JP6651336B2 - 着圧ストッキング - Google Patents

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Description

本発明は、ストッキングのタテ方向の伸びを抑え、ストッキングの周径方向の伸びを大きくし、肌面の摩擦抵抗を低くすることによって着脱性に優れながら、立ち仕事時や日常生活における下肢のむくみや疲れを軽減する着圧ストッキングに関する。
従来、下肢のむくみや疲れを軽減する目的として、下肢の末梢から上方にかけて締め付け圧を強から弱に変化させる「段階着圧設計」を有した靴下やストッキングがある。この商品は着圧を与える必要があるため、特に高い着圧を必要とする足首部は周径方向を伸びにくくしているものが主流である。更に上下方向は伸びやすいものが主流であり、このような伸長特性をもった商品は着脱性が悪く、特に女性や高齢者、静脈浮腫疾患者が不便を感じている。一例として、「段階着圧設計」として細かに着圧を規定した靴下があるが、フィット感は考慮しているものの、着脱性については考慮されていないという問題がある(以下の特許文献1を参照のこと)。
他方、パフォーマンスの向上や疲労軽減と容易な着脱性を目的として、足首と脹脛を覆う部分に圧迫性を付与させ、脹脛部の周径方向の伸長率よりも上下方向の伸長率を低くし、タテ方向をより伸びにくくしたスポーツ用の下肢用衣料があるが、着脱性を容易にする方法として脹脛部の上下方向の伸長率を低くすることしか記載されていない。着脱性を容易にするには、脹脛部よりも足首部の伸長率が重要であることから、これだけでは良好な着脱性を得ることは難しい(以下の特許文献2を参照のこと)。
特開2005−240222号公報 特開2010−77574号公報
本発明が解決しようとする課題は、上記のような従来技術の問題点を解決し、下肢のむくみや疲労を軽減しながら、脱着性が良好となる下肢用の着圧ストッキングを提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討し、着脱性に重要な編地の伸長特性と摩擦抵抗性を編地構造で達成し、着用テストなどの実験を繰り返した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
(1)足首部と脹脛部をもち、着用時、該脹脛部において少なくとも脹脛に着圧を与える、非弾性糸に弾性糸が挿入編みされた着圧ストッキングにおいて、該足首部の上下方向の19.6N荷重時の伸長率が10〜50%であり、かつ、該着圧ストッキングの足首部を90mm×90mmの大きさに採取し、カトーテック社製2軸引張り試験機KES−G2本体に該着圧ストッキングの周径方向を72.5mm、上下方向を73mmに把持し、該着圧ストッキングの上下方向は把持したままで伸長させずに、着圧ストッキングの足首部にスイスラスティック社製着圧測定用木製足型7型のかかと部分を通過させる際に以下の式(B):
着圧ストッキングの足首部が木製足型のかかと部分を通過する際の着圧ストッキングの最大伸び率(%)=310(mm)−(着圧ストッキングの足首部の置き寸(mm)×2)}/(着圧ストッキングの足首部の置き寸(mm)×2)×100・・・(B)
で求められる最大伸び率まで、該着圧ストッキングの周径方向を、引張速度300mm/分で、伸ばした時の該足首部の周径方向の伸長応力が19.6N以下であることを特徴とする前記着圧ストッキング。
(2)前記足首部の肌面の動摩擦係数が0.1〜0.5である、(1)に記載の着圧ストッキング。
(3)前記足首部の着圧が10〜50hPaである、(1)又は(2)に記載の着圧ストッキング。
(4)前記脹脛部の着圧が5〜40hPaである、(1)〜(3)のいずれかに記載の着圧ストッキング。
(5)厚みが0.4〜0.8mm、かつ、通気性が100cc/cm/s以上である、(1)〜(4)のいずれかに記載の着圧ストッキング。
(6)前記足首部を形成する非弾性糸の糸長が100〜200mm/100wである、(1)〜(5)のいずれかに記載の着圧ストッキング。
(7)前記足首部を形成する弾性糸の糸長が10〜40mm/100wである、(1)〜(6)のいずれかに記載の着圧ストッキング。
(8)非弾性糸としてセルロース繊維を含有する、(1)〜(7)のいずれかに記載の着圧ストッキング。
(9)吸湿率が7%以上である、(1)〜(8)のいずれかに記載の着圧ストッキング。
着脱性においては、特に着用する際にストッキングを引っ張り上げる際のストッキングの引っ張りやすさと、最も周径が小さいストッキングの足首部が、着用時にかかとを通過する際の伸びやすさに加え、肌面の滑りやすさが、大きく影響する。本発明の着圧ストッキングは、タテ方向を低伸長として伸びにくくし、足首部の周径方向を低伸長応力として伸びやすくすると同時に、肌面を低動摩擦とすることにより、着脱性に優れる。
本発明を説明するための下肢のモデル図である。 本発明の着圧ストッキングに使用する編地組織図の一例である。 本発明の着圧ストッキングに使用する編地組織図の一例である。 市販品の編地組織図である。 本発明の着圧ストッキングに使用する編地組織図の一例である。 従来の編地組織図の一例である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の着圧ストッキングは、下肢に着圧を与えることを特徴とする。下肢に着圧を与えるような形態であれば、どのような形態であってもよい。例えば、つま先から膝下もしくは膝上までの丈のハイソックスタイプや、足首から膝下までの丈のゲイタータイプ、つま先から腰まであるパンストタイプなどがある。
本実施形態における着圧ストッキングの足首部、脹脛部とは図1に示す部位のことを指す。足首部とは図1の(a)の領域であり、足首のくるぶしの上方の最も周径が小さい部位である。脹脛部とは、図1の(b)の領域であり、脹脛の最も周径が大きい部位である。
本実施形態の着圧ストッキングは、弾性糸が挿入編みされていることを特徴とする。該弾性糸が挿入編みでなく、非弾性糸と添え編みされていると、着圧ストッキングのタテ方向が伸びやすくなることから、着脱性が困難となることがある。弾性糸を挿入編みすることで、着圧ストッキングの周径方向のみに弾性糸の伸長性が発揮されることになり、弾性糸のパワーが直接的に着圧の大小につながるので、着圧のコントロールも容易である。
本実施形態の着圧ストッキングは、足首部の上下方向の19.6N荷重時の伸長率が10〜50%であることを特徴とする。該伸長率は、好ましくは15〜45%、より好ましくは15〜40%である。足首部の上下方向の19.6N荷重時の伸長率が10%未満では、着用動作時にストッキングがズレ落ちたり、突っ張り感を感じることがある。他方、足首部の上下方向の19.6N荷重時の伸長率が50%を超えると、脱着時にストッキングが必要以上に伸ばされる為、脱着がしにくいことがある。尚、脹脛部の上下方向の19.6N荷重時の伸長率もこの範囲にあるとより着脱性が良好となる。
本実施形態の着圧ストッキングは、足首部の周径方向の伸長応力が19.6N以下であることを特徴とする。該伸長応力は好ましくは18N以下、より好ましくは16N以下、更に好ましくは14N以下である。足首部の周径方向の伸長応力が19.6Nを超えると、伸びにくくなり、特にかかと通過時にひっかかり感を強く感じ、着脱性が劣ることがある。該伸長応力を下げれば下げるほど伸びやすくなり、着脱性が優れるが、足首部の着圧も同時に下がるので任意の伸長応力を設定する必要がある。伸長応力測定時の伸長率の設定は、下記式にて算出する:
伸長率(%)=310−(足首部の置き寸×2)/(足首部の置き寸×2)×100
ここでいう310の数値はスイスラスティック社製着圧測定用木製足型(7型)のかかとの周径(mm)である。置き寸とは、着圧ソックスを机上に皺なく、無緊張状態で置いた時の着圧ソックスのヨコ方向の寸法であり、周径は置き寸を2倍した数値となる。上記式は、着圧ソックスが木製足型のかかと部を通過する時の伸長率を算出する式である。
本実施形態の着圧ストッキングは、肌面の動摩擦係数が0.1〜0.5が好ましい。より好ましくは0.12〜0.40、更に好ましくは0.15〜0.35、特に好ましくは0.15〜0.30である。動摩擦係数が0.1未満では肌との滑りが良すぎて、ズレやすくなることがある。動摩擦係数が0.5を超えると、着脱時の肌との摩擦抵抗が上がり、着脱性が困難になることがある。
動摩擦係数を0.1〜0.5の範囲に設定する方法として、図2のような編み組織とすることが好ましい。編成されている弾性糸と弾性糸の間において、弾性糸がタックループとなっている箇所のタテ方向の非弾性糸の編みループがニットループで連続することで弾性糸と弾性糸の間の空間を非弾性糸のニットループが埋めることになり、表面の凹凸を少なくし、動摩擦係数を低く抑えることができる。
本実施形態の着圧ストッキングは、足首部の着圧が10〜50hPaであることが好ましい。より好ましくは10〜40hPa、更に好ましくは10〜35hPaである。足首部の着圧が10hPa未満ではむくみや疲労軽減効果は得られないことがある。50hpaを超えると、着圧が強くなりすぎ、うっ血したり、窮屈感を感じることがある。
本実施形態の着圧ストッキングは、脹脛部の着圧が5〜40hPaであることが好ましい。より好ましくは7〜35hPa、更に好ましくは10〜30hPaである。脹脛部の着圧が5hPa未満ではむくみや疲労軽減効果が得られないことがある。40hPaを超えると、着圧が強くなりすぎ、うっ血したり、窮屈感を感じることがある。足首部と脹脛部の着圧の関係性は特にないが、一般的に静脈還流を促進する目的で、足首から上方にかけて着圧を低減させる「段階着圧設計」という着圧設計方法のように、脹脛部の着圧よりも足首の着圧を上げ、脹脛よりも上方の太腿では脹脛部の着圧よりも下げるようにしてもよい。
本実施形態の着圧ストッキングは、厚みが0.4〜0.8mm、通気性が100cc/cm/sec以上であることが好ましい。より好ましくは厚みが0.5〜0.75mm、通気性が140cc/cm/sec以上、更に好ましくは厚みが0.5〜0.7mm、通気性が160cc/cm/sec以上である。該厚みが0.4mm未満では、透け感が非常に強くなることと、脱着時に破れることがある。0.8mmを超えると、蒸れや暑さを感じることがある。該通気性が100cc/cm/sec未満では、蒸れや暑さを感じることがある。
本実施形態の着圧ストッキングの足首部を形成する非弾性糸の糸長が100〜200mm/100w(ウェール)であることが好ましい。より好ましくは120〜180mm/100w、更に好ましくは140〜170mm/100wである。該非弾性糸の糸長が100mm/100w未満では、周径方向の伸びが小さくなり、伸長応力が大きくなることから、着脱性が悪くなることがある。200mm/100wを超えると、伸びは大きくなるが、非弾性糸が表面に浮き出してしまい、動摩擦係数が大きくなり、滑りが悪くなることがある。更にスナッグが悪化することがある。
本実施形態の着圧ストッキングの足首部を形成する弾性糸の糸長が10〜40mm/100wであることが好ましい。より好ましくは15〜35mm/100w、更に好ましくは20〜35mm/100wである。該弾性糸の糸長が10mm/100w未満では足首部の周径方向の伸長応力が高くなり、着脱性が困難となることがある。40mm/100wを超えると着脱性は向上するが、むくみや疲労を軽減する効果を発揮する着圧を得ることができないことがある。
本実施形態の着圧ストッキングは、吸湿率が7%以上であることが好ましい。該吸湿率はより好ましくは9%以上、更に好ましくは12%以上である。吸湿率が7%未満では着用時の蒸れ感を十分に抑制できず、不快感を抱くことがある。
本実施形態の着圧ストッキングに吸湿性を付与させるための方法に特に制限はなく、吸湿性繊維や吸湿性が得られる物質を練り込んだ繊維を使用してもよいし、吸湿効果の出る加工剤を付与してもよい。好ましくは、セルロース繊維を使用することが好ましい。該セルロース繊維の含有率については、着圧ストッキングの吸湿率が7%以上となるように設定すればよく、特に限定されない。該セルロース繊維としては、キュプラ、レーヨン、竹繊維、綿、モダール、テンセルなどこれらに限定されるものではないが、特に再生セルロース繊維が好ましい。セルロース繊維は、フィラメント糸の形態では、原糸(未加工糸)、仮撚加工糸、先染糸などのいずれであってもよく、また、ポリエステル系繊維やポリアミド系繊維などとの複合糸であってもよい。また、紡績糸でもよく、ポリエステル系繊維やポリアミド系繊維などとの混紡糸であってもよい。複合糸はエア混繊、合撚、カバリング、仮撚混繊等、特に限定されない。セルロース繊維として好ましくはキュプラ繊維がよい。使用するセルロース繊維の繊度は、フィラメント糸の場合、30〜200dtexのものが好ましく、より好ましくは40〜170dtex、更に好ましくは50〜120dtexである。又、紡績糸の場合、60番〜30番の紡績糸が好ましく、より好ましくは50番〜40番である。合成繊維とセルロース繊維の混率は任意に設定可能であるが、好ましくは20〜80%、より好ましくは25〜75%である。
本実施形態の着圧ストッキングに使用する非弾性糸はフィラメント糸又は紡績糸のいずれであってもよい。具体的には、フィラメント糸としては、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、塩化ビニル系繊維等の化合繊からなるものが好ましい。フィラメント糸の形態は、原糸(未加工糸)、仮撚加工糸、先染糸などのいずれであってもよく、また、これらの複合糸であってもよい。複合糸はエア混繊、合撚、カバリング、仮撚混繊等、特に限定されない。フィラメント糸の断面形状は〇、△、十字、W型、M型、C型、I型、ドッグボーン型、中空糸など特に制限はない。紡績糸としては、木綿、羊毛、麻などの天然繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、塩化ビニル系繊維等の化合繊からなるものが好ましく、これらは単独又は混紡されたもの等、いずれであってもよい。混紡方法においても特に限定されないが、ピリングの発生がしにくいMVS方式で得られる紡績糸が好ましい。すなわち用途によって、適宜好適な素材を選定すればよい。尚、本実施形態の着圧ストッキングに使用する非弾性糸は前記したセルロース繊維を含有することができる。
本実施形態の着圧ストッキングに使用する弾性糸としては、ポリウレタン弾性糸、ポリエーテル・エステル弾性糸、ポリアミド弾性糸、ポリオレフィン弾性糸、あるいは、これらに非弾性糸を被覆し、カバリング状態としたものでもよい。更に天然ゴム、合成ゴム、半合成ゴムからなる糸状である、いわゆるゴム糸などを使用することもできるが、伸縮性に優れ、一般的に広く利用されているポリウレタン弾性糸が好適である。その中でもジオール成分として側鎖を持ち、少なくとも一部が同一の炭素上に側鎖としてメチル基を有するものが好ましい。更に前記メチル基が同一の炭素上に2つ有するものが特に好ましい。
以下、本発明を、実施例を用いて説明する。
実施例における各評価方法は次のとおりであった。
(i)上下方向の19.6N荷重時の伸長率
カトーテック社製2軸引張り試験機KES−G2にて、本実態形態の着圧ストッキングの足首部および脹脛部を90mm×90mmの大きさに採取し、試験機本体に着圧ストッキングの上下方向を72.5mm、周径方向を73mmに把持し、着圧ストッキングの上下方向を引張速度300mm/分で29.4Nまで伸長させた時の伸びを測定する。その際の着圧ストッキングの周径方向は把持したまま伸長させない。N=2(枚)測定し、下記式(A)により伸長率(%)を求める。
伸長率(%)={(生地の伸び(mm))/72.5mm}×100・・・(A)
(ii)周径方向の伸長応力
カトーテック社製2軸引張り試験機KES−G2にて、本実態形態の着圧ストッキングの足首部および脹脛部を90mm×90mmの大きさに採取し、試験機本体に着圧ストッキングの周径方向を72.5mm、上下方向を73mmに把持し、着圧ストッキングの周径方向を引張速度300mm/分でスイスラスティック社製着圧測定用木製足型7型のかかと部分を通過する際の最大伸び率まで伸ばした時の応力を測定する。その際の着圧ストッキングの上下方向は把持したままで伸長させない。応力測定時の伸び率は、着圧ストッキングの足首部及び脹脛部のそれぞれにおいて、下記計算式(B)、(C)で算出する。
着圧ストッキングの足首部が木製足型のかかと部分を通過する際の着ストッキングの最大伸び率(%)=310(mm)−(着圧ストッキングの足首部の置き寸(mm)×2)}/(着圧ストッキングの足首部の置き寸(mm)×2)×100・・・(B)
着圧ストッキングの脹脛部が木製足型のかかと部分を通過する際の着圧ストッキングの最大伸び率(%)310(mm)−(着圧ストッキングの脹脛部の置き寸(mm)×2)}/(着圧ストッキングの脹脛部の置き寸(mm)×2)×100・・・(C)
(iii)吸湿率
本実施形態の着圧ストッキングのMサイズを105℃±2度の熱風乾燥機で恒量になるまで4時間放置した後、ポリエチレン製の密閉袋に入れ、電子天秤で1分以内に絶乾質量をひょう量する。ひょう量後、本実施形態の着圧ストッキングをポリエチレン製の密閉袋から取り出し、35℃×90%RHの環境下で机上に15時間放置した後、電子天秤でひょう量する。N=3本測定し、下記式(D)により吸湿率を求める。
吸湿率(%)={35℃×90%RHで15時間放置後の質量(g)−絶乾質量(g)}/絶乾質量×100・・・(D)
(iv)動摩擦係数
着圧ストッキングのMサイズの脹脛部を、スイスラスティック社製着圧測定用木製足型の7型に着用させた時の伸びまで伸張させた状態にした試料の肌面をカトーテック社製表面試験機KES−FB4−AUTO−Aにて、動摩擦係数を3か所測定し、平均する。
(v)着圧
スイスラスティック社製着圧測定用木製足型の7型の足首部及び脹脛部にエーエムアイ・テクノ社製着圧測定器AMI−3037−10に接続したエアパックを貼付け、着圧ストッキングのMサイズを着用させた時の着圧(kPa)を脱着を3回繰り返し測定し、その平均を求める。
(vi)厚み
Peacock社製の厚み測定器を用い、φ3.0cmの測定部を5gの荷重にて編地に接触させ、3か所測定し、平均する。
(vii)通気性
カトーテック社製通気抵抗測定器KES−F8−AP1にて、通気抵抗値(kPa・s/m)を3か所測定し、下記式(E)により通気度(cc/cm/sec)を求める。
通気度(cc/cm/sec)=12.5/通気抵抗値(kPa・s/m)・・・(E)
(viii)非弾性糸及び弾性糸の糸長
編地上に100ウェール分の範囲をマーキングし、非弾性糸及び弾性糸を編地からほどく。ほどいた非弾性糸の上端を固定し、下端に0.088cN/dtexの荷重をかけ、30秒後の長さを測定する。ほどいた弾性糸は上端を固定し、弾性糸が伸長しない程度に伸ばした状態で長さを測定する。各々最も短い糸長を選び、N=3の平均を算出する。
(ix)着脱性
着用と脱着を各3回繰り返し、以下の評価基準で評価した。効果を発揮しているのは下記の基準で3以上である。
5 : 着脱するのにほとんど力が要らず、簡単に着脱できる。
4 : 着脱するのにあまり力が要らず、比較的簡単に着脱できる。
3 : 着脱するのに多少の力が必要であるが、普通に着脱できる。
2 : 着脱するのにまあまあの力が必要で、着脱に時間を要する。
1 : 着脱するのにかなりの力が必要で、着脱に非常に時間を要する。
(xi)蒸れ感
8時間着用した際の蒸れ感を以下の評価基準で主観的に評価した。効果を発揮しているのは下記の基準で3以上である。
5 : 蒸れを全く感じない。
4 : 蒸れをほとんど感じない。
3 : 蒸れをやや感じる。
2 : 蒸れをかなり感じる。
1 : 蒸れを非常に感じる。
(xii)むくみ感
8時間着用した際のむくみ感を以下の評価基準で主観的に評価した。効果を発揮しているのは下記の基準で3以上である。
5 : むくみ感を全く感じない。
4 : むくみ感をほとんど感じる。
3 : むくみ感をやや感じる。
2 : むくみ感をかなり結構感じる。
1 : むくみ感を非常に感じる。
[実施例1]
LANATI社製LA45MEの釜径4.5インチ、針本数400本のパンスト編み機を用いて、つま先部・かかと部・口ゴム以外の足首から脹脛を覆う部分及び足首からつま先に入る部分に弾性糸としてジオール成分として一部が同一の炭素上に側鎖として2つのメチル基を有するポリウレタン弾性糸235dtex(ベア挿入編み)、また、非弾性糸としてキュプラ66dtex43fとナイロン36dtex26fの仮撚複合糸(BB/NY複合糸A)を用い、図2の編み組織にて編成し、その後、漂白加工、柔軟加工した後に、スチームセットし、以下の表1に記載の物性を有する着圧ストッキングを得た。得られた着圧ストッキングは着脱性に優れ、蒸れ感やむくみ感を感じないものであった。
[実施例2]
ポリウレタン弾性糸の糸長と仮撚複合糸の糸長を変更した以外は実施例1と同様の方法で、以下の表1に記載の物性を有する着圧ストッキングを得た。得られた着圧ストッキングは、着圧が実施例1よりもやや高く、着脱性が良好で、蒸れ感が感じにくく、むくみ感を感じないものであった。
[実施例3]
実施例1と同じ編み機、同じ糸使いで図3の編み組織にて編成し、その後、漂白加工、柔軟加工した後に、スチームセットし、以下の表1に記載の物性を有する着圧ストッキングを得た。得られた着圧ストッキングは実施例1よりも動摩擦抵抗がやや高めであるが、着脱性が良好で、蒸れ感が感じにくく、むくみ感を感じないものであった。
[実施例4]
ポリウレタン弾性糸の糸長を変更した以外は実施例1と同様の方法で、以下の表1に記載の物性を有する着圧ストッキングを得た。得られた着圧ストッキングは着圧が実施例1よりもやや低く、着脱性に優れ、蒸れ感を感じず、むくみ感を感じにくいものであった。
[実施例5]
非弾性糸の糸長を変更した以外は実施例1と同様の方法で、以下の表1に記載の物性を有する着圧ストッキングを得た。得られた着圧ストッキングは着圧が実施例1よりもやや高く、上下方向の定荷重伸長率が低めで、足首部の周径方向の定伸長応力が高めであるが、着脱性が良好で、蒸れ感やむくみ感を感じないものであった。
[実施例6]
実施例1に使用したポリウレタン弾性糸に替えて、同ポリウレタン弾性糸の周りにナイロン33TをダブルカバリングしたDCY(DCY挿入編み)を使用して図3の編み組織にて編成し、その後、漂白加工、柔軟加工した後に、スチームセットし、以下の表1に記載の物性を有する着圧ストッキングを得た。得られた着圧ストッキングは着圧が実施例1よりも高めで、動摩擦抵抗がやや高めであるが、着脱性が良好で、蒸れ感やむくみ感を感じないものであった。
[実施例7]
実施例1に使用したポリウレタン弾性糸に替えて、同種のポリウレタン弾性糸470dtexにナイロン33dtex/24fをダブルカバリングしたDCYと、吸湿性ナイロン加工糸167dtex/72fを使用し、図5の編み組織にて編成し、その後、漂白加工、柔軟加工した後に、スチームセットし、以下の表1に記載の物性を有する着圧ストッキングを得た。得られた着圧ストッキングは、着脱性は概ね良好で、蒸れ感はやや感じるものの、むくみ感は感じないものであった。
[実施例8]
実施例3に使用したポリウレタン弾性糸235dtexに替えて、ポリウレタン弾性糸470dtexの周りにナイロン33TをダブルカバリングしたDCYを使用して図3の編み組織にて編成し、その後、漂白加工、柔軟加工した後に、スチームセットし、以下の表1に記載の物性を有する着圧ストッキングを得た。得られた着圧ストッキングの着脱性はやや良好で、蒸れ感やむくみ感をあまり感じないものであった。
[比較例1]
つま先部・かかと部・口ゴム以外の足首から脹脛を覆う部分及び足首からつま先に入る部分において、弾性糸としてポリウレタン弾性糸130dtexにナイロン17dtex/7fをダブルガバリングしたDCY(DCY挿入編み)とナイロン加工糸56dtex/5f(NY)を使用し、図4の編み組織にて編成作成された市販品Aの物性を以下の表1に記載する。市販品Aは着脱性しにくく、蒸れ感を感じるものであるが、むくみ感は感じないものであった。
[比較例2]
LANATI社製LA45MEの釜径4.5インチ、針本数400本のパンスト編み機を用いて、つま先部・かかと部・口ゴム以外の足首から脹脛を覆う部分及び足首からつま先に入る部分に弾性糸としてジオール成分として一部が同一の炭素上に側鎖として2つのメチル基を有するポリウレタン弾性糸78dtex(ベアプレーティング)と非弾性糸としてキュプラ66dtex43fとナイロン36dtex26fの仮撚複合糸(BB/NY複合糸A)を引きそろえて、図6の編み組織にて編成し、その後、漂白加工、柔軟加工した後に、スチームセットし、以下の表1に記載の物性を有する着圧ストッキングを得た。得られた着圧ストッキングは上下方向の定荷重伸長率が高く、着脱性しにくく、蒸れ感やむくみ感を感じないものであった。
[比較例3]
非弾性糸の糸長を変更した以外は実施例1と同様の方法で、以下の表1に記載の物性を有する着圧ストッキングを得た。得られた着圧ストッキングは着圧が実施例1よりも高く、上下方向の定荷重伸長率が低めで、足首部の周径方向の定伸長応力が高く、着脱しにくく、蒸れ感を多少感じるものの、むくみ感は感じないものであった。
[比較例4]
非弾性糸をナイロン加工糸(NY)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、以下の表1に記載の物性を有する着圧ストッキングを得た。得られた着圧ストッキングは、上下方向の定荷重伸長率が実施例1よりも高く、足首部の周径方向の定伸長応力が低くめで、着脱しにくく、蒸れを感じるものであったが、むくみ感は感じないものであった。
Figure 0006651336
本発明の着圧ストッキングは、日常のむくみや静脈浮腫疾患に対して予防効果を発揮するとともに、蒸れ感を軽減し、着脱性が容易であるため、靴下やストッキングとして好適に利用可能である。
a 足首部
b 脹脛部
c 非弾性糸
d 弾性糸
K ニット
T タック
W ウェルト

Claims (9)

  1. 足首部と脹脛部をもち、着用時、該脹脛部において少なくとも脹脛に着圧を与える、非弾性糸に弾性糸が挿入編みされた着圧ストッキングにおいて、該足首部の上下方向の19.6N荷重時の伸長率が10〜50%であり、かつ、該着圧ストッキングの足首部を90mm×90mmの大きさに採取し、カトーテック社製2軸引張り試験機KES−G2本体に該着圧ストッキングの周径方向を72.5mm、上下方向を73mmに把持し、該着圧ストッキングの上下方向は把持したままで伸長させずに、着圧ストッキングの足首部にスイスラスティック社製着圧測定用木製足型7型のかかと部分を通過させる際に以下の式(B):
    着圧ストッキングの足首部が木製足型のかかと部分を通過する際の着圧ストッキングの最大伸び率(%)=310(mm)−(着圧ストッキングの足首部の置き寸(mm)×2)}/(着圧ストッキングの足首部の置き寸(mm)×2)×100・・・(B)
    で求められる最大伸び率まで、該着圧ストッキングの周径方向を、引張速度300mm/分で、伸ばした時の該足首部の周径方向の伸長応力が19.6N以下であることを特徴とする前記着圧ストッキング。
  2. 前記足首部の肌面の動摩擦係数が0.1〜0.5である、請求項1に記載の着圧ストッキング。
  3. 前記足首部の着圧が10〜50hPaである、請求項1又は2に記載の着圧ストッキング。
  4. 前記脹脛部の着圧が5〜40hPaである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の着圧ストッキング。
  5. 厚みが0.4〜0.8mm、かつ、通気性が100cc/cm/s以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の着圧ストッキング。
  6. 前記足首部を形成する非弾性糸の糸長が100〜200mm/100wである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の着圧ストッキング。
  7. 前記足首部を形成する弾性糸の糸長が10〜40mm/100wである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の着圧ストッキング。
  8. 非弾性糸としてセルロース繊維を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の着圧ストッキング。
  9. 吸湿率が7%以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の着圧ストッキング。
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