JP2006067633A - 反射波防止アンテナ及びその方向調整方法 - Google Patents

反射波防止アンテナ及びその方向調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、反射波防止アンテナ及びその方向調整方法に関し、Kタイプのフェージングを防止し方向調整を容易にすることを目的とする。
【解決手段】 いずれか上下に配置された第1、第2のパラボラアンテナと、合成器と、アンテナと合成器との間を接続する第1、第2の給電線とを有する反射波防止アンテナであって、2つのアンテナの波面いずれか一方を送信アンテナ側に近くし、上下のアンテナの高低差をλ/2以外の値とし、かつ給電線に電気長調整用の手段と伝搬損失調整用の手段とを備え、大地反射波の波高値を零に近づけた反射波防止アンテナである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、反射波防止アンテナ及びその方向調整方法に関し、特に、Kタイプのフェージングを防止し、方向調整(方調)を極めて容易にしたマイクロ波通信に用いられる反射波防止アンテナ及びその方向調整方法に関する。
マイクロ波通信におけるフェージングのうち、伝搬区間における大地からの反射波に起因するフェージングを「Kタイプのフェージング」と呼ぶ。Kタイプのフェージングは、受信状態に影響をおよぼす非常に大きい原因となるもので、例えば反射点が当該反射点での減衰が全く無い海、湖、川、水田等の場合、受信点の電界が殆ど零に等しい程にまで低下させられるような烈しいものとなる。これは、直接波の位相と反射波の位相とが例えば180°(又はその奇数倍)異なった時に、これらが互いに打ち消し合うために生じる現象である。なお、Kタイプのフェージングを生じる反射波を大地反射波と呼ぶことにする。本明細書において、「反射波」と記述しているものは、特に断らない限り「大地反射波」を意味する。
一般に、反射波は直接波とあまり違わない角度(2°以内)で入射してくるので、単一のアンテナで反射波を除去することは難しい。そこで、反射波防止アンテナが用いられる。反射波防止アンテナは同一形状の2個のパラボラアンテナを直接波の波面に揃えた上で受信電波の波長のハーフピッチ(半波長)量だけ上下に離して設置したものである。そこで、従来のこの型式のアンテナをマルチアンテナ又は広義にはハーフピッチSD(スペースダイバーシチ)と言う。なお、本願においてアンテナと称しているものは、特にことわらない限り、パラボラアンテナを意味する。
図34(A)は従来の反射波防止アンテナの動作原理を示す。図34(A)において、Δdは上下のアンテナの高低(標高)差、L1 及びL2 は直接波の電気長(路程又は行程又は経路の長さ)、l(エル)d1 及びld2 は反射波の経路長、θはK=4/3の時の反射波の入射角であり、所定の計算式により求められる。Kは電波屈折比(等価地球半径係数とも呼ばれる)であり、我が国の年間にわたる平均値は4/3とみなされている。
今、高低差Δdがハーフピッチ量に等しいから、
Δd×sinθ=(1/2)×λ ・・・式(1)
である。ここで、λは受信電波の波長である。即ち、図34における経路長の差(A−B)が半波長となり、波面が揃っているから、反射波防止アンテナの各アンテナから合成器までの給電線の線路長l1 及びl2 がl1 =l2 であれば、反射波は互いに打ち消し合い、出力されるのは直接波のみである。従って、Kタイプのフェージングは防止される。今日、我々の目に触れる反射波防止アンテナ方式のフェージング防止策は、全て、この方式に基づいている。
具体的には、図34(B)に示すように、従来の反射波防止アンテナは、頑丈な一体構造のベッド(剛体)に上下のアンテナを取り付け、合成器までの給電線も剛体構造にし、その給電線の長さも厳密に調整した上で工場出荷し、局舎の鉄塔に取り付けている。デジタル化の進展に伴いアンテナ径が小型化され軽量化が進んで取り付け自体は容易になってきているが、上下のアンテナの波面は同一とされ、上下のアンテナの高低差Δdは厳密にハーフピッチ量とされている。
ところが、実際には、この方式の反射波防止アンテナを設置してサービスを開始すると、厳密な方向調整の下で反射波防止アンテナを設置したにもかかわらず、殆ど全ての区間でフェージングが多発する。従って、局舎や鉄塔の設計の時点から厳密な方向調整に至るまでフェージング対策を施したにもかかわらず、その仕上げの段階である方向調整で再実施を余儀なくされているのが、今までのハーフピッチ型の反射波防止アンテナの現実である。
このような現実に鑑みて、反射波防止アンテナのフェージング防止策について検討したところ、以下のことが判明した。即ち、従来の反射波防止アンテナによってフェージングを完全に防止できないのは、フェージング防止の基本理論として完成された理論であるとされかつ実際に(現在も)使用されている従来の反射波防止アンテナの動作原理及びその基本式(1)自体を過信したためであることを発見した。
即ち、式(1)は確かに成立する。しかし、これは上下のアンテナが同一の波面でかつそれぞれの直接波に対して厳密に正対した時のみに限って成立するものである。ところが、この同一の波面かつ厳密な正対という条件を実現することは、従来の受信周波数(CW)で上下方向を方向調整する限り不可能と言って良い程困難なことであった。これは、CWで上下方向を方向調整した殆どの区間において運用開始後にフェージングが多発している事実により証明される。
このような状況下で、本発明者は、周知のマイクロ波伝搬の基本式を用いつつ独自の受信電界についての計算式(後述する)を導き、これを用いて年間にわたる反射波防止アンテナにおける受信電界の電界変動特性を算出したところ、図9乃至図14及び図22に示す電界変動特性(後述する)を導くことができた。この電界変動特性は反射波防止アンテナが開発されて後、初めて示されるものである。この電界変動特性により、反射波防止アンテナにおいてフェージングを防止できる方向調整の原理が明確に示されている。
詳しくは各図を参照して後述するが、例えば、図9は具体的な区間での従来の反射波防止アンテナ(即ち、アンテナの高低差Δdがハーフピッチ量であり、波面が同一(波面の差dが0)である)における電界変動特性と考えてよいものである。図9は、Kが1〜15の範囲において、受信アンテナのl2 が5mである時、電界を一定にするSDアンテナのl1 が4.97m〜4.98mの間に存在することを示す。従って、この反射波防止アンテナにおいて、受信アンテナをSDアンテナの約3cm後方に設けると、受信電界が一定になりフェージングを防止できることが判る。なお、後述するように、これが本発明の反射波防止アンテナにおける方向調整の原理である。
このことから、従来の反射波防止アンテナにおいて方向調整の前提条件とされていた、アンテナの高低差Δdをハーフピッチ量とし波面を同一とするという条件は、実際の現地での方向調整においてそれのみではあまり意味を持たないことが判る。従って、従来、この条件を満たすために、反射波防止アンテナの設置において、無線局の敷地の手当、局舎の設計、鉄塔の設計の段階から当該条件を考慮していたことは、あまり意味を持たないことが判る。また、アンテナと給電線路とを剛体構造で厳密に製作していたことも、あまり意味を持たないことが判る。これは、基本式(1)に対する過信に由来するものである。なお、基本式(1)の条件が厳密に設定されていれば、本発明で検討したKの値の変動にあまり影響を受けないものとなることは言うまでもない(勿論、給電線の長さを厳密に等しくして)。
上下のアンテナが同一の波面でかつそれぞれの直接波に対して厳密に正対せずとも受信電界を一定にできる新たな条件が存在する以上、当該新たな条件に従うことが容易でありかつ確実にフェージングを防止する手段であり、また、実現が殆ど不可能に近い従来の方向調整の前提条件を守る必要もない。即ち、式(1)を基本式とする必要はない。換言すれば、アンテナの高低差Δdがハーフピッチ量であろうとなかろうと、また、アンテナの波面が同一であろうとなかろうと、反射波を実質的に0にすることが可能な反射波防止アンテナを実現できることが判る。即ち、2個のアンテナの高低差Δd及び波面の同一とは無関係に
(受信アンテナ系の反射波経路長)−(SDアンテナ系の反射波経路長)
=(1/2)λ ・・・式(2)
を満足させる反射波防止アンテナの基本式を導きうることが判る。
なお、図9において、例えば、K=1.25である時、受信アンテナのl2 が5mであれば電界最大となるのはSDアンテナのl1 が5.01mである。これは、従来の反射波防止アンテナにおいて、SDアンテナを受信アンテナより少し下向きに振り向けた時に等しい。従来の反射波防止アンテナをこの状態に方向調整した後、Kが1.05又は1.66に変動すると、図9から判るように、電界は限りなく低下する。これが従来の反射波防止アンテナにおいて方向調整によりフェージングを防止できなかった理由である。
然るに、従来は、フェージングが多発しても、その原因は方向調整の作業ミスであるとされ、フェージングの原因としての検討が基本式(1)にまで及ぶことはなかった。そして、実際には、上下方向は、送信アンテナからのCW(キャリヤ・ウェーブ)での電界最大となるようにする方向調整は行わず、電波伝搬の基本式から導かれる到来電波の垂直角に合致するようにトランシット、振り下げで方向調整が行われている。このような上下方向の方向調整は、結果としてはそれまでよりはフェージングを減少させることになった。しかし、このような手段は、実際の運用を開始した後にフェージングが発生するか否かを確かめた後でなければ、方向調整の結果が正しかったか否かを最終的に評価できないという点で、望ましいものではなかった。
このような方向調整の現実が反射波防止アンテナが開発されて以来現在まで継続しているのは、以下の理由による。
第1に、前述のように、従来の反射波防止アンテナの動作の基本式(1)に対する過信があったことによる。即ち、あまりにも式(1)が理解容易であったこと、従って式(1)に対して検討が加えられなかったこと、逆に式(1)を成立させる前提条件(正対している状態で、アンテナの高低差Δdがハーフピッチ量であり、波面が同一であること)を満たすことは現実の方向調整作業によっては不可能であること、従って式(1)は現実には紙面上でのみ成立するといっても良いものであること、等による。
第2に、適用区間における年間にわたってのKの具体的な値の変化幅を知らなければ反射波防止アンテナについて具体的に検討することはできないが、このような資料が未だ報告されていなかったことによる。即ち、Kの我が国における年間にわたる平均値が4/3であることが知られているのみであったため、年間にわたる受信電界の変動を計算することが躊躇され、未だ行われていなかったことによる。
本発明は、完成された理論であるとされかつ実際に(現在も)使用されている反射波防止アンテナの動作原理及びその基本式に着目して、その原理から検討して発見された、反射波防止アンテナのKタイプのフェージング及びその方向調整に関する新たな知見に基づくものである。
本発明は、Kタイプのフェージングを防止した反射波防止アンテナを提供することを目的とする。
また、本発明は、その方向調整を極めて容易にした反射波防止アンテナを提供することを目的とする。
また、本発明は、Kタイプのフェージングを防止する極めて容易な反射波防止アンテナの方向調整方法を提供することを目的とする。
本発明の反射波防止アンテナは、上下に配置した第1及び第2のアンテナと、第1及び第2のアンテナの受信出力電力を合成して受信出力電力を出力する合成器と、合成器と前記第1のアンテナとの間を接続する第1の給電線と、合成器と第2のアンテナとの間を接続する第2の給電線とを備える。即ち、アンテナの波面を同一にするという積極的な処置をとることなく、給電線の側で調整を行うようにしている。
そして、本発明の反射波防止アンテナでは、送信アンテナから第1及び第2のアンテナに入射するまでの反射波の経路長を、各々、ld1 及びld2 とし、第1及び第2の給電線の長さを、各々、l1 及びl2 とし、第1及び第2のアンテナでの受信電波の波長をλとし、第1及び第2の給電線における波長短縮率をCとした時に、
ld2 +(1/C)l2 −(1/2)×λ=ld1 +(1/C)l1
・・・式(3)
が成立するようにされる。
本発明の反射波防止アンテナによれば、その動作原理の基本は、従来の式(1)ではなく、給電線の長さをも考慮に入れた前記式(3)である。従って、いかなる標高、いかなる区間距離においても、厳密な数値で表すとき、式(3)は、前述の式(2)につながる。これは式(3)と式(2)との比較から明らかであろう。また、式(3)は、その式自体から明らかなように、従来の式(1)とは異なり、アンテナの高低差Δdを波長の丁度ハーフピッチ量に選定しなければならないと言う条件の影響を受けないので、第1及び第2のアンテナの高低差Δdを受信電波の波長のハーフピッチ量とする必要がない。更に、本発明の反射波防止アンテナにおける第1及び第2の給電線の長さl1 及びl2 は互いに異なるものとされるので、第1及び第2のアンテナの波面を同一にする必要がない。式(3)は、その式自体から明らかなように、経路長の相違を予め考慮した式であるので、当該経路長の相違はフェージングに影響を与えない。従って、式(3)をその動作原理の基本とする本発明の反射波防止アンテナは、Kタイプのフェージングを防止することができる。
以上説明したように、本発明によれば、反射波防止アンテナにおいて、アンテナに入射する反射波の経路長、給電線の長さ、アンテナに入射する電波の波長、給電線における波長短縮率を所定の関係に設定することにより、上下に配置した同一形状の第1及び第2のアンテナのアンテナの波面を異ならせると共に、これらの間の高低差を受信電波の波長のハーフピッチ量又はこれ以外の量とすることができるので、アンテナの波面を同一にする必要をなくし、ハーフピッチ量厳守の影響をなくすことができ、この結果、Kタイプのフェージングを防止することができる。
(本発明の原理)
図1を参照して本発明の反射波防止アンテナ及びその動作原理を示す。図1(A)は本発明の反射波防止アンテナの動作原理を示す。図1(A)において、Tは送信アンテナ、Δdは第1及び第2のアンテナの高低差、ld1 及びld2 は、各々、送信アンテナから第1及び第2のアンテナに入射するまでの反射波の経路長(路程長)、l1 及びl2 は、各々、第1及び第2の給電線の長さ、λは第1及び第2のアンテナに入射する電磁波の波長、Cは第1及び第2の給電線における波長短縮率である。なお、第1のアンテナはSDアンテナ、第2のアンテナは受信アンテナである。
本発明の反射波防止アンテナは、前述のように、
ld2 +(1/C)l2 −(1/2)×λ=ld1 +(1/C)l1
・・・式(3)
が成立するように設定される。即ち、第1及び第2の給電線の長さl1 及びl2 を考慮した上で、反射波の全経路長の差が1/2波長となるようにされる。これにより、図1における2個のアンテナからの反射波の全経路長の差が半波長となり、反射波防止アンテナの各アンテナから合成器までの給電線の長さをも考慮した時に、反射波は互いに打ち消し合い、合成出力として出力されるのは直接波のみとなる。従って、本発明の反射波防止アンテナはKタイプのフェージングを防止することができる。
また、本発明の反射波防止アンテナの動作原理の基本である式(3)にはアンテナの高低差Δdを波長のハーフピッチ量とする条件が表れないのであるから、本発明の反射波防止アンテナの2個のアンテナの間の高低差Δdはハーフピッチ量である必要がない。即ち、反射波防止アンテナの2個のアンテナの間の高低差Δdをハーフピッチ量に設定しておく必要がない。また、アンテナを電波到来角に振り下げやトランシットで合わせる必要がない。
一方、KタイプのフェージングのKの季節的な変動や地域的な変動は反射波の経路長ld1 及びld2 の変動として表れる。この変動は、式(3)から判るように、給電線のl1 及びl2 を適切な値に設定して、反射波の絶対値を極力零にすることにより吸収することができる。即ち、Kの変動に無関係に受信電界を略一定とする(電界をKフリーとする)ことができる。この理由は、直接波と反射波との合成された受信電界において、直接波と反射波との位相差に影響を与えるKの値が変動しても、反射波の絶対値がきわめて小さいものとされていれば、受信電界への影響が小となることによる。
具体的には、図1(B)に示すように、本発明の反射波防止アンテナは、第1及び第2のアンテナを剛体上の一体構造とする必要もなく、合成器までの給電線を剛体構造にする必要もなく、給電線の長さを工場出荷時に厳密に調整する必要もない。また、本発明の反射波防止アンテナは、これを局舎に取り付けた状態で、第1及び第2のアンテナの波面が直接波について同一である必要がなく、第1及び第2のアンテナの高低差Δdがハーフピッチ量である必要がない。これらは図1(B)を図34(B)と比較すれば明らかであろう。これにより、局舎、鉄塔、敷地、立地等の制約が少なくなり、反射波防止アンテナの設置の自由度が増し、経費の節減を図ることができる。
なお、後述するように、従って前記式(3)の成立する限りにおいては、第1及び第2のアンテナの波面が同一であってもよく、又は、これらの間の高低差が受信電波の波長のハーフピッチ量であってもよい。しかし、波面が同一でなくまた高低差がハーフピッチ量でないとすることにより、反射波防止アンテナの設置の自由度を極めて高くすることができる。
また、本発明に従って前記式(3)の成立する限りにおいては、第1及び第2のアンテナを受信アンテナ及びSDアンテナとしてもよい。しかし、第2のアンテナである受信アンテナの位置を第1のアンテナであるSDアンテナの位置よりも高くし、受信アンテナの波面をSDアンテナの波面よりも合成器に近くし、第1の給電線を第2の給電線よりも長くすることにより、局舎、鉄塔等の構造を簡単なものとすることができる。
次に、本発明の原理に従って、反射波防止アンテナの2個のアンテナの間の高低差Δdがハーフピッチ量以外の値である場合に、Kの変動に無関係に電界を一定とすることができるおよその値及びその算出の過程を示す。
今、図2に示す区間を考える。この区間において、区間の距離は39500m、送信アンテナの高さは430m、受信アンテナの高さは65.82m、SDアンテナの高さは63.2m、l2 =5m、K=4/3、2個のアンテナの波面の前後差d=0である(波面は同一である)とする。従って、2個のアンテナの高低差Δd=2.62mである。周波数は2248.5MHzである。
一般にマイクロ波伝搬路は図7に示す如き伝搬路として考慮され、地球表面の彎曲の存在を電波屈折比Kに考慮したマイクロ波伝搬路基本式が用いられている。本明細書におけるld1 やld2 などの計算値は、当該マイクロ波伝搬路基本式を用いて計算された値である。
この区間において、マイクロ波伝搬路基本式から、ld1 =39503.9622m、ld2 =39503.9918mが求まる。これを式(3)に代入すると、
39503.9918+(1/0.91)×5.0−(1/2)λ=39503.9622+(1/0.91)×l1
となる。これに、f=2248.5MHzなので、λ=0.1334mを代入して解くと、l1 =4.966mとなる。
これは、後述する図10において、l1 =4.96mとl1 =4.97mとの間において、図34の例で言うL1 ,L2 を通ってくる直接波とld1 ,ld2 を通ってくる大地反射波との合成された電界が実質的にフラットになることにより証明される。即ち、2個のアンテナの間の高低差Δdがハーフピッチ量以外の値である場合においてもKの変動にあまり影響されないで受信電界を一定とするl1 が存在することを示している。図10において、横軸はKの値、縦軸は電界(dB)である。
図10に示すように、l1 を4.94m乃至5.01mに変化させた場合において、l1 =4.95mでは電界がKの値の変化に依存して周期的に変動するので、フェージングの原因となる。しかし、l1 を長くするに伴い電界の変動が次第に小さくなり、前述のようにあるl1 の値で電界が実質的にフラットになり、このl1 によればフェージングを防止できる。即ち、Kの値が変化しても年間を通じてアンテナの受信電界を一定とすることができる。そして、再度、l1 を長くするに伴い電界の変動が再び次第に大きくなり、電界がKの値の変化に伴い周期的に変動するので、フェージングの原因となる。l1 =5.01mではKの値の変化に依存する電界の変動が極めて大きく、例えばK=1.7の近傍では方向調整をしても、l1 =4.966m以外であればKの値が少しでも変化すると直ちにフェージングが発生し、その防止が殆ど困難になる。図10に示したl1 =4.94m乃至l1 =5.01m以外の範囲においては、Kの値の変化に依存する電界の変動は図10の形態を繰り返す。従って、l1 =4.966m以外に定める方向調整ではKの値が少しでも変化するとフェージングが発生するので、フェージングの防止は殆どできない。以上については、後述する図9、図11乃至図14、図22においても同様である。
従って、本発明によれば、以上の計算を行うことにより、2個のアンテナの間の高低差Δdをハーフピッチ量以外の値としKの変動に無関係に受信電界を一定とすることができ、かつ、このためのl1 を容易に決定できる。
以上の計算は、高低差Δdが4.62mである場合でも成立する。この場合、SDアンテナの高さは63.2m、受信アンテナの高さは67.82mである。前述と同様に、この区間において、マイクロ波伝搬路基本式から、ld1 =39503.9622m、ld2 =39504.0147mが求まる。これを式(3)に代入すると、
39504.0147+(1/0.91)×5.0−(1/2)λ=39503.9622+(1/0.91)×l1
となる。λ=0.1334mを代入して解くと、l1 =4.987mとなる。これは、後述する図11において、l1 =4.98mとl1 =4.99mとの間において電界が実質的にフラットになることにより証明される。
このように、本発明によれば、反射波を略0にするように、即ち、式(3)が成立するようにl1 及びl2 の値を適切に設定することにより、アンテナの波面の前後差に関係なく、かつ、高低差Δdがハーフピッチ量又はこれ以外の値においても、Kタイプのフェージングを防止することができる。
次に、両アンテナの波面の前後差を数cmではなく1m乃至5m等とした場合、l1 及びl2 を前述のような略同一の長さとすることは不可能となる。この場合でも、本発明によれば給電線l1 及びl2 の長さの調整により、基本的には、前述のようにしてフェージングを防止できる。しかし、この場合、給電線l1 及びl2 を通過する時の伝送損失差が無視できなくなり、等価的には長い給電線の側の電界がその分低下する。これは、後述する図21からも明らかになるように、スイープ波形での方向調整を困難にする。スイープ波形での方向調整は当該方向調整を極めて容易にするので、PAD(パッド)即ち抵抗素子又はアッテネータ素子を短い側の給電線に挿入して両給電線における伝送損失を等しくすることが望ましい。
(本発明の反射波防止アンテナの具体的構成)
図3は本発明の反射波防止アンテナの構成を示す。前述のように、反射波防止アンテナの設置の自由度等を考慮して、SDアンテナ1及び受信アンテナ2の波面が異なるようにされ、また、SDアンテナ1及び受信アンテナ2の間の高低差が受信電波の波長のハーフピッチ量又はこれ以外の量でも良いとされる。これにより、受信アンテナ2の位置がSDアンテナ1の位置よりも高くされ、受信アンテナ2の波面がSDアンテナ1の波面よりも合成器5に近くされ、第1の給電線3の長さが第2の給電線4の長さよりも長くされる。
SDアンテナ1及び受信アンテナ2は同一の型式で同一の径のものである。給電線3及び4としては周知の10D、8D又は5D系の同軸線を用いる。これは、反射波防止アンテナ設置の現場において特殊工具、特殊技術保有者によることなく通常の電気工事用工具、普通の電気工事員により容易に施工ができるようにして、方向調整が極めて容易であるという本発明の特徴を活かすためであり、また、デジタル通信が主流であることから伝送損失よりも可撓性及び調整作業に重点を置くためである。なお、給電線3及び4は、導波管、同軸管、同軸線、その他直径が数mmの低損失同軸線等を用いることができる。
電気長調整手段6が、電気長の調整のために、第1の給電線3と合成器5との間に設けられる。電気長調整手段6は同軸線からなる。この同軸線としては、例えば周知の5D−2W系の同軸線を用いる。なお、同軸線に代えて、電気長調整手段6として公知の電気長調整器を用いてもよい。電気長調整手段6は、基本的には、第1の給電線3(SD系)、第2の給電線4(受信系)のいずれに設けてもよく、両方の系に設けてもよい。また、周知のPAD7が、伝搬損失調整用の手段として、合成器5と短い側の給電線即ち第2の給電線4との間に挿入される。これは、給電線3及び4における伝送損失を同量とするためである。なお、PAD7の挿入による電気長の変動は正確に考慮される。
実際の電気長の調整はミリメートルの単位で行うので、給電線路全体を構成する部品は少ない程よい。従って、本実施例では、PAD7を合成器5に直接接続する。PAD7を受信系又はSD系のいずれかの系の中央に設ければその両側に給電線を必要とするが、本実施例のような接続形態によれば給電線は片側に1本のみで済む。これは、電気長調整手段6についても同様である。反射波防止アンテナの設計によりSDアンテナ1及び受信アンテナ2の設置位置が定まるので、必然的に、給電線3及び4の長さ及び電気長調整手段6である同軸線の長さも定まる。従って、給電線3及び4は、反射波防止アンテナ設置現場において方向調整の試行錯誤により作成する必要はなく、設計完了の時点で予め事前に作成できる。電気長調整手段6である同軸線も同様である。
従って、本発明の反射波防止アンテナでは、電気長調整手段6である同軸線として、受信電波の波長から定まる所定の長さづつその長さの異なる長さに予め加工した複数本の同軸線を、予め用意することができる。例えば、受信電波の周波数が2GHzである場合、その電気長の調整は5mm単位で可能である。従って、電気長調整用の同軸線は、図4(A)に示すように、その長さの最低値を30cmとして、5mm刻みで長くした同軸線を10本程度、予め用意する。
反射波防止アンテナ設置の現場においては、SDアンテナ1及び受信アンテナ2を設計通りの位置に固定し、これらに予め作成した給電線3及び4を接続して固定する。この時、第1の給電線3及び第2の給電線4は、図4(B)に示すように、合成器5に対しても固定される。また、電気長調整手段6である同軸線が挿入される側の給電線即ち第1の給電線3は、図4(B)に示すように、合成器5に対して所定の距離Δkを隔てて固定される。即ち、合成器5の接続端子と給電線3の接続端子との間の距離は、受信電波の波長から定まる電気長調整手段6である同軸線の長さの最低値(この場合は30cm)よりもやや短い値Δkとされる。また、予め用意した電気長調整用の同軸線では最適な調整ができない場合には、現場で最適な長さの同軸線を作製すればよい。
この状態で、電気長調整用の同軸線を接続して調整を行う。即ち、複数本の同軸線の内から、式(3)が成立する同軸線を選択して接続する。この調整は、図4(C)に示すように、予め用意した10本程の電気長調整用の同軸線を順に交換して接続して受信電力を測定することを繰り返して行う。具体的には、測定した受信電力に基づいて最適な電気長調整用の同軸線を1本選択するのみであり、極めて容易な作業である。
受信電波の周波数がより高い場合、電気長の調整は、5mm単位では不十分となり、より短い値で調整しなければならない。例えば周波数が7GHzである場合、電気長の調整は3mm単位で可能である。従って、電気長調整用の同軸線は3mm刻みで長さの異なる同軸線を10本程度用意すればよい。
なお、予め用意する複数本の同軸線の長さを更に短くし1ミリメートルの単位で異なるようにすることにより、周波数が11GHzの受信電波までのフェージングを防止することができる。これは、方向調整を同軸線の交換という機械的な作業により行うことによる限界である。従って、これ以上の周波数については異なる手段により方向調整を行って、前記式(3)を満足させればよい。
同軸線からなる給電線での損失が大きい場合には、デジタル通信であっても、給電線を導波管とする必要がある。この場合、電気長調整用の同軸線はトランスジューサー接続となる。
(本発明の反射波防止アンテナにおける電界の計算式)
本発明の反射波防止アンテナにおける電界を算出するために、図5に示すようなプロフィール区間において、電界の計算式を立てることとする。ここで、Tは送信アンテナ、Rは受信アンテナ、SDはSDアンテナ、Dは区間距離、D1 はSDアンテナの反射点までの距離、D2 は受信アンテナの反射点までの距離、H11はSDアンテナの高さ、H12は受信アンテナの高さ、dはSDアンテナと受信アンテナとの前後差(波面の距離)、H2 は送信アンテナの高さ、L1 は送信アンテナとSDアンテナとの間の経路長(距離)、ld1 は送信アンテナとSDアンテナとの間の反射波の経路長、L2 は送信アンテナと受信アンテナとの間の経路長、ld2 は送信アンテナと受信アンテナとの間の反射波の経路長、l1 はSDアンテナから合成器までの給電線の長さ、l2 は受信アンテナから合成器までの給電線の長さ、Δdは受信アンテナとSDアンテナとの高低差、E1 はSDアンテナの直接波の電界、E2 はSDアンテナの反射波の電界、E3 は受信アンテナの直接波の電界、E4 は受信アンテナの反射波の電界、Pは反射波防止アンテナの合成受信電力である。
なお、2GHzの反射波防止アンテナでは高低差Δdが3m前後となり、1GHzの反射波防止アンテナでは高低差Δdが5m〜6mに及ぶ。
受信アンテナ及びSDアンテナの合成受信電力Pは電界E1 乃至E4 の各電界の合成電力である。ここで、各電界を、各電界の絶対値を同じ値として位相関係を示す図として、図6に示すように定めると、各位相角は以下のように求まる。即ち、
θ1 =〔〔(ld1 +1.0989l1 )−(L1 +1.0989l1 )〕
/λ〕×360°+180°、
θ2 =〔〔(ld2 +1.0989l2 )−(L2 +1.0989l2 )〕
/λ〕×360°+180°、
θ3 =〔〔(L2 +1.0989l2 )−(L1 +1.0989l1 )〕
/λ〕×360°
である。但し、λは波長、l1 及びl2 は同軸線であり、その波長短縮率は0.91とする。なお、1.0989=1/0.91である。
図6において、θ1 は電界E1 と電界E2 との間の位相差角であり、同様にθ2 は電界E3 と電界E4 との間の位相差角、θ3 は電界E1 と電界E3 との間の位相差角である。
上式におけるld1 、L1 、ld2 、L2 の各値は、前述のH2 、H11、H12、D、d、D1 、D2 の値を用いて、図7に示すような区間を考えて、マイクロ波の伝搬路計算の基本式により算出する。θ1 、θ2 及びθ3 が求まれば、これを用いて合成受信電力Pを下式により算出する。即ち、
P={20log〔〔−Msinθ1 −Ysinθ3 −Rsin(θ3 +θ2 )〕2 +〔W+Mcosθ1 +Ycosθ3 +Rcos(θ3 +θ2 )〕2 1/2 }−3
である。但し、MはE2 の反射減衰比、RはE4 の反射減衰比、YはE3 の減衰比、WはE1 の減衰比である。ここで、減衰比=〔減衰した電界値〕/〔減衰零の電界値〕である。また、「−3」は合成器を通過する時の減衰量である。
(本発明の反射波防止アンテナの受信電界の計算)
以上に述べた本発明の反射波防止アンテナの電界の計算式を用いて、本発明の反射波防止アンテナを実際の通信に適用した場合を想定して、その受信電界を計算する。このために、実際にマイクロ波帯での通信において反射波防止アンテナが採用されている区間を例にとって説明する。
平成8年まで、鹿児島県の大隅半島の横尾岳(標高430m)から錦江湾を隔てて鹿児島市の無線中継所に2GHzの回線がのびていた。この区間では海面からの正規反射波が何ら遮られることなく受信アンテナに入射するので、反射波防止アンテナが採用されていた。この区間の伝搬諸元は以下のようである。即ち、区間距離は39500m、横尾岳の送信アンテナの標高は430m、鹿児島の受信アンテナの高さは66.82m、同SDアンテナの高さは63.2mである。なお、受信アンテナ及びSDアンテナの高低差Δdはハーフピッチ量である。また、これは、図5において、D=39500m、H2 =430m、H12=66.82m、H11=63.2m、Δd=3.62mとした場合である。
我が国におけるKタイプのフェージングの係数(電波屈折比)Kの値の年間変化(夏冬98%時のKの変化幅)は、図8に示すように表すことができる。図8によれば、この区間のKが年間を通して1〜15の間を変動するものとした上で、前述の電界計算式によりこの区間の年間の電界変動を計算することができる。
図9は、この区間について、周波数2248.5MHz、K=1〜15の年間にわたる電界変動特性の計算結果を示す。ここで、受信アンテナとSDアンテナとの間の前後差d=0とした。また、D=39500m、H2 =430m、H12=66.82m、H11=63.2m、Δd=3.62m(即ち、ハーフピッチ量)である。即ち、図9は従来の反射波防止アンテナの方向調整の場合と同一条件下での電界変動特性の計算結果である。なお、図9において、横軸はKの値、縦軸は電界(dB)である。これは図10乃至図14及び図22においても同様である。但し、本発明に従って、図9においては、給電線の長さl2 は5mで一定とし、l1 は5.01m、4.99m、4.98m、4.97m、4.95mの各値とする。また、反射波ld2 及びld1 は上下方向の指向の損失により直接波に比べ2dBだけ損失したとして計算している。また、給電線l1 及びl2 は同軸線からなり、波長短縮率は0.91とする。
図9の計算結果から以下のことが判る。即ち、反射波防止アンテナにおける上下方向の方向調整においては、電界最大に方向調整をしてはならない。例えば、方向調整時においてKが1.3であれば、上下方向の方向調整の際に下方のアンテナ(SDアンテナ)が上方のアンテナ(受信アンテナ)の約1cm後方に位置し、かつ、l1 =l2 であれば電界最大となる。しかし、この状態で方向調整が完了したものとして各アンテナを当該位置に固定したとすると、Kが年間変動により1.67近傍になった場合、図9から明らかなように、電界は限りなく低下する。これが、従来極めて厳密に上下方向の方向調整を行っていたにもかかわらず、設置後に必ず反射波防止アンテナの方向調整を再度行わざるを得なかった原因であったと考えられる。
図10は、この区間について、図9と同一の条件で、受信アンテナの高さH12のみを65.82mに変更した場合の電界変動特性の計算結果である。即ち、高低差Δdのハーフピッチ量を約30%低減した状態での計算結果である。なお、l1 は5.01m、4.99m、4.97m、4.96m、4.94mの各値とする。図11は、この区間について、図9と同一の条件で、受信アンテナの高さH12のみを67.82mに変更した場合の電界変動特性の計算結果である。即ち、高低差Δdのハーフピッチ量を約30%増加した状態での計算結果である。なお、l1 は5.01m、5.00m、4.99m、4.98m、4.95mの各値とする。
図10及び図11の計算結果から以下のことが判る。即ち、反射波防止アンテナにおける上下方向の方向調整は、従来、アンテナの間隔をK=4/3時の直接波と反射波との夾角により厳密に定められていた。しかし、図10及び図11から明らかなように、アンテナの高低差がハーフピッチ量の72%又は130%であっても、十分にKタイプのフェージングは防止できる。換言すれば、高低差Δdがハーフピッチ量以外の量であっても、本発明に従って給電線l1 及びl2 についての条件を定めることにより、Kタイプのフェージングは防止できる。
図12は、この区間について、図9と同一の条件で、受信アンテナとSDアンテナとの間の前後差dのみを5mに変更した場合の電界変動特性の計算結果である。即ち、高低差Δdをハーフピッチ量とし、かつ、距離dをアンテナの波面の位置からずらした状態での計算結果である。なお、l1 は9.56m、9.54m、9.53m、9.52m、9.51mの各値とする。図13は、この区間について、図10と同一の条件で、受信アンテナとSDアンテナとの間の前後差dのみを5mに変更した場合の電界変動特性の計算結果である。即ち、高低差Δdのハーフピッチ量を約30%低減し、かつ、2個のアンテナの波面の位置を相互にずらした状態での計算結果である。なお、l1 は9.56m、9.54m、9.52m、9.51m、9.49mの各値とする。図14は、この区間について、図11と同一の条件で、受信アンテナとSDアンテナとの間の前後差dのみを5mに変更した場合の電界変動特性の計算結果である。即ち、高低差Δdのハーフピッチ量を約30%増加し、かつ、2個のアンテナの波面の位置を相互にずらした状態での計算結果である。なお、l1 は9.56m、9.55m、9.54m、9.53m、9.50mの各値とする。
図12乃至図14の計算結果から以下のことが判る。即ち、反射波防止アンテナにおける上下方向の方向調整は、従来、アンテナの波面の位置を厳密に揃えることにより厳密に定められていた。しかし、図12乃至図14から明らかなように、アンテナの波面の位置が相互に5mも前後していても、電界変動特性は距離d=0の場合と同様である。従って、この場合でも十分にKタイプのフェージングは防止できる。換言すれば、距離dが0以外であっても、本発明に従って給電線l1 及びl2 についての条件を定めることにより、Kタイプのフェージングは防止できる。
以上の図9乃至図14から以下のことが判る。即ち、従来、反射波防止アンテナの設置に際しては、その敷地の造成、アンテナ搭載の鉄塔の設計、局舎の設計の各段階にわたり、厳密なハーフピッチの確保及び厳密な同一の波面の確保という要請に対応すべく、厳しい制約が課せられていた。これが反射波防止アンテナの設置期間の長期化、費用の高騰を招いていた。更に、そのようにしてまで厳密に反射波防止アンテナを設置しても、必ず方向調整の再度の実施が避けられなかった。しかし、図9乃至図14から明らかなように、本発明に従って給電線l1 及びl2 についての条件を定めれば、厳密なハーフピッチ及び厳密な同一の波面を確保する必要がない。これにより、反射波防止アンテナの設置を容易なものにでき、方向調整の再度の実施も殆どなくすことができる。
更に、本発明に従って式(3)を成立させるように給電線l1 及びl2 についての条件を定めて方向調整を行う場合、式(3)は図8に示すKの変動の範囲において成立すればよい。図8に示すように、Kの変動の範囲は反射波防止アンテナの設置される地域及び季節により変動する。従って、この変動の範囲外のKの値については前記式(3)が成立する必要はない。
図15乃至図20は、この区間について、各々、図9乃至図14と同一の条件で、当該周波数2248.5MHzの±30MHzのスイープ波の電界変動特性の計算結果を示す。Kは4/3又は2である。なお、図15において、横軸は周波数(MHz)、縦軸は電界(dB)である。これは図16乃至図21及び図23乃至図25においても同様である。
図15乃至図20の計算結果から以下のことが判る。第1に、図9乃至図14に関連して説明したような広い範囲において条件を変化させても、必ずスイープ電界がフラットになる条件が存在する。即ち、図15乃至図20のいずれにおいても、曲線の傾きの符号が反転する領域が存在するので、この領域において必ず電界がフラットになる(電界が一定になる)条件が存在することが判る。従って、図9乃至図14に関連して説明したような様々な条件の下でも、Kの変動にかかわらず、電界を一定とすることができる。なお、Kは4/3又は2の2値についてのみしか示していないが、これは一例であり、他の種々の値についても同様である。言うまでもなく図10に関連して説明した如く、反射波について絶対値を極力零にするような条件の設定が行われていれば、Kについての他の値でも同様である。
第2に、Kの変動にかかわらず、電界が一定となる条件(式(3)を成立させる条件)をスイープ波を用いて検出することができる。そして、これは図9乃至図14に関連して説明したような様々な条件の下でも可能である。従って、従来のように、CW(キャリアウェーブ)を用いたアンテナの方向調整を行う必要がない。反射波防止アンテナ設置現場には、通常、スペクトルアナライザーやスイープゼネレータ等が携帯又は常備される。従って、これらを使用することにより、反射波防止アンテナの上下方向の方向調整においてスイープ波を利用して極めて容易にかつ正確に、式(3)を成立させる給電線l1 を選択することができる。これにより、図15乃至図20から明らかなように、極めて正確な上下方向の方向調整が極めて容易に可能となる。
図21は、この区間について、図15と同一の条件で、当該周波数2248.5MHzの±30MHzのスイープ波の電界変動特性の計算結果を示す。なお、Kは4/3である。
曲線(1) は、本発明に従って、受信アンテナ及びSDアンテナに入射する両反射波の経路差が(1/2)λであれば、仮に、L1 +1.0989×l1 =L2 +1.0989×l2 でなくても、l1 とl2 との長さの差が小であれば、電界が実質上フラットとなることを示す。なお、l2 =5m、l1 =4.977mである。これは、本発明によりKタイプのフェージングを防止した正常な反射波防止アンテナである。曲線(2) は、曲線(1) の場合とは逆に、受信アンテナ及びSDアンテナに入射する両直接波の側で経路差が(1/2)λになっているような条件であれば、直接波の側での絶対値が零に近くなっている場合であり、仮に、ld1 +1.0989×l1 =ld2 +1.0989×l2 でなくても、l1 とl2 との長さの差が小であれば、電界がフラットとなることを示す。なお、l2 =5m、l1 =5.0373mである。なお、いずれの場合も、反射波の損失は2dBであるとした。
これに対して、曲線(3) は、曲線(1) と同一の条件において、経路長ld2 側の損失が5dB、経路長ld1 側の損失が2dB、経路長L2 側の損失が3dB、経路長L1 側の損失がない場合を示す。曲線(4) は、曲線(1) と同一の条件において、経路長ld2 側の損失が8dB、経路長ld1 側の損失が2dB、経路長L2 側の損失が6dB、経路長L1 側の損失がない場合を示す。
図21の計算結果から以下のことが判る。第1に、曲線(1) と曲線(2) との比較から、電界がフラットとなる場合であっても、直接波が打ち消しあってしまい反射波のみの出力となっている場合がある。このような直接波が打ち消しあって反射波により電界がフラットとなるような条件を設定すると、電界は年間において略一定であるが、電界の絶対レベルが低下し、また、不安定になる。従って、方向調整において曲線(2) の条件を選択することは避ける必要がある。
第2に、曲線(1) と曲線(3) 及び曲線(4) との比較から、受信アンテナとSDアンテナとの間に電界差があれば、たとえこれら以外の諸元が電界をフラットにする値に設定されていても、当該周波数の±30MHzのスイープ波の範囲においては電界がフラットにならない。即ち、アンテナの利得差、アンテナの方向調整の差、給電線の損失差が存在する場合、単に経路長を等しくしても受信電界はフラットにならない。従って、スイープ波を使用する方向調整においては、アンテナの利得差、アンテナの方向調整の差、給電線の損失差が存在しないように設定する必要がある。この観点から、図3に示したPAD7を挿入する必要がある。
図22は、この区間について、周波数7GHz(波長λ=0.042857m)、K=1〜15の電界変動特性の計算結果を示す。ここで、受信アンテナとSDアンテナとの間の前後差d=0とした。また、受信アンテナの高さH12=64.37m、SDアンテナの高さH11=63.2m(前述の例と同一)、Δd=1.17m(即ち、7GHzでのハーフピッチ量)である。即ち、図22は、図9と同様に、従来の反射波防止アンテナの方向調整の場合と同一条件下での電界変動特性の計算結果である。但し、本発明に従って、給電線の長さl2 は5mで一定とし、l1 は5.012、5.002m、4.992m、4.982m、4.972mの各値とする。また、反射波ld2 及びld1 は上下方向の指向の損失により直接波に比べ8dBだけ損失したとして計算している。また、給電線l1 及びl2 での波長短縮率は0.91とする。
図23は、この区間について、図22と同一の条件で、直接波及び反射波の反射損失D/U比が変化し、かつ、直接波の経路長が変化した場合のK=4/3における20MHzのスイープ波の電界変動特性の計算結果である。図23の各図は、反射損失D/U比を8dB、6dB、4dB、2dB、0dB及び−2dBとした時のスイープ電界の変化を示す。また、各図において、曲線AはSDアンテナの側の長さが受信アンテナの側の長さより同軸長にして2cm長い場合(即ち、l2 =5m、l1 =5.012mである場合)を示し、曲線BはSDアンテナの側の長さが受信アンテナのそれより同軸長にして1cm長い場合(即ち、l2 =5m、l1 =5.002mである場合)を示し、曲線CはSDアンテナ及び受信アンテナの側の長さが等しい場合(即ち、l2 =5m、l1 =4.992mである場合)を示し、曲線DはSDアンテナの側の長さが受信アンテナのそれより同軸長にして1cm短い場合(即ち、l2 =5m、l1 =4.982mである場合)を示し、曲線EはSDアンテナの側の長さが受信アンテナのそれより同軸長にして2cm短い場合(即ち、l2 =5m、l1 =4.972mである場合)を示す。
図23の計算結果から以下のことが判る。即ち、7GHzについてのスイープ波を用いての反射波防止アンテナの方向調整においては、直接波と反射波とのD/U比に厳重な注意が必要である。特に、D/U比を0又は負にしてはならない。D/U比を0dB及び−2dBとした場合のように、半波長の略整数倍でフラットの特性が複数出現する場合には、各アンテナの上下方向のD/U比を考慮して方向調整を行う必要がある。実際には、図23に示すD/U比が0dB及び−2dBである領域において、本発明による方向調整を行ってはならない。
以上の図22及び図23の計算結果から以下のことが判る。即ち、我が国においては、従来、4GHz以上のマイクロ波通信における反射波防止アンテナの使用の実例はない。これは、従来はKの変動幅が不明であったこと、従ってどのようなKの値を用いて電界を計算すべきかの基準がなく効果の判断が不能であったこと、優れた測定器等が未開発であって調整が不可能であったこと等による。しかし、反射波防止アンテナにおける電界変動のメカニズム及び変動量が明らかにされたので、例えば7GHzのような4GHz以上のマイクロ波通信においても、反射波防止アンテナを使用することができる。この場合の反射波防止アンテナの方向調整は、本発明に従って、図22及び図23に示すように、容易に行うことができる。
図24は、この区間について、図14と同一の条件で、K=4/3における2248.5MHz±30MHzのスイープ波の電界変動特性を示す。但し、l1 は9.51mから9.59mまで、即ち、半波長以上で1cm毎に変化させている。即ち、曲線(1) から曲線(9) である。なお、図14と同一の条件であるから、H11=63.2m、H12=67.82m(高低差Δdをハーフピッチ量の約30%増加した状態)、受信アンテナとSDアンテナとの間の前後差d=5m、l2 =5m、経路長ld1 及びld2 側の損失が4dB、経路長L1 及びL2 側の損失が2dB、l1 及びl2 における波長短縮率は0.91である。
図24の計算結果から以下のことが判る。即ち、曲線(3) と(4) との間及び曲線(8) と(9) との間で曲線の傾きの符号が反転しているので、これらの間に、各々、フラットな周波数特性が存在する。従って、フラットな周波数特性は2本存在する。曲線(3) と(4) との間のフラットな周波数特性は直接波のみで電界を構成し、曲線(8) と(9) との間のフラットな周波数特性は反射波のみで電界を構成する。この場合、図21において説明したように、前者の条件を選択し、後者の条件は選択しないようにする必要がある。
図25は、この区間について、図24と同一の条件で、2248.5MHz+140MHz乃至−190MHzのスイープ波の電界変動特性を示す。但し、l1 は9.5m及び9.537mである。なお、l1 =9.537mの場合、両系の反射波経路長差は2248.5MHzの(1/2)λに略等しい。
図25の計算結果から以下のことが判る。即ち、スイープ波のピッチ周波数は、周知の計算により、直接波と反射波の差から求めることができる。l1 =9.5mのように電界をフラットとする条件を外れている場合、電界はスイープ波のピッチ周波数に一致する周期で大きく変動する。従って、スイープ波の電界変動特性がフラットであるか否かは、スイープ波のピッチ周波数の1周期又は半周期の範囲で測定しなければならない。これにより、正確に電界をフラットとする条件を求めることができる。
(本発明による反射波防止アンテナの方向調整)
本発明による反射波防止アンテナの方向調整について順を追って説明する。
ステップ1;方向調整に使用する実際の区間の諸元を図26に示す。なお、この区間は、例えば前述のように送信側が横尾岳であり、受信側が鹿児島であり、数値は現実の値を示す。この区間におけるKタイプのフェージングのKの年間の変動幅は、図8に示すように、1乃至15である。
ステップ2;まず、方向調整の作業に入る前に、図27に示す各項目について、周知のマイクロ波伝搬路基本式に従って計算により予め算出する。なお、これらの各項目の値を予め算出する理由は以下のようである。
即ち、θ1 、θ2 、α1 及びα2 を算出するのは、受信アンテナ及びSDアンテナの方向調整の作業中及び終了後において、上下方向の方向調整の良否を判別する資料とするためである。ld2 −L2 及びld1 −L1 を算出するのは、スイープ波形で方向調整を実施する場合において、そのスイープ幅を予め知るためである。L2 −L1 を算出するのは、l1 の決定に必要なためである。ld2 −ld1 を算出するのは、ld2 +l2 =ld1 +l1 であたかも上下方向の方向調整が終了したかのように錯覚することを防止するためである。なお、ld1 及びld2 の値を用いて位相角θ1 及びθ2 を算出する場合は、反射時において位相が180°回転するので、この分を補正する必要がある。
ステップ3;方向調整の作業の開始前に、送信側、受信側、測定コード、更にはスイープジェネレータ、スペクトルアナライザ等の単体折り返しの周波数特性等を測定し、必要に応じて表示を校正しデータを記録する。この時、データを記録するための最大のスイープ幅は、前述の図25により説明したように、ld2 −L2 及びld1 −L1 の最短数値のピッチ幅の+30MHz程度とする。この区間の場合、1.021mが最短であり、周波数ピッチは約300MHz、従って、スイープ幅はf0 ±165MHzとすればよい。
ステップ4;次に、給電線l1 の長さ決定のための計算を行う。一例としてK=4/3とし、周波数は2248.5MHzである。ここで、図28(及び図26)に示すように、高低差Δd=4.62mはハーフピッチ長ではない。また、受信アンテナとSDアンテナとの間の前後差d=5mであるとして、給電線l1 の長さを算出する。
前述のように、周知のマイクロ伝搬路基本式により、L2 =39507.8179m、L1 =39502.8498m、ld2 =39509.0144m、ld1 =39503.9622mとなる。これを式(3)に代入して、更に波長λを代入すれば、l1 =9.537mとなる。従って、図28のAB間に長さが9.537−5=4.537mで波長短縮率が0.91であるCOX線を挿入すればよい。
COX線の挿入により9.537mとなった給電線l1 と長さ5mのままである給電線l2 との間には、2GHzの電波の受信電力の通過損失の差が生じる。そこで、図29に示すように、この損失差の分に相当するPADを給電線l2 の系に挿入する。即ち、図3の構成とする。このPADの挿入による電気長の変動も正確に考慮される。
ここで、重要な事項について、図24を参照して説明する。図24に示すように、給電線l1 の長さが9.537mよりわずか5cmだけ増加した9.5816mになるとスイープ波形は再びフラットになる。この時の反射波防止アンテナの諸元の関係を図30に示す。図30において、直接波について、
2 +(1/C)l2 =39507.8179+5.0×1.0989=39513.3124m、L1 +(1/C)l1 =39502.8498+9.5816×1.0989=39513.37902mである。従って、(L1 +(1/C)l1 )−(L2 +(1/C)l2 )=0.0666202mである。これは、略0.5λに等しい。
同様に、反射波について、
ld2 +(1/C)l2 =39509.0144+5.0×1.0989=39514.5089m、ld1 +(1/C)l1 =39503.9622+9.5816×1.0989=39514.49142mである。従って、(ld2 +(1/C)l2 )−(ld1 +(1/C)l1 )=0.01748mである。これは、λ=0.1334mに比べて十分に小さい値である。即ち、この時には、図21において説明したと同様に、正常な反射波防止アンテナの直接波と反射波の役割が逆転しているので、スイープ波による方向調整においてこの点に注意する必要がある。
ステップ5;反射波防止アンテナを構成するため、受信アンテナ及びSDアンテナを、各々、別個に設計により定めた位置に取り付け、左右方向及び上下方向の方向調整を独立して実施する。
まず、左右方向の方向調整は上下方向を前記ステップ2で求めた値に大体合わせた状態にした上で実施する。この時、受信アンテナとSDアンテナとでは反射波の影響により殆ど同一の値にはならない。いずれか一方が著しく電界値が小さくなり方向調整が不能の場合、その方のみ周波数を最大で90MHz程度上げるか又は下げるかして電界値を回復させた上で、方向調整を行う。即ち、左右方向は、電界が最大となるように調整してその位置で固定する。
ステップ6;次に、上下方向の方向調整を行うが、この方向調整はただ漫然と電界最大位置で固定したのでは不十分である。前記ステップ2の計算により求めたθ1 及びθ2 の値が約1°であること、及び、α1 及びα2 が約0.4°であることを参考にして方向調整を行う。即ち、アンテナが僅かに水平方向に対して前記角度を有するようにした上で、電界最大位置を求める。なお、この程度の角度であれば、上下のアンテナに4.62mの高低差があっても、特別の訓練等を経なくても識別することが可能である。なお、左右方向の方向調整において電界値が不足して周波数を変更した側のアンテナの方向調整は、左右方向と同様に周波数を変更したままの状態で、方向調整を実施する。
上下方向の方向調整により電界最大位置が求まったら、複数の作業員により、受信アンテナ及びSDアンテナの方向が略同一になっていることを確認する。この時、アンテナの方向は下向きではなく、僅かに上向きであることも確認する。
この後、更に、当該電界最大位置から0.3°〜0.5°程度受信アンテナ及びSDアンテナの向きを上に向ける。これは、図23において説明したように、直接波、反射波のD/U比を負ではなく確実に0以上の正とするためと、直接波との正対により近づけるためである。
ステップ7;次に、以上の方向調整をした状態で、受信アンテナとSDアンテナとの間の上下方向の高低差Δdと、これらの間の波面の距離dとを計測する。高低差Δdはcmのオーダで計測する。距離dはmmのオーダで計測することが望ましい。計測時は無風で晴天であることが望ましい。
この計測の結果、高低差Δdが4.62mであり、距離dが5mであれば、次の段階として、ステップ4において算出したl1 =9.537mを基準としたスイープ波形による方向調整を行う。ここで、高低差Δdが数cm程度のずれであれば殆ど問題ない(無視してよい)。一方、距離dが正確に5mでない場合には、給電線l1 の値を修正する必要がある。
即ち、前記の各値で当該反射波防止アンテナが正常に動作するようになっていたとする。ところが、ステップ5及び6における左右及び上下方向の独立した方向調整の後、距離dを計測したら、本来の値dよりもZだけ増加していたとするならば、給電線l1 をその分長くしなければならない。これを図31に示す。一方、距離dが本来の値よりもZだけ減少していたとするならば、給電線l1 をその分短くしなければならない。これを図32に示す。
今、距離dを計測したら、図33に示すように、設計の時点で5mの予定であったものが4.976mであったとする。この場合、本発明に従って給電線l1 を短くしなければならない。即ち、修正後の給電線l1 の新たな長さはl1 =9.537−(5−4.976)×0.91=9.515mとなる。
ステップ8;次に、スイープ波による方向調整を行う。図25は、H11=63.2m、H12=67.82m、d=5m、K=4/3の時のl1 =9.537m及び9.5mについての2248.5MHzを中心として−180MHz〜+140MHzの範囲の計算による受信電界を示す。この時、前述のように、ld2 −L2 =1.197m、ld1 −L1 =1.112mである。平均の経路差は1.1545mとなる。この長さの時のスイープ波のピッチ周波数は259.85MHzであり、これは図25のl1 =9.5mの時のピッチ周波数と略一致する。反射波の経路差が(1/2)λでない場合の反射波防止アンテナは、反射波存在区間の1個のアンテナとほぼ同等となる。従って、スイープ波により受信電界を測定すれば、経路差に相当するピッチ周波数の存在を知ることができる。
ステップ5、6及び7において、水平及び上下方向を独立に方向調整し、距離dを計測し、給電線l1 の正確な値を算出したら、反射波防止アンテナを構成する。そして、この後スイープ波により方向調整を行う。この時、スイープ波の幅は、前述のように、予め算出した経路差のピッチ周波数の幅でなくてはならない。なお、確実のためには、当該幅に±15MHzを加えればよい。ピッチ周波数内の電界偏差は、ピークツーピーク(P−P)で3〜5dBあれば電気長の調整が良好であるとみることができる。
この偏差が当該値以上である場合には、給電線l1 の長さの調整を行う。即ち、図4(C)に示すように、給電線l1 の長さを5mm単位で変化させ、図25の特性がよりよいフラットを有するように近づける。ここに、フラットとは、前記ステップ3において述べた測定系送受の折り返し特性に近い特性をいう。当該折り返し特性が左下がりなら、その左下がりの特性と同様の特性がフラットの特性である。ピッチ周波数内の電界偏差がP−Pで3〜5dBの中に入っていたとしても、給電線l1 の長さ調整により偏差が更に小さくなるのであれば、再度、給電線l1 の長さを調整する。
なお、経路差が短い場合、大幅のスイープ測定が困難となることがある。例えば、SGの出力が大幅な周波数特性を持ってしまう場合や送受の折り返した単体の測定系の周波数特性が無視できなくなってしまう場合等である。この場合、スイープの幅を2分割又は3分割等して測定を行えばよい。
また、他の区間や他の企業のマイクロ回線等に大きなスイープ波が妨害を与えるようであれば、点々法により電界を測定するようにしてもよい。この時、経路差分の幅の周波数を互いに連絡を取りながら、他の使用周波数帯の隙間を利用して各周波数を測定すればよい。
以上説明したように、本発明によれば、アンテナに入射する反射波の経路長、給電線の長さ、アンテナに入射する電波の波長、給電線における波長短縮率を考慮した、Kタイプのフェージングを防止した反射波防止アンテナを提供することができ、アンテナの方向調整を容易にすることができる。
本発明の原理説明図である。 本発明の原理説明図である。 反射波防止アンテナ構成図である。 反射波防止アンテナ構成図である。 受信電界の計算説明図である。 受信電界の計算説明図である。 受信電界の計算説明図である。 Kの変動幅説明図である。 電界変動説明図である。 電界変動説明図である。 電界変動説明図である。 電界変動説明図である。 電界変動説明図である。 電界変動説明図である。 スイープ波の電界変動説明図である。 スイープ波の電界変動説明図である。 スイープ波の電界変動説明図である。 スイープ波の電界変動説明図である。 スイープ波の電界変動説明図である。 スイープ波の電界変動説明図である。 スイープ波の電界変動説明図である。 電界変動説明図である。 スイープ波の電界変動説明図である。 スイープ波の電界変動説明図である。 スイープ波の電界変動説明図である。 方向調整の説明図である。 方向調整の説明図である。 方向調整の説明図である。 方向調整の説明図である。 方向調整の説明図である。 方向調整の説明図である。 方向調整の説明図である。 方向調整の説明図である。 従来技術説明図である。
符号の説明
1 SDアンテナ
2 受信アンテナ
3、4 給電線
5 合成器
6 電気長調整手段
7 PAD

Claims (2)

  1. 送信パラボラアンテナからの電波を受信するよう設けられて、いずれか上下に配置された第1のパラボラアンテナ及び第2のパラボラアンテナと、
    前記第1のパラボラアンテナ及び第2のパラボラアンテナの受信出力電力を合成して当該反射波防止アンテナの受信出力電力を出力する合成器と、
    前記合成器と前記第1のパラボラアンテナとの間を接続する第1の給電線と、
    前記合成器と前記第2のパラボラアンテナとの間を接続する第2の給電線とを備えた反射波防止アンテナであって、
    前記第1のパラボラアンテナと前記第2のパラボラアンテナとの波面を異ならせて当該第1のパラボラアンテナの側の波面を前記送信パラボラアンテナにより近くし、かつ、前記第1のパラボラアンテナと前記第2のパラボラアンテナとの間の高低差を受信電波の波長の1/2以外の値とし、
    前記第1の給電線又は前記第2の給電線と前記合成器との間に電気長調整用の手段を備え、
    前記第1の給電線の長さを前記第2の給電線の長さよりも大とし、
    前記第2の給電線が前記合成器に至る間に伝搬損失調整用の手段を備えると共に、
    大地反射波が前記送信パラボラアンテナから前記第1のパラボラアンテナに入射して前記合成器に達するまでの当該大地反射波の全経路の経路長と、大地反射波が前記送信パラボラアンテナから前記第2のパラボラアンテナに入射して前記合成器に達するまでの当該大地反射波の全経路の経路長との差を、受信電波の波長の1/2に設定した
    ことを特徴とする反射波防止アンテナ。
  2. 送信パラボラアンテナからの電波を受信するよう設けられて、いずれか上下に配置されたSDパラボラアンテナ及び受信パラボラアンテナと、
    前記SDパラボラアンテナ及び受信パラボラアンテナの受信出力電力を合成して当該反射波防止アンテナの受信出力電力を出力する合成器と、
    前記合成器と前記SDパラボラアンテナとの間を接続する給電線であって、前記合成器に対して長さの固定された第1の給電線と、
    前記合成器と前記受信パラボラアンテナとの間を接続する給電線であって、前記合成器に対して長さの固定された第2の給電線と、
    前記第1の給電線又は前記第2の給電線と前記合成器との間にこれらの間を接続するように設けられた電気長調整用の手段とを備え、
    前記SDパラボラアンテナ及び受信パラボラアンテナの波面を異ならせ、かつ、前記SDパラボラアンテナ及び受信パラボラアンテナの間の高低差を受信電波の波長の1/2以外の値とすることにより、前記受信パラボラアンテナの位置を前記SDパラボラアンテナの位置よりも高くし、前記受信パラボラアンテナの波面を前記SDパラボラアンテナの波面よりも前記合成器に近くし、前記第1の給電線の長さを前記第2の給電線の長さよりも長くし、前記第2の給電線と前記合成器との間に伝搬損失調整用の手段とを備える反射波防止アンテナの方向調整方法であって、
    前記第1の給電線又は前記第2の給電線を前記合成器に対して所定の距離を隔てて固定し、
    前記電気長調整用の手段として、受信電波の波長から定まる所定の長さずつその長さの異なる同軸線を複数本予め用意し、
    当該複数本の同軸線の内から、大地反射波が前記送信パラボラアンテナから前記SDパラボラアンテナに入射して前記合成器に達するまでの当該大地反射波の全経路の経路長と大地反射波が前記送信パラボラアンテナから前記受信パラボラアンテナに入射して前記合成器に達するまでの当該大地反射波の全経路の経路長との差を、受信電波の波長の1/2にするように選択された同軸線を接続する
    ことを特徴とする反射波防止アンテナの方向調整方法。
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