されることで、架台フレーム59が、左右の側縁フレーム27上方で搬送用駆動モータ37と重なる位置に架設されている。コントローラ36が、架台フレーム59上面に載置されており、土入れ機10、播種機11、覆土機12、灌水ポンプ35、及び搬送用駆動モータ37等と電気的に接続することで、床土量、播種量、覆土量、灌水量、及び育苗箱17の搬送速度などを制御する。コントローラ36が、左右の側縁フレーム27を架橋するようにして配置されるため、育苗箱17搬送方向に沿ったコントローラ36の設置長さが短くなり、播種ユニット8Bをコンパクトに構成できる。
播種機11は、上面が開口して種子を受ける種子ホッパー60と、種子ホッパー60から種子を受けて育苗箱17に投下する2つの繰り出しローラ62と、2つの繰り出しローラ62を回転駆動するローラ駆動モータ63とを備える。種子ホッパー60下側が二股に形成されており、2つの種子供給口64が前後に設けられている。種子ホッパー60の種子供給口64それぞれの下方には、互いに回転が逆となる繰り出しローラ62を前後に配置している。
種子タンク15(図1など参照)から種子を種子ホッパー60で受けると、種子受けホッパー61における前後の種子供給口64から、前後の繰り出しローラ62それぞれ上方に種子が供給される。繰り出しローラ62がローラ駆動モータ63により回転することで、種子供給口64直下の繰り出しローラ62の周面で把持された種子が育苗箱17上方に移動した後、育苗箱17に投下される。
繰り出しローラ62を前後一対に配置したため、育苗箱17への播種量が多い場合であっても、ローラ駆動モータ63の回転速度を抑えることができ、ローラ駆動モータ63にかかる負荷を軽減できる。更に、前後の繰り出しローラ62の回転方向を逆方向とすることで、育苗箱17の搬送方向に対して、前後の繰り出しローラ62からの播種方向が逆になるため、育苗箱17の前後隅での播種不足を解消できる。
上述のように、播種機11は、種子ホッパー60下側を二股に形成して、2つの種子供給口64を前後に設けており、各種子ホッパーの下方に互いに回転が逆となる前後繰り出しローラ62を配置している。前後繰り出しローラ62の回転方向を互いに逆方向とすることで、育苗箱17の搬送方向に対して、前後繰り出しローラ62からの播種方向が異なるため、育苗箱17の前後隅側での播種不足を解消できる。このとき、前後繰り出しローラ62の回転速度を変化させることで、育苗箱17の移動速度を作業者の作業速度に合わせて設定できる。
種子落とし機38は、播種機11前方であって、その一部分が播種機11の前方部分と上下で重なる位置に固定されており、回転駆動する種子落としブラシ91を軸支している。種子落としブラシ91におけるブラシ回転軸91aの両端は、左右の側縁フレーム27上面に固定された筐体92の左右側面それぞれに設けられた左右支持プレート93の中途部に、回転可能に軸支されている。
左右の支持プレート93は、筐体92の左右側面外側に設けられており、その一端が高さ調節ボルト94と連結される一方、その他端が筐体92の左右側面に軸支されている。筐体92の左右側面には、種子落としブラシ91のブラシ回転軸91aを貫通させる縦長状の貫通穴が穿設されている。このとき、高さ調節ボルト94が操作された際、左右の支持プレート93が筐体92の左右側面における軸支部分を中心に揺動することで、ブラシ回転軸91aを貫通穴に沿って上下に移動させて、種子落としブラシ91の上下位置を調整する。
種子落とし機38は、右支持プレート93に回転可能な中継軸96を軸支しており、中継軸96右端には、ブラシ駆動出力プーリ97及びブラシ駆動中継チェーン101を介して前端側ローラ軸45Fの回転動力が伝達されるブラシ駆動入力プーリ98が軸着されている。なお、ブラシ駆動出力プーリ97は、右側縁フレーム27から突出した前端側ローラ軸45Fの右端に軸着している。
中継軸96は、右支持プレート93における筐体92の右側面への軸支位置に設けられており、中継軸96の右支持プレート93側には、ブラシ駆動中継プーリ99が相対回転不能に嵌装されている。また、種子落としブラシ91のブラシ回転軸91aが、右支持プレート93を貫通しており、種子落としブラシ91から突出させたブラシ回転軸91aの右端にブラシ駆動プーリ100が嵌装されている。そして、ブラシ駆動中継プーリ99及びブラシ駆動プーリ100の外周部分にブラシ駆動チェーン102が巻装されており、前端側ローラ軸45Fから中継軸96に伝達された回転動力が、ブラシ回転軸91aに伝達される。
種子落とし機38は、ブラシ駆動中継チェーン101及びブラシ駆動チェーン102により、前端側ローラ軸45Fの回転動力が、中継軸96を介して、ブラシ回転軸91aに伝達されることで、種子落としブラシ91を回転させる。種子落としブラシ91の外周面が、播種コンベヤ9Bを通過する育苗箱17の前後左右の側縁上面に当接しながら回転することで、育苗箱17の側縁上の種子を掃き落とす。
4.播種機(種子供給装置)
上述の播種ユニット8Bにおける播種機(種子供給装置)11の詳細について、図8〜図16を参照して以下に説明する。播種機11は、種子ホッパー60を、上段の種子受けホッパー61と、下段の種子配列ホッパー80との二段で構成している。播種機11は、種子を受けて一時的に貯留する種子受け種子受けホッパー61の底部に前後一対の種子供給口64が設けられており、前後の種子供給口64下側に前後一対の繰り出しローラ62に配置されている。前後の繰り出しローラ62は、ローラ駆動モータ63からの回転動力が伝達されて、互いに逆方向に回転駆動される。
前後一対の繰り出しローラ62のうちの一方が、育苗箱17搬送方向に対して垂直となる方向(左右方向)にローラ軸65が延設されており、ローラ駆動チェーン66を介して、ローラ駆動モータ63のモータ軸67からの動力がローラ軸65に入力される。本実施形態では、ローラ軸65先端に軸着された繰り出し入力スプロケット68と、モータ軸67先端に軸着された繰り出し出力スプロケット69とが、ローラ駆動チェーン66で巻回されることで、ローラ駆動モータ63からの回転動力が前繰り出しローラ62に伝達される。また、前後の繰り出しローラ62はそれぞれ、左右一対の側板70に対して回転自在に軸支されている。
本実施形態では、ローラ駆動モータ63が、左側板70に固定されて、前繰り出しローラ62の前方上側に配置されている。前繰り出しローラ62のローラ軸65左端と、ローラ駆動モータ63のモータ軸67左端とが、左側板70を貫通して、左側板70左側でローラ駆動チェーン66を介して連結している。一方、後繰り出しローラ62のローラ軸65右端と、後ローラ駆動モータ63のモータ軸67右端とが、右側板70を貫通して、右側板70右側で逆転機構111を介して連結している。即ち、前繰り出しローラ62がローラ駆動モータ63と接続される一方で、後繰り出しローラ62が逆転機構111を介して前繰り出しローラ62と接続されることで、前後一対の繰り出しローラ62の回転が互いに逆となる。
前後の繰り出しローラ62におけるローラ軸65は、左右の側板70の貫通穴に嵌着された軸受け71により、回転可能に軸支されている。すなわち、播種コンベヤ9Bにおける左右一対の側縁フレーム27それぞれの上面から立設された左右一対の側板70に対して、前後一対の繰り出しローラ62のローラ軸65両端が、軸受け71を介して軸支されている。従って、左右一対の側板70が、前後一対の繰り出しローラ62を左右から把持するようにして、側板70の下側部分で前後一対の繰り出しローラ62を軸支して、前後一対の繰り出しローラ62と一体に構成されている。
側板70は、上方部分を前側(育苗箱17搬送方向の下流側)に張り出した形状を有しており、左側板70における前張り出し部分に、ローラ駆動モータ63が固定される。そして、左右側板70の前張り出し部分(播種機11の前張り出し部分)の下方に種子落とし機38が配置され、播種機11前方部分が種子落とし機38とオーバーラップするようにして設置される。そのため、播種機11と種子落とし機38の設置長さを短くでき、播種ユニット8Bの搬送方向長さ(前後方向長さ)を短尺化して、コンパクトに構成できる。また、左右側板70を架橋するように補強フレーム72が、ローラ駆動モータ63後方及び後ローラ駆動モータ63前方それぞれに架設されており、播種機11の剛性を向上させている。
繰り出しローラ62のローラ軸65とローラ駆動モータ63のモータ軸67とを連結するローラ駆動チェーン66は、繰り出し入力スプロケット68及び繰り出し出力スプロケット69と共に、チェーンカバー73により覆われている。本実施形態では、前繰り出しローラ62のローラ軸65左端の繰り出し入力スプロケット68と、モータ軸67左端の繰り出し出力スプロケット69とが、その外周を巻回するローラ駆動チェーン66と共に、左側板70の前方左側面に固定されるチェーンカバー73に覆われる。
前後一対の繰り出しローラ62のローラ軸65はそれぞれ、右側板70より貫通しており、逆転機構111を介して連結することで、前繰り出しローラ62の回転動力が、逆転機構111で逆転されて、後繰り出しローラ62に伝達される。このとき、ローラ駆動モータ63から繰り出しローラ65へ動力を伝達するローラ駆動チェーン66等による動力伝達機構と、前後一対の繰り出しローラ間で動力を伝達させる逆転機構111とが、育苗箱17の搬送路となる播種コンベヤ9Bを挟んで互いに逆側に配置されている。上記動力伝達機構と逆転機構111を播種機11の左右に振り分け配置することで、播種機11の左右幅を狭く構成し、装置の小型化を図れる。
逆転機構111は、前繰り出しローラ62右端に軸着された中継出力ギヤ112と、中継出力ギヤ112と噛合する中継入力ギヤ113と、中継軸114により中継入力ギヤ113と同軸に設けられた繰り出し中継スプロケット115と、後繰り出しローラ62右端に軸着された繰り出し入力スプロケット116と、繰り出し中継スプロケット115及び繰り出し入力スプロケット116を巻回するローラ中継チェーン117とで構成されており、チェーンカバー118と右側板70とで被覆されている。中継入力ギヤ113及び中継スプロケット115は、中継軸114の中途部に回転不能に軸着されており、中継軸114両端が右側板70及びチェーンカバー118それぞれに軸受けなどを介して回転可能に軸支されている。
逆転機構111は、ローラ駆動モータ63の回転動力を受けて回転する前繰り出しローラ62の回転により、前繰り出しローラ62と同一方向に中継出力ギヤ112が回転することで、中継出力ギヤ112と噛合する中継入力ギヤ113が、繰り出しローラ62と逆方向に回転する。本実施形態では、中継出力ギヤ112の歯数を中継入力ギヤ113の歯数より多く設定することで、前繰り出しローラ62のローラ軸65の回転速度を増速して中継軸114に伝達させる。そして、中継入力ギヤ113と中継軸114で同軸配置された繰り出し中継スプロケット115が、前繰り出しローラ62と逆方向で回転することで、中継入力ギヤ113及び中継入力ギヤ113で増速された回転動力が、ローラ中継チェーン117を介して繰り出し入力スプロケット116に伝達され、後繰り出しローラ62が前繰り出しローラ62と逆方向で回転する。本実施形態では、繰り出し中継スプロケット115及び繰り出し入力スプロケット116の歯数を同一としている。
種子受けホッパー61は、種子受け口を上方で開口して、種子タンク15などから投入される種子を上方から受ける。そして、種子受けホッパー61の底部を二股に構成して、前後2箇所に種子供給口64を設け、種子受けホッパー61下方に配置された前後一対の繰り出しローラ62それぞれに種子を供給する。種子受けホッパー61は、種子受け口側(上側)から種子供給口64側(下側)に向かって、段階的に平面断面による断面積が小さくなるように構成されている。
種子受けホッパー61は、左右側板70上端よりも上側で、上端の種子受け口に向かって広がるような形状を有する種子受け部74と、左右側板70に囲まれた空間に挿入される種子貯留部75とを上下に連結した形状を有する。種子貯留部75が、左右側板70の上縁側で連結されて、左右の側板70間における繰り出しローラ62の上方位置で、吊り下げ固定されている。種子貯留部75は、底部の中心が上方に凸状となる二股形状を有しており、底部の前後に種子供給口64を開口させている。前後の種子供給口64は、前後の繰り出しローラ62それぞれにおける最上部近傍の上方に位置し、前後の繰り出しローラ62の最上部で挟まれた空間に向けて種子を投入する形状を備える。
種子受けホッパー61は、種子貯留部75における前後の側壁板76の下端を斜め下方に屈曲させた外側投入板部77、前後の側壁板76の間に山形(逆V字状)に屈曲させた内側投入板78を設けている。側壁板76先端(外側投入板部77先端)と内側投入板78先端とは離間させて配置されており、側壁板76先端(外側投入板部77先端)と内側投入板78先端との間の開口部により種子供給口64を構成する。
前壁板76先端が、後方下側に向けて屈曲されて、内側投入板78前端よりも下方に向かって延設された外側投入板部77が構成される。そして、外側投入板部77先端(後端)と内側投入板78前端とによる開口部により、前繰り出しローラ62の最上部近傍から後方に向かって種子を投入する前種子供給口64を構成する。同様に、後壁板76先端が、前方下側に向けて屈曲されて、内側投入板78後端よりも下方に向かって延設された外側投入板部77が構成され、外側投入板部77先端(前端)と内側投入板78後端との開口部で、後繰り出しローラ62の最上部近傍から前方に向かって種子を投入する前種子供給口64が構成されている。
上述のように、種子受けホッパー61の前後の側壁板76の下端から装置内側に向けて斜め下方に延設させた外側投入板部77の間に、逆V字状(∧形状)に屈曲させた内側投入板78を設置して、前後の種子供給口64を、前後繰り出しローラ62で挟まれた装置内側空間に向かって開口させている。また、前後繰り出しローラ62は、その最上部が装置外側に向かうように回転する。
すなわち、前後の種子供給口64が前後繰り出しローラ62の最上部近傍を臨むような位置に配置され、前後繰り出しローラ62それぞれの回転方向が前後種子供給口64それぞれからの種子の投入方向に向かう方向となるように、前後繰り出しローラ62が互いに逆方向に回転している。従って、繰り出しローラ62が、種子供給口64から投入される種子を受け易くなるだけでなく、種子受けホッパー61と繰り出しローラ62とによる空間で種子が滞留することを抑制できる。そのため、繰り出しローラ62外周面の種子受け溝62aに種子を均一且つ確実に把持させることができるだけでなく、種子の滞留による繰り出しローラ62の回転動作への障害を防止できるため、育苗箱17に対して均一な播種を実行できる。
内側投入板78の端部にスライド可能な投入量調整板79を設けて、種子受けホッパー61から繰り出しローラ62への種子の投入量を調整可能に構成している。すなわち、内側投入板78の前後端それぞれに、内側投入板78の斜行方向に沿って移動可能な投入量調整板79が固定されている。この投入量調整板79を内側投入板78に対して相対的にスライドさせて固定することで、繰り出しローラ62への種子の投入量を簡単に調整できる。そのため、繰り出しローラ62からの繰出量を調整することで、播種機11による播種量を精密に調整し、育苗箱17へムラなく播種できる。
播種機11は、種子受けホッパー61から投入される種子を受けて繰り出しローラ62に把持させる種子配列ホッパー80を備える。種子配列ホッパー80は、前後一対の繰り出しローラ62それぞれの上部を覆うようにして、種子受けホッパー61下方で前後に設置されている。前後一対の種子配列ホッパー80は、その上方の開口部分に種子受けホッパー61底部における前後の種子供給口64それぞれが挿入される一方、その下方の開口部分に繰り出しローラ62の一部が挿入されている。
前後一対の種子配列ホッパー80は、前後一対の外側壁板81と、外側壁板81の間に設けた前後一対の内側壁板82とを、左右側板70に固定される左右側壁板83で連結されている。すなわち、種子配列ホッパー80は、外側壁板81、内側壁板82、及び左右側壁板83で前後左右を囲んで構成されており、その上端開口部に種子受けホッパー61底部の種子供給口64が挿入されるとともに、その下端開口部に繰り出しローラ62が挿入されている。前後の繰り出しローラ62はそれぞれ、種子受けホッパー61への挿入部分が内側壁板82から外側壁板81に向かう方向に回転する。すなわち、本実施形態では、左側面視したとき、前繰り出しローラ62が反時計回りの方向に回転する一方、後繰り出しローラ62が時計回りの方向に回転する。
前後外側壁板81それぞれの下端は、前後繰り出しローラ62の外周面に向かって延設されるとともに、上流側板ブラシ84が固定されている。また、前後内側壁板82は、その上端から中途部までが平行になるように並べて設置されており、その下端が互いに離間するように前後繰り出しローラ62の外周面に向かって延設されるとともに、下流側板ブラシ85が固定されている。すなわち、前後内側板82が、前後外側壁板81の間で逆Y字形状を構成するように配置されている。
上述のように、種子ホッパー60は、繰り出しローラ62上方を覆う種子配列ホッパー80の上側開口部に種子受けホッパー61の底部を挿入させた二段構成を有している。そして、種子受けホッパー61において、側壁板76下端側における外側投入板部77の傾斜方向と、内側投入板78の傾斜方向とを互いに交差させている。また、種子受けホッパー61の内側投入板78の傾斜方向と、種子配列ホッパー80における内側壁板82下側の傾斜方向とを略平行としている。
上記構成により、種子ホッパー60は、種子受けホッパー61と種子配列ホッパー80との連結部分に蛇行空間86が構成され、外側投入板部77及び内側投入板78が種子の流下ガイドとして機能する一方、外側投入板部77と内側壁板82とが緩衝板として機能する。そのため、種子受けホッパー61から種子配列ホッパー80に投入された種子は、蛇行空間86を通過することによって、繰り出しローラ62の外周表面に拡散して投下され、繰り出しローラ62の種子受け溝62aに種子が均等に配列される。
種子ホッパー60下方を覆う前後外側壁板81の下端を前後繰り出しローラ62外周面に向けて延設し、前後外側壁板81下端には、前後繰り出しローラ62外周面へ突出させた上流側板ブラシ84を設ける。上流側板ブラシ84が、繰り出しローラ62外周面からの種子の突出量を規制する規制板として機能するため、種子の大きさに合わせて、繰り出しローラ62の種子受け溝62aに種子を整列できる。そのため、繰り出しローラ62からの繰出量を調整し、育苗箱17にムラなく播種できる。
播種機11は、種子配列ホッパー80における外側壁板81下側に、繰り出しローラ62外周面に沿うように屈曲させた種子ガイド87を有している。種子ガイド87は、その左右両端が左右側板70に連結されて固定されており、繰り出しローラ62外周面に把持された種子を、外側壁板81下端位置から繰り出しローラ62の回転方向に沿うようにして下方へ案内し、育苗箱17内の床土上に投下させる。なお、種子ガイド87は、繰り出しローラ62外周面との距離が、上端側(外側壁板81側)から下端側(種子投下側)に向かって広がるような形状で屈曲している。
種子ガイド87の上端部分が、左右一対の側板70に締結固定されるとともに、種子ガイド87の下端部分が、左右一対の側板70設けられた長穴90にボルト90aで締結固定されている。長穴90は、円弧状に設けられており、ボルト90aの締結位置を長穴90に沿って変更することにより、種子ガイド87の傾斜角度を変更可能としている。これにより、種子ガイド87下端と繰り出しローラ62外周面との距離を変更することが可能となり、種子ガイド87に把持させる種子の大きさに応じて種子ガイド87の固定位置を変更できる。また、繰り出しローラ62の回転速度に合わせて種子ガイド87の傾斜角度を変更することにより、種子ガイド87からの種子の投下方向を調整し、育苗箱17に最適に種子を播くことができる。
播種機11は、播種コンベヤ9Bにより播種機11下方を通過する育苗箱17の位置を左右方向に規制する育苗箱ガイド88を備える。育苗箱ガイド88は、前後の種子配列ホッパー80それぞれの下方で、左右側板70それぞれに固定されている。すなわち、板バネ状となる左右一対の育苗箱ガイド88が、前後繰り出しローラ62下方に配置されており、前後繰り出しローラ62下方を通過する育苗箱17を左右から狭持することで、育苗箱17の左右位置を固定して、播種コンベヤ9B上を搬送させる。
育苗箱ガイド88は、育苗箱17の搬送方向上流側が側板70に固定されており、搬送方向上流側を播種コンベヤ9Bの左右中心に向かって突設させている。すなわち、左右一対の育苗箱ガイド88は、育苗箱17の搬送方向上流側から下流側に向かって、互いの距離を狭めるように配置されている。従って、播種機11は、前後繰り出しローラ62それぞれの下方において、育苗箱17の左右位置を一定とした状態で、育苗箱17を搬送することができ、育苗箱17外側への種子の投入を抑制でき、無駄なく種子を播種できる。
繰り出しローラ62は、図15に示す如く、複数の種子受け溝62aを軸方向と交差する方向に傾斜させたねじれ形状で構成している。すなわち、種子受け溝62aが、板ブラシ84,85それぞれの長手方向に対して傾斜するようにして構成されている。従って、1本の種子受け溝62aは、板ブラシ84,85それぞれに対して部分的に重なることとなる。そのため、種子受け溝62a間の凸部62bと板ブラシ84,85とが当接することで、上流側板ブラシ84や下流側板ブラシ近傍に貯留する種子を、種子受け溝62aに効率よく嵌め合わせることができ、1本の種子受け溝62aに効率よく種子を配列できる。
また、種子受け溝62aは、種子の大きさに応じて溝幅及び溝深さが設定される。そして、種子受け溝62aの溝幅及び溝深さの異なる繰り出しローラ62を交換可能とすることで、例えば、食用米、飼料米、長粒米などのように複数種類の種子に対して播種可能となる。更に、食用米用の播種機11において、溝幅の広い種子受け溝62aを備えた繰り出しローラ62を固定することで、種子受け溝62aでの種子(種籾)の把持量が多くなるため、育苗箱17に対する播種密度が高密度となる。従って、溝幅の広い種子受け溝62aを備えた繰り出しローラ62を播種機11に具備させることで、飼料米の播種に対応できるだけでなく、密苗方式による食料米の播種にも対応できる。
図16に示す如く、育苗箱17搬送方向上流側となる後繰り出しローラ62が、左側面視で時計回りに回転することで、育苗箱17の搬送方向と同方向に種子を投下する。一方、育苗箱17搬送方向下流側となる前繰り出しローラ62が、左側面視で反時計回りに回転することで、育苗箱17の搬送方向と逆方向に種子を投下する。これにより、後繰り出しローラ62から投下された種子が、育苗箱17の前隅から確実に播種される一方、前繰り出しローラ62から投下された種子が、育苗箱17の後隅まで確実に播種される。従って、前後繰り出しローラ62の回転を逆方向とすることで、育苗箱17の前後隅にも確実に種子を播種することができ、育苗箱17に対して精度よく且つ均一に播種できる。また、前後一対の繰り出しローラ62それぞれから投下される種子は、播種機11の内側に向かって投下されるため、播種機11外側に種子が投下されることがなく、育苗箱17内に投下されることなく漏下した種子を回収するための回収ホッパーの開口面積を小さく構成できる。
また、播種機11は、前後繰り出しローラ62を同径としており、後繰り出しローラ62の回転速度を前繰り出しローラ62の回転速度より速く設定する。即ち、育苗箱17の搬送方向と同方向に種子を投下する後繰り出しローラ62の回転速度が、育苗箱17の搬送方向と逆方向に種子を投下する前繰り出しローラ62の回転速度よりも速い。従って、前後繰り出しローラ62それぞれから投下される種子の育苗箱17に対する相対速度を近づけることができるため、育苗箱17に種子を精度良く均一に播種できる。また、繰り出しローラ62を同一径とすることで、種子ホッパー60から前後繰り出しローラ62それぞれへの種子の供給量を同量とできるため、種子ホッパー60における一方の種子供給口64に種子が滞留することを防止できる。
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願
発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。例えば、上記実施形態において、図17に示す如く、逆転機構111において、中継出力ギヤ112と中継入力ギヤ113の歯数を同一とする一方、繰り出し中継スプロケット115の歯数が繰り出し入力スプロケット116の歯数より多くなるよう構成することで、後繰り出しローラ62の回転速度を前繰り出しローラ62の回転速度より速く設定するものとしてもよい。これにより、歯数の異なる繰り出し中継スプロケット115を交換するだけで、前後一対の繰り出しローラ62それぞれの回転速度を育苗箱17の搬送速度に合わせて調整できる。また、中継出力ギヤ112の歯数を中継入力ギヤ113の歯数よりも多くすると同時に、繰り出し中継スプロケット115の歯数を繰り出し入力スプロケット116の歯数より多くするようにして、段階的に回転速度を速く設定できるものとしてもよい。
また、本実施形態では、前方に張り出した形状の播種機11が播種コンベヤ9B上に配置されるものとしたが、図18に示す如く、後方に張り出した形状の播種機11が播種コンベヤ9B上に配置されるものとしても構わない。この場合、側板70における後方の張り出し部分にローラ駆動モータ63を固定して、ローラ駆動モータ63のモータ軸67がローラ駆動チェーン66を介して後繰り出しローラ62のローラ軸65と接続されている。そして、後繰り出しローラ62の回転速度を前繰り出しローラ62の回転速度より速く設定するべく、後繰り出しローラ62のローラ軸65に固定された中継出力ギヤ112の歯数を中継入力ギヤ113の歯数を上記実施形態と逆に多く設定する。