JP6654656B2 - 電解液組成物およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

電解液組成物およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本開示は電解液組成物およびリチウムイオン二次電池に関する。
特開2013−218843号公報(特許文献1)は、リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)を含む電解液を開示している。
特開2013−218843号公報
一般にリチウムイオン二次電池の電解液は可燃性である。電解液の溶媒が、低沸点かつ低引火点の有機溶媒であるためと考えられる。従来、たとえば特許文献1に示されるように、リン酸エステル系難燃剤等を電解液に添加することにより、電解液に難燃性を付与することが検討されている。
リン酸エステル系難燃剤が添加された電解液は、着火後、燃焼が継続し難い性質(難燃性)を有し得る。しかし当該電解液は、着火し難い性質、すなわち難着火性を有するまでには至っていない。
本開示の目的は、難着火性を有し得る電解液組成物を提供することである。
以下、本開示の技術的構成および作用効果が説明される。ただし本開示の作用メカニズムは推定を含んでいる。作用メカニズムの正否により、特許請求の範囲が限定されるべきではない。
〔1〕本開示の電解液組成物は、リチウムイオン二次電池用の電解液組成物である。
電解液組成物は、非プロトン性有機溶媒、リチウム塩、難燃剤、および無機酸化物粒子を少なくとも含む。難燃剤は、フッ素化アルキル基を有するリン系酸エステル、およびフッ素化アルキル基を有するリン酸エステルアミドからなる群より選択される少なくとも1種である。
「リン系酸エステル」はV価またはIII価のリン原子を有する酸のエステルを示す。リン系酸エステルは、下記式(1)により表されるリン酸エステル、下記式(2)により表されるホスホン酸エステル、下記式(3)により表されるホスフィン酸エステル、および下記式(4)により表される亜リン酸エステルを含む。「リン酸エステルアミド」は下記式(5)により表される。
下記式(1)〜(5)中、エステルを構成するアルキル基(R1、R2およびR3)にはフッ素原子(F)が含まれる。すなわちR1、R2およびR3はフッ素化アルキル基を示す。フッ素化アルキル基の炭素数は、たとえば1以上6以下であってもよい。フッ素化アルキル基は直鎖状であってもよい。フッ素化アルキル基は分岐状であってもよい。フッ素化アルキル基は、すべての水素原子(H)がフッ素原子に置換されていてもよい。フッ素化アルキル基は、一部の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
下記式(1)、(2)および(5)において、R1とR2(またはR3)とがアルキレン基(−R4−)に置き換わった環状構造が形成されていてもよい。
R'、R''およびR*は、リン原子(P)または窒素原子(N)に直結している。R'、R''およびR*は、水素原子、アルキル基または芳香族基である。R'、R''およびR*には、フッ素原子が含まれていなくてもよい。R'、R''およびR*がアルキル基または芳香族基である場合には、R'、R''およびR*にフッ素原子が含まれていてもよい。
Figure 0006654656
以下、フッ素化アルキル基を有するリン系酸エステルが「フッ素化リン系酸エステル」と略記され得る。フッ素化アルキル基を有するリン酸エステルアミドが「フッ素化リン酸エステルアミド」と略記され得る。さらにフッ素化リン系酸エステルおよびフッ素化リン酸エステルアミドからなる群より選択される少なくとも1種が「フッ素化リン系酸エステル等」と総称され得る。
本開示の電解液組成物では、フッ素化リン系酸エステル等と、無機酸化物粒子との相乗作用により、難着火性が発現すると考えられる。
図1は、本開示の作用メカニズムを説明するための概念図である。
非プロトン性有機溶媒(以下「溶媒」と略記され得る)および酸素の共存下、さらに着火源が存在すると、水素ラジカル(H・)およびヒドロキシラジカル(OH・)等が生成されると考えられる。ラジカルの連鎖反応により、急激な酸化反応すなわち燃焼反応が生起すると考えられる。
無機酸化物粒子の表面には、多数の水酸基(−OH)が存在し得る。水酸基の末端の水素原子(H)は、分極により正(δ+)に帯電していると考えられる。図1には、フッ素化リン系酸エステル等の一例として、リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)〔O=P(OCH2CF33〕が示されている。フッ素化リン系酸エステル等のO=P基の酸素原子(O)は、分極により負(δ-)に帯電していると考えられる。正に帯電した水素原子と、負に帯電した酸素原子との間には水素結合が形成されやすいと考えられる。そのため、フッ素化リン系酸エステル等が無機酸化物粒子の表面に引き寄せられ、無機酸化物粒子の表面にフッ素化リン系酸エステル等が選択的に吸着することが期待される。これにより無機酸化物粒子の表面には、フッ素化リン系酸エステル等が高濃度で存在することになる。図1には、亜リン酸エステルの一例として、亜リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)〔P(OCH2CF33〕が示されている。亜リン酸エステルは、上記式(4)に示されるIII価のリン原子上の孤立電子対(・・)が水素結合に関与することにより、無機酸化物粒子の表面に選択的に吸着することが期待される。
溶媒中に分散した無機酸化物粒子の表面は、燃焼反応の反応場となり得る。フッ素化リン系酸エステル等は、水素ラジカルおよびヒドロキシラジカルをトラップする作用を有することが期待される。無機酸化物粒子の表面には、フッ素化リン系酸エステル等が高濃度で存在し得る。そのため、水素ラジカルおよびヒドロキシラジカルが生成されても、着火に至る前に、フッ素化リン系酸エステル等がそれらを効率的にトラップすることが期待される。これにより、本開示の電解液組成物は、難着火性を有し得ると考えられる。
〔2〕難燃剤は、たとえばリン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)、亜リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)およびメチルホスホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
〔3〕非プロトン性有機溶媒および難燃剤は、体積比で、たとえば非プロトン性有機溶媒/難燃剤=70/30〜80/20となる関係を満たしてもよい。該範囲では、良好な充放電効率および導電率も期待される。
〔4〕無機酸化物粒子は、たとえばシリカ粒子およびジルコニア粒子からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
〔5〕無機酸化物粒子は、電解液組成物に対して、たとえば5質量%以上10質量%以下の比率を有してもよい。該範囲では、良好な充放電効率および導電率も期待される。
〔6〕無機酸化物粒子はメソポーラスであってもよい。無機酸化物粒子が複数のメソ孔を含むことにより、無機酸化物粒子の比表面積が大きくなることが期待される。メソポーラスな無機酸化物粒子では、粒子の外表面だけでなく、メソ孔の内壁にも多数の水酸基が存在し得ると考えられる。前述のように無機酸化物粒子の表面はフッ素化リン系酸エステル等の吸着場であり得る。無機酸化物粒子の比表面積が大きくなることにより、より多くのフッ素化リン系酸エステル等が無機酸化物粒子の表面に吸着することが期待される。さらに無機酸化物粒子の表面は燃焼反応の反応場でもあり得る。したがって無機酸化物粒子の比表面積が大きくなることにより、フッ素化リン系酸エステル等がいっそう効率的に水素ラジカルおよびヒドロキシラジカルをトラップすることが期待される。これにより電解液組成物の難着火性が向上すると考えられる。
〔7〕上記〔6〕において無機酸化物粒子は球状であってもよい。かつ無機酸化物粒子に含まれるメソ孔は無機酸化物粒子の中心から無機酸化物粒子の表面に向かって放射状に延びていてもよい。無機酸化物粒子が球状であり、かつメソ孔が粒子の中心から粒子の表面に向かって放射状に延びていることにより、粒子の外部から粒子の内部へのアクセスが良好となることが期待される。粒子の外部から粒子の内部へのアクセスが良好であることにより、燃焼反応の反応場およびフッ素化リン系酸エステル等の吸着場の有効面積がいっそう大きくなると考えられる。これにより電解液組成物の難着火性が向上すると考えられる。
〔8〕本開示のリチウムイオン二次電池は、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載の電解液組成物を少なくとも含む。本開示のリチウムイオン二次電池は、加熱、短絡および過充電等を伴う異常使用に対して耐性を有することが期待される。電解液組成物が難着火性を有し得るためである。
図1は、本開示の作用メカニズムを説明するための概念図である。 図2は、本実施形態のリチウムイオン二次電池の構成の一例を示す概略図である。 図3は、本実施形態の無機酸化物粒子の一例を示す第1概念図である。 図4は、本実施形態の無機酸化物粒子の一例を示す第2概念図である。
以下、本開示の実施形態(本明細書では「本実施形態」とも記される)が説明される。ただし以下の説明は特許請求の範囲を限定するものではない。
<電解液組成物>
本実施形態の電解液組成物は、非プロトン性有機溶媒、リチウム塩、難燃剤、および無機酸化物粒子を少なくとも含む。電解液組成物は、その他の成分(後述)をさらに含んでもよい。
本実施形態の電解液組成物は難着火性を有し得る。さらに電解液組成物は、十分な導電率も有し得る。電解液組成物は、たとえば4.0mS/cm以上7.4mS/cm以下の導電率を有し得る。電解液組成物は、たとえば4.2mS/cm以上7.4mS/cm以下の導電率を有し得る。電解液組成物は、たとえば5.2mS/cm以上7.4mS/cm以下の導電率を有し得る。電解液組成物の導電率は、一般的な導電率計により測定され得る。導電率は少なくとも3回測定され得る。少なくとも3回の算術平均が測定結果として採用され得る。
《非プロトン性有機溶媒》
非プロトン性有機溶媒(溶媒)は特に限定されるべきではない。溶媒は、たとえば、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートの混合物であってもよい。混合比は、体積比で、たとえば環状カーボネート/鎖状カーボネート=10/90〜50/50程度であってもよい。
環状カーボネートは、たとえば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等であってもよい。1種の環状カーボネートが単独で使用されてもよい。2種以上の環状カーボネートが組み合わされて使用されてもよい。
鎖状カーボネートは、たとえば、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等であってもよい。1種の鎖状カーボネートが単独で使用されてもよい。2種以上の鎖状カーボネートが組み合わされて使用されてもよい。
溶媒は、たとえば、ラクトン、環状エーテル、鎖状エーテル、カルボン酸エステル等を含んでもよい。ラクトンは、たとえば、γ−ブチロラクトン(GBL)、δ−バレロラクトン等であってもよい。環状エーテルは、たとえば、テトラヒドロフラン(THF)、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等であってもよい。鎖状エーテルは、たとえば1,2−ジメトキシエタン(DME)等であってもよい。カルボン酸エステルは、たとえば、メチルホルメート(MF)、メチルアセテート(MA)、メチルプロピオネート(MP)等であってもよい。
《リチウム塩》
リチウム塩は支持塩である。リチウム塩は溶媒に溶解している。電解液組成物は、たとえば0.5mоl/l以上2mоl/l以下のリチウム塩を含んでもよい。リチウム塩は、たとえば、LiPF6、LiBF4、Li[N(FSO22]、Li[N(CF3SO22]等であってもよい。1種のリチウム塩が単独で使用されてもよい。2種以上のリチウム塩が組み合わされて使用されてもよい。
リチウム塩は溶媒中でリチウムイオンと対アニオンとに解離する。リチウム塩の解離によって生成されたリチウムイオンが多い程、電解液組成物の導電率が向上すると考えられる。本実施形態の電解液組成物では、たとえばLiPF6のように、対アニオンが分子イオンであり、かつ分子イオンの末端がフッ素原子であることにより、リチウム塩の解離の促進が期待される。図1に示されるように、対アニオン(PF6 -)のフッ素原子(F)と、無機酸化物粒子の水酸基(OH)との間で水素結合が形成されやすいため、リチウムイオン(Li+)が脱離しやすいと考えられる。
《難燃剤》
難燃剤は溶媒に混和している。難燃剤は、無機酸化物粒子と共に、電解液組成物に難着火性を付与する。電解液組成物において、溶媒および難燃剤は、体積比で、たとえば溶媒/難燃剤=70/30〜80/20となる関係を満たしてもよい。該範囲では、良好な充放電効率および導電率も期待される。難燃剤の構成比が過度に大きいと、たとえば導電率等が低下する可能性もある。なお難燃剤が2種以上の成分を含む場合は、体積比で、溶媒/(難燃剤の合計)=70/30〜80/20となる関係が満たされてもよい。
難燃剤は、フッ素化アルキル基を有するリン系酸エステル(フッ素化リン系酸エステル)、およびフッ素化アルキル基を有するリン酸エステルアミド(フッ素化リン酸エステルアミド)からなる群より選択される少なくとも1種である。フッ素化リン系酸エステルは、上記式(1)〜(4)により表される。フッ素化リン酸エステルアミドは、上記式(5)により表される。
上記式(1)によって表されるフッ素化リン系酸エステル(フッ素化リン酸エステル)としては、たとえば、リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)〔tris(2,2,2−trifluoroethyl)phosphate,TFEPa〕(下記式(6))、リン酸トリス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)、リン酸トリス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)、リン酸トリス(1H,1H−ヘプタフルオロブチル)、リン酸トリス(1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル)等が挙げられる。環状構造を有するリン酸エステルとしては、たとえば、リン酸エチレントリフルオロエチル〔Ethylene trifluoroethyl phosphate〕(下記式(7))が挙げられる。
Figure 0006654656
上記式(2)によって表されるフッ素化リン系酸エステル(フッ素化ホスホン酸エステル)としては、たとえば、メチルホスホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)〔Bis(trifluoroethyl)methylphosphonate,BFEMPo〕(下記式(8))、エチルホスホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)〔Bis(trifluoroethyl)ethylphosphonate〕(下記式(9))、ホスホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)〔Bis(trifluoroethyl)phosphonate〕(下記式(10))等が挙げられる。
Figure 0006654656
上記式(3)によって表されるフッ素化リン系酸エステル(フッ素化ホスフィン酸エステル)としては、たとえば、ジエチルホスフィン酸(2,2,2−トリフルオロエチル)〔(trifluoroethyl)diethylphosphinate〕(下記式(11))等が挙げられる。
Figure 0006654656
上記式(4)によって表されるフッ素化リン系酸エステル(フッ素化亜リン酸エステル)としては、たとえば、亜リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)〔tris(2,2,2−trifluoroethyl)phosphite,TFEPi〕(下記式(12))、亜リン酸トリス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)、亜リン酸トリス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)、亜リン酸トリス(1H,1H−ヘプタフルオロブチル)、亜リン酸トリス(1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル)等が挙げられる。
Figure 0006654656
上記式(5)によって表されるフッ素化リン酸エステルアミドとしては、たとえば、O,O−ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)N,N−ジメチルリン酸アミドエステル〔O,O−Bis(trifluoroethyl)N,N−dimethylphosphoramodate〕(下記式(13))等が挙げられる。
Figure 0006654656
上記のフッ素化リン酸エステル、フッ素化ホスホン酸エステル、フッ素化ホスフィン酸エステル、フッ素化亜リン酸エステルおよびフッ素化リン酸エステルアミドのうち1種が単独で使用されてもよい。上記のフッ素化リン酸エステル、フッ素化ホスホン酸エステル、フッ素化ホスフィン酸エステル、フッ素化亜リン酸エステルおよびフッ素化リン酸エステルアミドのうち2種以上が組み合わされて使用されてもよい。
難燃剤は、たとえば、フッ素化リン酸エステル、フッ素化亜リン酸エステルおよびフッ素化ホスホン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。難燃剤は、たとえば、TFEPa、TFEPiおよびBFEMPoからなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
《無機酸化物粒子》
無機酸化物粒子は、難燃剤と共に、電解液組成物に難着火性を付与する。無機酸化物粒子は溶媒中に分散している。無機酸化物粒子は、電解液組成物に対して、たとえば3質量%以上10質量%以下の比率を有してもよい。無機酸化物粒子は、電解液組成物に対して、たとえば5質量%以上10質量%以下の比率を有してもよい。該範囲では、良好な充放電特性および導電率も期待される。無機酸化物粒子の質量比率が過度に高いと、たとえば電解液組成物の粘度が上昇し、導電率が低下する可能性もある。なお電解液組成物が2種以上の無機酸化物粒子を含む場合、無機酸化物粒子の合計が、電解液組成物に対して、たとえば5質量%以上10質量%以下の比率を有してもよい。
無機酸化物粒子は、たとえば0.5nm以上5μm以下の平均粒子径を有してもよい。無機酸化物粒子の平均粒子径は、たとえば動的光散乱法または電子顕微鏡法によって測定される。電子顕微鏡は、透過型電子顕微鏡(TEM)であってもよいし、走査型電子顕微鏡(SEM)であってもよい。測定は、たとえば「JIS Z8826」に準拠して実施され得る。平均粒子径は少なくとも3回測定され得る。少なくとも3回の算術平均が測定結果として採用され得る。
無機酸化物粒子はナノ粒子であってもよい。これにより電解液組成物の難着火性が向上することも考えられる。無機酸化物粒子は、たとえば1nm以上100nm以下の平均粒子径を有してもよい。無機酸化物粒子は、たとえば7nm以上20nm以下の平均粒子径を有してもよい。
無機酸化物粒子は、たとえば50m2/g以上2000m2/g以下のBET比表面積を有してもよい。該範囲で、水素ラジカルおよびヒドロキシラジカルのトラップが促進されることが期待される。無機酸化物粒子は、たとえば50m2/g以上380m2/g以下のBET比表面積を有してもよい。無機酸化物粒子のBET比表面積は、窒素ガスの吸脱着測定により得られる吸脱着等温線が、BET(Brenauer−Emmet−Telle)多点法により解析されることにより算出される。吸脱着測定には一般的な比表面積測定装置が使用され得る。BET比表面積は少なくとも3回測定され得る。少なくとも3回の算術平均が測定結果として採用され得る。
無機酸化物粒子は、その表面に多数の水酸基を有し得る。好適量の水酸基を有し得る無機酸化物粒子としては、たとえば、シリカ粒子(SiO2)、ジルコニア粒子(ZrO2)、アルミナ粒子(Al23)、ベーマイト粒子(AlOOH)、チタニア粒子(TiO2)等が挙げられる。1種の無機酸化物粒子が単独で使用されてもよい。2種以上の無機酸化物粒子が組み合わされて使用されてもよい。すなわち無機酸化物粒子は、たとえば、シリカ粒子、ジルコニア粒子、アルミナ粒子、ベーマイト粒子およびチタニア粒子からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。無機酸化物粒子は、たとえばシリカ粒子およびジルコニア粒子からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
無機酸化物粒子において、水酸基は、たとえば3個/nm2以上5個/nm2以下の個数密度を有してもよい。該範囲で、水素ラジカルおよびヒドロキシラジカルのトラップが促進されることが期待される。水酸基の濃度は、たとえば、電位差滴定法、赤外分光法または固体核磁気共鳴法により測定され得る。水酸基の濃度は少なくとも3回測定され得る。少なくとも3回の算術平均が測定結果として採用され得る。
無機酸化物粒子はメソポーラスであってもよい。無機酸化物粒子がメソポーラスであることにより、電解液組成物の難着火性が向上すると考えられる。「無機酸化物粒子がメソポーラスである」とは、無機酸化物粒子が多孔質であり、かつ無機酸化物粒子に含まれる細孔がメソ孔であることを示す。本明細書では無機酸化物粒子の平均細孔径が2nm以上50nm以下であれば、無機酸化物粒子に含まれる細孔がメソ孔であるとみなされる。平均細孔径は窒素ガスの吸脱着測定により得られる吸脱着等温線が、BJH(Barrett−Joyner−Hallender)法により解析されることにより算出される。平均細孔径はたとえば1nm以上10nm以下であってもよい。
図3は、本実施形態の無機酸化物粒子の一例を示す第1概念図である。
無機酸化物粒子においてメソ孔は一次元的あるいは二次元的に延びていてもよい。図3ではメソ孔がc軸方向の一方向に延びている。メソ孔の軸方向と直交する断面において、メソ孔はたとえば六角形状であってもよい。メソポーラスな無機酸化物粒子では、粒子の外表面だけでなく、メソ孔の内壁にも多数の水酸基が存在し得ると考えられる。
図4は、本実施形態の無機酸化物粒子の一例を示す第2概念図である。
無機酸化物粒子は球状であってもよい。かつ無機酸化物粒子に含まれるメソ孔は無機酸化物粒子の中心から無機酸化物粒子の表面に向かって放射状に延びていてもよい。すなわちメソ孔は三次元的に延びていてもよい。これにより電解液組成物の難着火性が向上すると考えられる。粒子の外部から粒子の内部へのアクセスが良好になるためと考えられる。該形態の無機酸化物粒子は、たとえば界面活性剤を鋳型とする分子鋳型法等により形成され得る。
「球状」とは、二次元平面への粒子の投影像(たとえば電子顕微鏡画像)において、粒子の輪郭線の最大径に対する、粒子の輪郭線の最小径の比が0.8以上1以下であることを示す。
メソ孔が無機酸化物粒子の中心から無機酸化物粒子の表面に向かって放射状に延びていることは、たとえば次のようにして確認され得る。すなわち無機酸化物粒子のメソ孔内に塩化白金酸のメタノール溶液(たとえば0.02mоl/l)が導入される。エバポレータ等が使用されることにより、メタノールが除去される。無機酸化物粒子が水素気流下において400℃で2時間還元処理される。還元処理後、無機酸化物粒子が透過型電子顕微鏡(TEM)により観察される。無機酸化物粒子のTEM像において、メソ孔が無機酸化物粒子の中心から無機酸化物粒子の表面に向かって放射状に延びていることが確認され得る。
無機酸化物粒子は単分散粒子であってもよい。無機酸化物粒子が単分散粒子であることにより、複数の無機酸化物粒子の各々において、同等のラジカルトラップ効果が期待される。これにより電解液組成物の難着火性が向上すると考えられる。「単分散粒子」は、粒子径の変動係数が0.1以下である粒子を示す。粒子径の変動係数は、粒子径の標準偏差が平均粒子径で除されることにより算出される。
無機酸化物粒子は、単分散粒子であり、球状であり、かつ無機酸化物粒子の中心から無機酸化物粒子の表面に向かって放射状に延びるメソ孔を有してもよい。すなわち無機酸化物粒子は、単分散球状メソポーラスシリカ(monodispersed mesoporous silica spheres,MMSS)であってもよい。MMSSは、たとえば1000m2/g以上のBET比表面積を有し得る。
《その他の成分》
電解液組成物は、上記の成分以外に、その他の成分をさらに含んでもよい。その他の成分としては、たとえば各種の機能性添加剤等が挙げられる。機能性添加剤は、電解液組成物に対して、たとえば0.1質量%以上10質量%以下の比率を有してもよい。機能性添加剤としては、たとえば、ガス発生剤(いわゆる過充電添加剤)、SEI(solid electrolyte interface)膜形成剤等が挙げられる。
ガス発生剤としては、たとえば、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、ビフェニル(BP)等が挙げられる。SEI膜形成剤としては、たとえば、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、Li[B(C242](LiBOB)、LiPO22、プロパンサルトン(PS)、エチレンサルファイト(ES)等が挙げられる。
<リチウムイオン二次電池>
図2は、本実施形態のリチウムイオン二次電池の構成の一例を示す概略図である。
以下、リチウムイオン二次電池は「電池」と略記され得る。電池100はケース50を含む。ケース50は密閉されている。ケース50は角形(扁平直方体)である。ケース50は、たとえばアルミニウム(Al)合金等により形成され得る。もちろんケースは角形に限定されるべきではない。ケースは円筒形であってもよい。ケースは、たとえばAlラミネートフィルム製のパウチ等であってもよい。すなわち電池はラミネート型電池であってもよい。
ケース50は、電極群40および電解液組成物を収納している。図2中の一点鎖線は電解液組成物の液面を示している。電解液組成物は、前述された本実施形態の電解液組成物である。すなわち電池100は、本実施形態の電解液組成物を少なくとも含む。電解液組成物の詳細は前述のとおりである。電池100は、加熱、短絡および過充電等を伴う異常使用に対して耐性を有することが期待される。電解液組成物が難着火性を有し得るためである。
電極群40は、外部端子と電気的に接続されている。電極群40は、正極、負極およびセパレータを含む。電極群40内の空隙には、電解液組成物が含浸されている。電極群40は積層(スタック)型である。すなわち電極群40は、正極および負極の間にセパレータが挟まれつつ、正極および負極が交互に積層されることにより形成されている。もちろん電極群は巻回型であってもよい。巻回型の電極群は、たとえば、正極、セパレータおよび負極がこの順序で積層され、さらにこれらが渦巻状に巻回されることにより形成され得る。
《正極》
正極はシート状であり得る。正極は、たとえば正極集電体および正極合材層を含んでもよい。正極集電体は、たとえばAl箔等であってもよい。正極合材層は、正極集電体の表面に形成され得る。正極合材層は、正極集電体の表裏両面に形成されていてもよい。正極合材層は正極活物質を少なくとも含む。正極合材層は、たとえば、80質量%以上98質量%以下の正極活物質、1質量%以上10質量%以下の導電材、および残部のバインダを含んでもよい。
正極活物質は特に限定されるべきではない。正極活物質は、たとえばLiCoO、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24、Li(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O2、LiNi0.8Co0.15Al0.052、LiFePO4等であってもよい。1種の正極活物質が単独で使用されてもよい。2種以上の正極活物質が組み合わされて使用されてもよい。導電材も特に限定されるべきではない。導電材は、たとえばアセチレンブラック(AB)等であってもよい。バインダも特に限定されるべきではない。バインダは、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVdF)等であってもよい。
《負極》
負極はシート状であり得る。負極は、たとえば負極集電体および負極合材層を含んでもよい。負極集電体は、たとえば銅(Cu)箔等であってもよい。負極合材層は負極集電体の表面に形成され得る。負極合材層は負極集電体の表裏両面に形成されていてもよい。負極合材層は負極活物質を少なくとも含む。負極合材層は、たとえば、80質量%以上99.5質量%以下の負極活物質、および残部のバインダを含んでもよい。
負極活物質は特に限定されるべきではない。負極活物質は、たとえば、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、珪素、酸化珪素、珪素基合金、錫、酸化錫、錫基合金等であってもよい。1種の負極活物質が単独で使用されてもよい。2種以上の負極活物質が組み合わされて使用されてもよい。バインダも特に限定されるべきではない。バインダは、たとえば、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびスチレンブタジエンゴム(SBR)等であってもよい。
《セパレータ》
セパレータは多孔質フィルムであり得る。セパレータは電気絶縁性である。セパレータは、たとえばポリエチレン(PE)製、ポリプロピレン(PP)製等であってもよい。セパレータは、たとえば単層構造を有してもよい。セパレータは、たとえばPE製の多孔質フィルムのみにより形成されていてもよい。セパレータは、たとえば多層構造を有してもよい。セパレータは、たとえば、PP製の多孔質フィルム、PE製の多孔質フィルム、およびPP製の多孔質フィルムがこの順序で積層されることにより形成されていてもよい。
以下、本開示の実施例が説明される。ただし以下の説明は、特許請求の範囲を限定するものではない。
<電解液組成物の調製、およびリチウムイオン二次電池の製造>
以下のようにして、試料No.1〜10に係る電解液組成物および試料No.11〜13に係る電解液組成物が調製された。試料No.1〜6、11および12が実施例である。試料No.7〜10および13が比較例である。さらに各電解液組成物を含むリチウムイオン二次電池がそれぞれ製造された。
《試料No.1》
以下の材料が準備された。
非プロトン性有機溶媒:EC、DMC、EMC
リチウム塩:LiPF6
フッ素化リン系酸エステル(フッ素化リン酸エステル):TFEPa
SEI膜形成剤:LiBOB
無機酸化物粒子:シリカ粒子(SiO2、ノンポーラス、平均粒子径 7nm)
EC、DMCおよびEMCが混合されることにより、溶媒が調製された。混合比は、体積比で、EC/DMC/EMC=30/40/30である。溶媒にTFEPaが混合された。混合比は、体積比で、溶媒/TFEPa=70/30である。溶媒にLiPF6が溶解された。LiPF6の濃度は1mоl/lである。溶媒にシリカ粒子が分散された。以上より、試料No.1に係る電解液組成物が調製された。シリカ粒子は、電解液組成物に対して5質量%の比率を有する。
正極活物質、AB、PVdFおよびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が混合されることにより、ペーストが調製された。該ペーストが正極集電体(厚さ 12μm)の表面(表裏両面)に塗布され、乾燥されることにより、正極合材層が形成された。正極合材層は両面で39.5mg/cm2の目付を有する。正極合材層は、正極活物質、ABおよびPVdFを含む。混合比は、質量比で、正極活物質/AB/PVdF=90/8/2である。正極合材層が圧延された。圧延後の正極合材層は2.9g/cm3の密度を有する。
負極活物質、CMC、SBRおよび水が混合されることにより、ペーストが調製された。該ペーストが負極集電体(厚さ 10μm)の表面(表裏両面)に塗布され、乾燥されることにより、負極合材層が形成された。負極合材層は両面で16.9mg/cm2の目付を有する。負極合材層は、負極活物質、CMCおよびSBRを含む。混合比は、質量比で、負極活物質/CMC/SBR=99/0.5/0.5である。負極合材層が圧延された。圧延後の負極合材層は1.4g/cm3の密度を有する。
セパレータ(ポリエチレン製の多孔質フィルム)が準備された。電解液組成物にLiBOBが添加された。添加量は0.05mоl/lである。アルゴン雰囲気下で、セパレータに電解液組成物が含浸された。セパレータを挟んで正極および負極が対向するように、正極、セパレータおよび負極が積層された。これにより電極群が形成された。ケース(Alラミネートフィルム製のパウチ)が準備された。電極群がケースに収納された。ケースが密閉された。以上より2極式電気化学セル(リチウムイオン二次電池)が製造された。
《試料No.2》
下記表1に示されるように、シリカ粒子(SiO2)に代えて、ジルコニア粒子(ZrO2、ノンポーラス、平均粒子径 20nm)が使用されることを除いては、試料No.1と同様に、電解液組成物が調製され、2極式電気化学セルが製造された。
《試料No.3》
下記表1に示されるように、TFEPa(フッ素化リン酸エステル)に代えてTFEPi(フッ素化亜リン酸エステル)が難燃剤として使用され、さらに溶媒および難燃剤の混合比が変更されることを除いては、試料No.1と同様に、電解液組成物が調製され、2極式電気化学セルが製造された。
《試料No.4》
下記表1に示されるように、無機酸化物粒子の含量が変更されることを除いては、試料No.1と同様に、電解液組成物が調製され、2極式電気化学セルが製造された。
《試料No.5》
下記表1に示されるように、TFEPaおよびTFEPiが組み合わされて使用されることを除いては、試料No.1と同様に、電解液組成物が調製され、2極式電気化学セルが製造された。
《試料No.6》
下記表1に示されるように、TFEPa(フッ素化リン酸エステル)に代えてBFEMPo(フッ素化ホスホン酸エステル)が難燃剤として使用されることを除いては、試料No.1と同様に、電解液組成物が調製され、2極式電気化学セルが製造された。
《試料No.7》
下記表1に示されるように、難燃剤が使用されないことを除いては、試料No.1と同様に、電解液組成物が調製され、2極式電気化学セルが製造された。
《試料No.8》
下記表1に示されるように、無機酸化物粒子が使用されないことを除いては、試料No.1と同様に、電解液組成物が調製され、2極式電気化学セルが製造された。
《試料No.9》
下記表1に示されるように、難燃剤としてリン酸トリエチル(triethyl phosphate,TEPa)が使用されることを除いては、試料No.8と同様に、電解液組成物が調製され、2極式電気化学セルが製造された。TEPaは下記式(14)によって表される。TEPaはフッ素化されていないリン酸エステルである。
Figure 0006654656
《試料No.10》
下記表1に示されるように、5質量%の無機酸化物粒子が添加されることを除いては、試料No.9と同様に、電解液組成物が調製され、2極式電気化学セルが製造された。
《試料No.11》
下記表1に示されるように、無機酸化物粒子としてMMSSが使用され、かつ無機酸化物粒子の含量が変更されることを除いては、試料No.1と同様に電解液組成物が調製され、2極式電気化学セルが製造された。
《試料No.12》
下記表1に示されるように、無機酸化物粒子としてMMSSが使用されることを除いては、試料No.4と同様に電解液組成物が調製され、2極式電気化学セルが製造された。
《試料No.13》
下記表1に示されるように、無機酸化物粒子としてMMSSが使用され、かつ無機酸化物粒子の含量が変更されることを除いては、試料No.7と同様に電解液組成物が調製され、2極式電気化学セルが製造された。
<評価>
《着火試験》
石英濾紙が準備された。石英濾紙は、幅 10mm×長さ 50mm×厚さ 0.42mmの外形寸法を有する。石英濾紙が鉛直に吊るされた。100μlの電解液組成物が石英濾紙の上端側から含浸された。石英濾紙の下端に、ライターの火が近づけられた。その状態で1秒間に亘って着火の有無が確認された。確認結果は下記表1に示される。下記表1の「着火試験」の欄に示される「A」、「B」および「C」は以下の内容を示している。確認結果が「A」であれば、電解液組成物が難着火性を有すると考えられる。
A:着火しない。
B:着火するが、その後すぐに火が消える。
C:着火し燃え続ける。
《充放電効率》
電気化学セルの充放電効率が測定された。充電は、定電流定電圧(CCCV)方式で実施された。一定電流充電時の電流は0.3mAである。一定電圧充電時の電圧は4.1Vである。充電は、一定電圧充電の時間が2時間に達した時点で終了とされた。放電は、CCCV方式で実施された。一定電流放電時の電流は0.3mAである。一定電圧放電時の電圧は3Vである。放電は、一定電圧放電の時間が2時間に達した時点で終了とされた。
この充電および放電の一巡が1サイクルとされ、2サイクルが実施された。2サイクル目の放電容量が2サイクル目の充電容量で除されることにより、2サイクル目の充放電効率が算出された。結果は下記表1に示される。充放電効率は高い程良いと考えられる。
《導電率》
導電率計により各電解液組成物の導電率が測定された。結果は下記表1に示される。導電率は高い程良いと考えられる。
なお試料No.13の充放電効率および導電率は測定されていない。
Figure 0006654656
<結果>
上記表1に示されるように、電解液組成物が難燃剤および無機酸化物粒子の両方を含み、難燃剤がフッ素化リン系酸エステルおよびフッ素化リン酸エステルアミドからなる群より選択される少なくとも1種である試料No.1〜6、11および12は、難着火性を有している。
無機酸化物粒子の単独使用では、難着火性の発現は認められない(試料No.7および13)。フッ素化リン系酸エステルの単独使用でも、難着火性の発現は認められない(試料No.8)。したがって試料No.1〜6、11および12では、フッ素化リン系酸エステル等および無機酸化物粒子の相乗作用により、難着火性が発現していると考えられる。
リン酸エステルがフッ素化されていない場合、無機酸化物粒子が併用されても、難着火性の発現は認められない(試料No.10)。フッ素化されていないリン酸エステルでは、フッ素の電子吸引効果がないため、水素ラジカル等を効率的にトラップできないと考えられる。
試料No.11は試料No.1よりも無機酸化物粒子の含量が少ない。試料No.11では試料No.1と同等の難着火性が示されている。MMSSの比表面積が大きく、かつ粒子の外部から粒子の内部へのアクセスが良好であるため、少量であっても難着火性が発現すると考えられる。別途ノンポーラスのシリカ粒子とMMSSとを比較したところ、MMSSの方が大きな効果を有することが確認された。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。特許請求の範囲の記載によって確定される技術的範囲は特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。
40 電極群、50 ケース、100 電池。

Claims (8)

  1. リチウムイオン二次電池用の電解液組成物であって、
    非プロトン性有機溶媒、
    リチウム塩、
    難燃剤、および
    無機酸化物粒子
    を少なくとも含み、
    前記難燃剤は、フッ素化アルキル基を有するリン系酸エステル、およびフッ素化アルキル基を有するリン酸エステルアミドからなる群より選択される少なくとも1種である、
    電解液組成物。
  2. 前記難燃剤は、リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)、亜リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)およびメチルホスホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)からなる群より選択される少なくとも1種である、
    請求項1に記載の電解液組成物。
  3. 前記非プロトン性有機溶媒および前記難燃剤は、
    体積比で、非プロトン性有機溶媒/難燃剤=70/30〜80/20
    となる関係を満たす、
    請求項1または請求項2に記載の電解液組成物。
  4. 前記無機酸化物粒子はシリカ粒子およびジルコニア粒子からなる群より選択される少なくとも1種である、
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電解液組成物。
  5. 前記無機酸化物粒子は前記電解液組成物に対して5質量%以上10質量%以下の比率を有する、
    請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電解液組成物。
  6. 前記無機酸化物粒子はメソポーラスである、
    請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電解液組成物。
  7. 前記無機酸化物粒子は球状であり、かつ
    前記無機酸化物粒子に含まれるメソ孔は前記無機酸化物粒子の中心から前記無機酸化物粒子の表面に向かって放射状に延びる、
    請求項6に記載の電解液組成物。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の前記電解液組成物
    を少なくとも含む、
    リチウムイオン二次電池。
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