JP6666629B2 - 収差補正器および電子顕微鏡 - Google Patents

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Description

本発明は、収差補正器および電子顕微鏡に関する。
走査電子顕微鏡(以下SEMと称する)や走査透過電子顕微鏡(以下STEMと称する)などの電子顕微鏡では、分解能を向上するために収差補正器が導入されている。収差補正器は、多段に設置された多極子レンズにより構成され、電場ないし磁場を発生することにより複数の多極子場を合わせた多極子レンズとして、内部を通過する電子線に含まれる収差を除去する。特許文献1には、多極子を用いた収差補正器が開示されている。特許文献1では、金属でできたくさび型の複数の極子を、中心軸向きに放射状に配置して、各々に電場ないしは磁場を印加することで、多極子場を発生させる構成となっている。特許文献2および特許文献3には、くさび型の多極子に代えて電流線からの磁場を直接用いて多極子場を発生さる技術が開示されている。ここではくさび型の極子の巻線が使用される。くさび型、巻線型いずれの収差補正器においても、共に機械的に高い位置精度が要求される。
特開2004−24119号公報 特開2009−054581号公報 特開2009−81138号公報
特許文献1記載の収差補正器は、複数の部品から構成されており、かつ極子先端は高い位置精度を満たす必要があるため、大量生産が難しく、製作時間とコストがかかる課題がある。そこで発明者等は、低コストで収差補正が可能と思われる巻線型の収差補正技術に着目し検討を行った。
低コスト化が可能な巻線型の収差補正器は、例えば特許文献2で提案されている。ここでは電流線1本を1極、又は同一電流線を複数本束ねたものを1極として多極子を形成するが、電流線の位置と径とによる空間的な制約と、中心軸を取り巻く電流線群が単層であり電流線に印加可能な電流の上限から、多極子場の強度に限界が生じ、適用可能な条件の範囲が狭くなることが危惧される。多極子場は4極子場、6極子場など複数の場を重畳して励起する。その際、多極場によって必要な電流量や感度が異なるが、これを印加する電源は同一である。電源は、最も強度が必要となる状況に応じて最大電流が決まり、最も感度が高いものに応じて変化幅の最小値が決まることから、制御精度の厳しい仕様を満たす必要があるものと思われる。
特許文献3には中心軸から一定距離にある四角状の配線を1極として多極子場を形成する構成が開示されている。多極子場強度を高めるため1極を円周方向(θ方向)に広げ、1極内で配線を複数回巻いているが、極子同士がオーバーラップするため、中心軸から極子までの距離が異なる極子同士では一定とならず、不要な収差が発生し性能が低下する恐れがある。さらに特許文献3の構成では、1極は四角状に2次元的に広がりを持つため位置精度を出すのが難しいこと、四角配線の上下の電流線から上下方向に不要な漏れ磁場が生じること等が危惧される。
本発明の目的は、収差補正範囲が広く、制御が容易で高精度の収差補正が可能な、且つ低コストな収差補正器および電子顕微鏡を提供することにある。
上記目的を達成するための一実施形態として、中心軸に電子線を通す開口と、
前記中心軸から第一の半径で離れた位置にて光軸と平行に配置され、第一の多極子場を励起する第一の電流線群と、
前記第一の半径よりも長さが大きい第二の半径で離れた位置にて光軸と平行に配置され、前記第一の多極子場とは異なる次数と強度である第二の多極子場を独立に励起する第二の電流線群と、を備えることを特徴とする収差補正器とする。
又、他の形態として、電子源と、電子源から放出された電子線の収差を補正する収差補正器と、前記電子線を試料に照射するための電子光学系と、を備えた電子顕微鏡において、
前記収差補正器は、中心軸に前記電子線を通す開口と、
前記中心軸から第一の半径で離れた位置にて光軸と平行に配置され、第一の多極子場を励起する第一の電流線群と、
前記第一の半径よりも長さが大きい第二の半径で離れた位置にて光軸と平行に配置され、前記第一の多極子場とは異なる次数と強度である第二の多極子場を独立に励起する第二の電流線群と、を備えることを特徴とする電子顕微鏡とする。
本発明によれば、収差補正範囲が広く、制御が容易で高精度の収差補正が可能な、且つ低コストな収差補正器および電子顕微鏡を提供することができる。
本発明の第1の実施例に係る収差補正器における多層巻線配置構成の一例を示す概略平面模式図である。 従来の収差補正器における単層巻線配置構成の例を示す概略平面模式図である。 図1に示す多層巻線の外観を説明するための概略斜視図である。 図1に示す多層巻線の一構成要素を説明するための概略断面図である。 図1に示す多層巻線の多層構成の具体例を説明するための概略断面図である。 本発明の各実施例に係る電子顕微鏡(走査電子顕微鏡)の全体構成の一例を示す概略断面模式図である。 本発明の第2の実施例に係る収差補正器における多層巻線配置構成の一例を示す概略平面模式図である。 光軸から巻線までの距離R1と多極子場強度との関係を示すグラフである。 本発明の第3の実施例に係る収差補正器における多層巻線配置および多層巻線への電流供給方法の一例を説明するための概略平面模式図である。 本発明の第3の実施例に係る収差補正器における多層巻線配置および多層巻線への電流供給方法の他の例を説明するための概略平面模式図である。 本発明の第4の実施例に係る収差補正器における多層巻線配置構成の一例を示す概略平面模式図である。 本発明の第5の実施例に係る収差補正器における多層巻線配置構成の一例を示す概略平面模式図である。
発明者等は、低コストの巻線型収差補正器の性能向上について検討した結果、中心軸に電子線を通す収差補正器の1段分の多極子レンズにおいて、光軸と平行に一定の半径離れて円周上に配置される複数の電流線を1組として異なる半径で複数の組を配置(多層配置)することで構成され、それぞれの組で独立に異なる種類と強度の多極子場を励起して制御すればよいことに思い至った。
このように中心軸を取り囲む電流線群を多層配置構成とすることにより、巻線型の収差補正器において、必要な多極子の強度に応じた励起強度が設定可能となるため適用範囲が広がる。また、使用する電源出力の最大値と変化ステップを最適化できるようになる。
以下、本発明を実施例により図面を用いて説明する。なお、実施例では走査電子顕微鏡を例に説明するが電子顕微鏡一般に適用することができる。同一符号は同一構成要素を示す。
図1に本発明の第1の実施例に係る収差補正器における多層巻線の配置構成例の模式平面図を示す。図1は、紙面と垂直に進行する電子線の光軸(中心軸)201を中心として、半径R1上に電流線101〜112、半径R2上に電流線21〜32の2組の電流線群が多層配置されている。図1の電流線を通る電流は光軸201と平行に電子線と同一方向または逆方向に流れる。例えば2N極子場(Nは1以上の整数。例:N=1は2極子場、N=2は4極子場)を励起ずる電流線101〜112の電流I(i=1〜12)は基準電流Aに対して(1)式の組合せとなる。(Iの正負の符号は電流の向きを表す。)
Figure 0006666629
収差補正器の多極子レンズにおいては、球面収差やコマ収差など複数の収差を補正することから、同一段で複数の多極子場を重畳する。図2に示す電流線101〜112から構成された従来の1層の巻線レンズにおいては、複数の場を重畳させるために各巻線の電流は(2)式に示すようにN=1〜4および6までの和をとる(N=5は図2の構成で不可のため除く)。どこまでの和をとるかについては、図2では線数が12のため6までとしたが、線数が多ければ増やすことができ、N=5も含むことができる。
Figure 0006666629
図1では、電流線101〜112においてN=4(8極子場)、電流線21〜32においてN=2(4極子場)のように電流線群の層毎に異なる種類の多極子場を励起することで、多極子場の制御性を高めることができる。例えば、(2)式において各多極子場の電流の和がとられるため、周期性の違いにより、電流の上限に達して制御できない場の強度の組合せが不連続的に発生するが、特定の多極子場のみ出力すれば、組合せを気にすることなく上限値が一意に定まる。
電流線群について、図1では簡略化したものを示したが、実際には図3の斜視図で示すような外観となる。具体的には、図3では図1で示した電流線101〜112について光軸と平行部分以外の配線を含めて図示してあり、各々の配線は光軸201と各電流線で形成される平面上に四角形の配線をなしている(ただし四角形の配線の方向は特許文献3と異なる)。このうち光軸201を基準に対向する2極の電流線を図4Aに示す。図4Aでは、光軸側の電流線13部分を主線、上下の電流線14および15の部分を副線、光軸201から半径B1離れた電流線16部分を戻り線と定義する。配線は四角形状としたが、同一面上にあれば円や三角形などの形状も可能である。同一主線群の電流量の絶対値が同一であれば、主線同士は接続部17の入力と出力を直列に結び電源1台で電流を賄うこともできる。
多極子場は主に主線の磁場で形成され、多極子場としては主線以外の配線は原理的には不要である。このうち戻り線は主線と逆方向の電流が流れるため主線と逆符号の多極子場が発生し、多極子場強度を弱める作用を持つ。これを防ぐには半径B1を半径R1に比べて大きくすれば良い。以降、戻り線から光軸までの距離は主線と光軸までの距離より十分大きいものとし、特に断りがない限り図1のように主線のみ記載する。
図4Aでは巻線が単層の場合について図示したが、巻線が多層の場合について電流線107及び電流線27を例として図4Bに示す。光軸201から電流線107迄の距離がR1、光軸201から電流線27迄の距離がR2であり、それぞれの距離R1、R2は、光軸201からそれぞれの戻り線迄の距離B1に比べて十分小さな値である。なお、図面上は、電流線107の上下の副線と電流線27の上下の副線との間に隙間があるように記載されているが、実際には隣接して配置されている。電流線107の上下の副線と電流線27の上下の副線とは、平面的に重なるように配置することが望ましい。
図5に本実施例に係る走査電子顕微鏡の全体構成の一例を示す概略断面模式図を示す。本走査電子顕微鏡(SEM)には図1に示す多層巻線を備えた収差補正器が組み込まれている。本SEMでは、電子銃41から1次電子線(図示せず)が放出され、コンデンサレンズ42で平行ビームに形成され、多極子レンズ43を通過する。多極子レンズ43を通過した1次電子線は、コンデンサレンズ44とコンデンサレンズ45によって多極子レンズ46へ転写される。その後、1次電子線はコンデンサレンズ47および対物レンズ48で収束作用を受けて試料49上に照射される。真空容器40内は真空にされており、電子線は電子銃41から試料49到達まで真空状態が維持された中を進む。多極子レンズ43および多極子レンズ46は図1の多層巻線群で構成され、球面収差補正を行うために6極子場が励起される。本球面収差光学系は、STEMなどで用いられる一般的な収差補正器と同一の光学系である。多極子レンズ43および46としてくさび型の多極子でなく多層の巻線多極子を用いることにより、球面収差補正を低コストで行うことができる。また、単層巻線多極子に比べ収差補正範囲が広く、制御が容易であり、高精度の観察を行うことができる。巻線多極子は本例以外の4極子場と8極子場を用いた4段の収差補正器の多極子レンズとしても適用可能である。
以上本実施例によれば、収差補正範囲が広く、制御が容易で高精度の収差補正が可能な、且つ低コストな収差補正器や電子顕微鏡を提供することができる。
本発明の第2の実施例に係る収差補正器について図6及び図7を用いて説明する。なお、実施例1に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。
本実施例では多層化した巻線多極子について、効率的な多極子場の強度を得られる構成を示す。図6は多層の巻線多極子の模式図であり、紙面と垂直に進行する荷電粒子線の光軸201を中心に半径毎に主線群50、51、52が配置されている。主線群50〜52はそれぞれ同位相の12本の円状の電流線から成り、電流線の半径は各配置において最大半径Rmaxをとるよう設定されている。12本で構成される電流線群の最大半径Rmaxは主線と光軸201までの距離R1に対して(3)式で与えられる。
Figure 0006666629
なお、実際には電流線には被覆が施され絶縁されるが、本説明では簡単のため省略する。
電流線に印加できる電流値の上限は、気温などの外部要因を除くと、電流線の面積と素材で決まる。素材に対しては、単位面積における許容電流密度Jmaxを定める。一方、2N極子場の強度Bwmaxは、電流線の電流が一定であれば(4)式で示すように(1/R1)のN−1乗に比例する。
Figure 0006666629
上限値として許容電流まで流す場合、基準電流Aは(5)式となる。
Figure 0006666629
(5)式を(4)式と合わせると、2N極子場の強度Bwmaxは(6)式のように表される。
Figure 0006666629
(6)式のBwmaxについてR1=5mmの強度で規格化してグラフ化すると図7のようになる。ここから12極の巻線について電流の上限値を考慮すると、多極子場の強度を大きくするには、2極子場に対しては中心から距離R1を広げること、6極子場以上に対してはR1を短くすることが必要となる。また、4極子場に対して強度は一定のため、光軸方向の電流線の長さを長くして作用距離で稼ぐことが必要となる。このように多極子場の強度は種類によってR1に対する変化量が異なるため、1層の巻線においてはR1の設計が難しい。特に、加速電圧や光学倍率、作動距離(Working Distance)などに対する巻線多極子の収差補正器の適用条件が狭くなってしまう。これに対して、多層化巻線においては各々の多極子の感度に応じてR1を設定できるため適用条件は広がる。
多層の巻線多極子は図7の性質から原則的には、高次の多極子場(2N極子場のNが大)を光軸側の層へ設定することが望ましい。これにより電源ノイズについては影響を抑えることもできる。ノイズは多極子場に含まれる2極子場成分もしくは4極子成分など比較的低次の成分とみなせるが、図7によればR1を小さくすると2極子場に対して4極子場以上の強度比が高まるため、相対的に影響が小さくなるからである。
一方で、収差補正器の種類によって最も磁場強度が必要な多極子場は異なるため、最終的には必要と強度に応じて割り当てる層を設定する。例えば実施例1の図5のタイプの収差補正器では6極子場の強度が最も必要であるため、原則に関わらず軸側の層に6極子を割り当てることになる。
図6では主線群50〜52の配置の角度を半分ずらした位相に補助多極子場を励起する主線群53および主線群54を配置している。主線群53、54の半径は主線群50〜52に影響しないよう比較して小さく設定されている。補助多極子場の目的は、主線群50〜52で発生する多極子場のズレを補償することである。例えば主線群50で6極子場を励起する際、機械的ズレによって本来かけるべき6極子場から回転した6極子場成分が含まれることがある。その場合に主線群53は回転成分を打ち消す6極子場を励起する。回転成分は機械精度が高ければ小さく、印加する電流量は小さくなるため、補助多極子場の電流線の径は小さくなる。なお、回転成分は主線53に重畳することもできるが、必要な電源数が増える問題がある。
図6に示す多層の巻線多極子を備えた収差補正器を図5に示す走査電子顕微鏡に搭載し試料観察を行った結果、収差補正範囲が広く、制御が容易であり、高精度の観察を行うことができた。
以上本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、補助多極子場を設けることにより、より精密な収差補正を行うことができる。
本発明の第3の実施例に係る収差補正器について図8及び図9を用いて説明する。なお、実施例1又は2に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。
本実施例では多層化した巻線多極子について、加速電圧や光学倍率、作動距離などの条件の変更に対して広い範囲に適用可能な構成を示す。図8は、本実施例に係る収差補正器における多層巻線配置および多層巻線への電流供給方法の一例を説明するための概略平面模式図である。図8では多極子電流を印加する電源81および電源82を備えており、制御部80の命令で、切り替え部83および切り替え部84にて電源81および電源82が印加する対象を巻線群50〜52のいずれか2者に切り替えられるようになっている。
加速電圧が高い場合やWDが小さい場合は補正量が大きくなるよう多極子場の強度を高める必要がある。この場合は6極子場や8極子場に対してR1を小さくなるよう電源81は主線群50と電源82は主線群51と接続される。逆に、加速電圧を低くする場合やWDを大きくする場合は、6極子場や8極子場に対してR1が大きくなるよう電源81は主線群51と電源82は主線群52と接続される。このように条件に応じて切り替えると電源81の出力を一定範囲に留めることができる。なお、低加速などでは単純に電流の出力を小さくすれば良いように考えられるが、実際には電流変更ステップや安定性(リップルノイズ量)なども比例して小さくする必要があるため、出力を小さくする方法では電源コストが増加するため好ましくない。
上記実施例では、1層に対して1種類の多極子場を占有してきたが、多層の全ての層で1種類の多極子場に限定する必要はない。比較的強度が弱く電流の上限に達しない多極子場同士は重畳しても問題ない。特に加速電圧変更時は、色収差の影響度合いの変化により補正すべき収差の種類と量が変わることに合わせて、重畳する組合せや使用する電源数を変更しても良い。図9に示す構成は、図8の構成に多極子電流を印加する電源85を加えたものであり、制御部80の命令で、切り替え部86にて電源85が印加する対象を巻線群52または対象なしに切り替え可能になっている。電源82が主線群52に接続される場合は、電源85は未接続となり、主線群52では複数の場が重畳して励起される。
図8或いは図9に示す多層の巻線多極子と電源切り替え手段とを備えた収差補正器を図5に示す走査電子顕微鏡に搭載し試料観察を行った結果、収差補正範囲が広く、制御が容易であり、高精度の観察を行うことができた。
以上本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、電源切り替え手段を備えることにより、加速電圧や光学倍率、作動距離などの条件の変更に対してより広い範囲への適用が可能となる。
本発明の第4の実施例に係る収差補正器について図10を用いて説明する。なお、実施例1乃至3のいずれかに記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。
図10は、本実施例に係る収差補正器における多層巻線配置構成の一例を示す概略平面模式図である。これまで巻線群の電流線数を12で示してきたが、図10で示すように層毎で線数を変えることもできる。ここでは光軸201に対し、最内周に線数12で構成された主線群60を、その外側に線数8で構成される主線群61、線数6で構成される主線群62と主線群63、線数4で構成される主線群64と主線群65、線数2で構成される主線群66と主線群67を配置している。主線群60では12極子場、主線群61では8極子場、主線群62、63では6極子場、主線群64、65では4極子場、主線群66、67では2極子場を印加している。このうち線数と中心からの距離が同じ主線群の組については、配置の角度を半分ずらした位相の組合せとなっている。図10では一部省略したが全ての主線群について別位相を設けても良い。
線数が12でない場合に巻線に印加する電流Iiは、線群を構成する電流線数をMとおくと(7)式で表記できる。
Figure 0006666629
ここでM=2Nとすると(8)式となり、電流線の入力と出力位置を交換しながら直列に接続できる。
Figure 0006666629
以上のように、あらかじめ設定する多極子場を限定しておくと構造を単純にできる。使用条件が限定される場合に本実施例の構成は有利になる。
図10に示す多層の巻線多極子を備えた収差補正器を図5に示す走査電子顕微鏡に搭載し試料観察を行った結果、収差補正範囲が広く、制御が容易であり、高精度の観察を行うことができた。
以上本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、あらかじめ設定する多極子場を限定しておくと構造を単純化できる。
本発明の第5の実施例に係る収差補正器について図11を用いて説明する。なお、実施例1乃至3のいずれかに記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。
上記実施例では多層巻線を用いて2N極子場も励起したが、2極子場については、通常の偏向器を最外周に配置することができる。実施例4の図10の構成で示した主線群66、67については主目的の2極子場以外に余分な収差を発生する。一方、一般的な偏向器は2極子場の励起に使用可能で、偏向器は分布巻などにより余計な収差や位置ズレなどが生じにくい。
図11は、本実施例に係る収差補正器における多層巻線配置構成の一例を示す概略平面模式図である。図11では巻線2極子の代わりに偏向器68および偏向器69を用いて巻線多極子を構成している。なお、くさび型の多極子の場合は極子が磁性体であり、外周に偏向器を配置しても磁気遮蔽されるため、本実施例のような構成にすることは困難である。このように通常の偏向器を外部に配置できる点も巻線多極子の特徴である。
図11に示す多層の巻線多極子を備えた収差補正器を図5に示す走査電子顕微鏡に搭載し試料観察を行った結果、収差補正範囲が広く、制御が容易であり、高精度の観察を行うことができた。
以上本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、巻線2極子の代わりに偏向器を用いることにより、2極子場以外の余分な収差の発生を低減することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
101〜112…電流線、13…電流線主線部、14…電流線上副線部、15…電流線下副線部、16…電流線戻り部、17…電流線入出力部、21〜32…電流線、40…真空容器、41…電子銃、42…コンデンサレンズ、43…多極子レンズ、44…コンデンサレンズ、45…コンデンサレンズ、46…多極子レンズ、47…コンデンサレンズ、48…対物レンズ、49…試料、50…主線群、51…主線群、52…主線群、53…主線群、54…主線群、60…主線群、61…主線群、62…主線群、63…主線群、64…主線群、65…主線群、66…主線群、67…主線群、68…偏向器、69…偏向器、80…制御部、81…電源、82…電源、83…切り替え器、84…切り替え器、85…電源、86…切り替え器、201…光軸(中心軸)。

Claims (11)

  1. 電子源と、電子源から放出された電子線の収差を補正する収差補正器と、前記電子線を試料に照射するための電子光学系と、を備えた電子顕微鏡において、
    前記収差補正器は、中心軸に前記電子線を通す開口と、
    前記中心軸から第一の半径で離れた位置にて光軸と平行に配置され、第一の多極子場を励起する第一の電流線群と、
    前記第一の半径よりも長さが大きい第二の半径で離れた位置にて光軸と平行に配置され、前記第一の多極子場とは異なる次数と強度である第二の多極子場を独立に励起する第二の電流線群と、を備えることを特徴とする電子顕微鏡。
  2. 請求項1記載の電子顕微鏡において、
    前記第一の電流線群の線数は、12以上で構成されることを特徴とする電子顕微鏡。
  3. 請求項1記載の電子顕微鏡において、
    前記第一の多極子場は、前記第二の多極子場よりも次数が高いことを特徴とする電子顕微鏡。
  4. 請求項1記載の電子顕微鏡において、
    前記第二の電流線群を構成する電流線の1極当たりの線幅は、前記第一の電流線群を構成する電流線の1極当たりの線幅よりも大きいことを特徴とする電子顕微鏡。
  5. 請求項1記載の電子顕微鏡において、
    前記第一の多極子場は6極子場以上の多極子場で、かつ前記第二の多極子場と前記第一の多極子場は、軸からの距離が同一となる条件で励起した場合には、第一の多極子場の電流量が大きいことを特徴とする電子顕微鏡。
  6. 請求項1記載の電子顕微鏡において、
    電源と、該電源からの電流経路を変更する切り替え器と、制御部とを備え、
    前記制御部は、加速電圧または光学倍率または作動距離に応じて、前記電源で駆動される電流線群を前記第一の電流線群と第二の電流線群で切り替えるように前記切り替え器を制御するものであることを特徴とする電子顕微鏡。
  7. 請求項1記載の電子顕微鏡において、
    前記第一の半径と長さが異なる第三の半径で離れた位置にて光軸と平行に配置された第三の電流線群とを備え、前記第二の半径は前記第三の半径より小さく、前記第三の電流線群に第三の多極子場を励起するものであることを特徴とする電子顕微鏡。
  8. 請求項1記載の電子顕微鏡において、
    前記第一の電流線群の線数および前記第二の電流線群の線数は、それぞれが4の倍数、もしくは6の倍数であること、もしくは4N極子場もしくは6M極子場(N,Mは自然数)励起することを特徴とする電子顕微鏡。
  9. 中心軸に電子線を通す開口と、
    前記中心軸から第一の半径で離れた位置にて光軸と平行に配置され、第一の多極子場を励起する第一の電流線群と、
    前記第一の半径よりも長さが大きい第二の半径で離れた位置にて光軸と平行に配置され、前記第一の多極子場とは異なる次数と強度である第二の多極子場を独立に励起する第二の電流線群と、を備えることを特徴とする収差補正器。
  10. 請求項9記載の収差補正器において、
    前記第二の半径よりも小さい前記第一の半径上に配置された前記第一の電流線群により励起される前記第一の多極子場は、前記第二の多極子場よりも次数が高いことを特徴とする収差補正器。
  11. 請求項9記載の収差補正器において、
    前記第一の半径よりも大きい前記第二の半径上に配置された前記第二の電流線群を構成する電流線の1極当たりの線幅は、前記第一の電流線群を構成する電流線の1極当たりの線幅よりも大きいことを特徴とする収差補正器。
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