JP6645109B2 - 液体吐出装置および駆動回路 - Google Patents
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Description
そこで、本発明のいくつかの態様の目的の一つは、圧電素子に印加する駆動信号をD級増幅する液体吐出装置において、動作の安定化を図るための技術を提供することにある。
上記一態様によれば、漏れ磁束による信号への干渉を低減し、回路内の発振周波数の安定性を向上させられことができ、精度良く駆動信号が生成でき、液体の誤吐出を低減できる。また、回路内における消費電力も低減できる。
また、源信号とは、圧電素子の変位を規定する駆動信号の源となる信号、すなわち、変調前の信号であって、駆動信号の波形の基準となる信号(規定する信号を含み、アナログ、デジタルを問わない)。変調信号とは、源信号をパルス変調(例えばパルス幅変調、パルス密度変調等)して得られるデジタル信号である。
インダクターは増幅変調信号を復調する復調部の一部であるため、比較的大電流が流れて、発熱しやすい。このようにスルーホールを設けることにより、インダクターで発生した熱を、スルーホールを介して別の配線パターンに逃がすことができるので、放熱効率を高めることができる。
ここで、仮に変調信号の周波数を1MHzよりも低くしてしまうと、再現される駆動信号の波形のエッジが鈍って丸くなってしまう。換言すれば、角が取れて波形が鈍ってしまう。駆動信号の波形が鈍ると、波形の立ち上がり、立ち下がりエッジに応じて動作する圧電素子の変位が緩慢になり、吐出時の尾引きや、吐出不良などを発生させて、印刷の品質を低下させてしまう。
一方で、変調信号の周波数を8MHzよりも高くすれば、駆動信号の波形の分解能は高まる。ただし、トランジスターにおけるスイッチング周波数が上昇することによって、スイッチング損失が大きくなり、AB級アンプなどのリニア増幅と比べて、優位性を有する省電力性、省発熱性が損なわれてしまう。
このため、上記一態様に係る液体吐出装置において、前記変調信号の周波数は、1MHz以上8MHz以下であることが好ましい。
この図に示されるように、印刷装置1は、移動体2を、主走査方向に移動(往復動)させる移動機構3を備える。
移動機構3は、移動体2の駆動源となるキャリッジモーター31と、両端が固定されたキャリッジガイド軸32と、キャリッジガイド軸32とほぼ平行に延在し、キャリッジモーター31により駆動されるタイミングベルト33と、を有している。
移動体2のキャリッジ24は、キャリッジガイド軸32に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト33の一部に固定されている。そのため、キャリッジモーター31によりタイミングベルト33を正逆走行させると、移動体2がキャリッジガイド軸32に案内されて往復動する。
また、移動体2のうち、媒体Pと対向する部分にはヘッドユニット20が設けられる。このヘッドユニット20は、後述するように、多数のノズルからインク滴(液滴)を吐出させるためのものであり、フレキシブルケーブル190を介して各種の制御信号等が供給される構成となっている。
媒体Pが搬送機構4によって搬送されたタイミングで、ヘッドユニット20が当該媒体Pにインク滴を吐出することによって、媒体Pの表面に画像が形成される。
この図に示されるように、印刷装置1では、制御ユニット10とヘッドユニット20とがフレキシブルケーブル190を介して接続される。
制御ユニット10は、制御部100と、キャリッジモーター31と、キャリッジモータードライバー35と、搬送モーター41と、搬送モータードライバー45と、2つの駆動回路50−a、50−bと、ヘッドユニット20と、を有する。このうち、制御部100は、ホストコンピューターから画像データが供給されたときに、各部を制御するための各種の制御信号等を出力する。
詳細には、第1に、制御部100は、キャリッジモータードライバー35に対して制御信号Ctr1を供給し、キャリッジモータードライバー35は、当該制御信号Ctr1にしたがってキャリッジモーター31を駆動する。これにより、キャリッジ24における主走査方向の移動が制御される。
第2に、制御部100は、搬送モータードライバー45に対して制御信号Ctr2を供給し、搬送モータードライバー45は、当該制御信号Ctr2にしたがって搬送モーター41を駆動する。これにより、搬送機構4による副走査方向の移動が制御される。
第3に、制御部100は、2つの駆動回路50−a、50−bのうち、一方の駆動回路50−aにデジタルのデータdAを供給し、他方の駆動回路50−bにデジタルのデータdBを供給する。ここで、データdAは、ヘッドユニット20に供給する駆動信号のうち、駆動信号COM−Aの波形を規定し、データdBは、駆動信号COM−Bの波形を規定する。
なお、詳細については後述するが、駆動回路50−aは、データdAをアナログ変換した後に、D級増幅した駆動信号COM−Aをヘッドユニット20に供給する。同様に、駆動回路50−bは、データdBをアナログ変換した後に、D級増幅した駆動信号COM−Bをヘッドユニット20に供給する。また、駆動回路50−a、50−bについては、入力するデータ、および、出力する駆動信号が異なるのみであり、後述するように回路的な構成は同一である。このため、駆動回路50−a、50−bについて特に区別する必要がない場合(例えば後述する図10を説明する場合)には、「−(ハイフン)」以下を省略し、単に符号を「50」として説明する。
第4に、制御部100は、ヘッドユニット20に、クロック信号Sck、データ信号Data、制御信号LAT、CHを供給する。
選択制御部210は、選択部230のそれぞれに対して駆動信号COM−A、COM−Bのいずれかを選択すべきか(または、いずれも非選択とすべきか)を、制御部100から供給される制御信号等によって指示し、選択部230は、選択制御部210の指示にしたがって、駆動信号COM−A、COM−Bを選択し、圧電素子60の一端にそれぞれに駆動信号として供給する。なお、図では、圧電素子60の一端に印加される駆動信号の電圧をVoutと表記している。
圧電素子60のそれぞれにおける他端は、この例では、電圧VBSが共通に印加されている。
図に示されるように、ヘッドユニット20における吐出部は、圧電素子60と振動板621とキャビティ(圧力室)631とリザーバー641とノズル651とを含む。このうち、振動板621は、図において上面に設けられた圧電素子60によって変位(屈曲振動)し、インクが充填されるキャビティ631の内部容積を拡大/縮小させるダイヤフラムとして機能する。ノズル651は、ノズルプレート632に設けられるとともに、キャビティ631に連通する開孔部である。
また、圧電素子60は、ヘッドユニット20においてキャビティ631とノズル651とに対応して設けられ、当該圧電素子60は、図1において、選択部230にも対応して設けられる。このため、圧電素子60、キャビティ631、ノズル651および選択部230のセットは、ノズル651毎に設けられる吐出部を構成することになる。
この図に示されるように、ノズル651は、例えば2列で次のように配列している。詳細には、1列分でみたとき、複数個のノズル651が副走査方向に沿ってピッチPvで配置する一方、2列同士では、主走査方向にピッチPhだけ離間して、かつ、副走査方向にピッチPvの半分だけシフトした関係となっている。
なお、ノズル651は、カラー印刷する場合には、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)などの各色に対応したパターンが例えば主走査方向に沿って設けられるが、以下の説明では、簡略化するために、単色で階調を表現する場合について説明する。
すなわち、1回のインク滴の吐出で1ドットが形成される場合、ドット間隔Dは、速度vを、インクの吐出周波数fで除した値(=v/f)、換言すれば、インク滴が繰り返し吐出される周期(1/f)においてヘッドユニット20が移動する距離で示される。
なお、図4Bの例では、ピッチPhがドット間隔Dに対して係数nで比例する関係にして、2列のノズル651から吐出されるインク滴が、媒体Pにおいて同一列で揃うように着弾させている。このため、図4(B)に示されるように、副走査方向のドット間隔が、主走査方向のドット間隔の半分となっている。ドットの配列は、図示の例に限られないことは言うまでもない。
また、印刷速度とは別に、解像度を高めるためには、単位面積当たりで形成されるドット数を増やせば良い。ただし、ドット数を増やす場合に、インクを少量にしないと、隣り合うドット同士が結合してしまうだけでなく、インクの吐出周波数fを高めないと、印刷速度が低下する。
このように、高速印刷および高解像度印刷を実現するためには、インクの吐出周波数fを高める必要があるのは、上述した通りである。
そこで、駆動信号COM−A、COM−Bについて説明し、この後、駆動信号COM−A、COM−Bを選択するための構成について説明する。なお、駆動信号COM−A、COM−Bについては、それぞれ駆動回路50によって生成されるが、駆動回路50については、便宜的に、駆動信号COM−A、COM−Bを選択するための構成の後に説明する。
図に示されるように、駆動信号COM−Aは、印刷周期Taのうち、制御信号LATが出力されて(立ち上がって)から制御信号CHが出力されるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、印刷周期Taのうち、制御信号CHが出力されてから次の制御信号LATが出力されるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形となっている。
この図に示されるように、選択制御部210には、クロック信号Sck、データ信号Data、制御信号LAT、CHが制御ユニット10から供給される。選択制御部210では、シフトレジスタ(S/R)212とラッチ回路214とデコーダー216との組が、圧電素子60(ノズル651)のそれぞれに対応して設けられている。
データ信号Dataは、クロック信号Sckに同期してノズルごとに、ヘッドユニット20の主走査に合わせて制御部100からシリアルで供給される。シリアルで供給されたデータ信号Dataを、ノズルに対応して2ビット分、一旦保持するための構成がシフトレジスタ212である。
詳細には、圧電素子60(ノズル)に対応した段数のシフトレジスタ212が互いに縦続接続されるとともに、シリアルで供給されたデータ信号Dataが、クロック信号Sckにしたがって順次後段に転送される構成となっている。
なお、圧電素子60の個数をm(mは複数)としたときに、シフトレジスタ212を区別するために、データ信号Dataが供給される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表記している。
デコーダー216は、ラッチ回路214によってラッチされた2ビットのデータ信号Dataをデコードして、制御信号LATと制御信号CHとで規定される期間T1、T2ごとに、選択信号Sa、Sbを出力して、選択部230での選択を規定する。
この図において、ラッチされた2ビットの印刷データDataについては(MSB、LSB)と表記している。デコーダー216は、例えばラッチされた印刷データDataが(0、1)であれば、選択信号Sa、Sbの論理レベルを、期間T1ではそれぞれH、Lレベルとし、期間T2ではそれぞれL、Hレベルとして、出力するということを意味している。
なお、選択信号Sa、Sbの論理レベルについては、クロック信号Sck、印刷データData、制御信号LAT、CHの論理レベルよりも、レベルシフター(図示省略)によって、高振幅論理にレベルシフトされる。
この図に示されるように、選択部230は、インバーター(NOT回路)232a、232bと、トランスファーゲート234a、234bとを有する。
デコーダー216からの選択信号Saは、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付されていない正制御端に供給される一方で、インバーター232aによって論理反転されて、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付された負制御端に供給される。同様に、選択信号Sbは、トランスファーゲート234bの正制御端に供給される一方で、インバーター232bによって論理反転されて、トランスファーゲート234bの負制御端に供給される。
トランスファーゲート234aの入力端には、駆動信号COM−Aが供給され、トランスファーゲート234bの入力端には、駆動信号COM−Bが供給される。トランスファーゲート234a、234bの出力端同士は、共通接続されるとともに、対応する圧電素子60の一端に接続される。
トランスファーゲート234aは、選択信号SaがHレベルであれば、入力端および出力端の間を導通(オン)させ、選択信号SaがLレベルであれば、入力端と出力端との間を非導通(オフ)させる。トランスファーゲート234bについても同様に選択信号Sbに応じて、入力端および出力端の間をオンオフさせる。
ここで、制御信号LATが立ち上がると、ラッチ回路214のそれぞれは、シフトレジスタ212に保持されたデータ信号Dataを一斉にラッチする。図5において、L1、L2、…、Lmは、データ信号Dataが、1段、2段、…、m段のシフトレジスタ212に対応するラッチ回路214によってラッチされたデータ信号Dataを示している。
すなわち、第1に、デコーダー216は、当該データ信号Dataが(1、1)であって、大ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてもH、Lレベルとする。第2に、デコーダー216は、当該データ信号Dataが(0、1)であって、中ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第3に、デコーダー216は、当該データ信号Dataが(1、0)であって、小ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第4に、デコーダー216は、当該データ信号Dataが(0、0)であって、非記録を規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Hレベルとし、期間T2においてL、Lレベルとする。
データ信号Dataが(1、1)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてH、Lレベルとなるので、トランスファーゲート234aがオンし、トランスファーゲート234bがオフする。このため、期間T1において駆動信号COM−Aの台形波形Adp1が選択される。選択信号Sa、Sbは期間T2においてもH、Lレベルとなるので、選択部230は、駆動信号COM−Aの台形波形Adp2を選択する。
このように期間T1において台形波形Adp1が選択され、期間T2において台形波形Adp2が選択されて、駆動信号として圧電素子60の一端に供給されると、当該圧電素子60に対応したノズル651から、中程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pにはそれぞれのインクが着弾し合体して、結果的に、データ信号Dataで規定される通りの大ドットが形成されることになる。
したがって、ノズルから、中程度および小程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pには、それぞれのインクが着弾して合体して、結果的に、データ信号Dataで規定された通りの中ドットが形成されることになる。
このため、期間T1においてノズル651の開孔部付近のインクが微振動するのみであり、インクは吐出されないので、結果的に、ドットが形成されない、すなわち、データ信号Dataで規定された通りの非記録になる。
なお、図5に示した駆動信号COM−A、COM−Bはあくまでも一例である。実際には、ヘッドユニット20の移動速度や媒体Pの性質などに応じて、予め用意された様々な波形の組み合わせが用いられる。
また、ここでは、圧電素子60が、電圧の上昇に伴って上方向に撓む例で説明したが、電極611、612に供給する電圧を逆転させると、圧電素子60は、電圧の上昇に伴って下方向に撓むことになる。このため、圧電素子60が、電圧の上昇に伴って下方向に撓む構成では、図に例示した駆動信号COM−A、COM−Bが、電圧Vcを基準に反転した波形となる。
一般に、単位期間Tにおいてインク滴がQ(Qは2以上の整数)回吐出可能であって、当該Q回のインク滴の吐出で1ドットが形成される場合、インクの吐出周波数fはQ/Tと表すことができる。
本実施形態のように、媒体Pに異なるサイズのドットを形成する場合の方が、1回のインク滴の吐出で1ドットを形成する場合と比較して、1ドットを形成するために要する時間(周期)が同じでも、1回のインク滴を1回吐出するため時間を短くする必要がある。
なお、2以上のインク滴を結合させないで2以上のドットを形成する第3方法については、特段の説明は要しないであろう。
第1に、制御部100から供給されるデータdAをアナログ変換し、第2に、出力の駆動信号COM−Aを帰還するとともに、当該駆動信号COM−Aに基づく信号(減衰信号)と目標信号との偏差を、当該駆動信号COM−Aの高周波成分で補正して、当該補正した信号にしたがって変調信号を生成し、第3に、当該変調信号にしたがってトランジスターをスイッチングすることによって増幅変調信号を生成し、第4に、当該増幅変調信号をローパスフィルターで平滑化(復調)して、当該平滑化した信号を駆動信号COM−Aとして出力する。
他方の駆動回路50−bについても同様な構成であり、データdBから駆動信号COM−Bを出力する点についてのみ異なる。そこで以下の図10においては、駆動回路50−a、50−bについて区別しないで、駆動回路50として説明する。
ただし、入力されるデータや出力される駆動信号については、dA(dB)、COM−A(COM−B)などのように表記して、駆動回路50−aの場合には、データdAを入力して駆動信号COM−Aを出力し、駆動回路50−bの場合には、データdBを入力して駆動信号COM−Bを出力する、ということを表すことにする。
この図に示されるように、駆動回路50は、LSI500や、Nチャネル型のトランジスターM1、M2のほか、抵抗やコンデンサーなどの各種の素子(部品)から構成される。
加算器504の入力端(−)には、ピンVfbを介して入力した端子Outの電圧、すなわち、駆動信号COM−A(COM−B)が供給される。
加算器504は、入力端(−)の電圧を積分・減衰した上で、入力端(+)の電圧と演算する。詳細には、加算器504は、入力端(+)の電圧から、入力端(−)の積分・減衰電圧を差し引いた偏差を求め、当該偏差を示す信号Abを加算器510の入力端の一方に供給する。
なお、DAC502からコンパレーター520までに至る回路の電源電圧は、例えば低振幅の3.3ボルトである。アナログ信号Aaの電圧が最大でも2ボルト程度であるのに対し、駆動信号COM−Aの電圧が最大で40ボルトを超える場合があるので、偏差を求めるにあたって両電圧の振幅範囲を合わせるため、駆動信号COM−A(COM−B)の電圧を減衰させている。
加算器510から出力される信号Asの電圧は、目標を示すアナログ信号Aaの電圧からピンVfbに供給された信号の減衰電圧を差し引いた偏差に、ピンIfbに供給された信号の減衰電圧を加算した電圧である。このため、加算器510による信号Asの電圧は、目標であるアナログ信号Aaの電圧から、出力である駆動信号COM−A(COM−B)の減衰電圧を指し引いた偏差を、当該駆動信号COM−A(COM−B)の高周波成分で補正した信号ということができる。
遅延器512は、信号Asを後述する時間だけ遅延させた信号Adを、コンパレーター520に供給する。
Vth1>Vth2
という関係に設定されている。
なお、ゲートドライバー530が出力する2つのゲート信号の論理レベルは、実際には、同時にHレベルとはならないように(すなわち、Nチャネル型のトランジスターM1、M2が同時にオンしないように)、タイミング制御しても良い。このため、ここでいう排他的とは、厳密にいえば、同時にHレベルになることがない(トランジスターM1、M2でいえば、同時にオンすることがない)、という意味である。
また、図10に示した構成では、デジタルのデータdA(dB)をDAC502によってアナログの信号Aaに変換したが、DAC502を介することなく、例えば制御部100による指示にしたがって外部回路から信号Aaの供給を受けても良い。デジタルのデータdA(dB)にしても、アナログの信号Aaにしても、駆動信号COM−A(COM−B)の波形を生成するにあたっての目標値を規定しているので、源信号であることには変わりはない。
トランジスターM1、M2のそれぞれは、この例ではNチャンネル型としているので、ゲート信号がHレベルであればオンする。このため、トランジスターM1のソース電極とトランジスターM2のドレイン電極との接続点Sd、すなわちインダクターL1の一端では、変調信号Msを増幅した増幅変調信号が現れることになる。このため、トランジスター対としてのトランジスターM1、M2が、変調信号Msを増幅した増幅変調信号を生成する増幅部ということになる。
抵抗R4、R23は、LSI500に対して外付けとなっているが、LSI500に内蔵された構成であっても良い。
上記HPFのカットオフ周波数は、上記LPFのカットオフ周波数よりも低く設定されるので、HPFとLPFとは、駆動信号COM−A(COM−B)のうち、所定の周波数域の周波数成分を通過させるBPF(Band Pass Filter)560として機能する。
ここで説明の便宜上、ピンIfbを介した帰還と、遅延器512による遅延とを除外した構成を想定したとき、駆動信号COM−A(COM−B)は、ピンVfbを介して積分・減衰された上で、加算器504に帰還されるので、変調信号Msは、当該帰還経路、すなわちLPF550と加算器504とを経由する経路の伝達関数で定まる周波数で自励発振することになる。
ただし、ピンVfbを介した帰還経路の遅延量が大であるために、当該ピンVfbを介した帰還のみでは、自励発振の周波数を、駆動信号COM−A(COM−B)の波形精度を十分に確保できるほど高くすることができない。
この図に示されるように、信号Asは三角波であり、その発振周波数は、アナログ信号Aaの電圧(入力電圧)に応じて変動する。具体的には、入力電圧が中間値である場合に最も高くなり、入力電圧が中間値から高くなるにつれて、または、低くなるにつれて、低くなる。なお、信号As(Ad)が自励発振信号である。
このため、変調信号Msは、次のようなパルス密度変調信号となる。すなわち、変調信号Msのデューティー比は、入力電圧の中間値でほぼ50%であり、入力電圧が中間値よりも高くなるにつれて大きくなり、入力電圧が中間値よりも低くなるにつれて小さくなる。
したがって、トランジスターM1、M2の接続点Sdにおける増幅変調信号をインダクターL1およびコンデンサーC1で平滑化した駆動信号COM−A(COM−B)の電圧は、変調信号Msのデューティー比が大きくなるにつれて高くなり、デューティー比が小さくなるにつれて低くなる。このため、結果的に、駆動信号COM−A(COM−B)は、アナログ信号Aaの電圧を拡大した信号となるように制御されて、出力されることになる。
すなわち、回路全体で扱うことができる最小の正パルス幅と負パルス幅はその回路特性で制約されるので、周波数固定のパルス幅変調では、デューティー比の変化幅として所定の範囲(例えば10%から90%までの範囲)しか確保できない。これに対し、パルス密度変調では、入力電圧が中間値から離れるにつれて、発振周波数が低くなるため、入力電圧が高い領域においては、デューティー比をより大きくすることができ、また、入力電圧が低い領域においては、デューティー比をより小さくすることができる。このため、自励発振型パルス密度変調では、デューティー比の変化幅として、より広い範囲(例えば5%から95%までの範囲)を確保することができるのである。
図13に示されるように、回路基板には、駆動回路50を構成するLSI500、トランジスターM1、M2、インダクターL1、コンデンサーC1、C5、C7、C8、抵抗R4、R10、R18、R23が実装される。
コンデンサーC1の他端に接続される端子X1、トランジスターM2のソース電極に接続される端子X2、抵抗R18の他端に接続される端子X3、および、コンデンサーC8の他端に接続される端子X4は、それぞれグラウンドパターンに接続される構成となっている。
図10の回路図では、端子Outから2系統に分かれて、LSI500のピンVfb、Ifbに帰還されているが、実際には、図12に示されるように、端子Outを含むパターンに設けられたスルーホールN1から、内挿の配線パターン(図示省略)と、スルーホールN2と、を順次介して、抵抗R4の一端とコンデンサーC7の一端とに分岐する構成となっている。このうち、抵抗R4側の経路がピンVfbに帰還され、コンデンサーC7側の経路がピンIfbに帰還される。
ここでいう内挿の配線パターンとは、図12に示した配線パターン、すなわち各種の素子が接続される配線パターンを第1層としたときに、当該第1層以外で構成される配線パターンをいう。
トランジスターM1のソース電極に接続される端子X12と、トランジスターM2のドレイン電極に接続される端子X13とを含むパターン(図10の接続点Sd)には、スルーホールN6が設けられている。インダクターL1の一端に接続される端子X14を含むパターンには、スルーホールN7が設けられている。スルーホールN6と、スルーホールN7とは、内挿の配線パターン(図示省略)を介して、互いに電気的に接続されている。
回路基板90は、例えば第1層から第4層までの配線パターンと、ガラスエポキシなどの絶縁性樹脂とを積層した構造となっている。
この図に示されるように、スルーホールN7では、第1層の配線パターンが貫通孔を介し、第3層の配線パターンからなる配線パターンであって、スルーホールN6に至るまでの配線パターンの一端に接続される。なお、この例では、第2層および第4層には、スルーホールN7を介して接続される配線パターンが存在しないので、第2層および第4の、例えばグラウンドの配線パターンは、スルーホールN1の貫通部分と接触しないようにパターニングされている。
インダクターL1は、接続点Sdと端子Outとの間に電気的に挿入されるので、比較的大電流が流れて発熱しやすい。このため、第1層の配線パターンに接続されるだけでは放熱が不十分となる可能性がある。
本実施形態では、回路基板において、インダクターL1の一方の端子に接続される端子X14を含む配線パターンは、スルーホールN7を介して他の第3層の配線パターンに接続されるので、インダクターL1で発生した熱を効率良く逃がすことができる。
断面図等は省略するが、インダクターL1の他方の端子に接続される端子X5を含む第配線パターンについても、スルーホールN1を介して他の層の配線パターンに接続されるので、同様にインダクターL1で発生した熱を効率良く逃がすことができる。
なお、端子X14を含む配線パターンに設けられるスルーホールN7は、図12では1箇所であるが複数箇所にわたって設けても良いのはもちろんである。
一般に、インダクター(コイル)は、電線を円筒形に巻回し、円筒の中に何も入れない空芯型と、コアに巻線を巻回したコア型とに大別できる。このうち、空芯型は低歪みであるが損失が大きいために、増幅変調信号を復調する復調部には適さない。このため、駆動回路50における復調部にはコア型が用いられる。
コア型におけるコア材としては、Mn−Zn系フェライト(以下、単にMn−Zn系とする)、Ni−Zn系フェライト(以下、単にNi−Zn系とする)、ダストコア系の3種類が一般的である。ダストコア系とは、コア材として高圧プレスで成型された磁性粉を用いたものである。コア材の選択によって巻線の抵抗成分であるRsが異なる。Rsは巻線の抵抗成分であり、鉄損(コアの損失)に寄与する抵抗成分と銅損(線材の損失)に寄与する抵抗成分とを含む。ここで、抵抗成分としては巻線の直流抵抗(例えば2mΩ程度)もあるが、Rsに比べて十分(例えば2桁)小さい。
Mn−Zn系またはダストコア系のうち、本実施形態では以下の理由によりダストコア系を用いている。
そこで、本実施形態では、インダクターL1として、ダストコア系であって、メタルアロイの磁性粒子を用いたメタルアロイ型を用いる。メタルアロイ型では、図14Bに示されるように、磁性粒子とバインダとの混合物で作られるコアCRと巻線WRとが一体成形される。すなわち、メタルアロイ型は、金型に空芯コイル(巻線WR)を挿入し、計量されたコア材を入れ、高圧プレスで形成される。
コアCRは、フェライトコア型のようにE型のコアCEとI型のコアCIとに分かれておらず、コア間接着が不要である。また、メタルアロイ型は、コア材の選択の幅が広く、比較的小型で、大きな電流を流すことができる。
この図に示されるように、インダクターL1の形状はおおよそ直方体であり、回路基板に実装される面の対向する二片の一方に一端に対応する接続端子T11が設けられ、当該二片の他方に他端に対応する接続端子T12が、それぞれ設けられている。
この図に示されるように、インダクターL1では、巻線WRが、例えば端子T11から、図において上方から平面視したときに反時計回りで上方向かって巻回された後、上端から下側に向かって端子T12に導かれる。すなわち、巻線WRが巻回されるコア(図16では省略)の軸方向は、回路基板とほぼ垂直する位置関係にある。このため、インダクターL1が回路基板に実装されたときに、当該回路基板と対向する実装面L1mでは、漏れ磁束によって多くの磁力線が交差する。
なお、インダクターL1として、コアの軸方向が回路基板表面とほぼ平行方向になるようなタイプを用いると、漏れ磁束に起因するノイズが他の部品に影響を及ぼして、駆動信号の波形精度が低下する。このため、インダクターL1として、当該タイプを用いるのは適切ではない、という事情がある。
回路基板において、端子X14、X5(インダクターL1の端子T11、T12)の間において、比較例に示されるような配線パターンが存在すると、当該配線パターンにはインダクターL1の漏れ磁束によって渦電流が発生し、駆動回路50でみたときの出力損失となって消費電力の増大を招くだけでなく、当該配線パターンの電位を変動させる。特に、回路基板における端子X5は、駆動回路50の出力であるとともに、2つの帰還経路でもあるので、この渦電流による電位変動は、自励発振の不安定化につながる。
なお、インダクターL1は、回路基板90にリフローはんだ付け等により実装される。
このため、インダクターL1を構成するコアCRと、回路基板80との間には、結果的に他の素子が設けられることはない。
このような配線パターンPt1を設けても、インダクターL1からの漏れ磁束による影響を抑えることができる。
なお、トランジスターM1、M2との接続点Sdに現れる増幅変調信号は、変調信号Msと論理振幅が異なるだけであるので、例えば増幅変調信号を減衰した上で、変調信号Msと同様に帰還する構成とすれば良い。
印刷装置1については、複数のノズル651を有するヘッドユニットを、主走査方向に往復動させながらインクを吐出する形式ではなく、ノズルを副走査方向に対して直交または斜めとなる方向に配列させたヘッドユニットを複数個備えて、ヘッドユニットを筐体に対して固定させた、いわゆるラインプリンタであっても良い。
Claims (7)
- 駆動信号の元となる源信号をパルス変調した変調信号を生成する変調回路と、
前記変調信号を増幅して増幅変調信号を生成する増幅部と、
インダクターおよびコンデンサーを含み、前記増幅変調信号を平滑化して駆動信号を生成する復調部と、
前記変調回路と前記増幅部と前記復調部とが実装され、表面に複数の配線パターンが形成された回路基板と、
前記駆動信号が印加されることで変形する圧電素子と、
内部に液滴が充填されて、前記圧電素子の変形により内部容積が変化するキャビティと、
前記キャビティの内部容積の変化に応じて前記キャビティ内の液体を吐出するために設けられたノズルと、
を備え、
前記変調回路は、前記源信号と、帰還された前記駆動信号と、に基づいて前記変調信号を生成し、
前記インダクターは、巻線とコアとが一体に成形され、前記巻線が巻回される前記コアの軸方向が前記回路基板に交差するように実装され、
前記回路基板上では、前記コアの軸方向と交差する領域で前記配線パターンが非形成である、
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 駆動信号の元となる源信号をパルス変調した変調信号を生成する変調回路と、
前記変調信号を増幅して増幅変調信号を生成する増幅部と、
インダクターおよびコンデンサーを含み、前記増幅変調信号を平滑化して駆動信号を生成する復調部と、
前記変調回路と前記増幅部と前記復調部とが実装され、表面に複数の配線パターンが形成された回路基板と、
前記駆動信号が印加されることで変形する圧電素子と、
内部に液滴が充填されて、前記圧電素子の変形により内部容積が変化するキャビティと、
前記キャビティの内部容積の変化に応じて前記キャビティ内の液体を吐出するために設けられたノズルと、
を備え、
前記変調回路は、前記源信号と、帰還された前記駆動信号と、に基づいて前記変調信号を生成し、
前記インダクターは、巻線とコアとが一体に成形され、前記巻線が巻回される前記コアの軸方向が前記回路基板に交差するように実装され、
前記回路基板上では、前記コアの軸方向と交差する領域に形成された配線パターンが、他の領域に形成された他の配線パターンと電気的に非導通である、
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 前記回路基板は、
前記インダクターの一方の電極と電気的に接続される第1端子と、前記インダクターの他方の電極と電気的に接続される第2端子と、
を有し、
前記第1端子と前記第2端子との間には配線パターンが形成されない
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。 - 前記第1端子に接続される配線パターン、または、前記第2端子に接続される配線パターンの少なくとも一方には、スルーホールが形成される
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。 - 前記コアと前記回路基板との間には、前記コアおよび前記回路基板以外の部品が設けられない
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の液体吐出装置。 - 駆動信号の元となる源信号をパルス変調した変調信号を生成する変調回路と、
前記変調信号を増幅して増幅変調信号を生成する増幅部と、
インダクターおよびコンデンサーを含み、前記増幅変調信号を平滑化して駆動信号を生成する復調部と、
前記変調回路と前記増幅部と前記復調部とが実装され、表面に複数の配線パターンが形成された回路基板と、
を備え、
前記変調回路は、前記源信号と、帰還された前記駆動信号と、に基づいて前記変調信号を生成し、
前記インダクターは、巻線とコアとが一体に成形され、前記巻線が巻回される前記コアの軸方向が前記回路基板に交差するように実装され、
前記回路基板上では、前記コアの軸方向と交差する領域で前記配線パターンが非形成である、
ことを特徴とする駆動回路。 - 駆動信号の元となる源信号をパルス変調した変調信号を生成する変調回路と、
前記変調信号を増幅して増幅変調信号を生成する増幅部と、
インダクターおよびコンデンサーを含み、前記増幅変調信号を平滑化して駆動信号を生成する復調部と、
前記変調回路と前記増幅部と前記復調部とが実装され、表面に複数の配線パターンが形成された回路基板と、
を備え、
前記変調回路は、前記源信号と、帰還された前記駆動信号と、に基づいて前記変調信号を生成し、
前記インダクターは、巻線とコアとが一体に成形され、前記巻線が巻回される前記コアの軸方向が前記回路基板に交差するように実装され、
前記回路基板上では、前記コアの軸方向と交差する領域に形成された配線パターンが、他の領域に形成された他の配線パターンと電気的に非導通である、
ことを特徴とする駆動回路。
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