JP6657758B2 - 中間組成物、負極電極用スラリー、及び負極電極の製造方法 - Google Patents

中間組成物、負極電極用スラリー、及び負極電極の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、蓄電装置の負極用バインダーとして用いられる高分子化合物の中間組成物、中間組成物を含有する負極電極用スラリー、及び負極電極用スラリーを用いた負極電極の製造方法に関する。
二次電池を用いた製品は増加の一途を辿っており、携帯電話やノート型パソコン等の携帯機器には二次電池が多用されている。また、二次電池は電気自動車用の大型電源としても注目されている。
ところで、二次電池の電極は、例えば、銅やアルミニウム等の金属材料により形成された集電体と、その集電体上に結着された活物質層とから構成されている。そして、活物質層には、活物質を集電体に結着させるための電極用バインダー(結着剤)が含まれることが一般的である。近年、この電極用バインダーとして、安価な高分子化合物であるポリアクリル酸を利用する試みがなされている。例えば、特許文献1には、ポリアクリル酸リチウム塩やポリアクリル酸ナトリウム塩を含む電極用バインダーが開示されている。特許文献2には、ポリアクリル酸とポリエチレンイミンとを含む電極用バインダーが開示されている。特許文献3には、ポリアクリル酸とアミン化合物とを含む電極用バインダーが開示されている。
特開2009−080971号公報 特開2009−135103号公報 特開2003−003031号公報
本研究者らによる鋭意研究の結果、ポリアクリル酸と、特定の分子構造を有する多官能アミンとを縮合してなる高分子化合物が、二次電池等の蓄電装置の負極用バインダーとして有用であることを見出した。この高分子化合物を負極用バインダーとして用いる場合には、以下のようにして負極電極が製造される。
第1の工程として、ポリアクリル酸と、特定の分子構造を有する多官能アミンと、溶媒とを含有する液状の中間組成物を調製した後、この中間組成物と、負極活物質と、溶剤とを含有する負極電極用スラリーを更に調製する。第2の工程として、負極電極用スラリーを用いて、集電体に対して負極活物質層を形成し、この負極活物質層を集電体に押し付けて、集電体に対して負極活物質層を接合させる。第3の工程として、負極活物質層を加熱することにより、ポリアクリル酸と多官能アミンとを縮合させて、負極活物質層内に高分子化合物を形成する。
ここで、第2の工程において、負極活物質層を集電体に押し付ける操作は、例えば、ロールプレス等の機器を用いて行われる。このとき、負極活物質層中に溶媒や溶剤が多量に残存している場合には、負極活物質層の一部が機器に転写してしまい、集電体に対して負極活物質層を適切に接合させることができなくなる。そのため、第2の工程の前に、負極活物質層に含まれる溶媒や溶剤をある程度、除去する乾燥作業を行う必要がある。負極電極の生産性を考慮した場合、この乾燥作業はできる限り短い時間で行うことが好ましい。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、負極活物質層の乾燥に要する時間を短くして、負極電極の生産性の向上を図ることのできる中間組成物、負極電極用スラリー、及び負極電極の製造方法を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、蓄電装置の負極用バインダーとして用いられる高分子化合物の中間組成物であって、ポリアクリル酸と、下記一般式(1)に示す多官能アミンと、水及び非水溶媒の混合溶媒とを含有し、前記ポリアクリル酸及び前記多官能アミンが前記混合溶媒中に溶解していることを特徴とする。
(Yは、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、フェニレン基、又は酸素原子であり、R1,R2はそれぞれ独立して、単数又は複数の水素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、又はメトキシ基である。)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の中間組成物において、前記混合溶媒を構成する非水溶媒は、アセトン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の中間組成物において、前記混合溶媒における水の割合が33〜99体積%の範囲であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の中間組成物において、前記多官能アミンにおいて、前記一般式(1)におけるYは、酸素原子、又はオキソ基が結合された炭素数1〜4の直鎖アルキル基であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、蓄電装置の負極電極の製造に用いられる負極電極用スラリーであって、請求項1〜4のいずれか一項に記載の中間組成物と、負極活物質とを含有することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、蓄電装置の負極電極の製造方法であって、請求項5に記載の負極電極用スラリーを用いて、集電体に対して負極活物質層を形成する負極活物質層形成工程と、前記負極活物質層に含まれる前記混合溶媒を除去した状態として、前記負極活物質層を前記集電体に押し付けて、前記集電体に対して前記負極活物質層を接合させる接合工程と、前記負極活物質層を加熱して、前記ポリアクリル酸と前記多官能アミンとを縮合させる縮合工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、負極活物質層の乾燥に要する時間を短くして、負極電極の生産性の向上を図ることができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を詳細に説明する。
まず、蓄電装置の負極用バインダーとして用いられる高分子化合物について説明する。この高分子化合物は、(A)ポリアクリル酸と、(B)多官能アミンとが縮合してなる高分子化合物である。
(A)ポリアクリル酸は、アクリル酸を構成単位とするホモポリマーである。ポリアクリル酸の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば、10,000〜2,000,000の範囲であることが好ましく、25,000〜1,800,000の範囲であることがより好ましく、50,000〜1,500,000の範囲であることが更に好ましい。
(B)多官能アミンは、下記一般式(1)に示す構造を有する化合物である。
一般式(1)において、Yは炭素数1〜4の直鎖アルキル基、フェニレン基、又は酸素原子である。また、各ベンゼン環におけるYの結合位置は、アミノ基に対するオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよい。
Yが直鎖アルキル基及びフェニレン基である場合において、当該構造を構成する炭素原子には置換基が結合されていてもよい。例えば、直鎖アルキル基を構成する炭素原子に結合される置換基としては、メチル基、エチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、エトキシ基、オキソ基が挙げられる。これらの置換基は、一種のみが結合されていてもよいし、二種以上が結合されていてもよい。また、一つの炭素原子に結合される置換基の数は、一つであってもよいし、二つであってもよい。また、直鎖アルキル基及びフェニレン基を構成する炭素原子に結合される置換基は、アミノ基、又はアミノ基を含む置換基であってもよく、この場合には、3以上のアミノ基を有する多官能アミンとなる。
一般式(1)において、R1,R2は、それぞれ独立して、単数又は複数の水素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、又はメトキシ基である。R1がメチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、又はメトキシ基である場合において、R1の結合位置は、アミノ基に対するオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよい。R2についても同様である。
(B)多官能アミンの具体例について記載する。
Yが直鎖アルキル基である多官能アミンとしては、例えば、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−エチレンジアニリン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、9、9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、パラローズアニリンが挙げられる。
Yがフェニレン基である多官能アミンとしては、例えば、1,3,5−トリス(4−アミノフェニル)ベンゼンが挙げられる。Yが酸素原子である多官能アミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが挙げられる。なお、1,3,5−トリス(4−アミノフェニル)ベンゼン、及びパラローズアニリンは、3つのアミノ基を有する三官能アミンである。上記の多官能アミンのうちの一種のみを用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
(A)ポリアクリル酸と(B)多官能アミンとを縮合する際の配合割合は、(B)多官能アミンのアミノ基の数に応じて設定される。すなわち、(A)ポリアクリル酸におけるカルボキシル基の数が、(B)多官能アミンにおけるアミノ基の数よりも多くなるように上記配合割合は設定される。換言すると、(B)多官能アミンにおけるアミノ基1当量に対して、(A)ポリアクリル酸におけるカルボキシル基が1当量以上となるように上記配合割合は設定される。なお、(A)ポリアクリル酸のカルボキシル基の数と(B)多官能アミンのアミノ基の数との比率(カルボキシル基/アミノ基比率)は、1.5/1〜15/1の範囲であることが好ましく、2/1〜10/1の範囲であることがより好ましい。
上記高分子化合物は、(A)ポリアクリル酸及び(B)多官能アミンを溶媒中で混合する混合工程と、混合工程にて得られた中間組成物を加熱処理する加熱工程とを経ることにより得られる。
混合工程は、(A)ポリアクリル酸と(B)多官能アミンとが溶媒に混合されてなる液状の中間組成物を得る工程である。混合工程に用いる溶媒としては、(A)ポリアクリル酸及び(B)多官能アミンが溶解する溶媒を適宜選択して用いることができる。
加熱工程は、中間組成物を加熱処理することにより、中間組成物に含有される(A)ポリアクリル酸と(B)多官能アミンとを縮合させる工程である。加熱工程における加熱温度は、架橋構造の形成を促進させる観点、すなわちアミド結合部やイミド結合部の効率的な形成の観点においては、150〜230℃の範囲であることが好ましく、180〜200℃の範囲であることがより好ましい。また、加熱工程における加熱温度は、後述する酸無水物構造を形成させる観点においては、180〜230℃の範囲であることが好ましい。なお、加熱温度を高めると、上記高分子化合物を負極用バインダーとして用いた場合に、二次電池等の蓄電装置の特性(サイクル特性)が高められる。
中間組成物を加熱する際に、アミド結合及びイミド結合を形成する縮合反応を進行させるため、又は縮合反応の反応速度を高めるために、中間組成物に触媒を添加してもよい。上記触媒としては、例えば、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−カルボニルジイミダゾール、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジフェニルリン酸アジド、BOP試薬等の脱水縮合触媒を好適に用いることができる。これらの触媒を添加した場合には、アミド結合及びイミド結合をより低温で形成させることができることから、高分子化合物の製造効率が高められる。
なお、加熱工程に供される中間組成物は、予備加熱処理された中間組成物であることが好ましい。予備加熱処理の温度は、40〜140℃の範囲であることが好ましく、60〜130℃の範囲であることがより好ましい。予備加熱処理を行うことにより、中間組成物に含有される(A)ポリアクリル酸及び(B)多官能アミンが会合して、カルボキシル基とアミノ基の縮合反応が進行しやすい状態が形成される。その結果、加熱工程において、縮合反応を効率的に進行させることができる。予備加熱処理により、カルボキシル基とアミノ基の縮合反応が部分的に進行して、アミド結合部やイミド結合部が形成されてもよい。
また、予備加熱処理された中間組成物を用いる場合、加熱工程は、中間組成物に含有される溶媒を除去した状態で行うことが好ましい。この場合には、(A)ポリアクリル酸と(B)多官能アミンとの縮合反応が進行しやすくなる。
そして、加熱工程を経ることにより、(A)ポリアクリル酸と(B)多官能アミンとが縮合してなる高分子化合物が得られる。この高分子化合物は、(A)ポリアクリル酸のカルボキシル基と、(B)多官能アミンのアミノ基との間にアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方が形成されて、(A)ポリアクリル酸同士が架橋された構造をなしていると考えられる。つまり、高分子化合物は、ポリアクリル酸により構成される鎖状構造と、その鎖状構造内又は鎖状構造間におけるカルボン酸側鎖同士を接続する架橋構造とを有している。そして、その架橋構造は、下記一般式(2)〜(4)から選ばれる少なくとも一種の架橋構造である。
一般式(2)〜(4)において、PAAは、ポリアクリル酸により構成される鎖状構造を示している。また、Xは、下記一般式(5)に示す構造である。なお、イミド構造を有する一般式(3)〜(4)において、一つのイミド構造を構成する二つのカルボニル基は、それぞれ異なる鎖状構造に結合されるカルボニル基であってもよいし、同一の鎖状構造に結合されるカルボニル基であってもよい。例えば、イミド構造を構成する二つのカルボキニル基が、同一の鎖状構造における隣接する炭素に結合されるカルボニル基である場合、イミド構造としてマレイミド構造が形成される。
一般式(5)において、Yは炭素数1〜4の直鎖アルキル基、フェニレン基、又は酸素原子である。また、各ベンゼン環におけるYの結合位置は、アミノ基に対するオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよい。なお、一般式(5)におけるYは、一般式(1)におけるYに準じた構造となる。
一般式(5)において、R1,R2は、それぞれ独立して、単数又は複数の水素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、又はメトキシ基である。R1がメチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、又はメトキシ基である場合において、R1の結合位置は、アミノ基に対するオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよい。R2についても同様である。なお、一般式(5)におけるR1,R2は、一般式(1)におけるR1,R2に準じた構造となる。
高分子化合物は、その架橋構造において、アミド結合部及びイミド結合部の両方を有するものであることが好ましい。つまり、架橋構造として、少なくとも一般式(2)及び一般式(4)の架橋構造を有している、又は少なくとも一般式(3)の架橋構造を有していることが好ましい。
また、高分子化合物は、二つのカルボキシル基が脱水縮合することにより形成される酸無水物構造(CO−O−CO)を分子構造内に有するものであることが好ましい。酸無水物構造は、同一の鎖状構造(PAA)内に形成される構造であってもよいし、異なる鎖状構造(PAA)間に形成される構造であってもよい。すなわち、酸無水物構造に含まれる二つのカルボニル炭素が、同一の鎖状構造(PAA)に結合されていてもよいし、それぞれ異なる鎖状構造(PAA)に結合されていてもよい。
また、上記高分子化合物は、(A)ポリアクリル酸と(B)一般式(1)で示される多官能アミンと(C)その他の多官能アミンとが縮合してなる高分子化合物であってもよい。すなわち、一般式(1)で示される多官能アミン由来の架橋構造に加えて、その他の多官能アミン由来の架橋構造を更に有する高分子化合物であってもよい。(C)その他の多官能アミン由来の架橋構造を付加することにより、高分子化合物の強度や柔軟性等の物性を調製することができる。
(C)その他の多官能アミンとしては、例えば、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、2−アミノアニリン(1,2−フェニレンジアミン)、3−アミノアニリン(1,3−フェニレンジアミン)、4−アミノアニリン(1,4−フェニレンジアミン)、2,4−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,6-ジアミノピリジン、1,3−ジイミノイソインドリンが挙げられる。
(C)その他の多官能アミンの配合割合は、(B)一般式(1)で示される多官能アミン10質量部に対して1質量部以下であることが好ましい。上記割合とすることにより、高分子化合物の強度や柔軟性等の物性が大きく変化して負極バインダーとして不適な範囲になってしまうことを抑制できる。
また、本実施形態の高分子化合物は、モノアミンが結合された構造を有する高分子化合物であってもよい。すなわち、(A)ポリアクリル酸と(B)一般式(1)で示される多官能アミンと(D)モノアミンとが縮合してなる高分子化合物であってもよい。モノアミンは、ポリアクリル酸における、多官能アミンと結合していないカルボキシル基に結合して非架橋構造を構築する。
(D)モノアミンとしては、例えば、アニリン、アミノフェノール、モルホリン、3−アミノピリジンが挙げられる。(D)モノアミンの配合割合は、(B)一般式(1)で示される多官能アミン10質量部に対して1質量部以下であることが好ましい。上記割合とすることにより、高分子化合物の強度や柔軟性等の物性が大きく変化して負極バインダーとして不適な範囲になってしまうことを抑制できる。
次に、上記高分子化合物を負極用バインダーとして用いた負極電極を製造する方法の一例について記載する。
(負極電極用スラリーの調製)
負極活物質と、負極用バインダーの中間組成物とを混合して、負極電極用スラリーを調製する。
負極電極用スラリーに混合される負極活物質としては、二次電池等の蓄電装置の負極活物質として用いられる公知の物質、例えば、炭素系材料、リチウムと合金化可能な元素、及びリチウムと合金化可能な元素を有する化合物を用いることができる。
炭素系材料としては、例えば、リチウムを吸蔵及び放出可能な炭素系材料を用いることができ、その具体例としては、難黒鉛化性炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭素、カーボンブラック類が挙げられる。
リチウムと合金化可能な元素としては、例えば、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ti、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Biが挙げられる。これらのなかでも、Siが特に好ましい。
リチウムと合金化可能な元素を有する化合物としては、例えば、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ti、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Biから選ばれる元素を有する化合物が挙げられる。これらのなかでも、Siを有する化合物であるシリコン系材料が特に好ましい。
シリコン系材料としては、例えば、SiB、SiB、MgSi、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiO(0<V≦2)、SnSiO、LiSiOが挙げられる。これらのなかでも、SiO(0<V≦2)が特に好ましい。
また、シリコン系材料として、国際公開2014/080608号に開示される、CaSiから脱カルシウム化反応を経て得られるシリコン材料を用いることもできる。上記シリコン材料は、例えば、CaSiを酸(例えば、塩酸やフッ化水素)で処理して得られる層状ポリシランを、脱カルシウム化(例えば、300〜1000℃の加熱処理)して得られるシリコン材料である。上記高分子化合物は、充放電時における膨張収縮の度合が大きい負極活物質であるシリコン系材料と組み合わせて用いることが特に好ましい。なお、負極活物質として、上記の物質のうちの一種のみを用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
負極電極用スラリーに混合される負極用バインダーの中間組成物は、ポリアクリル酸と、多官能アミンと、水及び非水溶媒の混合溶媒とを含有し、ポリアクリル酸及び多官能アミンが混合溶媒中に溶解した状態の組成物である。なお、その他の多官能アミン及びモノアミンが含有される場合、中間組成物は、その他の多官能アミン及びモノアミンについても混合溶媒中に溶解した状態である。
ポリアクリル酸は、上記高分子化合物の説明において記載した(A)ポリアクリル酸と同じである。
多官能アミンは、上記高分子化合物の説明において記載した(B)多官能アミンと同じ一般式(1)に示す化合物である。なお、負極活物質層の乾燥時間を短縮するという観点において、一般式(1)におけるYは、酸素原子、又はオキソ基が結合された炭素数1〜4の直鎖アルキル基であることが好ましい。
中間組成物におけるポリアクリル酸と多官能アミンとの配合割合は、上記高分子化合物の説明において記載した、カルボキシル基/アミノ基比率に基づく配合割合と同じである。なお、負極活物質層の乾燥時間を短縮するという観点においては、ポリアクリル酸と多官能アミンとの配合割合(ポリアクリル酸:多官能アミン)は、上記のカルボキシル基/アミノ基比率を満たしつつ、モル比において、20:1〜3:1の範囲であることが好ましく、16:1〜4:1の範囲であることがより好ましい。多官能アミンに対するポリアクリル酸の比率を高めることによって、中間組成物の調製時に、混合溶媒から固形物が析出し難くなる傾向がある。
混合溶媒を構成する非水溶媒としては、例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、炭酸プロピレン、γ−ブチルラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらの非水溶媒のうちの一種のみが混合されていてもよいし、二種以上が混合されていてもよい。
混合溶媒における非水溶媒と水との混合割合は、ポリアクリル酸及び多官能アミンが溶解可能な(ポリアクリル酸及び多官能アミンを析出させない)範囲において、非水溶媒の割合を少なくし、非水溶媒よりも揮発性の高い水の割合を多くすることが好ましい。これにより、負極活物質層の乾燥時間を短縮することができる。例えば、混合溶媒における水の割合が33〜99体積%の範囲であることが好ましく、40〜95体積%の範囲であることがより好ましい。
負極電極用スラリーは、上記の負極活物質と中間組成物とを混合することにより調製される。負極電極用スラリーにおける負極活物質と中間組成物との配合割合(負極活物質:中間組成物)は、負極活物質及び中間組成物の種類に応じて適宜設定することができる。上記配合割合は、例えば、5:3〜99:1の範囲であることが好ましく、3:1〜97:3の範囲であることがより好ましく、16:3〜95:5の範囲であることが更に好ましい。
負極電極用スラリーの調製時において、粘性等を調整するための希釈溶媒を負極電極用スラリーに混合してもよい。希釈溶媒としては、水と非水溶媒との混合溶媒が用いられ、好ましくは、中間組成物に含有される混合溶媒と同じ組成の混合溶媒が用いられる。
また必要に応じて、負極電極用スラリーには、導電助剤や他の負極用バインダー等の他の成分を更に混合してもよい。導電助剤の具体例としては、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック等が挙げられる。これらの導電助剤のうち、一種のみを用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
なお、負極電極用スラリー中に導電助剤を含有させる場合には、導電助剤と共に分散剤を含有させることが好ましい。分散剤の具体例としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、トリアジン化合物等が挙げられる。これらの分散剤のうち、一種のみを用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
他の負極用バインダーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ポリアミック酸、カルボキシメチルセルロース、変性ポリフェニレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、フェノール樹脂が挙げられる。これらの他の負極用バインダーのうち、一種のみを用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。なお、他の負極用バインダーを混合する場合には、負極用バインダーの総固形分に対して、中間組成物の固形分が1質量%以上含まれていることが好ましく、10質量%以上含まれていることがより好ましい。
(負極活物質層形成工程)
上記の負極電極用スラリーを集電体に塗布して、集電体の表面に負極電極用スラリーからなる負極活物質層を形成する。
集電体としては、二次電池等の蓄電装置の負極用の集電体として用いられる公知の金属材料を用いることができる。集電体として利用できる金属材料としては、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、モリブデン、ステンレスが挙げられる。
(接合工程)
次に、負極活物質層に含有される溶媒(中間組成物に含有される混合溶媒、及び負極電極用スラリーの希釈溶媒)を除去して、負極活物質層を乾燥させる。このとき、負極活物質層に含有される溶媒を完全に除去することが好ましいが、溶媒が僅かに(例えば、4質量%以下)残留していてもよい。負極活物質層を乾燥させる乾燥処理の方法は、特に限定されるものではないが、例えば、常圧下又は減圧下において、熱風、赤外線、マイクロ波、高周波等の熱源を用いて加熱する方法が挙げられる。乾燥処理は、高温で素早く加熱するよりも、低温でゆっくりと加熱することが好ましい。このように加熱することにより、蓄電装置の特性(初期効率やサイクル特性)を高めることができる。
そして、負極活物質層に含まれる混合溶媒を除去した状態として、例えば、ロールプレス等の機器を用いて負極活物質層を集電体に押し付ける。これにより、集電体に対して負極活物質層が強固に密着して、負極活物質層が集電体に接合される。このとき、負極活物質層に含有される混合溶媒が除去されていることにより、ロールプレス等の機器への負極活物質層の転写が抑制される。
(縮合工程)
次に、負極活物質層を加熱処理することにより、負極活物質層内に高分子化合物を形成させて負極活物質層を硬化させる。この加熱処理は、上記の高分子化合物の製造方法における加熱処理に対応する工程であり、加熱処理によって、中間組成物に含有される(A)ポリアクリル酸と(B)多官能アミンとが縮合して、負極活物質層中に高分子化合物が形成される。その結果、高分子化合物を負極用バインダーとする負極電極が得られる。
なお、加熱処理の具体的方法としては、例えば、常圧下又は減圧下において、熱風、赤外線、マイクロ波、高周波等の熱源を用いて加熱する方法が挙げられる。加熱処理を行う際には、負極活物質層側から加熱するよりも集電体側から加熱することが好ましい。また、加熱処理は、低温でゆっくり加熱するよりも、高温で素早く加熱することが好ましい。このように加熱することにより、蓄電装置の特性(初期効率やサイクル特性)を高めることができる。
高分子化合物を負極用バインダーとして用いた負極電極は、電解質として非水電解質を備える非水系の蓄電装置に好適に用いることができる。蓄電装置としては、例えば、二次電池、電気二重層コンデンサ、リチウムイオンキャパシタが挙げられる。また、こうした蓄電装置は、電気自動車及びハイブリッド自動車のモータ駆動用の非水系二次電池や、パソコン、携帯通信機器、家電製品、オフィス機器、産業機器等に利用される非水系二次電池として有用である。
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)蓄電装置の負極用バインダーとして用いられる高分子化合物の中間組成物は、ポリアクリル酸と、一般式(1)に示す多官能アミンと、水及び非水溶媒の混合溶媒とを含有し、ポリアクリル酸及び多官能アミンが混合溶媒中に溶解した状態の組成物である。蓄電装置の負極電極の製造に用いられる負極電極用スラリーは、上記の中間組成物と、負極活物質とを含有する。
上記構成の中間組成物及び負極電極用スラリーによれば、揮発性の高い水を含む混合溶媒によって、ポリアクリル酸及び多官能アミンが溶解されている。そのため、非水溶媒によってポリアクリル酸及び多官能アミンが溶解されている場合と比較して、負極電極の製造時において、負極電極用スラリーから形成した負極活物質層を乾燥させる操作を短時間で行うことが可能になる。その結果、負極電極の生産性が向上する。
(2)中間組成物に含有される多官能アミンにおいて、一般式(1)におけるYは、酸素原子、又はオキソ基が結合された炭素数1〜4の直鎖アルキル基であることが好ましい。
上記構成の多官能アミンは、水及び非水溶媒の混合溶媒中に溶解しやすい。そのため、混合溶媒における水の比率をより大きくすることが可能になり、その結果、負極活物質層を更に短時間で乾燥させることができる。
以下に、上記実施形態をさらに具体化した実施例について説明する。
<試験1>
混合溶媒を構成する非水溶媒の種類を異ならせた中間組成物を調製した。また、比較として、混合溶媒に代えてNMPを用いた中間組成物を調製した。なお、以下では、ポリアクリル酸を「PAA」、N−メチル−2−ピロリドンを「NMP」、ジエチレングリコールジメチルエーテルを「ジグリム」、γ−ブチルラクトンを「GBL」、エチレングリコールモノブチルエーテルを「ブチルセロソルブ」と、それぞれ表記する。
(中間組成物の調製)
重量平均分子量10万のPAA水溶液に対して、真空乾燥とアセトンによる溶媒置換により水分量が1質量%以下になるまで水分を除去した。水分を除去したPAAを、非水溶媒と水とを体積比10:90で混合させた混合溶媒に溶解させて、PAAの固形分濃度が20質量%のPAA溶液を調製し、このPAA溶液10g(PAAのモノマー換算で27.8mmol)を窒素雰囲気下のフラスコ内に分取した。また、別途、4,4’−ジアミノジフェニルメタンを、非水溶媒と水とを体積比10:90で混合させた混合溶媒に溶解させて、20質量%のアミン溶液を調製した。フラスコ内のPAA溶液を撹拌しながら、PAA溶液中にアミン溶液3.43g(3.47mmol)を滴下し、室温にて30分間撹拌を続けた。その後、ディーン・スターク装置を用いて、80℃にて3時間、加熱処理(予備加熱処理)することにより、実施例1の中間組成物を溶液の状態(固形分比20質量%)で得た。
なお、混合溶媒として、NMP、ジグリム、GBL、及びブチルセロソルブのいずれかの1つの非水溶媒と水との混合溶媒、又はNMP(単独溶媒)を用いた。
(シリコン材料の作製)
0℃で氷浴したフッ化水素を1質量%の濃度で含有する濃塩酸20mlに、CaSi25gを加えて1時間撹拌した後、水を加えて更に5分間撹拌した。反応液を濾過して得られた黄色粉体を水及びエタノールで洗浄し、これを減圧乾燥することにより、層状ポリシランを得た。得られた層状ポリシランをアルゴン雰囲気下で500℃に加熱することにより、ポリシランから水素が離脱したシリコン材料を得た。
(負極電極用スラリーの作製)
上記シリコン材料85質量部、アセチレンブラック5質量部、中間組成物50質量部(固形分10質量部相当)を混合し、この混合物に対して、総固形分比が40質量%となるように、希釈溶媒として、中間組成物の作製時に用いた混合溶媒と同じ組成の混合溶媒(参考例1についてはNMP)110質量部を加えて負極電極用スラリーを調製した。
(電極シートの作製)
集電体としての30μmの電解銅箔の表面に対して、ドクターブレード法を用いて負極電極用スラリーを膜状に塗布して、負極活物質層を形成した(負極活物質層形成工程)。そして、電解銅箔を80℃にて15分間、ホットプレート上に静置させることにより、負極活物質層中の混合溶媒を揮発させて除去した。その後、ロールプレス機を用いて、負極活物質層の厚さが20μmとなるように電解銅箔及び負極活物質層を圧縮することにより、電解銅箔と負極活物質層を強固に密着接合させた(接合工程)。この電極シートを直径11mmの円形に裁断して電極体とし、これを真空中(減圧下)にて180℃、2時間、加熱処理を行うことにより、負極活物質層を加熱硬化させた(縮合工程)。
また、縮合工程の前後において電極体の質量を測定し、縮合工程の前後における減少量を求めた。そして、縮合工程後の質量の減少分が全て、負極活物質層に含まれる溶媒の揮発によるものであると仮定して、縮合工程前の負極活物質層に含まれる溶媒の残留量を算出した。その結果を表1に示す。
(リチウムイオン二次電池の作製)
得られた負極電極(評価極)と、厚さ500μmの金属リチウム箔を直径13mmの円形に裁断してなる正極電極との間にセパレータを挟装して電極体電池とした。電池ケース内に、電極体電池を収容するとともに非水電解質を注入して、電池ケースを密閉することにより、リチウムイオン二次電池を得た。なお、セパレータとしては、ヘキストセラニーズ社製ガラスフィルター及びセルガード社製celgard2400を用いた。非水電解質としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比1:1で混合した混合溶媒に、ヘキサフルオロリン酸リチウムを1Mの濃度となるように溶解させた非水電解質を用いた。
(電池特性の評価)
得られたリチウムイオン電池について、直流電流0.2mAで負極電極における正極電極に対する電圧が0.01Vになるまで放電を行い、放電が終了してから10分後に、直流電流0.2mAで負極電極における正極電極に対する電圧が1.0Vになるまで充電を行った。このときの放電容量を初期放電容量とするとともに、充電容量を初期充電容量とした。そして、下記式に基づいて初期効率を算出した。その結果を表1に示す。
初期効率(%)=(初期充電容量/初期放電容量)×100
また、上記の放電及び充電を1サイクルとして規定サイクルの充放電を行い、下記式に基づいてサイクル特性を算出した。その結果を表1に示す。
サイクル特性(%)=(規定サイクル後の充電容量/初期充電容量)×100
表1に示すように、中間組成物の作製及び負極電極用スラリーの作製にNMP(単独)を用いた試験例6と比較して、水と非水溶媒との混合溶媒を用いた試験例1〜5はいずれも、縮合工程前の負極活物質層に含まれる溶媒の残留量が低い結果であった。この結果は、水と非水溶媒との混合溶媒を用いた場合には、NMP(単独)を用いた場合よりも負極活物質層の乾燥速度が高くなることを示す。また、水と非水溶媒との混合溶媒を用いた場合においても、二次電池の電池特性(初期効率及びサイクル特性)に大きな影響はないことが確認できた。
<試験2>
次に、非水溶媒としてNMP又はGBLを用いた場合において、混合溶媒の混合割合、及びPAAと多官能アミンとの組成比を変更した場合について検討した。
(中間組成物の調製)
表2〜5に示す混合割合の混合溶媒を用いた点、並びに表2〜4に示す組成比となる量のPAA溶液及びアミン溶液を用いた点を除いて、試験1と同様の方法により中間組成物を調製した。なお、中間組成物の調製時又は調整後に、固形物の析出が確認された場合については、中間組成物を調製することができないと判断して、以降の処理を行わなかった。
(電極シートの作製)
得られた中間組成物を用いて、試験1と同様の方法により電極シートを作製した。また、縮合工程前の負極活物質層に含まれる溶媒の残留量を算出した。その結果を表2〜5に示す。
(電池特性の評価)
得られた電極シートを用いて、試験1と同様の方法により、リチウムイオン二次電池を作製し、そのリチウムイオン二次電池の電池特性を評価した。その結果を表2〜5に示す。
表2及び表3に示すように、非水溶媒としてNMPを用いた場合において、混合溶媒における水の比率が減少するにしたがって、縮合工程前の負極活物質層に含まれる溶媒の残留量が増加する傾向が確認できた。この結果は、混合溶媒を用いた場合に得られる、負極活物質層の乾燥速度の向上効果が、混合溶媒に含まれる水に起因するものであることを示す。
試験例7〜9の結果から、混合溶媒における水の比率がある程度、高くなると、中間組成物に固形物が析出されやすくなる傾向が確認できた。一方、多官能アミンに対するPAAの比率を高めることによって、中間組成物に固形物が析出し難くなる傾向が確認できた。また、試験例10及び試験例11の結果から、多官能アミンに対するPAAの比率を変更した場合にも、負極活物質層の乾燥速度の向上効果に大きな影響はないことが確認できた。
表4及び表5に示すように、非水溶媒としてGBLを用いた場合においても、混合溶媒における水の比率が減少するにしたがって、縮合工程前の負極活物質層に含まれる溶媒の残留量が増加する傾向が確認できた。また、試験例15〜18の結果から、混合溶媒における水の比率がある程度、高くなると、中間組成物に固形物が析出されやすくなる傾向、及び多官能アミンに対するPAAの比率を高めることによって、中間組成物に固形物が析出し難くなる傾向についても確認できた。
なお、非水溶媒の種類の違いに基づく差異としては、混合溶媒における非水溶媒の比率が高い場合(試験例14、22、23)において、中間組成物における固形物の析出の有無に違いが確認できた。この差異は、非水溶媒の誘電比率に起因するものであると考えられる。
また、表2〜5に示される各試験例の結果から、PAAと多官能アミンとの組成比については、二次電池の電池特性に影響を与える一方、非水溶媒の種類及び混合溶媒の混合割合については、二次電池の電池特性に影響を与えないことが確認できた。
<試験3>
次に、多官能アミンを変更した場合について検討した。
(中間組成物の調製)
表6〜9に示す多官能アミンを用いた点、及び表6〜9に示す混合溶媒を用いた点を除いて、試験1と同様の方法により中間組成物を調製した。なお、中間組成物の調製時又は調整後に、固形物の析出が確認された場合については、中間組成物を調製することができないと判断して、以降の処理を行わなかった。
(電極シートの作製)
得られた中間組成物を用いて、試験1と同様の方法により電極シートを作製した。また、縮合工程前の負極活物質層に含まれる溶媒の残留量を算出した。その結果を表6〜9に示す。
(電池特性の評価)
得られた電極シートを用いて、試験1と同様の方法により、リチウムイオン二次電池を作製し、そのリチウムイオン二次電池の電池特性を評価した。その結果を表6〜9に示す。
表6及び表7に示すように、多官能アミンとして、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル又は4,4’−ジアミノベンゾフェノンを用いた場合には、混合溶媒の混合割合が、4,4’−ジアミノジフェニルメタンを用いた場合に固形物が析出する混合割合であっても、固形物の析出は確認されなかった。この結果から、混合溶媒における水の比率を高めることによって負極活物質層の乾燥速度を高める効果を得るうえで、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル又は4,4’−ジアミノベンゾフェノンを用いることが有効であると考えられる。そして、一般式(1)に示される多官能アミンにおいて、Yが、酸素原子、又はオキソ基が結合された直鎖アルキル基である多官能アミンを用いることが有効であると考えられる。
また、試験例24、25、27〜29に示すように、多官能アミンとして、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル又は4,4’−ジアミノベンゾフェノンを用いた場合においても、混合溶媒の混合割合に応じて負極活物質層の乾燥速度が変化する一方で、二次電池の電池特性は大きく変化しない、という4,4’−ジアミノジフェニルメタンを用いた場合と同様の傾向が確認できた。
表8及び表9に示すように、多官能アミンとして、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、又は2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンを用いた場合には、混合溶媒の混合割合が、4,4’−ジアミノジフェニルメタンを用いた場合に固形物が析出しない混合割合であっても、固形物の析出が確認された。したがって、多官能アミンとして、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、又は2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンを用いる場合には、試験例33、35、39、41に示すように、混合溶媒における水の比率を低下させる等の固形物を析出させないための調整を行う必要がある。

Claims (6)

  1. 蓄電装置の負極用バインダーとして用いられる高分子化合物の中間組成物であって、
    ポリアクリル酸と、下記一般式(1)に示す多官能アミンと、水及び非水溶媒の混合溶媒とを含有し、
    前記ポリアクリル酸及び前記多官能アミンが前記混合溶媒中に溶解していることを特徴とする中間組成物。
    (Yは、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、フェニレン基、又は酸素原子であり、R1,R2はそれぞれ独立して、単数又は複数の水素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、又はメトキシ基である。)
  2. 前記混合溶媒を構成する非水溶媒は、アセトン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の中間組成物。
  3. 前記混合溶媒における水の割合が33〜99体積%の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中間組成物。
  4. 前記多官能アミンにおいて、
    前記一般式(1)におけるYは、酸素原子、又はオキソ基が結合された炭素数1〜4の直鎖アルキル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の中間組成物。
  5. 蓄電装置の負極電極の製造に用いられる負極電極用スラリーであって、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の中間組成物と、負極活物質とを含有することを特徴とする負極電極用スラリー。
  6. 蓄電装置の負極電極の製造方法であって、
    請求項5に記載の負極電極用スラリーを用いて、集電体に対して負極活物質層を形成する負極活物質層形成工程と、
    前記負極活物質層に含まれる前記混合溶媒を除去した状態として、前記負極活物質層を前記集電体に押し付けて、前記集電体に対して前記負極活物質層を接合させる接合工程と、
    前記負極活物質層を加熱して、前記ポリアクリル酸と前記多官能アミンとを縮合させる縮合工程とを有することを特徴とする負極電極の製造方法。
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