JP6649228B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

燃料噴射装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6649228B2
JP6649228B2 JP2016216419A JP2016216419A JP6649228B2 JP 6649228 B2 JP6649228 B2 JP 6649228B2 JP 2016216419 A JP2016216419 A JP 2016216419A JP 2016216419 A JP2016216419 A JP 2016216419A JP 6649228 B2 JP6649228 B2 JP 6649228B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
injector
temperature
cooling unit
outer peripheral
wall surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2016216419A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018071528A (ja
Inventor
啓太朗 中西
啓太朗 中西
寛 但馬
寛 但馬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2016216419A priority Critical patent/JP6649228B2/ja
Publication of JP2018071528A publication Critical patent/JP2018071528A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6649228B2 publication Critical patent/JP6649228B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)
  • Gasket Seals (AREA)

Description

本発明は、燃料噴射装置に関する。
内燃機関(以下、「エンジン」という)に燃料を噴射供給する装置として、広くインジェクタが用いられている。インジェクタは、棒状のニードルと、その内部に燃料の流路となりかつニードルをその軸方向に沿って進退可能に保持する燃料流路が形成されたハウジングと、この燃料流路と連通しかつニードルの進退によって開閉する噴孔が形成されたバルブシートと、を備える。エンジンの気筒内に直接燃料を噴射する所謂直噴型のエンジンの場合、インジェクタは、エンジンの気筒内にその噴孔が臨むように、エンジンのシリンダヘッドに形成された貫通孔に設けられる。
ここで、インジェクタをシリンダヘッドの貫通孔に設ける際における組立性の向上を考慮すると、インジェクタの外周面とシリンダヘッドの内壁面との間にはある程度の隙間が存在する方が好ましいと言える。しかしながらインジェクタの熱引き性やガスの密閉性の向上を考慮すると、インジェクタの外周面とシリンダヘッドの内壁面とは接している方が好ましいと言える。すなわち、インジェクタから噴射した燃料の燃焼時にはインジェクタの温度も上昇するが、インジェクタの温度が過度に上昇するとインジェクタの噴孔の近傍にデポジットが発生し、堆積するおそれがあるため、インジェクタはシリンダヘッドに接していることが好ましい。
特許文献1には、内側部分と外側部分から成る内外2重の円形断面の環状体を、インジェクタの外周面とシリンダヘッドの貫通孔の内壁面との間に設ける技術が示されている。特許文献1の技術では、環状体の内側部分は外側部分よりも高膨張率とする。環状体は、燃料の燃焼熱によって加熱されると外側へ膨張するので、これにより上述のような熱引き性やガスの密閉性が要求される燃料の燃焼時には、インジェクタの外周面とシリンダヘッドの内壁面との間には隙間が無くなる。また組立性が要求される常温時には環状体は収縮し、インジェクタの外周面とシリンダヘッドの内壁面との間には隙間が生じる。
特開2009−167815号公報
しかしながら特許文献1に示された環状体では、燃料の燃焼時に加熱されると、シリンダヘッド側である外側の部分とともに、インジェクタ側である内側の部分もシリンダヘッド側へ膨張するため、環状体とインジェクタとの間に隙間が生じてしまうおそれがある。インジェクタと環状体との間に隙間が存在すると、熱引き性及び密閉性を十分に向上することができない。
本発明は、燃料の燃焼時におけるインジェクタの熱引き性及びインジェクタとシリンダヘッドとの間の密閉性を向上できる燃料噴射装置を提供することを目的とする。
(1)燃料噴射装置(例えば、後述の燃料噴射装置9,9A,9B)は、その外側から内側である気筒(例えば、後述の気筒61)側へ貫通するインジェクタ取付孔(例えば、後述のインジェクタ取付孔64)が形成されたシリンダヘッド(例えば、後述のシリンダヘッド63)と、前記インジェクタ取付孔内に設けられ、その先端部に形成された噴孔(例えば、後述の噴孔425)から前記気筒内へ燃料を噴射するインジェクタ(例えば、後述のインジェクタ1,1A,1B)と、を備える。前記インジェクタの外周部(例えば、後述の外周部33,33A,33B)のうち前記インジェクタ取付孔の内壁面(例えば、後述の内壁面65)と対向する部分の少なくとも一部には、前記インジェクタの軸心から径方向外側へ向けて凸状の冷却部(例えば、後述の冷却部35、冷却リング37,39)が前記外周部と一体に又は前記外周部に密接して設けられ、前記冷却部の温度が常温である場合には、前記冷却部の最外周面(例えば、後述の外周面36、374、393)と前記内壁面との間には隙間が形成され、前記隙間は前記冷却部の温度が前記常温からデポジット発生温度に到達するまでの間に無くなり、前記最外周面と前記内壁面とは密接した状態になることを特徴とする。
(2)この場合、前記外周部のうち前記内壁面と対向する部分であって前記冷却部よりも前記気筒側には、前記内壁面と接する環状かつ樹脂製のシール部材(例えば、後述のチップシール5)が設けられることが好ましい。
(3)この場合、前記冷却部(例えば、後述の冷却リング37)は、平面視では環状であり、断面視では前記外周部の表面に沿って延びる内側部(例えば、後述の内側部371)と前記内壁面に沿って延びる外側部(例えば、後述の外側部372)と前記内側部及び前記外側部の前記噴孔側の部分を接続する接続部(例えば、後述の接続部373)とで構成されるU字状であり、前記冷却部の前記内側部は、前記外周部の表面に密接しており、前記冷却部は、当該冷却部の温度が高くなるに従い前記外側部が前記内側部から離間して前記径方向外側へ拡がる特性を有するバイメタル又は形状記憶合金であることが好ましい。
(4)この場合、前記外周部には前記径方向外側へ延びる2枚の環状のフィン対(例えば、後述のフィン対381,382)が設けられ、前記フィン対の間には、断面視で前記径方向内側から外側へ向けて拡がるテーパ状の溝部(例えば、後述の溝部383)が形成され、前記冷却部(例えば、後述の冷却リング39)は、その板厚が前記径方向内側から外側へ向けて厚くなる板状であり、前記溝部に篏合されることが好ましい。
(1)本発明では、インジェクタの外周部のうちインジェクタ取付孔の内壁面と対向する部分の少なくとも一部には、インジェクタの軸心から径方向外側へ向けて凸状の冷却部を設ける。またこの冷却部の温度が常温である場合には、冷却部の最外周面と内壁面との間には隙間が形成され、さらにこの隙間は冷却部の温度が常温からデポジット発生温度に到達するまでの間に無くなり、最外周面と内壁面とは密接した状態になる。これにより常温時には、インジェクタをインジェクタ取付孔に容易に取り付けることができる。また本発明によれば、インジェクタから噴射した燃料を気筒内で燃焼させることによってインジェクタ及び冷却部の温度が常温から上昇しデポジット発生温度に到達するまでの間には、常温時に存在していた隙間が無くなり、冷却部の最外周面がインジェクタ取付孔の内壁面に密接した状態になり、インジェクタは冷却部を介してシリンダヘッドに接するので、インジェクタの温度のデポジット発生温度からのさらなる上昇を抑制でき、ひいてはデポジットの発生も抑制できる。また本発明では、上述のような冷却部を、インジェクタの外周部と一体又は外周部に密接して設ける。これにより、冷却部の温度が上昇し、その最外周面がインジェクタ取付孔の内壁面に接するようになっても、冷却部とインジェクタの外周部との間に隙間ができることはないので、十分な熱引き性と密閉性とを確保することができる。
(2)本発明では、インジェクタの外周部のうち内壁面と対向する部分であって冷却部よりも気筒側には、内壁面と接する環状かつ樹脂製のシール部材をさらに設ける。これにより、冷却部の最外周面がインジェクタ取付孔の内壁面に接しておらず、冷却部による密閉性が十分でない状態であっても、気筒内のガスがインジェクタとインジェクタ取付孔との隙間から漏れるのを抑制できる。またこのようなシール部材として樹脂製のものを用いることにより、取付性の悪化を抑制することもできる。
(3)本発明では、冷却部として、平面視では環状であり断面視ではU字状のものであり、かつ冷却部の温度が高くなるに従い外側部が内側部から離間して径方向外側へ拡がる特性を有するバイメタル又は形状記憶合金を用いる。このような冷却部の外側部は、温度が上昇するほど径方向外側へ拡がる。また冷却部の外側部の最外周面は、冷却部の温度が常温からデポジット発生温度に到達するまでの間に、インジェクタ取付孔の内壁面と密接した状態になる。これによりインジェクタの温度のデポジット発生温度からのさらなる上昇を抑制でき、ひいてはデポジットの発生も抑制できる。またこのような冷却部によれば、内側部はインジェクタの外周部の表面に密接しているため、十分な熱引き性と密閉性とを確保できる。
(4)本発明では、インジェクタの外周部に径方向外側へ延びる2枚の環状のフィン対を設け、またこれらフィン対の間には、断面視で径方向内側から外側へ向けて拡がるテーパ状の溝部を形成する。また本発明では、冷却部は、その板厚が径方向内側から外側へ向けて厚くなる板状とし、これを溝部に篏合させる。本発明によれば、インジェクタから噴射した燃料を気筒内で燃焼させることにより、インジェクタのフィン対及び冷却部の温度が上昇すると、熱膨張により溝部の幅が狭くなるとともに冷却部が厚くなり、この溝部に設けられた冷却部は径方向外側へ押し出される。また冷却部の最外周面は、フィン対及び冷却部の温度が常温から上昇しデポジット発生温度に到達するまでの間に、インジェクタ取付孔の内壁面に密接した状態になる。これにより、インジェクタの温度のデポジット発生温度からのさらなる上昇を抑制でき、ひいてはデポジットの発生も抑制できる。また本発明によれば、インジェクタの外周部と冷却部とは、フィン対を介して常に密接しているため、十分な熱引き性と密閉性とを確保できる。
本発明の第1実施形態に係るエンジンの燃料噴射装置の構成を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係るエンジンの燃料噴射装置の構成を示す断面図である。 冷却リングの形状の温度による変化を模式的に示す図である。 本発明の第3実施形態に係るエンジンの燃料噴射装置の構成を示す断面図である。 冷却リングの平面図である。 冷却リング及びフィン対の形状の温度による変化を模式的に示す図である。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る燃料噴射装置9の構成を示す断面図である。燃料噴射装置9は、エンジンのシリンダヘッド63と、このシリンダヘッド63に設けられたインジェクタ1と、を備える。なお図1には、インジェクタ1の全体のうち先端側の構成のみを図示する。以下では、棒状のインジェクタ1において、噴孔425が形成されている側を先端側とし、その反対側を基端側とする。
インジェクタ1は、全体の形状が棒状であり、その先端側に設けられた噴孔425から燃料を噴射する。エンジンは、その内部に気筒61が形成されたシリンダブロック(図示せず)と、気筒61の上部を構成するシリンダヘッド63とを組み合わせて構成される。シリンダヘッド63には、その外側から内側である気筒61側へ貫通する円柱状の貫通孔であるインジェクタ取付孔64が形成されており、インジェクタ1は、先端側の噴孔425が気筒61内に臨むようにインジェクタ収容孔64内に挿入される。
インジェクタ1は、棒状の弁体としてのニードル2と、このニードル2の基端側を進退可能に収容するインジェクタボディ3と、ニードル2の先端側を収容するバルブシート4と、インジェクタボディ3の外周部33に設けられたチップシール5と、を組み合わせて構成される。
ニードル2は、棒状の弁体24と、弁体24の先端部に設けられた球体のシール部25と、を備える。
インジェクタボディ3は、ニードル2と同軸の円筒状であり、その内部にはニードル2を進退可能に収容するとともに図示しない高圧燃料ポンプから圧送される燃料が流れる燃料流路31が形成されている。また図示を省略したインジェクタボディ3の基端側には、電磁力及び弾性力等を利用してニードル2を進退させるため、コイル、固定コア、可動コア、及びスプリング等で構成される電磁駆動手段が設けられている。
インジェクタボディ3の先端部には、燃料流路31と同軸でありかつバルブシート4の一部を収容する収容筒32が形成されている。
バルブシート4は、ニードル2及びインジェクタボディ3と同軸の円筒状である。バルブシート4の内部にはニードル2を進退可能に収容するとともに、インジェクタボディ3に取り付けられると、インジェクタボディ3の燃料流路31と同軸で接続される燃料流路41が形成されている。バルブシート4の先端部には、ニードル2のシール部25を収容する収容部42が形成されている。この収容部42の先端側の内壁面は、シール部25の先端側の球面と接するように形成されており、シール部25が着座する弁座423となっている。また収容部42の先端側のうち弁座423が設けられている部分には、収容部42の内部と外部とを貫通する貫通孔としての噴孔425が形成されている。したがって、ニードル2が電磁駆動手段によって先端側へ前進すると、シール部25が弁座423に着座し、噴孔425が閉じる。噴孔425が閉じた状態では燃料は噴射されない。またニードル2が電磁駆動手段によって基端側へ後退すると、シール部25が弁座423から離座し、噴孔425が開く。噴孔425が開いた状態では、燃料流路31,41を介して収容部42内に圧送された燃料が噴孔425から気筒61内に噴射される。
インジェクタボディ3の外周部33のうちインジェクタ取付孔64の内壁面65と対向する部分には、先端側から基端側へ向かって順に、円環状の溝であるチップシール取付溝34と、インジェクタ1の軸心Cから径方向外側へ向けて凸状の冷却部35と、が設けられている。
チップシール取付溝34には、環状のチップシール5が設けられている。このチップシール5は、樹脂製であり、柔軟性を有する。このチップシール5の内周面51は、チップシール5の温度の高低に関わらず常にチップシール取付溝34の外周面と密接している。またこのチップシール5の外周面52は、チップシール5の温度の高低に関わらず常にインジェクタ取付孔64の内壁面65と密接している。
冷却部35は、円筒状のインジェクタボディ3の外周部33と一体に設けられている。すなわち、冷却部35の材質はインジェクタボディ3と同じである。冷却部35の温度が常温である場合には、インジェクタ1のインジェクタ取付孔64への組み付け性を向上するため、冷却部35の最外周面である外周面36と内壁面65との間には隙間が形成される。ここで、常温とは、作業者が直に触れることができる程度の温度をいい、例えば25℃程度である。
また、このように常温時に形成される隙間は、冷却部35の温度が上昇し所定のデポジット発生温度に到達するまでの間には無くなり、冷却部35の外周面36と内壁面65とは密接した状態になり、インジェクタ1はインジェクタ取付孔64内で圧入状態となる。これによりインジェクタ1は、冷却部35を介してシリンダヘッド63と接触し、インジェクタボディ3の温度の上昇が抑制される。ここでデポジット発生温度とは、インジェクタ1の噴孔425の近傍でデポジットの堆積量が増加し始める温度に相当し、具体的には160℃程度である。
ここで上述のように常温時には隙間が形成され、高温時には圧入状態となるような特性を実現するための条件について検討する。このような2つの条件を満たす冷却部35を実現するためには、冷却部35及びインジェクタ取付孔64の各々の呼び径、最小公差、最大公差、及び材料を適切な範囲内に設定する必要がある。
以下では、インジェクタ取付孔64の呼び径をdとし、最小公差をΔminとし、最大公差をΔmaxとし、インジェクタ取付孔64に用いられる材料(すなわち、シリンダヘッド63の材料)の線膨張係数をChとする。冷却部35の呼び径をdとし、最小公差をδminとし、最大公差をδmaxとし、冷却部35に用いられる材料(すなわち、インジェクタボディ3の材料)の線膨張係数をCiとする。またデポジット発生温度をTdとし、常温をT0とし、これらデポジット発生温度Tdと常温T0との間で設定された接触温度をTcとし、冷却部35が接触温度Tcとなっている状態におけるシリンダヘッド63の温度をThとする。なお、シリンダヘッド63は冷却水によって冷却されるため、シリンダヘッド63の温度は、インジェクタボディ3及び冷却部35の温度よりも低い。
先ず、高温時に圧入状態となるためには、高温時における冷却部35とインジェクタ取付孔64との間の最小圧入代を0より大きくする必要がある(最小圧入代>0)。したがってこの条件は、上記のように定義された符号を用いると、下記式(1)によって表される。
(d+δmin)×(1+Ci(Tc−T0))
>(d+Δmax)×(1+Ch(Th−T0)) … (1)
なお上記式(1)は、二次の微小量を無視するとともに、下記式(2)で定義されるパラメータFを導入すると、下記式(3)によって書き換えられる。
F≡d(Ci(Tc−T0)−Ch(Th−T0)) … (2)
δmin>Δmax−F … (3)
次に、常温時に隙間が形成されるためには、常温時における冷却部35とインジェクタ取付孔64との間の最小圧入代を0より小さくする必要がある(最小圧入代<0)。したがってこの条件は、下記式(4)によって表される。
δmax<Δmin … (4)
したがって、接触温度Tcでは圧入状態となりかつ常温T0では隙間が形成されるためには、上記式(3)及び(4)を連立して得られる下記式(5)を満たせばよい。
Δmax−F<δmin<δmax<Δmin … (5)
また上記式(5)において解が存在するためには、F>0である必要があり、これにより下記式(6)が導出される。
Ch/Ci<(Tc−T0)/(Th−T0) … (6)
以上をまとめると、接触温度Tc及びこれに応じたヘッド温度Thに対し、シリンダヘッドの線膨張係数Ch及び冷却部35の線膨張係数Ciが上記式(6)を満たすようにシリンダヘッド及び冷却部35の材料を選定し、かつ、冷却部35及びインジェクタ取付孔64の公差設定が上記式(5)を満たすようにすることにより、接触温度Tc時に圧入状態となりかつ常温T0時に隙間が形成されるようにすることができる。
なお、接触温度Tcを160℃とし、ヘッド温度Thを100℃とし、常温T0を25℃とし、冷却部35の材料として線膨張係数Ciが約1.9−5であるオーステナイト系ステンレスを用い、シリンダヘッドの材料として線膨張係数Chが約2.0−5であるアルミ鋳造材を用いた場合には、上記式(6)を満たす。
本実施形態の燃料噴射装置9によれば、以下の効果を奏する。
(1)燃料噴射装置9によれば、常温時には、冷却部35の外周面36とインジェクタ取付孔64の内壁面65との間に隙間が形成されるので、インジェクタ1をインジェクタ取付孔64に容易に取り付けることができる。また燃料噴射装置9によれば、インジェクタ1から噴射した燃料を気筒61内で燃焼させることによってインジェクタ1及び冷却部35の温度が常温から上昇しデポジット発生温度に到達するまでの間には、常温時に存在していた隙間が無くなり、冷却部35の外周面36がインジェクタ取付孔64の内壁面65に密接した状態になり、インジェクタ1は冷却部35を介してシリンダヘッド63に接するので、インジェクタ1の温度のデポジット発生温度からのさらなる上昇を抑制でき、ひいてはデポジットの発生も抑制できる。また燃料噴射装置9では、上述のような冷却部35を、インジェクタ1の外周部33と一体にして設ける。これにより、冷却部35の温度が上昇し、その外周面36がインジェクタ取付孔64の内壁面65に接するようになっても、冷却部35とインジェクタ1の外周部33との間に隙間ができることはないので、十分な熱引き性と密閉性とを確保することができる。
(2)燃料噴射装置9では、インジェクタ1の外周部33のうち内壁面65と対向する部分であって冷却部35よりも気筒61側には、内壁面65と接する環状かつ樹脂製のチップシール5をさらに設ける。これにより、冷却部35の外周面36がインジェクタ取付孔64の内壁面65に接しておらず、冷却部35による密閉性が十分でない状態であっても、気筒61内のガスがインジェクタ1とインジェクタ取付孔64との隙間から漏れるのを抑制できる。またこのようなチップシール5として樹脂製のものを用いることにより、取付性の悪化を抑制することもできる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図2は、本実施形態に係る燃料噴射装置9Aの構成を示す断面図である。燃料噴射装置9Aは、第1実施形態に係る燃料噴射装置9と、インジェクタ1Aのインジェクタボディ3Aの構成が異なる。以下の説明では、第1実施形態に係る燃料噴射装置9と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
インジェクタボディ3Aの外周部33Aのうちインジェクタ取付孔64の内壁面65と対向する部分には、先端側から基端側へ向かって順に、チップシール取付溝34と、インジェクタ1Aの軸心Cから径方向外側へ向けて凸状の冷却リング37と、が設けられている。
冷却リング37は、平面視、すなわちインジェクタ1Aの軸心Cに沿って視たときには環状である。また冷却リング37は、軸心Cを含む断面視では、外周部33Aの表面に沿って延びる内側部371と、この内側部371よりも径方向外側において内壁面65に沿って延びる外側部372と、これら内側部371及び外側部372の噴孔425側の部分を接続する接続部373と、で構成される略U字状である。冷却リング37のうち内側部371は外周部33Aの表面に密接している。
図3は、冷却リング37の形状の温度による変化を模式的に示す図である。より具体的には、図3の左側は常温であるときにおける冷却リング37の状態を示す図であり、図3の右側はデポジット発生温度以上であるときにおける冷却リング37の状態を示す図である。この図に示すように、冷却リング37は、その温度に応じて形状が変化する特性がある。
より具体的には、冷却リング37は、その温度が高くなるに従って、内側部371がインジェクタボディの外周部33Aの表面に密接した状態を維持したまま、外側部372が内側部371から離間して径方向外側へ向けて拡がる特性を有するバイメタル又は形状記憶合金が用いられる。これにより図3の左側に示すように、冷却リング37が常温である場合には、外側部372の最外周面である外周面374とインジェクタ取付孔64の内壁面65との間には隙間が形成される。また冷却リング37の温度が上昇しデポジット発生温度に到達するまでの間には、外側部372の外周面374と内壁面65とは密接した状態になる。
本実施形態の燃料噴射装置9Aによれば、以下の効果を奏する。
(3)燃料噴射装置9Aでは、冷却リング37として、平面視では環状であり断面視ではU字状のものであり、かつ冷却リング37の温度が高くなるに従いその外側部372が内側部371から離間して径方向外側へ拡がる特性を有するバイメタル又は形状記憶合金を用いる。このような冷却リング37の外側部372は、温度が上昇するほど径方向外側へ拡がる。また冷却リング37の外側部372の外周面372は、冷却リング37の温度が常温からデポジット発生温度に到達するまでの間に、インジェクタ取付孔64の内壁面65に密接した状態になる。これによりインジェクタ1Aは冷却リング37を介してシリンダヘッド63と接触し、インジェクタ1Aの温度のデポジット発生温度からのさらなる上昇を抑制でき、ひいてはデポジットの発生も抑制できる。またこのような冷却リング37によれば、内側部371はインジェクタ1Aの外周部33Aの表面に密接しているため、十分な熱引き性と密閉性とを確保できる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図4は、本実施形態に係る燃料噴射装置9Bの構成を示す断面図である。燃料噴射装置9Bは、第1実施形態に係る燃料噴射装置9と、インジェクタ1Bのインジェクタボディ3Bの構成が異なる。以下の説明では、第1実施形態に係る燃料噴射装置9と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
インジェクタボディ3Bの外周部33Bのうちインジェクタ取付孔64の内壁面65と対向する部分には、先端側から基端側へ向かって順に、チップシール取付溝34と、径方向外側へ延びる2枚の環状の第1フィン381及び第2フィン382から成るフィン対381,382と、が設けられている。またフィン対381,382の間には、断面視で板状の冷却リング39が挟持されている。
フィン対381,382の板厚は、それぞれ軸線Cを含む断面視では径方向内側から外側へ向けて薄くなっている。これによりフィン対381,382の間には、断面視で径方向内側から外側へ向けて拡がるテーパ状の溝部383が形成される。
冷却リング39は、図5の平面図に示すように、その中央にフィン対381,382の外径よりもやや小さな内径を有する貫通孔391が形成されており、平面視で円環状である。冷却リング39の内周面392の内径は、フィン対381,382の外径よりもやや小さい。また冷却リング39の最外周面である外周面393の外径は、フィン対381,382の外径よりもやや大きい。また冷却リング39には、内周面392から外周面393に延びる切り口394が形成されている。冷却リング39にはこのような切り口394を設けておくことにより、その外周面393の外径を広げることが可能となっている。
冷却リング39の板厚は、図4に示すように径方向内側から外側へ向けて徐々に厚くなっている。また冷却リング39は、フィン対381,382の間に形成されたテーパ状の溝部383に篏合されている。
図6は、冷却リング39及びフィン対381,382の形状の温度による変化を模式的に示す図である。より具体的には、図6の左側は常温であるときにおける冷却リング39及びフィン対381,382の状態を示す図であり、図6の右側はデポジット発生温度以上であるときにおける冷却リング39及びフィン対381,382の状態を示す図である。
図6の左側に示すように、冷却リング39及びシリンダヘッド63が常温である場合には、冷却リング39の外周面393の外径はインジェクタ取付孔64の内壁面65の内径よりもやや小さくなっている。このため冷却リング39等が常温である場合には、冷却リング39の外周面393とインジェクタ取付孔64の内壁面65との間には隙間が形成される。
また、冷却リング39及びフィン対381,382の温度が上昇すると、冷却リング39の厚さが熱膨張によって大きくなるとともに、溝部383の幅がフィン対381,382の熱膨張によって小さくなる。このため図6の右側に示すように冷却リング39は、径方向外側へ向けて押し出され、その温度がデポジット発生温度に到達するまでの間に、その外周面393と内壁面65とは密接した状態になる。
本実施形態の燃料噴射装置9Bによれば、以下の効果を奏する。
(4)燃料噴射装置9Bによれば、インジェクタ1Bから噴射した燃料を気筒61内で燃焼させることにより、インジェクタ1Bのフィン対381,382及び冷却リング39の温度が上昇すると、熱膨張により溝部383の幅が狭くなるとともに冷却リング39が厚くなり、この溝部383に設けられた冷却リング39は径方向外側へ押し出される。また冷却リング39の外周面393は、フィン対381,382及び冷却リング39の温度が常温から上昇しデポジット発生温度に到達するまでの間に、インジェクタ取付孔64の内壁面65に密接した状態になる。これにより、インジェクタ1Bの温度のデポジット発生温度からのさらなる上昇を抑制でき、ひいてはデポジットの発生も抑制できる。また燃料噴射装置9Bによれば、インジェクタ1Bの外周部33Bと冷却リング39とは、フィン対381,382を介して常に密接しているため、十分な熱引き性と密閉性とを確保できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。
例えば第3実施形態では、1つの円環状の冷却リング39とこれを挟持する円環状のフィン対381,382とを設けた場合について説明したが、冷却リング及びフィン対を設ける数はこれに限らず、2つ以上の複数であってもよい。また冷却リング及びフィン対の形状も円環状に限らず、例えばらせん状としてもよい。
1,1A,1B…インジェクタ
33,33A,33B…外周部
35…冷却部(冷却部)
36…外周面(最外周面)
37…冷却リング(冷却部)
371…内側部
372…外側部
373…接続部
374…外周面(最外周面)
381,382…フィン対
383…溝部
39…冷却リング(冷却部)
393…外周面(最外周面)
425…噴孔
5…チップシール(シール部材)
61…気筒
63…シリンダヘッド
64…インジェクタ取付孔
65…内壁面
9,9A,9B…燃料噴射装置

Claims (4)

  1. その外側から内側である気筒側へ貫通するインジェクタ取付孔が形成されたシリンダヘッドと、
    前記インジェクタ取付孔内に設けられ、その先端部に形成された噴孔から前記気筒内へ燃料を噴射するインジェクタと、を備える燃料噴射装置であって、
    前記インジェクタは、棒状の弁体と、当該弁体を進退可能に収容するインジェクタボディと、を備え、
    前記インジェクタボディの外周部のうち前記インジェクタ取付孔の内壁面と対向する部分の少なくとも一部には、前記インジェクタの軸心から径方向外側へ向けて凸状の冷却部が前記外周部と一体に設けられ、
    前記冷却部の材質は、前記インジェクタボディの材質と同じであり、
    前記冷却部の温度が常温である場合には、前記冷却部の最外周面と前記内壁面との間には隙間が形成され、
    前記隙間は前記冷却部の温度が前記常温からデポジット発生温度に到達するまでの間に無くなり、前記最外周面と前記内壁面とは密接した状態になることを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 前記常温をT0とし、前記常温と前記デポジット発生温度との間で設定された接触温度をTcとし、前記冷却部が前記接触温度になっている状態における前記シリンダヘッドの温度をThとした場合、前記冷却部の線膨張係数Ciと前記シリンダヘッドの線膨張係数Chとは、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
    Ch/Ci<(Tc−T0)/(Th−T0) (1)
  3. その外側から内側である気筒側へ貫通するインジェクタ取付孔が形成されたシリンダヘッドと、
    前記インジェクタ取付孔内に設けられ、その先端部に形成された噴孔から前記気筒内へ燃料を噴射するインジェクタと、を備える燃料噴射装置であって、
    前記インジェクタの外周部のうち前記インジェクタ取付孔の内壁面と対向する部分の少なくとも一部には、前記インジェクタの軸心から径方向外側へ向けて凸状の冷却部が前記外周部と一体に又は前記外周部に密接して設けられ、
    前記冷却部の温度が常温である場合には、前記冷却部の最外周面と前記内壁面との間には隙間が形成され、
    前記隙間は前記冷却部の温度が前記常温からデポジット発生温度に到達するまでの間に無くなり、前記最外周面と前記内壁面とは密接した状態になり、
    前記外周部には前記径方向外側へ延びる2枚の環状のフィン対が設けられ、
    前記フィン対の間には、断面視で前記径方向内側から外側へ向けて拡がるテーパ状の溝部が形成され、
    前記冷却部は、その板厚が前記径方向内側から外側へ向けて厚くなる板状であり、前記溝部に篏合されることを特徴とする燃料噴射装置。
  4. 前記外周部のうち前記内壁面と対向する部分であって前記冷却部よりも前記気筒側には、前記内壁面と接する環状かつ樹脂製のシール部材が設けられることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の燃料噴射装置。
JP2016216419A 2016-11-04 2016-11-04 燃料噴射装置 Expired - Fee Related JP6649228B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016216419A JP6649228B2 (ja) 2016-11-04 2016-11-04 燃料噴射装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016216419A JP6649228B2 (ja) 2016-11-04 2016-11-04 燃料噴射装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018071528A JP2018071528A (ja) 2018-05-10
JP6649228B2 true JP6649228B2 (ja) 2020-02-19

Family

ID=62112245

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016216419A Expired - Fee Related JP6649228B2 (ja) 2016-11-04 2016-11-04 燃料噴射装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6649228B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6777672B2 (ja) 2018-04-03 2020-10-28 Dmg森精機株式会社 情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018071528A (ja) 2018-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101471400B1 (ko) 서모스탯장치
JP6216028B2 (ja) 燃料直噴式内燃機関の筒内圧検出装置
US10184428B2 (en) Directly-injecting gas injector providing improved cooling
JP2010255758A (ja) サーモスタット装置
US20140291566A1 (en) Valve device
BR102014026545A2 (pt) injetor, particularmente injetor de insuflação para combustível gasoso
JP6649228B2 (ja) 燃料噴射装置
KR20150021105A (ko) 시일 구조
JP6551096B2 (ja) 内燃機関用のスパークプラグ
JP6500000B2 (ja) プラスチック材料射出成形装置のインジェクタのためのノズルターミナル
JP7003709B2 (ja) スパークプラグ
CN105649818B (zh) 具有弹性体密封座和密封棱边的直接喷入式气体喷射器
KR102011070B1 (ko) 분사 밸브용 밸브 조립체 및 분사 밸브
US11162459B2 (en) Direct injection gas injector with an elastomer seal
JP2018025126A (ja) インジェクタ
JP6160562B2 (ja) 燃料噴射弁
JP6806037B2 (ja) インジェクタの取付構造
KR100853643B1 (ko) 연료 분사 밸브
JP2018523047A (ja) 格納式ロケットモータ点火装置
JP4081716B2 (ja) 燃料噴射弁の冷却構造
JP6252258B2 (ja) 内燃機関の吸気ポート構造
CN111005827B (zh) 燃料喷射装置
JP6943592B2 (ja) 筒内圧センサおよび内燃機関
JP2007278250A (ja) 燃料噴射弁
CN115704348A (zh) 具有改进热性能的尤其是用于气态燃料的气体喷射器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190730

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190730

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190927

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200116

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6649228

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees