以下に、添付図面を参照して、本発明に係る貨幣処理装置及び貨幣処理システムについて詳細に説明する。貨幣処理装置は、店舗のバックオフィス等に設置され、店舗のレジから回収した貨幣(紙幣及び硬貨)を入金するために利用される。
図1は、貨幣処理装置1〜3及び管理装置4を含む貨幣処理システムを示すブロック図である。貨幣処理装置1〜3はLAN等のネットワーク5を介して管理装置4と接続されており、貨幣処理装置1〜3と管理装置4との間でデータを送受信できるようになっている。なお、ネットワーク5には、これらの装置の他に、店舗のレジで利用するPOSレジスタやPOSサーバ等も接続されている。
管理装置4は、例えばコンピュータ装置から成り、貨幣処理装置1〜3に収納されている貨幣の金種及び数量を示す在高を管理する機能を有する。また、管理装置4は、各貨幣処理装置1〜3で貨幣処理を行うために必要なデータを管理する機能を有する。POSレジスタから貨幣を回収して貨幣処理装置1〜3へ入金する際には、管理装置4が、POSレジスタ又はPOSサーバから、回収する貨幣の金額等の情報を取得する。そして、管理装置4又は回収貨幣が入金された貨幣処理装置1〜3で、管理装置4が取得した回収貨幣に関する情報を利用して、POSレジスタから回収した貨幣金額と、貨幣処理装置1〜3に入金された金額とが一致することを確認できるようになっている。
店舗では、レジの増設や店舗の拡大等に伴って新たな貨幣処理装置が導入される。図1では、第1貨幣処理装置1が、店舗で最も古くから利用されている装置を示し、第2貨幣処理装置2が、第1貨幣処理装置1の後に、店舗に追加導入された装置を示している。そして、第3貨幣処理装置3が、本実施形態に係る貨幣処理装置を示している。すなわち、第3貨幣処理装置3に対して、第2貨幣処理装置2は旧型機で、第1貨幣処理装置1は旧旧型機となっている。
図2は、貨幣処理装置1〜3の機能構成概略を示すブロック図である。貨幣処理装置1〜3は、通帳への情報印字等を行う通帳処理部20、紙幣を入出金する紙幣処理部30、硬貨を入出金する硬貨処理部40、入出金処理に係る操作を行うための操作表示部50、各種プログラム及びデータを保存するための記憶部60、及びネットワーク5を介してデータを送受信するための通信部70と、これら各部を制御して本実施形態に記載する各機能及び動作を実現する制御部10とを有している。
貨幣処理装置1〜3では、貨幣処理に関する情報を記録するための情報記録媒体として、通帳を利用する。そして、情報を記録するための記録部として通帳プリンタ24を利用して、通帳を利用した貨幣処理が行われる度に、貨幣処理に関する情報を、既に通帳に印字されている情報に続けて追加する形で印字する。一方、通帳へ印字する情報とは別に、通帳プリンタ24が情報を追加する形で通帳への印字を行えるように、通帳への印字位置を特定可能な通帳情報(媒体情報)を含むデータが生成される。そして、このデータを読み書きするリーダライタとして磁気リーダライタ23を利用して、通帳情報を含むデータを、磁気データとして通帳に記録するようになっている。
紙幣処理部30は、入金口に受け付けた紙幣を識別部で識別計数して金種別に収納部に収納する入金処理や、操作表示部50で出金するよう指定された金種及び金額の紙幣を収納部から繰り出して出金口に排出する出金処理を行う機能を有する。同様に、硬貨処理部40は、入金口に受け付けた硬貨を識別部で識別計数して金種別に収納部に収納する入金処理や、操作表示部50で出金するよう指定された金種及び金額の硬貨を、収納部から繰り出して出金口に排出する出金処理を行う機能を有する。バラ紙幣及びバラ硬貨の他、所定枚数の紙幣を結束した結束紙幣や、所定枚数の硬貨を包装した包装硬貨を入出金することもできる。これら貨幣の入出金処理は従来技術を利用して行うことができる。
操作表示部50は、例えばタッチパネル式の液晶装置から成り、貨幣の入出金処理に関する情報の出力表示や、入出金処理に関する指示や設定等の情報入力を行うために利用される。記憶部60は、例えば半導体メモリやハードディスク等の不揮発性の記憶装置から成り、入出金処理を行うために必要な各種情報の保存に利用される。通信部70は、入出金処理に関する情報を、管理装置4等の外部装置との間で送受信する機能を有する。
通帳処理部20は、通帳挿入口21、通帳搬送部22、磁気リーダライタ23及び通帳プリンタ24を有している。通帳処理部20は、貨幣処理装置1〜3で行われた貨幣の入出金処理に関する情報を通帳に印字する機能を有する。
通帳挿入口21は通帳の挿入を受け付ける。例えば、貨幣処理時には、今回の貨幣処理に関する情報を印字するページを開いた状態で通帳の挿入を受け付ける。通帳搬送部22は、通帳挿入口21に挿入された通帳を磁気リーダライタ23及び通帳プリンタ24へ搬送する機能を有する。貨幣処理に関する情報が通帳に印字された後、通帳搬送部22は、再び通帳を搬送して通帳挿入口21から返却する。
磁気リーダライタ23は、通帳に設けられている磁気ストライプからの磁気データの読み取り、及び磁気ストライプへの磁気データの書き込みを行う機能を有する。貨幣処理に利用する通帳には磁気ストライプが付されている。この磁気ストライプには、店舗、レジ、通帳への印字位置等を特定可能な磁気データが記録されている。貨幣処理時には、磁気リーダライタ23が、この磁気データを読み取って、貨幣処理に利用する。また、通帳を利用した貨幣処理が行われて通帳に情報が印字されると、通帳に記録されている磁気データを更新するため、磁気リーダライタ23が、磁気データの書き込みを行う。
また、磁気リーダライタ23は、通帳を初期化するために利用される。初期化とは、店舗に新しい通帳を導入する場合や、従来使用している通帳の磁気データが磁気異常等によって読み取れなくなった場合に、通帳の磁気ストライプに所定フォーマットで磁気データを書き込む処理である。
通帳プリンタ24は、貨幣処理が行われた日時、貨幣処理内容、貨幣処理結果等、貨幣処理に関する情報を通帳に印字して記録する記録装置として機能する。貨幣処理を実行する度に通帳への印字が行われるが、既に印字されている情報に続けて新たな情報が印字されるようになっている。具体的には、例えば、貨幣処理時に、通帳の1ページの10行目まで情報が印字された場合は、次回の貨幣処理では1ページの11行目から情報印字が開始される。
店舗のレジでPOSレジスタを担当するレジ係は、店舗の営業時間終了後等の所定タイミングで、自身の担当するレジから貨幣を回収し、回収した貨幣と、レジ毎に準備されている通帳とを持ってバックオフィスへ移動する。そして、貨幣処理装置1〜3のいずれかを利用して、レジから回収した貨幣を入金する入金処理を実行する。回収貨幣の入金処理時には、装置に通帳を挿入して、入金処理に関する情報を通帳に記録する。これにより、通帳に印字された情報を確認すれば、各レジについて行われた入金処理の処理日時や入金金額等、入金処理の履歴を確認することができる。
第1貨幣処理装置1、第2貨幣処理装置2及び第3貨幣処理装置3の全ての装置で貨幣処理を行うことができるが、各装置で通帳に関する処理内容が異なっている。以下では、入金処理を例に、従来使用されている第1貨幣処理装置1及び第2貨幣処理装置2と比較しながら、本実施形態に係る第3貨幣処理装置3で行われる処理内容について説明する。
図3は、各貨幣処理装置1〜3で行われる処理内容を示す模式図である。図4は、通帳に記録されている磁気データのフォーマットの種類を示す模式図である。図3に示すように、第1貨幣処理装置1は、フォーマットAの磁気データが記録されている通帳101に対応している。第1貨幣処理装置1で通帳の初期化を行うと、フォーマットAの磁気データによって初期化される。また、フォーマットAの磁気データが記録された通帳101を利用すれば第1貨幣処理で貨幣処理を行うことができる。
フォーマットAは、図4(a)に示すように、店情報を示す5桁の文字、レジ情報を示す4桁の文字及び通帳情報を示す4桁の文字の合計13桁の文字から成るデータフォーマットである。なお、図4では、各桁を1桁の数字で示しているが、各桁が1桁の文字であれば文字の種類は特に限定されず、例えば、ひらがな、カタカナ、アルファベット等を利用する態様であってもよい。
ここで、店情報とは、第1貨幣処理装置1が設置されている店舗を、他の店舗と区別するための店番号等の識別情報である。また、レジ情報とは、第1貨幣処理装置1が設置されている店舗内の各レジを区別するためのレジ番号等の識別情報である。通帳に記録されている店情報から、この通帳を利用する店舗を特定して、レジ情報から、この通帳を利用するレジを特定することができる。また、通帳情報とは、貨幣処理に関する情報を印字する印字位置として、通帳のページ番号及び行番号を特定するための情報である。4桁の通帳情報のうち、上2桁(図面左側)がページ番号を示し、下2桁(図面右側)が行番号を示している。図4(a)のデータは、店番号が「00001」の店舗内に設置されている、レジ番号が「0001」のレジで利用する通帳には、現在、ページ番号が「01」のページで、行番号が「00」の行まで情報が印字されていることを示している。すなわち、店番号、レジ番号及びページ番号が「1」で、行番号が「0」であることを示している。
第1貨幣処理装置1で通帳101を初期化すると、13桁のフォーマットAで初期化される。そして、初期化を終えた通帳101を利用すれば、第1貨幣処理装置1で入金処理を行うことができる。具体的には、第1貨幣処理装置1に挿入された通帳101から読み取った磁気データがフォーマットAのデータである場合には、第1貨幣処理装置1は、この通帳101による入金処理を受け付ける。一方、挿入された通帳から読み取った磁気データがフォーマットAとは異なるフォーマットである場合には、第1貨幣処理装置1は、操作表示部50にエラー発生を示す情報を表示して、入金処理を受け付けない。なお、入金処理を受け付ける場合は、入金された貨幣を識別計数して収納する処理と、入金日時や入金金額を通帳101に印字する処理とが行われるが詳細は後述する。また、通帳初期化についても詳細は後述する。
例えば、店舗でレジを増設した際にレジ情報を変更したい場合がある。また、例えば、レジ番号と、レジが設置されている売り場を区別するための売り場識別情報とを組み合わせてレジ情報とするために、レジ情報を変更したい場合がある。このような場合に、図4(a)に示すフォーマットAのレジ情報の桁数を、例えば4桁から8桁に増やして、これを図4(b)に示すようにフォーマットBとする。フォーマットBは、店情報を示す5桁の文字、レジ情報を示す8桁の文字及び通帳情報を示す4桁の文字の合計17桁の文字から成るデータフォーマットである。
図3に示すように、第2貨幣処理装置2はフォーマットBの磁気データが記録されている通帳102に対応している。第2貨幣処理装置2で通帳102の初期化を行うと合計17桁のフォーマットBで初期化される。また、フォーマットBの磁気データが記録された通帳102を利用すれば第2貨幣処理装置2で貨幣処理を行うことができる。
第2貨幣処理装置2で入金処理を行う際には、合計17桁のフォーマットBで磁気データが記録されている通帳102が必要となる。このため、第2貨幣処理装置2で、13桁のフォーマットAで磁気データが記録されている通帳101等、他のフォーマットで磁気データが記録されている通帳を利用しようとすると、エラーとなって処理が中断し、入金処理を行うことはできない。
例えば、第1貨幣処理装置1及び第2貨幣処理装置2を利用していた店舗の支店数が増えた際に店情報を変更したい場合がある。また、例えば、店舗番号と、店舗の所在エリアを区別するためのエリア識別情報とを組み合わせて店情報とするために、店情報を変更したい場合がある。このような場合に、図4(b)に示すフォーマットBの店情報の桁数を、例えば5桁から6桁に増やして、これを図4(c)に示すようにフォーマットCとする。フォーマットCは、店情報を示す6桁の文字、レジ情報を示す8桁の文字及び通帳情報を示す4桁の文字の合計18桁の文字から成るデータフォーマットである。
従来使用されている第1貨幣処理装置1では、フォーマットAでしか通帳を初期化できず、フォーマットAの通帳101でなければ入金処理を行うことができない。同様に、従来使用されている第2貨幣処理装置2では、フォーマットBでしか通帳を初期化できず、フォーマットBの通帳102でなければ入金処理を行うことができない。これに対して、本実施形態に係る第3貨幣処理装置3を店舗に導入すれば、従来利用されているフォーマットA及びフォーマットBと、新たなフォーマットCとの全てのデータフォーマットに対応することができる。以下では、第3貨幣処理装置3で行う通帳の初期化及び通帳を利用して行う貨幣処理について説明する。
まず、通帳の初期化処理について説明する。第1貨幣処理装置1ではフォーマットAでしか初期化できず、第2貨幣処理装置2ではフォーマットBでしか初期化できないが、第3貨幣処理装置3では、初期化する際に、フォーマットA、フォーマットB及びフォーマットCの3つのフォーマットの中から、初期化用のフォーマットを選択できるようになっている。このとき、予め複数フォーマットが登録されているフォーマット情報を利用して、登録済みフォーマットの中から初期化用フォーマットを選択するが、フォーマット情報の詳細は後述する。
図5は、第3貨幣処理装置3で行う初期化処理の流れを示すフローチャートである。店番号が「1」の店舗で、レジ番号が「1」のレジ用に、フォーマットAで通帳を初期化する場合を例に初期化処理について説明する。まず、操作表示部50で初期化処理の開始を指示する所定操作を行って、第3貨幣処理装置3の通帳挿入口21に通帳を挿入すると、この通帳が装置内に取り込まれる(ステップS1)。通帳は、通帳搬送部22によって磁気リーダライタ23へ搬送される。続いて、制御部10が、初期化する通帳を利用する店番号及びレジ番号を特定する(ステップS2)。
店番号については、初期化処理に係る設定情報として、第3貨幣処理装置3が設置されている店舗の店番号「1」が予め記憶部60に保存されている。一方、レジ番号については、初期化処理時にレジ番号の入力を要求する。例えば初期化処理を実行する店舗の管理者が、操作表示部50でレジ番号「1」を指定する。制御部10は、記憶部60の設定情報から店番号「1」を特定し、操作表示部50による入力情報からレジ番号「1」を特定する。
ただし、店番号及びレジ番号の特定方法については、店番号及びレジ番号を記録したICカードや磁気カード等のカードを利用して特定する態様であってもよい。具体的には、店番号及びレジ番号を記録したカードを予めレジ毎に準備しておいて、ICカードリーダや磁気カードリーダ等、カードの種類に応じたカードリーダで、店番号及びレジ番号を読み取って制御部10に入力する態様であってもよい。
次に、操作表示部50で、初期化する通帳のフォーマットを指定する(ステップS3)。操作表示部50の画面上には、選択可能なフォーマットの種類として予め登録されている、フォーマットA、フォーマットB及びフォーマットCが表示されるので、フォーマットAで通帳を初期化したい場合には、操作表示部50を操作してフォーマットAを選択する。
続いて、操作表示部50で、新しい通帳の初期化を行うか、磁気異常等で磁気データを読み取れなくなった通帳を再初期化するかを指定する(ステップS4)。新しい通帳の初期化が指定された場合(ステップS5;Yes)、制御部10は、店番号「1」、レジ番号「1」、ページ番号「1」、行番号「0」として、フォーマットAの13桁のデータを生成する。そして、磁気リーダライタ23が、制御部10が生成したデータを通帳の磁気ストライプに書き込む(ステップS6)。これにより、この通帳を利用して貨幣処理を行う際には、通帳の1ページ目の1行目から情報印字が行われることになる。
一方、店舗で使用中の通帳を初期化する再初期化が指定された場合は(ステップS5;No)、操作表示部50の画面上に、通帳に最後に印字された情報のページ番号及び行番号の指定を求める情報が表示されるので、操作表示部50を操作してページ番号及び行番号を指定する(ステップS7)。具体的には、例えば、初期化対象の通帳に、2ページの4行目まで情報が印字されている場合には、ページ番号「2」、行番号「4」を指定する。この結果、初期化処理を終えて、この通帳を利用して貨幣処理を行うと、通帳の2ページ目の5行目から情報印字が行われることになる。
ページ番号及び行番号が指定されると、制御部10は、店番号「1」、レジ番号「1」として、指定されたページ番号及び行番号でフォーマットAの13桁のデータを生成する。そして、磁気リーダライタ23が、制御部10が生成したデータを通帳の磁気ストライプに書き込む(ステップS8)。
磁気データの書き込みを終えると、通帳搬送部22が通帳を搬送して、通帳挿入口21から排出し(ステップS9)、初期化の処理を終了する。このように、第3貨幣処理装置3では、初期化処理として通帳の磁気ストライプに書き込む磁気データのフォーマットを指定することができる。例えば、フォーマットAに対応する第1貨幣処理装置1のみを利用している店舗に、新たに第3貨幣処理装置3を導入した場合には、フォーマットAで通帳を初期化すれば、この通帳を利用して、従来使用している第1貨幣処理装置1又は新たに導入した第3貨幣処理装置3で入金処理を行うことができる。また、第1貨幣処理装置1及び第2貨幣処理装置2を利用している店舗に、新たに第3貨幣処理装置3を導入した場合には、フォーマットAで通帳を初期化すれば第1貨幣処理装置1及び第3貨幣処理装置3で入金処理を行うことが可能となり、フォーマットBで通帳を初期化すれば第2貨幣処理装置2及び第3貨幣処理装置3で入金処理を行うことが可能となり、フォーマットCで通帳を初期化すれば第3貨幣処理装置3のみで入金処理を行うことになる。
次に、通帳を利用して行う入金処理について説明する。第1貨幣処理装置1ではフォーマットAの通帳101でしか入金処理を行うことができず、第2貨幣処理装置2ではフォーマットBの通帳でしか入金処理を行うことができないが、第3貨幣処理装置3では、フォーマットA、フォーマットB及びフォーマットCのいずれの通帳であるかによらず入金処理を行うことができる。
図6は、第3貨幣処理装置3で行う入金処理の流れを示すフローチャートである。まず、操作表示部50で入金処理の開始を指示する所定操作を行って、通帳挿入口21に、入金情報を印字するページを開いた状態で通帳を挿入すると、この通帳が装置内に取り込まれる(ステップS11)。装置内に取り込まれた通帳は、通帳搬送部22によって磁気リーダライタ23へ搬送される。そして、磁気リーダライタ23によって、通帳の磁気ストライプに記録されている磁気データの読み取りが行われる(ステップS12)。
制御部10は、磁気リーダライタ23が読み取った磁気データの桁数に基づいてフォーマットを認識する(ステップS13)。具体的には、磁気データの桁数が13桁であればフォーマットA、17桁であればフォーマットB、18桁であればフォーマットCであると認識する。
制御部10の記憶部60には、予め、第3貨幣処理装置3が設置されている店舗で利用されている全てのフォーマットに関する情報が、フォーマット情報として保存されている。具体的には、図4に示すフォーマットA、フォーマットB及びフォーマットCの各フォーマットのデータ構成を示す情報を登録したフォーマット情報が、予め記憶部60に保存されている。このフォーマット情報を参照して、通帳から読み取った磁気データのフォーマットを特定すれば、磁気データに含まれる店情報、レジ情報及び通帳情報の内容を認識することができる。
制御部10は、記憶部60のフォーマット情報を参照して、磁気リーダライタ23が通帳から読み取った磁気データのフォーマットを認識するが、フォーマット情報の中に、通帳の磁気データの桁数に一致するフォーマットが存在しない場合には、制御部10は、磁気データのフォーマットに問題があると判定する(ステップS14;No)。そして、制御部10は、異常と判定した理由を示す情報を操作表示部50の画面上に表示してエラーを報知し(ステップS15)、処理を終了する。
通帳の磁気データのフォーマットが、図4に示すフォーマットA、フォーマットB及びフォーマットCのいずれかと一致することを制御部10が正常に認識できた場合(ステップS14;Yes)、制御部10は、認識した磁気データのフォーマットに基づいて磁気データに含まれる店情報、レジ情報及び通帳情報を認識する(ステップS16)。
続いて、制御部10は、通帳の磁気データから認識した情報に問題がないことを確認する(ステップS17)。具体的には、制御部10は、通帳から認識した店情報が、第3貨幣処理装置3が設置されている店舗を示す店番号と一致することを確認する。通帳の店情報が、第3貨幣処理装置3が設置されている店舗の店番号と一致しない場合は、制御部10は、認識情報に異常があると判定する(ステップS17;No)。また、制御部10は、通帳から認識したレジ情報が、店舗に設置されているレジを示すレジ番号と矛盾しないことを確認する。通帳から認識したレジ情報が、レジ情報に含まれるはずのない文字を含んでいる場合や、店舗に存在しないレジ番号を示す場合に、制御部10は、認識情報に異常があると判定する(ステップS17;No)。同様に、制御部10は、通帳情報に含まれるページ番号及び行番号が、店舗で利用する通帳のページ番号や行番号と矛盾しないことを確認する。通帳から認識したページ番号及び行番号が、あり得ないページ番号や行番号を示している場合等に、制御部10は、認識情報に異常があると判定する(ステップS17;No)。
認識情報に異常があると判定した場合は(ステップS17;No)、制御部10は、異常と判定した理由を示す情報を操作表示部50の画面上に表示してエラーを報知し(ステップS15)、処理を終了する。
一方、認識情報に異常がないと判定した場合は(ステップS17;Yes)、制御部10は、紙幣処理部30及び硬貨処理部40で入金処理を開始する(ステップS18)。レジから回収した貨幣を紙幣処理部30及び硬貨処理部40で識別計数して収納部に収納する入金処理を行って(ステップS19;No)、入金された回収貨幣の合計金額が得られると(ステップS19;Yes)、制御部10は、通帳搬送部22によって通帳プリンタ24へ搬送した通帳に入金情報を印字する(ステップS20)。具体的には、通帳プリンタ24は、通帳の磁気データから特定したページ番号及び行番号に基づいて、現在通帳に印字されている最終行に続けて、入金日時や入金金額等、入金処理に関する情報を印字する。磁気データから認識した通帳情報には、前回の入金処理時に通帳に最後に印字された情報のページ番号及び行番号が記録されているので、このページ番号及び行番号の次の行から、入金情報の印字を開始することができる。
入金情報の印字を終えると、通帳搬送部22によって、通帳が磁気リーダライタ23へ搬送される。制御部10は、通帳プリンタ24で印字した入金情報の最終行を示すページ番号及び行番号を通帳情報とする磁気データを生成する。具体的には、先に磁気リーダライタ23を利用して入金処理開始前に通帳から認識した磁気データのページ番号及び行番号を、今回の入金処理で印字した入金情報の最終行を示すページ番号及び行番号に変更した磁気データを生成する。すなわち、制御部10は、通帳から読み取った磁気データと同一フォーマットで更新用のデータを生成する。フォーマットAの通帳101であればフォーマットAで更新データが生成され、フォーマットBの通帳102であればフォーマットBで更新データが生成され、フォーマットCの通帳103であればフォーマットCで更新用データが生成されることになる。
そして、磁気リーダライタ23が、制御部10が生成した磁気データを、通帳の磁気ストライプに書き込む(ステップS21)。この結果、通帳の磁気ストライプでは、入金処理開始前に記録されていた磁気データが、同一フォーマットのまま、入金処理後の情報に更新される。磁気データの更新を終えた通帳は、通帳搬送部22によって搬送されて通帳挿入口21から排出され(ステップS22)、入金処理が終了する。
このように、第3貨幣処理装置3の記憶部60に、店舗で利用される磁気データのフォーマットを予めフォーマット情報に登録しておけば、貨幣処理時には、通帳に記録されている磁気データのフォーマットを認識する処理が行われる。ただし、フォーマット情報については、第3貨幣処理装置3の記憶部60に保存して利用する態様の他、例えば、管理装置4等の他の装置に保存しておいて、処理時に、ネットワーク5を介して取得して利用する態様であっても構わない。
第3貨幣処理装置3では、通帳に記録されている磁気データのフォーマットに基づいて認識した店情報、レジ情報及び通帳情報を、貨幣処理に利用することができる。例えば、レジから全ての貨幣を回収する店舗では、制御部10が、通帳から読み取った店情報及びレジ情報に基づいて、このレジから回収する貨幣の金種や金額等の回収貨幣情報を、管理装置4から取得する。そして、制御部10は、取得した回収貨幣情報と、第3貨幣処理装置3に実際に入金された貨幣の識別計数結果とを比較する。レジから回収されたはずの貨幣と、実際に入金された貨幣とが一致しない場合には、制御部10が、これを報知する報知処理を実行して、この報知を受けたレジ係や店舗の管理者が、レジや回収貨幣の確認作業等を行うことが可能となる。
なお、本実施形態では入金処理を例に説明を行ったが、通帳を利用して行う貨幣処理の種類を限定するものではなく、第3貨幣処理装置3を利用して出金処理、両替処理等の貨幣処理を行う場合にも、上述したように各処理を行うことができる。
また、本実施形態では、通帳に記録されている磁気データを例に説明を行ったが、貨幣処理に関する情報を記録する情報記録媒体を通帳に限定するものではなく、例えば、ICカードや磁気カード等を利用する態様であっても構わない。例えば、図4に示す情報を、カード内に電気的又は磁気的に記録しながら、貨幣処理日時や入金金額をカードの表面に印字する場合にも、上述したように各処理を行うことができる。
また、第3貨幣処理装置3の構成が、図2に示すように、通帳処理部20、紙幣処理部30、硬貨処理部40、操作表示部50及び記憶部60を含む態様に限定されるものではなく、これらの一部の構成を別装置として有し、上述した機能及び動作を貨幣処理システムとして実現する態様であっても構わない。また、管理装置4に係る機能及び動作が第3貨幣処理装置3によって実現される態様であっても構わない。
上述してきたように、本実施形態に係る第3貨幣処理装置3では、磁気ストライプに記録されている磁気データのフォーマットが異なる複数種類の通帳に対応することができる。例えば、新規店舗でフォーマットCの通帳を利用することになった場合に、新規店舗では、フォーマットCの通帳のみを利用して、第3貨幣処理装置3のみを利用すればよい。一方、従来フォーマットAの通帳に対応する第1貨幣処理装置1を利用していた既存店舗で、貨幣処理装置を増設する必要が生じた場合には、この既存店舗に、第3貨幣処理装置3を導入して通帳をフォーマットAで初期化すれば、従来の第1貨幣処理装置1、及び新たに導入した第3貨幣処理装置3の両方の装置で、フォーマットAの通帳による貨幣処理を行うことができる。
新規店舗で必要とされる磁気データのフォーマットが従来のフォーマットから変更された場合に、変更前フォーマット及び変更後フォーマットの両方に対応可能な第3貨幣処理装置3を準備すれば、新規店舗では変更後フォーマットの通帳を使用して、既存店舗では変更前フォーマットの通帳使用を継続することができる。これにより、新店舗及び既存店舗の両方に、第3貨幣処理装置3を導入することができる。既存店舗に第3貨幣処理装置3を追加で導入する場合も、旧装置と新装置とで利用可能な通帳が異なるといった事態を回避できるので、混乱を生ずることなく、第3貨幣処理装置3の増設、旧貨幣処理装置の第3貨幣処理装置3への置き換え等を容易に進めることができる。