JP6647518B2 - 筆記具 - Google Patents

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Description

本発明は、筆記具に関するものである。
従来、筆記具の筆感を切り替える技術が、例えば特許文献1〜5に開示されている。このうち、特許文献1には、ノック式ボールペンにおいて、バネが内装された筒状のキャップがノック部材に被せられ、キャップの3箇所に溝型が形成されたものが開示されている。
この特許文献1のボールペンにおいては、クリップの根元をどの溝型に嵌めるかで、バネの伸縮度合いが3段階で変化し、その結果、ボールペンの1つのペン先の筆感を3段階で切り替えることが可能となっている。
米国特許第6257787号明細書 米国特許第8963892号明細書 特開平6−19604号公報 登録実用新案第3039362号公報 国際公開第2012/153710号
このような特許文献1の筆記具について本願発明者が鋭意検討したところ、以下のようなことがわかった。特許文献1の手法では、筆記者がバネの弾性力の変動を筆記時に感じ取ることで筆感を認識する。そして、バネの伸縮度合いの違いに応じて筆記時のバネの弾性力の変動の振る舞いが異なるので、バネの伸縮度合いの違いに応じて筆感が変化する。
しかし、このような手法で弾性力の変動を感じ取る場合、筆記時に、バネの弾性が原因で、ペン先が軸筒に対して大きく移動する場合がある。実際、筆記者の筆圧が大きい場合、バネの弾性力の変動が大きくなりすぎて、ペン先が軸筒に対して上下に大きく移動してしまい、その結果、筆記者が筆記時に違和感を覚えてしまうおそれがある。
本発明は上記点に鑑み、筆記具の1つの先端の筆感を切り替え可能にする技術において、筆記時にペン先が軸筒に対して移動する量を低減することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、軸筒(11)および前記軸筒に内装される中芯(14)を有すると共に前記中芯から前記軸筒に振動が伝達するように構成されている本体(2)と、変位して前記本体のうち所定の衝突対象部位(174a、174b、174c)に繰り返し衝突可能な変位部材(3)と、前記変位部材を付勢可能な付勢部材(4、21、22)とを備え、前記付勢部材が前記変位部材を付勢する力が変化することで、筆記時における前記変位部材と前記衝突対象部位との衝突の有無または繰り返し衝突の態様が変化し、その結果、筆記者の筆感が変化することを特徴とする筆記具である。
このようになっていると、変位部材と衝突対象部位の衝突による振動が軸筒に伝達される。そして、付勢部材が変位部材を付勢する力が変化することで、筆記時における変位部材と衝突対象部位との衝突の有無または繰り返し衝突の態様が変化するので、その結果、筆記者の筆感が変化する。また、弾性部材の弾性力を変化させて筆感を切り替える場合に比べ、筆記時に先端が弾力的に変位する可能性が低いので、筆記時に先端が軸筒に対して移動する量を従来よりも低減することができる。
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
第1実施形態におけるボールペン1の断面図である。 後側軸筒111の側面図である。 図2のIII−III断面図である。 図2のIV−IV断面図である。 図2のV−V断面図である。 回転子17の斜視図である。 回転子17の側面図である。 ノック部材3の斜視図である。 ノック部材3の正面図である 図9のX矢視図である。 筆記可能な状態かつ第1筆感状態におけるボールペン1の状態を示す一部断面図である。 図11のXII−XII断面図である。 図11のXIII−XIII断面図である。 筆記可能な状態かつ第2筆感状態におけるボールペン1の状態を示す一部断面図である。 図11のXV−XV断面図である。 図11のXVI−XVI断面図である。 ノック部材3および回転子17の長手方向が一致した中立状態を示す図である。 ノック部材3が回転子17に対して傾いている傾斜状態を示す図である。 軸筒の材質と筆感の対応関係を示す図である。 第2実施形態におけるボールペン1の断面図である。 永久磁石21および回転子17の斜視図である。 コイル22およびノック部材3の斜視図である。 第3実施形態における構成を示す図である。 第3実施形態におけるボールペン1の断面図である。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。図1の断面図に示すように、本実施形態のボールペン1(2触ペン)は、本体2、ノック部材3、溝形成部4を有している。本体2は、ボールペン1のうちノック部材3および溝形成部4以外の部分であり、軸筒11、グリップ12、クリップ13、中芯14、バネ15、後端カバー16、回転子17を有している。
軸筒11は、中芯14等を収容する無底筒形状の筐体であり、後側軸筒111および前側軸筒112を備えている。後側軸筒111は、前側軸筒112よりも後側(図1の上側)に配置された部材であり、図1、図2、図3に示すように、無底筒形状を有している。また、図1に示すように、後側軸筒111の前側(図1の下側、図3の左側)の端部の内周面に、前側軸筒112の雄ネジと螺合する雌ネジが形成されている。また、図3に示すように、後側軸筒111の後側の端部の内周面に、後側軸筒111と一体に形成された溝形成部4が配置されている。溝形成部4の構造については後述する。以下、この軸筒11の軸芯を、単に軸芯という。また、本明細書では、軸筒11の長手方向を前後方向と呼び、前後方向の前側をペン先側とする。
前側軸筒112は、後側軸筒111よりも前側に配置された無底筒形状の部材であり、前側軸筒112の後側の端部の外周面に、後側軸筒111の上記雌ネジと螺合する雄ネジが形成されている。後側軸筒111の上記雌ネジと前側軸筒112の上記雄ネジが螺合することで、後側軸筒111に対して前側軸筒112が固定される。
後側軸筒111と前側軸筒112の材質は、同じであってもよいし、違っていても良い。例えば、後側軸筒111と前側軸筒112は、どちらもポリプロピレン製であってもよいし、どちらもポリカーボネート製であってもよい。後側軸筒111と前側軸筒112の材質の詳細については、後述する。
グリップ12は、前側軸筒112のうち、筆記者が把持すると想定された部分の外周に巻かれたゴム部材であり、筆記者の指がボールペン1に対して滑ることを防止する目的のために用いられる。また、グリップ12がゴム部材である場合は、滑り止め以外にも柔らかさを演出するという効果も発揮する。柔らかさを演出するという効果は、後述する第1筆感状態であれば、グリップ12としてアルミ部材などを用いても実現可能である。クリップ13は、後側軸筒111の外周に取り付けられており、ボールペン1をシャツの胸ポケット内に挿入した際、クリップ13と後側軸筒111で胸ポケットが挟まれ、ボールペン1の位置が安定する。
中芯14は、軸芯方向に延びる棒形状の部材であり、インクタンク141および先端部142を有している。インクタンク141は、軸筒11に内装される筒形状の部材であり、内部に図示しないインクが充填された円筒形状となっている。
先端部142は、インクタンク141の前側端部に取り付けられ、インクタンク141と接続すると共にインクタンク141よりも小径のジョイント、および、ジョイントよりも前側にあるチップを、供えている。チップにはジョイントを介してインクタンク141からインクが供給される。筆記時には、チップの最も前端にあるペン先(筆記具の先端の一例に相当する)から、インクが吐出される。この先端部142のチップ(ペン先を含む)は、筆記可能な状態においては、前側軸筒112の前側の開口部である先口から軸筒11の外に突出している。また、先端部142の全体(ペン先を含む)は、筆記不可能な状態においては、前側軸筒112内に内装されている。
バネ15は、先端部142のジョイントの外周に取り付けられ、後端側がインクタンク141の前端面に当接し、前端側が前側軸筒112の内周面に当接する。これにより、インクタンク141はバネ15の伸びようとする復元力によって後方に付勢される。後端カバー16は、後側軸筒111の後端に固定された樹脂製の補強部材である。
また、図3、図4、図5に示すように、後側軸筒111の後側の端部の内周面に、溝形成部4(付勢部材の一例に相当する)が形成されている。溝形成部4は、ノック部材3、回転子17と連携してボールペン1の筆記可能な状態と筆記不可能な状態を切り替え可能にするための部材である。それと共に溝形成部4は、ノック部材3の第1筆感状態と第2筆感状態の間の切り替えを可能とする部材である。
溝形成部4は、第1カム部材41、第2カム部材42、第3カム部材43を有している。図4、図5に示すように、第1、第2、第3カム部材41、42、43は、この順で軸芯から見た周方向の図4の時計回り方向に、等間隔で配置されている。これにより、第1カム部材41と第2カム部材42の間には前後方向に延びる第1溝V12が形成され、第2カム部材42と第3カム部材43の間には、前後方向に延びる第2溝V23が形成され、第3カム部材43と第1カム部材41の間には、前後方向に延びる第3溝V31が形成される。
第1カム部材41は、図3、図4、図5に示すように、第1歯部41a、窪み部41b、第2歯部41cを有している。第1歯部41a、窪み部41b、第2歯部41cは、この順番に軸芯から見た周方向の図4の時計回り方向に、間隔を置かずに並んで配置されている。
第1歯部41aは、図3に示すように、前側の端面が、前後方向に対して斜めに形成されている。また第1歯部41aは、図3、図5に示すように、後側の端面が、前後方向に垂直な2段に形成されている。この2段の後側端面のうち、より第3溝V31に近くかつより前側に凹んでいる方の端面を、凹み端面41avという。
第2歯部41cは、図3に示すように、前側の端面が、前後方向に対して斜めに形成されている。第2歯部41cの前側の端面の向きと第1歯部41aの前側の端面の向きは同じなので、これら2つの端面はのこぎり歯状に並んでいる。また第2歯部41cは、図3、図5に示すように、後側の端面が、前後方向に垂直な2段に形成されている。この2段の後側端面のうち、より窪み部41bに近くかつより前側に凹んでいる方の端面を、凹み端面41cvという。
窪み部41bは、第1歯部41aと第2歯部41cの間に配置され、第1歯部41a、第2歯部41cよりも軸芯から離れる方向に窪んだ部分である。なお、第1歯部41a、窪み部41b、第2歯部41cによって囲まれた溝(以下、窪み部41bの溝という)の深さは、第1〜第3溝V12、V23、V31の深さよりも小さい。
第2カム部材42は、図4、図5に示すように、第1歯部42a、窪み部42b、第2歯部42cを有している。第1歯部42a、窪み部42b、第2歯部42cは、この順番に軸芯から見た周方向の図4の時計回り方向に、間隔を置かずに並んで配置されている。
第1歯部42aは、図示しないが、第1歯部41aと同様に、前側の端面が、前後方向に対して斜めに形成されている。また第1歯部42aは、図5に示すように、後側の端面が、前後方向に垂直な2段に形成されている。この2段の後側端面のうち、より第1溝V12に近くかつより前側に凹んでいる方の端面を、凹み端面42avという。
第2歯部42cは、図示しないが、第2歯部41cと同様に、前側の端面が、前後方向に対して斜めに形成されている。第2歯部42cの前側の端面の向きと第1歯部42aの前側の端面の向きは同じなので、これら2つの端面はのこぎり歯状に並んでいる。また第2歯部42cは、図5に示すように、後側の端面が、前後方向に垂直な2段に形成されている。この2段の後側端面のうち、より窪み部42bに近くかつより前側に凹んでいる方の端面を、凹み端面42cvという。
窪み部42bは、第1歯部42aと第2歯部42cの間に配置され、第1歯部42a、第2歯部42cよりも軸芯から離れる方向に窪んだ部分である。なお、第1歯部42a、窪み部42b、第2歯部42cによって囲まれた溝(以下、窪み部42bの溝という)の深さは、第1〜第3溝V12、V23、V31の深さよりも小さい。
第3カム部材43は、図3、図4、図5に示すように、第1歯部43a、窪み部43b、第2歯部43cを有している。第1歯部43a、窪み部43b、第2歯部43cは、この順番に軸芯から見た周方向の図4の時計回り方向に、間隔を置かずに並んで配置されている。
第1歯部43aは、図示しないが、第1歯部41aと同様に、前側の端面が、前後方向に対して斜めに形成されている。また第1歯部43aは、図5に示すように、後側の端面が、前後方向に垂直な2段に形成されている。この2段の後側端面のうち、より第2溝V23に近くかつより前側に凹んでいる方の端面を、凹み端面43avという。
第2歯部43cは、図3に示すように、前側の端面が、前後方向に対して斜めに形成されている。第2歯部43cの前側の端面の向きと第1歯部43aの前側の端面の向きは同じなので、これら2つの端面はのこぎり歯状に並んでいる。また第2歯部43cは、図3、図5に示すように、後側の端面が、前後方向に垂直な2段に形成されている。この2段の後側端面のうち、より窪み部43bに近くかつより前側に凹んでいる方の端面を、凹み端面43cvという。
窪み部43bは、第1歯部43aと第2歯部43cの間に配置され、第1歯部43a、第2歯部43cよりも軸芯から離れる方向に窪んだ部分である。なお、第1歯部43a、窪み部43b、第2歯部43cによって囲まれた溝(以下、窪み部43bの溝という)の深さは、第1〜第3溝V12、V23、V31の深さよりも小さい。
回転子17(中間部材の一例に相当する)は、樹脂製(例えばポリアセタール樹脂製)の部材であり、図1、図6、図7に示すように、円筒形状の胴部171と、胴部の前端に取り付けられたフランジ部172と、胴部171の後端に取り付けられたリング部173を有している。更に回転子17は、胴部171の外周に配置された第1係合部174a、第2係合部174b、第3係合部174cを有している。これら部材171、172、173、174a、174b、174cは、一体に形成されており、後側軸筒111内において、軸芯の周りに回転可能に配置されている。
胴部171は、前後方向に延びる円筒形状の部材である。フランジ部172は、胴部171の前端側に配置され、胴部171よりも少し外径が大きい円環形状の部材であり、中芯14の後端面と当接する。リング部173は、胴部171の後端側に配置され、胴部171よりも外径が小さい円環形状の部材である。
係合部174a、174b、174cは、胴部171の外周面において、軸芯から見て周方向に等間隔(具体的には120°間隔)に配置されている。また、係合部174a、174b、174cのそれぞれは、軸芯から見て胴部171の外周面から径外方向に突出すると共に、前後方向に真っ直ぐ延びている。また、係合部174a、174b、174cのそれぞれは、前側の端部においてフランジ部172と一体に接続し、後側の端部においてリング部173と一体に接続し、後端面が前後方向に対して斜めに形成されている。なお、係合部174a、174b、174cの後端面の前後方向に対する傾き角は、すべて同じである。
ノック部材3(変位部材の一例に相当する)は、図8、図9、図10に示す通り、円筒形状の本体部31と、本体部31の外周面に配置される第1突起部32a、第2突起部32b、第3突起部32cを有している。部材31、32a、32b、32cは、一体に形成されている。このノック部材3は、後述する通り、筆記時に、係合部174a、174b、174cに衝突するように変位可能である。
本体部31は、後端側にのみ底のある円筒形状を有しており、前端側の端面は、頂部33a、33b、33c、33d、33e、33fが前側に配置され、谷部34a、34b、34c、34d、34e、34fが後側に配置された6個の三角山形状が、軸芯からみた周方向に、連続して並んでいる。このように形成されている本体部31の前端側の端面は、回転子17の係合部174a、174b、174cの後端面と当接することができる。
第1突起部32a、第2突起部32b、第3突起部32cは、本体部31の外周面の前端部において、軸芯から見て周方向に等間隔(具体的には120°間隔)に配置されている。また、第1突起部32a、第2突起部32b、第3突起部32cのそれぞれは、軸芯から見て本体部31の外周面から径外方向に突出する。これら第1突起部32a、第2突起部32b、第3突起部32cは、それぞれ、窪み部41bの溝、窪み部42bの溝、窪み部43bの溝に嵌っている。したがって、ノック部材3は、窪み部41bの溝、窪み部42bの溝、窪み部43bの溝にガイドされて、軸芯を中心とする回転が規制されながら、前後方向に揺動可能である。
以上のような構成のボールペン1の作動について、以下説明する。まず、ボールペン1は、ノック部材3が押圧操作される度に、回転子17が前後方向に移動すると共に回転する(すなわち変位する)ことで、筆記可能な状態と筆記不可能な状態とが切り替わる。ノック部材3の操作に応じて筆記可能な状態と筆記不可能な状態とが切り替わる技術は周知であるが、ここでも簡単に説明する。
筆記可能な状態においては、図11に示すように、ノック部材3の前端面の3つの頂部33a、33c、33eおよびその近傍が、回転子17の係合部174a、174b、174cの上端面と、それぞれ、接触している。またこの状態では、図示しないが、係合部174a、174b、174cの後部は、窪み部41b、42b、43bの前側の端面に当たっている。したがって、回転子17は、窪み部41b、42b、43bに引っ掛かることで、それ以上後方に移動できない状態となっている。なお、図11は、ボールペン1において軸筒11、グリップ12、後端カバー16の紙面手前側の半分を省略した図である。
筆記可能な状態において筆記者がノック部材3を押圧操作すると、ノック部材3が前方に移動する。その結果、ノック部材3の前端面が回転子17の係合部174a、174b、174cを前方に付勢し、それにより、回転子17も前方に移動する。この際、ノック部材3と係合部174a、174b、174cの接触面が前後方向に対して斜めなので、回転子17を軸芯を中心として回転させる力が接触面に働くが、第1歯部41a、42a、43aの周方向の端面との接触面から係合部174a、174b、174cに逆の力が働くので、回転子17は回転が規制されている。
更にノック部材3が押圧されて回転子17がある程度前方に移動すると、係合部174a、174b、174cが第1歯部41a、42a、43aに当接しなくなり、その結果、回転子17が軸芯を中心として回転する。この回転は、係合部174a、174b、174cの後端側頂点がノック部材3の谷部34a、34c、34eに当接するまで続き、当接した時点で停止する。
その後、筆記者がノック部材3の押圧を止めてノック部材3から手を離すと、バネ15の復元力により、中芯14、回転子17、ノック部材3は後方に移動する。このとき、係合部174a、174b、174cは、後端面が第2歯部41c、42c、43cに付勢されることにより、回転しながら後方に進み、その後、第1溝V12、第2溝V23、第3溝V31に嵌まり、これら溝V12、V23、V31にガイドされて更に後方に移動する。
係合部174a、174b、174cが溝V12、V23、V31にガイドされて更に後方に移動することにより、中芯14の先端部142が完全に前側軸筒112内に収容される。この作動により、筆記不可能な状態が実現される。
筆記不可能な状態において筆記者がノック部材3を押圧操作すると、ノック部材3が前方に移動する。その結果、ノック部材3の前端面が係合部174a、174b、174cを前方に付勢し、それにより、回転子17も前方に移動する。この際、筆記可能な状態でノック部材3が押圧操作され始めた時点と同様の機構により、回転子17は溝V12、V23、V31により回転が規制されている。また、更にノック部材3が押圧されたときに回転子17が回転して停止する機構も、筆記可能な状態でノック部材3が引き続き押圧操作された段階と同じである。
その後、筆記者がノック部材3の押圧を止めてノック部材3から手を離すと、バネ15の復元力により、中芯14、回転子17、ノック部材3は後方に移動する。このとき、係合部174a、174b、174cは、後端面が第1歯部41a、42a、43aに付勢されることにより、回転しながら後方に進み、その後、後端面が窪み部41b、42b、43bの前端面に当接することで停止する。この状態は、先端部142のチップが前側軸筒112の外部に突出した状態なので、筆記可能な状態が実現する。
また、本実施形態のボールペン1では、筆記可能な状態において、ノック部材3の第1筆感状態と第2筆感状態を切り替えることができる。筆記可能な状態における第1筆感状態は、図11、図12、図13に示した状態である。
この状態では、図12に示すように、ノック部材3は、第1突起部32a、第2突起部32b、第3突起部32cが窪み部41b、42b、43bの溝に嵌って、軸芯を中心とする回転が規制されながら前後方向に揺動可能となっている。したがって、第1筆感状態においてはボールペン1の動きに応じてノック部材3がボールペン1の他の部分(本体2および溝形成部4)に対して変位する。この状態では、溝形成部4の凹み端面41cv、42cv、43cvは、ノック部材3と接触していない。したがって、凹み端面41cv、42cv、43cvがノック部材3を付勢する力はゼロである。
また、筆記可能な状態における第2筆感状態は、図14、図15、図16に示した状態である。この状態は、筆記者が、第1筆感状態において、ノック部材3を摘んで後方に引っ張り、ノック部材3が可動範囲中で最も後方に位置した段階で、軸芯を中心としてノック部材3を図16中時計回り方向に回転させる。これにより、ノック部材3の第1突起部32a、第2突起部32b、第3突起部32cが、図16に示すように、それぞれ、第2歯部41cの凹み端面41cv、第2歯部42cの凹み端面42cv、第2歯部43cの凹み端面43cvの後側の空間に嵌まる。
このとき、ノック部材3の第1突起部32a、第2突起部32b、第3突起部32cの前端面は、それぞれ、凹み端面41cv、42cv、43cvに当接する。したがって、ノック部材3は、凹み端面41cv、42cv、43cvによって、軸芯方向に平行かつ回転子17からから離れる方向に、付勢される。
更に、図示しないが、ノック部材3の第1突起部32a、第2突起部32b、第3突起部32cの後端面は、後端カバー16の前端面に当接する。つまり、第2筆感状態においては、ノック部材3の第1突起部32a、第2突起部32b、第3突起部32cの後端面は、凹み端面41cv、42cv、43cvと後端カバー16との間に圧入された状態となっている。したがって、第2筆感状態においては、ボールペン1を動かしても、ノック部材3はボールペン1の他の部分(本体2および溝形成部4)に対して固定される。
ここで、第1筆感状態におけるノック部材3の動きについて、図17、図18を用いて更に説明する。筆記可能な状態かつ第1筆感状態において、筆記者がボールペン1を用いて筆記を行うと、筆記に伴う動きがボールペン1に発生し、その動きと重力の作用によって、ノック部材3が本体2および溝形成部4に対して変位する。なお、筆記時には、通常、ボールペン1は立った状態で動く。すなわち、ノック部材3よりもペン先の方が鉛直方向下側に位置した状態で、ボールペン1が動く。
窪み部41b、42b、43bと突起部32a、32b、32cとの間には僅かに隙間がある。したがって、重力下でボールペン1を立てて通常の方法で筆記した場合、ノック部材3は、中立状態、3つの一箇所接触傾斜状態、および3つの二箇所接触傾斜状態の間で遷移する。中立状態では、図17に示すように、軸芯Sの方向とノック部材3の長手方向が一致し、係合部174a、174b、174cのすべてが、後端部においてノック部材3の前端部と当接する。
3つの一箇所接触傾斜状態の各々では、軸芯Sの方向に対してノック部材3の長手方向が僅かに傾く。そしてこのとき、係合部174a、174b、174cのうちいずれか1つだけが、後端部においてノック部材3の前端部と当接すると共に、他の2つの係合部は、ノック部材3と接触しない。図18に、これら3つの傾斜状態のうち、第2係合部174bのみがノック部材3と当接している傾斜状態を示す。なお、図18では、ノック部材3の軸芯Sに対する傾き角を実際よりも誇張して記載している。
3つの二箇所接触傾斜状態の各々では、軸芯Sの方向に対してノック部材3の長手方向が僅かに傾く。そしてこのとき、係合部174a、174b、174cのうちいずれか2つが、後端部においてノック部材3の前端部と当接すると共に、他の1つの係合部は、ノック部材3と接触しない。
中立状態、3つの一箇所接触傾斜状態、および3つの二箇所接触傾斜状態の間の遷移順序は、ボールペン1の動きに応じて様々である。中立状態から3つの一箇所接触傾斜状態のうちいずれか1つに遷移する場合もあれば、3つの一箇所接触傾斜状態のいずれかから中立状態に遷移する場合もある。また、中立状態から3つの二箇所接触傾斜状態のうちいずれか1つに遷移する場合もあれば、3つの二箇所接触傾斜状態のいずれかから中立状態に遷移する場合もある。また、3つの一箇所接触傾斜状態のいずれかから3つの二箇所接触傾斜状態のうちいずれか1つに遷移する場合もあれば、3つの二箇所接触傾斜状態のいずれかから3つの一箇所接触傾斜状態のうちいずれか1つに遷移する場合もある。また、1つの一箇所接触傾斜状態から他の一箇所接触傾斜状態に遷移する場合もあれば、1つの二箇所接触傾斜状態から他の二箇所接触傾斜状態に遷移する場合もある。
一箇所接触傾斜状態の1つから中立状態に変位するときは、係合部174a、174b、174cのうち上記1つとノック部材3の当接部分が支点となり、他の2つの係合部がノック部材3に同時に衝突する。このような挙動でノック部材3と回転子17が衝突するときは、必ずノック部材3と回転子17の相対的な傾きがゼロになっている。また、衝突した直後に、係合部174a、174b、174cのうちいずれか1つとノック部材3の当接部分が支点となってノック部材3が傾き、これにより中立状態から傾斜状態への遷移が発生することがある。
また、二箇所接触傾斜状態から中立状態に遷移する場合も、一箇所接触傾斜状態から二箇所接触傾斜状態に遷移する場合も、この遷移によって新たにノック部材3と当接することになる係合部が、ノック部材3と衝突する。また、ある一箇所傾斜状態から他の一箇所傾斜状態に遷移する場合も、ある二箇所傾斜状態から他の二箇所傾斜状態に遷移する場合も、この遷移によって新たにノック部材3と当接することになる係合部が、ノック部材3と衝突する。また、二箇所接触傾斜状態から一箇所接触傾斜状態に遷移する場合も、この遷移によって新たにノック部材3と当接することになる係合部があれば、その係合部がノック部材3と衝突するが、なければ、衝突は発生しない。
このような動きが3次元的に繰り返し行われることで、ノック部材3が揺動しながら回転子17との衝突を繰り返す。そしてその揺動の最大傾斜角度や周期が、筆記の動きや紙などによって変わり、回転子17に伝わる衝突による振動が多様化する。
ノック部材3と回転子17の衝突時は、図17に示すように、回転子17のうち係合部174a、174b、174cの後端面が、それぞれ、ノック部材3の頂部33a、33c、33eおよびその近傍と接触し、それ以外の部分はノック部材3と接触しない。
例えば、机の上に下敷きを置き、その下敷きの上に紙を置き、その紙にボールペン1で筆記を行ったとする。筆記可能な状態では、中芯14がバネ15の力によって回転子17を溝形成部4のカム部材41、42、43の前端面に押しつけているので、この場合、筆記による振動は、ボールペン1のペン先から先端部142、インクタンク141、回転子17の順に伝達する。更にこの振動は、回転子17からカム部材41、42、43、後側軸筒111、前側軸筒112、グリップ12の順に伝達し、グリップ12から筆記者の指に伝達する。なお、このような伝達経路は、筆記による複数の振動伝達経路のうちの1つである。筆記者は、この振動から筆感を得る。
第2筆感状態では、本体2の後端にノック部材3が固定されているので、ノック部材3は上記の筆記による振動伝達経路から実質的に切り離されている。しかし、第1筆感状態では、ノック部材3が回転子17に繰り返し衝突するので、筆記による振動伝達経路の途中に、ノック部材3と回転子17の衝突による振動が作用する。したがって、ノック部材3と回転子17の衝突による振動が、筆記者の筆感に影響を与える。
発明者は、本実施形態のボールペン1について、後側軸筒111と前側軸筒112の材質の種々の組み合わせについて、第1筆感状態と第2筆感状態の筆感の官能評価を行った。その結果を図19に示す。
図19の表中、Aは800MPaのヤング率を有する材質(具体的には熱硬化性ポリウレタン樹脂)であり、Bは2300MPaのヤング率を有する材質(具体的には熱硬化性ポリウレタン樹脂)である。また、Cは2400MPaのヤング率を有する材質(具体的にはポリカーボネート樹脂)であり、Dは1600MPaのヤング率を有する材質(具体的にはポリプロピレン樹脂)である。
この実験における評価項目は、抵抗、振動、やわらかさ、つっかかりの4項目であり、いずれも1から5までの5段階評価で表されている。抵抗は、ボールペン1と紙の間の摩擦に起因する抵抗の感覚であり、数値が大きいほど抵抗が大きいことを示している。振動は、筆記中において指に感じる振動の強度の大小を表し、数値が大きいほど強度が大きいことを示している。やわらかさは、ボールペン1が紙に当たったとき、および、ボールペン1が紙に接触して紙の上を移動しているときの、筆記者が感じるボールペン1または紙の柔らかさであり、数値が大きい程よりやわらかいことを示している。つっかかりは、ボールペン1のペン先(チップの最前端にあるボール)が回転せずに引っ掛かっている感覚であり、数値が大きいほど引っ掛かりの度合いが大きいことを示している。評価結果は、評価者が自分の感覚に基づいて数値を決定したものである。
図19には、後側軸筒111と前側軸筒112の両方で同じ材質Aを用いた場合、後側軸筒111に材質Aを用い前側軸筒112に材質Bを用いた場合、後側軸筒111に材質Bを用い前側軸筒112に材質Aを用いた場合、後側軸筒111と前側軸筒112の両方で同じ材質Bを用いた場合、後側軸筒111に材質Cを用い前側軸筒112に材質Dを用いた場合(市販されている製品と同じ材質を用いた場合)の結果が示されている。
これらの結果によれば、第1筆感状態では比較的ソフトタッチな筆感が実現し、第2筆感状態では比較的シャープでハードタッチな筆感が実現する。また、後側軸筒111と前側軸筒112の両方が同じ材質である場合の方が、そうでない場合に比べて、第1筆感状態と第2筆感状態の差が顕著になっていることがわかる。
図19について、第1、第2筆感状態の数値の差の絶対値をすべての評価項目の総和値で評価すると、後側軸筒111と前側軸筒112の両方が同じ材質である場合の方が、そうでない場合に比べて、第1、第2筆感状態の差がより顕著になっている。
このようになるのは、後側軸筒111と前側軸筒112がインピーダンスマッチングしているからである可能性がある。その観点から見れば、例えば、後側軸筒111のヤング率に対する前側軸筒112のヤング率の比は、0.95以上1.05以下であれば、つまり、両者のヤング率が概ね同じであれば、そうでない場合に比べ、第1、第2筆感状態の差がより顕著になっている可能性が高い。
また、図19について、やわらかさについては、後側軸筒111と前側軸筒112の両方が同じ材質であり、かつ、ヤング率が800MPaという比較的低い値の場合で、第1、第2筆感状態の差が一番顕著になっている。この観点から見れば、後側軸筒111のヤング率および前側軸筒112のヤング率は、いずれも2000MPa以下であれば、そうでない場合に比べ、第1、第2筆感状態の差がより顕著になっている可能性が高い。
また、ボールペン1を用いた別の筆記実験によれば、例えば、筆記者が目を閉じて筆記した場合、第2筆感状態の場合は、ボールペン1の先端部142のペン先の位置を比較的思い描ける。つまり、第2筆感状態では、筆記者の把持している3指の位置および姿勢から推定されるペン先の位置に、硬い机と下敷きの上の紙と接触している感覚が得られるのに対し、第1筆感状態では、ペン先が硬い机と下敷きの上の紙と接触している感覚が消失している。これは、先に示した官能評価の結果と深く関わっており、筆感生成メカニズムの本質的解明の糸口になると発明者は考えている。
なお、どの実験結果においても、先端部142から紙へのインクの吐出量に、通常のばらつきを超える違いは見られなかった。また、第1筆感状態の方が、第2筆感状態よりも筆圧が低い傾向にある。
以上説明した通り、本実施形態のボールペン1は、中芯14から回転子17、溝形成部4を介して軸筒11に振動が伝達するように構成されており、ノック部材3が、回転子17の第1筆感状態と第2筆感状態の間の切り替えを可能とする凹み端面41cv、42cv、43cvを有している。
そして、凹み端面41cv、42cv、43cvがノック部材3を付勢する力が変化することで、筆記時におけるノック部材3と回転子17の係合部174a、174b、174c(所定の衝突対象部位の一例に相当する)との衝突の有無が変化し、その結果、筆記者の筆感が変化する。
より具体的には、第1筆感状態では、筆記時の本体2の動きによってノック部材3が変位して本体2のうち回転子17の係合部174a、174b、174c(所定の衝突対象部位の一例に相当する)に繰り返し衝突し、衝突による振動が軸筒11に伝達される。また、第2筆感状態では、筆記時にノック部材3が固定されて係合部174a、174b、174cに衝突しない。
このように、第1筆感状態では、ノック部材3と衝突対象部位の衝突による振動が軸筒11に伝達され、第2筆感状態では、ノック部材3と衝突対象部位の衝突が無いので、第1筆感状態と第2筆感状態の間で筆感に差が生じる。また、弾性部材の弾性力を変化させて筆感を切り替える場合に比べ、筆記時にペン先が弾力的に変位する可能性が低いので、筆記時にペン先が軸筒に対して移動する量を従来よりも低減することができる。
また、特許文献1のような手法で弾性力の変動を感じ取るためには筆記時の筆圧が大きく影響してくる。例えば、筆圧が低い人の場合、バネの弾性力が最も小さい段階でもバネの弾性力の変動を発生させることが困難な場合がある。また例えば、筆圧が非常に高い人の場合、バネの弾性力の変動が大きくなりすぎて、ペン先がペン本体に対して上下に大きく移動してしまい、その結果、筆記者が筆記時に違和感を覚えてしまうおそれがある。これに対し、本実施形態のボールペン1は、筆記時にペン先が弾力的に変位する可能性が低いので、筆記者の筆圧による筆感の影響を低減することができる。
また、特許文献1のように弾性部材の弾性力を変化させる手法では、筆感が質的に変わるのではなく、筆感の一側面である弾力感が量的に変化するに過ぎない。これに対し、本実施形態の第1筆感状態と第2筆感状態では、上記の通り、質的に大きく異なっている。
また、ボールペン1では、ノック部材3に対して外部の振動発生装置等から能動的に振動を与えるのではなく、筆記時の中芯14の振動によって自然かつ受動的にノック部材3が振動する。これに対して、外部の振動発生装置等を使ってノック部材3の前記振動を模擬して、この振動を回転子17に与えることは原理的に可能であるが、筆記時の中芯14の振動が変化した場合は、それに対応した振動に切り替える必要があり、これらを満たす振動発生装置は一般的に大掛かりになり、実現した筆感が不自然になるなど現実的ではない。
また、筆記時に中芯14と軸筒11の両方に接触する回転子17の一部に、ノック部材3が衝突する衝突対象部位がある。このように、第1筆感状態では、中芯14から軸筒11への振動の伝達経路上の回転子17に変位部材が衝突することで、より効果的に衝突による振動が筆記者の手に伝わるので、第1筆感状態と第2筆感状態の筆感の違いが更に顕著になる。
また、周知のノック機構として用いられる部材を変位部材および中間部材として兼用することで、よりシンプルな構成で筆感の切り替えを実現することができる。
また、ノック部材3は、第1筆感状態において、筆記時に、互いに離れた複数箇所33a、33c、33eが回転子17の係合部174a、174b、174cに繰り返し衝突する。このようになっていることで、ノック部材3と衝突対象部位の衝突の態様が適切になり、その結果、第1筆感状態と第2筆感状態の筆感の違いが更に顕著になる。
なお、発明者の別の実験によれば、筆記時に使用する上記下敷きの紙側の面の粗さを変えると、筆記時の中芯14の振動が変化する。したがって、使用する下敷きの粗さを最適化することで、第1筆感状態と第2筆感状態の筆感の差を最大化することができる。
また、第2筆感状態から第1筆感状態への切り替えは、上述の第1筆感状態から第2筆感状態への操作を経時的に逆にした操作で実現する。
(第2実施形態)
次に第2実施形態について説明する。図20に示すように、本実施形態のボールペン1は、第1実施形態のボールペン1に対し、磁力の発生、非発生を切り替え可能な部材として、永久磁石21、コイル22、導線23a、23b、電源24、スイッチ25が追加されている。永久磁石21およびコイル22が付勢部材の一例に相当する。
永久磁石21は、図20、図21に示すように、円盤形状を有しており、回転子17の後端にあるリング部173に囲まれる様にリング部173の内側に挿入される。これにより、永久磁石21は、回転子17に対して固定される。
コイル22は、図20、図22に示すように、ノック部材3の前端部の内壁面において、軸芯を中心として多数回(例えば600回)巻きめぐらされている。これにより、コイル22は、ノック部材3に固定される。そして、永久磁石21とコイル22は対向して配置される。なお、コイル22の内側に鉄心等の芯は配置されない。
導線23a、23bは、それぞれ、コイル22の一端および他端に接続され、ノック部材3の後端部に空けられた貫通孔を通ってボールペン1の外部に延びている。そして、導線23a、23bは、直列に繋がれた直流電源24およびスイッチ25から成る回路の一端および他端に、それぞれ、接続されている。スイッチ25は、筆記者が手動でオン、オフを切り替えることができるようになっている。
ボールペン1の筆記可能な状態において、筆記者がスイッチ25をオンにすると、電源24からコイル22に電流が供給され、永久磁石21が発生する磁界とコイル22が発生する磁界により、永久磁石21とコイル22が互いに反発し合う。その結果、コイル22がノック部材3を軸芯方向後方に強く付勢する。そしてその付勢力により、ノック部材3が可動範囲の最後端の位置に固定され、第2筆感状態が実現する。この状態で筆記者がボールペン1を用いて筆記を行ってボールペン1が動いても、ノック部材3は固定されたままとなる。
また、ボールペン1の筆記可能な状態において、筆記者がスイッチ25をオンからオフに切り替えると、電源24からコイル22への電流供給が停止され、コイル22が磁界を発生しなくなる。つまり、コイル22がノック部材3を軸芯方向後方に付勢する力がほぼゼロになる。鉄心等の芯が無いので、この結果、コイル22が永久磁石21から力を受けなくなり、ボールペン1のペン先が下を向いている場合は、重力によりノック部材3が前側に落ちて回転子17と衝突する。その後もノック部材3は、窪み部41b、42b、43bの溝にガイドされてボールペン1の筆記に応じて変位し、回転子17に繰り返し衝突するので、第1筆感状態が実現する。
このように磁力を利用することで、筆記者がノック部材3に触れなくても、コイル22のノック部材3への付勢力を変化させて第1筆感状態と第2筆感状態の切り替えを実現できる。また、筆記中に、第1筆感状態と第2筆感状態の切り替えを容易に実現できる。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様、凹み端面41cv、42cv、43cvが形成されていてもよいし、あるいは、形成されていなくてもよい。
(第3実施形態)
次に第3実施形態について、図23を用いて説明する。本実施形態のボールペン1は、第2実施形態のボールペン1に対して、スイッチ25を制御装置26に置き換えたものである。この制御装置は、周知の通信方法(例えば、LANケーブルを介した有線通信、Bluetooth(登録商標)による無線通信)で携帯端末50(例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC)と通信可能となっている。また、制御装置26は、上記通信方法を用いて携帯端末50から受信した命令に従って、電源24からコイル22への電流の供給の有無を切り替えることができる。
そして、携帯端末50は、インターネット等の広域ネットワーク(図示せず)から、制御装置26に命令を送信するためのプログラムをダウンロードし、ダウンロードしたプログラムを実行するようになっている。
[応用例1]
例えば、携帯端末50がダウンロードして実行するプログラムとしては、脳波応答プログラムがある。この脳波応答プログラムを携帯端末50が実行する場合は、脳波を取得するモバイルヘッドセット(例えば、ニューロスカイ社製脳波コントロール MindWave)が携帯端末50に接続されている。このモバイルヘッドセットは、筆記者の頭に装着されて、筆記者の脳波に応じた信号を携帯端末50に出力する。
脳波応答プログラムを実行することで、携帯端末50は、このモバイルヘッドセットから出力された信号に基づいて、筆記者の脳波のうちα波のレベルを繰り返し定期的に取得する。そして、取得したα波のレベルが基準レベル未満であれば、制御装置26に対してオン命令を出力する。このオン命令を受信した制御装置26は、電源24からコイル22への電流供給を行うことで、第2筆感状態を実現する。これにより、筆記者は、ボールペン1を用いた筆記時に、比較的ハードタッチな筆感を得る。
その後、取得したα波のレベルが基準レベル以上になると、携帯端末50は、制御装置26に対してオフ命令を出力する。このオフ命令を受信した制御装置26は、電源24からコイル22への電流供給を停止することで、第1筆感状態を実現する。これにより、筆記者は、ボールペン1を用いた筆記時に、比較的ソフトタッチな筆感を得る。このように、筆記者の脳のα波に基づいて、自動的に筆感が切り替わる。
[応用例2]
また例えば、携帯端末50がダウンロードして実行するプログラムとしては、使用時間応答プログラムがある。使用時間応答プログラムを実行することで、携帯端末50は、筆記者がボールペン1の使用を開始し始めた使用開始時点(例えば、勉強開始時点)からの経過時間を繰り返し計測する。なお、携帯端末50は、筆記者が携帯端末50に対して所定の使用開始操作を行った時点を、使用開始時点とする。
そして携帯端末50は、経過時間が基準時間未満であれば、制御装置26に対してオン命令を出力する。このオン命令を受信した制御装置26は、電源24からコイル22への電流供給を行うことで、第2筆感状態を実現する。これにより、筆記者は、ボールペン1を用いた筆記時に、比較的ハードタッチな筆感を得る。
その後、筆記者が疲れる程の時間が経過し、経過時間が基準時間以上になると、携帯端末50は、制御装置26に対してオフ命令を出力する。このオフ命令を受信した制御装置26は、電源24からコイル22への電流供給を停止することで、第1筆感状態を実現する。これにより、筆記者は、ボールペン1を用いた筆記時に、比較的ソフトタッチな筆感を得る。このように、筆記者の疲れ度合いに応じて、自動的に筆感が切り替わる。
[応用例3]
また例えば、携帯端末50がダウンロードして実行するプログラムとしては、高齢者認知症防止プログラムがある。高齢者認知症防止プログラムを使用する場面としては、例えば、介護施設において高齢者がボールペン1を使用して筆記する場面がある。このような場面において携帯端末50が高齢者認知症防止プログラムを実行することで、携帯端末50は、ランダムに、あるいは、介護施設の職員により携帯端末50への操作入力に基づいて、上述のオン命令、オフ命令を交互に制御装置26に送信する。これにより、第1筆感状態と第2筆感状態が交互に切り替わる。
そして、職員は、筆記者である高齢者に、筆感の切り替わりの有無を申告してもらう。このような訓練により、高齢者の認知力低下の防止となる。あるいは、筆感がランダムに切り替わることで、触感の変化が刺激となり通常の筆記よりも認知機能に良好な影響を与える可能性がある。
[応用例4]
また例えば、携帯端末50がダウンロードして実行するプログラムとしては、筆記スキル伝達プログラムがある。筆記スキル伝達プログラムを使用する場面としては、例えば、ボールペン習字の教室において生徒がボールペン1を使用して所定の文字を筆記する場面がある。また、この場面では、ボールペン1のペン先の現在の位置、移動速度、および筆圧を検出可能なセンサが、携帯端末50に接続されている。このような場面において携帯端末50が筆記スキル伝達プログラムを実行することで、携帯端末50は、上記センサから、ボールペン1のペン先の現在の位置、移動速度、および筆圧の情報(以下、運筆情報)を繰り返し定期的に取得し、取得した運筆情報と、あらかじめ定められた上記所定の文字の手本のデータを比較する。当該文字の手本のデータは、当該文字を筆記する際のペン先の位置、移動速度、および筆圧の模範例を示すデータである。
そして携帯端末50は、当該文字の運筆情報と、当該文字の手本のデータとの一致度を、当該文字の筆記途中において、繰り返し算出する。そして、算出した一致度が基準値以上の場合、オン命令をボールペン1に送信して比較的ハードタッチな第2筆感状態を実現する。また、例えば模範の位置からペン先がはみ出した場合等、算出した一致度が基準値未満の場合、オフ命令をボールペン1に送信して比較的ソフトタッチな第1筆感状態を実現する。
このようにすることで、筆記者は、ボールペン1の筆感から、自分の筆記内容に対する評価を得ることができる。ボールペン1の筆記内容の評価を筆感にフィードバックする他の方法としては、例えば、上記一致度が基準値未満の場合にボールペン1を能動的に振動させる方法があるが、その方法では、運筆が振動によって乱されてしまうという問題がある。それに対し、本応用例では、運筆が乱されることなく、ボールペン1の筆記内容の評価を筆感にフィードバックすることができる。
[応用例5]
また例えば、携帯端末50がダウンロードして実行するプログラムとしては、筆記対象対応プログラムがある。筆記対象対応プログラムを使用する場面としては、例えば、あらかじめ定められた複数種類の文字および複数種類の絵のうちから1つを選んでボールペン1で記載する場面がある。
この場面においては、まず、筆記者が、携帯端末50に対して選択操作を行うことで、あらかじめ定められた複数種類の文字および複数種類の絵のうちから1つを選ぶ。そして、携帯端末50は、選択された文字または絵に対してあらかじめ割り当てられた筆感状態を実現するよう、制御装置26にオン命令またはオフ命令を出力する。
例えば、携帯端末50は、ひらがなが選択された場合は、比較的ソフトタッチな第1筆感状態を実現するよう、オフ命令を制御装置26に出力し、漢字が選択された場合は、比較的ハードタッチな第2筆感状態を実現するよう、オン命令を制御装置26に出力する。
また例えば、携帯端末50は、人等の動物の絵が選択された場合は、比較的ソフトタッチな第1筆感状態を実現するよう、オフ命令を制御装置26に出力し、家または車が選択された場合は、比較的ハードタッチな第2筆感状態を実現するよう、オン命令を制御装置26に出力する。
なお、携帯端末50は、ボールペン1のペン先の現在の位置を検出可能なセンサが携帯端末50に接続されている場合、当該センサの検出結果に基づいて、現在書かれている対象が、あらかじめ定められた複数種類の文字および複数種類の絵のうちのどれであるかを特定してもよい。そして携帯端末50は、特定した対象に対してあらかじめ割り当てられた筆感状態を実現するよう、制御装置26にオン命令またはオフ命令を出力してもよい。
また例えば、携帯端末50は、物の輪郭が選択された場合は、比較的ハードタッチな第2筆感状態を実現するよう、オン命令を制御装置26に出力する。そして筆記者は、第2筆感状態が実現した状態で当該輪郭を記載する。そして携帯端末50は、上記輪郭で囲まれた内部の領域が選択された場合は、比較的ソフトタッチな第1筆感状態を実現するよう、オフ命令を制御装置26に出力する。そして筆記者は、第1筆感状態が実現した状態で当該領域を塗りつぶす。輪郭の記載を第2筆感状態で実現するのは、第2筆感状態ではペン先の位置をイメージしやすいからである。また、塗りつぶしを第1筆感状態で実現するのは、第1筆感状態では細いペン先の接触感覚が消失して都合が良いからである。
[応用例6]
また例えば、携帯端末50がダウンロードして実行するプログラムとしては、筆圧対応プログラムがある。筆圧対応プログラムを使用する場面では、ボールペン1の筆圧を検出可能なセンサが、携帯端末50に接続されている。
このような場面において携帯端末50が筆圧対応プログラムを実行することで、携帯端末50は、上記センサから、ボールペン1の筆圧の情報を繰り返し定期的に取得する。
そして例えば、携帯端末50は、取得した筆圧が基準筆圧値以上であれば制御装置26に対してオフ命令を出力することで、比較的ソフトタッチな第1筆感状態を実現する。また携帯端末50は、取得した筆圧が基準筆圧値未満であれば制御装置26に対してオン命令を出力することで、比較的ハードタッチな第2筆感状態を実現する。
[応用例7]
また例えば、携帯端末50がダウンロードして実行するプログラムとしては、漢字学習支援プログラムがある。携帯端末50は、漢字学習支援プログラムを実行することで、筆記者に漢字の練習を促す表示(例えば、漢字、読み、意味の同時表示)を行うと共に、一定時間間隔で、あるいは、ランダムなタイミングで、第1筆感状態と第2筆感状態とを切り替える。同一の筆感状態で漢字の練習を行う場合に比べ、上記のように筆感が変化する状態で漢字の練習を行う方が、脳に刺激が入り学習効果が期待できる。
また、「筆感を切り替える」ことを学習者(筆記者)が意識した方が良い可能性がある。このようにするためには、携帯端末50は、漢字学習支援プログラムを実行することで、筆記者の携帯端末50に対する切替操作に応じて、練習モードとテストモードとを適宜切り替える。そして携帯端末50は、練習モードでは、筆記者に漢字の練習を促す表示(例えば、漢字、読み、意味の同時表示)を行うと共に、第1筆感状態を実現する。そして携帯端末50は、テストモードでは、筆記者に漢字のテストを出す表示(例えば、漢字の読みあるいは意味の表示)を行うと共に、第2筆感状態を実現する。このようにすれば、学習者(筆記者)は、比較的ハードタッチな第2筆感状態のときはテスト中だと認識し、適度な緊張感と集中力が生まれ、それが学習効果の向上をもたらすと考えられる。
以上のように、本実施形態のボールペン1は、携帯端末50からの指令に基づいて、筆感を切り替えることができる。
(第4実施形態)
次に第4実施形態について、図24を用いて説明する。本実施形態のボールペン1は、第3実施形態のボールペン1に対して、制御装置26の位置をより具体的にしたものである。
本実施形態の制御装置26は、クリップ13の内部空間に収容されている。より具体的には、クリップ13は、図24に示すように、内部空間を囲む中空形状となっている。そして、制御装置26は、無線通信モジュール261、周辺回路部262、バッテリ263を有している。これら無線通信モジュール261、周辺回路部262、バッテリ263は、いずれもクリップ13の上記内部空間に収容されている。
また、クリップ13には、周辺回路部262に対して開口する第1開口部131と、第1開口部よりも後方側においてバッテリ263に対して開口する第2開口部132と、を有している。第1開口部131と第2開口部132のいずれも、クリップ13のうち後側軸筒111に対面する側に形成されている。
無線通信モジュール261は、携帯端末50と無線通信(例えばBluetoothによる無線通信)する通信機能、および、周辺回路部262を制御する制御機能を備えている。
無線通信モジュール261のサイズは、クリップ13の内部空間に収容可能な程度のものである。例えば、無線通信モジュール261は、Braveridge社のBVMCN5103−BKであってもよいし、それより更に小型のものであってもよい。無線通信モジュール261は、図24に示すように、クリップ13の内部空間において、周辺回路部262よりもバッテリ263よりもペン先側に配置される。
周辺回路部262は、無線通信モジュール261およびバッテリ263と有線接続されている。周辺回路部262は、回路基板、ならびに、その回路基板上に搭載された集積回路群および電子部品群(例えばコンデンサ)の集合体である。周辺回路部262は、バッテリ263から無線通信モジュール261へ電力を供給するための電源回路、無線通信モジュール261からの制御信号に応じた電圧をコイル22に印加するための出力回路等を有している。周辺回路部262は、図24に示すように、クリップ13の内部空間において、無線通信モジュール261よりも後方側にあり、バッテリ263よりもペン先側に配置される。
バッテリ263は、無線通信モジュール261および周辺回路部262に電力供給するための電池である。バッテリ263は、図24に示すように、クリップ13の内部空間において、無線通信モジュール261よりも周辺回路部262よりも後方側に配置される。
このバッテリ263は一次電池であっても二次電池であってもよい。バッテリ263が二次電池である場合、ボールペン1の使用によってバッテリ263の蓄電量が低下した際には、ボールペン1の外部からバッテリ263に充電可能である。この場合、周辺回路部262は、ボールペン1の外部からバッテリ263に充電を行うための回路を含んでいる。
バッテリ263のサイズは、クリップ13の内部空間に収容可能な程度のものである。例えば、バッテリ263は、パナソニック社製のピン形リチウムイオン電池CG−320であってもよいし、それより更に小型のものであってもよい。
本実施形態のボールペン1は、更にフレキシブル基板230および保持部材231を有している。フレキシブル基板230は、容易に変形可能なフレキシブルプリント配線基板である。フレキシブル基板230には、導線23a、23bの両端部以外がプリントされている。
保持部材231は、フレキシブル基板230を短手方向に曲げて細くして保持するための部材である。保持部材231は、ペン先に近い側の大径部と、ペン先から遠い側の小径部とを有する。
大径部は、ペン先側に開いた有底円筒形状を有し、更に、底部のうち軸筒11の軸芯部分に貫通孔が形成されている。小径部は、軸筒11の軸芯に一致する中心軸に貫通孔が空いた円柱形状の部材である。大径部の径よりも小径部の径の方が小さい。
大径部と小径部は一体に形成されており、大径部の貫通孔と小径部の貫通孔は連通している。また、小径部の後端部の外周は、ノック部材3の後端部に空けられた貫通孔に圧入されている。この圧入により、保持部材231はノック部材3に対して固定されている。
導線23aは、一端が周辺回路部262の上述の出力回路に接続され、他端がコイル22の一端に接続されている。導線23bは、一端が周辺回路部262の上述の出力回路に接続され、他端がコイル22の他端に接続されている。
フレキシブル基板230は、導線23a、23bと共に、クリップ13の第1開口部131によって囲まれる貫通孔を通って、クリップ13の内部空間の周辺回路部262近傍からクリップ13の外部に伸びる。更にフレキシブル基板230は、導線23a、23bと共に、クリップ13と後側軸筒111の間を、軸筒11の長手方向に沿って、後方に向かって伸び、第2開口部132に至る。
更にフレキシブル基板230は、第2開口部132によって囲まれた貫通孔の内部または当該貫通孔と後側軸筒111の間で、導線23a、23bと共に、ノック部材3の方向からペン先の方向に1回、および、ペン先の方向からノック部材3の方向に1回、計2回折り返されている。なお、このようにフレキシブル基板230および導線23a、23bが折り返された状態は、図24のように、筆記可能な状態、すなわち、中芯14の先端部142のチップが前側軸筒112の外部に突出した状態において、実現する。
更にフレキシブル基板230は、導線23a、23bと共に、クリップ13と後側軸筒111の間を、軸筒11の長手方向に沿って、ノック部材3の後端側に伸び、ノック部材3の後端に至る。更にフレキシブル基板230は、導線23a、23bと共に、ノック部材3の後端部に空けられた貫通孔を通ってノック部材3の内部に入る。更にフレキシブル基板230は、導線23a、23bと共に、保持部材231の小径部の貫通孔内および大径部の貫通孔内を通る。ノック部材3および保持部材231の貫通孔内において、フレキシブル基板230は、短手方向に曲げられ細くなった状態にある。そして、保持部材231の貫通孔内において、フレキシブル基板230の先端から導線23a、23bが伸び、それぞれ、コイル22の一端および他端に接続される。
なお、筆記不可能な状態、すなわち、中芯14の先端部142が完全に前側軸筒112内に収容された状態では、図24の状態に比べてノック部材3がより後方に位置する。したがって、筆記不可能な状態では、第2開口部132近傍におけるフレキシブル基板230および導線23a、23bの上述の折り返しが解消される。つまり、フレキシブル基板230および導線23a、23bが、一律にペン先からノック部材3の方向に、伸展された状態になる。したがって、筆記可能な状態から筆記不可能な状態に移行する際に、ノック部材3の移動がフレキシブル基板230および導線23a、23bによって制限されることがない。
ボールペン1の他の構成は、第3実施形態と同じである。本実施形態のボールペン1においては、第3実施形態と共通の構成を有する部分は、第3実施形態と同等の効果を発揮する。
また、本実施形態においては、上述の通り、制御装置26が、クリップ13に取り付けられている。このようになっていることで、筆記時において制御装置26が軸筒11と一体的に動くので、制御装置26が筆記の邪魔になる可能性が低減される。また、制御装置26が軸筒11の内部に配置されないので、軸筒11の内部の空間を他の部材が広く使うことができる。例えば、軸筒11の内部でインクタンク141のインク容量を大きくすることができる。また、制御装置26をクリップ13の内部空間に収容することで、制御装置26によってボールペン1の外観が損なわれる可能性が低減される。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。例えば、以下のような形態も許容される。
(変形例1)
上記各実施形態においては、第1筆感状態でノック部材3が繰り返し衝突する所定の衝突対象部位は、回転子17の係合部174a、174b、174cの後端部であった。しかし、第1筆感状態でノック部材3が繰り返し衝突する所定の衝突対象部位は、必ずしもこのような部分に限らない。
例えば、回転子17以外に、筆記時に中芯14と軸筒11の両方に接触する中間部材があれば、その中間部材の一部が、上記所定の衝突対象部位であってもよい。また、上記所定の衝突対象部位は、先端部142のペン先の振動がグリップ12に伝達される経路のどこかであればよい。あるいは、上記所定の衝突対象部位は、先端部142のペン先の振動がグリップ12に伝達される経路のどこかでなくとも、当該経路に衝突による振動を伝達できる部位であればよい。
(変形例2)
上記各実施形態においては、ボールペン1はノック式であり、可動部材の一例としてノック部材3が例示されている。しかし、ボールペン1はノック式である必要はなく、可動部材もノック部材3である必要はない。
(変形例3)
上記各実施形態では、軸筒11は後側軸筒111と前側軸筒112に分離可能となっているが、軸筒11は一体成形された分離不可能な部材であってもよい。
(変形例4)
上記第2、第3、第4実施形態では、コイル22への電流の供給の有無に応じて第1筆感状態、第2筆感状態が切り替わるようになっているが、電流の供給時においてコイル22に印加される電圧は変化せず常に同じである。
しかし、必ずしもそのようになっておらずともよい。例えば、コイル22に印加される電圧は連続的にまたは3段階以上の段階的に変化するようになっていてもよい。
例えば、発明者の実験においては、回転子17として質量0.22gの部材を用い、永久磁石21として質量0.0736g、外径2.5mm、厚み2.0mmの円柱形状のネオジム磁石を用いる。そして、コイル22として、コイル外径3.7mm、コイル内径1.5mm、コイル長12mmのものを用いる。また、ノック部材3として質量0.3gの部材を用い、コイル22の線材としては、径0.14mmの銅線(自己融着線、約310巻)のものを用いる。このコイル22は、20℃で100.5Ω、質量が0.45gのものを用いる。
そして、コイル22に印加される電圧がVmax(具体的には約10ボルト)の場合、コイル22と永久磁石21の反発力によりノック部材3がボールペン1の後端で固定されて上記第2筆感状態が実現する。
また、コイル22に印加される電圧がV1(具体的には約5ボルト)未満かつV2(具体的には1.5ボルト)以上の場合、コイル22と永久磁石21の反発力によりコイル22がノック部材3を軸芯方向に慨平行かつボールペン1の後側に付勢するが、印加電圧が低いため、係合部174a、174b、174cのいずれかが筆記時においてノック部材3の前端面に常に当接している場合がある。つまり、ノック部材3が回転子17から完全に離れず、筆記時にノック部材3と回転子17の繰り返し衝突が発生する。しかしこの場合でも、磁力によりノック部材3が後方に付勢されているために、ノック部材3と回転子17の繰り返し衝突があったとしても、その態様(例えば、衝突の衝撃力、衝突の頻度。以下同じ。)が第1筆感状態とは異なるので、第1筆感状態が実現せず、結果的に第2筆感状態と同等の筆感が実現する場合がある。また、印加電圧の変化に応じて少しずつ筆感が変わっている可能性がある。このような現象は、磁力の変化と共に、衝突に影響を及ぼすノック部材3の質量が見掛け上小さくなることに起因して発生する可能性がある。
また、コイル22に印加される電圧がV3(具体的には1.2ボルト)未満かつV4(具体的には−0.6ボルト)以上の場合、第1筆感状態が実現する。
具体的には、コイル22に印加される電圧が0ボルトの場合は、コイル22に電流が流れず上記第2、3実施形態と同様に第1筆感状態が実現する。また、コイル22に印加される電圧が0より大きくV3より小さい場合(すなわち反発側)は、コイル22と永久磁石21の間の反発力により、コイル22が、電圧に応じた付勢力で、軸芯方向に慨平行かつ後方にノック部材3を付勢する。この電圧範囲では、筆記時にノック部材3と回転子17の繰り返し衝突が発生するが、印加電圧の絶対値の増加に応じて繰り返し衝突の態様が変化する。したがって、印加電圧の絶対値の増加に応じ筆感が変化する。このような現象は、磁力の変化と共に、衝突に影響を及ぼすノック部材3の質量が見掛け上小さくなるが、その小さくなる度合いが小さいことに起因して発生する可能性がある。
また、コイル22に印加される電圧が0より小さくV4より大きい場合(すなわち吸引側)も、筆記時にノック部材3と回転子17の繰り返し衝突が発生する。しかしこの場合、コイル22と永久磁石21の間の吸引力により、コイル22が、電圧に応じた付勢力で、軸芯方向に慨平行かつ前方にノック部材3を付勢するので、印加電圧の絶対値の増加に応じて繰り返し衝突の態様が変化する。したがって、印加電圧の絶対値の増加に応じ筆感が変化する。このような現象は、磁力の変化と共に、衝突に影響を及ぼすノック部材3の質量が見掛け上大きくなるが、その大きくなる度合いが小さいことに起因して発生する可能性がある。
また、コイル22に印加される電圧がV5(具体的には−0.6ボルト)以下の場合、コイル22と永久磁石21の間の比較的強い吸引力により、コイル22が、電圧に応じた強い付勢力で、軸芯方向に慨平行かつ前方にノック部材3を付勢するので、繰り返し衝突の態様が、上記コイル22に印加される電圧がV3未満かつV4以上の場合とは異なるので、第1筆感状態が実現せず、結果的に第2筆感状態と同等の筆感が実現する場合がある。このような現象は、磁力の変化と共に、衝突に影響を及ぼすノック部材3の質量が見掛け上大きくなり、ノック部材3が回転子17と比較的強く密着していることに起因して発生する可能性がある。
ここで、コイル22への印加電圧を滑らかに変化させることで、コイル22がノック部材3を軸芯方向に慨平行な方向に付勢する力を滑らかに変化させることができ、結果として、筆感を滑らかに切り替えることができる。なお、上記Vmax、V1、V2、V3、V4、V5の関係は、Vmax>V1>V2>V3>0ボルト>V4>V5となる。
印加電圧を上記のようにVmaxにすれば、ノック部材3を回転子17から完全に離して筆記時に回転子17とノック部材3の衝突が無いようにすることは可能であるが、印加電圧がV1未満V2以上でも、第2筆感状態と同等の筆感を得ることができると共に、電圧印加によるエネルギー消費を低減することができる。したがって、印加電圧をVmaxまで増加させないボールペン1でも、筆感の切り替えが可能である。つまり、筆記時にノック部材3と回転子17が繰り返し衝突するボールペン1でも、その繰り返し衝突の態様を適切に調整することで、筆感の切り替えが可能である。
また、印加電圧が0ボルト以上しか実現できないボールペン1も、逆に印加電圧が0ボルト以下しか実現できないボールペン1も、筆感の切り替えが可能である。
なお、第3実施形態において、上記のような電圧の多様な変化を実現するためには、携帯端末50は、オン命令、オフ命令ではなく、例えばコイル22に印加する電圧値を制御装置26に出力する。
このような変更は、上記第3実施形態の応用例1から応用例7までのいずれにも適用可能である。また例えば、携帯端末50がダウンロードして実行するプログラムとしては、バイオリズム対応プログラムがある。バイオリズムとは、身体リズム、感情リズム、知性リズムの3つで構成され、これらは一定の周期(例えば、3週間以上5週間以下の周期)で、値が高い高調期と値が低い低調期を繰り返す。
携帯端末50には、筆記者の身体リズム、感情リズム、知性リズムのうちいずれか1つのリズムの経時変化予想のデータがあらかじめ記録されている。携帯端末50は、バイオリズム対応プログラムを実行すると、上記経時変化予想のデータを読み出し、読み出したデータに基づいて、現在のリズムの値を特定し、特定したリズムに応じた電圧値を制御装置26に出力する。
例えば、上記1つのリズムの値が大きくなるほど電圧値を上昇させてもよいし、逆に、上記1つのリズムの値が大きくなるほど電圧値を低下させてもよい。このようにすることで、バイオリズムと連動し、日を追って、比較的ソフトタッチな第1筆感状態と比較的ハードタッチな第2筆感状態が緩やかに切り替わっていく。
この場合、第3、第4実施形態においては、携帯端末50がダウンロードして実行するプログラムとして、電圧調整プログラムがあってもよい。この電圧調整プログラムを携帯端末50が実行すると、電圧調整スイッチに対するユーザの操作内容に応じた電圧指示値が携帯端末50から制御装置26に送信される。電圧調整スイッチは、携帯端末50に備えられているメカニカルスイッチでもよいし、携帯端末50のディスプレイに表示されたスライドバーであってもよい。なお、電圧調整スイッチを操作するユーザは、筆記者自身でもよいし、筆記者以外の者でもよい。
ユーザがこの電圧調整スイッチを操作することで、連続的に、あるいは、3段階以上(例えば10段階)の多段階で、上記電圧指示値が変化する。制御装置26では、無線通信モジュール261が、電圧指示値を受信し、受信した電圧指示値に応じた電圧をコイル22に印加するよう、周辺回路部262の出力回路を制御する。
無線通信モジュール261は、受信した電圧指示値に応じた電圧をコイル22に印加するため、一定電圧のパルスを用いたPWM制御を行ってもよい。具体的には、受信した電圧指示値が大きいほど、上記パルスについて大きいデューティ比を実現するよう、コイル22に流す電流値を変化させる。これにより、コイル22に印加される電圧の実効値がデューティ比に応じて変化する。
(変形例5)
上記第3実施形態および上記変形例4では、制御装置26は電源24からコイル22へ供給する電流および電源24からコイル22へ印加する電圧を制御している。しかし、制御装置26は、電源24の代わりに、携帯端末50に内蔵されている電源を用いて、携帯端末50からコイル22へ供給する電流および携帯端末50からコイル22へ印加する電圧を制御するようになっていてもよい。
(変形例6)
上記各実施形態では、第1突起部32a、第2突起部32b、第3突起部32cは、それぞれ、窪み部41bの溝、窪み部42bの溝、窪み部43bの溝に嵌っており、ノック部材3は、それら溝にガイドされて前後方向に揺動可能となっている。
しかし、第1突起部32a、第2突起部32b、第3突起部32cは、それぞれ、第1溝V12、第2溝V23、第3溝V31に嵌っており、ノック部材3は、溝V12、V23、V31にガイドされて、軸芯を中心とする回転が規制されながら、前後方向に揺動可能となっていてもよい。この場合、第2筆感状態においては、ノック部材3の第1突起部32a、第2突起部32b、第3突起部32cが、それぞれ、凹み端面41av、42av、43avの後側の空間に嵌まる。
(変形例7)
上記第2、第3実施形態および上記変形例4においては、コイル22への印加電圧がゼロの場合、筆記時において、ノック部材3と共に揺動するコイル22と永久磁石21で電磁誘導が起きる。したがって、このときにコイル22に発生する起電力あるいは電流を検出する検出装置を設ければ、当該検出装置の検出結果を、筆記あるいは筆感の状態を示す量として記憶媒体に記録することができる。このようにすることで、例えば、変形例4で示した反発側と吸引側の筆感の違いを定量化することができる。
また、筆記時において、ノック部材3と共に揺動するコイル22と永久磁石21で電磁誘導が起きたとき、それに起因してコイル22に発生する起電力あるいは電流によって、二次電池に充電したり、あるいは、他の電気機器を作動させることができる。つまり、筆記動作で発電が可能になる。
(変形例8)
上記各実施形態では、ノック部材3が可動範囲中で最も後方に位置した段階で、筆記者が軸芯を中心としてノック部材3を図16中時計回り方向に回転させる。これにより、ノック部材3の突起部32a、32b、32cが、図16に示すように、それぞれ、凹み端面41cv、42cv、43cvの後側の空間に嵌まり、第2筆感状態が実現される。
しかし、第2筆感状態を実現するためにノック部材3を回転させる方向は、図16中反時計回り方向でもよい。このためには、凹み端面41avを第1歯部41aの第3溝V31側ではなく窪み部41b側に形成し、凹み端面41cvを第2歯部41cの窪み部41b側ではなく第1溝V12側に形成し、凹み端面42avを第1歯部42aの第1溝V12側ではなく窪み部42b側に形成し、凹み端面42cvを第2歯部42cの窪み部42b側ではなく第2溝V23側に形成し、凹み端面43avを第1歯部43aの第2溝V23側ではなく窪み部43b側に形成し、凹み端面43cvを第2歯部43cの窪み部43b側ではなく第3溝V31側に形成すればよい。
このような構成で、ノック部材3が可動範囲中で最も後方に位置した段階で、筆記者が軸芯を中心としてノック部材3を図16中反時計回り方向に回転させたとする。すると、ノック部材3の突起部32a、32b、32cが、それぞれ、凹み端面41av、42av、43avの後側の空間に嵌まり、第2筆感状態が実現される。
(変形例9)
上記第4実施形態では、クリップ13に制御装置26が取り付けられているが、制御装置26の取り付け位置は、クリップ13以外であってもよい。
例えば、制御装置26がノック部材3に取り付けられ、ノック部材3と一体に移動するようになっていてもよい。この場合、筆記可能な状態と筆記不可能な状態とで、ノック部材3と制御装置26の相対的な位置関係が変化しない。また、筆記時にノック部材3が振動しても、ノック部材3と制御装置26の相対的な位置関係が変化しない。したがって、ノック部材3に取り付けられたコイル22と制御装置26とを繋ぐ導線23a、23bの配策形態が簡易になる。より詳細には、制御装置26はノック部材3の内部に収容されていてもよい。また例えば、制御装置26が軸筒11の内部に収容されていてもよい。
制御装置26がクリップ13または軸筒11に取り付けられている場合、永久磁石21とコイル22の配置を入れ替えてもよい。具体的には、永久磁石21をノック部材3に取り付け、コイル22を回転子17に取り付けてもよい。このようにすれば、筆記可能な状態と筆記不可能な状態とで、コイル22と制御装置26の相対的な位置関係が変化しない。また、筆記時にノック部材3が振動しても、コイル22と制御装置26の相対的な位置関係が変化しない。したがって、コイル22と制御装置26とを繋ぐ導線23a、23bの配策形態が簡易になる。
(変形例10)
上記第4実施形態では、フレキシブル基板230および導線23a、23bは、クリップ13の内部空間から出た後、後側軸筒111とクリップ13の間の空間を伸びてノック部材3の後端部に至るように配策されている。
しかし、フレキシブル基板230および導線23a、23bの配策は上記のようなものに限られない。例えば、後側軸筒111には、クリップ13の第1開口部131と対向する位置に開口部が形成されていてもよい。その場合、フレキシブル基板230および導線23a、23bは、クリップ13の内部空間から出た後、この開口部によって囲まれる貫通孔を通って後側軸筒111内に入り、その後、後側軸筒111内を通ってノック部材3に至るように配策されていてもよい。また、上記第4実施形態において、フレキシブル基板230を廃してもよい。
(変形例11)
また、上記第3、第4実施形態のボールペン1において、コイル22に電圧を印加する制御装置26を、コイル22に発生する起電力を検出する検出装置に、置き換えてもよい。このようにした場合、ボールペン1を用いた筆記時に、ノック部材3の振動およびノック部材3と回転子17との繰り返し衝突に起因して、コイル22に起電力が発生する。上記検出装置は、この起電力を検出する。
そして検出装置は、検出した起電力の経時変化を示す起電力データを繰り返し記憶媒体に記録してもよい。あるいは検出装置は、上記起電力データを無線通信によって携帯端末50に送信してもよい。後者の場合、携帯端末50は、受信した起電力データを記憶媒体に記録する。
このようにして記憶媒体に記録された起電力データを解析することで、筆記時の筆圧、筆記時に筆記者が感じる筆記対象(例えば紙)の表面のさらざら感を定量的に評価することが可能になる。
なお、上記第3、第4実施形態のボールペン1において、コイル22に加えてもう1つ起電力検出用の追加コイルを、コイル22と同様にノック部材3に配置してもよい。そして、制御装置26に加え、上述の検出装置を設けてもよい。この場合は、検出装置は、筆記時に追加コイルに発生した起電力を検出する。
(変形例12)
また、上記第4実施形態のボールペン1において、コイル22に電圧を印加する無線通信モジュール261、周辺回路部262を、コイル22に発生する起電力を利用してバッテリ263に対して充電を行う充電装置に、置き換えてもよい。この場合、バッテリ263は二次電池である。
このようにした場合、ボールペン1を用いた筆記時に、ノック部材3の振動およびノック部材3と回転子17との繰り返し衝突に起因して、コイル22に起電力が発生する。そして充電装置は、この起電力を電力源としてバッテリ263に充電する。
この際、充電装置は、コイル22からバッテリ263に充電した電力量のデータを繰り返し無線通信によって携帯端末50に送信してもよい。この場合、携帯端末50は、受信した電力量のデータをディスプレイに表示する。このようにすることで、筆記者は、携帯端末50の表示を見て、筆記することで充電された電力量を確認することができる。筆記者にとっては、充電された電力量が増大することは、自分の筆記量の多さに対する褒美と感じられる。したがって、充電された電力量が表示されることは、筆記者の筆記作業に対する動機付けとなる。
なお、上記第3、第4実施形態のボールペン1において、コイル22に加えてもう1つ充電用の追加コイルを、コイル22と同様にノック部材3に配置してもよい。そして、制御装置26に加え、上述の充電装置を設けてもよい。この場合は、充電装置は、筆記時に追加コイルに発生した起電力を電力源としてバッテリ263に充電する。
1 ボールペン
2 本体
3 ノック部材
4 溝形成部
11 軸筒
13 クリップ
17 回転子
21 永久磁石
22 コイル
26 制御装置
50 携帯端末
111 後側軸筒
112 前側軸筒

Claims (13)

  1. 軸筒(11)および前記軸筒に内装される中芯(14)を有すると共に前記中芯から前記軸筒に振動が伝達するように構成されている本体(2)と、
    前記軸筒の外周に設けられて筆記者の指が当接するグリップ(12)と、
    前記本体に対して変位して前記本体のうち前記中芯の前端にあるペン先の振動が前記グリップに伝達される振動伝達経路のどこかに振動を伝達できる衝突対象部位(174a、174b、174c)に繰り返し衝突可能な変位部材(3)と、
    前記本体に取り付けられて前記変位部材を付勢することで前記変位部材の前記衝突対象部位に対する変位を調整可能な付勢部材(4、21、22)とを備え、
    前記付勢部材が前記変位部材を付勢する力が変化することで、前記変位部材の前記衝突対象部位に対する変位の有無または変位の態様が変化し、それにより、筆記時における前記変位部材と前記衝突対象部位との衝突の有無または繰り返し衝突の態様が変化し、その結果、前記振動伝達経路に作用する振動が変化することで、筆記者の筆感が変化することを特徴とする筆記具。
  2. 前記本体は、筆記時に前記中芯と前記軸筒の両方に接触する中間部材(17)を有し、前記衝突対象部位は、前記中間部材の一部であることを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
  3. 前記変位部材が押圧操作される度に、前記変位部材が前記中間部材を押圧して変位させることで、前記中芯のペン先が前記軸筒の外に突出して筆記可能な状態と、前記ペン先が前記軸筒の内部に収容されて筆記不可能な状態とが切り替わり、
    前記筆記可能な状態において、前記付勢部材が前記変位部材を付勢する力が変化することで、筆記時における前記変位部材と前記衝突対象部位との衝突の有無または繰り返し衝突の態様が変化し、その結果、筆記者の筆感が変化することを特徴とする請求項2に記載の筆記具。
  4. 前記変位部材は、筆記時に、互いに離れた複数箇所が前記衝突対象部位に繰り返し衝突可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の筆記具。
  5. 磁力が変化することによって前記付勢部材が前記変位部材を付勢する力が変化することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の筆記具。
  6. 携帯端末(50)から受信した命令に従って前記磁力を変化させる制御装置(26)を備え、
    前記本体は、前記軸筒の外周に取り付けられたクリップ(13)を有し、
    前記制御装置は、前記クリップに取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の筆記具。
  7. 前記軸筒は、後側軸筒(111)、および、前記後側軸筒の前記ペン先側において前記後側軸筒に分離可能に接続されることで前記後側軸筒を介して前記中芯の振動が伝達される前側軸筒(112)を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の筆記具。
  8. 前記後側軸筒と前記前側軸筒とは、同じ材質であることを特徴とする請求項7に記載の筆記具。
  9. 前記後側軸筒のヤング率に対する前記前側軸筒のヤング率の比は、0.95以上1.05以下であることを特徴とする請求項7または8に記載の筆記具。
  10. 前記後側軸筒のヤング率および前記前側軸筒のヤング率は、いずれも2000MPa以下であることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1つに記載の筆記具。
  11. 前記付勢部材は、前記変位部材の第1筆感状態と第2筆感状態の間の切り替えを可能とし、
    前記第1筆感状態では、筆記時の前記本体の動きによって前記変位部材が変位して前記本体のうち所定の衝突対象部位(174a、174b、174c)に繰り返し衝突し、衝突による振動が前記軸筒に伝達され、
    前記第2筆感状態では、筆記時に前記変位部材が前記衝突対象部位に衝突しないことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の筆記具。
  12. 前記第2筆感状態では、前記付勢部材によって、前記変位部材が前記衝突対象部位から離れて前記本体に対して固定されることを特徴とする請求項11に記載の筆記具。
  13. 前記付勢部材が前記変位部材を付勢する力が変化することで、筆記時における前記変位部材と前記衝突対象部位との繰り返し衝突の衝撃力または頻度が変化し、その結果、筆記者の筆感が変化することを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1つに記載の筆記具。
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