JP6657028B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤに関する。
従来、タイヤなどのゴム製品においても、他の成型品と同様、加飾や視認性の向上などを目的として、表面への塗装及び印刷などにより着色層を形成する着色加工が広く行われている。
しかし、着色層をタイヤのゴム部材上に適用した場合、繰り返して歪みが加えられると、形成した着色層の剥離やひび割れが発生するという問題があった。
これに対して、例えば、特許文献1では、エネルギー線硬化型塗料を硬化してなる着色層を形成するとともに、その下に形成された下層ゴムについて、シランカップリング剤を特定量配合したゴム組成物を用いることによって、従来品に比べて、着色層と下層ゴムとの密着性及び加飾耐久性を大きく向上できるタイヤを開示している。
特開2014−141049号公報
また、特許文献1などのタイヤでは、サイドウォール部を形成するゴム組成物に、通常、アミン系老化防止剤やワックスなどのクラック改良剤が配合されている。しかしながら、アミン系老化防止剤は、サイドウォール部の表面にブルームすると茶褐色に変色する特徴があり、また、ワックスは表面にブルームすると白色を呈し、いずれの場合もサイドウォール部の外観を損ねてしまうという問題があった。
これに対して、本発明者は、変性ポリビニルアルコール樹脂の層をバリア層としてサイドウォール部のゴムの表面側に設けることで、老化防止剤などのクラック改良剤がゴム表面へ移行することを防ぎ、ゴム表面の変色による外観の低下を抑制し得ることを見出した。
しかし、更なる検討の結果、該変性ポリビニルアルコール樹脂は親水性であるため、湿度が高い条件下では、外観の低下を抑制する効果が経時的に低下することが判明した。そのため、バリア層の耐水性に改善の余地がある。
本発明は、バリア層の耐水性を改善したタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係るタイヤは、サイドウォール部のゴムの少なくとも一部の表面側に、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層と、疎水性合成樹脂層との積層体が配置されており、該積層体上に、塗料を用いた装飾部が印刷されていることを特徴とする。
本発明に係るタイヤの一実施形態では、サイドウォール部のゴム側から、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層と、疎水性合成樹脂層とが、この順序で積層されている。
本発明に係るタイヤの一実施形態では、サイドウォール部のゴムと、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層とが接している。
本発明に係るタイヤの一実施形態では、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層および疎水性合成樹脂層の少なくとも一方が、シランカップリング剤を含む。
本発明に係るタイヤの一実施形態では、疎水性合成樹脂層の疎水性合成樹脂が、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上を含む。
本発明に係るタイヤの一実施形態では、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層のグラフト変性ポリビニルアルコール樹脂が、ポリビニルアルコールの主鎖に対し、グラフト鎖として、炭素数が3〜20の、直鎖、分岐、脂環式、芳香族およびこれらの組み合わせからなる群より選択される有機基を導入した変性ポリビニルアルコール樹脂である。
本発明に係るタイヤの一実施形態では、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層が、シリカを含む。
本発明に係るタイヤの一実施形態では、変性ポリビニルアルコール樹脂層が、1分子当たりヒドロキシル基を2〜3個含有し、かつ、分子量が150以下である化合物を含む。
本発明によれば、湿度が高い条件下であっても、長期的にゴム表面の変色による外観の低下を抑制することができ、装飾部の耐久性を有するタイヤを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
本明細書では「有機基」は、炭素数が3〜20の、直鎖、分岐、脂環式、芳香族およびこれらの組み合わせからなる群より選択される有機基を意味する。
本明細書では「残基」は、ポリビニルアルコールのヒドロキシル基などの官能基と、有機基を有する化合物との反応後の有機基由来部分を意味する。
本明細書では「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基、メタクリロイル基およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上を意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上を意味する。
本発明に係るタイヤは、サイドウォール部のゴムの少なくとも一部の表面側に、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層と、疎水性合成樹脂層との積層体が配置されており、該積層体上に、塗料を用いた装飾部が印刷されていることを特徴とする。
<グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層>
グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層は、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂を含む。
(グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂)
グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂は、従来公知のポリビニルアルコールをグラフト変性したものを用いることができる。
一実施形態では、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂は、ポリビニルアルコールの主鎖に対し、グラフト側鎖として、炭素数が3〜20の、直鎖、分岐、脂環式、芳香族およびこれらの組み合わせからなる群より選択される有機基(以下、単に「有機基」ということがある)を導入した変性ポリビニルアルコール樹脂である。これにより、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層は、優れたガスバリア性を維持しつつ、柔軟性、接着性及び耐疲労性を向上できる。
グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂の主鎖と、有機基であるグラフト側鎖は、それぞれバルク状態で非相溶となるため、得られたグラフト変性ポリビニルアルコール樹脂は、ミクロ相分離構造を形成する。例えば、主鎖の体積分率が大きい場合には、主鎖部分が海、グラフト側鎖部分が島となった海島構造を形成する。体積分率がこれと逆の場合には、逆の海島構造を形成する。そして、このようなミクロ相分離構造を形成した場合、ポリビニルアルコールと、有機基を有する化合物とをブレンドした場合と同様の効果が得られる。すなわち、ポリビニルアルコールによるガスバリア性の効果が得られるとともに、有機基の効果によって、柔軟性及び接着性の向上が可能となる。さらに、得られたグラフト変性ポリビニルアルコール樹脂は、ポリビニルアルコールの主鎖と有機基のグラフト側鎖とが化学的に結合を形成しているため、ポリビニルアルコールと、有機基を有する化合物とをブレンドした系に比べて、ミクロドメイン間の界面強度が高くなる結果、従来のポリビニルアルコール樹脂とエラストマー材料とのブレンドなどに比べて耐疲労性を向上することが可能となる。
グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂の主鎖部分のポリビニルアルコールは、特に限定はなく、例えば、ビニルアルコール由来単位(−(CHCHOH)−)のみからなるホモポリマーであってもよいし、ビニルアルコールとこれに共重合可能なモノマーとからなるコポリマー(以下、「PVAコポリマー」ということがある。)であってもよい。
主鎖部分のポリビニルアルコールは、その製法によって特に限定されず、例えば、ポリ酢酸ビニルなどのビニルエステル系重合体をけん化することによって得られるものを用いることができる。ビニルエステル単位を形成するためのビニルエステル単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニルなどが挙げられる。これらの中でも主鎖部分のポリビニルアルコールを良好な生産性で得ることができる点で酢酸ビニルが好ましい。
PVAコポリマーを構成する共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミドなどのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミドなどのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテルなどのヒドロキシ基含有のビニルエーテル類;アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテルなどのアリルエーテル類;ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基などのオキシアルキレン基を有する単量体;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類;酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オールなどのヒドロキシ基含有のα−オレフィン類またはそのエステル化物;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニルアミド類;フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸または無水イタコン酸などに由来するカルボキシル基を有する単量体;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などに由来するスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミンなどに由来するカチオン基を有する単量体が挙げられる。
共重合可能な単量体の単位(以下、「コモノマー単位」ということがある。)の含有量は、PVAコポリマーを構成する全単量体単位100mol%に対して、好ましくは20mol%以下、より好ましくは10mol%以下である。また、一実施形態では、コモノマー単位の含有量は、0.01mol%以上である。
ビニルエステル系重合体をけん化する場合、主鎖部分のポリビニルアルコールは、完全にけん化されたものであってもよいし、部分的にけん化されたものであってもよい。けん化度は、色相、フィッシュアイ低減などの観点から、好ましくは60mol%以上、より好ましくは95mol%以上、さらに好ましくは99mol%以上、特に好ましくは99.5mol%以上である。
上述のようにしてポリビニルアルコール主鎖を形成し、必要に応じて主鎖中のヒドロキシル基などの官能基に有機基をグラフトして、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂を調製することができる。例えば、ステアリン酸ビニルなどのビニルエステル単量体を用いてビニルエステル系重合体を調製すれば、有機基としてステアリン酸残基がグラフトされたグラフト変性ポリビニルアルコール樹脂が得られる。また、例えば、酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体を用いてビニルエステル系重合体を形成した後、けん化して、ポリビニルアルコール主鎖を形成し、その主鎖とステアリン酸などの有機基を有する化合物とを反応させれば、ステアリン酸残基がグラフトされたグラフト変性ポリビニルアルコール樹脂が得られる。
ポリビニルアルコールの主鎖に、有機基をグラフトする方法は、特に限定されず、エステル化反応、エポキシ開環反応、酸無水物の反応、ヒドロキシル基とイソシアネート基との反応など、公知の有機化学反応を利用することができる。
例えば、前記グラフト反応の方法としては、有機基を有する化合物としてカルボキシル基を有する化合物を選択し,エステル化剤によって主鎖のポリビニルアルコールのヒドロキシル基とのエステル化反応を行うなどの方法が挙げられる。
有機基は、グラフト鎖として導入されることで、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層に、柔軟性、接着性及び耐疲労性を与えることができる。より優れた柔軟性、接着性及び耐疲労性を提供できる点からは、有機基の炭素数は、4〜18であることが好ましい。
有機基の分子量は、20〜10,000であることが好ましく、50〜220であることがより好ましい。
有機基は、より高い柔軟性、接着性及び耐疲労性を実現する点から、ステアリン酸残基(ステアロイル(CH(CH16CO−)基)、カプロン酸(ヘキサン酸)残基、カプリル酸(オクタン酸)残基、カプリン酸(デカン酸)残基、ドデカン酸残基、パルミチン酸残基(パルミトイル基)、3−メチルブタン酸残基、安息香酸残基(ベンゾイル基)及びシクロヘキサンカルボン酸残基から選択される官能基であることが好ましい。
有機基としてはこのほか、例えば、アクリロイル基含有オルガノシラノール基が挙げられる。該アクリロイル基含有オルガノシラノール基の導入割合は、主鎖を構成する全単量体単位100mol%に対して、0.5〜10mol%であることが好ましい。
優れたガスバリア性を維持しつつ、柔軟性、接着性及び耐疲労性の向上を可能とする観点からは、グラフト変性に用いた有機基の導入割合が、主鎖のビニルアルコール単位に対して0.5〜50mol%であることが好ましく、1〜30mol%であることがより好ましい。有機基の導入割合が0.5mol%以上であれば、所望の柔軟性、接着性及び耐疲労性を発現し易い。一方、有機基の導入割合が50mol%以下であれば、主鎖のポリビニルアルコールの量が十分であり、所望のガスバリア性を発現し易い。
グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂の分子量は、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層のオゾンガスの侵入防止性の点から、10,000以上であることが好ましく、100,000以上であることがより好適である。
グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(その他の成分)
グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層は、シリカ、ヒドロキシル基を有する化合物、着色剤、シランカップリング剤などのその他の成分を含んでいても良い。
(シリカ)
一実施形態では、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層は、シリカを含む。シリカによって、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層の補強性が向上すると共に、ガスバリア性がさらに向上する。
シリカの種類は、特に限定はされず、従来公知のものを使用できる。例えば、一般グレードのシリカから、表面処理を施した特殊シリカまで、用途に応じて使用できる。
シリカの形状も特に限定されない。一実施形態では、より優れたガスバリア性を実現できることから、アスペクト比が大きく、針状や繊維状、平板状の形状を有することが好ましい。
シリカの含有量については、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対して、5〜70質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。シリカの含有量が5質量部以上であれば、補強効果やガスバリア性の向上効果を十分に発揮し易い。シリカの含有量が70質量部以下であれば、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層の加工性を確保し易い。
シリカは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(ヒドロキシル基を有する化合物)
一実施形態では、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層は、分子量が10,000以下のヒドロキシル基を有する化合物を含む。このようなヒドロキシル基を有する化合物は、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂が形成する水素結合ネットワーク中に介在し、柔軟性を向上でき、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層の伸び率のさらなる改善を図ることが可能である。
ヒドロキシル基を有する化合物は、融点が高くなりすぎず、混合物の柔軟性を確保するため、分子量が10,000以下である。
ヒドロキシル基を有する化合物は、分子量が10,000以下であれば特に限定されず、例えば、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオールなどが挙げられる。
ヒドロキシル基を有する化合物の含有量は、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対して、0部より多く、150質量部以下であることが好ましく、5〜100質量部であることがより好ましい。ヒドロキシル基を有する化合物の含有量が150質量部以下であれば、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層の強度や自立性を確保し易い。
一実施形態では、変性ポリビニルアルコール樹脂層は、ヒドロキシル基を有する化合物として、1分子当たりヒドロキシル基を2〜3個含有し、かつ、分子量が150以下である化合物を含む。
ヒドロキシル基を有する化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(着色剤)
着色剤としては、有機又は無機の顔料又は染料が使用できる。例えば、無機顔料としては、酸化チタンなどが挙げられる。例えば、白色着色剤としては、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などが挙げられ、赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2などが挙げられ、青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCなどが挙げられ、黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12などが挙げられる。
着色剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、従来公知のものを1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、公知のポリスルフィド系シランカップリング剤又はチオール系のシランカップリング剤を用いることができる。また、特許文献1に記載の式(1)〜(3)の化合物を用いてもよい。
シランカップリング剤の配合量は、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対して、0.5〜20質量部であり、好ましくは2〜10質量部である。
(グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層の形成方法)
グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層を形成する方法については特に限定されない。例えば、加硫済みのタイヤのサイドウォール部のゴム表面上に、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂などを含む組成物を、スクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版印刷、タンポ印刷などの方法で塗布して形成することができる。また、予め該組成物を塗布し、硬化させて得たフィルムをタイヤの加硫時に挿入するインモールド成型により、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層をタイヤのサイドウォール部のゴム表面上に設けてもよい。
<疎水性合成樹脂層>
疎水性合成樹脂層は、疎水性合成樹脂を含む。疎水性合成樹脂としては、例えば、アクリレート樹脂またはウレタン樹脂からなる群より選択される1以上の樹脂が挙げられる。アクリレート樹脂およびウレタン樹脂は、ゴムとの親和性が高く、弾性率が低いため、ゴムの変形に追従しやすい。また、疎水性とすることで、湿度が高い条件下であっても、バリア層の耐水性を改善し、長期的にゴム表面の変色による外観の低下を抑制し得るタイヤを提供することができる
アクリレート樹脂としては、特に疎水性ポリアクリレートを好適に使用することができる。ここで、疎水性ポリアクリレートは、紫外線などのエネルギー線硬化型であることが好ましい。例えば、該疎水性ポリアクリレートは、下記一般式(1):
Figure 0006657028
または下記一般式(2):
Figure 0006657028
(式(1)及び(2)中のAはジエン系オリゴマー鎖を表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。)で表される化合物または分子末端に(メタ)アクリロイル基を有する反応性モノマーを、光重合開始剤や熱ラジカル発生剤によるラジカル重合反応により重合することで得られるものが挙げられる。
式(1)及び(2)中のAのジエン系オリゴマー鎖を形成する化合物としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン―ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル―ブタジエンコポリマー、ポリクロロプレン、ポリウレタンなどが挙げられる。
分子末端に(メタ)アクリロイル基を有する反応性モノマーとしては、例えば、側鎖が疎水性官能基を有するものを用いることができる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
光重合開始剤としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、アミノアセトフェノン類、ベンゾイン誘導体類、ベンジルケタール類、ヒドロキシアセトフェノン類、アミノアセトフェノン類などが挙げられる。
熱ラジカル発生剤としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、ジアシルパーオキサイドなどが挙げられる。
疎水性合成樹脂をウレタン樹脂とする場合においては、2液硬化型ウレタン樹脂(ポリオール及びイソシアネート)を好適に使用可能である。組成物の調製方法としては、予めポリオールを含む第1液と、イソシアネートを含む第2液を使用直前に混合することが好ましい。
使用されるポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
使用されるイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などが挙げられる。
疎水性合成樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
疎水性合成樹脂層を形成する組成物中の疎水性合成樹脂の含有量は、50〜99質量%、特に60〜90質量%、さらに70〜80質量%とすることが好ましい。
(その他の成分)
疎水性合成樹脂層を形成する組成物は、疎水性合成樹脂の他に、必要に応じてシランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、接着促進剤、レオロジー調整剤、分散剤などの添加剤を含んでいてもよい。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、従来公知のものを1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層で説明したものと同様である。シランカップリング剤の配合量は、疎水性合成樹脂100質量部に対して、0.5〜20質量部であり、好ましくは2〜10質量部である。
疎水性合成樹脂層を形成する組成物は、疎水性合成樹脂などの各成分を、10〜35℃の条件下で、バンバリーミキサー、メカニカルスターラーなどで混合することにより、調製することができる。
グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層と、疎水性合成樹脂層との積層体では、これらの樹脂層の順序は特に限定されない。すなわち、サイドウォール部のゴム側からグラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層と、疎水性合成樹脂層とがこの順序で積層されていてもよいし、または疎水性合成樹脂層と、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層とがこの順序で積層されていてもよい。本発明に係るタイヤの一実施形態では、サイドウォール部のゴム側から、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層と、疎水性合成樹脂層とが、この順序で積層されている。
<装飾部>
装飾部としては、従来公知の塗料などで形成された層ないし膜を用いることができる。例えば、特許文献1に記載のエネルギー線硬化型塗料を含む着色層を装飾部として用いることができる。
<タイヤ>
本発明のタイヤは、サイドウォール部のゴムの少なくとも一部の表面側に、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層と、疎水性合成樹脂層との積層体が配置されており、該積層体上に、塗料を用いた装飾部が印刷されていることを特徴とする。グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層および疎水性合成樹脂層の積層体は、サイドウォール部のゴムの少なくとも一部の表面側に配置されていればよく、サイドウォール部のゴム全体の表面側に配置されていてもよい。
グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層および疎水性合成樹脂層の積層体は、サイドウォール部のゴムの表面側に配置されていればよく、該ゴムに直接積層されていてもよいし、他の層を介して配置されていてもよい。
本発明に係るタイヤの一実施形態では、サイドウォール部のゴムと、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層とが接している。
本発明に係るタイヤの一実施形態では、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層および疎水性合成樹脂層の少なくとも一方が、シランカップリング剤を含む。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
実施例で用いた材料および装置の詳細は以下のとおりである。
ポリビニルアルコール(PVA粒子):クラレ社製、商品名クラレポバール PVA117(ヒドロキシル基の一部が約1〜2%酢酸残基でグラフト変性されている)
シリカ:東ソー・シリカ社製、商品名Nipsil LP
シランカップリング剤1:信越化学工業社製、商品名KBM503(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)
シランカップリング剤2:信越化学工業社製、商品名KBM5103(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)
両末端アクリル化ブタジエン:大阪有機化学社製、商品名SPBDA−S30
ウレタンアクリレート:日本合成化学社製、商品名UV3000B
ポリエステルポリオール:DIC社製、商品名OD−X−2251
ポリエーテルポリオール:ADEKA社製、商品名Pシリーズ
トリレンジイソシアネート(TDI)
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
天然ゴム:RSS#3
ポリブタジエンゴム:JSR社製、商品名JSR BR01
カーボンブラック:旭カーボン社製、商品名旭#65
オイル:三井油化工業社製、商品名A/Oミックス
ワックス:日本精蝋社製、商品名オゾエース
老化防止剤:大内新興化学工業社製、商品名ノクラック6C(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)
加硫促進剤:大内新興化学工業社製、商品名ノクセラーDM(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド)
ゲルボフレックステスター:テスター産業社製、商品名ゲルボフレックステスター
疎水性合成樹脂層用組成物の硬化は、アクリレート樹脂を含む組成物では、SUBZERO 085(UVランプシステム、インテグレーション社製、出力100W/cm)を用いて、積算光量が200mJ/cm、ピーク照度が1200mW/cmの条件で硬化させた。ウレタン樹脂を含む組成物では、2液混合後、40℃で20時間静置して硬化させた。
積層体の白色層の色度は、分光測色計(コニカミノルタ社製、商品名CM−700d)を用いて測定した。
(グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層用組成物(サンプルA)の調製)
PVA粒子100質量部に対して、表1に示す配合で、シリカおよびヒドロキシル基含有低分子化合物を添加し、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層用組成物(サンプルA)を調製した。
(サンプルB〜サンプルGの調製)
PVA粒子1gを、ジメチルスルホキシド(DMSO)30mLに加熱溶解させた後、ステアリン酸を表1に示す量(有機基含有化合物添加量(g))加え、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩0.8gを加えて、40℃で6時間撹拌した。その反応溶液を500mLのメタノールで再沈殿及びろ過を2回繰り返し行い、固形物を回収し、乾燥させることで、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂を得た。
上記グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対して、表1に示す配合で、シリカおよびヒドロキシル基含有低分子化合物を添加し、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層用組成物(サンプルB)を調製した。変性ポリビニルアルコールの主鎖の分子量(×10)および変性ポリビニルアルコールの有機基導入率(mol%)を表1に合わせて示す。
有機基含有化合物の種類、添加量、ヒドロキシル基含有低分子化合物の種類を表1に示すように変更したこと以外はサンプルBと同様に、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層用組成物のサンプルC〜サンプルGを得た。
Figure 0006657028
(疎水性合成樹脂層用組成物の調製)
表2に示すように疎水性合成樹脂を配合し、疎水性合成樹脂層用組成物(サンプルH〜サンプルO)を調製した。
Figure 0006657028
(ゴム部材の調製)
以下に示すタイヤ材料を、バンバリーミキサーを用いて混合して、ゴム組成物を調製し、タイヤのサイドウォール部用ゴム部材を、厚さ2.0mmとなるように加工して調製した。
天然ゴム:70質量部
ポリブタジエンゴム:30質量部
カーボンブラック:50質量部
オイル:14質量部
ステアリン酸:2質量部
ワックス:1.5質量部
老化防止剤:3質量部
亜鉛華:3質量部
加硫促進剤:1質量部
硫黄:1.5質量部
得られたゴム部材上に,上記グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層用組成物のサンプルA〜サンプルGをそれぞれ、塗布、乾燥して膜厚0.05mmのグラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層を形成した。次いで、表3に示すように、そのグラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層またはゴム部材上に、上記疎水性合成樹脂層用組成物のサンプルH〜サンプルOをそれぞれ塗布し、硬化させ、縦50mm×横10mm×厚さ300μmの疎水性合成樹脂層を積層し、積層体を形成した。次いで、その積層体上に、装飾部として膜厚0.1mmの白色層(酸化チタン含有樹脂インク)を積層することで、老化防止剤含有サイドウォール部ゴム/グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層(第1層)/疎水性合成樹脂層(第2層)/白色層の試験体を得た。
(色度変化の評価)
得られた試験体を、それぞれ、温度60℃、湿度3%または温度60℃、湿度95%の二つの環境下に放置し、10日後と20日後に室温に戻して3J/cmの紫外光を照射した後、白色層の色度を測定し、初期の試験体の白色層からの色度の変化(ΔE)を評価した。その結果を表3に合わせて示す。数値が小さい程、初期の試験体の白色層からの色度の変化が小さいこと、すなわち、タイヤの装飾部の変色が少ないことを表す。
Figure 0006657028
本発明によれば、バリア層の耐水性を改善したタイヤを提供することができる。

Claims (8)

  1. サイドウォール部のゴムの少なくとも一部の表面側に、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層と、疎水性合成樹脂層との積層体が配置されており、該積層体上に、塗料を用いた装飾部が印刷されていることを特徴とする、タイヤ。
  2. 前記サイドウォール部のゴム側から、グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層と、疎水性合成樹脂層とが、この順序で積層されていることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記サイドウォール部のゴムと、前記グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層とが接していることを特徴とする、請求項1または2に記載のタイヤ。
  4. 前記グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層および前記疎水性合成樹脂層の少なくとも一方が、シランカップリング剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ。
  5. 前記疎水性合成樹脂層の疎水性合成樹脂が、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のタイヤ。
  6. 前記グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層のグラフト変性ポリビニルアルコール樹脂が、ポリビニルアルコールの主鎖に対し、グラフト鎖として、炭素数が3〜20の、直鎖、分岐、脂環式、芳香族およびこれらの組み合わせからなる群より選択される有機基を導入した変性ポリビニルアルコール樹脂であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のタイヤ。
  7. 前記グラフト変性ポリビニルアルコール樹脂層が、シリカを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタイヤ。
  8. 前記変性ポリビニルアルコール樹脂層が、1分子当たりヒドロキシル基を2〜3個含有し、かつ、分子量が150以下である化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のタイヤ。
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