以下、本発明の一実施形態に係る印刷装置1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、図1の左上方、右下方、左下方、右上方、上方、および下方を、それぞれ、印刷装置1の左方、右方、前方、後方、上方、および下方とする。
図1および図2を参照し、印刷装置1の概略構造を説明する。印刷装置1は、インクリボン(図示略)を介して、文字、記号等を含むキャラクタを印刷媒体に印刷する装置である。本実施形態の印刷媒体は、長尺筒状のチューブ9(図3参照)である。インクリボンは、リボンカセット90(図2参照)に収納されている。チューブ9として、大径チューブ、小径チューブ等が挙げられる。大径チューブの外径は、印刷装置1が印刷可能な外径範囲の中で最も大きい。小径チューブの外径は、印刷装置1が印刷可能な外径範囲の中で最も小さい。印刷媒体は、他の種類、形状等でもよい。
図1および図2に示すように、印刷装置1は筐体10を備える。筐体10は、本体ケース11およびケースカバー12を含む。本体ケース11は左右方向に長い直方体状である。本体ケース11は、ケース部111および装着カバー112(図2参照)を含む。ケース部111は、上方に開口する箱状である。装着カバー112は、ケース部111の開口を上方から覆う板状である。装着カバー112は、装着面113(図2参照)を有する。装着面113は、装着カバー112の上面を形成する。
ケースカバー12は、左右方向に長い板状である。ケースカバー12は、本体ケース11の上側に配置される。ケースカバー12は、一対のヒンジ部3L,3R(図2参照)によって、全開位置(図2参照)と全閉位置(図1参照)との間を、所定位置(図9の状態B参照)を経由して回動可能に支持される。全開位置にあるケースカバー12は、本体ケース11に対して開かれる。つまり、ケースカバー12が全開位置にある場合、装着面113の全体が上方へ露出する。全閉位置にあるケースカバー12は、本体ケース11に対して閉じられる。つまり、ケースカバー12が全閉位置にある場合、装着面113の全体がケースカバー12によって上方から覆われる。以下の説明では、ケースカバー12が全閉位置にある場合を基準として印刷装置1の構造を説明する。
図2に示すように、ヒンジ部3Lは、筐体10の後端部のうち、左端部近傍に配置される。ヒンジ部3Rは、筐体10の後端部のうち、右端部近傍に配置される。一対のヒンジ部3L,3Rは、それぞれ、凹部4L,4Rおよび延出部5L,5R(図4参照)を含む。凹部4Lは、本体ケース11の後上端部のうち左端部近傍から下方に凹む。凹部4Lは、左右方向に延びる軸部41L(図3参照)を底面近傍に備える。凹部4Rは、本体ケース11の後上端部のうち右端部近傍から下方に凹む。凹部4Rは、左右方向に延びる軸部41R(図3参照)を底面近傍に備える。軸部41L,41Rは同軸上にある。延出部5Lは、ケースカバー12の後端部のうち左端部近傍から、下方に延出する。延出部5Rは、ケースカバー12の後端部のうち右端部近傍から、下方に延出する。延出部5L,5Rの下端部は、それぞれ、軸部41L,41Rに回転可能に係合する。一対のヒンジ部3L,3Rの第三軸線P3(図9参照)は、軸部41L,41Rの中心を通る。第三軸線P3は、装着面113よりも下方で装着面113と平行(左右方向)に延びる。
ケースカバー12は、軸部41L,41Rを中心に、本体ケース11に対して開方向A1に回動した場合、全閉位置から所定位置を経由して全開位置まで回動する。開方向A1は、軸部41L,41Rを中心とした左側面視で反時計回り方向である。ケースカバー12は、軸部41L,41Rを中心に、本体ケース11に対して閉方向A2に回動した場合、全開位置から所定位置を経由して全閉位置まで回動する。閉方向A2は、開方向とは反対方向である。以下、ケースカバー12が全開位置から所定位置を経由して全閉位置まで回動する過程を、閉塞過程という。ケースカバー12が全閉位置から所定位置を経由して全開位置まで回動する過程を、開放過程という。ケースカバー12は、対向面123を有する。対向面123は、装着面113と開方向A1および閉方向A2に対向する。すなわち、対向面123は、装着面113に上方から対向する。
図1および図2に示すように、本体ケース11の前端部上側には、ロック機構13が設けられる。ロック機構13は、本体ケース11の左右方向の中央部に配置される。ロック機構13は、全閉位置にあるケースカバー12の前端部に係止することで、ケースカバー12の開放を規制する。
本体ケース11の側面には、操作部17、挿入口15、および排出口16(図2参照)が設けられる。操作部17は、電源ボタンおよびスタートボタンを含む。操作部17は、本体ケース11の前面の右側上部に設けられる。
挿入口15は、チューブ9を筐体10の内部に案内する開口縁部である。挿入口15は、本体ケース11の右面の後側上部に設けられる。挿入口15は、上下方向に長い矩形状である。排出口16は、チューブ9を本体ケース11から外部に排出する開口縁部である。排出口16は、本体ケース11の左面の後側上部に設けられる。排出口16は、挿入口15よりも若干前側にある。排出口16は、上下方向に長い矩形状である。
図3を参照し、装着溝40、印刷部60、切断部22等の構造を説明する。装着溝40には、チューブ9が着脱可能に装着される。装着溝40は、装着面113に設けられる。装着溝40は、上方に開口する溝部である。装着溝40は、挿入口15から排出口16まで左前側に傾いて略左右方向に延びる。挿入口15から排出口16に向けて装着溝40が延びる方向を、搬送方向という。搬送方向は、上下方向と直交する。後述の領域S3では、装着溝40は第三軸線P3(図9参照)が延びる方向(左右方向)と平行に延びる。すなわち、領域S3における搬送方向は、第三軸線P3が延びる方向と平行である。装着溝40は、底壁401と、一対の側壁402,403とを含む。側壁402は、底壁401の後端部から上方に延びる。側壁403は、底壁401の前端部から上方に延びる。一対の側壁402,403は、上下方向において第三軸線P3を跨いで形成される(図9参照)。以下、一対の側壁402,403が互いに対向する装着溝40の幅方向を、溝幅方向という。
装着溝40の幅L1(図9参照)は、大径チューブの外径よりも大きい。装着溝40の幅L1は、溝幅方向における一対の側壁402,403の間の距離である。ユーザは、チューブ9を、挿入口15から排出口16の搬送方向上流側まで延びるように、装着溝40に装着する。装着溝40に装着されたチューブ9は、搬送方向上流側から下流側に搬送される。
底壁401には、上下方向に貫通する複数の開口部113A〜113Dが設けられる。開口部113A〜113Dは、搬送方向下流側から順に配置される。底壁401は、挿入口15から排出口16まで断続的に搬送方向に延びる。
印刷部60では、チューブ9へのキャラクタの印刷が行われる。印刷部60は、リボン装着部30、印刷ヘッド61、リボン巻取軸63、搬送ローラ65〜69、搬送モータ(図示略)、ヘッドモータ(図示略)等を備える。
リボン装着部30は、上方に開口する凹部である。リボン装着部30は、平面視でリボンカセット90と対応する開口形状で形成される。リボン装着部30は、装着面113の左部、かつ、装着溝40の前側に設けられる。リボン装着部30と装着溝40とは、互いに交差するリボン装着部30の後部において空間的に繋がっている。リボン装着部30には、リボンカセット90が着脱可能に装着される。リボンカセット90は、インクリボンを収容可能な平面視で矩形状の箱状体である。
印刷ヘッド61およびリボン巻取軸63は、リボン装着部30の底面から上方に向けてそれぞれ立設される。印刷ヘッド61は、リボン装着部30の後部に設けられる。印刷ヘッド61は、発熱体(図示略)を備えるサーマルヘッドである。印刷ヘッド61は、インクリボンを介して、装着溝40に装着されたチューブ9に印刷を行う。リボン装着部30にリボンカセット90が装着されると、リボン巻取軸63が、リボンカセット90に設けられたリボン巻取スプール90Aに挿入される。リボン巻取軸63は、リボン巻取スプール90Aを回転させる。
各搬送ローラ65〜69は、装着溝40に装着されたチューブ9を搬送方向に沿って搬送する。搬送ローラ65は、開口部113Cを貫通する位置に設けられる。搬送ローラ65は、装着溝40を挟んで印刷ヘッド61に対向する。搬送ローラ66は、開口部113Dを貫通する位置に設けられる。搬送ローラ66は、装着溝40の後側、かつ、搬送ローラ65の搬送方向上流側にある。搬送ローラ67は、開口部113Bを貫通する位置に設けられる。搬送ローラ67は、装着溝40の後側、かつ、搬送ローラ65の搬送方向下流側にある。各搬送ローラ65〜67は、平面視で時計回り方向に回転可能である。
搬送ローラ68は、開口部113Dを貫通する位置に設けられる。搬送ローラ68は、装着溝40を挟んで搬送ローラ66に対向する。搬送ローラ69は、開口部113Bを貫通する位置に設けられる。搬送ローラ69は、装着溝40を挟んで搬送ローラ67に対向する。各搬送ローラ68,69は、平面視で反時計回り方向に回転可能である。搬送ローラ65〜69のうち、搬送ローラ66,68が最も搬送方向上流側にある。搬送ローラ65〜69のうち、搬送ローラ67,69が最も搬送方向下流側にある。搬送モータは、本体ケース11の内部に設けられる。搬送モータは、搬送ローラ65〜69およびリボン巻取軸63と連結する。搬送モータは、搬送ローラ65〜69およびリボン巻取軸63を回転駆動する。
搬送ローラ68,69は、それぞれ、印刷位置と非印刷位置とに変位可能である。図3では、非印刷位置にある搬送ローラ68,69が実線で示されている。印刷位置にある搬送ローラ68,69が二点鎖線で示されている。印刷位置にある搬送ローラ68,69は、それぞれ、装着溝40に装着されたチューブ9を挟んで搬送ローラ66,67に近接する。非印刷位置にある搬送ローラ68,69は、それぞれ、搬送ローラ66,67から離隔する。非印刷位置にある搬送ローラ68,69は、それぞれ、印刷位置にある搬送ローラ68,69よりも前側に位置する。装着面113の後部に設けられた凹部114には、搬送ローラ68,69を印刷位置と非印刷位置とに変位させるリリースレバー71が配置される。凹部114は、左右方向に延びる。リリースレバー71が正面視で反時計回り方向に回動することで、搬送ローラ68,69が非印刷位置から印刷位置に変位する。一方、リリースレバー71が正面視で時計回り方向に回動することで、搬送ローラ68,69が印刷位置から非印刷位置に変位する。この場合、リリースレバー71は、凹部114に収納される。
ヘッドモータは、本体ケース11の内部に設けられる。ヘッドモータは印刷ヘッド61と連結する。ヘッドモータは、印刷ヘッド61を駆動する。ヘッドモータによって駆動された印刷ヘッド61は、印刷位置と非印刷位置とに変位する。図3では、非印刷位置にある印刷ヘッド61が実線で示されている。印刷位置にある印刷ヘッド61が二点鎖線で示されている。印刷位置にある印刷ヘッド61は、搬送ローラ65との間でチューブ9を挟み込む。非印刷位置にある印刷ヘッド61は、搬送ローラ65から離隔する。非印刷位置にある印刷ヘッド61は、装着溝40よりも前側に配置される。
印刷ヘッド61が非印刷位置にある状態で、リボン装着部30にリボンカセット90が装着されると、リボン巻取軸63はリボン巻取スプール90Aに挿入される。その後、ヘッドモータの駆動に伴って、印刷ヘッド61が印刷位置に変位する。印刷ヘッド61は、装着溝40に装着されたチューブ9と未使用のインクリボンとを重ねて、搬送ローラ65に向けて付勢する。このとき、付勢されるチューブ9は、扁平な状態に弾性変形する。扁平な状態のチューブ9は、インクリボンを介して印刷ヘッド61と面接触する。この状態で搬送モータが駆動すると、搬送ローラ65〜69およびリボン巻取軸63が回転する。これにより、チューブ9が搬送され、かつ、使用済みのインクリボンがリボン巻取スプール90Aに巻き取られる。
切断部22では、印刷後のチューブ9の切断が行われる。切断部22は、カッタ22A、受台22B、カットモータ(図示略)等を備える。カッタ22Aは、開口部113Aを貫通する位置に設けられる。カッタ22Aは、排出口16の近傍にある。カッタ22Aはチューブ9を切断する。受台22Bは、開口部113Aを貫通する位置に設けられる。受台22Bは、装着溝40を挟んでカッタ22Aに対向する。受台22Bには、切断するチューブ9が配置される。カットモータは、本体ケース11の内部に設けられる。カットモータはカッタ22Aを駆動する。カットモータによって駆動されたカッタ22Aは、受台22Bとの間でチューブ9を挟み込んで切断する。切断部22で切断されたテープは、排出口16から筐体10の外部へと排出される。
本体ケース11の内部には、制御基板(図示略)および電源部(図示略)等が設けられる。制御基板は、CPU、ROM、RAM等が設けられた基板であり、印刷装置1の各種動作を制御する。例えば制御基板は、印刷部60による印刷動作、切断部22による切断動作を制御する。印刷動作では、印刷部60は、チューブ9にキャラクタの印刷を行う。切断動作では、切断部22は、印刷後のチューブ9の切断を行う。制御基板は、本体ケース11の内部における右後部に設けられ、かつ上下方向および左右方向に延びる。電源部は、印刷装置1に電源を供給する。電源部は、本体ケース11内に装着された電池(図示略)に接続され、またはコードを介して外部電源(図示略)に接続される。電源部は、制御基板の前側に設けられる。
図4〜図8を参照し、第一押圧部85、第二押圧部86、およびカバー部50の構造を説明する。図4および図5に示すように、第一押圧部85は、対向面123の右後部に配置される。ケースカバー12が全開位置にあるとき、第一押圧部85は、装着溝40から退避している(図2参照)。この場合、第一押圧部85は、装着溝40に装着されたチューブ9から離隔する。ケースカバー12が全閉位置にあるとき、第一押圧部85は、装着溝40に進入している(図5参照)。詳細には、第一押圧部85は、領域S1に進入している(図3参照)。領域S1は、搬送方向において、搬送ローラ66,68と挿入口15との間に配置される。
第一押圧部85は、アーム部851、ローラ852、およびトーションばね853を備える。アーム部851は、平面視で搬送方向と平行に延びる矩形状である。アーム部851の搬送方向上流側の端部851Aは、支持壁124によって軸部854を中心に回動可能に支持される。支持壁124は、対向面123から下方に延出する。軸部854は溝幅方向と平行に延びる。ローラ852は、アーム部851の搬送方向下流側の端部851Bにおいて、図5の正面視で時計回り方向および反時計回り方向に回転可能に支持される。
トーションばね853は、コイル部およびコイル部から径外側に延設された一対の係止部を有する。トーションばね853の一方の係止部は、アーム部851に係止される。トーションばね853の他方の係止部は、ケースカバー12に係止される。トーションばね853は、アーム部851を下方(正面視で反時計回り方向)に回転させるように付勢する。
図4および図6に示すように、第二押圧部86は、対向面123において、第一押圧部85と後述のカバー部50との間に配置される。ケースカバー12が全開位置にあるとき、第二押圧部86は、装着溝40から退避している(図2参照)。この場合、第二押圧部86は、装着溝40に装着されたチューブ9から離隔する。ケースカバー12が全閉位置にあるとき、第二押圧部86は、装着溝40に進入している。詳細には、第二押圧部86は、領域S2に進入している(図3参照)。領域S2は、搬送方向において、印刷ヘッド61と搬送ローラ67,69との間に配置される。
第二押圧部86は、支持部861、移動部862、ローラ863、および押しばね864(図6参照)を備える。支持部861は対向面123に設けられる。支持部861は、下方に開口する箱状である。移動部862は、上方および下方に開口する。移動部862は、支持部861内にて、上下方向に移動可能に支持される。移動部862の下端部は、支持部861の開口から下方に突出する。ローラ863は、移動部862の下端部において、図6の正面視で時計回り方向および反時計回り方向に回転可能に支持される。
押しばね864は、支持部861の内部に設けられる。押しばね864の一方の端部は、支持部861の底面に固定される。押しばね864の他方の端部は、移動部862の底面に固定される。押しばね864は、移動部862を下方に付勢する。
図4および図7に示すように、カバー部50は、対向面123の左後部に配置される。カバー部50は、揺動部材500、押しばね550等を備える。揺動部材500は、平面視で前後方向に長い略矩形状の板状である。揺動部材500は、第一部位501、第二部位502、および第三部位503を有する。第一部位501は、揺動部材500の前後方向の略中央部である。第二部位502は、揺動部材500の後端部である。第三部位503は、揺動部材500の前端部である。第一部位501、第二部位502、および第三部位503は、それぞれ、左右方向に延びる。第三軸線P3から第二部位502までの距離T2は、第三軸線P3から第一部位501までの距離T1よりも短い(図9参照)。第三軸線P3から第三部位503までの距離T3は、距離T1よりも長い(図9参照)。すなわち、第二部位502は、第三軸線P3を基準として第一部位501よりも近い位置にある。第三部位503は、第三軸線P3を基準として第一部位501よりも遠い位置にある。
第一部位501は、対向面123に設けられた一対の第一支持部126(図4参照)に回転可能に支持される。一対の第一支持部126は、対向面123の左後部から下方に延出する。一対の第一支持部126は、互いに左右方向に対向する。第一部位501は、一対の突起部501A(図7参照)を含む。一対の突起部501Aは、それぞれ、第一部位501のうち、揺動部材500の前後両側面よりも外側に突出する部位である。一対の突起部501Aは同軸上にある。一対の突起部501Aは、それぞれ、一対の第一支持部126の互いに対向する面に設けられた一対の凹部(図示略)に、回転可能に支持される。第一部位501の第四軸線P4(図7参照)は、一対の突起部501Aのそれぞれの中心を通る。第四軸線P4は、装着面113に対して第三軸線P3とは反対側で、装着面113と平行に延びる。本実施形態では、第四軸線P4は、第三軸線P3と平行に延びる。つまり、第一部位501の軸線方向は、一対のヒンジ部3L,3Rの軸線方向と平行である。
第三部位503は、一対の延出部503Aを有する。一対の延出部503Aは、第三部位503のうち、揺動部材500の左端部の前部から下方および左方に延びる部位である。一対の延出部503Aは、互いに前後方向に対向する。
揺動部材500は、一対の突起部501Aを中心に、第一揺動方向R1および第二揺動方向R2に揺動する。第一揺動方向R1は、一対の突起部501Aを中心とした左側面視で反時計回り方向である。すなわち、第一揺動方向R1は、第三部位503が対向面123に接近する方向である。第二揺動方向R2は、第一揺動方向R1とは反対方向である。揺動部材500は、第一揺動位置(図9の状態C、状態D参照)と第二揺動位置(図9の状態A、状態B参照)との間を、ケースカバー12に対して揺動可能である。揺動部材500が第一揺動位置にある場合、第三部位503が対向面123から離隔する(図9の状態C、状態D参照)。第二揺動位置にある揺動部材500は、第一揺動位置にある揺動部材500よりも第一揺動方向R1に揺動した位置にある(図9の状態A、状態B参照)。本実施形態では、揺動部材500が第二揺動位置にある場合、対向面123が第一揺動方向R1から第三部位503に当接する。
押しばね550は、第一部位501よりも後側、かつ対向面123と揺動部材500との間に設けられる。押しばね550の一端は、対向面123に固定される。押しばね550の他端は、揺動部材500の上面に固定される。押しばね550は、押しばね550の軸線方向に押しつぶされた状態で両端が固定される。押しばね550は、揺動部材500を第一揺動方向R1へ付勢する。対向面123が第一揺動方向R1から第三部位503に当接することで、揺動部材500は、第二揺動位置よりも第一揺動方向R1に揺動することが規制される。
第二部位502には、接触部510が設けられる。接触部510は、第二部位502から第一揺動方向R1(略下方)に突出する。接触部510は、第二部位502の左端から右端まで左右方向に延びる。接触部510は、側面視で円形状である。接触部510は、閉塞過程および開放過程で、離隔位置(図9の状態A参照)と接触位置(図9の状態B〜状態D参照)との間を移動可能である。離隔位置にある接触部510は、本体ケース11(凸部115)から開方向A1に離隔する。接触位置にある接触部510は、装着面113から上方に突出する凸部115(図2参照)に、開方向A1から接触する。凸部115は受台22Bの後側に配置される。凸部115は接触部510と平行(左右方向)に延びる。凸部115は、装着面113と一体的に形成される。凸部115は、側面視で半円状である。
図7および図8に示すように、第三部位503には、媒体押さえ部520が設けられる。媒体押さえ部520は、左側面視で装着溝40に沿った略矩形状である。媒体押さえ部520は、装着溝40に進入することで、本体ケース11から排出口16を介して装着溝40に異物が入りこむことを抑制する。媒体押さえ部520は、排出口16の近傍にて、チューブ9の搬送経路を塞ぐ待機位置(図7、図8参照)を含む範囲を、揺動部材500に対して回動可能である。媒体押さえ部520は、待機位置から回動すると、チューブ9の搬送経路を開放する。図8では、待機位置にある媒体押さえ部520が実線で示されている。待機位置から回動した媒体押さえ部520が二点鎖線で示されている。以下の説明では、待機位置にある媒体押さえ部520を基準として説明する。
媒体押さえ部520は、第二支持部521とローラ522とを備える。第二支持部521は、下方に対してやや左方に傾斜する方向に延びる。第二支持部521は、上方および下方に開口する。第二支持部521は、一対の延出部503Aの間に配置される。第二支持部521の上端部は、一対の延出部503Aによって、軸部503Bを中心に回動可能に支持される。軸部503Bは前後方向に延びる。媒体押さえ部520は、軸部503Bを中心に、第一回動方向B1および第二回動方向B2に回動する。第一回動方向B1は、軸部503Bを中心とした図8の正面視で時計回り方向である。第二回動方向B2は、第一回動方向とは反対方向である。媒体押さえ部520の第二軸線P2は、軸部503Bの中心を通る。第二軸線P2は、ケースカバー12が全閉位置にある場合に、溝幅方向と平行に延びる。
図8に示すように、第二支持部521は、規制端部521Cを有する。規制端部521Cは、第二支持部521の右上端部(つまり、搬送方向上流側の上端部)である。規制端部521Cは、前後方向に延びる。第三部位503の下面には、下方に突出する回動規制部503Cが設けられる。回動規制部503Cは、規制端部521Cと平行(前後方向)に延びる。
媒体押さえ部520の重心は、第二軸線P2よりも搬送方向下流側に配置される。このため、媒体押さえ部520には、第二回動方向B2に力が作用している。規制端部521Cは、第二回動方向B2から回動規制部503Cと当接する。これにより、媒体押さえ部520は、上記した自身の重心による力の作用によって、待機位置よりも第二回動方向B2(搬送方向上流側)に回動することが規制される。つまり、規制端部521Cが回動規制部503Cと当接している場合、媒体押さえ部520は待機位置に位置する。待機位置にある媒体押さえ部520は、排出口16に近接し、かつ底壁401と上下方向に対向する。
ローラ522は、第二支持部521の下側の開口に配置される。ローラ522は、第二支持部521の下端部によって、軸部521Aを中心に回転可能に支持される。軸部521Aは、前後方向に延びる。ローラ522は、軸部521Aを中心に、第一回転方向C1および第二回転方向C2に回転する。第一回転方向C1は、軸部521Aを中心とした図8の正面視で時計回り方向である。第二回転方向C2は、第一回転方向C1とは反対方向である。ローラ522の第一軸線P1は、軸部521Aの中心を通る。第一軸線P1は、第二軸線P2よりも搬送方向下流側、かつ下側において、第二軸線P2と平行に延びる。つまり、第一軸線P1は、ケースカバー12が全閉位置にある場合に、溝幅方向と平行に延びる。
媒体押さえ部520は、閉塞過程および開放過程で、退避位置(図9の状態A、状態B参照)と進入位置(図9の状態D参照)との間を移動可能である。ケースカバー12が全開位置にあるとき、媒体押さえ部520は退避位置にある。退避位置にある媒体押さえ部520は、装着溝40から開方向A1に退避する。退避位置にある媒体押さえ部520は、装着溝40に装着されたチューブ9から開方向A1に離隔する。ケースカバー12が全閉位置にあるとき、媒体押さえ部520は進入位置にある。進入位置にある媒体押さえ部520は、装着溝40に進入する。詳細には、進入位置にある媒体押さえ部520は、領域S3に進入している。領域S3は、搬送方向においてカッタ22Aと排出口16との間に配置される。すなわち、領域S3は、排出口16に近接する位置に配置される。進入位置にある媒体押さえ部520は、装着溝40に装着されたチューブ9に上方から接触可能である。領域S3にて、媒体押さえ部520が待機位置にある場合、ローラ522は底壁401に僅かな隙間を開けて上方から対向し、かつ排出口16に搬送方向上流側から対向する。
本実施形態では、第二支持部521の前端部から後端部までの長さが、溝幅方向における媒体押さえ部520の最大長さL2(図9の状態D参照)である。最大長さL2は、装着溝40の幅L1の半分以上であり、かつ幅L1よりも小さい(図9の状態D参照)。詳細には、最大長さL2は、装着溝40の幅L1よりもやや小さい。つまり、媒体押さえ部520は、溝幅方向において、側面視で装着溝40との間に僅かな隙間を有する。これにより、印刷装置1は、本体ケース11の外部から排出口16を介して装着溝40に異物が入り込むことを抑制している。
図2、図5、および図6を参照し、閉塞過程における第一押圧部85および第二押圧部86の動作を説明する。図2示すように、ケースカバー12が全開位置にあるとき、第一押圧部85および第二押圧部86は、装着溝40から退避している。この状態で、ユーザはチューブ9を、挿入口15から領域S3の搬送方向上流側まで延びるように、装着溝40に装着する。この場合、第一押圧部85および第二押圧部86は、装着溝40に装着されたチューブ9から離隔している。その後、ユーザは、ケースカバー12を閉方向A2に回動することで本体ケース11に対して閉じる。第一押圧部85および第二押圧部86は、閉塞過程で装着溝40に開方向A1から進入する。
図5および図6に示すように、ケースカバー12が全開位置から所定位置を経由して全閉位置に回動するまでの間に、第一押圧部85および第二押圧部86は、装着溝40に進入する。詳細には、第一押圧部85および第二押圧部86は、それぞれ、領域S1,S2に進入する(図3参照)。
ケースカバー12が全閉位置にある場合、第一押圧部85および第二押圧部86は、それぞれ、装着溝40に装着されたチューブ9を下方に押圧する。詳細には、第一押圧部85では、ケースカバー12の回動に伴って、ローラ852がチューブ9に上方から接触する。トーションばね853が弾性変形し、アーム部851が図5の正面視で時計回り方向に回転する。トーションばね853は、アーム部851を下方(正面視で反時計回り方向)に回転させるように付勢する。このため、ローラ852は、装着溝40に装着されたチューブ9を下方に押圧する。第二押圧部86では、ケースカバー12の回動に伴って、ローラ863がチューブ9に上方から接触する。押しばね864が弾性変形し、移動部862が上方に移動する。押しばね864は、移動部862を下方に付勢する。このため、ローラ863は、装着溝40に装着されたチューブ9を下方に押圧する。これにより、チューブ9は底壁401に沿って装着されるため、装着溝40へのチューブ9の装着状態が安定する。チューブ9は第一押圧部85および第二押圧部86によって押圧されることで、弾性変形してもよい。第一押圧部85および第二押圧部86は、開放過程で装着溝40から開方向A1に退避する。
図9を参照し、閉塞過程におけるカバー部50の動作を説明する。ユーザは、ケースカバー12が全開位置にある状態で、チューブ9を、挿入口15から領域S3の搬送方向上流側まで延びるように、装着溝40に装着する。その後、ユーザは、ケースカバー12を閉方向A2に回動することで本体ケース11に対して閉じる。ケースカバー12は、全開位置から所定位置を経由して全閉位置まで回動する。以下の説明では、接触部510、揺動部材500、および媒体押さえ部520を総称する場合、各部材という。
ケースカバー12が全開位置にあるとき、各部材は状態Aにある。詳細には、接触部510が離隔位置にある。揺動部材500が第二揺動位置にある。媒体押さえ部520が退避位置にある。ケースカバー12が所定位置にあるとき、各部材は状態Bにある。詳細には、接触部510が接触位置にある。揺動部材500が第二揺動位置にある。媒体押さえ部520が退避位置にある。ケースカバー12が所定位置と全閉位置との間の位置にあるとき、各部材は状態Cにある。詳細には、接触部510が接触位置にある。揺動部材500が第一揺動位置と第二揺動位置との間にある。媒体押さえ部520が退避位置と進入位置との間にある。ケースカバー12が全閉位置にあるとき、各部材は状態Dにある。詳細には、接触部510が接触位置にある。揺動部材500が第一揺動位置にある。媒体押さえ部520が進入位置にある。閉塞過程では、各部材が状態A、状態B、状態C、状態Dの順に変位する。
以下、各部材の動作の詳細を説明する。閉塞過程において、ケースカバー12が全開位置(状態A参照)から所定位置(状態B参照)に回動する前までの間、接触部510が離隔位置にあるため、揺動部材500は第二揺動位置にある。すなわち、ケースカバー12が全開位置から所定位置に回動する前までの間、各部材はケースカバー12と一体的に回動する。換言すると、ケースカバー12が全開位置から所定位置に回動する前までの間、各部材はケースカバー12に対して停止している。従って、一対の突起部501A、接触部510、およびローラ522は、いずれも、ケースカバー12の回動に伴って、閉方向A2と平行に回動する。離隔位置にある接触部510は、凸部115に接近する。ケースカバー12が所定位置まで回動したときに、離隔位置にあった接触部510は接触位置まで移動する。このとき、媒体押さえ部520の後下端部(つまり、ローラ522の後下端部)は、装着溝40を形成する側壁402,403のうち、ヒンジ部3L,3Rとの距離が近い側壁402よりも前方、かつ上方に位置する。媒体押さえ部520の後下端部は、装着溝40を形成する側壁402,403のうち、ヒンジ部3L,3Rとの距離が遠い側壁403よりも後方、かつ上方に位置する。
閉塞過程において、ケースカバー12が所定位置(状態B参照)から全閉位置(状態D参照)に回動するまでの間、接触部510は接触位置にある。揺動部材500は、第二揺動位置から第二揺動方向R2にケースカバー12に対して揺動する。詳細には、接触位置にある接触部510が、ケースカバー12の回動に伴って、凸部115上を乗り越えるように前方に摺動する(状態C参照)。この場合、凸部115が接触部510を上方に押圧するため、揺動部材500は押しばね550の付勢力に抗って第二揺動位置から第二揺動方向R2に揺動する。接触部510は、第二部位502から第一揺動方向R1に突出している。このため、例えば揺動部材500のいずれの部位も装着面113等に接触することなく、接触部510は凸部115上を摺動する。従って、揺動部材500の揺動が安定する。
本実施形態では、揺動部材500が第二揺動位置から第二揺動方向R2に揺動すると、退避位置にあった媒体押さえ部520のローラ522が装着溝40に進入し始める。つまり、各部材が状態Bから状態Cに変位する間に、ローラ522が装着溝40に進入し始める。ケースカバー12が全閉位置まで回動したとき、揺動部材500は第一揺動位置まで揺動する。媒体押さえ部520は進入位置まで移動する。
図10を参照し、閉塞過程においてローラ522の中心が通過する軌跡を説明する。各部材が状態Aから状態Bに変位する場合、ローラ522の中心は軌跡X1上を通過する。カバー部50が状態Bから状態Dに変化する場合、ローラ522の中心は、軌跡X2を通過する。ローラ522の中心の軌跡は、軌跡X1から軌跡X2に点Qで切り替わる。仮想線Kは、一対の側壁402,403の上端を結ぶ。仮想軌跡X3は、軌跡X1を点Qから仮想線Kまで延長した仮想の円弧である。
ケースカバー12が全開位置から所定位置に回動するまでの間、各部材はケースカバー12に対して停止している。この場合、ローラ522は、ケースカバー12の回動に伴って、第三軸線P3を中心に回動する。従って、軌跡X1は、第三軸線P3の前上方で、開方向A1および閉方向A2と平行に延びる。仮想軌跡X3は、点Qから仮想線Kまで開方向A1および閉方向A2と平行に延びる。
ケースカバー12が所定位置から全閉位置に回動するまでの間、揺動部材500はケースカバー12に対して第二揺動方向R2に揺動している。この場合、ローラ522は、ケースカバー12の回動に伴って、第三軸線P3を中心に回動し、かつ揺動部材500の揺動に伴って、第四軸線P4を中心に揺動する。従って、軌跡X2は、開方向A1および閉方向A2と交差する方向に延びる。すなわち、軌跡X2が仮想線Kとなす角度のうち90°以下の角度αは、仮想軌跡X3が仮想線Kとなす角度のうち90°以下の角度βよりも大きい。よって、媒体押さえ部520は、上方に近い方向から装着溝40に進入できる。
本実施形態では、接触部510が凸部115上を摺動する。これにより、接触部510が平坦な面を摺動する場合に比べ、ケースカバー12の回動量に対する第二揺動方向R2への揺動部材500の揺動量が大きくなる。すなわち、媒体押さえ部520は、装着溝40の開口に対して直交する方向または直交する方向に近い方向から装着溝40に進入できるため、装着溝40に接触しづらくなる。このため、媒体押さえ部520の最大長さL2をより大きく設定できる。これにより、媒体押さえ部520および揺動部材500は、左右方向に撓みにくくなる。
本実施形態では、第四軸線P4が延びる方向は、第三軸線P3が延びる方向と平行であり、かつ装着面113と平行である。さらに、領域S3にて、装着溝40は第三軸線P3と平行に延びる。すなわち、領域S3における搬送方向は、第三軸線P3が延びる方向と平行である。これにより、媒体押さえ部520は、第三軸線P3および装着面113に対して左右方向に移動しにくいため、安定して装着溝40に進入できる。開放過程におけるカバー部50の動作は、閉塞過程におけるカバー部50の動作と順序および動作方向が逆になるだけなので、説明を省略する。
図8を参照し、ケースカバー12が全閉位置にある場合の媒体押さえ部520の動作を、印刷部60による印刷動作と共に説明する。ケースカバー12が全閉位置にあるとき、媒体押さえ部520は進入位置にある。詳細には、進入位置にある媒体押さえ部520は、領域S3に進入している(図3参照)。チューブ9は、ユーザによって挿入口15から領域S3の搬送方向上流側まで延びるように、装着溝40に装着されている。このため、媒体押さえ部520は、進入位置にて、待機位置にある。例えば、異物が本体ケース11の外部から媒体押さえ部520に接触する場合がある。この場合、回動規制部503Cによって媒体押さえ部520が待機位置よりも第二回動方向B2へ回動することが規制される。従って、印刷装置1は、本体ケース11の外部から排出口16を介して装着溝40に異物が入り込むことを抑制できる。
先述したように、本実施形態の印刷装置1では、媒体押さえ部520の最大長さL2を従来よりも大きく設定できるため、装着溝40の溝幅方向を適切に塞ぐことができる。本実施形態では、媒体押さえ部520の最大長さL2が装着溝40の幅L1の半分以上であるため、少なくとも装着溝40の溝幅方向の半分以上を塞ぐことができる。従って、印刷装置1は、本体ケース11の外部から排出口16を介して装着溝に異物が入り込むことをより抑制できる。
ユーザは、ロック機構13によって全閉位置にあるケースカバー12の開放を規制する。ユーザは、操作部17を操作することで、印刷部60による印刷動作を印刷装置1に実行させる。印刷部60は、本体ケース11の内部に設けられた制御基板(図示略)の制御に従って、以下の印刷動作を実行する。印刷部60の搬送モータ(図示略)は、搬送ローラ65〜69およびリボン巻取軸63を回転させる。搬送ローラ65〜69の回転に伴って、装着溝40に装着されたチューブ9は、搬送方向下流側に搬送される。このとき、挿入口15から領域S3の搬送方向上流側まで延びるように、装着溝40に装着されたチューブ9は、第一押圧部85および第二押圧部86によって押圧されている。これにより、チューブ9が底壁401に沿って装着溝40に装着されているため、装着溝40へのチューブ9の装着状態が安定する。従って、印刷装置1は、チューブ9の適切な位置に印刷できる。さらに、チューブ9の搬送に伴って各ローラ852,863が回転するため、チューブ9の搬送状態が安定する。具体的には、チューブ9の搬送の滞り(ジャム)等が抑制される。
チューブ9が搬送方向に沿って搬送されると、筐体10の外部にある印刷前のチューブ9は、本体ケース11の右面から挿入口15を介して装着溝40に引き込まれる。リボン巻取軸63の回転に伴ってリボン巻取スプール90Aが回転することで、インクリボンがリボンカセット90の内部に収納されたリボンロール(図示略)から引き出される。
印刷ヘッド61は、引き出されたインクリボンを使用して、搬送されるチューブ9にキャラクタを印刷する。印刷ヘッド61は、印刷ヘッド61の後側を経由するチューブ9の前面にキャラクタを正像印刷する。使用済みのインクリボンは、リボン巻取スプール90Aに巻き取られる。印刷後のチューブ9は、搬送ローラ65〜69によって、印刷ヘッド61から搬送方向下流側に搬送される。
印刷後のチューブ9が搬送されると、チューブ9の搬送方向下流側の端部がローラ522に搬送方向上流側から接触する。これにより、チューブ9がローラ522を搬送方向下流側に押圧するため、待機位置にあった媒体押さえ部520が第一回動方向B1に回動する。この場合、ローラ522はチューブ9の上面に接触する。印刷後のチューブ9は、受台22Bに配置される。搬送モータの駆動が停止されることで、チューブ9の搬送が停止される。カットモータによってカッタ22Aが駆動される。受台22Bに配置されたチューブ9が、駆動されたカッタ22Aによって切断される。搬送モータの駆動が再開されることで、チューブ9の搬送が再開される。切断されたチューブ9(印刷後のチューブ9)は、印刷前のチューブ9に押し出される。これにより、切断されたチューブ9は排出口16を介して筐体10から排出される。
ローラ522は、チューブ9の搬送方向への搬送に伴って第二回転方向C2に回転する。印刷装置1は、搬送モータを制御することで、装着溝40に装着されたチューブ9を、搬送方向とは反対方向に搬送する機能を有する。ローラ522は、チューブ9の搬送方向とは反対方向への搬送に伴って第一回転方向C1に回転する。すなわち、チューブ9の搬送に伴ってローラ522が回転するため、チューブ9の搬送状態が安定する。具体的には、チューブ9の搬送の滞り(ジャム)等が抑制される。
印刷後のチューブ9の上側に配置されたローラ522は、自重でチューブ9を下方に押さえている。これにより、チューブ9が底壁401に沿って装着溝40に装着されているため、装着溝40へのチューブ9の装着状態が安定する。先述したように、本実施形態の印刷装置1では、媒体押さえ部520の最大長さL2を従来よりも大きく設定できるため、溝幅方向におけるローラ522の長さも大きく設定できる。このため、ローラ522は、チューブ9が小径チューブであっても上方から適切にチューブ9を押えることができる。従って、印刷装置1は、チューブ9の外径の大きさ関わらず、チューブ9の受台22Bへの配置位置を安定させることができるため、チューブ9の適切な位置を切断できる。
ユーザは、装着溝40のメンテナンスを行う場合がある。この場合、ユーザは、ケースカバー12を本体ケース11に対して開く。具体的には、ユーザは、ロック機構13を操作してケースカバー12の係止を解除する。次いで、ユーザは、ケースカバー12をロック機構13から開方向A1に回動させる。ケースカバー12が全閉位置から所定位置を経由して全開位置まで回動する。媒体押さえ部520は退避位置まで移動する。領域S3では装着溝40の開口が上方に露出する。従って、ユーザは装着溝40の領域S3で示す部位を容易にメンテナンスできる。
以上説明したように、ケースカバー12が全開位置にある場合には、媒体押さえ部520は退避位置にある。これにより、領域S3では装着溝40の開口が上方に露出するため、装着溝40のメンテナンス性が担保される。ケースカバー12が全開位置から所定位置に回動する前までの間、第三軸線P3から第三部位503までの距離T3は一定である。このため、軌跡X1および仮想軌跡X3は、開方向A1および閉方向A2と平行に延びる。これに対し、ケースカバー12が所定位置から全閉位置に回動するまでの間、一対の第一支持部126に回転可能に支持された第一部位501を中心に、揺動部材500が第二揺動位置から第一揺動位置に揺動する。この場合、ローラ522は、ケースカバー12の回動に伴って、第三軸線P3を中心に回動し、かつ揺動部材500の揺動に伴って、第四軸線P4を中心に揺動する。従って、軌跡X2は、開方向A1および閉方向A2と交差する方向に延びる。これにより、印刷装置1は、角度αを角度βよりも大きくできる。すなわち、媒体押さえ部520は、装着溝40の開口に対して直交する方向または直交する方向に近い方向から進入できるため、媒体押さえ部520が装着溝40に接触しづらくなる。このため、印刷装置1は、溝幅方向における媒体押さえ部520の最大長さL2を従来よりも大きく設定できる。すなわち、印刷装置1は、溝幅方向において媒体押さえ部520がチューブ9を押えることができる範囲を従来よりも大きく設定できる。印刷装置1は、装着溝40のメンテナンス性を担保しつつ、溝幅方向を適切に塞ぐことができる。
印刷装置1は、媒体押さえ部520の最大長さL2を従来よりも大きく設定できる。従って、媒体押さえ部520は、チューブ9が小径チューブであっても上方から適切にチューブ9を押えることができる。この場合、チューブ9は外径の大きさに関わらず、底壁401に沿って安定して装着溝40に装着される。従って、印刷装置1は装着溝40に装着されたチューブ9を安定して搬送できる。
媒体押さえ部520は、ローラ522を備える。ローラ522は、第二支持部521の下端部に回転可能に支持される。搬送中のチューブ9がローラ522に接触してもローラ522が回転するため、チューブ9の搬送が安定する。
媒体押さえ部520は、装着溝40のうち排出口16に近接する領域S3に進入する。従って、印刷装置1は、本体ケース11の外部から排出口16を介して装着溝40に異物が入り込むことを抑制できる。
揺動部材500は、回動規制部503Cを備える。例えば、異物が本体ケース11の外部から媒体押さえ部520に接触する場合がある。この場合、回動規制部503Cによって媒体押さえ部520が待機位置よりも第二回動方向B2へ回動することが規制される。従って、印刷装置1は、本体ケース11の外部から排出口16を介して装着溝40に異物が入り込むことを抑制できる。
装着面113は、凸部115を有する。このため、接触部510が凸部115に接触しない場合に比べ、ケースカバー12の回動量に対する第二揺動方向R2への揺動部材500の揺動量が大きくなる。すなわち、媒体押さえ部520は、装着溝40の開口に対して直交する方向または直交する方向に近い方向から進入できるため、装着溝40に接触しづらくなる。このため、溝幅方向における媒体押さえ部520の最大長さL2を大きく設定できる。すなわち、溝幅方向において媒体押さえ部520がチューブ9を押えることができる範囲を従来よりも大きく設定できる。印刷装置1は、溝幅方向を適切に塞ぐことができる。
接触部510は、第二部位502から第一揺動方向R1に突出する。接触部510は、第二部位502から第一揺動方向R1に突出していない場合に比べ、装着面113に接触しやすい。従って、揺動部材500の揺動が安定する。
一対の第一支持部126に回転可能に支持された第一部位501の軸線方向は、一対のヒンジ部3L,3Rの軸線方向と平行である。媒体押さえ部520は、ヒンジ部3L,3Rに対して左右方向に移動しにくいため、安定して装着溝40に進入できる。
媒体押さえ部520の最大長さL2は、装着溝40の幅L1の半分以上であり、かつ装着溝40の幅L1よりも小さい。このため、媒体押さえ部520は溝幅方向の半分以上を塞ぐことができる。従って、印刷装置1は、溝幅方向を適切に塞ぐことができる。
第三軸線P3は、装着面113に対して一対の第一支持部126とは反対側において、装着面113と平行に延びる。媒体押さえ部520は、装着面113に対して左右方向に移動しにくいため、安定して装着溝40に進入できる。
印刷装置1では、揺動部材500を第一揺動方向R1に付勢する部材として押しばね550が採用される。押しばね550の一端は、対向面123に固定される。押しばね550の他端は、揺動部材500に固定される。印刷装置1は、簡易な構成で揺動部材500を付勢できる。
本実施形態において、チューブ9が本発明の「印刷媒体」に相当する。装着溝40が本発明の「装着溝」に相当する。装着面113が本発明の「装着面」に相当する。本体ケース11が本発明の「本体ケース」に相当する。印刷ヘッド61が本発明の「印刷手段」に相当する。対向面123が本発明の「対向面」に相当する。ケースカバー12が本発明の「ケースカバー」に相当する。一対のヒンジ部3L,3Rが本発明の「ヒンジ部」に相当する。一対の第一支持部126が本発明の「第一支持部」に相当する。第一部位501が本発明の「第一部位」に相当する。第二部位502が本発明の「第二部位」に相当する。第三部位503が本発明の「第三部位」に相当する。第一揺動方向R1が本発明の「揺動方向」に相当する。揺動部材500が本発明の「揺動部材」に相当する。押しばね550が本発明の「付勢部材」に相当する。対向面123が本発明の「揺動規制部」に相当する。接触部510が本発明の「接触部」に相当する。媒体押さえ部520が本発明の「媒体押さえ部」に相当する。
搬送ローラ65〜69が本発明の「搬送手段」に相当する。第二支持部521が本発明の「第二支持部」に相当する。第一軸線P1が本発明の「第一軸線」に相当する。ローラ522が本発明の「ローラ」に相当する。排出口16が本発明の「排出口」に相当する。第二軸線P2が本発明の「第二軸線」に相当する。回動規制部503Cが本発明の「回動規制部」に相当する。凸部115が本発明の「凸部」に相当する。最大長さL2が本発明の「装着溝の幅方向における媒体押さえ部の最大長さ」に相当する。幅L1が本発明の「装着溝の幅」に相当する。第三軸線P3が本発明の「第三軸線」に相当する。
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、印刷装置1は、媒体押さえ部520の代わりに他の部材を採用してもよい。印刷装置1は、媒体押さえ部520の代わりに、例えば媒体押さえ部620を採用してもよい。以下、図11を参照し、媒体押さえ部620を説明する。上記実施形態と対応する構成要素に同一符号を付して説明を省略し、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。媒体押さえ部620は、ローラ522を備えない点で、媒体押さえ部520とは異なる。媒体押さえ部620は、第三部位503に設けられる。溝幅方向における媒体押さえ部620の最大長さは、装着溝40の幅L1よりもやや小さい。媒体押さえ部620は、閉塞過程および開放過程で、退避位置と進入位置との間を移動可能である。
媒体押さえ部620は、待機位置を含む範囲を揺動部材500に対して回動可能である。図11では、待機位置にある媒体押さえ部620が実線で示されている。待機位置から回動した媒体押さえ部620が二点鎖線で示されている。以下の説明では、待機位置にある媒体押さえ部620を基準として説明する。待機位置にある媒体押さえ部620は、排出口16に近接する。媒体押さえ部520は、第二支持部621を備える。第二支持部621は、図11の正面視で下方および右方に開口するL字状の板である。第二支持部621の左面は、排出口16の形状に沿った矩形状に形成される。第二支持部621は、一対の延出部503Aの間に配置される。第二支持部621の上端部は、一対の延出部503Aによって、軸部503Bを中心に回動可能に支持される。媒体押さえ部620は、軸部503Bを中心に、第一回動方向B1および第二回動方向B2に回動する。
第二支持部521は、規制端部621Cを有する。規制端部621Cは、第二支持部621の右上端部(つまり、搬送方向上流側の上端部)である。媒体押さえ部620は、規制端部621Cが回動規制部503Cと当接することで、待機位置よりも第二回動方向B2(搬送方向上流側)に回動することが規制される。つまり、規制端部621Cが回動規制部503Cと当接している場合、媒体押さえ部620は待機位置に位置する。媒体押さえ部620の重心は、ケースカバー12が全閉位置にあり、かつ媒体押さえ部620が待機位置にある場合、第二軸線P2よりも搬送方向下流側に配置される。この場合、媒体押さえ部620には、第二回動方向B2に力が作用する。規制端部621Cが第二回動方向B2から回動規制部503Cと当接することで、媒体押さえ部520は待機位置に保持される。
さらに、印刷装置1は、媒体押さえ部520の代わりに例えばゴム、スポンジ、ばね等の弾性体を採用してもよい。印刷装置1は、媒体押さえ部520の代わりに、第三部位503から下方に延びる部材を採用してもよい。この部材は、第三部位503と一体的に形成されてもよいし、別部材として第三部位503に設けられてもよい。この場合、印刷装置1は、簡易な構造で本発明を実現できる。印刷装置1は、媒体押さえ部520の代わりに第一押圧部85または第二押圧部86と同様な機構を採用してもよい。つまり、第三部位503には、媒体押さえ部520の代わりに第一押圧部85または第二押圧部86が設けられてもよい。例えば第二押圧部86を採用する場合、支持部861は第三部位503に固定されてもよい。第一押圧部85および第二押圧部86は、それぞれ、ローラ852,863を備えなくてもよい。
上記実施形態では、領域S3は排出口16の近傍に配置される。これに対し、領域S3は、排出口16を含んでもよい。媒体押さえ部520は、装着溝40において、領域S3とは異なる領域に進入してもよい。例えば、印刷装置1は、上記実施形態において第一押圧部85または第二押圧部86が設けられている位置に、カバー部50を適用させてもよい。これらの場合、媒体押さえ部620、第一押圧部85、および第二押圧部86(以下、媒体押さえ部等という。)は、上記実施形態と同様に、一対の第一支持部126、揺動部材500、接触部510、および押しばね550の作用によって、装着溝40の開口に対して直交する方向または直交する方向に近い方向から進入できる。これにより、媒体押さえ部等が装着溝40に接触しづらくなるため、溝幅方向における媒体押さえ部等の最大長さを従来よりも大きく設定できる。印刷装置1は、溝幅方向において媒体押さえ部等がチューブ9を押えることができる範囲を大きく設定できる。従って、媒体押さえ部等は、チューブ9の外径に関わらず、チューブ9を押えることができる。これにより、チューブ9の装着溝40への装着状態が安定する。
上記実施形態では、対向面123が第三部位503に第一揺動方向R1から当接することで、揺動部材500が第二揺動位置から第一揺動方向R1に揺動することが規制される。印刷装置1は、他の方法で揺動部材500が第二揺動位置から第一揺動方向R1に揺動することを規制してもよい。例えば、印刷装置1は、揺動部材500が第二揺動位置にある場合に、第一揺動方向R1から揺動部材500に当接する部材を対向面123等に備えてもよい。印刷装置1は、押しばね550として、所定の長さ以上に弾性変形しない弾性体を採用してもよい。印刷装置1は、一対の突起部501Aにクラッチばねを配置してもよい。
上記実施形態において、揺動部材500は、一対の第一支持部126によって回転可能に支持される。印刷装置1は、他の方法で揺動部材500を回転可能に支持してもよい。この場合、揺動部材500を回転可能に支持する部材が対向面123に設けられていればよい。例えば、第一支持部126は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。第一支持部126は、軸部であってもよい。
揺動部材500において、第一部位501、第二部位502、および第三部位503は、それぞれ、上記実施形態とは異なる位置に設けられてもよい。すなわち、距離T2が距離T1未満であり、かつ距離T3が距離T1を超える関係が成立すれば、第一部位501、第二部位502、および第三部位503は、それぞれ、揺動部材500のいずれの部位でもよい。
上記実施形態では、揺動部材500は、押しばね550によって第一揺動方向R1に付勢される。印刷装置1は、押しばね550に代えて他の種類のばね、ゴム、スポンジ等の弾性体を採用してもよい。例えば印刷装置1は、一対の突起部501Aにトーションばねを配置してもよい。印刷装置1は、第一部位501と第三部位503との間、かつ、揺動部材500と対向面123との間に引きばねを配置してもよい。
印刷装置1は、搬送ローラ65〜69等の搬送手段を備えなくてもよい。印刷装置1は、排出口16を有しなくてもよい。凸部115は、装着面113と一体的に形成されなくてもよい。つまり、凸部115は、装着面113と別体であってもよい。凸部115は、本体ケース11のいずれの位置に設けられてもよい。装着面113は、凸部115を有しなくてもよい。この場合、接触位置にある接触部510は、例えば装着面113に接触してもよい。接触位置にある接触部510は、本体ケース11のいずれの位置に接触してもよい。上記実施形態では、凸部115は、側面視で半円状であるが、他の形状でもよい。印刷装置1は、凸部115の側面視の形状によって軌跡X2を調整できる。接触部510は、第二部位502から第一揺動方向R1に突出しなくてもよい。上記実施形態では、接触部510は、側面視で半円状であるが、他の形状でもよい。印刷装置1は、接触部510の側面視の形状によって軌跡X2を調整できる。
上記実施形態では、各部材が状態Bから状態Cに変位する間に、ローラ522が装着溝40に進入し始める。ローラ522(つまり、媒体押さえ部520の一部)は、いずれのタイミングで装着溝40に進入し始めてもよい。例えば、媒体押さえ部520は、各部材が状態Cから状態Dに変位する間に、装着溝40に進入し始めてもよい。媒体押さえ部520は、各部材が状態Aから状態Bに変位する間に、装着溝40に進入し始めてもよい。つまり、上記実施形態では、ケースカバー12が所定位置まで回動したとき(離隔位置にあった接触部510が接触位置まで移動したとき)、媒体押さえ部520の後下端部は、側壁402,403よりも上方に位置する。このとき、媒体押さえ部520の後下端部は、側壁402,403の上端部よりも下方(つまり、装着溝40に進入した位置)に位置してもよい。媒体押さえ部520のうち第二支持部521がローラ522よりも先に装着溝40に進入し始めてもよい。
上記実施形態では、回動規制部503Cが規制端部521Cに第二回動方向B2から当接することで、媒体押さえ部520が待機位置から第二回動方向B2に回動することが規制される。印刷装置1は、他の方法で媒体押さえ部520が待機位置から第二回動方向B2に回動することを規制してもよい。例えば、揺動部材500は、媒体押さえ部520が待機位置にある場合に、第二回動方向B2から媒体押さえ部520に当接する部材を備えればよい。揺動部材500は、軸部503Bにクラッチばねを配置してもよい。
上記実施形態において、印刷装置1は一対のヒンジ部3L,3Rを備えるが、ヒンジ部の数量は1つでもよいし、3つ以上であってもよい。第三軸線P3、第四軸線P4、および搬送方向は、それぞれ交差してもよい。
上記実施形態では、一対の側壁402,403は、上下方向において第三軸線P3を跨いで形成される。これに対し、一対の側壁402,403は、上下方向において、第三軸線P3よりも上側で形成されてもよいし、第三軸線P3よりも下側で形成されてもよい。