JP6648670B2 - 電動ブレーキアクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明は、車輪とともに回転する回転体に電動モータの力によって摩擦部材を押し付けるための電動ブレーキアクチュエータに関する。
電動ブレーキアクチュエータ(以下、単に「アクチュエータ」という場合がある)は、例えば、下記特許文献に記載されたような構成のものが存在する。そのアクチュエータは、電動モータの回転動作をピストンの進退動作に変換する動作変換機構を備えており、電動モータは、減速機構を介して、動作変換機構の入力軸を回転させるように構成されている。そのアクチュエータでは、電動モータの回転、詳しくは、ピストンを後退させる方向の回転が不可能となった場合を考慮して、ピストンを後退させる方向のトルクを弾性体の弾性力によって入力軸に付与するための機構が設けられている。
特開2013−24389号公報
しかしながら、上記特許文献に記載されたようなアクチュエータでは、動作変換機構若しくは減速機構の不具合が生じた場合に、上記トルクによっては、ピストンを後退させることができず、いわゆるブレーキが掛かったままの状態が継続することになる。つまり、そのような不具合が発生した場合において、いわゆる過度な引き摺り制動力を解消することが困難であり、上記アクチュエータは、フェール時における対処という観点からは、決して充分であるとは言い難い。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、フェール時の対処において優れた電動ブレーキアクチュエータを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の電動ブレーキアクチュエータは、
駆動源となる回転型の電動モータと、車輪とともに回転する回転体に摩擦部材を押し付けるために進退するピストンと、前記電動モータの回転動作を前記ピストンの進退動作に変換する動作変換機構と、前記ピストンをそれが後退する方向に付勢する付勢機構とを備えた電動ブレーキアクチュエータであって、
前記動作変換機構の前記ピストンに固定された部分におけるその固定が、設定された温度以上で解除されるように構成されたことを特徴とする。
設定された温度以上で上記固定を解除するための手段は、特に限定されないが、例えば、上記固定をろう接(ろう付け,はんだ付けの両方を含む概念である)によって行うといった手段を採用可能である。
なお、動作変換機構のピストンに固定された部分の全てにおいて固定が解除されることを、必ずしも要するわけではなく、付勢機構の付勢力によるピストンの後退が許容される限り、一部分のみの固定が解除されるように構成されてもよい。
上述のような過度な引き摺り状態では、車輪とともに回転体(例えば、ディスクロータ)に摩擦部材(例えば、ブレーキパッド)が押し付けられた状態が継続しており、摩擦部材,回転体は、大きく発熱することになる。本発明の電動ブレーキアクチュエータによれば、その発熱によって、上述の固定された部分の温度が上昇し、その上昇によって、上記固定が解除されることになる。そして、その解除に伴って、ピストンが後退する方向にピストンを付勢する上記付勢機構によってピストンが後退させられ、上記過度な引き摺り状態が解消されるのである。
なお、上記固定をろう接によって行う場合、適切な温度における上記固定の解除を、ろう材(はんだ材を含む概念である)の選択により、容易に行わせることが可能となる。
実施例の電動ブレーキアクチュエータおよびそれを備えたブレーキキャリパを模式的に示す断面図である。 実施例の電動ブレーキアクチュエータの動作変換機構を含む要部を拡大して示す断面図である。 実施例の電動ブレーキアクチュエータのキャリパ本体への取付けを示す斜視図である。 実施例の電動ブレーキアクチュエータにおいて付勢機構によってピストンが後退させられる様子を示す要部断面図である。 変形例の電動ブレーキアクチュエータにおいて付勢機構によってピストンが後退させられる様子を示す要部断面図である。
以下、本発明を実施するための形態として、実施例の電動ブレーキアクチュエータおよびそれの変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例,変形例の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
実施例の電動ブレーキアクチュエータを備えたブレーキキャリパ10(以下、単に「キャリパ10」と言う場合がある)は、車両が有する車輪に対してブレーキ力(車輪制動力)を付与するものであり、図1には、車輪のアクスル側からの視点における当該キャリパ10の模式的な断面が示されている。以下の説明の便宜のため、当該キャリパ10に関する方位について、図の上方を前方(実際の車両では、車幅方向において車体中央から離れる方向)、下方を後方(実際の車両では、車幅方向において車体の中央に近づく方向)、右方を右方、左方を左方と、それぞれ呼ぶことする。
各構成要素については、後に詳しく説明するが、図の右半分は、ピストン12が後退して1対のブレーキパッド14,16が、ディスクロータ18に押し付けられていない状態を示している。図の右半分に示されているブレーキパッド14,16は、殆ど摩耗していない状態である。それに対し、図の左半分に示されているブレーキパッド14,16は略完全に摩耗しており、図の左半分には、ピストン12が前進して、ブレーキパッド14,16をそれぞれ支持していたバックアッププレート20,20が、直に、ディスクロータ18を挟持している状態を示している。
図1に示すように、キャリパ10は、キャリパ本体22と、キャリパ本体22に前後方向に移動可能に保持された1対のブレーキパッド14,16と、キャリパ本体22に保持された実施例の電動ブレーキアクチュエータ24(以下、単に「アクチュエータ24」と言う場合がある)とを含んで構成されている。ちなみに、ピストン12は、アクチュエータ24を構成する要素となっている。なお、ブレーキパッド14,16は、車輪を回転可能に保持するキャリアに固定されたマウンティングブラケットに保持されるようにされていてもよい。
摩擦部材であるブレーキパッド14,16は、車輪とともに回転する回転体であるディスクロータ18を前後方向において挟むようにして、向かい合って配置されている。キャリパ本体22には、1対のスライド26が設けられている。各スライド26には、前後方向に延びる貫通穴28が穿設されており、その貫通穴28に、1対のガイドパイプ30の対応する1つのものが挿入されている。1対のガイドパイプ30は、上記キャリアに固定されたマウンティングブラケットに、それぞれボルト32によって固定されている。各ガイドパイプ30は、前後方向に延びており、1対のスライド26が、それぞれ、1対のガイドパイプ30によってガイドされて、キャリパ本体22、つまり、キャリパ10自体が、前後方向に移動可能に、キャリアに支持されているのである。
アクチュエータ24は、筒状のハウジング40を有し、そのハウジング40において、キャリパ本体22に支持されている。アクチュエータ24は、後方側のブレーキパッド16を、前方側のブレーキパッド14に向かって移動させる働きをする。アクチュエータ24は、後方側のブレーキパッド16を支持するバックアッププレート20と係合するピストン12と、駆動源としての回転型の電動モータ42と、その電動モータ42の回転によってピストン12を動作させるための動作変換機構44とを含んで構成されている。動作変換機構44の軸線Lは、当該キャリパ10の軸線と一致させられており、また、電動モータ42の軸線とも一致させられている。
電動モータ42は、モータ軸として、動作変換機構44ひいてはピストン12を駆動させるための筒状の駆動回転軸46を有している。駆動回転軸46の軸線は、電動モータ42の軸線であり、駆動回転軸46は、ラジアル軸受け48を介して、ハウジング40に、軸線Lのまわりに回転可能かつ軸線Lの延びる方向である軸線方向に移動不能に支持されている。駆動回転軸46の軸線は、電動モータ42の軸線であり、駆動回転軸46の外周部には、複数の磁石50が付設されている。一方、それら磁石50と向かい合うようにして、コイル52が、一円周上に配置されてハウジング40の内周部に固定されている。電動モータ42は、駆動回転軸46と磁石50とがロータとして機能し、コイル52がステータとして機能するものとされている。なお、電動モータ42の回転角、すなわち、駆動回転軸46の回転角は、ハウジング40に固定されたレゾルバ54によって検出され、その検出された回転角に基づいて、電動モータ42の作動が制御される。つまり、電動モータ42は、ブラシレスのサーボモータとされているのである。
ピストン12は、概して筒状をなす可動筒62と、それの前端部に嵌め入れられたピストンヘッド56とを含んで構成されており、動作変換機構44は、電動モータ42によって回転駆動される入力軸60と、可動筒62の内部に嵌め入れられて固定されたリング58とを含んで構成されている。動作変換機構44では、リング58は、入力軸60の回転によって軸線方向に直進動作させられ、それによって、ピストン12が進退動作させられる。詳しく言えば、回転駆動軸46を正転させるように電動モータ42を作動(以下、「電動モータ42を正転」という場合がある)させれば、ピストン12は前進し、回転駆動軸46を逆転させるように電動モータ42を作動(以下、「電動モータ42を逆転」という場合がある)させれば、ピストン12は後退する。可動筒62は、外周部において、ハウジング40が有する概ねドーナッツ板状の蓋64と、シール66を介して係合している。蓋64の内径は可動筒62の外径よりもある程度大きくされ、かつ、シール66は比較的緩やかなものとされていることで、可動筒62の径方向への変位は、ある程度許容されている。なお、可動筒62の軸線Lまわりの回転は、図示を省略する回転禁止機構によって、禁止されており、可動筒62に固定されたリング58の回転も禁止されている。
可動筒62の内部に軸線Lに沿って配設されている入力軸60は、軸部68と、軸部68の後端部に形成されてフランジとして機能するフランジ部70とを含んで構成されている。軸部68の外周とリング58の内周との間には、軸部68、つまり、入力軸60の周りを公転可能な複数の遊星ローラ72が、軸線方向に延びる姿勢で自転可能に配設されている。
入力軸60,リング58,遊星ローラ72を含んで構成される動作変換機構44は、詳しくは、図2に示すような構造を有している。ちなみに、図2では、遊星ローラ72は1つしか示しておらず、図2(a)は、ピストン12が後退端に位置する状態を、図2(b)は、ピストン12が後退端からある程度前進した状態を、それぞれ示している。この構造は、具体的には、特許第4186969号公報の図14に示すようなものであり、機能については、その公報に詳しく説明されている。ここでは、簡単に説明すれば、入力軸60の軸部68の外周,リング58の内周,遊星ローラ72の外周には、それぞれ、ネジが形成されている。それらのネジは、互いにピッチが同じであり、入力軸60に形成されたネジ(外ネジ)と遊星ローラ72に形成されたネジ(外ネジ)とは、互いに逆方向のネジとされて、螺合しており、遊星ローラ72に形成されたネジとリング58に形成されたネジ(内ネジ)とは、互いに同方向のネジとされて、噛合している。さらに、入力軸60の軸部68の外周,リング58の内周,遊星ローラ72の外周には、各ネジが形成されている領域に、互いに噛合するギヤ歯が形成されている。つまり、入力軸60の軸部68の外周,リング58の内周,遊星ローラ72の外周には、ネジとギヤ歯とが、あたかもテクスチャとなるようにして形成されているのである。
可動筒62すなわちリング58の回転が禁止されている状態において入力軸60を回転させても、入力軸60,遊星ローラ72,リング58が互いに軸線方向に相対変位しないように、入力軸60,遊星ローラ72,リング58の各ネジの条数の比と、各ギヤ歯の歯数の比との関係を設定することが可能である。簡単に言えば、本動作変換機構44では、その関係に対して、入力軸60のネジの条数と遊星ローラ72のネジの条数との比と、入力軸60のギヤ歯の歯数と遊星ローラ72のギヤ歯の歯数との比とを、僅かにずらしてあり、そのために、入力軸60を回転させても、リング58と遊星ローラ72とは軸線方向に相対変位せず、リング58,遊星ローラ72が一緒に入力軸60に対して軸線方向に変位するようにされている。そのようにされていることで、動作変換機構44は、電動モータ42の回転動作をピストン12の進退動作に変換する機能を有しているのである。
ちなみに、電動モータ42の回転数に対するピストン12の軸線方向の変位が相当に小さくされている。つまり、入力軸60の1回転あたりの可動筒62の直進動作量が比較的小さく、本動作変換機構44は、いわゆる遊星ローラ式の減速機構としても機能するものとされている。そのため、電動モータ42に、高回転かつ低トルクの小型モータを採用することができ、そのようなモータの採用は、当該電動ブレーキアクチュエータ24の小型化に寄与するものとなっている。さらに言えば、ピストン12の前進量、すなわち、1対のブレーキパッド14,16によるディスクロータ18に対する押付力に起因するところの制動力を、高精度に制御できることになる。
なお、ピストン12は、可動筒62の前端にピストンヘッド56が固定して取り付けられた構造を有している。このことは、動作変換機構44の組立、詳しく言えば、可動筒62に固定されたリング58への遊星ローラ72,入力軸60の組付けを、可動筒62の前端が開口したままで容易に行った後に、その前端にピストンヘッド56を取り付けることを可能とするため、当該電動ブレーキアクチュエータ24の製造において有利である。
入力軸60は、フランジ部70において、ハウジング40に支持されている。ピストン12、つまり、動作変換機構44は、ブレーキ力が発生する際のブレーキパッド16のディスクロータ18への押付力に対する反作用力を受けることになる。本キャリパ10では、その反作用力は、入力軸60を介して、ハウジング40が受け、さらに、ハウジング40を介して、キャリパ本体22が受け止めることになる。そのため、アクチュエータ24は、入力軸60を回転可能に支持するための支持構造を有している。詳しく説明すれば、フランジ部70が、スラスト軸受け74,摺動部材76,固定座78を介して、ハウジング40に支持されている。固定座78は、ハウジング40の後端部に係止されるようにして固定されており、前方側に、球面Cの一部をなすように窪む座面80を有している。摺動部材76は、その座面80に摺接するようにして径方向に揺動可能とされている。摺動部材76の前方側の面とフランジ部70の後方側の面とによって、スラスト軸受け74が挟持されている。
上述のような支持構造であるため、詳しく言えば、ブランジ部70において入力軸60を支持する構造であるため、摺動部材76は、比較的広い面積において、ブレーキパッド16からの反作用力を受け止めるようにされており、換言すれば、径の比較的大きな部分において、入力軸60が支持されているため、その反作用力を、比較的広い面積において分散させることが可能とされているのである。
なお、ハウジング40からの反作用力のキャリパ本体22への受け止めは、ハウジング40の外周部に形成された段差面82が、キャリパ本体22に形成された段差面84によって掛止されることで、互いに向かい合うそれら段差面82,段差面84を介して効果的に行われる。
上述したように、摺動部材76が、固定座78に、揺動可能に支持されていることで、本アクチュエータ24では、入力軸60の傾動が許容されている。つまり、ピストン12ごと、動作変換機構44の傾動が許容されているのである。そのような構造から、本アクチュエータ24は、固定座78,摺動部材76等を含んで構成される傾動許容機構88を有しているのである。図1では、動作変換機構44が、傾動許容機構88によって、前端が左方に向かう方向への傾動が許容された場合において、軸線Lが、軸線L’となることが示されている。
ブレーキパッド14,16は、上下方向若しくは左右方向における片側が反対側に対してより多く摩耗する可能性がある。いわゆる偏摩耗という現象である。この偏摩耗が生じた際の対処手段として、上述の傾動許容機構88は効果的である。つまり、動作変換機構44が無理な力を受けることなく、キャリパ10は、充分なブレーキ力を発生させることが可能となるのである。
ここで、電動モータ42の駆動回転軸46から入力軸60への回転伝達について説明すれば、入力軸60のフランジ部70の外周端が、駆動回転軸46の内周部と噛み合っており、その噛み合いによって、回転伝達がなされる。具体的に言えば、フランジ部70の外周端には、等角度ピッチで、それぞれがフランジ部70の厚さに渡って軸線方向に延びる複数の凸条90が設けられており、一方で、駆動回転軸46の内周部には、等角度ピッチで、それら凸条90にそれぞれ対応する位置に、それぞれが軸線方向に延びる複数の溝92が設けられている。各凸条90が、各溝92と噛み合うことにより、駆動回転軸46の内周部とフランジ部70の外周端とが一円周内の複数の箇所で、フランジ部70の厚さdに相当するある幅dをもって噛み合い、その噛み合いによって上記回転伝達がなされるのである。
上記傾動許容機構88によって動作変換機構44の傾動が許容された場合、入力軸60の傾きに伴って、軸部68に直角なフランジ部70も傾く。そのため、このフランジ部70の傾きによっても、上記回転伝達が適正に行われる必要がある。
仮に、傾動許容機構88による動作変換機構44の傾動の中心が、フランジ部70よりも相当に離れて前方若しくは後方に位置している場合は、傾動に伴って、フランジ部70自体も軸線方向に対して直角な方向に変位する。その場合、互いに噛み合っているフランジ部70の外周端と駆動回転軸46の内周部との距離が、軸線Lが動く平面である傾動平面上において、大きく異なることになり、そのような傾動の際に適正な回転伝達を担保するための機構が、複雑なものとなってしまうという問題がある。
上記問題に鑑み、本アクチュエータ24においては、図に示すように、傾動の中心Oが、動作変換機構44が傾動していない状態において、つまり、軸線Lが傾いていない状態において、軸線方向における上述のある幅d内に位置させられている。言い換えれば、軸線方向において、フランジ部70の厚さd内に位置させられているのである。具体的には、上述の固定座78の座面80を画定する球面Cの中心が、傾動の中心Oと一致するように、球面Cが調製され、固定座78が位置させられているのである。つまり、傾動許容機構88は、そのように構成されているのである。
上記傾動許容機構88の構成により、動作変換機構44が傾動しても、フランジ部70の外周端は、略軸線方向に変位し、互いに噛み合っているフランジ部70の外周端と駆動回転軸46の内周部との距離は、詳しく言えば、径方向の距離は、殆ど変化しない。そのため、傾動によっても適正な回転伝達を担保するための機構を単純なもので済ませることができるのである。具体的には、その機構は、フランジ部70の凸条90が、駆動回転軸46の内周部に形成された溝92の中において、軸線方向に変位することを許容することで実現されるのである。そのため、上記噛み合いの構造は、フランジ部70の外周端と、駆動回転軸46の内周部との軸線方向における相対変位を許容するスプライン嵌合とされているのである。繰り返すが、本アクチュエータ24では、フランジ部70の外周端と駆動回転軸46の内周部との噛み合いの構造が、動作変換機構44の傾動に伴うフランジ部70の変位を許容しつつ駆動回転軸46からフランジ部70への回転伝達が可能な構造とされているのである。
なお、上述の傾動平面上から外れた位置においては、凸条90が、溝92の中で傾くことになる。そのことを考慮して、凸条90の側面と、溝92の軸線方向に延びる側面との間には、周方向において、適正なクリアランスが設けられている。
本アクチュエータ24では、筒状の駆動回転軸46の内部空間に動作変換機構44が配置されている。言い換えれば、ピストン12が後退端に位置する状態(図の右半分に示す状態)から解るように、動作変換機構44の多くの部分が電動モータ42に同軸的に内装されている。そのため、本アクチュエータ24は、比較的コンパクトなものとされている。また、入力軸60のフランジ部70は、軸部68から径方向に延び出して、電動モータ42の駆動回転軸46の内周部に至っており、入力軸60と駆動回転軸46との間に配置されるピストン12の可動筒62とフランジ部70との干渉を避けるため、可動筒62の後方側に配置されている。ピストン12が後退端に位置する場合に、可動筒62の後端がフランジ部70に近い位置に位置させられていること、および、フランジ部70が、入力軸60の後端部に配設され、駆動回転軸46の後端部の内周部と噛み合うようにされていることは、当該アクチュエータ24を、軸線方向においてコンパクトにすることに貢献している。
本アクチュエータ24では、動作変換機構44が、外筒(可動筒62に相当する)を回転させることでその外筒の内部に位置する軸(入力軸60に相当する)を直進動作させるのではなく、ピストン12の可動筒62の内部に配設された入力軸60、つまり、径の比較的小さな軸を回転駆動させるように構成されているため、動作変換機構44におけるイナーシャが小さく、円滑に動作するものとなっている。
上述した構成要素以外の構成要素について簡単に説明すれば、本キャリパ10、すなわち、本アクチュエータ24は、パーキングブレーキ機能をも備えている。電動モータ42の駆動回転軸46の下端部の外周には、ラジアル軸受け48を係止する係止環100が取り付けられており、その係止環100には、全周にわたって、複数の凹所102が形成されている。一方、アクチュエータ24のハウジング40の外側には、ソレノイド式のプランジャ104が付設されている。プランジャ104のロッド106は、ハウジング40の内部に臨み入っており、ロッド106が突出すると、先端部が係止環100の凹所102と係合して、駆動回転軸46の回転を禁止する。パーキングブレーキとして機能させる場合には、電動モータ42によって、ピストン12を前進させ、ブレーキパッド14,16でディスクロータ18を、設定された力でもって挟持させる。その状態において、プランジャ104がロッド106を突出させ、駆動回転軸46の回転を禁止する。その状態において、電動モータ42への電流の供給を遮断しても、上記設定された力は維持され、所定のブレーキ力が維持されることになる。
また、ハウジング40の後端には、締結材110によって、回路ボックス112が取り付けられる。回路ボックス112内には、電動モータ42への電流供給のための駆動回路,制御コンピュータ等が配置された回路盤114(電子制御ユニットとして機能する)や、スラスト軸受け74と摺動部材76との間に介在させられた荷重センサ116からの信号に基づき、ピストン12がブレーキパッド16をディスクロータ18に押し付ける力を検出する軸力検出回路118等が収容されている。さらに、ハウジング40の前端とピストン12との間には、防塵を目的として、その前端の開口を覆う可撓性のブーツ120が、取り付けられている。
図3から解るように、本キャリパ10は、当該キャリパ10のメンテナンスの便宜を図る等の目的で、アクチュエータ24がキャリパ本体22から分離可能に構成されている。キャリパ本体22は、ブレーキパッド14,16を保持する前方側部材22aと、アクチュエータ24が固定保持されるとともに回路ボックス112が取り付けられる後方側部材22bとに分割可能されている。アクチュエータ24には、ハウジング40において、それぞれに2つの穴130が設けられた1対の側鍔132が形成されており、アクチュエータ24は、それらの穴130を利用して、締結部材であるボルト134によってキャリパ本体22の後方側部材22bに固定される。
以上で、本アクチュエータ24の大体の構造について説明したが、上記のような構造の一般的なアクチュエータでは、例えば、電動モータの逆転が不能となった場合に、ピストンが後退できないことになる。ピストンが前進した状態でそうなったときには、制動力を発生させている状態、つまり、いわゆるブレーキが掛かった状態が維持されることになる。そのため、従来のアクチュエータでは、例えば、入力軸に、ピストンが後退する方向のトルクを付与する弾性体を設け、そのトルクによってピストンを後退させるように構成することも行われている。しかしながら、電動モータがロックを起こしたような場合や、ピストンが後退する方向の動作変換機構の作動が不能となった場合には、上記ピストンが後退する方向のトルクを付与しても、ピストンは後退できないことになる。
そこで、本アクチュエータ24では、ピストン12が後退する方向の付勢力を、ピストン12に対して直接的に付与する付勢機構150が設けられ、また、可動筒62に対するリング58の固定が、設定された温度以上となったときに解除されるようにされている。つまり、動作変換機構44のピストン12に固定された部分におけるその固定が、設定された温度以上で解除されるように構成されているのである。
図1,図2を参照して説明すれば、上記付勢機構150は、入力軸60の前端部にそれと相対回転可能に係止されたドーナツ板状の支持板152と、その支持板152とピストン12の可動筒62の内周部に設けられた段差部とに両端を支持された弾性体である圧縮コイルスプリング154とを含んで構成されている。この付勢機構150は、圧縮コイルスプリング154の弾性反力によって、ピストン12が後退する方向の付勢力を、ピストン12に直接付与し、その付勢力が、ピストン12が前進するにつれて大きくなるように構成されている。ちなみに、図2(a)は、ピストン12が後退端に位置する状態を示し、図2(b)は、ピストン12が後退端からある程度前進したところを示している。
動作変換機構44を構成するリング58は、可動筒62の内周部にろう接(ろう付け,はんだ付けの両方を含む概念である)によって固定されている。ろう接に用いられているろう材(はんだを含む概念である)158は、そのろう材158に固有の融点において溶融し、その溶融によって、リング58の可動筒62への固定が解除されるようになっているのである。
先に説明したように、電動モータ42がロックを起こしたような場合や、ピストン12が後退する方向の動作変換機構44の作動が不能となった場合に、ピストン12は後退できない。ピストン12が前進した状態でそうなった場合、ブレーキパッド14,16がディスクロータ18をある程度押え付けた状態が維持される。つまり、ブレーキが掛かった状態、言い換えれば、過度の引き摺り状態が維持される。この状態で、車両が走行すると、ブレーキパッド14,16が発熱し、その発生した熱が、バックアッププレート20を介してピストン12に伝導し、ろう材158自体の温度も上昇する。設定された温度、つまり、ろう材158の融点に到達した場合、そのろう材158が溶融して、図4(a)に示す状態から、図4(b)に示す状態となる。つまり、リング58が入力軸60に係合したまま、ピストン12だけが、圧縮コイルスプリング154による上記付勢力によって、後退させられる。その結果、上記ブレーキが掛かった状態が解消されるのである。
付勢機構150、および、リング58のピストン12に対する固定の解除のためのろう接が奏する上記作用により、本電動ブレーキアクチュエータ24は、フェール時の対処に優れた電動ブレーキアクチュエータとされているのである。
変形例
上記実施例のアクチュエータ24の変形例となるアクチュエータは、実施例のアクチュエータ24と、動作変換機構の構造において異なっている。以下に変形例のアクチュエータについて説明するが、同じ機能の構成要素については、同じ符号を用い、説明を省略することとする。
変形例のアクチュエータ24の動作変換機構44は、図5(a)に示すように、入力軸60と、ピストン12の可動筒170の一部分(詳しくは、内周部であり、ピストンの一部分である)と、リング172とを含んで構成されている。ちなみに、図5(a)は、ピストン12がある程度前進した状態を示している。
図5(a)から解るように、実施例のアクチュエータ24のリング58の内周に形成されていた内ネジが、動作変換機構44の一部として機能する可動筒170の内周部に形成され、可動筒170に嵌め入れられて固定されたリング172の内周には、実施例のアクチュエータ24のリング58の内周に形成されていたギヤ歯のみが形成されている。遊星ローラ72、入力軸60は、実施例のアクチュエータ24のそれらと同じものである。入力軸60,遊星ローラ72,可動筒170の内周部の各々に形成されたネジの定数の比、入力軸60,遊星ローラ72,リング172の各々に形成されたギヤ歯の歯数の比は、実施例のアクチュエータ24のそれらと同じとされている。このような構成の動作変換機構44によっても、実施例のアクチュエータ24と同様に、入力軸60の回転によって、ピストン12が進退する。
本アクチュエータ24では、リング172が、ろう接によって、可動筒170に固定されている。上述のように、設定温度以上になった場合、ろう材158は溶融し、リング172の可動筒170への固定が解除される。そして、図5(b)に示すように、リング172の可動筒170に対する回転が許容されるため、もはや動作変換機構としての機能が消失し、付勢機構150によって、ピストン12が後退させられる。このように、本アクチュエータ24においても、電動モータ42がロックを起こしたような場合や、ピストン12が後退する方向の動作変換機構44の作動が不能となった場合に、ピストン12が後退させられることで、本アクチュエータ24も、フェール時の対処に優れたアクチュエータとされているのである。
本アクチュエータ24では、リング172の内周にギヤ歯が、可動筒170の内周にネジが、それぞれ分割して形成されていることから、本アクチュエータ24は、ネジとギヤ歯とがテクスチャ状にリング58に形成されている実施例のアクチュエータと比較して、それらネジ,ギヤ歯の形成が容易であるという利点を有する。また、ろう接を行う領域が比較的小さいことから、ろう接自体が容易であるという利点をも有することになる。
10:ブレーキキャリパ 12:ピストン 14,16:ブレーキパッド〔摩擦部材〕 18:ディスクロータ〔回転体〕 22:キャリパ本体 24:電動ブレーキアクチュエータ 40:ハウジング 42:電動モータ 44:動作変換機構 46:駆動回転軸 56:ピストンヘッド 58:リング 60:入力軸 62:可動筒 150:付勢機構 152:支持板 154:圧縮コイルスプリング 158:ろう材 170:可動筒 172:リング

Claims (2)

  1. 駆動源となる回転型の電動モータと、車輪とともに回転する回転体に摩擦部材を押し付けるために進退するピストンと、前記電動モータの回転動作を前記ピストンの進退動作に変換する動作変換機構と、前記ピストンをそれが後退する方向に付勢する付勢機構とを備えた電動ブレーキアクチュエータであって、
    前記動作変換機構の前記ピストンに固定された部分におけるその固定が、設定された温度以上で解除されるように構成されたことを特徴とする電動ブレーキアクチュエータ。
  2. 前記固定が、ろう接によって行われている請求項1に記載の電動ブレーキアクチュエータ。
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