次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態における車両誘導システム1000の構成の一例を示す概略の上面図である。図1を参照すると、車両誘導システム1000は、駐車場500内に設置される制御装置100を備える。駐車場500には、複数の駐車区域が設けられている。
複数の駐車区域は、それぞれ所定の区域数でブロック(区画)を形成する。図1の例では、1ブロックに、4つの駐車区域が設けられている。図1において、駐車区域501、502、503及び504は、ブロック50とし、駐車区域505、506、507及び508は、ブロック51とする。また、ブロック52は、図中の位置とする。また、各駐車区域は通信装置と照明装置を備える。
制御装置100の設置場所は何処でもよく、駐車場500の外でもよい。また制御装置100は、通信部106だけ駐車場500内にあって、その他の機能部は駐車場500の外にあってもよい。図1の例では、駐車区域501、502、504、505、508には既に駐車している車両があり、駐車区域503、506、507は空車とする。また、既に車両400は車両誘導システム1000により誘導中であり、車両401が駐車場500に入場し始めている状態とする。
図2は、制御装置100の構成の一例を示すブロック図である。制御装置100は、満空情報管理部101と、車両管理部102と、駐車区域決定部103と、駐車経路決定部104と、車両誘導部105と、通信部106とを備える。
車両誘導システム1000は、車両を誘導するために、車両内に画像や音声など情報出力可能な装置を不要とする。そのために、本実施の形態では、車両誘導システム1000は、制御装置100と、駐車場内の駐車区域に備えられている照明装置及び通信装置を使って、車両を空いている駐車区域に誘導する。
すなわち、制御装置100が、駐車場内に入場した車両に対し誘導する駐車区域を含む目的ブロックと、車両の現在位置から目的ブロックへの誘導経路を決定する。さらに制御装置100は、誘導経路上に位置する駐車区域の通信装置に車両の識別情報を通知する。
識別情報を通知された通信装置が、車両を目的ブロックへ誘導するよう誘導経路上に位置する照明装置を制御する。
ここで、制御装置100の構成について、さらに詳しく説明する。
満空情報管理部101は、駐車場500内の全ての駐車区域にそれぞれ設置された通信装置から、満空情報を駐車区域状態データとして受信する。満空情報管理部101は、受信した駐車区域状態データの内容に基づき、図示しない記憶部に記憶された満空情報リストのうちの、当該駐車区域の項目の満空情報を更新する。満空情報とは、それぞれの駐車区域が既に駐車済み(満車)であるか駐車していない(空車)かの情報である。
図3は、満空情報リストの一例を示す図である。満空情報リストには、各駐車区域に対応する満空情報が記録される。なお、図3の例では満空情報の列は“0”を空車、“1”を満車として記録されているが、満空情報が判別できる組み合わせであればこれらに限らない。
車両管理部102は、駐車場500に入場しているそれぞれの車両の情報を管理する。それぞれの車両の情報は、図示しない記憶部に案内リストとして記憶される。
図4は、案内リストの一例を示す図である。案内リストには、各車両と案内を始めるスタートブロックと目的のブロックのそれぞれの情報が記録される。ブロックの情報は、各ブロックの識別を可能にする情報であればよい。図4の場合、ブロックの番号(図1におけるブロックの参照番号)が記録されている。さらに、図4に示す案内リストは、車両の識別のためのMAC(Media Access Control)アドレスを記録する。車両の識別には、車両に搭載される後述する通信部のMACアドレスが使用される。
具体的には、車両が、駐車場500に入場し始めて最も近い駐車区域の通信装置と最初に通信する時に、車両の通信部のMACアドレスが、その通信装置を経由して制御装置100に送信される。車両管理部102は、新たに入場した車両からの情報(車両の通信部のMACアドレス)を受信した場合、図4に示す案内リストに車両情報として車両の通信部のMACアドレスを追加する。
入場の処理を確実にするため、駐車場500の入場口で車両との通信を行うための通信装置を有する入場口ブロックが別途駐車場500に設けられてもよい。この場合、車両が入場口ブロックに設けた通信装置と通信した場合に、通信装置が車両の通信部のMACアドレスを制御装置100に送信し、車両管理部102は、前述のように案内リストに当該車両情報を追加してもよい。図1および図4では入場直後の車両の現在位置情報は、59(=入場口ブロックの情報)とする。
また、後述する駐車区域決定部103が、追加した車両に対して誘導先となる駐車区域を含む目的ブロックを決定したとする。この場合、車両管理部102は、案内を始めるスタートブロックのほか、車両の誘導が進むにつれて、車両の現在位置が属するブロック(たとえば、現在位置の最寄りのブロック)の情報と、誘導する駐車区域の目的ブロックの情報とを取得し、取得した情報によって案内リストを更新する。
また、図4に示す案内リストは、車両が後述される誘導経路から外れた場合も、その車両の現在位置が属するブロックを識別する情報が新たなスタートブロックの情報として更新される。
一方、車両誘導部105は、車両を目的ブロックへ案内する制御を終了した後、当該車両の情報を案内リストから削除する。
駐車区域決定部103は、車両の現在位置を表す現在位置情報と満空情報管理部101に記憶された満空情報(図3)を参照する。本実施の形態の場合、現在位置情報は、車両の現在位置が属するブロックの情報で、後述する車両誘導部105によって検出される情報である。駐車区域決定部103は、参照したこれらの情報に基づき、駐車場500内の車両に対し、誘導するべき目的ブロックを決定する。目的ブロックの決定後、駐車区域決定部103は、その目的ブロックを車両管理部102に通知する。
駐車経路決定部104は、車両の現在位置情報と駐車区域決定部103が決定した目的ブロックを案内リストから参照し、車両を目的ブロックに誘導するための誘導経路を決定する。駐車経路決定部104は、誘導経路を、各ブロック間の経路上の全ての駐車区域が記録された、図5に示す経路リストを参照することによって決定する。
図5は、経路リストの一例を示す図である。図5の経路リストでは、前述のブロック59も含めた各ブロック間の経路があらかじめ登録される。また、図6は、図5の経路リストの中の59−50経路(ブロック59からブロック50への経路)に実際に登録される経路の情報の一例である。図6に示すように、59−50経路の情報は、ブロック59を出発点とし、目的ブロックであるブロック50にたどり着くために経由する駐車区域を、出発点から順番に示した情報である。他の経路の情報に関しても同様である。
駐車経路決定部104は、決定した誘導経路を監視リストに登録する。監視リストに関しては、図7を使って後述する。
具体的には、駐車経路決定部104は、決定した誘導経路上の駐車区域に誘導される当該車両の通信部のMACアドレスを監視リストに登録する。この場合、駐車経路決定部104は、当該車両の通信部のMACアドレスを図4に示す案内リストから取得する。さらに、駐車経路決定部104は、決定した誘導経路上(誘導経路の途中)の駐車区域の車両を探索するために設定される後述されるタイマ(車両探索タイマ:図7)に、あらかじめ設定された時間を登録する。
車両誘導部105は、駐車経路決定部104が決定した誘導経路を参照し、誘導経路上(誘導経路の途中)にある駐車区域の照明装置を制御する情報を個別リスト(後述する図8)として通信装置に送信する。また、車両誘導部105は、車両近くの駐車区域に備えられた通信装置から送信される車両のMACアドレスの情報に基づいて、当該車両の現在位置を監視する。そして、当該車両が、駐車経路決定部104が決定した誘導経路(たとえば、図6に示す50−59経路)から外れた、と判断した場合、車両誘導部105は、車両の現在位置を探索する。その探索の結果、当該車両を発見した場合、車両誘導部105は、発見したブロックを新たなスタートブロックとして駐車経路決定部104に対し、誘導経路の再決定を行うよう通知する。なお、車両誘導部105は、車両の現在位置の監視中は定期的に、または連続的に満空情報管理部101の満空情報リストを監視し、車両を誘導する目的ブロックに空きがあることを確認する。もし、車両誘導中に目的ブロックに空きがなくなった場合、駐車区域決定部103に駐車区域を再決定するよう通知する。
図7は、監視リストの一例を示す図である。監視リストは、誘導中の車両1台に対して1つ作成されるリストである。すなわち、誘導中の車両毎に、監視リストが、駐車経路決定部104及び車両誘導部105によって、作成される。駐車経路決定部104は、決定した誘導経路上(誘導経路の途中)の駐車区域ごとに、誘導するべき車両の通信部のMACアドレスを登録し、さらに駐車経路決定部104は、車両探索タイマを設定する。
車両探索タイマとは、駐車区域の通信装置と当該車両との通信が途絶えてから他の駐車区域の通信装置と当該車両との通信が発生するまでの許容時間である。この車両探索タイマの時間を超過しても誘導経路内の駐車区域の通信装置と当該車両との通信が発生しない場合、車両誘導部105は、当該車両が駐車経路決定部104が決定した誘導経路から外れた、すなわち、当該車両は見失ったと判定する。また、この車両探索タイマは、駐車区域間の距離や状況に応じて適宜変更できる。たとえば、経路において次の駐車区域との距離が開いている場合や、工事等で徐行あるいは迂回が必要になるため次の駐車区域の通信部との通信に時間がかかる場合はタイマの時間をより大きく設定してもよい。
また、車両発見フラグは、各駐車区域のどの通信部が、誘導経路に従って誘導されている当該車両を発見したかを示すフラグである。誘導経路内の駐車区域の通信部から当該車両との通信を行った旨の通知、すなわち後述する探索結果リストを受信した場合、車両誘導部105は、その通信装置が所在する駐車区域の車両発見フラグを、“0”から“1”に変更し、それ以外の駐車区域の車両発見フラグを、全て“0”に変更する。
車両発見回数は、誘導経路内の駐車区域の通信部から当該車両との通信を行った旨の通知、すなわち後述する探索結果リストを受信した回数である。この回数が所定の回数を超えた場合、車両を誘導する目的ブロックに誘導完了する前に、当該車両が誘導経路内の駐車区域に駐車したと判定して誘導を終了する。
図8は、各通信区域の通信部に車両誘導部105から送信される個別リストの一例を示す図である。車両誘導部105は、監視リスト(図7)を参照し、車両の通信部のMACアドレスの記載がある駐車区域の行を取得する。さらに、車両誘導部105は、案内リスト(図4)を参照し、当該車両の通信部のMACアドレスに対応する目的ブロックを取得する。その後、車両誘導部105は、誘導経路上にあるそれぞれの駐車区域に対して、迷子探索フラグを付与して個別リストを作成し、通信装置201に送信する。迷子探索フラグとは、後述する誘導する車両が誘導経路から外れた場合に、当該車両の現在位置を探索する処理を実施するか否かのフラグである。迷子探索フラグが“1”の場合、当該車両の現在位置を探索する処理を実施する。
通信部106は、隣接する駐車区域の通信装置あるいは制御装置100と通信を行う。
図9は、駐車区域501に備えられる装置の構成の一例を示すブロック図である。また、図9に図示される構成は、駐車区域501のみならず全ての駐車区域の構成に適用される。
照明装置301は、例えばLED(Light Emitting Diode)で構成される。照明装置301は、当該駐車区域外から容易に視認できる位置に設置される。
通信装置201は、通信部2011と、車両検知部2012と、照明装置制御部2013とを備える。
通信部2011は、近隣の駐車区域または車両の通信部との通信が可能な程度の出力電波の強度で通信を行う第1の通信、もしくは第2の通信を行う。ただし、第2の通信は、各ブロックの代表となる駐車区域の通信装置だけが可能である。
第2の通信は、誘導する車両が誘導経路から外れた場合、すなわち受信した個別リスト(図8)の迷子探索フラグが“1”の場合、当該車両の現在位置を探索するために実施される。第2の通信での出力電波の強さは、当該通信装置201を有する駐車区域を含むブロックの近隣に当該車両があった場合に通信ができ、かつ駐車場500のどの位置に当該車両があっても、必ずいずれかの1つの各ブロックの代表となる駐車区域の通信装置と通信できる程度の強度に設定される。車両の現在位置の近隣の駐車区域に備えられる通信部は、制御装置100の通信部106とも通信を行う。
また、制御装置100が送信した個別リスト(図8)を受信し、かつ受信した個別リストの迷子探索フラグが“0”であった場合、通信部2011は、誘導経路上の照明装置301を第1の作動状態にするよう照明装置制御部2013に通知する。点灯や点滅など、照明装置301の第1の作動状態は限定しない。受信した個別リストの迷子探索フラグが“1”であった場合は、通信部2011は、誘導経路上の照明装置301を制御しない。
また、通信部2011は、照明装置301を第1の作動状態にした場合、近隣の車両の通信部と通信し、受信した個別リストに登録されているMACアドレスの通信部を有する車両があるか定期的に探索する。もし通信部2011が当該車両と通信した場合、照明装置301を第2の作動状態にするよう照明装置制御部2013に通知する。消灯や点滅など、第1の作動状態と状態が異なっていればよく、照明装置301の第2の作動状態は限定しない。以降の説明では、第1の作動状態は点灯、第2の作動状態は消灯とする。
また、通信部2011は、探索の結果、当該車両と通信した場合、探索結果リストを作成し、制御装置100に向けマルチホップ通信を行い送信する。ここで、「制御装置100に向けマルチホップ通信を行い送信する」とは、例えば、ブロック50の各駐車区域と制御装置100との間の駐車区域のうち、直接的には駐車区域501の近隣の駐車区域(駐車区域502)の通信部に対して通信を行い、送信することである。通信し受信した駐車区域の通信部は、更に制御装置100に向く方向の近隣の駐車区域の通信部に対して通信を行い送信する。これを繰り返すことで、駐車区域501の通信部2011が送信した情報は、他の駐車区域の通信部を経由して、最終的に制御装置100に送信される。なお、受信した個別リストに登録されているMACアドレスの通信部を有する車両の探索は、誘導が完了するまで定期的に実施されるため、当該車両と通信した場合、その都度探索結果リストを作成し、制御装置100に送信する。
図10は、探索結果リストの一例を示す図である。図10は、ブロック51における駐車領域508が車両401を発見し、通信を行った場合に作成する探索結果リストの例である。この探索結果リストを制御装置100が受信した場合、車両誘導部105は、監視リストを更新し、駐車区域508の行の車両発見フラグを“0”から“1”に変更し、それ以外の駐車区域の車両発見フラグを、全て“0”に変更する。
車両検知部2012は、駐車区域501に車両が止まっているか否かを検知する。例えば車両検知部2012は、赤外線センサによって構成されるが、カメラや荷重検知などのその他の方法により検知してもよい。車両検知部2012の状態が変化した場合、通信部2011は、変化の情報、たとえば空車が満車に変わった情報を駐車区域状態リストとして制御装置100に向けマルチホップ通信を行い送信する。
図11は、車両検知部2012によって生成される駐車区域状態データの一例を示す図である。車両検知部2012は、駐車領域503が満車となったことを制御装置100に通知するために作成される。図11に示すように、駐車区域状態データは、駐車区域を示す情報と満空情報からなる。この駐車区域状態データは、車両検知部2012から通信部2011に転送され、通信部2011から制御装置100に送信される。制御装置100が各駐車区域の通信部2011から駐車区域状態データを受信した場合、満空情報管理部101は、満空情報リスト(図3)を更新し、駐車区域503の行の満空情報を“0”から“1”に変更する。
照明装置制御部2013は、制御装置100の車両誘導部105から送信される個別リストに記載の内容に基づき、照明装置301を制御する。また、照明装置制御部2013は、所定の時間、照明装置301を消灯以外の状態にした場合、照明装置301を消灯する。
図12は、駐車場500内に入場する車両400の構成の一例を示すブロック図である。また、図12に図示される構成は、車両400のみならず全ての駐車場500内に入場する車両の構成に適用される。
車両400は、通信部410を備える。
通信部410は、車両400の近隣の駐車区域の通信部との通信が可能な程度の出力の通信を行う。このため、通信部410は、例えばカーナビのような車載機器の他に、例えばスマートフォンのような携帯端末であってもよく、あらかじめ駐車場500内に入場する時に発行される駐車券に通信チップを内蔵し、その通信チップにより実現してもよい。
図13は、本発明の第1の実施の形態における制御装置100をコンピュータ装置で実現した場合のハードウェア構成例を示す図である。図13に示されるように、制御装置100は、それぞれ通信インタフェース10、CPU(Central Proccessing Unit)11、出力装置12、入力装置13、主記憶装置14、および二次記憶装置15を含む。
通信インタフェース10は、処理装置および周辺端末との通信のための入出力インタフェースを構成する。また通信インタフェース10は、制御装置100に接続する図示しないネットワークとの接続制御のためのインタフェースも含む。具体的には、制御装置100の通信インタフェース10は、通信部106として動作する。
CPU11は、オペレーティングシステムを動作させて本発明の第1の実施の形態に係る制御装置100の全体を制御する。また、CPU11は、例えば二次記憶装置15から主記憶装置14にプログラムまたはデータを読み出す。具体的には、制御装置100のCPU11は、第1の実施の形態における満空情報管理部101と、車両管理部102と、駐車区域決定部103と、駐車経路決定部104と、車両誘導部105として動作し、それぞれプログラム制御に基づいて各種の処理を実行する。また、制御装置100のCPU11は、1つに限らず2つ以上備えていてもよい。
出力装置12は、例えばディスプレイ、表示器で実現され、出力を確認するために用いられる。
入力装置13は、例えばマウスやキーボード、内蔵のキーボタン等で実現され、入力操作に用いられる。入力装置13は、マウスやキーボード、内蔵のキーボタンに限らず、例えばタッチパネルでもよい。
主記憶装置14は、CPU11の制御に基づく作業用メモリである。
二次記憶装置15は、例えば光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、または半導体メモリ等であって、コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録する。二次記憶装置15は、制御装置100が実行するためのコンピュータプログラムを一時的に記憶するまたは非一時的に記憶する。したがって、CPU11は、二次記憶装置15に記録されているコンピュータプログラムを読み込み、そのプログラムにしたがって、満空情報管理部101と、車両管理部102と、駐車区域決定部103と、駐車経路決定部104と、車両誘導部105として動作してもよい。
また、コンピュータプログラムは、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからダウンロードされてもよい。また、制御装置100の二次記憶装置15は、第1の実施の形態における満空情報管理部101と、車両管理部102と、駐車区域決定部103と、駐車経路決定部104と、車両誘導部105のそれぞれの情報記憶デバイスとして機能する。
なお、第1の実施の形態の説明において利用されるブロック図(図1)には、機能単位のブロックが示されている。これらの機能ブロックは、図13に示すコンピュータ装置に限らず、各部がハードウェア回路によって実現されてもよい。ただし、制御装置100が備える各部の実現手段は特に限定されない。すなわち、制御装置100は、物理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的に分離した2つ以上の装置を有線または無線で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
以上のように構成された車両誘導システム1000の動作について、図14〜図20のフローチャートを参照して説明する。
図14は、第1の実施の形態における制御装置100での満空情報リスト(図3)の更新の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理は、前述したCPU11によるプログラム制御に基づいて、実行されても良い。
図14に示すように、まず、満空情報管理部101は、駐車場500内の全ての駐車区域にそれぞれ設置された通信装置から、満空情報を示す駐車区域状態データを受信する(ステップS101)。満空情報管理部101は、受信した各駐車区域状態データの内容に基づき、図示しない記憶部あるいは二次記憶装置15に記憶された満空情報リストの、全ての駐車区域の項目の満空情報を更新する(ステップS102)。
以上で、制御装置100は、満空情報リストの更新の動作を終了する。なお、この満空情報リストの更新の動作は、制御装置100が通信装置から駐車区域状態データを受信するたびに実施する。また、制御装置100が駐車区域状態データを受信した場合、駐車区域状態データを図示しない記憶部に記憶し、定期的にまとめて満空情報リストの更新の動作を実施する方法でも構わない。
図15は、第1の実施の形態における制御装置100での案内リスト(図4)の更新の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理も、前述したCPU11によるプログラム制御に基づいて、実行されても良い。
図15に示すように、まず、新たな車両(ここでは図1に示す車両401)の情報、すなわち車両401の通信部のMACアドレスを受信した場合、車両管理部102は、案内リストに新たな車両401の通信部のMACアドレスを追加する(ステップS201)。
次に、駐車区域決定部103は、満空情報リストに記載された満空情報に基づき、空車の駐車区域のあるブロックを判定し、そのブロックの中から車両401を誘導するべき目的ブロックを決定する。また、駐車区域決定部103は、決定した目的ブロックを車両管理部102に通知する(ステップS202)。決定の方法はどのような方法でもよい。例えば決定の方法は、全てのブロックに1台ずつ割り当てる方法でもよいし、駐車場500の隅の方の駐車区域から順番に割り当てる方法でもよい。
次に、車両管理部102は、案内を始めるスタートブロック、すなわち車両401の現在地が属するブロックと、駐車区域決定部103から通知される目的ブロック(目的ブロック50)の情報に基づき、案内リストを更新する(ステップS203)。案内を始めるスタートブロックは、入場直後の車両の場合、入場口から最も近い駐車区域のブロックもしくは入場口の通信装置のブロックとなる。
以上で、制御装置100は、案内リスト(図4)の更新の動作を終了する。
図16は、第1の実施の形態における制御装置100での監視リスト更新と個別リスト送信の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理も、前述したCPU11によるプログラム制御に基づいて、実行されても良い。
図16に示すように、まず、駐車経路決定部104は、図4に示す案内リストを参照し、車両401の現在位置情報(ブロック59)と目的ブロックの情報を取得する(ステップS301)。
次に、駐車経路決定部104は、車両401の現在位置情報と目的ブロックの情報と経路リスト(図5及び図6)に記載の内容に基づき、誘導する誘導経路を決定し監視リスト(図7)に登録する(ステップS302)。車両401の監視リストが存在していない場合は、駐車経路決定部104は、新規作成し登録する。既に存在している場合は、駐車経路決定部104は、既存の情報をすべて削除したうえで登録する。
次に、車両誘導部105は、誘導経路上にある駐車区域の照明装置を制御する情報を個別リスト(図8)として作成し、誘導経路上にある駐車区域の通信装置に送信する(ステップS303)。
以上で、制御装置100は、監視リスト更新と個別リスト送信の動作を終了する。
図17は、第1の実施の形態における駐車区域501の照明装置301と通信装置201での車両の誘導の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理も、前述したCPU11によるプログラム制御に基づいて、実行されても良い。また、駐車区域501の照明装置301と通信装置201の動作として説明しているが、全ての駐車区域に対して照明装置と通信装置は、同様に動作する。
図17に示すように、まず、図16に示すステップS303での処理により、通信装置201が制御装置100から個別リストを受信した場合、通信部2011は、監視リスト(図7)に登録されている誘導経路上の照明装置301を第1の作動状態にするよう照明装置制御部2013に通知する。また、通知を受けた照明装置制御部2013は、照明装置301を、誘導のための第1の作動状態に制御する(ステップS401)。また、通信部2011は、近隣の車両の通信部と通信し、受信した個別リストに記載のMACアドレスの通信部を有する車両401が誘導経路上にあるか探索する(ステップS402)。
もし、当該車両401を検出した場合(ステップS402でYES)、通信部2011は、照明装置301を第2の作動状態にするよう照明装置制御部2013に通知する。また、通知を受けた照明装置制御部2013は、照明装置301を、誘導のための第2の作動状態に制御する(ステップS403)。また、通信部2011は、探索結果リスト(図10)を作成し、制御装置100に向けマルチホップ通信を行い送信する(ステップS404)。
当該車両401を検出せず(ステップS402でNO)、所定の時間(この所定の時間は図7の監視リストに示す車両探索タイマの設定時間ではない)を経過している場合(ステップS405でYES)、通信部2011は、照明装置制御部2013に消灯を通知する。また、通知を受けた照明装置制御部2013は、照明装置301を消灯し、通信部2011は、車両401の探索を終了する(ステップS406)。当該車両401を検出せず(ステップS402でNO)、所定の時間を経過していない場合は、探索を継続する(ステップS402)。
以上で、駐車区域501の照明装置301と通信装置201は、車両の誘導の動作を終了する。本動作は通信装置201が制御装置100から個別リストを受信した場合、都度実施する。
図18は、第1の実施の形態における制御装置100での車両誘導制御の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理も、前述したCPU11によるプログラム制御に基づいて、実行されても良い。
図18に示すように、まず、車両誘導部105は、満空情報管理部101の満空情報リストを監視し、車両を誘導する目的ブロック(目的ブロック50)に空きがあることを確認する(ステップS501)。もし、目的ブロック50に空きがない場合(ステップS501でNO)、車両誘導部105は、その空きがないことを駐車区域決定部103に通知し、車両管理部102は再び誘導するべき目的ブロックを決定、すなわちステップS202以降を実施する(ステップS502)。この場合、図15に示すフローが実施される。
目的ブロック50に空きがある場合(ステップS501でYES)、車両誘導部105は、誘導する誘導経路上にある駐車区域(たとえば、駐車区域508)の通信装置からの探索結果リスト(図10)の受信を待機する(ステップS503)。探索結果リストを受信した場合(ステップS503でYES)、車両誘導部105は、受信した探索結果リストの内容に基づき、監視リスト(図7)の当該駐車区域の行の車両発見フラグを“0”から“1”に変更し、それ以外の駐車区域の車両発見フラグを、全て“0”に変更する(ステップS504)。また、車両誘導部105は、当該駐車区域の行の車両発見回数を1つ加算する(ステップS505)。
次に、ステップS505で加算した結果、車両発見回数が所定の回数に達した場合(ステップS506でYES)、車両誘導部105は、当該車両が、探索結果リストを送信した通信装置のある駐車区域もしくはその付近の駐車区域に駐車したとみなす。つまり、車両誘導部105は、車両管理部102に車両誘導完了を通知して(ステップS507)車両誘導を終了する。
ステップS505で加算した結果、車両発見回数が所定の回数に達していない場合(ステップS506でNO)、車両誘導部105は、当該駐車区域が当該車両401の目的ブロック内の駐車区域か否か、案内リスト(図4)を参照して確認する(ステップS508)。当該車両の目的ブロック50内の駐車区域の場合(ステップS508でYES)、車両誘導部105は、車両管理部102に車両誘導完了を通知して(ステップS507)車両誘導を終了する。
当該駐車区域が当該車両の目的ブロック内の駐車区域ではない場合(ステップS508でNO)、または探索結果リストを受信しない場合(ステップS503でNO)、監視リストを参照し、前回探索結果リストを受信してから現在までの時間が、前回探索結果リストを受信した駐車区域の車両探索タイマに登録された時間を経過していなければ(ステップS509でNO)、車両誘導部105は、ステップS501に戻り、継続して目的ブロック50の確認と探索結果リストの受信を待機する。前回探索結果リストを受信してから現在までの時間が、前回探索結果リストを受信した駐車区域の車両探索タイマに登録された時間を経過した場合(ステップS509でYES)、車両誘導部105は、当該車両が駐車経路決定部104が決定した誘導経路から外れたと判断し、後述する迷子車両探索の処理を実施する(ステップS510)。
以上で、制御装置100は、車両誘導制御の動作を終了する。
図19は、第1の実施の形態における制御装置100での車両401誘導完了後の案内リスト(図4)と監視リストの処理の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理も、前述したCPU11によるプログラム制御に基づいて、実行されても良い。
図19に示すように、まず、車両管理部102は、車両誘導部105から車両誘導完了を通知された場合、車両管理部102は、当該車両401の情報を案内リストから削除する(ステップS601)。また、車両管理部102は、当該車両401の監視リストを削除する(ステップS602)。
以上で、制御装置100は、車両401誘導完了後の案内リスト(図4)と監視リストの処理の動作を終了する。
図20は、第1の実施の形態における制御装置100での迷子車両探索の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理も、前述したCPU11によるプログラム制御に基づいて、実行されても良い。
図20に示すように、まず、車両誘導部105は、当該車両が現在どの位置にいるかを確認するために、当該車両の通信部のMACアドレスの情報を登録した迷子探索フラグが“1”である個別リストを作成する。また、車両誘導部105は、各ブロックの代表となる駐車区域の通信装置に送信し、当該車両との通信を試みるよう通知する(ステップS701)。各ブロックの代表となる駐車区域は、駐車場500の構造や配置を考慮してあらかじめ決められる。また、各ブロックの代表となる駐車区域の通信装置は、迷子探索フラグが“1”である個別リストを受信した場合、すなわち迷子車両探索の動作の場合、第2の通信を行う。第2の通信において、当該ブロックの近隣に当該車両があった場合、各ブロックの代表となる駐車区域の通信装置は、駐車場500のどの位置に当該車両があっても、必ずいずれか1つの各ブロックの代表となる駐車区域の通信装置と通信できる程度の通信強度に設定される。これによって、一つのブロックの代表となる駐車区域の通信装置は、他のブロックの代表となる駐車区域の通信装置と通信を行い、当該車両を検出することができる。各ブロックの代表となる駐車区域は、当該ブロックの中心に近い位置に通信装置が設置されている駐車区域が望ましい。
次に、通知を受けた各ブロックの代表となる駐車区域の通信装置の1つからの当該車両発見の通知(すなわち探索結果リスト)を制御装置100が受信した場合(ステップS702でYES)、車両誘導部105は、発見した通信装置の駐車区域が属するブロックをスタートブロックに、目的ブロックを当該車両の誘導時と同じブロックに設定するよう駐車経路決定部104に通知する。さらに、車両管理部102は、再び案内リストを更新、すなわちステップS203以降を実施する(ステップS703)。ここで、駐車区域の通信装置が通知する当該車両発見の通知は探索結果リストの送信とする。すなわち、通知には、発見した駐車区域と発見した車両の通信部のMACアドレス、車両発見フラグの情報が含まれる。各ブロックの代表となる駐車区域の通信装置からの当該車両発見の通知を制御装置100が受信できない場合(ステップ702でNO)、車両誘導部105は、駐車場500内には当該車両はないと判断し、車両誘導完了を車両管理部102に通知する(ステップS704)。
以上で、制御装置100は、迷子車両探索の動作を終了する。
次に、本発明の第1の実施の形態の効果について説明する。
上述した本実施形態における車両誘導システムは、車両の位置を極めて高精度で特定することができる。
その理由は、以下のような構成を含むからである。即ち、第1に通信装置201は、近隣の駐車区域における通信装置または車両の通信部と通信を行う。たとえば、通信装置201の通信部2011が行う第1の通信の出力電波の強度は、近隣の駐車区域または車両の通信部との通信が可能な程度に抑えることができる。これにより、通信部2011が行う第1の通信は、通信可能範囲が狭い領域に限定される。
また、制御装置100は、車両の現在位置から目的ブロックへの誘導経路を決定する。さらに、制御装置100は、決定した誘導経路に位置する駐車区域の通信装置201に車両の識別情報を通知する。また、識別情報を通知された通信装置201が、車両を検知し、目的ブロックへ誘導する。このように、車両の誘導時に、その車両と通信を行う通信装置201は、制御装置100によって誘導経路にある駐車区域での通信装置に特定され、車両と通信を行う。したがって、本車両誘導システムは、車両の通信部410との通信が確立された際に車両の位置を極めて高精度で特定することができるという効果が得られる。
また、車両位置検出の手段は、駐車区域と車両の通信部との1対1の通信による車両位置を特定する方法に限らない。例えば、車両位置検出の手段は、近隣の複数駐車区域と車両の通信部との通信強度を読み取り、得られた複数駐車区域からの電波強度をもって自動車の位置を特定する方法でも良い。
また、上述した本実施形態における車両誘導システムは、システム全体の負荷を軽減できる。
その理由は、以下のような構成を含むからである。即ち、第1に、制御装置100は、1つないし複数の駐車区域毎にブロックが設定された駐車場500における車両誘導を制御するため、車両を誘導する先である駐車区域を含む目的ブロックと、車両の現在位置から目的ブロックへの誘導経路を決定する。さらに、制御装置100は、決定した誘導経路に位置する駐車区域の通信装置201に車両の識別情報を通知する。第2に、識別情報を通知された通信装置201が、車両を検知し、目的ブロックへ誘導するよう誘導経路上に位置する照明装置301を制御する。つまり、制御装置100から、識別情報が通知される通信装置201による車両の探索と誘導は、その誘導経路上にある駐車区域の通信装置201と照明装置301だけであり、制御装置100による探索指示を逐一受けることなく、車両の識別情報を受けることで自律的に車両を誘導することができる。これにより、不必要な通信が抑えられ、通信帯域の効率利用が可能となるので、本車両誘導システムは、システム全体の負荷を軽減できるという効果が得られる。
また、上述した本実施形態における車両誘導システムは、比較的安易にネットワークを構築できると言う効果も得られる。なぜなら、駐車区域の通信装置は、制御装置100とマルチホップ通信を行うため、駐車区域の通信装置は、隣接する駐車区域の通信部あるいは近隣の車両の通信部との通信が可能な程度の出力の通信が行えればよい。すなわち、駐車区域の通信装置は、隣接する駐車区域の通信部あるいは近隣の車両の通信部以外の駐車区域や制御装置100と単独で通信できる程度の通信出力を備える必要はないためである。なお、制御装置100の迷子車両探索の動作において、各ブロックの代表となる駐車区域の通信装置は、次のような通信強度に設定されることが必要である。その強度は、当該ブロックの近隣に当該車両があった場合にその車両と通信ができ、かつ駐車場500のどの位置に当該車両があっても、必ずいずれか1つの各ブロックの代表となる駐車区域の通信装置と通信できる程度の通信強度である。しかし、その場合においても、各ブロックの代表となる駐車区域の通信装置は、近隣ではない他のブロックの駐車区域や制御装置100と単独で通信できる程度の通信出力を備える必要はない。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下、本実施形態の説明が不明確にならない範囲で、前述の説明と重複する内容については説明を省略する。
図21は、本発明の第2の実施形態に係る車両誘導システム1010の構成の一例を示す概略の上面図である。
図21を参照すると、本実施形態における車両誘導システム1010は、第1の実施形態のそれと比べて、制御装置100の代わりに制御装置110を備える。また、本実施形態における車両誘導システム1010は、新たに駐車場500の入場口に表示装置111を備える。
図22は、制御装置110の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態における制御装置110は、第1の実施形態のそれと比べて、車両管理部102の代わりに車両管理部112を、車両誘導部105の代わりに車両誘導部115を備える。
図23は、本実施形態における駐車区域501に備えられる装置の構成の一例を示すブロック図である。また、図23に図示される構成は、駐車区域501のみならず全ての駐車区域の構成に適用される。本実施形態における駐車区域501は、通信装置201の代わりに通信装置211を、照明装置301の代わりに照明装置311を備える。通信装置211は、照明装置制御部2013の代わりに照明装置制御部2023を備える。
照明装置311は、複数の色を発光できる照明とする。また、複数の色を同時に発光できる照明であることが望ましい。
表示装置111は、車両401が駐車場500に入場する場合、車両401に対して車両管理部112から通知された照明色を表示する。このことによって、表示装置111は、この色の照明に従って駐車場500内を進行するよう車両の運転手に認識させる。
車両管理部112は、新たに車両の情報を受信した場合、ステップS202で案内リストに車両情報(車両の通信部のMACアドレス)を追加する。この時、車両管理部112は、さらに当該車両を誘導する照明色を決定し、案内リストに追加する。複数の車両情報が案内リストに登録される場合、車両管理部112は、それぞれ別の照明色を割り当てる。また、車両管理部112は、表示装置111に決定した照明色を通知する。
図24は、本実施形態における案内リストの一例を示す図である。図4に示す案内リストと比べて、新たに照明色の列が追加されている。この照明色は照明装置311が発光できる色の中から一つを選択することとし、その選択の方法はどのような方法であっても良い。
車両誘導部115は、ステップS303で誘導経路上にある駐車区域の照明装置を制御する情報を個別リストとして作成し、誘導経路上にある駐車区域の通信装置に送信する。この時、車両誘導部115は、さらに案内リストの内容に基づき、当該車両を誘導する照明色を個別リストに追加する。図25は、本実施形態における個別リストの一例を示す図である。図8に示す個別リストと比べて、新たに照明色の列が追加されている。
照明装置制御部2023は、ステップS402で照明装置311を第1の作動状態に制御する。また、照明装置制御部2023は、ステップS404で照明装置311を第2の作動状態に制御する。この時の照明色は、通信装置201が受信した個別リストの内容に基づく。
次に、本発明の第2の実施の形態の効果について説明する。
上述した本実施形態における車両誘導システムは、複数の車両を混同することなく同時に誘導できる。
その理由は、以下のような構成を含むからである。即ち、第1に照明装置は、複数の色を発光できる照明とし、車両管理部112は、複数の車両情報を案内リストに登録する場合、それぞれの車両に対し別の照明色を割り当てる。第2に、駐車場500に入場する車両401の誘導開始時にあらかじめ車両管理部112から通知された、誘導する照明の色を通知する表示装置111を更に備える。このことにより、表示装置111は、この色の照明に従って駐車場500内を進行するよう車両の運転手に認識させる。第3に、照明装置制御部2022は、個別リストの内容に基づき指定された照明色で車両の誘導を行う。これにより、複数の車両が駐車場500内に混在する場合、それぞれの車両をそれぞれ別の色の照明で誘導することが可能となるので、本車両誘導システムは、複数の車両を混同することなく同時に誘導できるという効果が得られる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下、本実施形態の説明が不明確にならない範囲で、前述の説明と重複する内容については説明を省略する。
図26は、本発明の第3の実施形態に係る車両誘導システム1020の構成の一例を示す概略の上面図である。
図26を参照すると、本実施形態における車両誘導システム1020は、第1の実施形態のそれと比べて、制御装置100の代わりに制御装置120を備える。また、本実施形態における車両誘導システム1020は、新たに駐車場500の入場口に入力装置121を備える。
図27は、制御装置120の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態における制御装置120は、第1の実施形態のそれと比べて、車両管理部102の代わりに車両管理部122を、駐車区域決定部103の代わりに駐車区域決定部113を備える。
入力装置121は、駐車場500に入場する車両401に対し、どのブロックに駐車したいかという情報であるユーザーニーズ情報を受け付ける。ユーザーニーズ情報は、希望するブロックを指定する情報に限らず、駐車後どの通路、エレベータなどの移動手段から駐車場500外に出るかなど、駐車したいブロックの傾向を抽出できる情報でも構わない。ユーザーニーズ情報に含まれる駐車したいブロックの情報は、希望駐車ブロックとも呼ばれる。また、入力させる手段は、入力装置121に直接入力させる方法に限らず、車両401内のナビゲーションやスマートフォン含む情報装置と入力装置121との通信により入力する方法でも構わない。ユーザーニーズ情報を受信した場合、入力装置121は、速やかに制御装置120の車両管理部122に送信される。
車両管理部122は、新たに車両の情報を受信した場合、ステップS202で案内リストに車両情報(車両の通信部のMACアドレス)を追加する。この時、さらに車両管理部122は、当該車両のユーザーニーズ情報を受信し、ユーザーニーズ情報に合致するユーザーニーズブロックを決定し、案内リストに追加する。ユーザーニーズ情報が希望するブロックを指定する情報(希望駐車ブロック)であれば、車両管理部122は、ユーザーニーズ情報をそのままユーザーニーズブロックとして登録する。ユーザーニーズ情報が駐車したいブロックの傾向を抽出できる情報であれば、車両管理部122は、傾向に最も合致するブロックをユーザーニーズブロックとして登録する。図28は、本実施形態における案内リストの一例を示す図である。図4に示す案内リストと比べて、新たにユーザーニーズブロックの列が追加されている。
駐車区域決定部113は、ステップS205で誘導するべき目的ブロックを決定し、車両管理部102に通知する。この時、駐車区域決定部113は、案内リストの当該車両のユーザーニーズブロックを参照し、ユーザーニーズブロックに空き駐車区域が存在するか否か確認する。もし空き駐車区域がなければ、ユーザーニーズブロックに最も近いブロックから順番に空き駐車区域が存在するか否か確認する。もし空き駐車区域のあるブロックが見つかった場合、発見したブロックを目的ブロックとして決定する。
また、駐車区域決定部113は、ステップS501で車両を誘導する目的ブロックに空きがない場合、再び案内リスト更新の処理を実施する。この時も同様にまずは駐車区域決定部113は、案内リストの当該車両のユーザーニーズブロックから空き駐車区域が存在するか否か確認し、空き駐車区域がある場合、目的ブロックとして決定する。空き駐車区域がない場合、ユーザーニーズブロックに最も近いブロックから順番に空き駐車区域が存在するか否か確認する。
次に、本発明の第3の実施の形態の効果について説明する。
上述した本実施形態における車両誘導システムは、より車両の運転手の希望に沿った駐車区域に誘導できる。
その理由は、以下のような構成を含むからである。即ち、制御装置120は、車両401から希望駐車ブロックの通知を受信した場合、通知に基づき車両401に対し誘導する目的ブロックと、車両401の現在位置から目的ブロックへの誘導経路を決定する。具体的には、第1に、入力装置121は、駐車場500に入場する車両401に対し、駐車したいブロックの情報である希望駐車ブロックを含むユーザーニーズ情報を受け付ける。第2に、車両管理部122は、ユーザーニーズ情報に最も合致するユーザーニーズブロックを決定し、案内リストに追加する。第3に、駐車区域決定部113は、ユーザーニーズブロックに空き駐車区域が存在するか否か確認する。もし空き駐車区域がなければ、車両管理部122は、ユーザーニーズブロックに最も近いブロックから順番に空き駐車区域が存在するか否か確認する。もし空き駐車区域のあるブロックが見つかった場合、発見したブロックを目的ブロックとして決定する。これにより、駐車場500に入場する車両401の希望が目的ブロック決定に反映されるので、本車両誘導システムは、より車両の運転手の希望に沿った駐車区域に誘導できるという効果が得られる。
また、第2の実施形態と第3の実施形態は組み合わせて実施しても構わない。
次に、本発明の実施形態の基本的な構成について説明する。実施形態の車両誘導システムは、制御装置と、通信装置とを備える。
制御装置は、車両を駐車するための1つないし複数の駐車区域を含むブロックで区画された駐車場における車両の誘導を制御する。
通信装置は、それぞれの駐車区域に設置された照明装置と、近隣の駐車区域における通信装置または車両の通信手段と通信を行う。
また制御装置は、車両を誘導する先である駐車区域を含む目的ブロックと、車両の現在位置から目的ブロックへの誘導経路を決定し、誘導経路に位置する駐車区域の通信装置に車両の識別情報を通知する。
そして、識別情報を通知された通信装置は、車両を検知し、目的ブロックへ誘導するよう誘導経路上に位置する照明装置を制御する。
本実施形態では、車両の誘導時に、その車両と通信を行う通信装置201は、制御装置100によって誘導経路にある駐車区域での通信装置に特定され、車両と通信を行う。したがって、本車両誘導システムは、車両の通信部410との通信が確立された際に車両の位置を極めて高精度で特定することができるという効果が得られる。
また、本実施形態における車両誘導システムは、システム全体の負荷を軽減できる。
その理由は、以下のような構成を含むからである。即ち、第1に、制御装置は、車両を誘導する先である駐車区域を含む目的ブロックと、車両の現在位置から目的ブロックへの誘導経路を決定する。さらに、制御装置は、決定した誘導経路に位置する駐車区域の通信装置に車両の識別情報を通知する。また、識別情報を通知された通信装置が、車両を検知し、目的ブロックへ誘導するよう誘導経路上に位置する照明装置を制御する。つまり、制御装置から、識別情報が通知される通信装置による車両の探索と誘導は、その誘導経路上にある駐車区域の通信装置と照明装置だけであり、制御装置による探索指示を逐一受けることなく、車両の識別情報を受けることで自律的に車両を誘導することができる。これにより、不必要な通信が抑えられ、通信帯域の効率利用が可能となるので、本車両誘導システムは、システム全体の負荷を軽減できるという効果が得られる。
以上説明した、本発明の各実施形態における各構成要素は、その機能をハードウェア的に実現することはもちろん、プログラム制御に基づくコンピュータ装置、ファームウェアで実現することができる。プログラムは、磁気ディスクや半導体メモリなどのコンピュータ可読記録媒体に記録されて提供され、コンピュータの立ち上げ時などにコンピュータに読み取られる。この読み取られたプログラムは、そのコンピュータの動作を制御することにより、そのコンピュータを前述した各実施の形態における構成要素として機能させる。
以上、各実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
たとえば、以上の各実施形態で説明した各構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はない。例えば、各構成要素は、複数の構成要素が1個のモジュールとして実現されたり、一つの構成要素が複数のモジュールで実現されたりしてもよい。また、各構成要素は、ある構成要素が他の構成要素の一部であったり、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していたり、といったような構成であってもよい。
また、以上説明した各実施形態では、複数の動作をフローチャートの形式で順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の動作を実行する順番を限定するものではない。このため、各実施形態を実施するときには、その複数の動作の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
さらに、以上説明した各実施形態では、複数の動作は個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。例えば、ある動作の実行中に他の動作が発生したり、ある動作と他の動作との実行タイミングが部分的に乃至全部において重複していたりしていてもよい。
さらに、以上説明した各実施形態では、ある動作が他の動作の契機になるように記載しているが、その記載はある動作と他の動作の全ての関係を限定するものではない。このため、各実施形態を実施するときには、その複数の動作の関係は内容的に支障のない範囲で変更することができる。また各構成要素の各動作の具体的な記載は、各構成要素の各動作を限定するものではない。このため、各構成要素の具体的な各動作は、各実施形態を実施する上で機能的、性能的、その他の特性に対して支障をきたさない範囲内で変更されて良い。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)車両を駐車するための1つないし複数の駐車区域を含むブロックで区画された駐車場における車両の誘導を制御するための制御装置と、
それぞれの駐車区域に設置された照明装置と、近隣の駐車区域における通信装置または車両の通信手段と通信を行う通信装置とを備え、
制御装置が、車両を誘導する先である駐車区域を含む目的ブロックと、車両の現在位置から目的ブロックへの誘導経路を決定し、誘導経路に位置する駐車区域の通信装置に車両の識別情報を通知し、
識別情報を通知された通信装置が、車両を検知し、目的ブロックへ誘導するよう誘導経路に位置する照明装置を制御する
車両誘導システム。
(付記2)それぞれ通信装置と識別情報に合致した車両の通信部とが通信した結果、通信装置が、照明装置の出力を変更することを特徴とする付記1に記載の車両誘導システム。
(付記3)誘導経路に位置する駐車区域の通信装置は、車両の通信部と通信を行い、車両の通信部と通信を行った結果の情報を、隣接する他の通信装置とのマルチホップ通信によって、制御装置に伝達する付記1または2に記載の車両誘導システム。
(付記4)車両が決定した目的ブロックに到着する前に目標のブロックの駐車区域が全て駐車不可能となった場合、制御装置が、目的ブロックの近隣のブロックの駐車状況を検索し、駐車可能な新たな目的ブロックを決定し、車両の現在位置から新たな目的ブロックへの誘導経路を決定する付記1ないし3のいずれか1項に記載の車両誘導システム。
(付記5)車両が誘導する目的ブロックに到着する前に目的ブロックへの誘導経路を離れた場合、所定の駐車区域の通信装置が、車両の通信部に対して通信を行い、通信の結果、車両の現在位置を特定する付記1ないし4のいずれか1項に記載の車両誘導システム。
(付記6)照明装置は、複数の色を発光できる照明とし、車両の誘導開始時にあらかじめ誘導する照明の色を通知する表示装置を更に備える付記1ないし5のいずれか1項に記載の車両誘導システム。
(付記7)制御装置は、車両から希望駐車ブロックの通知を受信した場合、通知に基づき車両に対し誘導する目的ブロックと、車両の現在位置から目的ブロックへの誘導経路を決定する付記1ないし6のいずれか1項に記載の車両誘導システム。
(付記8)制御装置が、車両を駐車するための1つないし複数の駐車区域を含むブロックで区画された駐車場における車両の誘導を制御し、通信装置が、それぞれの駐車区域に設置された照明装置と近隣の駐車区域における通信装置または車両の通信手段と通信を行い、さらに、制御装置が、車両に対し誘導する駐車区域を含む目的ブロックと、車両の現在位置から目的ブロックへの誘導経路を決定し、誘導経路に位置する駐車区域の通信装置に車両の識別情報を通知し、識別情報を通知された通信装置が、車両を検知し、目的ブロックへ誘導するよう誘導経路に位置する照明装置を制御する車両誘導方法。
(付記9)それぞれ通信装置と識別情報に合致した車両の通信部とが通信した結果、通信装置が、照明装置の出力を変更することを特徴とする付記8に記載の車両誘導方法。
(付記10)誘導経路に位置する駐車区域の通信装置は、車両の通信部と通信を行い、車両の通信部と通信を行った結果の情報を、隣接する他の通信装置とのマルチホップ通信によって、制御装置に伝達する付記8または9に記載の車両誘導方法。
(付記11)車両が決定した目的ブロックに到着する前に目的ブロックの駐車区域が全て駐車不可能となった場合、制御装置が、目的ブロックの近隣のブロックの駐車状況を検索し、駐車可能な新たな目的ブロックを決定し、車両の現在位置から新たな目的ブロックへの誘導経路を決定する付記8ないし10のいずれか1項に記載の車両誘導方法。
(付記12)車両が誘導する目的ブロックに到着する前に目的ブロックへの誘導経路を離れた場合、所定の駐車区域の通信装置が、車両の通信部に対して通信を行い、通信の結果、車両の現在位置を特定する付記8ないし11のいずれか1項に記載の車両誘導方法。
(付記13)照明装置は、複数の色を発光できる照明とし、車両の誘導開始時にあらかじめ誘導する照明の色を通知する表示装置を更に備える付記8ないし12のいずれか1項に記載の車両誘導方法。
(付記14)制御装置は、車両から希望駐車ブロックの通知を受信した場合、通知に基づき車両に対し誘導する目的ブロックと、車両の現在位置から目的ブロックへの誘導経路を決定する付記8ないし13のいずれか1項に記載の車両誘導方法。
(付記15)車両を誘導する先である駐車区域を含む目的ブロックと、車両の現在位置から目的ブロックへの誘導経路を決定し、誘導経路上に位置する駐車区域の通信装置に車両の識別情報を通知することで車両を駐車するための1つないし複数の駐車区域を含むブロックで区画された駐車場における車両誘導を制御する処理を制御装置に実行させるプログラム。
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
この出願は、2015年3月26日に出願された日本出願特願2015−063947を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。