JP6645745B2 - スタックアンテナ - Google Patents

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Description

本発明は、電波を受信する受信アンテナにおいて受信ハイトパターンの影響を抑制する技術に関する。
地上デジタル放送の難視対策等に使用されるテレビ共同受信施設やギャップフィラー(以下、GF)の受信点は、基本的には、送信点から電波の見通し状況が良い場所に設置される。このような受信点では、受信ハイトパターン(以下、ハイトパターン)の影響により受信レベルが変化し、受信チャンネルによっては受信不良になることがある。
このような状況において受信レベルを安定化させる技術として、受信アンテナを2基またはそれ以上のアンテナを用いて受信アンテナ出力を合成(スタック)するスタックアンテナが知られている(特許文献1参照)。
特開2010−68174号公報
ところで、ハイトパターンは、送信点から受信点に直接する到達する直接波と、地面や海面等の大地に反射して到達する大地反射波とが干渉することによって生じる。このため、降雪や潮汐等により電波を反射する反射面、ひいては大地反射波の経路が変化すると、これに伴ってハイトパターンも変化するため、季節や時間帯によって合成のさせ方やアンテナの高さを調整する必要があり、受信レベルを安定させることが難しいという問題があった。
つまり、ハイトパターンを考慮して受信レベルが高いところで信号を受信するようにアンテナを調整しても、大地反射面が変化すると、その変化分だけハイトパターンが上下方向にシフトすることにより、ハイトパターンのヌル点付近で信号を受信するようになってしまう場合がある。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、受信ハイトパターンの変動に関わらず、スタックアンテナによる安定した受信を実現する技術を提供することを目的とする。
本発明のスタックアンテナは、アンテナ部と合成部とを備える。アンテナ部は、上下に設置された一対の受信アンテナからなる。合成部は、受信アンテナの出力を合成する合成器および一対の受信アンテナのそれぞれと合成器とを接続する一対の給電線からなる。但し、予め設定された周波数範囲内の電波を受信対象電波とし、該受信対象電波の送信源からアンテナ部に到達する直接波と大地反射波とが合成されたものを合成波とし、アンテナ部を構成する受信アンテナのそれぞれで受信される合成波間の位相差を垂直離隔位相とし、一対の給電線の線路長差による合成波の位相差を給電位相として、周波数範囲内に設定された基準周波数で生じる垂直離隔位相と給電位相の合計が180°となるように、一対の受信アンテナの配置間隔である垂直離隔距離、および一対の給電線の線路長が設定されている。
このような構成によれば、本発明のスタックアンテナの設置点における受信電界強度のハイトパターンに周期的なヌル点が存在していても、スタックアンテナから得られる受信電界強度は、ハイトパターンのヌル点の影響(即ち、高さ依存性)が抑制されたものとなる。その結果、アンテナ部の設置高さによらず、ほぼ均一な受信電界強度が得られるため、大地反射の反射面が変化する環境であっても、スタックアンテナの調整を必要とすることなく、安定した受信状態を実現することができる。
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
スタックアンテナの構成を示すブロック図である。 理論値の算出に用いた電波伝搬モデルを示す説明図である。 (a)大地反射係数の特性、(b)は大地反射係数の位相変移の特性を例示するグラフである。 ハイトパターンの算出例を示すグラフであり、(a)が水平偏波の場合、(b)が垂直偏波の場合である。 ハイトパターンと電界ベクトルの関係を示す説明図であり、(a)がハイトパターン、(b)が直接波の電界ベクトル、(c)が大地反射波の電界ベクトル、(d)が合成波の電界ベクトルである。 複素平面上での電界ベクトルの回転を示す説明図であり、(a)が電界ベクトルの回転と合成ベクトルを示し、(b)が合成ベクトルの位相変化を示したものである。 上段アンテナおよび下段アンテナからの出力、両出力を合成した合成出力に関する説明図であり、(a)が単基アンテナ(上段および下段アンテナ)出力の電界強度、(b)が単基アンテナ出力の位相、(c)が単基アンテナ出力の電界ベクトル、(d)が上段および下段アンテナの出力を同相合成した合成出力の電界ベクトル、(e)が上段および下段アンテナの出力を移相合成した合成出力の電界ベクトルである。 給電位相を一定(90°)とし垂直離隔位相を変化させた場合の合成出力をシミュレーションで求めた結果を示すグラフである。 垂直離隔位相を一定(90°)とし給電位相を変化させた場合の合成出力をシミュレーションで求めた結果を示すグラフである。 垂直離隔位相と給電位相の合計を一定(180°)とし両者の割合を変化させた場合の合成出力をシミュレーションで求めた結果を示すグラフである。 垂直離隔位相と給電位相の合計を一定(180°)とした場合の垂直離隔位相と合成出力の振幅との関係をシミュレーションで求めた結果を示すグラフである。 上下段アンテナにレベル差がある場合の合成出力をシミュレーションで求めたグラフであり、(1)〜(3)はレベル差のみを変化させた場合、(4)〜(6)は垂直離隔位相および給電位相の合計が180°ではない場合である。
以下に本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[構成]
図1に示すスタックアンテナ1は、地上デジタル放送の難視対策等に使用されるテレビ共同受信施設やギャップフィラー(GF)等の受信点として構成されるものであり、アンテナ部2と合成部3とを備える。
アンテナ部2は、それぞれが受信対象電波を受信する一対の受信アンテナ21,22からなり、上下方向に間隔を空けて配置されている。以下では、上側の受信アンテナを上段アンテナ21、下側の受信アンテナを下段アンテナ22、両者の間隔を垂直離隔距離δと呼ぶ。また、受信アンテナ21,22は、所定の受信対象周波数範囲(ここでは地上デジタル放送に使用する周波数帯)内の信号の一部または全部を受信可能に構成されている。以下では、上記周波数範囲の中心周波数を基準周波数、この基準周波数の波長を基準波長λという。
合成部3は、一対の給電線31,32と、合成器33とを備える。上段アンテナ21と合成器33を接続する給電線31の線路長はLに設定され、下段アンテナ22と合成器33を接続する給電線32の線路長はLに設定されている。合成器33は、給電線31,32を介して供給される受信アンテナ21,22の出力を加算合成して受信信号を生成する。
ここで、受信アンテナ21,22は、それぞれが受信対象電波の送信点から直接到達する直接波と地面や海面等に反射して到達する大地反射波との合成波を受信するものとする。また、上段アンテナ21が受信する上段合成波と下段アンテナ22が受信する下段合成波の位相差を垂直離隔位相θδと呼び、給電線31,32の線路長差(L−L)によって、上段合成波と下段合成波との間に生じる位相差を給電位相θと呼ぶ。
そして、受信対象電波(ひいては合成波)の波長が基準波長であるものとして、受信アンテナ21,22の垂直離隔距離δは、垂直離隔位相がθδ=90°(=π/2[rad])となるように設定され、給電線31,32の線路長L,Lは、給電位相がθ=90°(=π/2[rad])となるように設定されている。但し、線路長L,Lの設定には、給電線31,32における波長短縮率が考慮されている。
具体的には、給電線31,32の線路長L,Lは(1)式を満たすように設定し、垂直離隔距離δは、(2)式を満たすように設定すればよい。なお、式中のd,hは、後述する電波伝搬モデルを参照のこと。
[電波伝搬モデル]
以下で説明する理論値の算出に用いた電波伝搬モデルについて説明する。
図2に示すように、受信対象電波の送信源(送信アンテナ)の設置位置を送信点、上段アンテナ21の設置位置を受信点#1、下段アンテナ22の設置位置を受信点#2とし、送信点の高さ(地上からの距離)をh、送信点から受信点#1,#2までの水平距離をd、受信点#1の高さをh、受信点#2の高さをh’、受信点#1と受信点#2の垂直離隔距離をδとする。
[ハイトパターン]
まず、本発明を理解するための前提となるハイトパターンについて説明する。
ハイトパターンは、アンテナの高さに応じて受信電界強度が周期的に変化する特性を表したものであり、電波の見通し状況が良い場所で観測される。この現象は、直接波と大地反射波とが干渉し合成されることで発生し、特に水平偏波では顕著となる。
ここで、送信点から受信点直下の地上点までの距離をr、受信点#1における直接波の伝搬距離をr、大地反射波の伝搬距離をrとする。距離rを基準とした直接波の伝搬路長差Δrおよび距離rを基準とした大地反射波の伝搬路長差Δrは、d>>h,h、2h>>hであるものとして、(3)(4)式で近似される。
つまり、距離rを基準として考えたとき、直接波は伝搬路長差Δrだけ早く受信点#1に到達し、大地反射波は伝搬路長差Δrだけ遅れて受信点#1に到達し、これらを合成した合成波が受信点#1にて受信される。この合成波の受信電界強度(以下、単に合成波ともいう)Eは(5)式で表される。但し、θは伝搬路長差Δr,Δrによって生じる位相差であり(6)式で示される。また、Eは自由空間電界強度であり(7)式で示される。また、Eは直接波の受信電界強度(以下、単に直接波ともいう)、Eは大地反射波の受信電界強度(以下、単に大地反射波ともいう)、Rは大地反射波の反射係数(以下、大地反射係数)、βは位相定数(=2π/λ)、Pは送信点での実効放射電力である。
なお、大地反射波の反射係数Rは、図3に示すように、送信偏波や反射面の媒質、大地面への入射角(接地角)によって異なり、反射係数Rに応じて反射波の振幅や位相は変化するが、通常、水平偏波の大地反射係数はR=−1で扱われる。これに従い、(5)式にR=−1を代入することで(8)式が得られ、この(8)式を変形すると(9)式が得られる。なお、図3のグラフは、周波数600MHzとし、フレネル反射公式を用いて求めたものである。
ハイトパターンは、受信点の高さhを変化させた時に得られる受信電界強度Eのパターンである。従って(9)式から、ハイトパターンは、送受信点間の水平距離dや使用電波の波長λ、送信点の高さhによって決まることがわかる。(9)式に従って求めた水平偏波のハイトパターンの例を図4(a)に示す。参考までに、垂直偏波の場合、R=−1と見なすことができないためフレネル反射公式により(5)式を用いてハイトパターンを求めることができる。この場合、直接波と大地反射波の受信電界強度は異なり、完全に打ち消しあうことがないため、図4(b)に示すように、水平偏波と比較して、ヌル点でも比較的大きな受信電界強度が得られる。
ここで、直接波E、大地反射波E、合成波Eの各電界ベクトルとハイトパターンの関係を、図5、図6を用いて説明する。ハイトパターンは、受信点の高さによって直接波Eと大地反射波Eの干渉状態が変化することで現れる。具体的には、(8)式からわかるように、直接波Eの電界ベクトルと大地反射波Eの電界ベクトルとは反対方向にベクトル回転し、これにより打ち消しあったり強めあったりする(図5(b)(c)、図6(a)参照)。そして、直接波Eおよび大地反射波Eの電界ベクトルを合成することで得られる合成波Eの電界ベクトルは、±90°の位相を交互に繰り返すことになる(図5(d)、図6(b)参照)。また、受信電界強度Eの振幅値は、(9)式に示すようにsin振動し、−2E〜2Eの間で変化する。このとき、振幅値の絶対値の山(極大点)または谷(極小点)が出現する周期をハイトピッチという。なお、受信点の高さがハイトピッチだけ移動すると、受信点に誘起される受信波(合成波)の位相は半周期(π[rad]=180°)分だけずれる。以下では、受信波の周波数によらず一般的な取り扱いができるように、受信点の高さを、受信波の位相θで表す。
そして、例えば、θ=2πに相当する受信点の高さをh=h、θ=πに相当する受信点の高さをh=hとすると、これらの関係を(6)式に代入して変形することで高さh,hを求めることができ、更に、その求めた高さh,hを用いて、ハイトピッチPTは(10)式で示される。
つまり、垂直離隔位相をθδ=90°とするには、垂直離隔距離をδ=PT/2とする必要があることを考慮すると、この(10)式から(2)式が導出される。
[受信アンテナの高さの違いによる受信電界強度]
上段アンテナ21の設置高さをh、下段アンテナ22の設置高さをh’とすると、両者は(11)式に示す関係を有する。
上段アンテナ21および下段アンテナ22のそれぞれに誘起される合成波の位相(直接波Eと大地反射波Eの位相差)θ,θは、(12)(13)式で示される。
従って、上段アンテナ21および下段アンテナ22のそれぞれに誘起される合成波の受信電界強度Er1,Er2は、(14)(15)式で示される。
ここで、垂直離隔距離δを、(10)式に示すハイトピッチPTの半分(δ=PT/2)とし、これを(13)式に代入して整理すると、下段アンテナ22の合成波の位相θは(16)式で示される。この場合、下段アンテナ22の合成波の受信電界強度Er2は、(17)式で示される。
[上段および下段アンテナ出力の合成]
次に、上段アンテナ21の出力Er1と下段アンテナ22の出力Er2を同相合成した場合の受信電界強度Era、上段アンテナ21の出力Er1の位相をπ/2(=90°)進めて移相合成(上段進相合成)した場合の受信電界強度Erb、上段アンテナ21の出力Er1の位相をπ/2(=90°)遅らせて移相合成(上段遅相合成)した場合の受信電界強度Erc、下段アンテナ22の出力Er2の位相をπ/2(=90°)進めて移相合成(下段進相合成)した場合の受信電界強度Erd、下段アンテナ22の出力Er2の位相をπ/2(=90°)遅らせて移相合成(下段遅相合成)した場合の受信電界強度Ereは、(18)〜(22)式で示される。なお、位相をπ/2進めるとは、数式的には+jを乗じること、物理的には給電線の線路長を他方よりλ/4短くすることに相当する。また、位相をπ/2遅らせるとは、数式的には−jを乗じること、物理的には給電線の線路長を他方よりλ/4長くすることに相当する。
合成器の挿入損失を無視して考えると、合成器33により加算合成された受信電界強度Era〜Ereにおいて、Eraのピーク時の値は、単基アンテナのハイトパターン(図5(a)参照)と比較して3dB上昇する。Erb〜Ereの値は、単基アンテナのハイトパターン(図5(a)参照)のピーク時と同じになる。
同相合成した場合の受信電界強度Eraは、(18)式に示すように、sin項の存在により振幅が振動的に変化してヌル点が生じる。但し、ヌル点は、単基アンテナのハイトパターンと比較して45°(=π/4[rad])シフトした位置に発生する。一方、移相合成した場合の受信電界強度Erb〜Ereは、(19)〜(22)式に示すように、振幅を変化させる項が存在しないため、受信点hの高さによらず一定の振幅が得られる。
図7は、上述の内容を、電界ベクトルを用いて視覚的に示したものである。即ち、単基アンテナ(上段アンテナ21および下段アンテナ22)の出力Er1,Er2を複素平面上で表現した電界ベクトルは±90°の方向に存在し、且つ両者の垂直離隔位相は90°ずれたものとなる(図7(b)(c)参照)。出力Er1,Er2を同相合成した合成出力Eraの電界ベクトルは、図中同一横ラインで上段アンテナの電界ベクトルと下段アンテナの電界ベクトルを単純に合成することで得られる(図7(d)参照)。出力Er1,Er2を移相合成した合成出力Erb〜Ereの電界ベクトルは、出力Er1,Er2のうち一方の電界ベクトルを、+90°回転(+jを乗じる)または−90°回転(−jを乗じる)して他方の電界ベクトルと合成することで得られる(図7(e)参照)。同相合成では、受信点の高さに応じて振幅(電界ベクトルの大きさ)が変化し、移相合成では、受信点の高さに応じて位相(電界ベクトルの向き)は回転するが、振幅(電界ベクトルの大きさ)は一定であることがわかる。
なお、図7において、グラフの縦軸は上段アンテナ21の高さを示す。また、下段アンテナ22の受信電界強度および位相は、上段アンテナ21の高さにシフトして表示している(以下図8〜図10、図12も同様)。
[効果]
以上説明したように、スタックアンテナ1では、垂直離隔位相がθδ=90°となるように垂直離隔距離δを設定すると共に、給電位相がθ=90°となるように線路長L,Lを設定している。これにより、スタックアンテナ1の設置点における受信電界強度のハイトパターンに周期的なヌル点が存在していても、合成器33から出力される受信信号の電界強度は、ハイトパターンのヌル点の影響が抑制されたもの、即ち、受信点の高さ依存性が抑制されたものとなる。その結果、アンテナ部2の設置高さによらず、ほぼ均一な受信電界強度が得られるため、大地反射面の高さが変化する環境であっても、スタックアンテナ1の調整を必要とすることなく、安定した受信状態を実現することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
(1)上記実施形態では、垂直離隔距離δおよび線路長L,Lが、垂直離隔位相がθδ=90°、給電位相がθ=90°となるように設定されているが、これに限るものではなく、両位相とも、30°〜150°の範囲にあり、かつ、合計180°になるように設定されていればよい。以下、その根拠について説明する。
給電位相をθ=90°に固定し、垂直離隔位相θδを変化させた場合、図8に示すように、垂直離隔位相がθδ=90°の時に、合成出力の受信電界強度は受信点の高さに依存せず一定となり、垂直離隔位相θδが90°から離れるほど、合成出力の受信電界強度の変動幅(P−P値)が大きく(ハイトパターンのリップルが深く)なる。そして、垂直離隔位相がθδ=180°の時に、上段アンテナ21の出力と下段アンテナ22の出力は逆相となり、ヌル点の影響を抑圧する効果が得られなくなる。なお、図中における合成出力の受信電界強度は、自由空間電界強度Eを基準とした相対レベルで表している(以下、図9〜図12でも同様)。
垂直離隔位相をθδ=90°に固定し、給電位相θを変化させた場合、図9に示すように、給電位相がθ=90°の時に、合成出力の受信電界強度は受信点の高さに依存せず一定となり、給電位相θが90°から離れるほど、合成出力の受信電界強度の変動幅が大きく(ハイトパターンのリップルが深く)なる。そして、給電位相θが180°の時に、ヌル点の影響を抑圧する効果が得られなくなる。
これら図8,図9からわかるように、垂直離隔位相θδおよび給電位相θの90°からのずれ量が、合成出力の受信電界強度の変動幅に与える影響はどちらも同じである。
垂直離隔位相θδと給電位相θの合計を180°として、両位相の割合だけを変化させた場合、図10に示すように、いずれの割合でも合成出力の受信電界強度は高さ依存せず一定となる。但し、垂直離隔位相θδと給電位相θがいずれも90°の時に、合成出力の受信電界強度は最大となり、両位相の差が大きくなるほど、合成出力の受信電界強度は低下する。そして、図11に示すように、合成出力の受信電界強度は、垂直離隔位相θδが30°〜150°の範囲では、自由空間電界強度E(相対合成レベル0dB)以上の大きさとなる。
このように、垂直離隔位相θδおよび給電位相θがいずれも30°〜150°の範囲で合計180°となるように設定されていれば、ハイトパターンのヌル点の影響を十分に抑制することができる。
但し、上段アンテナ21の出力と下段アンテナ22の出力との間にレベル差がある場合、図12に示すように、そのレベル差分だけ、合成出力の受信電界強度の変動幅(P−P値)が大きくなるため、このレベル差を考慮した設計を行うか、レベル差がなくなるよう両出力レベルを調整してから合成するように設計することが望ましい。
(2)上記実施形態では、垂直離隔位相θδおよび給電位相θを求める際に使用する基準周波数として、受信対象周波数範囲の中心周波数を採用しているが、これに限るものではなく、中心周波数からずれていてもよい。
(3)上記実施形態では、大地反射係数をR=−1として扱っているが、送信点の近くや送信点の高さと受信点の高さの差が大きい場合など、大地反射波が大地面に入射する角度である接地角が大きくなる状況では、大地反射係数の絶対値が1より小さくなる。このため、垂直離隔位相θδや給電位相θを求める際に、図3を参照して、状況に応じた大地反射係数を用いることが望ましい。
(4)上記実施形態では、基準パスに対する直接波の伝搬路長差Δrと基準パスに対する大地反射波の伝搬路長差Δrを近似的に等しいものとして扱っているが、送信点の高さhと受信点の高さhの差が小さい場合や送受信点間距離dが短い場合は、伝搬路長差Δr,Δrを近似せずに扱うことが望ましい。なお、近似しない場合、Δr<Δrであり、大地反射波の方が位相の変化量が大きくなる。
(5)上記実施形態では、送受信点の高さh,hは、大地が平面であるものとして大地面からの高さを用いているが、送受信点間距離dが長い場合など、地球の丸みを無視できない場合は、大地反射波の反射点に接する平面に対する実効的な高さ(大地面からの高さより低い)を用いることが望ましい。更に、この実効的な高さの算出には、電波の伝搬が地球表面の大気の屈折率の影響を受けることを考慮して求めた地球の等価半径を用いることが望ましい。
(6)上記実施形態では、主として受信対象電波が水平偏波である場合について説明したが、受信対象電波は垂直偏波であってもよい。垂直偏波は、図4に示した通り、水平偏波と比較して、ハイトパターンの影響は少ないもののリップルは生じる。そして、例えば、将来、8Kスーパーハイビジョンの実用化等で検討されている偏波MIMO技術では、水平偏波および垂直偏波のいずれについてもハイトパターンの影響を抑制する必要があるため、本発明の技術は極めて有効に寄与するものと考えられる。
(7)上記実施形態における一つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を一つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
(8)本発明は上述したスタックアンテナの他、当該スタックアンテナを構成要素とするシステムなどの形態で実現することもできる。
1…スタックアンテナ 2…アンテナ部 3…合成部 21,22…受信アンテナ 31,32…給電線 33…合成器

Claims (6)

  1. 予め設定された周波数範囲内の電波を受信対象電波とし、前記受信対象電波の送信源から前記アンテナ部に到達する直接波と大地反射波とが干渉し合成されることで発生するハイトパターンの影響を受ける場所に設置されるスタックアンテナであって、
    上下に設置された一対の受信アンテナ(21,22)からなるアンテナ部(2)と、
    前記受信アンテナの出力を合成する合成器(33)および前記一対の受信アンテナのそれぞれと前記合成器とを接続する一対の給電線(31,32)からなる合成部(3)と、
    を備え、
    前記直接波と前記大地反射波とが合成されたものを合成波とし、前記アンテナ部を構成する受信アンテナのそれぞれで受信され、前記受信対象電波の送信源の設置高さ、前記アンテナ部の設置高さ、前記周波数範囲内に設定される基準周波数の電波の波長、及び前記送信源から前記アンテナ部までの距離に応じて変化する前記合成波の位相差を垂直離隔位相とし、前記一対の給電線の線路長差による前記合成波の位相差を給電位相として、前記周波数範囲内に設定された基準周波数で生じる前記垂直離隔位相と前記給電位相の合計が180°となるように、前記一対の受信アンテナの配置間隔である垂直離隔距離、および前記一対の給電線の線路長が設定されていることを特徴とするスタックアンテナ。
  2. 前記送信源の設置高さをh、前記基準周波数の電波の波長をλ、前記送信源から前記アンテナ部までの距離をdとして、前記垂直離隔距離δは、前記垂直離隔位相が90°に相当する次式に従って設定されていることを特徴とする請求項1に記載のスタックアンテナ。
    δ=λ×d/(4×h
  3. 前記垂直離隔位相および前記給電位相は、いずれも90°であることを特徴とする請求項1に記載のスタックアンテナ。
  4. 前記垂直離隔位相および前記給電位相は、いずれも30°以上150°以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のスタックアンテナ。
  5. 前記受信対象電波は、水平偏波または垂直偏波であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のスタックアンテナ。
  6. 前記基準周波数は、前記周波数範囲の中心周波数であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のスタックアンテナ。
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