JP6521749B2 - 積層体及びタイヤ - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、デザインの自由度を高めるため、タイヤ表面に色材を含有するインク組成物を直接塗布した加飾タイヤが開示されている。
例えば特許文献1には、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びビニルエステルの群より選ばれた少なくとも1種のモノマーに基づくホモポリマー又はコポリマーであり且つガラス転移温度が0℃よりも低いポリマーと、親水性シリカと、アクリル酸モノマー、メタクリル酸モノマー及びビニルモノマーの群より選ばれた少なくとも1種のモノマーに基づくホモポリマー又はコポリマーからなる群より選ばれた成分であって、ホモポリマー又はコポリマーのガラス転移温度が25℃よりも高い水性エマルジョンを含む、水性組成物を保護コーティングとして用いることで、老化防止剤等の移行を抑制する方法が開示されている。
本発明の積層体は、ゴム層と、該ゴム層上に形成された着色層とを備える積層体であって、前記着色層は、ポリビニルアルコールの主鎖に対し、グラフト鎖として、炭素数が3〜20の、直鎖、脂環式、分岐又は芳香族である官能基を、主鎖のビニルアルコール単位に対して6〜50mol%導入した変性ポリビニルアルコール樹脂、顔料及び水を含む水性顔料分散液を用いて形成されることを特徴とする。
上記構成により、汚染成分に対して優れたバリア性を有しつつ、柔軟性及び耐屈曲性の向上した着色層を形成できる。
本発明の積層体は、ゴム層と、該ゴム層上に形成された着色層とを備える。
そして、本発明は、前記着色層が、ポリビニルアルコールの主鎖に対し、グラフト鎖として、炭素数が3〜20の、直鎖、脂環式、分岐又は芳香族である官能基を、主鎖のビニルアルコール単位に対して6〜50mol%導入した変性ポリビニルアルコール樹脂、顔料及び水を含む水性顔料分散液を用いて形成されることを特徴とする。
上記構成により、汚染成分に対して優れたバリア性を有しつつ、柔軟性及び耐屈曲性の向上した着色層を形成できる。
本発明の積層体を構成する着色層を形成するための水性顔料分散液は、変性ポリビニルコール樹脂、顔料及び水を含む。以下に、本発明の水性顔料分散液の構成成分について説明する。
本発明の変性ポリビニルコール樹脂組成物は、ポリビニルアルコールの主鎖に対し、グラフト鎖として、炭素数が3〜20の、直鎖、脂環式、分岐又は芳香族である官能基を、主鎖のビニルアルコール単位に対して6〜50mol%導入した変性ポリビニルアルコール樹脂と、両親媒性化合物とを含むことを特徴とする。
上記構成を備えることで、汚染成分に対する優れたバリア性を有しつつ、柔軟性及び耐屈曲性を向上できる。
そして、上述のミクロ相分離構造を形成した場合、両者をブレンドした場合と同様の効果が得られる。すなわち、ポリビニルアルコールによるバリア性の効果が得られるとともに、炭素数が3〜20の、直鎖、脂環式、分岐又は芳香族(本発明の官能基部分)の効果によって、接着性や柔軟性の向上が可能となる。
さらに、得られた変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールの主鎖と本発明の官能基からなるグラフト鎖が化学的に結合を形成しているため、ブレンドした系に比べてミクロドメイン間の界面強度が高くなる結果、従来のポリビニルアルコール樹脂とエラストマー材料とのブレンドなどに比べて耐屈曲性を向上することが可能となる。
これら共重合可能な単量体の単位(以下、「コモノマー単位」と表記することがある。)の含有量は、PVAコポリマーを構成する全単量体単位100モル%の中で、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。また、共重合されていることのメリットを発揮するためには、0.01モル%以上がコモノマー単位であることが好ましい。
また、より優れた柔軟性、接着性及び耐屈曲性を提供できる点からは、前記グラフト変性に用いた官能基の炭素数が、4〜18であることが好ましい。
さらに、前記官能基は、分子量が20〜10000であることが好ましく、50〜220であることがより好ましい。
例えば、接着性をさらに向上する観点からは、前記ポリビニルアルコールの主鎖に対してアクリル基含有オリゴシラノール基をさらにグラフトし、該アクリル基含有オリゴシラノール基の導入割合が、主鎖のビニルアルコール単位に対して0.5〜10mol%であることが好ましい。
前記水性顔料分散液は、上述した変性ポリビニルアルコール樹脂に加えて、顔料を含む。
かかる顔料については特に限定はされない。例えば、樹脂組成物に所望の加飾や視認性を実現することを目的として、着色剤として顔料を用いることができる。着色剤は、色層をゴム層と異なる色にするために配合されたものであり、例えば、ゴム層が黒色である場合は、黒色以外の顔料が着色剤として使用される。
ここで、前記顔料については、有機又は無機の顔料が使用できる。例えば、無機顔料としては、酸化チタン等が挙げられる。例えば、白色着色剤として、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられ、赤色着色剤として、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等が挙げられ、青色着色剤として、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等が挙げられ、黄色着色剤として、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等が挙げられる。
前記水性顔料分散液は、上述した変性ポリビニルアルコール樹脂及び顔料に加えて、水を含む。
水については、塗料での加工が必要な場合に加えられるものであり、特に限定はされない。
ここで、前記水性顔料分散液における水の含有量は、加工性を低下させない観点からは、50〜99質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましく、80〜90質量%であることが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前記変性ポリビニルコール樹脂及び前記シリカに加えて、分子量が10000以下の水酸基を有する化合物を含むことが好ましい。
分子量が10000以下の水酸基を有する化合物を含有させることによって、ポリマー鎖が形成する水素結合ネットワーク中に介在するため、柔軟性を向上でき、本発明の樹脂組成物の伸び率や耐屈曲性のさらなる改善を図ることが可能である。
また、前記水酸基を有する化合物の分子量を10000以下としたのは、分子量がそれ以上の場合には、融点が向上し過ぎるため、結果混合物の柔軟性が低下するおそれがある。
その中でも、より優れた柔軟性や耐屈曲性を得られることから、グリセリンを用いることが好ましい。
本発明の変性ポリビニルアルコール樹脂組成物は、上述した成分以外にも、要求に応じて任意の成分を含むことが可能である。
例えば、充填材成分として、シリカを含むことができる。シリカを含有させることによって、樹脂組成物の補強性が向上すると共に、シリカが透過する汚染成分の障害物として作用するため、バリア性をさらに向上できる。
さらに、前記シリカの形状についても特に限定はされないが、アスペクト比が大きく、針状や繊維状、平板状の形状を有することが好ましい。透過する汚染成分の障害物としての効果が大きく、より優れたバリア性を実現できるためである。
なお、前記シリカの含有量については、前記変性ポリビニルコール樹脂100質量部に対して、5〜70質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。前記シリカの含有量が5質量部未満の場合、前記シリカの量が少なすぎるため、補強性効果や汚染成分に対するバリア性の向上効果を十分に発揮できないおそれがあり、前記シリカの含有量が70質量部を超える場合、シリカの量が多くなりすぎるため、加工性が低下するおそれがあるからである。
本発明の積層体を構成する着色層を形成する方法については、上述した水性顔料分散液を用いて形成すること以外は特に限定されない。
上述の水性顔料分散液を用いて形成された着色層は、汚染成分に対して優れたバリア性を有しつつ、柔軟性及び耐屈曲性が向上している。
本発明の積層体を構成するゴム層については、特に限定はされず、公知のゴムを適宜使用することができる。例えば、ゴム層を構成するゴム組成物については、前記着色層との密着性を確保する観点から、主鎖に不飽和炭素結合を有するゴム成分を含んだゴム組成物を用いることが好ましい。
また、前記ゴム組成物は、前記ゴム成分に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を混練りし、熱入れ、押出等を行うことによって製造できる。
本発明によるタイヤは、上述した本発明の積層体を用いたことを特徴とする。
それによって、本発明のタイヤは、形成された樹脂フィルムが、汚染成分に対する高いバリア性を有しつつ、優れた柔軟性及び耐屈曲性についても実現できる。
前記ゴム積層体の適用部位としては、例えば、一対のビード部と、一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部と、該ビード部に各々埋設されたビードコア間にトロイド状に延在させたカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置したベルトとを備える空気入りタイヤの、サイドウォール部に適用することができる。
変性ポリビニルアルコールBの製造
VA粒子(クラレ製 ポバール PVA117)1gを、DMSO(ジメチルスルホキシド)30mLに加熱溶解させた後、カプロン酸を0.3g加え、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン0.01gを加えて、80℃で6時間攪拌した。反応溶液を500mLのメタノールで再沈殿及びろ過を2回繰り返し行い、固形物を回収し、乾燥させることで、ポリビニルアルコールBのサンプルを得た。
なお、変性ポリビニルアルコールBの主鎖のビニルアルコール単位に対する官能基導入率(mol%)は10mol%であった。
*2・・・グリセリンについては、関東化学製の「グリセリン」を用いた。
*3・・・顔料については、以下のものを用いた。
酸化チタン:御国色素製 「101コンク」
ピグメントブルー15−3:東京化成工業製 「ピグメントブルー15」
ピグメントレッド254:東京化成工業製 「ピグメントレッド254」
図1に示すように、老化防止剤を2質量%含有したサイドウォール用ゴムを、厚さが2.0mmとなるように加工し、該加工したゴムの上に、各樹脂組成物のサンプルを膜厚1.0mmのフィルム状に積層し、該フィルムの上に、膜厚0.1mmの白色層(酸化チタン含有樹脂インク)を積層することで、積層体のサンプルを作製した。
作製した積層体のサンプルについて、温度60℃の環境下でサンプルを放置し、1日ごとに室温に戻して3J/cm2の紫外光を照射した後に、白色層の色度を測定した。サンプル放置後20日経過した際の色度を測定し、放置開始時からの色度の変化(ΔE)を算出した。得られた色度の変化を表2に示す。なお、色度の変化の数値は小さいほど良好な結果である。
樹脂組成物の各サンプルについて、0.5mm厚の試験片を作製し、JIS 7161に基づいて破断伸び(Eb)を測定した。具体的には、試験片を50mm/minの速度で引っ張った際の破断伸び(%)を測定した。測定結果を表2に示す。なお、破断伸びの数値はサンプルの初期長さに対する伸張長さの割合であり、サンプル9(比較例)の破断伸びを100としたときの指数値で示し、大きいほど良好な結果である。
各実施例及び比較例のサンプル(厚さ0.5mm)を、21cm×30cmにカットしたフィルムを50枚作製し、各カットフィルムを0℃で7日間調湿した後、ASTMF392−74に準拠して、理学工業(株)製ゲルボフレックステスターを使用し、屈曲回数50回、75回、100回、125回、150回、175回、200回、225回、250回、300回、400回、500回、600回、700回、800回、1000回、1500回屈曲させた後、ピンホールの数を測定した。それぞれの屈曲回数において、測定を5回行い、その平均値をピンホール個数とした。屈曲回数(P)を横軸に、ピンホール数(N)を縦軸にとり、上記測定結果をプロットし、ピンホール数が1個のときの屈曲回数(Np1)を外挿により求め、有効数字2桁とした。ただし、1500回の屈曲でピンホールが観察されないフィルムについては、以降500回おきに屈曲回数を増やし、ピンホールが見られた屈曲回数をNp1とした。
評価については、サンプル9(比較例)の屈曲回数を100としたときの指数値で示し、数値が大きいほど屈曲回数が多く、耐屈曲性が高いことを示す。
(1)変性ポリビニルアルコール樹脂を用いた実施例のサンプル1〜7から形成した着色層は、UV硬化性樹脂を用いた比較例のサンプル8から形成した着色層に比べて変色が抑えられていることがわかった。その結果、実施例のサンプル1〜7から形成した着色層は、汚染成分に対する良好なバリア性が実現できていることがわかった。
(2)実施例の各サンプルから形成した着色層は、タイヤのサイド保護膜として十分な伸縮性を有することを確認した。一方、可塑剤として作用するグリセリンを含まない比較例のサンプル9や、変性ポリビニルアルコールを用いていない比較例のサンプル10では、材料が脆性的でほとんど伸びず、Ebが低下することがわかった。
(3)実施例の各サンプルから形成した着色層は、タイヤのサイド保護膜として十分な耐屈曲性を有していることがわかった。可塑剤を含まない比較例のサンプル9、変性ポリビニルアルコールを用いていない比較例のサンプル10では、材料が硬いため低屈曲性が特に低下していた。
Claims (5)
- ゴム層と、該ゴム層上に形成された着色層とを備える積層体であって、
前記着色層は、分子量が100000以上であるポリビニルアルコールの主鎖に対し、グラフト鎖として、炭素数が3〜20の、直鎖、脂環式、分岐又は芳香族である官能基を、主鎖のビニルアルコール単位に対して6〜50mol%導入した変性ポリビニルアルコール樹脂、顔料及び水を含む水性顔料分散液を用いて形成されることを特徴とする、積層体。 - 前記水性顔料分散液における顔料の含有量が、前記変性ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対して、1〜200質量部であることを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
- 前記グラフト変性に用いた官能基の導入割合が、主鎖のビニルアルコール単位に対して15〜30mol%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記変性ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対して、1〜200質量部のグリセリンをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体を用いたことを特徴とする、タイヤ。
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