以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
各実施形態の物質検出装置は、非可視光センサを用いて物質を検出する。尚、本開示は、非可視光センサが各動作を行う物質検出方法としても表現可能である。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態の非可視光センサNVSSを含む検出カメラ1の概要を説明する模式図である。検出カメラ1は、可視光カメラVSCと、非可視光センサNVSSとを含む構成である。
可視光カメラVSCは、例えば既存の監視カメラと同様に、所定の波長(例えば0.4〜0.7μm)を有する可視光に対する反射光RMを用いて、所定の検出空間Kに存在する人物HMや物体(不図示)を撮像する。以下、可視光カメラVSCにより撮像された出力画像データを、「可視光カメラ画像データ」という。
従って、検出カメラ1は、非可視光を検出する非可視光センサNVSSと、撮像により可視光カメラ画像データを得る可視光カメラVSCとの両方の構成を含む。少なくとも非可視光センサNVSSを含む検出カメラ1は、物質検出装置の一例である。
非可視光センサNVSSは、可視光カメラVSCと同一の検出空間Kに対し、光学走査を用いた面照射により、所定の波長を有する非可視光(例えば赤外光)であるレーザ光LSを投射する。投射されたレーザ光LSは、検出対象の物質(特定物質ともいう)の吸収波長帯の波長を含む光である。
非可視光センサNVSSは、レーザ光LSが被検出物(例えば特定物質としてメタンガス等の気体GS)により反射されたレーザ光RVを用いて、検出空間Kにおける特定物質の検出の有無を判定する。
非可視光センサNVSSが検出の有無を判定する特定物質は、例えば可視光カメラVSCによる可視光カメラ画像データでは判別が困難な物質であり、ガス(気体)の他、液体や固体でもよい。ここでは、検出対象の物質がガスGSである場合について例示する。
また、検出カメラ1は、可視光カメラVSCが撮像した可視光カメラ画像データに、非可視光センサNVSSによる特定物質の検出の有無の判定結果を含む出力画像データ(以下、「物質位置画像データ」という)又は物質位置画像データに関する情報(物質の名称等)を合成した表示データを生成して出力する。
検出カメラ1からの表示データの出力先は、ネットワーク(不図示)を介して検出カメラ1に接続された外部接続機器であり、例えば図5に示すカメラサーバCS又はモニタ150である。検出カメラ1とモニタ150とを含んで物質検出システムが構成される。ネットワークは、有線ネットワーク(例えばイントラネット、インターネット)でもよいし、無線ネットワーク(例えば無線LAN(Local Area Network))でもよい。
図2は検出カメラ1の内部構成を示す模式図である。図2では、図1の上方から(z軸方向の下向きに)視た場合の検出カメラ1の内部構成が示される。
検出カメラ1は、例えば箱形の筐体1zを有する。筐体1zの前面には、非可視光センサNVSS用の開口部1wが形成される。なお、開口部1wには、防水・防塵のために、透明なガラスもしくは樹脂が嵌め込まれてもよい。また、筐体1zの前面には、可視光カメラVSCの集光レンズV31(図5参照)が露出する。
筐体1zの内部には、センサスキャンユニット5が設けられる。センサスキャンユニット5は、図中矢印Pで表されるパン方向(図中xy平面に沿う方向)かつ図中矢印Tで表されるチルト方向(図中z軸方向)に旋回自在な雲台10、及びこの雲台10を駆動するモータ機構(図示せず)を備えたパンチルトユニット15(図5参照)を有する。
雲台10には、レーザダイオードLD、コリメートレンズPLZ、フォトダイオードPD及び集光レンズCLZが搭載される。パンチルトユニット15は、雲台10をパン方向及びチルト方向に旋回させることで、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光を用いて、検出領域SAR内を2次元的に走査(水平走査及び垂直走査)可能である。
レーザダイオードLDから出射されたレーザ光LSは、コリメートレンズPLZを透過して平行光となり、検出空間Kに向けて出射される。検出空間K内のガスGSによって反射したレーザ光(反射光)RVは、検出カメラ1の筐体1zに形成された開口部1wを通って入射し、集光レンズCLZによって集光され、フォトダイオードPDで受光される。
フォトダイオードPDで受光されたレーザ光の吸収スペクトル(吸収特性)から検出空間K内に存在する検出対象の物質であるガスGSの有無が判定される。レーザダイオードLDから出射されたレーザ光LSが検出空間Kにおいて走査可能な範囲(スキャン画角)である検出領域SARは、例えば、筐体1zに形成された開口部1wの形状によって設定される。
ここで、レーザダイオードLDは、温度の影響を受け易く、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光の波長は僅かな温度変化によってずれてくる。このため、非可視光センサNVSSは、ガス検出の動作中、レーザ光の波長(波長変調における中心波長)が変化しないように、レーザダイオードLDの温度を一定に保つように温調制御(温度調節のための制御)を行う。
温調制御を行うために、筐体1zの内部には、反射板MR1、参照セルCEL、集光レンズCLZ2、温調用のフォトダイオードPD2及び波長検出温調制御部12が配置される。尚、反射板MR1と参照セルCELとの間に、減光フィルタ(NDフィルタ)FIRが配置され、参照セルCELを透過して温調用のフォトダイオードPD2で受光されるレーザ光の光量が減らされてもよい。
図3は温調時における検出カメラ1の内部の動作を説明する模式図である。
温調制御では、雲台10はパン方向に大きく旋回し、レーザダイオードLDから出射されたレーザ光は反射板MR1に向かう。反射板MR1は、雲台10に搭載されたレーザダイオードLDがレーザ光を走査する際、フォトダイオードPDが受光可能な範囲から外れた位置、つまりスキャン画角外に配置される。ここでは、反射板MR1は、開口部1wに近い、筐体1zの裏側に位置する。フォトダイオードPDの受光可能な範囲は、前述したように、筐体1zに形成された開口部1wの形状によって決められる。つまり、スキャン画角内で開口部1wを通って反射したレーザ光RVは、フォトダイオードPDで受光される。
図4はセンサスキャンユニット5による検出領域SARを含む走査を示す模式図である。
センサスキャンユニット5は、雲台10が旋回することによって、雲台10に搭載されたレーザダイオードLDから出射されたレーザ光LSを用いて、スキャン画角(検出領域SAR)内をパン方向(水平方向)及びチルト方向(垂直方向)に走査する。反射板MR1は、レーザ光による検出領域SAR内の1走査が終了し、レーザ光が初期位置HPに戻る前の、走査終了位置EPを越えた水平方向の位置に配置される。
温調制御では、レーザダイオードLDから出射されたレーザ光は、反射板MR1によって反射され、NDフィルタFIRを通過する。そして、レーザ光は、検出対象の物質であるガスが封入(格納)された参照セルCELを透過し、集光レンズCLZ2で集光され、温調用のフォトダイオードPD2で受光される。参照セルCELに封入されるガスは、検出対象のガスGSと同一の成分を有する。
波長検出温調制御部12は、例えば、図6に示す検出処理部27内のAD変換回路271、温調制御処理部272、及び制御部11を含む。波長検出温調制御部12は、温調用のフォトダイオードPD2から出力される検出信号を基に、所定の幅で波長変調されるレーザ光の中心波長を検出し、この中心波長がずれないように、レーザダイオードLDの温度を一定に制御する。
レーザダイオードLDは、吸発熱を行うペルチェ素子Pt(図5参照)を有する。波長検出温調制御部12は、レーザダイオードLDに内蔵されたペルチェ素子Ptに所定の電流を供給することによって、レーザダイオードLDの温度を調節する。
尚、レーザダイオードLDは、サーミスタ(不図示)を備えてもよい。この場合、波長検出温調制御部12は、サーミスタを用いて、又はペルチェ素子Ptとサーミスタとを用いて、レーザダイオードLDの温度を調節してもよい。
また、筐体1zには、非可視光センサNVSSの一部として、各部を統括的に制御する制御部11(コントローラ)やプロセッサ20を実装した電子基板が内蔵される。
図5は検出カメラ1の構成を示すブロック図である。検出カメラ1は、前述したように、非可視光センサNVSSと、可視光カメラVSCとを含む構成である。非可視光センサNVSSは、制御部11と、投射部PJと、受光処理部SAとを含む構成である。
制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)を用いて構成される。制御部11は、例えば、非可視光センサNVSSの各部の動作制御を全体的に統括するための信号処理、他の各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理及びデータの記憶処理を行う。また、制御部11は、非可視光センサNVSSの検出対象となる特定物質を検出するための検出閾値Mを検出処理部27に設定する。
また、制御部11は、AD変換するためのタイミング信号を、検出処理部27へ送る。制御部11は、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光を変調するための光源制御信号を、レーザダイオードLDへ送る。制御部11は、レーザダイオードLDを温調するための温調制御信号を、レーザダイオードLDへ送る。
投射部PJは、レーザダイオードLDと、コリメートレンズPLZと、パンチルトユニット15と、温調ユニット30とを有する。
レーザダイオードLDは、レーザ光の波長が検出対象の物質であるガスGSの吸収波長帯のピークと一致するように波長調整されたレーザ光を出射する。ここでは、検出対象の物質であるガスとして、メタンガス(CH4)を一例として挙げる。
波長調整は、種々の方法が用いられる。例えば、制御部11は、上記の光源制御信号により、レーザダイオードLDの駆動電流を変調させることで、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光を波長変調させる。また、レーザダイオードLDに備わるペルチェ素子Ptが、制御部11からの温調制御信号に従って吸熱または発熱し、レーザダイオードLDの温度を変動させることで、レーザ光の波長変調の中心波長を調整する。
コリメートレンズPLZは、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光LSを平行光にする。
パンチルトユニット15は、レーザダイオードLD、コリメートレンズPLZ、集光レンズCLZ及びフォトダイオードPDが搭載された雲台10をパン方向及びチルト方向に旋回させる。パンチルトユニット15は、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光を用いて、検出領域SARを含む走査範囲内で2次元に走査する。
図6は温調ユニット30及び受光処理部SAの構成を示すブロック図である。
温調ユニット30は、集光レンズCLZ2、フォトダイオードPD2、I/V変換回路31、増幅回路32及びフィルタ処理回路33を有する。
集光レンズCLZ2は、レーザダイオードLDから出射され、反射板MR1で反射し、参照セルCELを透過したレーザ光を集光し、フォトダイオードPD2に受光させる。フォトダイオードPD2は、受光したレーザ光の光量に応じた電荷を生成し、電流信号として出力する。
I/V変換回路31は、フォトダイオードPD2から出力される電流信号を電圧信号に変換する。増幅回路32は、I/V変換回路31で出力される電圧信号を増幅する。フィルタ処理回路33は、増幅回路32で増幅された信号に対しフィルタ処理を行い、温調制御に用いられる信号として検出処理部27内のAD変換回路271に出力する。
受光処理部SAは、集光レンズCLZ、フォトダイオードPD、信号加工部26、検出処理部27及び表示処理部28を有する。信号加工部26は、I/V変換回路261、増幅回路262及びフィルタ処理回路263を含む。検出処理部27は、AD変換回路271、温調制御処理部272及び物質検出処理部273を含む。検出処理部27の温調制御処理部272及び物質検出処理部273並びに表示処理部28の各機能は、メモリ(不図示)に保持されたプログラムをプロセッサ20が実行することにより、実現される。
集光レンズCLZは、レーザダイオードLDから出射され、検出領域SAR内の特定物質で反射されたレーザ光を集光し、フォトダイオードPDに受光させる。フォトダイオードPDは、受光したレーザ光の光量に応じた電荷を生成し、電流信号として出力する。
I/V変換回路261は、フォトダイオードPDから出力される電流信号を電圧信号に変換する。増幅回路262は、I/V変換回路261で出力される電圧信号を増幅する。フィルタ処理回路263は、増幅回路262で増幅された信号に対しフィルタ処理を行い、物質検出に用いられる信号として検出処理部27内のAD変換回路271に出力する。
検出処理部27内のAD変換回路271は、温調ユニット30から入力される信号、及び信号加工部26から入力される信号をデジタル信号に変換する。
温調制御処理部272は、温調ユニット30から出力され、AD変換回路271でデジタル値に変換された値を基に、温調状態を表す信号(温調状態信号)を生成し、制御部11に出力する。
この温調状態信号は、レーザダイオードLDから出射される、波長変調されたレーザ光の信号(周波数1f)に対し、2倍の周波数(2f)の信号の大きさ(信号レベル)を示す信号である。この2倍の周波数(周波数2f)を持つ信号は、AD変換回路271によってデジタル値に変換された後に抽出される。
レーザダイオードLDの温度が変化しておらず、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光の変調波長幅が特定物質の吸収波長帯域からずれていないとする(図10の変調波長範囲WAR0参照)。この場合、温調状態信号は、フォトダイオードPD2からの信号を基に得られる、周波数が一定の正弦波信号である(図10参照)。
レーザダイオードLDの温度が変化し、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光の変調波長幅が特定物質の吸収波長帯域からずれているとする(図11,図12参照)。この場合、温調状態信号は、フォトダイオードPD2からの信号を基に得られる、周波数1fに対する2倍の周波数(2f)の信号の大きさ(信号レベル)が小さくなる。
物質検出処理部273は、受光処理部SA内の信号加工部26から出力され、AD変換回路271でデジタル値に変換された値を基に、特定物質を検出し、検出した特定物質を表す信号を表示処理部28に出力する。
表示処理部28は、非可視光センサNVSSから、検出領域SAR内における特定物質の2次元位置を示す物質位置画像データを生成する。物質位置画像データは、特定物質を表す画像データと、検出領域SAR内の2次元位置情報(例えば、雲台10のパン角度及びチルト角度)とを含む。表示処理部28は、この物質位置画像データを可視光カメラVSCの表示制御部37に出力する。
尚、本実施形態を含む各実施形態において、表示処理部28は、物質位置画像データを可視光カメラVSC内の表示制御部37に送信する代わりに、例えば後述するモニタ150やカメラサーバCS、通信端末に送信してもよい。
このように、検出領域SAR内の可視光画像データに、検出処理部27により得られた特定物質に関する情報が合成されて表示出力される。従って、非可視光センサNVSSは、検出領域SARのどこに特定物質が存在するかをユーザに対して視覚的に明らかに示すことができる。
図5に示すように、可視光カメラVSCは、集光レンズV31と、イメージセンサV33と、信号処理部V35と、表示制御部37と、出力部38と、を有する。信号処理部V35及び表示制御部37の各機能は、メモリ(不図示)に保持されたプログラムをプロセッサV20が実行することにより、実現される。
集光レンズV31は、非可視光センサNVSSによる検出領域SARを含む範囲を画角範囲とし、外部からの入射光(反射光RM)を集光し、イメージセンサV33の撮像面に結像させる。
イメージセンサV33は、可視光の波長(例えば0.4μm〜0.7μm)に対する分光感度のピークを有する。イメージセンサV33は、撮像面に結像した光学像を電気信号に変換する。イメージセンサV33の出力は、電気信号として信号処理部V35に入力される。
信号処理部V35は、イメージセンサV33の出力である電気信号を用いて、例えばRGB(Red Green Blue)又はYUV(輝度・色差)等により規定される可視光画像データを生成する。これにより、可視光カメラVSCにより撮像された可視光画像データが形成される。信号処理部V35は、可視光画像データを表示制御部37に出力する。
表示制御部37は、例えば、特定物質が可視光画像データにおける所定の位置で検出された場合に、信号処理部V35から出力された可視光画像データと、表示処理部28から出力された物質位置画像データとを合成し、表示データを生成する。この表示データは、特定物質に関する情報の一例である。
出力部38は、この表示データを外部装置(例えばカメラサーバCS及びモニタ150)に出力する。
カメラサーバCSは、表示制御部37から出力された表示データを通信端末又は1つ以上の外部接続機器(不図示)に送信し、通信端末又は1つ以上の外部接続機器の表示画面における表示データの表示を促す。モニタ150は、表示制御部37から出力された表示データを表示する。
次に、検出カメラ1の動作について説明する。
図7は非可視光センサNVSSの動作を示すタイミングチャートである。図8は非可視光センサNVSSの走査範囲を表す模式図である。パンチルトユニット15は、雲台10に搭載されたレーザダイオードLDをパン方向及びチルト方向に駆動することで、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光を用いて、検出領域SAR(走査範囲)を走査する。
水平(パン)方向の1ライン目(L1)では、パンチルトユニット15は、初期位置(HP)から水平方向及び垂直方向の角度をプラス(+)に加算しながらレーザダイオードLDから出射されるレーザ光の照射位置を可変させる。
レーザ光の照射位置が走査範囲内の水平方向の終端までくると、2ライン目(L2)に移り、パンチルトユニット15は、水平方向の角度をマイナス(−)に減算しながら垂直方向の角度をプラス(+)に加算し、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光の照射位置を可変させる。
以後、同様に、Lnライン目までレーザ光の走査が行われる。Lnラインの走査が終了すると、検出領域SARにおける1回の走査(1走査)が終了する。そして、レーザ光の照射位置は、走査範囲(スキャン画角)の左下隅にある走査終了位置EPを越え、反射板MR1に移る。
レーザ光の照射位置が反射板MR1に留まる所定の期間T1において、波長検出温調制御部12は、変調周波数1fに対する2倍の周波数(2f)の信号の大きさ(信号レベル)が最大となるように、レーザダイオードLDの温度を調節する温調制御を行う。この所定の期間T1では、パンチルトユニット15は、雲台10の駆動(旋回動作)を停止させ、レーザダイオードLDの位置を固定する。尚、所定の期間T1は、温調制御を行うための期間を含む。この温調制御の詳細については後述する。
所定の期間T1が経過すると、ブランク期間Tbkにおいて、パンチルトユニット15は、雲台10の駆動を再開し、レーザ光の照射位置を初期位置HPに戻す。そして、再び、パンチルトユニット15は、水平方向の1ライン目L1で、初期位置(HP)から水平方向及び垂直方向の角度をプラス(+)に加算しながらレーザダイオードLDの照射位置を可変させ、レーザ光の走査を開始する。
図9は非可視光センサNVSSの信号処理手順を示すフローチャートである。
レーザダイオードLDは、制御部11から光源発光信号を受けると、レーザ光を出射する(S1)。
パンチルトユニット15は、雲台10を駆動し、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光を用いて走査する(S2)。
制御部11は、レーザ光の照射位置が検出領域SAR内であるか否かを判別する(S3)。
検出領域SAR内である場合、信号加工部26は、フォトダイオードPDから入力された撮像信号を増幅する(S4)。
検出処理部27は、信号加工部26によって増幅された信号のうち、周波数2fの信号を抽出し、特定物質(ここでは、メタンガス(CH4))の有無を検出する(S5)。ガスGSの有無は、例えば周波数2fの信号(周波数が一定の正弦波信号)が検出閾値M以上であるか否かで判定される。
表示処理部28は、特定物質の画像、及び特定物質の位置情報を基に、物質位置画像データを生成する(S6)。特定物質の位置情報は、例えば、パンチルトユニット15によって駆動される雲台10のパン角度及びチルト角度から求められる。表示処理部28は、生成した物質位置画像データを、可視光カメラVSC内の表示制御部37に送る。表示制御部37は、表示処理部28から取得した物質位置画像データを、可視光カメラVSC内のイメージセンサV33によって撮像された画像データに重畳して表示データを生成し、カメラサーバCS及びモニタ150に出力する。
制御部11は、非可視光センサNVSSによる物質検出動作を継続するか否かを判別する(S7)。物質検出動作を継続する場合、制御部11は、S1の処理に戻る。一方、物質検出動作を停止する場合、制御部11は、本動作を終了する。
一方、S3でレーザ光の照射位置が検出領域SAR外である場合、制御部11は、レーザ光の照射位置が温調エリア(温調制御するための領域)内、つまり反射板MR1の内側にあるか否かを判別する(S8)。温調エリア外である場合、即ち、レーザ光の照射位置が検出領域SARの走査終了位置EPから温調エリアまでの経路内、又は温調エリアから初期位置HPまでの経路内にある場合、制御部11は、S7の処理に進む。
一方、S8でレーザ光の照射位置が温調エリア内にある場合、フォトダイオードPD2は、反射板MR1で反射され、参照セルCELを透過(通過)した光を受光する(S9)。参照セルCELには、前述したように、検出対象の物質であるガスGS(例えばメタンガス)が封入されている。
温調ユニット30内のI/V変換回路31、増幅回路32及びフィルタ処理回路33は、温調用のフォトダイオードPD2からの信号を増幅処理する(S10)。
検出処理部27は、温調ユニット30からの信号を取得し、その信号をAD変換回路271でデジタル値に変換し、この値を温調状態を示す値として検出する(S11)。検出処理部27は、検出結果を含む温調状態信号を生成し、制御部11へ送る。
制御部11は、温調状態信号を基に、変調周波数1fに対する2倍の周波数(2f)の信号の大きさ(信号レベル)が最大となるように、レーザダイオードLDの温度を調節する温調制御を行う(S12)。この後、制御部11はS7の処理に進む。
図10は、特定物質の吸収スペクトルに対し、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光の波長が最適である場合における、レーザ光の入力信号及び出力信号を説明する模式図である。レーザ光の入力信号は、フォトダイオードPD,PD2に入力される。レーザ光の出力信号は、フォトダイオードPD,PD2から出力される。
図10〜図12では、検出対象の物質であるガスとして、メタンガス(CH4)を一例として挙げる。図10〜図12では、縦軸はフォトダイオードPD,PD2の受信電圧(単位は正規化された値)を表し、横軸はフォトダイオードPD、PD2が受光するレーザ光の波長(nm)を表す。受信電圧が低い程、特定物質によるレーザ光の吸収率が高い。尚、物質の吸収特性は、物質に応じて決まっている。
図10では、特定物質の吸収スペクトルは、1653.67nmを中心とする波長帯域を有する。これに対し、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光は、波長変調範囲WAR0に示すように、1653.67nmを中心波長とし、0.05nmの変調幅で変調される。
前述したように、レーザダイオードLDからレーザ光が出射され、検出領域SAR内の特定物質で反射されたレーザ光は、第1のレーザ光の信号に対し2倍の周波数を持つ信号として検出される。この場合、周波数が一定の正弦波信号が出力される。
図11は、特定物質の吸収スペクトルに対し、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光の波長が低波長側にずれる場合における、レーザ光の入力信号及び出力信号を説明する模式図である。
図11では、レーザ光は、波長変調範囲WAR1に示すように、例えば1653.66nmを中心波長とし、0.05nmの変調幅で波長変調される。
図12は、特定物質の吸収スペクトルに対し、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光の波長が長波長側にずれる場合における、レーザ光の入力信号及び出力信号を説明する模式図である。
図12では、レーザ光は、波長変調範囲WAR2に示すように、例えば1653.68nmを中心波長とし、0.05nmの変調幅で波長変調される。
このように、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光の波長が低波長側又は長波長側にずれる場合、周波数が変動する信号が出力される。この出力される信号が、周波数が一定の正弦波信号となるように、温調制御が行われる。温調制御により、検出カメラ1は、物質検出用のレーザ光により一定の周波数を有する正弦波信号を検出できるので、物質検出の精度を向上できる。
図13は、モニタ150の表示画面を示す模式図である。モニタ150は、可視光カメラVSCによって撮像された画像に、非可視光センサNVSSによって検出された特定物質であるガスGSを表す画像を重畳し、表示する。これにより、ユーザは、モニタ150に表示されたガスGSを視認できる。
このように、検出カメラ1では、レーザダイオードLDは、物質の検出領域SAR内及び検出領域SAR外へ第1のレーザ光を出射する。フォトダイオードPDは、検出領域SAR内において、第1のレーザ光がガスGSで反射された光である第2のレーザ光を受光する。検出処理部27は、第2のレーザ光の波長特性に基づいて、ガスGSを検出する。パンチルトユニット15は、検出領域SAR内及び検出領域SAR外において、第1のレーザ光の出射方向及び第2のレーザ光の受光方向を変更する。検出領域SAR外には、ガスGSが封入された参照セルCELが配置される。温調用のフォトダイオードPD2は、第1のレーザ光が参照セルCELを通過した光である第3のレーザ光を受光する。波長検出温調制御部12は、第3のレーザ光の波長特性に基づいて、第1のレーザ光の温度を調整して第1のレーザ光の波長を制御する。
尚、検出カメラ1は、物質検出装置の一例である。レーザダイオードLDは、トランスミッタの一例である。フォトダイオードPDは、第1のレシーバの一例である。検出処理部27は、ディテクタの一例である。パンチルトユニット15は、アクチュエータの一例である。温調用のフォトダイオードPD2は、第2のレシーバの一例である。波長検出温調制御部12は、波長コントローラの一例である。第1のレーザ光は、第1の非可視光の一例である。第2のレーザ光は、第2の非可視光の一例である。第3のレーザ光は、第3の非可視光の一例である。ガスGSは、検出対象の物質の一例である。
これにより、検出カメラ1は、検出領域SAR内において、検出対象の物質であるガスGSを検出するために走査するので、検出カメラ1の向きを手動で変更する手間を省ける。従って、検出カメラ1は、検出領域SARにおいて検出対象の物質であるガスGSを容易に検出できる。また、検出カメラ1内にレーザ光を分岐するためのハーフミラーを設ける必要がなく、検出カメラ1を小型化できる。
また、レーザダイオードLDとフォトダイオードPDとが雲台10に固定されてもよい。レーザダイオードLDは、パンチルトユニット15により雲台10の向きを変更することで、第1のレーザ光を用いて、検出領域SAR内及び検出領域SAR外を走査してもよい。尚、雲台10は、ベースの一例である。
これにより、検出カメラ1は、雲台10の向きが変更されても、検出領域SAR内において、レーザダイオードLDから出射された第1のレーザ光がガスGASで反射された第2のレーザ光の検出精度を向上できる。
また、検出領域SAR外に配置された反射板MR1は、第1のレーザ光を反射してもよい。NDフィルタFIRは、第1のレーザ光が反射板MR1で反射された第3のレーザ光を減衰させてもよい。フォトダイオードPD2は、減衰した第3のレーザ光を受光してもよい。尚、反射板MR1は、リフレクタの一例である。NDフィルタFIRは、フィルタの一例である。
これにより、検出カメラ1は、フォトダイオードPD2で受光される第3のレーザ光の光量を低減することで、第3のレーザ光の光量が過大となり、温調制御の精度が劣化することを抑制できる。
また、レーザダイオードLDは、パンチルトユニット15の駆動により、第1のレーザ光を、検出領域SAR内の各位置へ出射した後、検出領域SAR外へ出射してもよい。
これにより、検出カメラ1は、走査の途中で第1のレーザ光を検出領域SAR外へ出射しないので、物質検出時間を短縮して、第1のレーザ光の中心波長を一定に制御できる。
また、イメージセンサV33は、検出空間Kに向けて画像を撮像してもよい。イメージセンサV33により画像が撮像される撮像範囲は、ガスGSの検出領域SARを含んでもよい。尚、検出空間Kに向けた画像は、第1の画像の一例である。
これにより、検出カメラ1は、ガスGSが検出された場所を視覚的に明示でき、撮像範囲内で物質の有無を検出できる。
また、プロセッサ20,V20は、検出されたガスGSの検出領域SAR内の位置を可視化し、可視化された情報をイメージセンサV33で撮像された画像に重畳(合成)した合成画像を生成してもよい。出力部38は、合成画像を出力してもよい。尚、出力部38は、アウトプットデバイスの一例である。合成画像は、第2の画像の一例である。
これにより、検出カメラ1は、例えば拡張現実(AR)を用いた映像のように、撮像された画像に、検出された物質の2次元位置情報を表示でき、ユーザの利便性を向上できる。
また、検出カメラ1と、検出カメラ1により出力された合成画像を表示するモニタ150と、を含んで物質検出システムを構成してもよい。
これにより、検出カメラ1とモニタ150とで物質検出システムを構成できる。物質検出システムにより、ユーザは、モニタ150に表示された合成画像から特定の物質の有無を視認できる。
尚、検出カメラ1は、反射板MR1の代わりに、検出領域SAR外に配置され、第1のレーザ光を拡散する拡散板を備えてもよい。フォトダイオードPD2は、第1のレーザ光が拡散板により拡散した第3のレーザ光を受光してもよい。尚、拡散板は、ディフューザの一例である。
これにより、検出カメラ1は、減光しなくてもよくなり、NDフィルタFIRを省略して温調できる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、レーザダイオードLDの温調制御を行う場合、筐体1zには、反射板MR1が配置され、レーザダイオードLDから出射されたレーザ光は、反射板MR1で反射されると、温調用のフォトダイオードPD2で受光された。第2の実施形態では、反射板MR1の代わりに、拡散板を配置し、物質検出用のフォトダイオードPDで受光される場合を示す。これにより、温調用のフォトダイオードPD2は省かれる。
図14は第2の実施形態における検出カメラ1Aの内部構成を示す模式図である。第2の実施形態の検出カメラ1Aは、第1の実施形態の検出カメラ1とほぼ同様の構成を有するので、第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付すことで、その説明を省略する。
前述したように、筐体1zの開口部1wに近接した検出領域SAR外には、拡散板DEFが配置される。また、集光レンズCLZ2及び温調用のフォトダイオードPD2は省かれる。また、参照セルCELは、拡散板DEFとレーザダイオードLDとの間に配置される。
図15は温調時における検出カメラ1Aの内部の動作を説明する模式図である。
温調制御では、レーザダイオードLDから出射されたレーザ光は、参照セルCELを透過し、拡散板DEFで拡散される。そして、拡散されたレーザ光の一部が、集光レンズCLZを通って、物質検出用のフォトダイオードPDで受光される。従って、温調用のフォトダイオードPD2及び集光レンズCLZ2は不要となる。
また、拡散板DEFによってレーザ光は拡散しているので、フォトダイオードPDで受光されるレーザ光の光量は、反射板を用いて反射されたレーザ光の光量よりも減っている。これにより、レーザ光の光量を減衰させるNDフィルタも不要となる。
また、拡散板DEFは、第1の実施形態の反射板MR1と同様の位置に配置されるので、温調制御を行うタイミングは、第1の実施形態と同じでよい。また、特定物質を検出する動作は、第1の実施形態と同様である。
図16はセンサスキャンユニット5による検出領域SARを含む走査を示す模式図である。
センサスキャンユニット5は、雲台10が旋回することによって、雲台10に搭載されたレーザダイオードLDから出射されたレーザ光LSを用いて、スキャン画角(検出領域SAR)内をパン方向及びチルト方向に走査する。拡散板DEFは、レーザ光による1走査が終了し、レーザ光が初期位置HPに戻る前の、走査終了位置EPを越えた水平方向の位置に配置される。
温調制御では、レーザダイオードLDから出射されたレーザ光は、拡散板DEFによって拡散され、検出対象の物質であるガスが封入された参照セルCELを透過し、物質検出用の集光レンズCLZで集光され、物質検出用のフォトダイオードPDで受光される。
図17は検出カメラ1Aの構成を示すブロック図である。
検出カメラ1Aは、第1の実施形態と同様の構成を有するが、第1の実施形態と異なり、温調ユニット30が省かれた構成を有する。即ち、温調制御では、フォトダイオードPDは、拡散板DEFで拡散され、集光レンズCLZで集光されたレーザ光を受光する。受光後の動作は、第1の実施形態と同様である。
第2の実施形態では、検出領域SARの外側に配置された拡散板DEFは、レーザダイオードLDから出射された第1のレーザ光を拡散する。フォトダイオードPDは、レーザダイオードLDからのレーザ光が拡散板DEFで拡散されたレーザ光を受光する。従って、第1のレーザ光の光量が多くても、拡散板DEFによって第3のレーザ光は分散されるので、フォトダイオードPDは、NDフィルタ等を通過させることなく、第3のレーザ光を受光できる。
このように、本実施形態の検出カメラ1Aでは、フォトダイオードPDは、第1の実施形態のフォトダイオードPD2としても動作し、第3のレーザ光を受光してもよい。
これにより、検出カメラ1Aは、温調用のフォトダイオードPD2を省くことができ、検出カメラ1Aの筐体の小型化、部品点数の削減及び低コスト化できる。
尚、検出カメラ1Aは、拡散板DEFの代わりに、検出領域SAR外に配置され、第1のレーザ光を反射する反射板MR1とNDフィルタFIRとを備えてもよい。
(第3の実施形態)
第1、第2の実施形態では、温調用のフォトダイオードは、レーザダイオードLDから出射され、反射板又は拡散板で反射されたレーザ光を受光することを例示した。第3の実施形態では、温調用のフォトダイオードがNDフィルタFIRを介してレーザ光を直接に受光する場合を示す。
図18は第3の実施形態における検出カメラ1Bの内部構成を示す模式図である。第3の実施形態の検出カメラ1Bは、第1、第2の実施形態の検出カメラ1,1Aとほぼ同様の構成を有するので、第1、第2の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付すことで、その説明を省略する。
前述したように、筐体1zの開口部1wに近接した検出領域SAR外の位置には、温調用のフォトダイオードPD2が配置される。ここでは、集光レンズCLZ2は省かれる。また、参照セルCELと温調用のフォトダイオードPD2との間には、NDフィルタFIRが配置される。
図19は温調時における検出カメラ1Bの内部の動作を説明する模式図である。
温調制御では、レーザダイオードLDから出射されたレーザ光は、参照セルCELを透過し、NDフィルタFIRを通過して、温調用のフォトダイオードPD2で直接受光される。直接受光する場合、レーザダイオードLDから出射したレーザ光の光量は多いので、NDフィルタFIRを配置してレーザ光の光量を減衰させる。
また、温調用のフォトダイオードPD2は、拡散板DEFや反射板MR1と同様の位置に配置されるので、温調制御を行うタイミングは、第1、第2の実施形態と同じでよい。また、特定物質を検出する動作は、第1の実施形態と同じである。
図20はセンサスキャンユニット5による検出領域SARを含む走査を示す模式図である。
センサスキャンユニット5は、雲台10が旋回することによって、雲台10に搭載されたレーザダイオードLDから出射されたレーザ光LSを用いて、スキャン画角(検出領域SAR)内をパン方向及びチルト方向に走査する。温調用のフォトダイオードPD2は、レーザ光による1走査が終了し、レーザ光が初期位置HPに戻る前の、走査終了位置EPを越えた水平方向の位置に配置される。
温調制御では、レーザダイオードLDから出射されたレーザ光は、検出対象の物質であるガスが封入された参照セルCELを透過し、NDフィルタFIRで減衰して温調用のフォトダイオードPD2で受光される。
第3の実施形態では、筐体1zの内部に反射板MR1や拡散板DEFが存在せず、これらの位置に温調用のフォトダイオードPD2が配置されてもよい。これにより、検出カメラ1の各部品を密に配置でき、検出カメラ1をより小型化できる。
(他の実施形態)
以上のように、本開示における技術の例示として、第1〜第3の実施形態を説明した。しかし、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。
第1〜第3の実施形態では、非可視光センサNVSSが、温調エリアに達したタイミングで、参照セルCELを透過したレーザ光を受光することを例示した。つまり、検出領域SARを1走査終了後に、1回の温調制御が行われたが、走査中においても温調制御が行われてもよい。
図21は他の実施形態におけるセンサスキャンユニットによる検出領域SARを含む走査を示す模式図である。図21では、反射板MR2の垂直方向の長さが、前述の反射板MR1と比較すると、検出領域SARの垂直方向に沿って長くされている。つまり、ライン毎の温調においてレーザ光を反射可能に構成されている。
レーザダイオードLDから出射されるレーザ光が検出領域SARの各1ラインの走査を終了した位置を越える位置に、反射板MR2が配置される。センサスキャンユニット5は、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光を、1ラインの走査終了後に反射板MR2で反射させて、温調用のフォトダイオードPD2に向かうようにする。
つまり、他の実施形態では、レーザダイオードLDは、パンチルトユニット15の駆動により、検出領域SARにおける所定方向(図21では水平方向)に並ぶ各位置へ第1のレーザ光を出射した後、検出領域SAR外(ここでは反射板MR2)へ出射する。
これにより、検出カメラ1は、1走査中でも温調制御でき、レーザダイオードLDの温度を調整する回数が増え、第1のレーザ光の波長を制御する回数が増える。このように、検出カメラ1は、第1のレーザ光の中心波長を一定に調整する頻度を増大することで、物質の検出精度を向上できる。
第1〜第3の実施形態では、非可視光として赤外光を用いたが、検出対象の物質の吸収スペクトルによっては、紫外光を用いてもよい。これにより、検出カメラ1は、検出可能な物質の範囲を拡大できる。
第1〜第3の実施形態では、プロセッサやコントローラは、物理的にどのように構成してもよい。また、プログラム可能なプロセッサやコントローラを用いれば、プログラムの変更により処理内容を変更できるので、プロセッサやコントローラの設計の自由度を高めることができる。プロセッサやコントローラは、1つの半導体チップで構成してもよいし、物理的に複数の半導体チップで構成してもよい。複数の半導体チップで構成する場合、第1〜第3の実施形態の各制御をそれぞれ別の半導体チップで実現してもよい。この場合、それらの複数の半導体チップで1つのプロセッサやコントローラを構成すると考えることができる。また、プロセッサやコントローラは、半導体チップと別の機能を有する部材(コンデンサ等)で構成してもよい。また、プロセッサやコントローラが有する機能とそれ以外の機能とを実現するように、1つの半導体チップを構成してもよい。