JP6653937B2 - 起立着座支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、使用者の起立動作及び着座動作を支援する起立着座支援装置に関するものである。
従来から、障害者や高齢者など脚力の弱い使用者が着座した状態から起立する動作を支援する装置が知られている。
特許文献1には、便座の後部を上昇させて便座を前方に傾動させる駆動手段を備える便座装置が開示されている。この便座装置では、便座の傾動に伴って使用者が前傾姿勢になる。そのため、使用者は、起立動作を容易に行うことができる。
特開2009−297446号公報
しかしながら、特許文献1の便座装置は、便座の傾動のみによって使用者の起立動作を支援するものである。そのため、使用者の上肢を含む身体全体が自然な動作で起立することを補助するものではない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、使用者の上肢を含む身体全体が自然な動作で起立及び着座することを補助することを目的とする。
第1の発明は、使用者が着座する着座部の前方に設けられて使用者の大腿部を支持する支持部と、着座部の側方に設けられて使用者の腕を支持する手すりと、上昇するほど着座部から前方に離間するように支持部を昇降させる昇降機構と、支持部とともに昇降する第一昇降部材と、手すりに取り付けられ、支持部が最下降位置から所定の距離だけ上昇した状態で第一昇降部材が当接し、昇降機構により昇降する第二昇降部材と、を備え、第一昇降部材が第二昇降部材に当接した状態では、支持部の昇降にあわせて手すりが昇降する。
第1の発明では、昇降機構によって昇降する第一昇降部材が最下降位置から所定の距離だけ上昇して当接した状態で第二昇降部材が昇降するため、支持部を上昇させる際には、手すりは支持部から遅れて上昇する。そのため、支持部が上昇を開始した後、使用者の体重が支持部にある程度支持されてから手すりが上昇を開始する。よって、使用者は、支持部が上昇を開始したことを把握してから、手すりに手をかけて起立する準備をすることができる。
第2の発明は、所定の距離が、任意の大きさに調整可能である。
第2の発明では、第一昇降部材が第二昇降部材に当接する最下降位置からの所定の距離を、使用者の体格等に合わせて任意の大きさに調整することができる。
第3の発明は、第二リンク部が、筒状に形成されて基端部が手すりに連結され、第一リンク部が、自由端部が第二リンク部内に挿入される。
第4の発明は、第一リンク部が、支持部が最下降位置から所定の距離だけ上昇した状態で第二リンク部と当接する鍔部を有する。
第3及び第4の発明では、筒状に形成される第二昇降部材に第一昇降部材が挿入されてリンクが形成され、第一昇降部材に鍔部が設けられることで遅れ機構が構成される。よって、手すりを昇降させるためのリンクを簡素な構成で形成することができる。
第5の発明は、鍔部が、軸方向の位置が調整可能に設けられる。
第5の発明では、第一昇降部材の鍔部が第二昇降部材の自由端部に当接する最下降位置からの所定の距離を、使用者の体格等に合わせて任意の大きさに調整することができる。
第6の発明は、手すりが最下降位置に下降した状態で手すりを支持するストッパ部材を更に備える。
第6の発明では、手すりがストッパ部材に当接してからも昇降機構が作動することで、第一昇降部材の鍔部と第二昇降部材の自由端部との間の距離を所定の距離に調整することができる。
第7の発明は、起立着座支援装置が着座部の左右に各々設置されて同期して作動し、左右の支持部が使用者の左右の大腿部を各々支持し、左右の手すりが使用者の左右の腕を各々支持する。
第7の発明では、起立着座支援装置が着座部の左右に各々設けられることによって、使用者を左右からしっかり支持することができる。よって、使用者は、安定した姿勢で起立動作及び着座動作を行うことが可能である。
本発明によれば、使用者の上肢を含む身体全体が自然な動作で起立及び着座することを補助することができる。
本発明の実施形態に係る起立着座支援装置を便座の左右に配置した状態を示す正面図である。 図1における左側面図である。 図2における平面図である。 起立着座支援装置の最下降位置における第一昇降部材と第二昇降部材とを示す図である。 起立着座支援装置の上昇途中における第一昇降部材と第二昇降部材とを示す図である。 起立着座支援装置の最上昇位置における第一昇降部材と第二昇降部材とを示す図である。 本発明の実施形態に係る起立着座支援装置の最上昇位置を示す側面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
まず、図1から図3を参照して、本発明の実施形態に係る起立着座支援装置100の全体構成について説明する。
起立着座支援装置100は、主に障害者や高齢者など脚力の弱い使用者のために用いられる。起立着座支援装置100は、使用者が着座する着座部に対する使用者の起立動作及び着座動作を支援するものである。本実施形態では、着座部は、腰掛式便器1の便座2である。着座部は、便座2に限定されず、椅子やソファーなど使用者が着座可能なものであればどのようなものであってもよい。
起立着座支援装置100は、便座2の前方に設けられて使用者の大腿部を支持する支持部10と、上昇するほど便座2から前方に離間するように支持部10を直線的に昇降させる昇降機構20と、設置面に取り付けられるフレーム30と、使用者の腕を支持してフレーム30に対して昇降する手すり40と、を備える。
起立着座支援装置100は、便座2の左右に各々設置されて同期して作動する。このとき、左右の支持部10が使用者の左右の大腿部を各々支持し、左右の手すり40が使用者の左右の腕を各々支持する。図1及び図3に示すように、左右の起立着座支援装置100は、便座2の前後方向に沿った中心線を対称軸として線対称となるように設けられる。
このように、起立着座支援装置100が便座2の左右に各々設けられることによって、使用者を左右からしっかり支持することができる。よって、使用者は、安定した姿勢で起立動作及び着座動作を行うことが可能である。
次に、主に図2及び図4Aから図4Cを参照して、便座2の右側の起立着座支援装置100の構成について説明する。便座2の左側の起立着座支援装置100は右側の起立着座支援装置100と同様に構成されるため、ここでは説明を省略する。
図2に示すように、支持部10は、使用者の大腿部の付け根近傍を支持して、使用者の起立動作及び着座動作を支援する。左右の起立着座支援装置100の各々の支持部10は、使用者の左右の大腿部を各々支持する。支持部10は、使用者の大腿部に当接する当接面11を有する。支持部10は、便座2の側方に跳ね上げて収納可能である。
昇降機構20は、便座2の側方に設けられる。昇降機構20は、直線的に移動して支持部10を昇降させる昇降部21と、昇降部21の昇降をガイドするガイド部22と、昇降部21を昇降させるアクチュエータ23と、を有する。
昇降部21の基端は、ガイド部22によってガイドされる。昇降部21は、ガイド部22と平行に設けられる。昇降部21の先端には、支持部10が取り付けられる。昇降部21は、アクチュエータ23の先端と、後述する第一昇降部材27aの基端部と、が各々回動自在に連結されるブラケット部21aを有する。
ガイド部22は、フレーム30の後述するベース部31に取り付けられる。ガイド部22は、支持部材22aによってベース部31に固定される。ガイド部22は、便座2の前後方向に沿って斜め前方に向かって傾斜するように設けられる。これにより、昇降部21もまた、便座2の前後方向に沿って斜め前方に向かって傾斜する。
アクチュエータ23は、電動モータ23a(図1及び図3参照)によって駆動される直動シリンダである。アクチュエータ23の基端は、フレーム30のベース部31に回動自在に支持される。アクチュエータ23の先端は、ブラケット部21aを介して昇降部21に回動可能に連結される。アクチュエータ23は、使用者又は介助者によって操作可能な位置に設けられる操作スイッチ(図示省略)が操作されると、その電気信号によって電動モータ23aが回転することで伸縮する。
アクチュエータ23が伸長すると、昇降部21はガイド部22に沿って斜め前方に上昇する。これにより、支持部10を上昇させて使用者の起立動作を支援可能である。一方、アクチュエータ23が収縮すると、昇降部21はガイド部22に沿って斜め後方に下降する。これにより、支持部10を下降させて使用者の着座動作を支援可能である。
昇降機構20は、フレーム30と手すり40とを連結する第一リンク25と、フレーム30と手すり40とを連結し第一リンク25と交差して第一リンク25との交差部28が回動自在に連結される第二リンク26と、昇降部21と手すり40とをブラケット部21aを介して連結する第三リンク27と、を有する。第一リンク25及び第二リンク26は、並列に一対設けられる。第三リンク27は、一対設けられる第一リンク25及び第二リンク26の間に設けられる(図1参照)。
第一リンク25の後端部25aは、リニアガイド25cを介してフレーム30に対して前後にスライド自在かつ回動自在に連結される。第一リンク25の前端部25bは、リニアガイド25dを介して手すり40に対して前後にスライド自在かつ回動自在に連結される。
第一リンク25は、支持部10が上昇する際には、後端部25aが前方に移動して第二リンク26の前端部26bに近接する。これにより、第一リンク25の前端部25bが上昇し、手すり40が上昇する。一方、第一リンク25は、支持部10が下降する際には、後端部25aが後方に移動して第二リンク26の前端部26bから離間する。これにより、第一リンク25の前端部25bが下降し、手すり40が下降する。
第二リンク26の後端部26aは、手すり40に回動自在に連結される。第二リンク26の前端部26bは、フレーム30に回動自在に連結される。
第二リンク26は、支持部10が上昇する際には、後端部26aが前方に移動して第一リンク25の前端部25bに近接する。このとき、第二リンク26は、前端部26bを中心に上方に向かって回動する。よって、第二リンク26の後端部26aは、前端部26bを中心とする円弧状に上昇するため、手すり40は、前方にスライドしながら上昇する。一方、第二リンク26は、支持部10が下降する際には、後端部26aが後方に移動して第一リンク25の前端部25bから離間する。このとき、第二リンク26は、前端部26bを中心に下方に向かって回動する。よって、第二リンク26の後端部26aは、前端部26bを中心とする円弧状に下降するため、手すり40は、後方にスライドしながら下降する。
第三リンク27は、昇降機構20が支持部10を昇降させる力を手すり40に伝達して、手すり40を昇降させるものである。第三リンク27は、昇降機構20によって支持部10とともに昇降する第一昇降部材27aと、手すり40に取り付けられる第二昇降部材27bと、を有する。
第二昇降部材27bは、円筒状に形成される。第二昇降部材27bの基端部は、手すり40の前端部に回動自在に連結される。第二昇降部材27bには、支持部10が最下降位置(図4Aに示す状態)から所定の距離だけ上昇した状態で第一昇降部材27aが当接する(図4Cに示す状態)。この状態から支持部10を昇降機構20によって更に上昇させようとすると、第二昇降部材27bは、第一昇降部材27aとともに上昇する。
第一昇降部材27aの自由端部は、第二昇降部材27b内に挿入される。第一昇降部材27aは、支持部10が最下降位置から所定の距離L1[mm]だけ上昇した状態で第二昇降部材27bと当接する鍔部27cを有する。
鍔部27cは、一対のボルト27dによる締結を緩めることで、第一昇降部材27aにおける軸方向の任意の位置に取り付けられる。これにより、第一昇降部材27aが第二昇降部材27bに当接する最下降位置からの所定の距離を、使用者の体格等に合わせて任意の大きさに調整することができる。
第一昇降部材27aと第二昇降部材27bとは、使用者の起立動作を支援する際に、手すり40を支持部10から遅れて上昇させる遅れ機構を構成する。遅れ機構の動作については、起立着座支援装置100の作用とともに、後で図4Aから図4Cを参照しながら詳細に説明する。
フレーム30は、設置面に固定されるベース部31と、ベース部31から垂直に立設される三本の立設部32と、各々の立設部32の上端を連結する上端部33と、手すり40が最下降位置まで下降した場合に手すり40を支持するストッパ部材34と、を有する。
ベース部31は、平板状に形成されて設置面に固定される。ベース部31は、使用者の起立動作及び着座動作を支援する際に大きな力がかかっても設置面に対して移動することのないような大きさに形成される。フレーム30の立設部32と昇降機構20とを設置面に直接固定可能な場合には、ベース部31を設けなくてもよい。
立設部32は、全て同一の長さに形成される。立設部32は、手すり40に作用する使用者の体重を支持する。立設部32は、三本である必要はなく、単一であってもよく三本以外の複数であってもよい。
上端部33は、ベース部31と平行に設けられる。上端部33の上面には、第一リンク25の後端部25aがリニアガイド25cを介してスライド自在かつ回動自在に連結され、第二リンク26の前端部26bが回動自在に連結される。上端部33の上面には、ストッパ部材34が取り付けられる。
ストッパ部材34は、矩形の柱状に形成される。ストッパ部材34は、手すり40が最下降位置まで下降した状態で、上端部33と手すり40とに各々面接触する。ストッパ部材34は、上端部33の上面に立設される。
手すり40は、上端部33の上方に上端部33と平行に設けられる。手すり40の下面には、第一リンク25の前端部25bがリニアガイド25dを介してスライド自在かつ回動自在に連結され、第二リンク26の後端部26aが回動自在に連結される。
手すり40は、昇降機構20によって支持部10と連動して昇降する。手すり40は、上端部33と平行な姿勢を維持したまま昇降する。これにより、使用者は、手すり40に手をかけながら安定した姿勢で起立動作及び着座動作を行うことが可能である。
また、手すり40が昇降時に回動するため、使用者の起立動作及び着座動作に追従するように手すり40が動作する。よって、使用者は、より安定した姿勢で起立動作及び着座動作を行うことが可能である。
次に、主に図2及び図4Aから図5を参照して、起立着座支援装置100の作用について説明する。
図2に示す最下降位置から使用者の起立動作を支援する場合には、まず、使用者が手すり40に載せた腕の力を利用して、便座2に着座したまま前方に移動する。そして、支持部10が使用者の大腿部を支持する状態で、使用者又は介助者が操作スイッチを操作すると、使用者の起立動作の支援が開始される。このとき、使用者の重心が支持部10の上方若しくはそれよりも前方に位置していることが望ましい。
操作スイッチが操作されると、電動モータ23aに電流が供給され、電動モータ23aの回転によってアクチュエータ23が伸長する。アクチュエータ23が伸長すると、昇降部21は、ガイド部22に沿って斜め前方に上昇する。これにより、支持部10が斜め前方に上昇して、使用者の大腿部を押し上げる。よって、使用者の起立動作を支援可能である。このとき、使用者は、自分の脚力のみで起立動作を行う場合と比較して小さな脚力で起立動作を行うことができる。
このとき、支持部10が最下端位置にある場合には、図4Aに示すように、第一昇降部材27aの鍔部27cと第二昇降部材27bの自由端部との間の距離は、所定の距離L1である。この状態から支持部10が上昇を開始すると、図4Bに示すように、第一昇降部材27aの鍔部27cと第二昇降部材27bの自由端部との間の距離は、L1よりも小さいL2[mm]になる。そして、そのまま支持部10が上昇を続けると、図4Cに示すように、第一昇降部材27aの鍔部27cと第二昇降部材27bの自由端部とが当接する。これにより、支持部10が上昇する動作にあわせて手すり40が上昇するようになる。
このように、手すり40は、支持部10から遅れて上昇する。そのため、支持部10が上昇を開始した後、ある程度使用者の体重が支持部10に支持されてから手すり40が上昇を開始する。よって、使用者は、支持部10が上昇を開始したことを把握してから、手すり40に手をかけて起立動作を行う準備をすることができる。このように、使用者は、手すり40に手をかけながら安定した姿勢で起立動作を行うことが可能である。したがって、使用者の上肢を含む身体全体が自然な動作で起立及び着座することを補助することができる。
そして、図5に示すように、支持部10が最上昇位置まで移動すると、センサ(図示省略)がそれを検出して、電動モータ23aへの電流の供給が停止される。よって、操作スイッチの操作によって支持部10をそれ以上上昇させようとしても、アクチュエータ23は伸長しない。
一方、図5に示す最上昇位置から使用者の着座動作を支援する場合には、使用者は支持部10が大腿部を支持するように支持部10に寄りかかる。そして、使用者又は介助者が操作スイッチを操作すると、使用者の着座動作の支援が開始される。
操作スイッチが操作されると、電動モータ23aに電流が供給され、電動モータ23aの回転によってアクチュエータ23が収縮する。アクチュエータ23が収縮すると、昇降部21はガイド部22に沿って斜め後方に下降する。これにより、支持部10が斜め後方に下降して、使用者の大腿部を支持しながら徐々に便座2に近付ける。よって、使用者の着座動作を支援可能である。このとき、使用者は、自分の脚力のみで着座動作を行う場合と比較して小さな脚力で着座動作を行うことができる。
また、使用者の着座動作を支援する場合には、手すり40は、支持部10と同時に下降を開始する。よって、使用者は、手すり40に手をかけながら安定した姿勢で便座2に着座することが可能である。
そして、支持部10が最下降位置まで移動して手すり40がストッパ部材34に当接してからも、第一昇降部材27aの鍔部27cと第二昇降部材27bの自由端部との間の距離がL1になるまでアクチュエータ23は収縮する。アクチュエータ23が収縮して、第一昇降部材27aの鍔部27cと第二昇降部材27bの自由端部との間の距離がL1になったことをセンサ(図示省略)が検出すると、電動モータ23aへの電流の供給が停止される。よって、操作スイッチの操作によって支持部10をそれ以上下降させようとしても、アクチュエータ23は収縮しない。
以上のように、起立着座支援装置100では、使用者の大腿部を支持する支持部10が便座2の前方に設けられる。また、支持部10は上昇するほど便座2から前方に離間する。よって、作動時に便座2自体は動作せず、また、作動時に支持部10が便座2に干渉することはない。したがって、使用者が着座する便座2を変更することなく使用者の起立動作及び着座動作を支援することができる。
また、起立着座支援装置100は、前述のような簡素な構成であるため、比較的コンパクトに形成される。よって、トイレなどの狭小空間に設置することが可能である。起立着座支援装置100は、既存の椅子や便座2などの側方に設置するだけで使用可能である。そのため、起立着座支援装置100を設置するために大がかりな改修を行う必要はない。
また、起立着座支援装置100は、支持部10によって使用者の大腿部を支持するものである。よって、使用者の臀部を支持するものでないため、使用者は、自ら衣服の上げ下げを行うことが可能である。
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
起立着座支援装置100では、昇降機構20によって昇降する第一昇降部材27aが最下降位置から所定の距離だけ上昇して当接した状態で第二昇降部材27bが昇降するため、支持部10を上昇させる際には、手すり40は支持部10から遅れて上昇する。そのため、支持部10が上昇を開始した後、使用者の体重が支持部10にある程度支持されてから手すり40が上昇を開始する。よって、使用者は、支持部10が上昇を開始したことを把握してから、手すり40に手をかけて起立する準備をすることができる。したがって、使用者の上肢を含む身体全体が自然な動作で起立及び着座することを補助することができる。
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
本実施形態では、使用者の起立動作及び着座動作を支援する起立着座支援装置100であって、使用者が着座する便座2の前方に設けられて使用者の大腿部を支持する支持部10と、便座2の側方に設けられて使用者の腕を支持する手すり40と、上昇するほど便座2から前方に離間するように支持部10を昇降させる昇降機構20と、昇降機構20によって支持部10とともに昇降する第一昇降部材27aと、手すり40に取り付けられ、支持部10が最下降位置から所定の距離だけ上昇した状態で第一昇降部材27aが当接し、第一昇降部材27aが当接した状態でともに昇降する第二昇降部材27bと、を備える。
この構成では、昇降機構20によって昇降する第一昇降部材27aが最下降位置から所定の距離だけ上昇して当接した状態で第二昇降部材27bが昇降するため、支持部10を上昇させる際には、手すり40は支持部10から遅れて上昇する。そのため、支持部10が上昇を開始した後、使用者の体重が支持部10にある程度支持されてから手すり40が上昇を開始する。よって、使用者は、支持部10が上昇を開始したことを把握してから、手すり40に手をかけて起立する準備をすることができる。したがって、使用者の上肢を含む身体全体が自然な動作で起立及び着座することを補助することができる。
また、本実施形態では、所定の距離は、任意の大きさに調整可能である。
この構成では、第一昇降部材27aが第二昇降部材27bに当接する最下降位置からの所定の距離を、使用者の体格等に合わせて任意の大きさに調整することができる。
また、本実施形態では、第二昇降部材27bは、筒状に形成されて基端部が手すり40に連結され、第一昇降部材27aは、自由端部が第二昇降部材27b内に挿入される。
また、本実施形態では、第一昇降部材27aは、支持部10が最下降位置から所定の距離だけ上昇した状態で第二昇降部材27bと当接する鍔部27cを有する。
これらの構成では、筒状に形成される第二昇降部材27bに第一昇降部材27aが挿入されて第三リンク27が形成され、第一昇降部材27aに鍔部27cが設けられることで遅れ機構が構成される。よって、手すり40を昇降させるための第三リンク27を簡素な構成で形成することができる。
また、本実施形態では、鍔部27cは、第一昇降部材27aにおける軸方向の任意の位置に取り付けられる。
この構成では、第一昇降部材27aの鍔部27cが第二昇降部材27bの自由端部に当接する最下降位置からの所定の距離L1を、使用者の体格等に合わせて任意の大きさに調整することができる。
また、本実施形態では、手すり40が最下降位置に下降した状態で手すり40を支持するストッパ部材34を更に備える。
この構成では、手すり40がストッパ部材34に当接してからもアクチュエータ23が収縮することで、第一昇降部材27aの鍔部27cと第二昇降部材27bの自由端部との間の距離を所定の距離L1に調整することができる。
また、本実施形態では、便座2の左右に各々設置されて同期して作動し、左右の支持部10が使用者の左右の大腿部を各々支持し、左右の手すり40が使用者の左右の腕を各々支持する。
この構成では、起立着座支援装置100が便座2の左右に各々設けられることによって、使用者を左右からしっかり支持することができる。よって、使用者は、安定した姿勢で起立動作及び着座動作を行うことが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記実施形態では、起立着座支援装置100を便座2の左右に各々設けているが、起立着座支援装置100を便座2の左右のいずれか一方のみに設けてもよい。これにより、設置スペースが限られている場合にも、起立着座支援装置100を設置することが可能である。
また、単一の起立着座支援装置100を設けた場合には、例えば、車椅子を利用する使用者が起立着座支援装置100の側方に移動して、起立動作及び着座動作を行う際に利用することができる。また、単一の起立着座支援装置100をベッドサイドに設ければ、使用者がベッドから起立する起立動作とベッドに着座する着座動作を行う際に利用することができる。
また、例えば、一方の下肢に障害のある使用者の起立動作及び着座動作を支援する場合には、便座2の左右のうち使用者の脚力の弱い側のみに起立着座支援装置100を設けてもよい。
また、上記実施形態では、アクチュエータ23が支持部10を昇降させて、それに連動して手すり40が昇降する。これに代えて、アクチュエータが手すり40を昇降させて、それに連動して支持部10が昇降するようにしてもよい。
100・・・起立着座支援装置,1・・・腰掛式便器,2・・・便座(着座部),10・・・支持部,20・・・昇降機構,27a・・・第一昇降部材,27b・・・第二昇降部材,27c・・・鍔部,34・・・ストッパ部材,40・・・手すり

Claims (7)

  1. 使用者の起立動作及び着座動作を支援する起立着座支援装置であって、
    使用者が着座する着座部の前方に設けられて使用者の大腿部を支持する支持部と、
    前記着座部の側方に設けられて使用者の腕を支持する手すりと、
    上昇するほど前記着座部から前方に離間するように前記支持部を昇降させる昇降機構と、
    前記昇降機構によって前記支持部とともに昇降する第一昇降部材と、
    前記手すりに取り付けられ、前記支持部が最下降位置から所定の距離だけ上昇した状態で前記第一昇降部材が当接し、前記昇降機構により昇降する第二昇降部材と、を備え
    前記第一昇降部材が前記第二昇降部材に当接した状態では、前記支持部の昇降にあわせて前記手すりが昇降することを特徴とする起立着座支援装置。
  2. 前記所定の距離は、任意の大きさに調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の起立着座支援装置。
  3. 前記第二昇降部材は、筒状に形成されて基端部が前記手すりに連結され、
    前記第一昇降部材は、自由端部が前記第二昇降部材内に挿入されることを特徴とする請求項1又は2に記載の起立着座支援装置。
  4. 前記第一昇降部材は、前記支持部が最下降位置から所定の距離だけ上昇した状態で前記第二昇降部材と当接する鍔部を有することを特徴とする請求項3に記載の起立着座支援装置。
  5. 前記鍔部は、前記第一昇降部材における軸方向の任意の位置に取り付けられることを特徴とする請求項4に記載の起立着座支援装置。
  6. 前記手すりが最下降位置に下降した状態で前記手すりを支持するストッパ部材を更に備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の起立着座支援装置。
  7. 前記着座部の左右に各々設置されて同期して作動し、左右の前記支持部が使用者の左右の大腿部を各々支持し、左右の前記手すりが使用者の左右の腕を各々支持することを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の起立着座支援装置。
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