JP6646683B2 - リーン車両 - Google Patents

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Description

本発明は、左右方向に並べて配置された2つの操舵輪を有し、左右方向に傾斜可能なリーン車両に関する。
従来、四輪のリーン車両において、車体の左右方向の傾斜量を調整する技術が、下記特許文献1に開示されている。このリーン車両は、左右一対のリアアームと、左右一対の油圧アクチュエータを備える。油圧アクチュエータで一対のリアアームの角度を調整する。これにより、車体の左右方向の傾斜量が調整される。
特許第5237783号公報
本発明は、上記特許文献1とは異なる方法により、車体の左右方向の傾斜を調整する機能を有するリーン車両を実現することを目的とする。
発明者は、左右方向に並べて配置された一対の操舵輪を有するリーン車両について、走行中の挙動解析を行った。特に、一対の操舵輪である右操舵輪及び左操舵輪に対する制動力の与え方により、車両がどのような挙動を示すかを研究した。
リーン車両では、走行中に車体フレームを左右に傾斜することで、進行方向を左右に変えることができる。すなわち、リーン車両の旋回時には、リーン車両が旋回する方向に車体フレームが傾斜する。発明者は、傾斜走行中に、右操舵輪及び左操舵輪の制動力の配分を様々に変えた場合のリーン車両の挙動について研究した。その結果、車体フレームが傾斜した状態で、右操舵輪及び左操舵輪に制動力を等配分すると、車体フレームを旋回外側へ起き上がらせる方向のロールモーメントが車体フレームに発生することがわかった。また、右操舵輪と左操舵輪の制動力の差を極端に変える実験をすると、この特性が変わることを見出した。以下では、リーン車両の旋回時において、リーン車両の左と右のうち、旋回中心に近い方を旋回内側する。リーン車両の左と右のうち旋回中心と反対側を旋回外側とする。
発明者は、制動力の配分と車体フレームの傾斜状態との関係をさらに詳しく検討したところ、次のことがわかった。まず、傾斜走行時において、旋回の外側に位置する操舵輪すなわち外輪の制動力を、旋回の内側に位置する操舵輪すなわち内輪の制動力より大きくした場合、さらに、車体フレームを旋回内側へ傾斜させる方向のロールモーメントが発生することがわかった。すなわち、車体フレームの外側への起き上がりが抑制されることがわかった。一方、傾斜走行時において、内輪の制動力を、外輪の制動力より大きくした場合、車体フレームを旋回外側への起き上がらせる方向のロールモーメントが発生することがわかった。すなわち、車体フレームの旋回外側への起き上がりがより大きくなることがわかった。これにより、発明者は、傾斜走行中の左操舵輪と右操舵輪の制動力の差を調整することで、車体フレームの傾斜状態を調整できることを見出した。制動力は、制動トルクと同じ意味である。
さらに、発明者は、制動力は、駆動力と向きが反対であることを鑑みて、次の知見を得た。すなわち、左操舵輪及び右操舵輪の駆動力の差を調整することによって、リーン車両の走行時に車体フレームを左右方向に傾斜させるロールモーメントを調整できる。駆動力は、駆動トルクと同じ意味である。
また、発明者は、後輪が左右一対の操舵輪である場合も、前輪が左右一対の操舵輪である場合と同様に、左右の操舵輪の制動トルク又は駆動トルクの差を調整することよって、車両走行中に車体フレームを左右方向に傾斜させるモーメントを調整できることに想到した。
上記の知見に基づき、発明者は、下記構成のリーン車両に想到した。 本発明の実施形態におけるリーン車両は、前記リーン車両の左右方向に並んで配置され、操舵される左操舵輪及び右操舵輪と、前記左操舵輪の車軸周りの回転のトルクを制御する左操舵輪制駆動装置と、前記右操舵輪の車軸周りの回転のトルクを制御する右操舵輪制駆動装置と、車体フレームと、左右傾斜モーメント制御装置とを備える。前記車体フレームは、前記左操舵輪、前記右操舵輪、前記左操舵輪制駆動装置及び前記右操舵輪制駆動装置を支持する。前記車体フレームは、前記リーン車両が左に旋回するときに前記リーン車両の左右方向において左に傾斜し、前記リーン車両が右に旋回するときに前記リーン車両の左右方向において右に傾斜する。前記左右傾斜モーメント制御装置は、左右傾斜状態検出部と、左右操舵輪トルク差調整部とを含む。前記左右傾斜状態検出部は、前記車体フレームに搭載され、前記リーン車両の左右方向における前記車体フレームの傾斜状態を検出する。前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記左右傾斜状態検出部が検出した傾斜状態に基づいて、前記左操舵輪及び前記右操舵輪が路面をグリップした状態で走行中の期間の少なくとも一部において、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクの差を調整する。前記左右傾斜モーメント制御装置は、前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差の整によって、前記リーン車両の走行中の前記車体フレームを前記リーン車両の左右方向に傾斜させるモーメントを制御する(構成1)。上記構成1のリーン車両において、左操舵輪のトルクと右操舵輪のトルクの差を調整することで、車体フレームを左右方向に傾斜させるモーメントが制御される。そのため、車体フレームの左右方向における傾斜を調整することが可能になる。
上記構成1のリーン車両において、前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において左に傾斜している時の前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクの大小関係と、前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において右に傾斜している時の前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクの大小関係とが異なるように、前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整することができる(構成2)。
上記構成2によれば、車体フレームが左に傾斜している時の左操舵輪のトルクと右操舵輪のトルクの差によるロールモーメントの向きと、右に傾斜している時の左操舵輪のトルクと右操舵輪のトルクの差によるロールモーメントの向きが反対になる。そのため、左傾斜時及び右傾斜時のいずれにおいても、車体フレームを起き上がらせるモーメント又は、車体フレームをさらに傾斜させるモーメントのいずれかを発生させることができる。
なお、車体フレームがリーン車両の左右方向において左に傾斜している状態は、車体フレームの上下方向線が、鉛直線に対して車両の左右方向の左方に傾いている状態である。車体フレームがリーン車両の左右方向において右に傾斜している状態は、車体フレームの上下方向線が、鉛直線に対して車両の左右方向の右方に傾いている状態である。リーン車両の旋回時において、車体フレームが左に傾斜している場合は、左操舵輪が内輪、右操舵輪が外輪になる。リーン車両の旋回時において、車体フレームが右に傾斜している場合は、左操舵輪が外輪、右操舵輪が内輪になる。
左操舵輪及び右操舵輪の車軸周りの回転のトルクは、制動トルク及び駆動トルクを含む。駆動トルクは、リーン車両が前進するように左操舵輪又は右操舵輪を回転させる力である。制動トルクは、リーン車両が前進する方向の左操舵輪又は右操舵輪の回転を制動する力である。駆動トルクの向きと制動トルクの向きは反対になる。
上記構成2のリーン車両において、前記左右操舵輪トルク差調整部は、
前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において左に傾斜している時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより大きくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより小さくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整し、
前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において右に傾斜している時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより小さくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより大きくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルク差を調整することができる(構成3)。
上記構成3によれば、左操舵輪と右操舵輪のうち旋回時の内輪となる方の制動トルクが、外輪となる方の制動トルクより大きくなる。又は、外輪の駆動トルクが内輪の駆動トルクより大きくなる。このトルク差により、リーン車両の旋回時に、車体フレームを起き上がらせる方向のロールモーメントが生じる。そのため、車体フレームの左右方向における傾斜を調整することが可能になる。
ここで、左操舵輪の制動トルクが右操舵輪の制動トルクより大きく又は小さくなることは、左操舵輪の制動トルクの大きさすなわち絶対値が右操舵輪の制動トルクの大きさすなわち絶対値より大きく又は小さくなることとする。左操舵輪の駆動トルクが右操舵輪の駆動トルクより大きく又は小さくなることは、左操舵輪の駆動トルクの大きさすなわち絶対値が右操舵輪の駆動トルクの大きさすなわち絶対値より大きく又は小さくなることとする。
上記構成2のリーン車両において、前記左右操舵輪トルク差調整部は、
前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において左に傾斜している時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより小さくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより大きくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整し、
前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において右に傾斜している時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより大きくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより小さくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整することができる(構成4)。
上記構成3によれば、左操舵輪と右操舵輪のうち旋回時の外輪となる方の制動トルクが、内輪となる方の制動トルクより大きくなる。又は、内輪の駆動トルクが外輪の駆動トルクより大きくなる。このトルク差により、リーン車両の旋回時に、車体フレームをさらに傾斜させる方向のロールモーメントが生じる。そのため、車体フレームの左右方向における傾斜を調整することが可能になる。
上記構成1〜4のいずれかのリーン車両において、前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記左右傾斜状態検出部が検出した前記リーン車両の左右方向における前記車体フレームの傾斜角に応じて、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクの差を調整することができる(構成5)。上記構成5により、車体フレームの左右方向における傾斜を、傾斜角に応じて調整することが可能になる。例えば、左操舵輪のトルクの大きさと、右操舵輪のトルクの大きさを、車体フレームの傾斜角に応じた大きさとすることができる。
上記構成1〜5のいずれかのリーン車両でおいて、前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記左右傾斜状態検出部が検出した前記リーン車両の左右方向における前記車体フレームの傾斜角速度に応じて、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクの差を調整することができる(構成6)。
上記構成6により、車体フレームの左右方向における傾斜を、傾斜角速度に応じて調整することが可能になる。例えば、左操舵輪のトルクの大きさと、右操舵輪のトルクの大きさを、車体フレームの傾斜角速度に応じた大きさとすることができる。
上記構成6のリーン車両において、前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記左右傾斜状態検出部が前記リーン車両の左右方向の左方に向かって前記車体フレームの傾斜が変化しようとする傾斜角速度を検出した時の前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクの大小関係と、前記左右傾斜状態検出部が前記リーン車両の左右方向の右方に向かって前記車体フレームの傾斜が変化しようとする傾斜角速度を検出した時の前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクの大小関係とが異なるように、前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整することができる(構成7)。
上記構成7によれば、車体フレームが左に向かって傾斜しようとしている時の左操舵輪のトルクと右操舵輪のトルクの差によるロールモーメントの向きと、右に向かって傾斜しようとしている時の左操舵輪のトルクと右操舵輪のトルクの差によるロールモーメントの向きが反対になる。そのため、左及び右のいずれに向かって傾斜しようとしている時も、傾斜しようとする方向に対するロールモーメントの向きを同じにすることができる。
上記構成7のリーン車両において、前記左右操舵輪トルク差調整部は、
前記左右傾斜状態検出部が前記リーン車両の左右方向の左方に向かって前記車体フレームの傾斜が変化しようとする傾斜角速度を検出した時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより小さくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより大きくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルク差を調整し、
前記左右傾斜状態検出部が前記リーン車両の左右方向の右方に向かって前記車体フレームの傾斜が変化しようとする傾斜角速度を検出した時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより大きくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより小さくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルク差を調整することができる(構成8)。上記構成8によれば、左操舵輪と右操舵輪のトルク差により、車体フレームが傾斜しようとしている方向に傾斜させるロールモーメントを発生させることができる。
上記構成1〜8のいずれかのリーン車両において、鉛直方向に対する前記車体フレームの上下方向線の前記リーン車両の左右方向における傾斜角度が第1閾値より小さい場合に、前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクが異なるように、前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整することができる(構成9)。上記構成9により、車体フレームの左右方向の傾斜が第1閾値より小さい場合に、左操舵輪のトルクと右操舵輪のトルクの差によるロールモーメントを発生させることができる。
上記構成1〜9のいずれかのリーン車両において、
鉛直方向に対する前記車体フレームの上下方向線の前記リーン車両の左右方向における傾斜角度が、第2閾値より大きい場合に、前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクが異なるように、前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整する。
上記構成9のリーン車両において、鉛直方向に対する前記車体フレームの上下方向線の前記リーン車両の左右方向における傾斜角度が、第1閾値より小さい場合に、前記左右操舵輪トルク差調整部は、
前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において左に傾斜している時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより大きくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより小さくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整し、
前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において右に傾斜している時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより小さくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより大きくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルク差を調整することができる(構成11)。上記構成11によれば、車体フレームの左右方向の傾斜が第1閾値より小さい場合に、車体フレームを起き上がらせる方向のロールモーメントを発生させることができる。
上記構成11のリーン車両において、前記車体フレームの上下方向線の鉛直方向に対する前記リーン車両の左右方向における傾斜角度が、第1閾値より大きい場合に、前記左右操舵輪トルク差調整部は、
前記左右傾斜状態検出部が前記リーン車両の左右方向の左方に向かって前記車体フレームの傾斜が変化しようとする傾斜角速度を検出した時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより小さくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより大きくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルク差を調整し、
前記左右傾斜状態検出部が前記リーン車両の左右方向の右方に向かって前記車体フレームの傾斜が変化しようとする傾斜角速度を検出した時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより大きくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより小さくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルク差を調整することができる(構成12)。上記構成12によれば、車体フレームの左右方向の傾斜が第1閾値より小さい場合に、車体フレームを起き上がらせる方向のロールモーメントを発生させることができる。車体フレームの左右方向の傾斜が第1閾値より大きい場合に、車体フレームが傾斜しようとする方向にロールモーメントを発生させることができる。
上記構成1〜12のいずれかのリーン車両は、ライダーが操作可能な操作子と、前記操作子の操作状態を検出する操作状態検出部をさらに備えてもよい。この場合、前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記傾斜状態検出部が検出した傾斜状態及び前記操作状態検出部が検出した操作状態に基づいて、前記左操舵輪制駆動装置が発生する前記左操舵輪のトルクと、前記右操舵輪制駆動装置が発生する前記右操舵輪のトルクの差を調整することができる(構成13)。上記構成13により、ライダーの操作に応じて、車体フレームのロールモーメントを発生させることができる。
構成13のリーン車両において、前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記左操舵輪制駆動装置により制御する前記左操舵輪のトルクと、前記右操舵輪制駆動装置により制御する前記右操舵輪のトルクの総量を、ライダーによる前記操作子の操作量に応じて決定してもよい。この場合、前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向に傾斜している時の前記操作子の前記操作量に対する前記左操舵のトルクと前記右操舵輪のトルクの総量は、前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向に傾斜していない時の前記操作子の前記操作量に対する前記左操舵のトルクと前記右操舵輪のトルクの総量と等しくすることができる(構成14)。
上記構成1〜14のいずれかのリーン車両において、前記車体フレームに対して回転可能に支持され、前記右操舵輪および前記左操舵輪を支持するアームを含むリンク機構であって、前記アームを前記車体フレームに対して回転させることにより、前記右操舵輪および前記左操舵輪の前記車体フレームに対する上下方向の相対位置を変更して前記車体フレームを前記リーン車両の左右方向に傾斜させるリンク機構をさらに備えてもよい。この場合、前記左右傾斜状態検出部は、前記アームの前記車体フレームに対する回転を検出することで、前記リーン車両の左右方向における前記車体フレームの傾斜状態を検出することができる(構成15)。
上記構成によれば、走行中に、車体フレームの傾斜状態を調整できるリーン車両を提供することができる。
車体フレームの左右方向の左方から鞍乗り型車両を見たときの模式的な側面図である。 車体フレームが直立状態にある状態下で、鞍乗り型車両の前部を正面から見たときの模式的な正面図である。 図2の一部分を拡大した図面である。 図2の車両を上方から見たときの模式的な平面図である。 車両を転舵させた状態の車両前部の模式的な平面図である。 車両を傾斜させた状態の車両前部の模式的な正面図である。 車両を転舵させ、且つ傾斜させた状態の、車両前部の模式的な正面図である。 傾斜検出部の構成を模式的に示す機能ブロック図である。 車両の重心に発生する加速度を概略的に図示したものである。 車両に発生する角速度を概略的に図示したものである。 図1の車両の右側方から見た左緩衝器の模式的な側面図である。 車両が備えるブレーキシステムの構成を模式的に示すブロック図である。 トルク制御部の構成を模式的に示すブロック図である。 外輪よりも内輪に対して大きな制動トルクを発生させた場合における車両の挙動を説明するための模式的な図面である。 内輪よりも外輪に対して大きな制動トルクを発生させた場合における車両の挙動を説明するための模式的な図面である。 第三実施形態のトルク制御部の構成を模式的に示すブロック図である。 車体フレームが傾斜している際の遠心力Fc及び重力Fgの例を示す図である。 車体フレームが傾斜している際の遠心力Fc、重力Fg及びヨーモーメントの例を示す図である。 左右傾斜モーメント制御装置の動作例を示すフローチャートである。
下記において、「鞍乗型車両」は、上記「リーン車両」の一例である。下記の「車体」は、上記の「車体フレーム」と同じ意味である。下記の「傾斜検出部」は、上記の「左右傾斜状態検出部」の一例である。下記の「トルク制御部」は、上記の「左右操舵輪トルク差調整部」の一例である。
本発明の実施形態に係る鞍乗り型車両は、左操舵輪、右操舵輪、並びに、前記左操舵輪及び前記右操舵輪に対して車体の前後方向に位置する非操舵輪とを有する。前記鞍乗り型車両は、前記車体の傾斜状態を検出する傾斜検出部と、前記車体の傾斜状態に応じて、前記左操舵輪が路面に伝える左制駆動トルクと、前記右操舵輪が路面に伝える右制駆動トルクとの配分を制御するトルク制御部とを備える(第1の構成)。
上記の第1の構成によれば、車体の傾斜状態に応じて、左操舵輪と右操舵輪のそれぞれが路面に伝える制動トルク又は駆動トルクの大きさが調整されるため、運転状態に応じた車体の姿勢調整が可能となる。
上記第1の構成において、前記鞍乗り型車両は、前記左操舵輪の回転を制動する左制動部と、前記右操舵輪の回転を制動する右制動部と、ライダーによって操作可能に構成された制動操作子とを備えてもよい。
この場合、前記トルク制御部は、
前記制動操作子の操作量に応じて、前記左制動部の制動トルクである左制動トルクと、前記右制動部の制動トルクである右制動トルクとの合計値を算出する合計制動トルク算出部と、
前記傾斜検出部が検出した前記車体の傾斜状態に応じて決定される基準に基づいて前記合計値を配分することで、前記左制動トルク及び前記右制動トルクをそれぞれ算出する各制動トルク算出部と、
前記各制動トルク算出部によって算出された前記左制動トルクを前記左制動部に対して発生させる制御を行うと共に、前記各制動トルク算出部によって算出された前記右制動トルクを前記右制動部に対して発生させる制御を行う制動制御部とを備えることができる(第2の構成)。
上記第2の構成によれば、ライダーの操作量に応じた制動トルクが左右の操舵輪に対して配分される。
上記第2の構成において、前記鞍乗り型車両は、前記左制動部に連絡され、ブレーキ液が充填された左配管と、前記右制動部に連絡され、ブレーキ液が充填された右配管とを備えてもよい。この場合、前記左制動部は、前記左配管内に充填されたブレーキ液の液圧の大きさに応じて前記左操舵輪の回転を制動することができる。前記右制動部は、前記右配管内に充填されたブレーキ液の液圧の大きさに応じて前記右操舵輪の回転を制動することができる。前記制動制御部は、前記左配管内に充填されたブレーキ液の液圧、及び前記右配管内に充填されたブレーキ液の液圧を独立して制御することができる(第3の構成)。
上記第2又は第3の構成において、前記トルク制御部は、前記傾斜検出部が検出した前記車体の傾斜状態に基づいて、前記左操舵輪と前記右操舵輪のうち、どちらが内輪でどちらが外輪であるかを特定する内外輪特定部を備えてもよい。前記各制動トルク算出部は、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクが、前記内外輪特定部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、前記左制動トルク及び前記右制動トルクをそれぞれ算出することができる(第4の構成)。
第4の構成によれば、傾斜状態での走行時において車体を起き上がらせるロールモーメントを発生させることができる。
上記第2又は第3の構成において、前記トルク制御部は、前記傾斜検出部が検出した前記車体の傾斜状態に基づいて、前記左操舵輪と前記右操舵輪のうち、どちらが内輪でどちらが外輪であるかを特定する内外輪特定部を備えてもよい。前記各制動トルク算出部は、前記内外輪特定部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクが、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、前記左制動トルク及び前記右制動トルクをそれぞれ算出することができる(第5の構成)。
第5の構成によれば、傾斜状態での走行時において車体をより傾斜させるロールモーメントを発生させることができる。
上記第2又は第3の構成において、前記トルク制御部は、前記傾斜検出部が検出した前記車体の傾斜状態に基づいて、前記左操舵輪と前記右操舵輪のうち、どちらが内輪でどちらが外輪であるかを特定する内外輪特定部と、運転時における前記車体の姿勢維持性と、運転時における前記車体の姿勢変動性とのいずれを優先するかに関する優先性能情報が格納された記憶部とを備えてもよい。前記各制動トルク算出部は、前記記憶部から前記車体の姿勢維持性を優先する旨の前記優先性能情報を読み出した場合に、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクが、前記内外輪特定部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、前記左制動トルク及び前記右制動トルクをそれぞれ算出することができる。また、前記各制動トルク算出部は、前記記憶部から前記車体の姿勢変動性を優先する旨の前記優先性能情報を読み出した場合に、前記内外輪特定部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクが、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、前記左制動トルク及び前記右制動トルクをそれぞれ算出することができる(第6の構成)。上記第6の構成によれば、車両に要求される性能に応じた姿勢調整が可能となる。
上記第2〜第6のいずれかの構成において、前記傾斜検出部が、前記車体のロール角を検出するロール角センサを含んでもよい。前記各制動トルク算出部は、前記車体のロール角に応じて決定される基準に基づいて前記合計値を配分することで、前記左制動トルク及び前記右制動トルクをそれぞれ算出することができる(第7の構成)。上記第7の構成によれば、車体のロール角に応じた姿勢調整が可能となる。
上記第2〜第6のいずれかの構成において、前記傾斜検出部が、前記車体のロール角速度を検出するロール角速度センサを含んでもよい。前記各制動トルク算出部は、前記車体のロール角速度に応じて決定される基準に基づいて前記合計値を配分することで、前記左制動トルク及び前記右制動トルクをそれぞれ算出することができる(第8の構成)。上記第8の構成によれば、車体のロール角速度に応じた姿勢調整が可能となる。
上記第8の構成において、前記トルク制御部は、前記傾斜検出部が検出した前記車体の傾斜状態に基づいて、前記左操舵輪と前記右操舵輪のうち、どちらが内輪でどちらが外輪であるかを特定する内外輪特定部と、運転時における前記車体の姿勢維持性と、運転時における前記車体の姿勢変動性とのいずれを優先するかに関する優先性能情報が格納された記憶部とを備えてもよい。この場合、前記各制動トルク算出部は、前記記憶部から前記車体の姿勢維持性を優先する旨の前記優先性能情報を読み出した場合において、前記ロール角速度センサより前記車体が傾斜する方向に移動していることを検知すると、前記内外輪特定部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクが、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、前記左制動トルク及び前記右制動トルクをそれぞれ算出することができる。さらに、前記各制動トルク算出部は、前記記憶部から前記車体の姿勢維持性を優先する旨の前記優先性能情報を読み出した場合において、前記ロール角速度センサより前記車体が起き上がる方向に移動していることを検知すると、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクが、前記内外輪特定部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、前記左制動トルク及び前記右制動トルクをそれぞれ算出することができる(第9の構成)。
上記第9の構成によれば、車体の姿勢を維持する方向にロールモーメントを発生させることが可能となる。
上記第8又は第9の構成において、前記トルク制御部は、前記傾斜検出部が検出した前記車体の傾斜状態に基づいて、前記左操舵輪と前記右操舵輪のうち、どちらが内輪でどちらが外輪であるかを特定する内外輪特定部と、運転時における前記車体の姿勢維持性と、運転時における前記車体の姿勢変動性とのいずれを優先するかに関する優先性能情報が格納された記憶部とを備えてもよい。この場合、前記各制動トルク算出部は、前記記憶部から前記車体の姿勢変動性を優先する旨の前記優先性能情報を読み出した場合において、前記ロール角速度センサより前記車体がより傾斜する方向に移動していることを検知すると、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクが、前記内外輪特定部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、前記左制動トルク及び前記右制動トルクをそれぞれ算出することができる。さらに、前記各制動トルク算出部は、前記記憶部から前記車体の姿勢変動性を優先する旨の前記優先性能情報を読み出した場合において、前記ロール角速度センサより前記車体が起き上がる方向に移動していることを検知すると、前記内外輪特定部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクが、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、前記左制動トルク及び前記右制動トルクをそれぞれ算出することができる(第10の構成)。
上記第10の構成によれば、ロールモーメントを発生しやすくできる。
上記第2又は第3の構成において、前記トルク制御部は、前記傾斜検出部が検出した前記車体の傾斜状態に基づいて、前記左操舵輪と前記右操舵輪のうち、どちらが内輪でどちらが外輪であるかを特定する内外輪特定部を備えてもよい。前記傾斜検出部が、前記車体のロール角を検出するロール角センサ、及び前記車体のロール角速度を検出するロール角速度センサを含んでもよい。この場合、前記各制動トルク算出部は、前記車体のロール角に応じて決定される基準及び前記車体のロール角速度に応じて決定される基準の双方に基づいて前記合計値を配分することで、前記左制動トルク及び前記右制動トルクをそれぞれ算出することができる(第11の構成)。
上記第11の構成によれば、車体の姿勢を保持し易くすることが可能となる。
上記第1の構成において、前記鞍乗り型車両は、前記左操舵輪の回転を駆動する左駆動部と、前記右操舵輪の回転を駆動する右駆動部と、ライダーによって操作可能に構成された駆動操作子とを備えてもよい。
この場合、前記トルク制御部は、
前記駆動操作子の操作量に応じて、前記左駆動部の駆動トルクである左駆動トルクと、前記右駆動部の駆動トルクである右駆動トルクとの合計値を算出する合計駆動トルク算出部と、
前記傾斜検出部が検出した前記車体の傾斜状態に応じて決定される基準に基づいて前記合計値を配分することで、前記左駆動トルク及び前記右駆動トルクをそれぞれ算出する各駆動トルク算出部と、
前記各駆動トルク算出部によって算出された前記左駆動トルクを前記左駆動部に対して発生させる制御を行うと共に、前記各駆動トルク算出部によって算出された前記右駆動トルクを前記右駆動部に対して発生させる制御を行う駆動制御部とを備えることができる(第12の構成)。
上記第12の構成によれば、ライダーの操作量に応じた駆動トルクが左右の操舵輪に対して配分できる。
上記第12の構成において、前記トルク制御部は、前記傾斜検出部が検出した前記車体の傾斜状態に基づいて、前記左操舵輪と前記右操舵輪のうち、どちらが内輪でどちらが外輪であるかを特定する内外輪特定部を備えてもよい。前記各駆動トルク算出部は、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える駆動トルクが、前記内外輪特定部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える駆動トルクよりも大きくなるように、前記左駆動トルク及び前記右駆動トルクをそれぞれ算出してもよい(第13の構成)。
第13の構成によれば、傾斜状態での走行時において車体がより傾斜する方向のロールモーメントを発生させることができる。
上記第12の構成において、前記トルク制御部は、前記傾斜検出部が検出した前記車体の傾斜状態に基づいて、前記左操舵輪と前記右操舵輪のうち、どちらが内輪でどちらが外輪であるかを特定する内外輪特定部を備えてもよい。前記各駆動トルク算出部は、前記内外輪特定部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える駆動トルクが、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える駆動トルクよりも大きくなるように、前記左駆動トルク及び前記右駆動トルクをそれぞれ算出することができる(第14の構成)。
第14の構成によれば、傾斜状態での走行時において車体を起き上がらせる方向のロールモーメントを発生させることができる。
上記第12の構成において、前記トルク制御部は、前記傾斜検出部が検出した前記車体の傾斜状態に基づいて、前記左操舵輪と前記右操舵輪のうち、どちらが内輪でどちらが外輪であるかを特定する内外輪特定部と、運転時における前記車体の姿勢維持性と、運転時における前記車体の姿勢変動性とのいずれを優先するかに関する優先性能情報が格納された記憶部とを備えてもよい。この場合、前記各駆動トルク算出部は、前記記憶部から前記車体の姿勢維持性を優先する旨の前記優先性能情報を読み出した場合に、前記内外輪特定部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える駆動トルクが、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える駆動トルクよりも大きくなるように、前記左駆動トルク及び前記右駆動トルクをそれぞれ算出することができる。さらに、前記各駆動トルク算出部は、前記記憶部から前記車体の姿勢変動性を優先する旨の前記優先性能情報を読み出した場合に、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える駆動トルクが、前記内外輪特定部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える駆動トルクよりも大きくなるように、前記左駆動トルク及び前記右駆動トルクをそれぞれ算出することができる(第15の構成)。上記第15の構成によれば、車両に要求される性能に応じた姿勢調整が可能となる。
上記第12〜第15のいずれかの構成において、前記傾斜検出部が、前記車体のロール角を検出するロール角センサを含んでもよい。前記各駆動トルク算出部は、前記車体のロール角に応じて決定される基準に基づいて前記合計値を配分することで、前記左駆動トルク及び前記右駆動トルクをそれぞれ算出することができる(第16の構成)。上記第16の構成によれば、車体のロール角に応じた姿勢調整が可能となる。
上記第12〜第15のいずれかの構成において、前記傾斜検出部が、前記車体のロール角速度を検出するロール角速度センサを含んでもよい。前記各駆動トルク算出部は、前記車体のロール角に応じて決定される基準に基づいて前記合計値を配分することで、前記左駆動トルク及び前記右駆動トルクをそれぞれ算出することができる(第17の構成)。上記第17の構成によれば、車体のロール角速度に応じた姿勢制御が可能となる。
上記第17の構成において、前記トルク制御部は、前記傾斜検出部が検出した前記車体の傾斜状態に基づいて、前記左操舵輪と前記右操舵輪のうち、どちらが内輪でどちらが外輪であるかを特定する内外輪特定部と、運転時における前記車体の姿勢維持性と、運転時における前記車体の姿勢変動性とのいずれを優先するかに関する優先性能情報が格納された記憶部とを備えてもよい。この場合、前記各駆動トルク算出部は、前記記憶部から前記車体の姿勢維持性を優先する旨の前記優先性能情報を読み出した場合において、前記ロール角速度センサより前記車体がより傾斜する方向に移動していることを検知すると、前記内外輪特定部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える駆動トルクが、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える駆動トルクよりも大きくなるように、前記左駆動トルク及び前記右駆動トルクをそれぞれ算出することができる。さらに、前記各駆動トルク算出部は、前記記憶部から前記車体の姿勢維持性を優先する旨の前記優先性能情報を読み出した場合において、前記ロール角速度センサより前記車体が起き上がる方向に移動していることを検知すると、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える駆動トルクが、前記内外輪特定部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える駆動トルクよりも大きくなるように、前記左制動トルク及び前記右制動トルクをそれぞれ算出することができる(第18の構成)。
上記第17又は第18の構成において、前記トルク制御部は、前記傾斜検出部が検出した前記車体の傾斜状態に基づいて、前記左操舵輪と前記右操舵輪のうち、どちらが内輪でどちらが外輪であるかを特定する内外輪特定部と、運転時における前記車体の姿勢維持性と、運転時における前記車体の姿勢変動性とのいずれを優先するかに関する優先性能情報が格納された記憶部とを備えてもよい。この場合、前記各駆動トルク算出部は、前記記憶部から前記車体の姿勢変動性を優先する旨の前記優先性能情報を読み出した場合において、前記ロール角速度センサより前記車体がより傾斜する方向に移動していることを検知すると、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える駆動トルクが、前記内外輪特定部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える駆動トルクよりも大きくなるように、前記左駆動トルク及び前記右駆動トルクをそれぞれ算出することができる。さらに、前記各駆動トルク算出部は、前記記憶部から前記車体の姿勢変動性を優先する旨の前記優先性能情報を読み出した場合において、前記ロール角速度センサより前記車体が起き上がる方向に移動していることを検知すると、前記内外輪特定
部によって外輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える駆動トルクが、前記内外輪特定部によって内輪と特定された側の操舵輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、前記左駆動トルク及び前記右駆動トルクをそれぞれ算出することができる(第19の構成)。
上記第12の構成において、前記トルク制御部は、前記傾斜検出部が検出した前記車体の傾斜状態に基づいて、前記左操舵輪と前記右操舵輪のうち、どちらが内輪でどちらが外輪であるかを特定する内外輪特定部を備えてもよい。前記傾斜検出部は、前記車体のロール角を検出するロール角センサ、及び前記車体のロール角速度を検出するロール角速度センサを含んでもよい。この場合、前記各駆動トルク算出部は、前記車体のロール角に応じて決定される基準及び前記車体のロール角速度に応じて決定される基準の双方に基づいて前記合計値を配分することで、前記左駆動トルク及び前記右駆動トルクをそれぞれ算出することができる(第20の構成)。
上記構成によれば、車体の姿勢を保持し易くすることが可能となる。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。
以下の説明において、「車両」はリーン車両を意味するものとする。本明細書において、「ヨー角」は、車両の上下方向の軸周りの車体フレームの回転角を表す。「ヨー角速度」とは、上記「ヨー角」の変化率を表す。本明細書において、「ロール角」とは、車両の前後方向の軸周りの車体フレームの回転角を表す。ロール角は、リーン車両の左右方向における車体フレームの傾斜角と同じである。「ロール角速度」とは、上記「ロール角」の変化率を表す。本明細書において、「ピッチ角」とは、車両の左右方向の軸周りの車体フレームの回転角を表す。「ピッチ角速度」とは、上記「ピッチ角」の変化率を表す。ここで、「車両の上下方向」とは、車両を運転するライダーから見た上下方向を表す。「車両の左右方向」とは、車体を運転するライダーから見た左右方向を表す。「車両の前後方向」とは、車体を運転するライダーから見た前後方向を表す。
図面において、矢印Fは、車両の前方向を示している。矢印Bは、車両の後方向を示している。矢印Uは、車両の上方向を示している。矢印Dは、車両の下方向を示している。矢印Rは、車両の右方向を示している。矢印Lは、車両の左方向を示している。
車両は、車体フレームを鉛直方向に対して車両の左右方向に傾斜させて旋回する。そこで車両を基準とした方向に加え、車体フレームを基準とした方向が定められる。添付の図面において、矢印FFは、車体フレームの前方向を示している。矢印FBは、車体フレームの後方向を示している。矢印FUは、車体フレームの上方向を示している。矢印FDは、車体フレームの下方向を示している。矢印FRは、車体フレームの右方向を示している。矢印FLは、車体フレームの左方向を示している。
車両は、車体フレームの上下方向を路面の鉛直方向に一致させながら走行するとき、車体が直立状態で走行する。このとき、車両の方向と車体フレームの方向は一致している。
本実施形態が対象としている鞍乗り型車両は、路面の鉛直方向に対して車体フレームを車両の左右方向に傾斜させながら走行するとき、車体が旋回しながら走行する。このとき、車両の左右方向と車体フレームの左右方向は一致せず、車両の上下方向と車体フレームの上下方向も一致しない。しかし、車両の前後方向と車体フレームの前後方向は一致する。
〈車体構造〉
図1は、車両1の全体を左方から見た左側面図である。図1に示される車両1は、前輪が操舵輪であり、後輪が非操舵輪である場合を想定したものである。
図1に示されるように、車両1は、左右一対の前輪3である左車輪3a及び右車輪3b、後輪5、操舵機構7、リンク機構9、パワーユニット11、シート13、車体フレーム15等を備えている。左車輪3a及び右車輪3bは操舵輪である。なお、図1には、図示の都合上、左車輪3aのみが表示されており、右車輪3bは表示されていない。また、図1では、車体フレーム15のうち、車体に隠れている箇所については破線で図示している。
車体フレーム15は、ヘッドパイプ21、ダウンフレーム22、アンダーフレーム23、及びリアフレーム24を有する。車体フレーム15は、パワーユニット11やシート13等を支持している。
パワーユニット11は、エンジン又は電動モータ等の駆動源と、トランスミッション装置等を有する。パワーユニット11には後輪5が支持されている。駆動源の駆動力は、トランスミッション装置を介して後輪5に伝達される。パワーユニット11は、車体フレーム15に揺動可能に支持されており、後輪5が車体フレーム15の上下方向に変位可能な構成である。
ヘッドパイプ21は、車両1の前部に配置されており、操舵機構7のステアリングシャフト31(後述する図2参照)を回転可能に支持している。ヘッドパイプ21は、車体フレーム15を車両1の左右方向から見たときに、当該ヘッドパイプ21の上部が当該ヘッドパイプ21の下部よりも後方に位置するように配置されている。ヘッドパイプ21の回転軸は、車体フレーム15の上下方向に対して傾斜しており、車体フレーム15の上方且つ後方に延びている。
ヘッドパイプ21の周囲には、操舵機構7及びリンク機構9が配置されている。ヘッドパイプ21は、リンク機構9を支持しており、より詳細には、リンク機構9の少なくとも一部を回転可能に支持している。
ダウンフレーム22は、ヘッドパイプ21に接続されている。ダウンフレーム22は、ヘッドパイプ21よりも後方に配置されており、車両1の上下方向に沿って延びている。このダウンフレーム22の下部には、アンダーフレーム23が接続されている。
アンダーフレーム23は、ダウンフレーム22の下部から後方へ向けて延びている。このアンダーフレーム23の後方には、リアフレーム24が後方且つ上方へ向けて延びている。このリアフレーム24は、シート13、パワーユニット11、及びテールランプ等を支持している。
車体フレーム15は、車体カバー17によって覆われている。車体カバー17は、フロントカバー26、左右一対のフロントフェンダー27(27a,27b)、レッグシールド28、センターカバー29、及びリアフェンダー30を有する。車体カバー17は、左右一対の前輪3、車体フレーム15、及びリンク機構9等、車両に搭載される車体部品の少なくとも一部を覆う。
フロントカバー26は、シート13よりも前方に位置し、操舵機構7及びリンク機構9の少なくとも一部を前方から覆う。レッグシールド28は、ダウンフレーム22を後方から覆う。ダウンフレーム22は、左右一対の前輪3よりは後方で、且つシート13よりは前方に配置されている。センターカバー29は、リアフレーム24の周囲の少なくとも一部を覆うように配置されている。
フロントフェンダー27の少なくとも一部は、フロントカバー26の下方、且つ、前輪3の上方に配置されている。リアフェンダー30の少なくとも一部は、後輪5の上方に配置されている。
車両1を直立させた状態において、前輪3(3a,3b)の少なくとも一部は、ヘッドパイプ21の下方、且つフロントカバー26の下方に配置されている。また、後輪5の少なくとも一部は、センターカバー29又はシート13の下方、且つリアフェンダー30の下方に配置されている。
前輪3には前輪車速センサ41が設けられる。後輪5には後輪車速センサ42が設けられている。これらのセンサ(41,42)で得られた検出結果に基づいて、車両1の車速が演算によって推定される。車両1は、任意の位置に、車両1の傾斜状態を検出する傾斜検出部50を備える。傾斜検出部50は、車速、及びその他の値に基づいて車両1の傾斜状態を検出する。傾斜検出部50は、センサ群及び演算装置で構成されている。詳細は後述される。
更に、車両1は、トルク制御部100を備える。トルク制御部100は、操舵輪に対応した前輪3(3a,3b)が路面に伝える制動トルクを制御する。このトルク制御部100は、電子制御ユニット等で構成され、例えばシート13の下部に設けられている。
〈操舵機構〉
図2は、車体フレーム15が直立状態の下で、車両1の前部を正面から見たときの正面図である。図3は、図2の一部分を拡大した図面である。図4は、図2の車両1を上方から見たときの模式的な平面図である。図面の都合上、図2及び図4では、車体カバー17の図示を省略している。
図2及び図4に示されるように、操舵機構7は、操舵力伝達機構71、及び緩衝器73(73a,73b)を有する。
操舵力伝達機構71は、ステアリングシャフト31、ハンドルバー32、タイロッド33及び、ブラケット34(34a,34b)を有する。ステアリングシャフト31は、その一部がヘッドパイプ21に回転可能に支持される。ステアリングシャフト31は、ハンドルバー32の操作に連動して回転する。ステアリングシャフト31の回転軸線は、車体フレーム15の後方且つ上方に延びている。
ハンドルバー32は、ステアリングシャフト31の上部に連結される。ハンドルバー32とステアリングシャフト31は、操舵部材を構成する。操舵部材にライダーの操舵力が入力される。
ステアリングシャフト31の下部に、タイロッド33が接続される。タイロッド33の左部には左ブラケット34aが接続される。タイロッド33の右部には右ブラケット34bが接続される。ステアリングシャフト31の回転は、タイロッド33を介して、左ブラケット34a及び右ブラケット34bに伝達される。このように、操舵部材は、ライダーがハンドルバー32を操作する操舵力を、ブラケット34(34a,34b)に伝達する。
左緩衝器73aは、左ブラケット34aに取り付けられる。左緩衝器73aは、左ブラケット34aと連動して回転する。右緩衝器73bは、右ブラケット34bに取り付けられる。右緩衝器73bは、右ブラケット34bと連動して回転する。緩衝器73(73a,73b)は、いわゆるテレスコピック式の緩衝器である。左緩衝器73aは、支持する左車輪3aが路面から受ける荷重による振動を減衰させる。右緩衝器73bは、支持する右車輪3bが路面から受ける荷重による振動を減衰させる。
ライダーがハンドルバー32を回転させることで、操舵力を入力する。操舵力伝達機構71は、ハンドルバー32の回転を、左車輪3a及び右車輪3bに伝達する。操舵力は、操舵力伝達機構71によって、左緩衝器73a及び右緩衝器73bに伝達される。左緩衝器73a及び右緩衝器73bの回転に伴って左車輪3a及び右車輪3bも回転する。これにより、左車輪3a及び右車輪3bが操舵される。このように、ハンドルバー32に入力された操舵力は、操舵力伝達機構71を介して、操舵輪である右車輪3b及び左車輪3aに伝達される。
左車輪3aは、左緩衝器73aに支持される。左車輪3aは、ダウンフレーム22の左方に配置される。左車輪3aの上方には、左フロントフェンダー27aが配置されている。右車輪3bは、右緩衝器73bに支持される。右車輪3bは、ダウンフレーム22の右方に配置される。右車輪3bの上方には、右フロントフェンダー27bが配置されている。
〈リンク機構〉
車両1は、平行四節リンク(「パラレログラムリンク」とも呼ぶ。)方式のリンク機構9を有している。
リンク機構9は、車体フレーム15が直立状態の下での車両1を前方から見て、ハンドルバー32よりも下方に配置されており、ヘッドパイプ21に支持されている。リンク機構9は、クロス部材35を備えている。
図3に示すように、クロス部材35は、上クロス部材35a、左クロス部材35b、右クロス部材35c及び下クロス部材35dを含む。上クロス部材35a及び下クロス部材35dは、車体フレーム15と右車輪3bおよび左車輪3aとの間に設けられ、車体フレーム15に対して回転可能に支持されるアームの一例である。アームが車体フレーム15に対して回転すると、右車輪3bおよび左車輪3aの車体フレーム15に対する上下方向の相対位置が変更する。これに伴い、車体フレーム15が鉛直方向に対して傾斜する。
上クロス部材35aは、ヘッドパイプ21の前方に配置されて車幅方向に延びている。上クロス部材35aの中間部は、支持部36aによってヘッドパイプ21に支持されている。支持部36aは、ヘッドパイプ21に設けられたボス部である。上クロス部材35aは、ヘッドパイプ21に対して、車体フレーム15の前後方向に延びる中間上軸線回りに回転可能である。
上クロス部材35aの左端は、支持部36bによって左クロス部材35bに支持されている。支持部36bは、左クロス部材35bに設けられたボス部である。また、上クロス部材35aの右端は、支持部36cによって右クロス部材35cに支持されている。支持部36cは、右クロス部材35cに設けられたボス部である。
上クロス部材35aは、左クロス部材35bに対して、車体フレーム15の前後方向に延びる左上軸線回りに回転可能である。また、上クロス部材35aは、右クロス部材35cに対して、車体フレーム15の前後方向に延びる右上軸線回りに回転可能である。中間上軸線、左上軸線、及び右上軸線は、互いにほぼ平行である。中間上軸線、左上軸線、及び右上軸線は、車体フレーム15の前後方向の前方かつ車体フレーム15の上下方向の上方に延びている。
下クロス部材35dの中間部は、支持部36dによってヘッドパイプ21に支持されている。支持部36dは、ヘッドパイプ21に形成されたボス部である。下クロス部材35dは、ヘッドパイプ21に対して、車体フレーム15の前後方向に延びる中間下軸線回りに回転可能である。車体フレーム15が直立状態の車両を前方から見て、車体フレーム15の上下方向において、下クロス部材35dは、上クロス部材35aよりも下方に配置されている。下クロス部材35dは、上クロス部材35aとほぼ平行に配置されている。下クロス部材35dは、上クロス部材35aとほぼ同じ車幅方向の長さを有する。
下クロス部材35dの左端は、支持部36eによって左クロス部材35bに支持されている。支持部36eは、左クロス部材35bに設けられたボス部である。また、下クロス部材35dの右端は、支持部36fによって右クロス部材35cに支持されている。支持部36fは、右クロス部材35cに設けられたボス部である。下クロス部材35dは、左クロス部材35bに対して、車体フレーム15の前後方向に延びる左下軸線回りに回転可能である。同様に、下クロス部材35dは、右クロス部材35cに対して、車体フレーム15の前後方向に延びる右下軸線回りに回転可能である。中間下軸線、左下軸線、及び右下軸線は、互いにほぼ平行である。中間下軸線、左下軸線、及び右下軸線は、車体フレーム15の前方且つ上方に延びている。
リンク機構9の少なくとも一部は、車両1の前後方向に延びる中間軸線回りに回転可能である。また、リンク機構9の少なくとも一部は、車体フレーム15の前方且つ上方に延びる中間軸線(回転軸線)回りに回転可能である。中間軸線(回転軸線)は、水平に対して傾斜し、水平に対して前方且つ上方に延びている。
左クロス部材35bは、ヘッドパイプ21の左方に配置されている。左クロス部材35bは、左車輪3a及び左緩衝器73aよりも上方に設けられている。左緩衝器73aは、左クロス部材35bに対して左中心軸Y1を中心に回転可能に配置されている。左中心軸Y1は、ヘッドパイプ21の回転軸線とほぼ平行に設けられている。
右クロス部材35cは、ヘッドパイプ21の右方に配置されている。右クロス部材35cは、右車輪3b及び右緩衝器73bよりも上方に設けられている。右緩衝器73bは、右クロス部材35cに対して右中心軸Y2を中心に回転可能に配置されている。右中心軸Y2は、ヘッドパイプ21の回転軸線とほぼ平行に設けられている。
このように、クロス部材35(35a,35b,35c,35d)は、上クロス部材35aと下クロス部材35dとが相互にほぼ平行な姿勢を保ち、左クロス部材35bと右クロス部材35cとが相互にほぼ平行な姿勢を保つように支持されている。
〈操舵動作〉
図4は、車体フレーム15が直立状態で左右一対の前輪3が転舵していない状態を示している。図5は、車両1を転舵させた状態の車両前部の平面図である。図5は、車体フレーム15が直立状態で左右一対の前輪3を転舵させた時の車両1を、車体フレーム15の上方から見た図に対応する。
図4に示す状態から、ハンドルバー32が回されると、操舵機構7が動作し、操舵動作が行われる。例えば、図5に示すように、ステアリングシャフト31が図5の矢印T1の方向に回転すると、タイロッド33が左後方に移動する。タイロッド33の左後方への移動に伴って、ブラケット34(34a,34b)が矢印T1の方向に回転する。これに伴って、左車輪3aが左中心軸Y1(図2、図3参照)を中心として回転する。また、右車輪3bが右中心軸Y2(図2、図3参照)を中心として回転する。
〈傾斜動作〉
図6は、車両1の傾斜動作を説明するための図であり、車両1を傾斜させた状態の車両1の前部の正面図である。図6は、車体フレーム15が車両1の左方向に傾斜した状態の車両1を、車両1の前方から見た図に対応する。
リンク機構9は、車体フレーム15が直立状態にある車両1を前方から見ると、ほぼ長方形状を示し、車体フレーム15が車両1の左方向に傾斜した状態にある車両1を前方から見ると、ほぼ平行四辺形状を示す。リンク機構9の変形と車体フレーム15の左右方向への傾斜は連動する。リンク機構9の作動とは、リンク機構9における傾斜動作を行うためのクロス部材35(35a,35b,35c,35d)がそれぞれの支持点を軸として相対回転し、リンク機構9の形状が変化することを意味している。
例えば、車両1が直立状態にある場合において、正面視でほぼ長方形状に配置されたクロス部材35(35a,35b,35c,35d)が、車両1が傾斜した状態においてほぼ平行四辺形状に変形している。車体フレーム15の傾斜に連動して、左車輪3a及び右車輪3bも車両1の左右方向に傾斜する。
例えば、ライダーが車両1を左方に傾斜させると、ヘッドパイプ21が垂直方向に対して左方に傾斜する。ヘッドパイプ21(車体フレーム15)が傾斜すると、上クロス部材35aは支持部36aを中心としてヘッドパイプ21に対して回転する。さらに、下クロス部材35dは支持部36dを中心としてヘッドパイプ21に対して回転する。すると、上クロス部材35aが下クロス部材35dよりも左方に移動する。左クロス部材35b及び右クロス部材35cは、ヘッドパイプ21とほぼ平行な状態を保ったまま、垂直方向に対して傾斜する。このとき、左クロス部材35bは、上クロス部材35a及び下クロス部材35dに対して回転する。右クロス部材35cも、上クロス部材35a及び下クロス部材35dに対して回転する。つまり、車両1を傾斜させると、左クロス部材35b及び右クロス部材35cの傾斜に伴って、左クロス部材35bに支持された左車輪3a、及び右クロス部材35cに支持された右車輪3bも傾斜する。左車輪3a、及び右車輪3bは、それぞれヘッドパイプ21とほぼ平行な状態を保ったまま、垂直方向に対して傾斜する。
このように、右車輪3b及び左車輪3aと、車体フレーム15とは、リンク機構9を介して接続されている。リンク機構9は、車体フレーム15の傾斜と右車輪3b及び左車輪3aの傾斜を連動させる。すなわち、リンク機構9により、車体フレーム15の傾斜に伴って右車輪3b及び左車輪3aが傾斜する。
また、タイロッド33は、車両1が傾斜しても上クロス部材35a及び下クロス部材35dに対してほぼ平行な姿勢を保つ。
このように、傾斜動作を行うことで左車輪3a及び右車輪3bをそれぞれ傾けるリンク機構9は、左車輪3a及び右車輪3bの上方に配置されている。つまり、リンク機構9を構成する各クロス部材35(35a,35b,35c,35d)の回転軸は、左車輪3a及び右車輪3bよりも上方に配置されている。
〈操舵動作+傾斜動作〉
図7は、車両1を転舵させ、且つ傾斜させた状態の車両1の前部の正面図である。図7では、左側方に操舵し、左方に傾斜した状態を示している。図7は、車体フレーム15が車両1の左方に傾斜した状態で左右一対の前輪3(3a,3b)を転舵させた時の車両1を、車両1の前方から見た図である。図7に示す動作時には、操舵動作により前輪3(3a,3b)の向きが変更され、傾斜動作により前輪3(3a,3b)が車体フレーム15とともに傾斜している。この状態では、リンク機構9の各クロス部材35(35a,35b,35c,35d)が平行四辺形状に変形し、タイロッド33が操舵方向(図7では左方)且つ後方に移動する。
〈傾斜検出〉
図8は、傾斜検出部50の構成を示す機能ブロック図である。本実施形態において、傾斜検出部50は、車速検出部51、ジャイロセンサ53、及びロール角検出部54を備える。車速検出部51、ロール角検出部54は、例えば演算処理装置によって実現される。なお、傾斜検出部50は、車両1の傾斜状態を検出することができる構成であれば、図8に示す態様には限られない。
カーブを曲がる際に、例えば図5に示すようにライダーが車両1のハンドルバー32を操舵すると、車両1のヨーレートが変化する。また、例えば図6に示すようにライダーが車両1をカーブの中心方向に傾けると、車両1のロールレートが変化する。ジャイロセンサ53は、車両1のヨー及びロールの2軸方向の角速度を検出する。すなわち、ジャイロセンサ53は、車両1のヨーレート及びロールレートを検出する。
後輪車速センサ42は後輪5の回転速度を検出する。なお、前輪車速センサ41は、一対の前輪3(3a,3b)のうち少なくともいずれか一方に備えることができる。
車速検出部51は、前輪車速センサ41及び後輪車速センサ42から入力される検出値を基に、車両1の車速を検出する。ロール角検出部54は、ジャイロセンサ53から車両1のロールレートが入力される。ロール角検出部54は、入力値を基に車体フレーム15のロール角を検出する。このロール角は、左右傾斜状態検出部で検出される傾斜状態を示す情報の一例である。車体フレーム15のロール角の検出方法の一例を、図9A及び図9Bを参照して説明する。
図9Aは、車両1の重心10に発生する加速度を図示したものである。図9Bは、車両1に発生する角速度を図示したものである。図9A及び図9Bにおいて、便宜的に車体固定軸(Y1軸)が車両1の重心10を通るものとする。ここで、図9A及び図9Bを用いて説明される車体フレーム15のロール角の検出方法は、リーンウィズの状態で、理想状態におけるロール角の検出方法である。上記理想状態は、車両1のピッチング及びタイヤの厚みが無視でき、速度Vで旋回中の状態である。なお、リーンウィズの状態とは、車体固定軸(Y1軸)とライダーの上半身とが一直線上にある状態のことである。
図9Aを参照して、車両1の旋回中における車体フレーム15のロール角θと、車体速度Vとオイラーのヨー角Ψの微分と重力加速度gとの関係は以下の式により表わされる。(dΨ/dt)はヨー角の時間微分であるヨーレート(ヨー角速度)である。
θ=arctan(V・(dΨ/dt)/g) …(1)
図9Bを参照して、車両1の旋回中における車体フレーム15のロール角θと、車体フレーム15に固定されたジャイロセンサ53で検出されたヨーレートωと、オイラーのヨー角Ψの微分との関係は以下の式により表される。また、図9Bにおいて、ωは車体に固定された上下方向の軸周りに発生する角速度で矢印の長さはその大きさを表す。(dΨ/dt)は鉛直方向軸周りに発生する角速度である。
θ=arccos(ω/(dΨ/dt)) …(2)
(1)式及び(2)式より、下式の関係式が導出される。
θ=arcsin(V・ω/g) …(3)
〈制動動作〉
図10は、図1の車両1の右側方から見た左緩衝器73aの側面図である。なお、右緩衝器についても同様であるため、説明は割愛する。
図10に示すように、左緩衝器73aは、左後テレスコピック要素80a、左前テレスコピック要素81a、左クロス部材支持部82a、及び左ブラケット34aを含む。左後テレスコピック要素80aは、例えば、内部にスプリング等の弾性部材(図示略)及びオイル等の緩衝部材(図示略)が設けられることで、左中心軸Y1方向に伸縮する伸縮構造を有する。また、左後テレスコピック要素80aは、左車輪3aが路面から受ける荷重による振動や衝撃を吸収するダンパー機能を有する。
左前テレスコピック要素81aは、左車輪3aに対して左車輪軸83aの回転軸線方向で左後テレスコピック要素80aと同じ側に配置される。左後テレスコピック要素80aと左前テレスコピック要素81aとは、左車輪3aの右方で車両1の直立状態で車両の前後方向に並んで配置される。左前テレスコピック要素81aは、左後テレスコピック要素80aの前方に配置されている。左前テレスコピック要素81aは、左後テレスコピック要素80aと同様に、左中心軸Y1方向に伸縮する伸縮構造を有する。なお、左後テレスコピック要素80aの伸縮方向と左前テレスコピック要素81aの伸縮方向とは、左車輪3aの回転軸線方向から見て平行である。
左後テレスコピック要素80aの上部及び左前テレスコピック要素81aの上部は、左ブラケット34aによって連結されている。左前テレスコピック要素81aの下端部は、左後テレスコピック要素80aの下端部近傍に連結固定されている。左車輪3aは、車両1の前後方向に並列に配置された左後テレスコピック要素80a及び左前テレスコピック要素81aの2本のテレスコピック要素によって左ブラケット34aに支持されている。そのため、左緩衝器73aの下側部に位置するアウター要素84aは、左緩衝器73aの上側部に位置するインナー要素85aに対して、テレスコピック要素の伸縮方向に平行な軸線回りに相対回転しない。
左ブラケット34aは、車体フレーム15が直立状態にある車両1を上方から見て、フロントカバー26の下方に位置する。
左車輪3aは、左車輪3aの制動力を発生させる左前ブレーキ91aを備えている。左前ブレーキ91aは、左ブレーキディスク92a及び左キャリパ93aを有する。左ブレーキディスク92aは、左車輪軸83aを中心とした環状に形成されている。左ブレーキディスク92aは、左車輪3aに固定されている。左キャリパ93aは、左緩衝器73aの左後テレスコピック要素80aの下部に固定されている。また、左キャリパ93は、左前ブレーキ管94aの一端部が接続されており、左前ブレーキ管94aを介して液圧を受ける。左キャリパ93aは、受けた液圧によりブレーキパッドを移動させる。ブレーキパッドは、左ブレーキディスク92aの右側面及び左側面に接触する。左キャリパ93aは、左ブレーキディスク92aをブレーキパッドで挟持して、左ブレーキディスク92aの回転を制動する。
図11は、車両1が備えるブレーキシステム120の構成を示すブロック図である。ブレーキシステム120は、左前ブレーキ91aと、右前ブレーキ91bとを含む。図10を参照して上述したように、左前ブレーキ91aは、左車輪3aに設けられ、左車輪3aの制動力を発生させる。右前ブレーキ91bは、右車輪3bに設けられ、右車輪3bの制動力を発生させる。左前ブレーキ91aが「左制動部」に対応し、右前ブレーキ91bが「右制動部」に対応する。ブレーキシステム120は、ブレーキ作動装置123を含む。
ブレーキシステム120は、車両1を運転するライダーによって操作可能に構成された入力部材121及び入力部材131を含む。入力部材121、131は、一例としてレバー形状である。入力部材121、131が「制動操作子」に対応する。
ブレーキシステム120は、トルク制御部100を含む。トルク制御部100は、液圧制御ユニット102と、電子制御ユニット101を含む。電子制御ユニット101は、液圧制御ユニット102の動作を制御する。液圧制御ユニット102は、入力部材121、131に対するライダーの操作により発生した液圧を、左前ブレーキ91a及び右前ブレーキ91bに分配する。電子制御ユニット101は、入力部材121、131の操作量及び車体フレーム15の傾斜状態に基づいて、左前ブレーキ91a及び右前ブレーキ91bの液圧の配分を決定する。これにより、左車輪3aの制動トルクと右車輪3bの制動トルクが決定される。電子制御ユニット101は、決定した配分で、左前ブレーキ91a、右前ブレーキ91b及び後ブレーキ91cに液圧を付与するよう液圧制御ユニット102を制御する。液圧制御ユニット102が「制動制御部」に対応する。
液圧制御ユニット102は、入力部材121、131の操作に基づく液圧の流れを制御する弁及び伝達する液圧を増圧するポンプを備えることができる。液圧制御ユニット102は、電子制御ユニット101からの制御信号に従って弁とポンプを動作させることで、左前ブレーキ91a、右前ブレーキ91b及び後ブレーキ91cそれぞれの液圧すなわち制動トルクを制御することができる。すなわち、液圧制御ユニット102は、電子制御ユニット101の制御にしたがって、左前ブレーキ91a、右前ブレーキ91b及び後ブレーキ91cそれぞれの液圧を独立して制御する構成を有している。
例えば、液圧制御ユニット102は、保持弁、ポンプ、減圧弁等を含む構成とすることができる。保持弁は、入力部材121、131、右前ブレーキ91b及び左前ブレーキ91aのそれぞれにおけるブレーキ液の流量を制御する。ポンプは、右前ブレーキ91b、及び左前ブレーキ91aの液圧を増圧させる。減圧弁は、右前ブレーキ91b、及び左前ブレーキ91aの液圧を減圧させる。トルク制御部100は、保持弁、ポンプ、減圧弁その他の部材の動作を制御することで、右前ブレーキ91b、及び左前ブレーキ91aの液圧の配分を制御する。液圧制御ユニット102の制御方式は特に限定されない。液圧を電気的にコントロールするもの、液圧配管と機械バルブを組み合わせたもの等、その他の任意の方式を、液圧制御ユニット102の制御方式として採用することができる。
以下では、入力部材121で入力されたブレーキ操作に基づいて、左車輪3a及び右車輪3bを制動する部分を、ブレーキ作動装置123とする。入力部材131で入力されたブレーキ操作に基づいて、後輪5を制動する部分をブレーキ作動装置133とする。
ブレーキ作動装置123は、前マスターシリンダー125を含む。入力部材121がライダーによって操作されると、前マスターシリンダー125が作動して液圧を発生する。発生した液圧は、前ブレーキ管127を介してトルク制御部100に伝えられる。トルク制御部100に備えられた電子制御ユニット101は、伝えられた液圧、各車輪の回転速度、及び車両1の傾斜状態等に応じた液圧を発生するために液圧制御ユニット102を制御する。
前ブレーキ管127は、液圧制御ユニット102に接続される。液圧制御ユニット102は、前マスターシリンダー125の液圧を検出する前マスターシリンダー圧センサ(図示せず)を備えることができる。トルク制御部100は、前マスターシリンダー圧センサで検出される液圧に基づいて、入力部材121の操作量を検出することができる。
入力部材121が操作されると、前マスターシリンダー125の液圧に基づく液圧が液圧制御ユニット102にて発生する。液圧制御ユニット102で発生した液圧は、左前ブレーキ管94aを介して左キャリパ93aに伝えられる。これにより、左前ブレーキ91aは作動する。同様に、液圧制御ユニット102で発生した液圧は、右前ブレーキ管94bを介して右キャリパ93bに伝えられる。これにより、右前ブレーキ91bは作動する。左前ブレーキ管94aが「左配管」に対応し、右前ブレーキ管94bが「右配管」に対応する。
ブレーキ作動装置123は、入力部材121の操作により、右前ブレーキ91b、及び左前ブレーキ91aを作動させる。トルク制御部100は、入力部材121の操作量及び車体フレームの左右方向の傾斜状態等に応じて、右前ブレーキ91b、及び左前ブレーキ91aの液圧の配分を制御する。すなわち、トルク制御部100は、右前ブレーキ91b、及び左前ブレーキ91aの制動力の配分を制御する。これにより、左車輪3aの制動トルクと、右車輪3bの制動トルクとの差が調整される。
液圧制御ユニット102は、電子制御ユニット101による制御によって、左前ブレーキ管94aに充填されたブレーキ液の液圧と、右前ブレーキ管94bに充填されたブレーキ液の液圧とが、独立して調整可能に構成されている。
また、ブレーキシステム120は、左前ブレーキ91a、右前ブレーキ91b及び後ブレーキ91cのキャリパ93a、93b、93cそれぞれの液圧(ホイールシリンダーの液圧:WC圧)を検出するWC圧センサを備えてもよい。電子制御ユニット101は、WC圧センサで検出された各ブレーキの液圧すなわちWC圧を取得し、制御処理に用いることができる。
本実施形態の車両1において、ブレーキシステム120は、後輪5の制動力を発生させる後ブレーキ91cを備える。ブレーキシステム120は、入力部材121とは別の入力部材131を備える。ブレーキシステム120は、ブレーキ作動装置133を含む。
ブレーキ作動装置133は、後マスターシリンダー135を含む。入力部材131がライダーによって操作されると、後マスターシリンダー135が作動して液圧を発生する。発生した液圧は、後ブレーキ管137を介してトルク制御部100に伝えられる。
後ブレーキ管137は、液圧制御ユニット102に接続される。液圧制御ユニット102は、後マスターシリンダー135の液圧を検出する後マスターシリンダー圧センサ(図示せず)を備えることができる。トルク制御部100は、後マスターシリンダー圧センサで検出される液圧に基づいて、入力部材131の操作量を検出することができる。
ブレーキ作動装置133は、入力部材131の操作により、左前ブレーキ91a、右前ブレーキ91b、及び後ブレーキ91cを作動させる。すなわち、液圧制御ユニット102で発生した液圧は、左前ブレーキ管94aを介して左キャリパ93aに伝えられる。これにより、左前ブレーキ91aは作動する。同様に、液圧制御ユニット102で発生した液圧は、右前ブレーキ管94bを介して右キャリパ93bに伝えられる。これにより、右前ブレーキ91bは作動する。同様に、液圧制御ユニット102で発生した液圧は、後ブレーキ管94を介して後キャリパ93cに伝えられる。これにより、後ブレーキ91cは作動する。
なお、入力部材131が操作された場合には、後ブレーキ91cのみを作動させるものとしても構わない。他方、入力部材121が操作された場合に、左前ブレーキ91a及び右前ブレーキ91bに加えて、後ブレーキ91cをも作動させるものとしても構わない。
〈トルク制御部〉
図12は、トルク制御部100の構成を示すブロック図である。上述したように、トルク制御部100は、電子制御ユニット101と液圧制御ユニット102とを備える。
電子制御ユニット101は、傾斜検出部50から車両1の傾斜状態に関する情報が与えられる。また、電子制御ユニット101は、ライダーが入力部材121を操作した操作量に関する情報が与えられる。この情報は、前マスターシリンダー125や後マスターシリンダー135を通じて生じた液圧に基づくものとして構わない。
図12に示す例では、電子制御ユニット101は、内外輪特定部151と、合計制動トルク算出部153と、各制動トルク算出部155とを備える。
内外輪特定部151は、傾斜検出部50から与えられた車体フレーム15の傾斜状態に関する情報に基づき、左車輪3aと右車輪3bのうち、どちらが内輪でどちらが外輪であるかを特定する。一例として、水平面に直交する軸からの車体フレーム14の上下方向線の傾斜角(ロール角)を車両1の傾斜状態とすることができる。この場合、例えば、このロール角の正負によって、左車輪3aと右車輪3bのどちらが内輪でどちらが外輪であるかを特定することができる。
合計制動トルク算出部153は、ライダーによる入力部材121の操作量に基づいて、左車輪3aに対して発生させるべき制動トルク(左制動トルク)と、右車輪3bに対して発生させるべき制動トルク(右制動トルク)との合計値(以下、「合計制動トルク」と呼ぶ。)を算出する。操作量と合計制動トルクとは、少なくともある範囲内においては正に相関しているものとして構わない。
各制動トルク算出部155は、合計制動トルク算出部153で算出された合計制動トルクと、左車輪3aに対して発生させるべき制動トルク(左制動トルク)と、右車輪3bに対して発生させるべき制動トルク(右制動トルク)とを算出する。各制動トルク算出部155は、傾斜検出部50から与えられた傾斜状態、及び内外輪特定部151で特定された結果に基づいて、左制動トルク及び右制動トルクを算出する。内外輪特定部151で特定された結果は、左車輪3a及び右車輪3bが、それぞれ内輪及び外輪のいずれであるかを示す情報である。例えば、合計制動トルクの値、及び車体フレーム15の傾斜状態(ロール角)に応じて、左右の制動トルクの配分比率が予め定められているものとしても構わない。各制動トルク算出部155は、上記予め定められた配分比率を示すデータを用いて、合計制動トルク算出部153で算出された合計制動トルクと傾斜検出部50から与えられた傾斜状態に対応する左右の制動トルクの配分比率を決定することができる。
そして、液圧制御ユニット102は、各制動トルク算出部155が算出した左制動トルクが左車輪3aに生じるように、左前ブレーキ管94aに充填されるブレーキ液圧を調整する。また、液圧制御ユニット102は、各制動トルク算出部155が算出した右制動トルクが右車輪3bに生じるように、右前ブレーキ管94bに充填されるブレーキ液圧を調整する。
各制動トルク算出部155は、種々の基準に基づいて演算をすることが可能である。以下、実施形態毎に説明する。
(第一実施形態)
第一実施形態の態様では、各制動トルク算出部155は、内外輪特定部151によって内輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクが、内外輪特定部151によって外輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、各前輪3(3a,3b)に対して発生させるべき制動トルクを算出する。
図13Aは、外輪よりも内輪に対して大きな制動トルクを発生させた場合における車両1の挙動を説明するための図である。図13Aでは、車両1が軌跡60aに沿って右カーブを描きながら走行中において、右車輪3bに対して制動トルクFxを発生させた場合を想定した図面である。この状態では、右車輪3bが内輪に対応し、左車輪3aが外輪に対応する。すなわち、図13Aは、外輪よりも内輪に対して大きな制動トルクを発生させた場合を模擬したものである。
車両1が右カーブを描きながら進行中、ライダーは車両1の車体を右側に傾斜させる。この状態で外輪である左車輪3aよりも内輪である右車輪3bに対して大きな制動トルクを発生させる。この場合、右車輪3bに対しては進行方向とは反対の向きに制動力が発生する一方、左車輪3aに対してはこの力が発生しない。この内輪と外輪の制動力の差に起因して、車体フレーム15に対して内向きのヨーモーメント61が発生する。このヨーモーメントにより外向きの遠心力が増す。そのため、車両1を起き上がらせるロール方向の回転力が上昇する。この結果、車両1は、右車輪3bに対して制動トルクFxを発生させた後は、軌跡60bに沿って走行する。
(第二実施形態)
第二実施形態の態様では、各制動トルク算出部155は、内外輪特定部151によって外輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクが、内外輪特定部151によって内輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、各前輪3(3a,3b)に対して発生させるべき制動トルクを算出する。
図13Bは、内輪よりも外輪に対して大きな制動トルクを発生させた場合における車両1の挙動を説明するための式的な図面である。図13Bでは、車両1が軌跡60aに沿って右カーブを描きながら走行中において、左車輪3aに対して制動トルクFxを発生させた場合を想定した図面である。この状態では、右車輪3bが内輪に対応し、左車輪3aが外輪に対応する。すなわち、図13Bは、内輪よりも外輪に対して大きな制動トルクを発生させた場合を模擬したものである。
車両1が右カーブを描きながら進行中、ライダーは車両1の車体を右側に傾斜させる。この状態で内輪である右車輪3bよりも外輪である左車輪3aに対して大きな制動トルクを発生させる。この場合、左車輪3aに対しては進行方向とは反対の向きに制動力が発生する一方、右車輪3bに対してはこの力が発生しない。この内輪と外輪の制動力の差に起因して、左車輪3aに対して外向きのヨーモーメント62が発生する。そのため、内向きのヨーモーメントが減少する。内向きのヨーモーメントとは旋回方向と同じ向きのヨーモーメントである。外向きのヨーモーメントは、旋回方向とは反対の向きのヨーモーメントである。この外向きのヨーモーメント62は、図13Aに示す内向きのヨーモーメント61とは逆向きである。この外向きのヨーモーメント62は、車体フレーム15を起き上がらせる力を低下させる。すなわち、車体フレーム15を旋回内側に傾かせる方向のロールモーメントが発生する。車体フレーム15に外向きのヨーモーメント62が発生することにより、車体フレーム15が旋回内側に傾斜する場合もある。外向きのヨーモーメント62により、車両1は、左車輪3aに対して制動トルクFxを発生させた後は、軌跡60bに沿って走行する。
(第三実施形態)
図14は、第三実施形態のトルク制御部100の構成を示すブロック図である。トルク制御部100は、上記の実施形態の構成に加えて、更に記憶部157を備えている。記憶部157は、運転時における車体の姿勢維持性と、運転時における車体の姿勢変動性とのいずれを優先するかに関する優先性能情報が記憶されている。なお、この情報は、適宜書き換え可能に構成されていても構わない。
この実施形態では、各制動トルク算出部155は、優先性能情報の内容によって、内輪と外輪のどちらの制動トルクを大きくするかを調整する。
具体的には、優先性能情報が車体の姿勢維持性を優先する旨の内容である場合、各制動トルク算出部155は第一実施形態と同様の処理を行う。すなわち、各制動トルク算出部155は、内外輪特定部151によって内輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクが、内外輪特定部151によって外輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、各前輪3(3a,3b)に対して発生させるべき制動トルクを算出する。
また、優先性能情報が車体の姿勢変動性を優先する旨の内容である場合、各制動トルク算出部155は第二実施形態と同様の処理を行う。すなわち、各制動トルク算出部155は、内外輪特定部151によって外輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクが、内外輪特定部151によって内輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、各前輪3(3a,3b)に対して発生させるべき制動トルクを算出する。
(第四実施形態)
図14に示す構成において、各制動トルク算出部155は、例えば傾斜検出部50から車両1のロール角速度に関する情報が与えられることで、車両1がより傾斜する方向に移動しているか、起き上がる方向に移動しているかを検出することができる。
具体的には、優先性能情報が車体の姿勢維持性を優先する旨の内容である場合、各制動トルク算出部155は、車両1のロール角速度の値から、車体がより傾斜する方向に移動していることを検知すると、第一実施形態と同様の処理を行う。すなわち、各制動トルク算出部155は、内外輪特定部151によって内輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクが、内外輪特定部151によって外輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、各前輪3(3a,3b)に対して発生させるべき制動トルクを算出する。
また、優先性能情報が車体の姿勢維持性を優先する旨の内容である場合、各制動トルク算出部155は、車両1のロール角速度の値から起き上がる方向に移動していることを検知すると、第二実施形態と同様の処理を行う。すなわち、各制動トルク算出部155は、内外輪特定部151によって外輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクが、内外輪特定部151によって内輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、各前輪3(3a,3b)に対して発生させるべき制動トルクを算出する。
また、優先性能情報が車体の姿勢変動性を優先する旨の内容である場合、各制動トルク算出部155は、車両1のロール角速度の値から、車体が傾斜する方向に移動していることを検知すると、第二実施形態と同様の処理を行う。すなわち、各制動トルク算出部155は、内外輪特定部151によって外輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクが、内外輪特定部151によって内輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、各前輪3(3a,3b)に対して発生させるべき制動トルクを算出する。
また、優先性能情報が車体の姿勢変動性を優先する旨の内容である場合、各制動トルク算出部155は、車両1のロール角速度の値から起き上がる方向に移動していることを検知すると、第一実施形態と同様の処理を行う。すなわち、各制動トルク算出部155は、内外輪特定部151によって内輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクが、内外輪特定部151によって外輪と特定された側の前輪が路面に伝える制動トルクよりも大きくなるように、各前輪3(3a,3b)に対して発生させるべき制動トルクを算出する。
(第五実施形態)
各制動トルク算出部155は、傾斜検出部50から与えられる車両1のロール角の情報に応じて決定される基準に基づいて合計制動トルクを配分するものとしても構わない。また、各制動トルク算出部155は、傾斜検出部50から与えられる車両1のロール角速度の情報に応じて決定される基準に基づいて合計制動トルクを配分するものとしても構わない。また、各制動トルク算出部155は、傾斜検出部50から与えられる車両1のロール角の情報とロール角速度の情報の双方に応じて決定される基準に基づいて合計制動トルクを配分するものとしても構わない。
[別実施形態]
以下、別実施形態について説明する。
〈1〉 上述した実施形態では、トルク制御部100が、左車輪3a及び右車輪3bの制動トルクを個別に制御する。この制御の代わりに、又は、この制御に加えて、トルク制御部100が、左車輪3a及び右車輪3bの駆動トルクを個別に制御するものとしてもよい。例えば、車両1が、左車輪3a及び右車輪3bの双方にホイールインモータを搭載することで、この制御を実現できる。
図13Aは、内輪の制動トルクを外輪の制動トルクよりも大きくした場合の例である。図13Aにおいて、内輪の制動力Fxの代わりに、制動力Fxと逆向きの駆動力を外輪に加えることができる。このように駆動力を加えた場合も、車両1は、図13Aに示した挙動を同様の挙動を示す。図13Bは、外輪の制動トルクを内輪の制動トルクよりも大きくした場合の例である。図13Bにおいて、外輪の制動力Fxの代わりに、制動力Fxと逆向きの駆動力を内輪に加えることができる。このように駆動力を加えた場合も、車両1は、図13Bに示した挙動を同様の挙動を示す。
制動トルクの代わりに駆動トルクを制御する場合、上記図12及び図14で登場した「合計制動トルク算出部153」は、「合計駆動トルク算出部153」に読み替えられ、「各制動トルク算出部155」は、「各駆動トルク算出部155」に読み替えられる。「液圧制御ユニット102」は、「駆動制御ユニット」に置き換えられる。
また、制動トルクの代わりに駆動トルクを制御する場合、上記車両1の左前ブレーキ91a、右前ブレーキ91bは、それぞれ、左車輪を回転させる左駆動部、右車輪を回転させる右駆動部に置き換えられる。右駆動部及び左駆動部は、それぞれ、車輪に回転力を付与するホイールインモータを含む構成とすることができる。駆動制御ユニットは、左車輪3aのホイールインモータ、及び右車輪3bのホイールインモータの駆動を制御する。また、各制動トルク算出部155は、車体フレーム15の傾斜状態に応じて、左車輪3aの駆動力、及び右車輪3bの駆動力を決定する構成となる。電子制御ユニット101は、各制動トルク算出部155で決定した左車輪3aの駆動力及び右車輪3bの駆動力を発生させるよう、右駆動部、左駆動部を制御する構成となる。
外輪よりも内輪に対して大きな駆動トルクを発生させた場合には、車両1が傾斜する方向に力が働く。逆に、内輪よりも外輪に対して大きな駆動トルクを発生させた場合には、車両1を起き上がらせる力が働く。
また、各駆動トルク算出部155が、優先性能情報の内容によって、内輪と外輪のどちらの駆動トルクを大きくするかを調整するものとしても構わない。具体的には、優先性能情報が車体の姿勢維持性を優先する旨の内容である場合には、外輪と特定された側の前輪が路面に伝える駆動トルクが、内輪と特定された側の前輪が路面に伝える駆動トルクよりも大きくなるように、各前輪3(3a,3b)に対して発生させるべき駆動トルクを算出する。一方、優先性能情報が車体の姿勢変動性を優先する旨の内容である場合には、内輪と特定された側の前輪が路面に伝える駆動トルクが、外輪と特定された側の前輪が路面に伝える駆動トルクよりも大きくなるように、各前輪3(3a,3b)に対して発生させるべき駆動トルクを算出する。
具体的には、優先性能情報が車体の姿勢維持性を優先する旨の内容である場合、各駆動トルク算出部155は、車両1のロール角速度の値から、車体が傾斜する方向に移動していることを検知すると、内輪の駆動トルクが外輪の駆動トルクよりも大きくなるように、各前輪3(3a,3b)に対して発生させるべき駆動トルクを算出する。また、優先性能情報が車体の姿勢維持性を優先する旨の内容である場合、各駆動トルク算出部155は、車両1のロール角速度の値から起き上がる方向に移動していることを検知すると、外輪の駆動トルクが内輪の駆動トルクよりも大きくなるように、各前輪3(3a,3b)に対して発生させるべき駆動トルクを算出する。
また、優先性能情報が車体の姿勢変動性を優先する旨の内容である場合、各駆動トルク算出部155は、車両1のロール角速度の値から、車体が傾斜する方向に移動していることを検知すると、外輪の駆動トルクが内輪の駆動トルクよりも大きくなるように、各前輪3(3a,3b)に対して発生させるべき駆動トルクを算出する。また、優先性能情報が車体の姿勢変動性を優先する旨の内容である場合、各駆動トルク算出部155は、車両1のロール角速度の値から起き上がる方向に移動していることを検知すると、内輪の駆動トルクが外輪の駆動トルクよりも大きくなるように、各前輪3(3a,3b)に対して発生させるべき駆動トルクを算出する。
また、各駆動トルク算出部155は、傾斜検出部50から与えられる車両1のロール角の情報に応じて決定される基準に基づいて合計駆動トルクを配分するものとしても構わない。また、各駆動トルク算出部155は、傾斜検出部50から与えられる車両1のロール角速度の情報に応じて決定される基準に基づいて合計駆動トルクを配分するものとしても構わない。また、各駆動トルク算出部155は、傾斜検出部50から与えられる車両1のロール角の情報とロール角速度の情報の双方に応じて決定される基準に基づいて合計駆動トルクを配分するものとしても構わない。
なお、この実施形態において、トルク制御部100が、左車輪3a及び右車輪3bの制動トルクと駆動トルクの双方を個別に制御するものとしても構わない。
〈2〉 上記実施形態の車両1では、左車輪3a及び右車輪3bが操舵輪である。これに対して、左右方向に配置された左後輪及び右後輪が、操舵される操舵輪とすることもできる。操舵輪が後輪である場合において、トルク制御部100が、これら2つの後輪の制動トルク又は駆動トルクを個別に制御する構成としても構わない。また、前輪及び後輪が操舵輪である構成とすることもできる。また、後輪は、1つの車輪に限らず、左右方向に配置された2つの車輪であってもよい。
〈3〉 車両1において、後輪5の左右方向の中央は、左車輪3aと右車輪3bの左右方向の中央と必ずしも一致していなくても構わない。車両1は、車体フレーム15を覆う車体カバーを備えていても構わない。また、車両1の動力源は、エンジンであっても電動モータであっても構わない。
〈4〉 上記実施形態では、入力部材(121,131)は、ライダーが手で操作可能なレバーであるものとしたが、運転者が足で操作するペダルであっても構わないし、ライダーが操作する押し込み式のボタンや、回転式のグリップであっても構わない。入力部材(121,131)は、ライダーが触れていない状態である初期状態とライダーの操作量が最大である最大操作状態との間で操作可能な構成である。入力部材としての操作子は、車輪の制動又は駆動を操作可能な操作子の他、車輪の制動及び駆動の双方を操作可能な操作子であってもよい。制動操作子は、例えば、ブレーキレバー、ブレーキペダル等である。駆動操作子は、例えば、アクセルレバー、アクセルペダル等である。
入力部材(121,131)の操作量は、入力部材(121,131)の初期状態からの位置であっても構わない。この場合、入力部材(121,131)の位置を検出するセンサを設けることで、その操作量を検出できる。入力部材(121,131)の操作量とは、入力部材の初期状態からの圧力の変化量であっても良い。この場合、マスターシリンダー(125,135)が発生する液圧を検出するセンサを設けることで、その操作量を検出できる。また、入力部材(121,131)に直接作用する圧力を検出するセンサを設けることで、その操作量を検出できる。入力部材の操作量は、運転者の操作に応じて変化する物理量である。なお、操作量は必ずしもセンサで検出する必要はなく、機械的に操作量に連動して作動する機構であっても良い。
〈5〉 上記実施形態において、車両1は、ブレーキ液圧を利用したディスクブレーキを採用している。しかしながら、本発明では、ブレーキの種類はこれに限らず、ドラムブレーキ、電磁ブレーキ、湿式多板ブレーキなど種々の種類を採用しても構わない。また、上記実施形態では、ブレーキ作動装置(123,133)は、ブレーキ液圧を電子制御する構成としたが、液圧を機械的な機構で制御しても構わない。
傾斜検出部50の構成は、上記例に限られない。傾斜検出部50は、車両において検出される6軸加速度及び6軸の速度のうち少なくとも1つを用いて、ロール角を推定する構成であってもよい。傾斜検出部50は、車体フレームのロール角に関する物理量を測定する構成であってもよい。傾斜検出部50は、例えば、ポテンショメータ等のように、車体フレームとリンク機構の相対回転を検出するセンサを含んでもよい。又は、傾斜検出部50は、近接センサ(距離センサ)を含んでもよい。この場合、近接センサによって、車体フレームと路面との距離を測定し、距離を用いてロール角を推定することができる。
リンク機構9の構成は、パラレログラムリンクに限られない。リンク機構9は、例えば、車体フレームに対して回転するアームとして、ショックタワーを備える構成であってもよい。また、リンク機構9は、ダブルウィッシュボーン型懸架構造を含む構成であってもよい。また、リンク機構9は、左右方向に並べて配置され、車体フレームに回転可能に取り付けられた左アーム及び右アームを備える構成であってもよい。この場合、左アームは、左操舵輪を車体フレームに対して上下方向に移動可能に支持し、右アームは、左操舵輪を車体フレームに対して上下方向に移動可能に支持する。
また、リンク機構9は、車体フレームに対してアームを回転させる力を付与するアクチュエータを備えてもよい。これにより、車体フレームの左右方向の傾斜を、アクチュエータにより制御することができる。この場合、トルク制御部100による車体フレームのロールモーメントの制御と、リンク機構のアクチュエータによるロールモーメントの制御が組み合わされる。
車体フレームは、走行中にリーン車両にかかる応力を受ける部材である。例えば、モノコック(応力外皮構造)、セミモノコック、又は、車両部品が応力を受ける部材を兼ねている構造のものも、車体フレームの例に含まれる。例えば、エンジン、エアクリーナ等の部品が車体フレームの一部となる場合があってもよい。
発明者は、上記の実施形態における車両の動作について、さらに詳しく以下のように考察した。車体フレームを傾斜しながら走行すると、車体フレームに対して遠心力が働く。このとき、操舵輪に対して横滑りが発生するが、操舵輪自体がたわむことで逆の方向に戻そうとする力が働く。この力は、操舵輪の接地点に作用している摩擦力の分力であり、車両の進行方向に対して直角の方向に作用する。この力は、「コーナリングフォース」と呼ばれ、タイヤ(車輪)に対する横滑り角から生じる。
また、車体フレームが傾斜していることで、操舵輪がこの傾斜方向に進もうとする結果、車体フレームのロール角(すなわち路面の鉛直線に対する傾き角(キャンバ角とも称される))にほぼ比例した大きさの力が、車両の進行方向に対して直角の方向に作用する。この力は、一般的に「キャンバースラスト」と呼ばれ、キャンバ角から生じる。これらの、コーナリングフォース及びキャンバースラストの合力が「横力」として、遠心力とは反対の向きに作用する。図15Aに、車体フレームが傾斜している際の遠心力Fc及び重力Fgの例を示す。
ここで、車体を路面に対して傾斜させた状態で走行しながら、操舵輪の回転を制動させた場合、すなわち、ライダーがブレーキを掛けた場合について検討する。進行方向に操舵輪を見たときに、操舵輪は中央よりも傾斜の内側において内径が小さい形状を有している。このため、図15Aに示すように、傾斜走行時には、操舵輪の接地点Bは、車体の前方から見たときに中央の位置ではなく、中央から内側にずれた位置となっている。この位置において、操舵輪は路面から制動力を受ける。そのため、操舵輪に対して内向きすなわち旋回方向と同じ向きにヨー方向の回転力(ヨーモーメントYr)が発生する(図15Bの参照)。このヨー方向の回転力に対する反力として、遠心力Fcが増す。この結果、車体を起き上がらせる力が発生する。この車体を起き上がらせる力は、ロール方向の回転力(ロールモーメント)である。
傾斜走行時において、旋回内側に位置する操舵輪すなわち内輪に対してのみ制動力を発生させ、旋回外側に位置する操舵輪すなわち外輪に対しては制動力を発生させない場合について検討する。まず、内輪は路面から制動力に起因する力を受ける。そのため、内輪に対して内向きにヨー方向の回転力(ヨーモーメントYr)が発生する。更に、内輪に対しては車両の進行方向とは反対の向きに制動力が発生する一方、外輪に対しては制動力が発生しない。この内輪と外輪の制動力の差に起因して、車体フレームに対して内向きのヨーモーメントが追加的に発生する。つまり、内輪に対応する操舵輪にのみ制動力を発生させた場合、内向きのヨーモーメントが増大する。内向きのヨーモーメントの増大により、ヨーレート(ヨー回転速度)が大きくなる。そのため、遠心力が増加する。これにより、車体フレームを起き上がらせるロールモーメントが高められる。
次に、傾斜走行時において、旋回外側に位置する操舵輪すなわち外輪に対してのみ制動力を発生させ、旋回内側に位置する操舵輪すなわち内輪に対しては制動力を発生させない場合について検討する。まず、外輪は路面から制動力に起因する力を受ける。外輪に対して内向きのヨーモーメントが発生する。さらに、外輪に対しては進行方向とは反対の向きに制動力が発生する一方、内輪に対しては制動力が発生しない。この内輪と外輪の制動力の差に起因して、車体フレームに対して外向きのヨーモーメントが発生する。つまり、外輪に対応する操舵輪にのみ制動力を発生させた場合、内向きのヨーモーメントが減少する。内向きのヨーモーメントの減少により、ヨーレート(ヨー回転速度)が小さくなる。そのため、遠心力が減少する。すなわち、車体を起き上がらせるロールモーメントが弱くなる。内輪と外輪の制動力の差によっては、車体フレームを更に内側に傾斜させる方向のロールモーメントが現れる場合もある。
上記の検討により、本発明者は、左右二つの操舵輪を有する鞍乗り型車両において、走行時に、左右の操舵輪に対して発生させる制動力に差を設けることで、車体の姿勢を制御することができることを突き止めた。この知見に基づいて、発明者は、上記の実施形態の構成に想到した。上記実施形態では、右操舵輪及び左操舵輪が路面をグリップした状態で走行中の期間の少なくとも一部において、車体フレームの左右方向の傾斜状態に基づいて、左操舵輪の制動トルクと、右操舵輪の制動トルクの差が調整される。この制動トルクの差の調整により、走行中の車両における車体フレームのロールモーメントが制御される。ここで、制動トルクを駆動トルクに置き換えてもよい。これにより、車体フレームの左右方向の傾斜の調整が可能になる。
この観点から、上記の実施形態のリーン車両の構成を表現すると、以下のようになる。リーン車両は、前記リーン車両の左右方向に並んで配置され、操舵される左操舵輪及び右操舵輪と、前記左操舵輪の車軸周りの回転のトルクを制御する左操舵輪制駆動装置と、前記右操舵輪の車軸周りの回転のトルクを制御する右操舵輪制駆動装置と、車体フレームと、左右傾斜モーメント制御装置とを備える。前記車体フレームは、前記左操舵輪、前記右操舵輪、前記左操舵輪制駆動装置及び前記右操舵輪制駆動装置を支持する。前記車体フレームは、前記リーン車両が左に旋回するときに前記リーン車両の左右方向において左に傾斜し、前記リーン車両が右に旋回するときに前記リーン車両の左右方向において右に傾斜する。前記左右傾斜モーメント制御装置は、左右傾斜状態検出部と、左右操舵輪トルク差調整部とを含む。前記左右傾斜状態検出部は、前記車体フレームに搭載され、前記リーン車両の左右方向における前記車体フレームの傾斜状態を検出する。前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記左右傾斜状態検出部が検出した傾斜状態に基づいて、前記左操舵輪及び前記右操舵輪が路面をグリップした状態で走行中の期間の少なくとも一部において、前記左操舵輪制駆動装置が発生するトルクと、前記右操舵輪制駆動装置が発生するトルクの差を調整する。前記左右傾斜モーメント制御装置は、前記左右操舵輪トルク差調整によって調整される前記トルクの差の調整によって、前記リーン車両の走行中の前記車体フレームを前記リーン車両の左右方向に傾斜させるモーメントを制御する(構成1)。
上記構成1において、車体フレームをリーン車両の左右方向に傾斜させるモーメントは、すなわち、ロールモーメントである。左右傾斜状態検出部で傾斜状態として検出される情報は、例えば、ロール角、ロール角速度、又は、車体フレームが右又は左のいずれに傾斜しているかを示す値を含むことができる。
左操舵輪制駆動装置は、左操舵輪の車軸周りの回転のトルクを制御することで、左操舵輪が路面に伝えるトルクを制御する。右操舵輪制駆動装置は、右操舵輪の車軸周りの回転のトルクを制御することで、右操舵輪が路面に伝えるトルクを制御する。
左操舵輪及び右操舵輪が路面をグリップした状態とは、左操舵輪及び右操舵輪がスリップしていない状態である。左操舵輪及び右操舵輪のスリップ率が、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)又はトラクションコントロールを作動する必要のない程度の時は、グリップした状態と言える。例えば、スリップ率が、ABS又はトラクションコントロールが作動するスリップ率の範囲内にない状態を、グリップ状態とすることができる。
左右傾斜モーメント制御装置による、傾斜状態に応じた左操舵輪及び右操舵輪のトルク差調整による車体フレームのロールモーメント制御は、左操舵輪及び右操舵輪が路面をグリップしている状態で走行中の期間の少なくとも一部と、左操舵輪及び右操舵輪が路面をグリップしていない状態で走行中の期間の双方に渡って行われてもよい。グリップしていない状態は、例えば、ABS又はトラクションコントロールが作動している状態である。すなわち、左右傾斜モーメント制御装置のトルク差調整によるロールモーメント制御は、グリップ状態の時のみ、或いは、グリップ状態の時及びスリップ状態の時の双方で行われてもよい。スリップ状態の時に、左操舵輪及び右操舵輪の制動又は駆動のトルクの差が発生していてもよい。
左右傾斜モーメント制御装置のトルク差調整によるロールモーメント制御は、ABSと組み合わせもよい。例えば、ABSに用いられるブレーキ制御システムを用いて、左右傾斜モーメント制御装置を構成してもよい。また、ABSの作動時すなわちスリップ状態の時に、トルク差調整によるロールモーメント制御を行ってもよい。この場合、スリップ状態の時は、トルク差の調整よりもABSによる左操舵輪及び右操舵輪の制動トルクの変動の方が、車体フレームのロールモーメントに多大な影響を与える可能性が高い。一方、ABSが作動しない程度にスリップ率が低い時は、左右傾斜モーメント制御装置のトルク差調整によるロールモーメント制御が、車体フレームの傾斜に影響を与えやすくなる。
なお、リーン車両は、スリップ状態又はグリップ状態を検出する手段を備えていなくてもよい。左右傾斜モーメント制御装置は、必ずしも、左操舵輪と右操舵輪のスリップ率を監視しなくてもよい。また、左右傾斜モーメント制御装置は、グリップ状態か否かを判断しなくてもよい。リーン車両は、走行している期間の大半はグリップ状態でグリップ走行しており、スリップ状態となることは稀である。そのため、特にスリップ率を監視しなくても、グリップ走行の全期間、或いは、グリップ走行の一部の期間で、左右傾斜モーメント制御装置は、傾斜状態に応じた左右操舵輪のトルク差調整による左右方向傾斜のモーメント制御を行うことができる。
その一方で、左右傾斜モーメント制御装置は、左操舵輪及び右操舵輪のグリップ状態、例えば、スリップ率に応じて、上記トルク差を調整してもよい。例えば、左操舵輪及び右操舵輪のスリップ率の差が所定範囲内の場合に、上記トルク差を調整することができる。例えば、左右傾斜モーメント制御装置は、左操舵輪と右操舵輪のスリップ率を監視して、左操舵輪と右操舵輪がグリップ状態の時のみトルク差を調整する動作をしてもよい。これにより、より効率よくモーメント制御をすることができる。この場合、リーン車両は、左操舵輪のスリップ率を算出する左スリップ率算出部と、右操舵輪のスリップ率を算出する右スリップ率算出部とを備えることができる。
左右傾斜モーメント制御装置は、左操舵輪と右操舵輪が、同じμ値の路面を走行している期間の少なくとも一部において、上記の傾斜状態に応じた左操舵輪及び右操舵輪のトルク差調整による車体フレームのロールモーメント制御を行うことができる。左操舵輪と右操舵輪が、同じμ値の路面を走行している時に、左右傾斜モーメント制御装置により左操舵輪及び右操舵輪のトルク差を調整することで、効率よくロールモーメントを制御することできる。μ値は、路面の摩擦係数を表す。なお、左右傾斜モーメント制御装置は、必ずしもμ値を監視する機能を備えていなくてもよい。
上記実施形態において、トルク制御部100は、左右操舵輪トルク差調整部の例である。傾斜検出部50は、左右傾斜状態検出部の例である。上記のトルク制御部100及び傾斜検出部50により、左右傾斜モーメント制御装置を構成することができる。トルク制御部100及び傾斜検出部50で構成された左右傾斜モーメント制御装置の動作例を説明する。
図16は、左右傾斜モーメント制御装置の動作例を示すフローチャートである。図16に示す例では、傾斜検出部50が、車両1の左右方向における車体フレーム15の傾斜状態を検出する(S1)。トルク制御部100は、左車輪(左操舵輪)3a及び右車輪(右操舵輪)3bの回転のトルクを制御するか否かを判断する(S2)。トルク制御部100は、例えば、ライダーによる入力部材121に対する操作に基づいて、上記判断をすることができる。ライダーの操作に代えて、又はライダーの操作に加えて、他の車両状態に基づいて、上記判断をしてもよい。例えば、トルク制御部100は、S1で検出された傾斜状態、操舵トルク、車両1の車速、その他車両状態を示す情報に基づいて、上記の判断することができる。
すなわち、左右傾斜モーメント制御装置は、ライダーの操作があったときに左操舵輪及び右操舵輪のトルク差を調整する形態に限られない。ライダーの操作によらず、左操舵輪及び右操舵輪のトルク差を調整してもよい。また、傾斜状態以外の他の車両状態に応じて、左操舵輪及び右操舵輪のトルク差を調整するか否かを制御することもできる。例えば、左右傾斜モーメント装置は、車速が閾値より大きい期間の少なくとも一部において、左操舵輪及び右操舵輪のトルク差を調整することができる。
S2でYESと判断した場合、トルク制御部100は、S1で検出された傾斜状態に応じて、左車輪3aのトルク及び右車輪3bのトルクを決定する(S3)。トルク制御部100は、左車輪3a及び右車輪3bの制動トルク、左車輪3a及び右車輪3bの駆動トルク、或いはその両方を決定することができる。これにより、左車輪3aのトルク及び右車輪3bのトルクの差が決定される。すなわち、傾斜状態に応じて調整されたトルクの差が決定される。
S3において、トルク制御部100は、例えば、予め記録された、複数の傾斜状態に対応する左車輪3a及び右車輪3bのトルクを示すデータを用いて、検出された傾斜状態に応じた左車輪3a及び右車輪3bのトルクを決定することができる。例えば、傾斜状態と左操舵輪トルク及び右操舵輪のトルクとの対応関係を示すマップデータを用いて、検出された傾斜状態に応じた左車輪3a及び右車輪3bのトルクを決定することができる。また、トルク制御部100は、所定のプログラムに従って、検出された傾斜状態に応じた左車輪3a及び右車輪3bのトルクを計算してもよい。
トルク制御部100は、上記実施形態のように、左車輪3aのトルク及び右車輪3bのトルクの総量すなわち合計値を求め、左車輪3a及び右車輪3bのトルクの配分すなわち比率を傾斜状態に応じて決定してもよい
。或いは、トルク制御部100は、左車輪3aのトルク及び右車輪3bのトルクの総量を求めずに、S1で検出された傾斜状態に対応する左車輪3aのトルク及び右車輪3bのトルクを算出してもよい。
なお、S3において、トルク制御部100は、S1で検出された傾斜状態以外に、他の車両状態を示す情報を用いて、左車輪3aのトルク及び右車輪3bのトルクを決定してもよい。例えば、車両1の車速又は加速度、操舵トルク、舵角、ブレーキ操作量、若しくは、アクセス操作量等の車両状態を示す情報を用いて、左車輪3aのトルク及び右車輪3bのトルクを決定することができる。
トルク制御部100は、S3で決定した左車輪3aのトルクを左操舵輪制駆動装置に発生させ、及びS3で決定した右車輪3bのトルクを右操舵輪制駆動装置に発生させる。制動トルクを付与する構成の場合、左操舵輪制駆動装置は、左操舵輪に制動力を付与する左操舵輪ブレーキであり、右操舵輪制駆動装置は、右操舵輪に制動力を付与する右操舵輪ブレーキとなる。駆動トルクを付与する構成の場合、左操舵輪制駆動装置は、左操舵輪に車軸周りの回転力を付与する左操舵輪駆動装置となり、右操舵輪制駆動装置は、右操舵輪に車軸周りの回転力を付与する右操舵輪駆動装置となる。右操舵輪駆動装置及び右操舵輪駆動装置は、例えば、動力源として、モータ又はエンジンを含む構成とすることができる。
なお、左操舵輪制駆動装置は、左操舵輪に制動トルク及び駆動トルクの双方を付与し、右操舵輪制駆動装置は、右操舵輪に制動トルク及び駆動トルクの双方を付与する構成であってもよい。この場合、例えば、左操舵輪制駆動装置は、左操舵輪ブレーキと左操舵輪駆動装置を含み、右操舵輪制駆動装置は、右操舵輪ブレーキと右操舵輪駆動装置を含む構成とすることができる。
1 : 車両
3 : 前輪
3a : 左車輪
3b : 右車輪
5 : 後輪
7 : 操舵機構
9 : リンク機構
10 : 重心
11 : パワーユニット
13 : シート
15 : 車体フレーム
17 : 車体カバー
21 : ヘッドパイプ
22 : ダウンフレーム
23 : アンダーフレーム
24 : リアフレーム
26 : フロントカバー
27 : フロントフェンダー
27a : 左フロントフェンダー
27b : 右フロントフェンダー
28 : レッグシールド
29 : センターカバー
30 : リアフェンダー
31 : ステアリングシャフト
32 : ハンドルバー
33 : タイロッド
34 : ブラケット
34a : 左ブラケット
34b : 右ブラケット
35 : クロス部材
35a : 上クロス部材
35b : 左クロス部材
35c : 右クロス部材
35d : 下クロス部材
36a,36b,36c,36d,36e,36f : 支持部
41 : 前輪車速センサ
42 : 後輪車速センサ
50 : 傾斜検出部
51 : 車速検出部
53 : ジャイロセンサ
54 : ロール角検出部
71 : 操舵力伝達機構
73 : 緩衝器
73a : 左緩衝器
73b : 右緩衝器
80a : 左後テレスコピック要素
81a : 左前テレスコピック要素
82a : 左クロス部材支持部
83a : 左車輪軸
84a : 左緩衝器のアウター要素
85a : 左緩衝器のインナー要素
91a : 左前ブレーキ
91b : 右前ブレーキ
91c : 後ブレーキ
92a : 左ブレーキディスク
93a : 左前キャリパ
93b : 右前キャリパ
93c : 後キャリパ
94a : 左前ブレーキ管
94b : 右前ブレーキ管
94c : 後ブレーキ管
100 : トルク制御部
101 : 電子制御ユニット
102 : 液圧制御ユニット
120 : ブレーキシステム
121 : 入力部材
123 : ブレーキ作動装置
125 : 前マスターシリンダー
127 : 前ブレーキ管
131 : 入力部材
133 : ブレーキ作動装置
135 : 後マスターシリンダー
137 : 後ブレーキ管
151 : 内外輪特定部
153 : 合計制動トルク算出部(合計駆動トルク算出部)
155 : 各制動トルク算出部(各駆動トルク算出部)
157 : 記憶部

Claims (15)

  1. リーン車両であって、
    前記リーン車両の左右方向に並んで配置され、操舵される左操舵輪及び右操舵輪と、
    前記左操舵輪の車軸周りの回転のトルクを制御する左操舵輪制駆動装置と、
    前記右操舵輪の車軸周りの回転のトルクを制御する右操舵輪制駆動装置と、
    前記左操舵輪、前記右操舵輪、前記左操舵輪制駆動装置及び前記右操舵輪制駆動装置を支持し、前記リーン車両が左に旋回するときに前記リーン車両の左右方向において左に傾斜し、前記リーン車両が右に旋回するときに前記リーン車両の左右方向において右に傾斜する車体フレームと、
    前記車体フレームに搭載され、前記リーン車両の左右方向における前記車体フレームの傾斜状態を検出する左右傾斜状態検出部と、前記左右傾斜状態検出部が検出した傾斜状態に基づいて、前記左操舵輪及び前記右操舵輪が路面をグリップした状態で走行中の期間の少なくとも一部において、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクの差を調整する左右操舵輪トルク差調整部とを含み、前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差の調整によって、前記リーン車両の走行中の前記車体フレームを前記リーン車両の左右方向に傾斜させるモーメントを制御する左右傾斜モーメント制御装置と、
    を備えるリーン車両。
  2. 請求項1に記載のリーン車両であって、
    前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において左に傾斜している時の前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクの大小関係と、前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において右に傾斜している時の前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクの大小関係とが異なるように、前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整する、リーン車両。
  3. 請求項2に記載のリーン車両であって、
    前記左右操舵輪トルク差調整部は、
    前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において左に傾斜している時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより大きくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより小さくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整し、
    前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において右に傾斜している時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより小さくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより大きくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルク差を調整する、リーン車両。
  4. 請求項2に記載のリーン車両であって、
    前記左右操舵輪トルク差調整部は、
    前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において左に傾斜している時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより小さくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより大きくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整し、
    前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において右に傾斜している時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより大きくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより小さくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整する、リーン車両。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリーン車両であって、
    前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記左右傾斜状態検出部が検出した前記リーン車両の左右方向における前記車体フレームの傾斜角に応じて、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクの差を調整する、リーン車両。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のリーン車両であって、
    前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記左右傾斜状態検出部が検出した前記リーン車両の左右方向における前記車体フレームの傾斜角速度に応じて、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクの差を調整する、リーン車両。
  7. 請求項6に記載のリーン車両であって、
    前記左右操舵輪トルク差調整部は、
    前記左右傾斜状態検出部が前記リーン車両の左右方向の左方に向かって前記車体フレームの傾斜が変化しようとする傾斜角速度を検出した時の前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクの大小関係と、前記左右傾斜状態検出部が前記リーン車両の左右方向の右方に向かって前記車体フレームの傾斜が変化しようとする傾斜角速度を検出した時の前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクの大小関係とが異なるように、前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整する、リーン車両。
  8. 請求項7に記載のリーン車両であって、
    前記左右操舵輪トルク差調整部は、
    前記左右傾斜状態検出部が前記リーン車両の左右方向の左方に向かって前記車体フレームの傾斜が変化しようとする傾斜角速度を検出した時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより小さくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより大きくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルク差を調整し、
    前記左右傾斜状態検出部が前記リーン車両の左右方向の右方に向かって前記車体フレームの傾斜が変化しようとする傾斜角速度を検出した時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより大きくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより小さくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルク差を調整する、リーン車両。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のリーン車両において、
    鉛直方向に対する前記車体フレームの上下方向線の前記リーン車両の左右方向における傾斜角度が第1閾値より小さい場合に、前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクが異なるように、前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整する、リーン車両。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のリーン車両において、
    鉛直方向に対する前記車体フレームの上下方向線の前記リーン車両の左右方向における傾斜角度が、第2閾値より大きい場合に、前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪のトルクと、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪のトルクが異なるように、前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整する、リーン車両。
  11. 請求項9に記載のリーン車両であって、
    鉛直方向に対する前記車体フレームの上下方向線の前記リーン車両の左右方向における傾斜角度が、第1閾値より小さい場合に、前記左右操舵輪トルク差調整部は、
    前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において左に傾斜している時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより大きくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより小さくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの差を調整し、
    前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向において右に傾斜している時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより小さくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより大きくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルク差を調整する、リーン車両。
  12. 請求項11に記載のリーン車両であって、
    前記車体フレームの上下方向線の鉛直方向に対する前記リーン車両の左右方向における傾斜角度が、第1閾値より大きい場合に、前記左右操舵輪トルク差調整部は、
    前記左右傾斜状態検出部が前記リーン車両の左右方向の左方に向かって前記車体フレームの傾斜が変化しようとする傾斜角速度を検出した時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより小さくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより大きくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルク差を調整し、
    前記左右傾斜状態検出部が前記リーン車両の左右方向の右方に向かって前記車体フレームの傾斜が変化しようとする傾斜角速度を検出した時に、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の制動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の制動トルクより大きくなるか、又は、前記左操舵輪制駆動装置により制御される前記左操舵輪の駆動トルクが、前記右操舵輪制駆動装置により制御される前記右操舵輪の駆動トルクより小さくなるように前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルク差を調整する、リーン車両。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のリーン車両であって、
    ライダーが操作可能な操作子と、
    前記操作子の操作状態を検出する操作状態検出部をさらに備え、
    前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記左右傾斜状態検出部が検出した傾斜状態及び前記操作状態検出部が検出した操作状態に基づいて、前記左操舵輪制駆動装置が発生する前記左操舵輪のトルクと、前記右操舵輪制駆動装置が発生する前記右操舵輪のトルクの差を調整する、リーン車両。
  14. 請求項13に記載のリーン車両であって、
    前記左右操舵輪トルク差調整部は、前記左操舵輪制駆動装置により制御する前記左操舵輪のトルクと、前記右操舵輪制駆動装置により制御する前記右操舵輪のトルクの総量を、ライダーによる前記操作子の操作量に応じて決定し、
    前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向に傾斜している時の前記操作子の前記操作量に対する前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの総量は、前記車体フレームが前記リーン車両の左右方向に傾斜していない時の前記操作子の前記操作量に対する前記左操舵輪のトルクと前記右操舵輪のトルクの総量と等しい、リーン車両。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載のリーン車両であって、
    前記車体フレームに対して回転可能に支持され、前記右操舵輪および前記左操舵輪を支持するアームを含むリンク機構であって、前記アームを前記車体フレームに対して回転させることにより、前記右操舵輪および前記左操舵輪の前記車体フレームに対する上下方向の相対位置を変更して前記車体フレームを前記リーン車両の左右方向に傾斜させるリンク機構をさらに備え、
    前記左右傾斜状態検出部は、前記アームの前記車体フレームに対する回転を検出することで、前記リーン車両の左右方向における前記車体フレームの傾斜状態を検出する、リーン車両。
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