JP6645108B2 - 多層伝送線路板 - Google Patents

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Description

本発明は、多層伝送線路板に関し、より詳細には、Gbpsオーダーの差動伝送方式による高速デジタル伝送に用いる多層伝送線路板に関する。
信号の高速化に伴い、差動伝送方式が広く用いられるようになっている。差動伝送方式はノイズ低減に有利であるが、信号が益々高速になるのに伴い、コモンモードノイズの発生による信号劣化が問題となってきている。
ところで、多層伝送線路板の絶縁層には、多層伝送線路板製造時における材料の取り扱い性、多層伝送線路板自体の機械的特性等を確保するため、ガラスクロスと樹脂との複合材料が広く用いられている。
図1に示すように、ガラスクロスは、ガラス繊維を縦と横に織った構造を有するため、織り目部分ではガラス繊維が重なっている。したがって、ガラスクロスと樹脂との複合材料において、ガラス繊維の織り目部分は、ガラスの存在比率が高くなる。反対に、ガラス繊維の重なりが無い部分は、ガラスの存在比率が低くなる。このように、複合材料面内における樹脂とガラスとの存在比率は均一ではない。
一般的に樹脂とガラスとでは誘電率が異なるため、複合材料面内における樹脂とガラスとの存在比率が不均一であれば、複合材料面内における誘電率も不均一になる。
図2に示すように、差動配線が形成された多層伝送線路板では、ガラスの存在比率が高い部分と低い部分に配線が存在する場合が生ずるが、信号速度がそれぞれの場所で異なるため、受信側で信号の到達時間にずれ(スキュー)が生じ、信号品質を低下させる。
スキュー対策として、配線パターンをガラスの織り方向に対して斜めに配置する等の設計技術による対策が行われているが、この方法によると、配線パターンの面付けが非効率なものとなり、材料ロスを招くことから、別の解決手段が求められている。
特許文献1には、ガラスクロスの織り目でない部分に誘電率の高いフィラーを集中的に添加して、複合材料面内における誘電率を均質化する手法が開示されている。
特開2009−259879号公報
しかしながら、特許文献1の手法によると、材料の製造プロセスが複雑になるため、材料コストの上昇に加え、材料品質のコントロールが困難となる場合があった。
そこで、本発明は、複雑なプロセスを用いることなく、差動伝送においてスキューを低減することが可能な多層伝送線路板を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく検討を進めた結果、下記本発明により当該課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、次の[1]〜[4]を提供する。
[1]一対のグランド層と、
前記一対のグランド層のうち一方のグランド層と他方のグランド層との間に配置された差動配線と、
前記差動配線と前記一方のグランド層との間に配置された絶縁層Iと、
前記差動配線と前記他方のグランド層との間に配置された絶縁層IIとを有し、
前記絶縁層I及び絶縁層IIのうち少なくとも一方はガラスクロスと樹脂組成物とを含有する層であり、
前記ガラスクロスと樹脂組成物とを含有する層のうち少なくとも一層における前記ガラスクロスと前記樹脂組成物との誘電率の差が1.0以下である、多層伝送線路板。
[2]前記絶縁層I又は絶縁層IIの一方がガラスクロスと樹脂組成物とを含有する層であり、
前記絶縁層I又は絶縁層IIの他方がガラスクロスを含有せず、樹脂を含有する層であり、
前記ガラスクロスと樹脂組成物とを含有する層における前記ガラスクロスと前記樹脂組成物との誘電率の差が1.0以下である、上記[1]に記載の多層伝送線路板。
[3]前記ガラスクロスの誘電率が5.0以下である、上記[1]又は[2]に記載の多層伝送線路板。
[4]ガラスクロスと樹脂組成物とを含有するプリプレグであり、前記ガラスクロスと樹脂組成物との誘電率の差が1.0以下である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の多層伝送線路板を形成するために用いられるプリプレグ。
本発明によれば、複雑なプロセスを用いることなく、差動伝送においてスキューを低減することが可能な多層伝送線路板を提供することができる。
ガラスクロスの織り目を示す模式図である。 ガラスクロスと差動配線の配置例を示す模式図である。 本発明の第一実施形態(実施例1)に係る多層伝送線路板を示す模式的断面図である。 本発明の第二実施形態(実施例4)に係る多層伝送線路板を示す模式的断面図である。 本発明の第一実施形態(実施例1)に係る別形態の多層伝送線路板を示す模式的断面図である。 従来の多層伝送線路板を示す模式的断面図である。
他の指示がない限り、明細書及び特許請求の範囲において使用される特徴のサイズ、量、及び物理的特性を表す全ての数字は、全ての場合に「約」という用語によって修飾されるものと理解すべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。端点による数値範囲の使用には、その範囲内に含まれる全ての数(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)及びその範囲内の任意の範囲が含まれる。
以下、図面を参照しながら、本発明の多層伝送線路板の実施形態について詳細に説明する。
なお、本開示における「差動配線」とは、製造された多層伝送線路板の差動配線として機能するような回路加工を施された導体層であれば、多層伝送線路板の製造過程での該導体層をも含む。同様に、「グランド層」とは、製造された多層伝送線路板のグランド層として機能するような導体層であれば、多層伝送線路板の製造過程での該導体層をも含む。
また、本開示における誘電率とは、空洞共振器摂動法(摂動法空洞共振器:CP531、株式会社関東電子応用開発製)にて、10GHz帯で測定したときの値を示す。
[多層伝送線路板]
本実施形態に係る多層伝送線路板は、例えば、Gbpsオーダーの差動伝送方式による高速デジタル伝送で使用されるものである。
本発明の多層伝送線路板は、一対のグランド層と、前記一対のグランド層のうち一方のグランド層と他方のグランド層との間に配置された差動配線と、前記差動配線と前記一方のグランド層との間に配置された絶縁層Iと、前記差動配線と前記他方のグランド層との間に配置された絶縁層IIとを有し、前記絶縁層I及び絶縁層IIのうち少なくとも一方はガラスクロスと樹脂組成物とを含有する層であり、前記ガラスクロスと樹脂組成物とを含有する層における前記ガラスクロスと前記樹脂組成物との誘電率の差が1.0以下である、多層伝送線路板である。
本発明の多層伝送線路板は、従来の伝送線路板におけるガラスクロスを含有する材料で構成されていた絶縁層の一部又は全部に、誘電率の差が小さいガラスクロスと樹脂組成物とを含有する材料を用いることで、誘電率の不均一性を軽減することにより、スキューを低減することができると考えられる。
以下、本発明の多層伝送線路板の実施態様として、第一及び第二実施形態に係る多層伝送線路板を例として挙げ、各態様について図面を参照しながら説明する。
<第一実施形態に係る多層伝送線路板>
図3は、本発明の第一実施形態に係る多層伝送線路板1Aを示す模式的断面図である。
図3に示すように、本発明の第一実施形態に係る多層伝送線路板1Aは、一対のグランド層11、21と、一対のグランド層11、21のうち一方のグランド層11と他方のグランド層21との間に配置された差動配線91と、差動配線91と一方のグランド層11との間に配置された絶縁層(1−I)31と、差動配線91と他方のグランド層21との間に配置された絶縁層(1−II)32とを含む。
絶縁層(1−I)31と絶縁層(1−II)32は、ガラスクロスと樹脂組成物とを含有する層であり、絶縁層(1−II)32におけるガラスクロスと樹脂組成物との誘電率の差は1.0以下である。絶縁層(1−II)32におけるガラスクロスと樹脂組成物との誘電率の差は小さいほど好ましく、誘電率の不均一性を軽減する観点から、0.5以下が好ましく、0.1以下がより好ましい。
なお、絶縁層(1−I)31におけるガラスクロスと樹脂組成物との誘電率の差は、1.0を超えていても、1.0以下でも、いずれでも構わない。
本発明の第一実施形態に係る多層伝送線路板1Aは、従来の伝送線路板におけるガラスクロスを含有する材料で構成されていた絶縁層の一部に、誘電率の差が小さいガラスクロスと樹脂組成物とを含有する材料を用いることで、誘電率の不均一性を軽減することにより、スキューを低減することができると考えられる。
図6に従来の多層伝送線路板4Aの模式的断面図を示す。従来の多層伝送線路板4Aは、プリプレグの両面に銅箔を積層して硬化することにより得られた積層板の片側の銅箔に回路加工を施すことにより、一方の面に差動配線94を、他方の面にグランド層24を配置した絶縁層62を形成し、その差動配線94側の面に更に絶縁層61を形成するためのプリプレグとグランド層14を構成する銅箔とをこの順に積層して成形する方法により製造していた。また、絶縁層61、62において、ガラスクロスと樹脂組成物との誘電率の差は1.0を越えていた。
本発明の第一実施形態に係る多層伝送線路板1Aは、図6に示す従来の多層伝送線路板4Aにおける絶縁層62を、ガラスクロスと樹脂組成物との誘電率の差が1.0以下である絶縁層(1−II)32に変更することで、スキューの低減を図ることができる。
(グランド層11、21)
グランド層11、21としては、特に限定されるものではないが、従来のプリント配線板等の導電層に適用されるものを適用することができ、例えば、金属箔から構成されるものを適用することができる。
金属箔としては、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミ箔等を適用することができ、取り扱い性及びコストの観点からは、銅箔を適用することができる。
また、グランド層11、21に金属箔を適用する場合、その防錆性、耐薬品性、耐熱性等を向上させる観点から、ニッケル、錫、亜鉛、クロム、モリブデン、コバルト等によるバリアー層形成処理が施されていてもよい。また、金属箔は、絶縁層との接着性を向上させる観点から、表面粗化処理、シランカップリング剤等による処理などの表面処理が施されていてもよい。
グランド層11、21に適用される金属箔としては、市販品の金属箔を用いてもよい。市販品の金属箔としては、例えば、銅箔である「F2−WS」(古河電気工業株式会社製、商品名、Rz=2.0μm)、「FV−WS」(古河電気工業株式会社製、商品名、Rz=1.5μm)、「3ECVLP」(三井金属鉱業株式会社製、商品名、Rz=3.0μm)等が商業的に入手可能である。
グランド層11、21は、1種の金属材料からなる単層構造であってもよく、複数の金属材料からなる単層構造であってもよく、更には異なる材質の金属層を複数積層した積層構造であってもよい。また、グランド層11、21の厚さは、特に限定されず、求める性能等に応じて適宜決定すればよい。
グランド層11、21は、めっきにより形成されていてもよい。具体的には、例えば、絶縁層(1−I)31、絶縁層(1−II)32、又はそれらの上に設けられた接着用樹脂層の表面に無電解めっきを行って給電層を形成し、次いで電解めっきを行うことによりグランド層11、21を形成できる。
(差動配線91)
差動配線91を形成する材料としては、特に限定されず、例えば、金属箔から構成されるものを適用することができる。差動配線91を形成する金属箔としては、例えば、グランド層11、21に適用可能な金属箔を使用することができる。差動配線91は、めっきにより形成されていてもよい。
(絶縁層(1−II)32)
絶縁層(1−II)32は、ガラスクロスと樹脂組成物とを含有する層であり、ガラスクロスと樹脂組成物との誘電率の差が1.0以下である層である。
〔樹脂組成物〕
絶縁層(1−II)32に含まれる樹脂組成物は、樹脂を含むものであれば特に限定されず、必要に応じて無機充填材、難燃剤、各種添加剤等のその他の成分を更に配合してもよい。なお、本明細書において「樹脂組成物」に含まれる樹脂は硬化前のモノマー、半硬化状態(所謂Bステージ状態)のオリゴマー、硬化後のポリマーのいずれの状態であってもよい。
≪樹脂≫
樹脂組成物に含まれる樹脂は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。誘電特性、耐熱性、耐溶剤性、及びプレス成形性を向上させる観点から、熱可塑性樹脂を熱硬化性樹脂で変性した樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ポリブタジエン、全芳香族ポリエステルの液晶ポリマー(LCP)、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPO又はPPE)、スチレン系エラストマー等が挙げられる。加工性、金属及び他の樹脂材料との接着性、誘電特性、並びに低伝送損失性の観点から、ポリフェニレンエーテルとしてもよい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂等が挙げられる。
樹脂組成物に含まれる樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂を熱硬化性樹脂で変性した樹脂としては、分子中に少なくとも1個のN−置換マレイミド基を有するポリフェニレンエーテル誘導体[以下、ポリフェニレンエーテル誘導体(A)と称することがある。]が好ましい。特に、ポリフェニレンエーテル誘導体(A)が分子中に少なくとも1個のN−置換マレイミド基を有することにより、優れた高周波特性(低誘電率、低誘電正接)、導体との高接着性、優れた耐熱性、高ガラス転移温度、低熱膨張係数及び高難燃性を有する樹脂組成物となる。ここで、本発明でいう熱膨張係数は、線膨張係数とも呼ばれる値である。
ポリフェニレンエーテル誘導体(A)は、上記と同様の観点から、分子中に少なくとも1個のN−置換マレイミド構造含有基及び下記一般式(I)で表される構造単位を有するものであると好ましい。

(式中、Rは各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。xは0〜4の整数である。)
前記一般式(I)中のRが表す脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基であってもよく、メチル基であってもよい。また、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、ハロゲンフリーとする観点から、フッ素原子であってもよい。
以上の中でも、Rとしては炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基であってもよい。
xは0〜4の整数であり、0〜2の整数であってもよく、2であってもよい。なお、xが1又は2である場合、Rはベンゼン環上のオルト位(但し、酸素原子の置換位置を基準とする。)に置換していてもよい。また、xが2以上である場合、複数のR同士は同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(I)で表される構造単位としては、具体的には、下記一般式(I')で表される構造単位であると好ましい。
N−置換マレイミド構造含有基としては、高周波特性、導体との接着性、耐熱性、ガラス転移温度、熱膨張係数及び難燃性の観点から、2つのマレイミド基の窒素原子同士が有機基を介して結合しているビスマレイミド構造を含有する基であってもよく、下記一般式(Z)で表される基であってもよい。

(式中、Rは各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。yは0〜4の整数である。Aは、下記一般式(II)、(III)、(IV)又は(V)で表される基である。)
が表す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子としては、Rの場合と同様に説明される。
yは0〜4の整数であり、0〜2の整数であってもよく、0であってもよい。yが2以上の整数である場合、複数のR同士は同一であっても異なっていてもよい。
が表す、一般式(II)、(III)、(IV)又は(V)で表される基は、以下のとおりである。

(式中、Rは各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。pは0〜4の整数である。)
が表す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子としては、Rの場合と同様に説明される。
pは0〜4の整数であり、入手容易性の観点から、0〜2の整数であってもよく、0又は1であってもよく、0であってもよい。pが2以上の整数である場合、複数のR同士は同一であっても異なっていてもよい。

(式中、R及びRは各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。Aは炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボオキシ基、ケト基、単結合又は下記一般式(III−1)で表される基である。q及びrは各々独立に0〜4の整数である。)
及びRが表す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子としては、Rの場合と同じものが挙げられる。該脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基であってもよく、メチル基、エチル基であってもよく、エチル基であってもよい。
が表す炭素数1〜5のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。該アルキレン基としては、高周波特性、導体との接着性、耐熱性、ガラス転移温度、熱膨張係数及び難燃性の観点から、炭素数1〜3のアルキレン基であってもよく、メチレン基であってもよい。
が表す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。これらの中でも、高周波特性、導体との接着性、耐熱性、ガラス転移温度、熱膨張係数及び難燃性の観点から、イソプロピリデン基であってもよい。
としては、上記選択肢の中でも、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基であってもよい。
q及びrは各々独立に0〜4の整数であり、入手容易性の観点から、いずれも、0〜2の整数であってもよく、0又は2であってもよい。q又はrが2以上の整数である場合、複数のR同士又はR同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
なお、Aが表す一般式(III−1)で表される基は以下のとおりである。

(式中、R及びRは各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。Aは炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボオキシ基、ケト基又は単結合である。s及びtは各々独立に0〜4の整数である。)
及びRが表す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子としては、R及びRの場合と同様に説明される。
が表す炭素数1〜5のアルキレン基としては、Aが表す炭素数1〜5のアルキレン基と同じものが挙げられる。
としては、上記選択肢の中でも、炭素数2〜5のアルキリデン基を選択してもよい。
s及びtは0〜4の整数であり、入手容易性の観点から、いずれも、0〜2の整数であってもよく、0又は1であってもよく、0であってもよい。s又はtが2以上の整数である場合、複数のR同士又はR同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。

(式中、nは0〜10の整数である。)
nは、入手容易性の観点から、0〜5の整数であってもよく、0〜3の整数であってもよい。

(式中、R及びRは各々独立に、水素原子又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基である。uは1〜8の整数である。)
及びRが表す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子としては、Rの場合と同様に説明される。
uは1〜8の整数であり、1〜3の整数であってもよく、1であってもよい。
一般式(Z)で表される基の中のAとしては、高周波特性、導体との接着性、耐熱性、ガラス転移温度、熱膨張係数及び難燃性の観点から、下記式のいずれかで表される基であってもよい。
上記のようなポリフェニレンエーテル誘導体(A)は、例えば、以下の製造方法によって得ることができる。まず、下記一般式(VIII)で表されるアミノフェノール化合物[以下、アミノフェノール化合物(VIII)と称することがある。]と、例えば、数平均分子量15000〜25000のポリフェニレンエーテルを有機溶媒中で、公知の再分配反応をさせることにより、ポリフェニレンエーテルの低分子量化を伴いながら、分子中に第一級アミノ基を有するポリフェニレンエーテル化合物(A')[以下、ポリフェニレンエーテル化合物(A')と称することがある。]を製造し、次いで、前記ポリフェニレンエーテル化合物(A')と一般式(IX)で表されるビスマレイミド化合物[以下、ビスマレイミド化合物(IX)と称することがある。]をマイケル付加反応させることによって、ポリフェニレンエーテル誘導体(A)を製造することができる。

(式中、R及びyは、前記一般式(Z)中のものと同じである。)

(式中、Aは、前記一般式(Z)中のものと同じである。)
アミノフェノール化合物(VIII)としては、例えば、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール等が挙げられる。ビスマレイミド化合物(IX)としては、例えば、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
上記ビスマレイミド化合物(IX)及び必要により反応触媒等を、ポリフェニレンエーテル化合物(A')溶液中に所定量仕込み、加熱、保温、攪拌しながらマイケル付加反応させることによりポリフェニレンエーテル誘導体(A)が得られる。この工程での反応条件としては、作業性及びゲル化抑制の観点から、例えば、反応温度は50〜160℃、反応時間は1〜10時間の範囲であってもよい。
樹脂組成物中のポリフェニレンエーテル誘導体(A)の含有量は、特に制限はないが、優れた高周波特性(低誘電率、低誘電正接)、導体との高接着性、優れた耐熱性、高ガラス転移温度、低熱膨張係数及び高難燃性を有する樹脂組成物を得る観点から、樹脂組成物に含まれる樹脂総量中、2〜50質量%であってもよく、5〜40質量%であってもよく、10〜30質量%であってもよい。
樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂としては、分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するポリマレイミド化合物(a)[以下、(a)成分と称することがある。]、又は下記一般式(VI)で表されるポリアミノビスマレイミド化合物(B)[以下、(B)成分と称することがある。]が好ましい。
ポリアミノビスマレイミド化合物(B)は、例えば、(a)成分と分子中に2個の一級アミノ基を有する芳香族ジアミン化合物(b)[以下、(b)成分と称することがある。]とを有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより得られる。

(式中、Aは前記一般式(Z)中のAの定義と同じであり、Aは下記一般式(VII)で表される基である。)

(式中、R17及びR18は各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子である。式中、Aは炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボオキシ基、ケト基、フルオレニレン基、単結合、又は下記一般式(VII-1)もしくは(VII-2)で表される基である。q’及びr’は各々独立に0〜4の整数である。)

(式中、R19及びR20は各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。Aは炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、m−又はp−フェニレンジイソプロピリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボオキシ基、ケト基又は単結合である。s’及びt’は各々独立に0〜4の整数である。)

(式中、R21は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。A10及びA11は各々独立に、炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボオキシ基、ケト基又は単結合である。wは0〜4の整数である。)
前記一般式(VII)、(VII-1)又は(VII-2)中のR17、R18、R19、R20及びR21が表す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子としては、一般式(I)中のRと同じものが挙げられる。該脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基であってもよく、メチル基、エチル基であってもよい。
前記一般式(VII)又は(VII-1)中のA及びAが表す炭素数1〜5のアルキレン基及び炭素数2〜5のアルキリデン基、及び前記一般式(VII-2)中のA10及びA11が表す炭素数1〜5のアルキレン基としては、前記一般式(III)中のAの場合と同様に説明される。
q’及びr’は0〜4の整数であり、入手容易性の観点から、いずれも0〜2の整数であってもよく、0又は2であってもよい。s’及びt’は0〜4の整数であり、入手容易性の観点から、いずれも0〜2の整数であってもよく、0又は1であってもよく、0であってもよい。wは0〜4の整数であり、入手容易性の観点から、0〜2の整数であってもよく、0であってもよい。
前記(a)成分としては、特に限定されるものではなく、例えば、前記ビスマレイミド化合物(IX)と同じものを適用してもよい。
前述のとおり、ポリアミノビスマレイミド化合物(B)は、前記(a)成分と、分子中に2個の一級アミノ基を有する芳香族ジアミン化合物(b)と、を有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより得ることができる。
前記(b)成分としては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン等が挙げられる。
樹脂組成物中のポリアミノビスマレイミド化合物(B)の含有量は、特に制限はないが、優れた高周波特性(低誘電率、低誘電正接)、導体との高接着性、優れた耐熱性、高ガラス転移温度、低熱膨張係数及び高難燃性を有する樹脂組成物を得る観点から、樹脂組成物に含まれる樹脂総量中、50〜98質量%であってもよく、60〜95質量%であってもよく、70〜90質量%であってもよい。
樹脂組成物に含まれる樹脂としては、導体との高接着性、優れた耐熱性、高ガラス転移温度、低熱膨張係数及び高難燃性を有する樹脂組成物を得る観点から、ポリフェニレンエーテル誘導体(A)及びポリアミノビスマレイミド化合物(B)からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、ポリフェニレンエーテル誘導体(A)とポリアミノビスマレイミド化合物(B)とを併用することがより好ましい。
≪無機充填材≫
絶縁層(1−II)32に必要に応じて含まれる無機充填材としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミナ、酸化チタン、マイカ、シリカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、タルク、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素等が用いられる。これらの無機充填材は単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填材の形状は、特に限定されるものではなく、球状、破砕状等の無機充填材を用いることができる。
無機充填材の体積平均粒子径は、特に限定されるものではないが、例えば、0.01〜50μmとしてもよく、0.1〜15μmとしてもよい。
樹脂に対する無機充填材の配合割合は、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂の合計量100質量部に対して、1〜1000質量部とすることができる。無機充填材の配合割合が前記範囲内であると、より良好な接着性が得られるようになる他、絶縁層の靭性、耐熱性、耐薬品性等がより向上する傾向がある。更に、熱膨張を抑制する観点からは、樹脂の合計量100質量部に対して、1〜800質量部とすることができ、10〜500質量部とすることができる。
難燃剤としては、特に限定されないが、臭素系、リン系、金属水酸化物等の難燃剤が用いられる。難燃剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
難燃剤の配合割合は、特に限定されないが、例えば、樹脂の合計量100質量部に対して、10〜200質量部とすることができ、15〜150質量部とすることができ、20〜100質量部とすることができる。難燃剤の配合割合が10質量部以上だと耐燃性がより向上する傾向があり、200質量部以下だと耐熱性、接着性、及び成形性がより向上する傾向がある。
各種添加剤としては、特に限定されないが、例えば、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、滑剤等が挙げられる。これらの添加剤は、それぞれ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物から積層板を作製したときの誘電率は特に限定されない。誘電率の不均一性を軽減する観点から、4.5以下であることが好ましい。
〔ガラスクロス〕
ガラスクロスは特に限定されるものではないが、ヤーンを高密度に編んだもの、開繊された繊維糸(開繊糸)を用いたものであれば、誘電率の不均一性を軽減できる。また、縦糸と横糸に同種のガラス繊維糸を用いれば、同様に誘電率の不均一性を軽減できる。
ガラス繊維としては、Eガラス、NEガラス、Dガラス、Qガラス等が例示でき、縦糸と横糸に、含浸する樹脂に近い誘電率のガラス繊維糸を用いたもの等を用いることで誘電率の不均一性をさらに軽減できる。
ガラスクロスの誘電率は、誘電率の不均一性を軽減する観点から、5.0以下であることが好ましく、4.5以下であることがより好ましい。
絶縁層(1−II)32は、ガラスクロスと樹脂組成物との誘電率の差が1.0以下である層である。
ガラスクロスと樹脂組成物との誘電率の差を1.0以下にするためには、使用するガラスクロスの誘電率に、樹脂組成物の誘電率を近づければよい。例えば、樹脂として前述の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を使用すれば、選択する樹脂種、その配合比率等によって一般的に誘電率を2〜4程度に制御することが可能である。誘電率の差が更に大きい場合、この樹脂に、樹脂よりも高い誘電率を有する無機充填材、難燃剤等を加えれば、当該樹脂の誘電率を更に高めることができる。例えば、Eガラスの誘電率は6.8程度であり、一般的なエポキシ樹脂の誘電率は3.8程度であるから、Eガラスのガラスクロスに対しては、エポキシ樹脂100質量部と誘電率10程度のアルミナフィラー300質量部とを混合した樹脂組成物を用いることで、ガラスクロスと樹脂組成物との誘電率の差を1.0以下にすることができる。
絶縁層(1−II)32の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、30〜400μmであり、薄型化と損失低減を両立する観点からは、40〜300μmとすることができ、同様の観点から、50〜200μmとすることができる。
(絶縁層(1−I)31)
絶縁層(1−I)31は、ガラスクロスと樹脂組成物とを含有する層である。
絶縁層(1−I)31に含まれる樹脂組成物を構成する成分及びガラスクロスは、絶縁層(1−II)32に含まれるものと同様のものを使用できる。
絶縁層(1−I)31は、公知のプリプレグを単独で又は所定の枚数貼り合わせた後、加熱及び/又は加圧して得られるものを用いることもできる。
絶縁層(1−I)31の形成に用いられるプリプレグとしては、市販品を用いてもよい。市販品のプリプレグとしては、例えば、日立化成株式会社製「GWA−900G」、「GWA−910G」、「GHA−679G」、「GHA−679G(S)」、「GZA−71G」(いずれも商品名)等を用いることができる。
絶縁層(1−I)31の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、30〜400μmであり、薄型化と損失低減を両立する観点からは、40〜300μmとすることができ、同様の観点から、50〜200μmとすることができる。
(第一実施形態に係る多層伝送線路板の製造方法)
次に、本発明の第一実施形態に係る多層伝送線路板1Aの製造方法について説明する。
本発明の第一実施形態に係る多層伝送線路板1Aは、例えば、プリプレグの両面に銅箔を積層して硬化して得られた積層板の片側の銅箔に回路加工を施すことにより、一方の面に差動配線91を、他方の面にグランド層21を配置した絶縁層(1−II)32を形成し、次いで差動配線91が形成された面に絶縁層(1−I)31を形成するためのプリプレグと、グランド層11を構成する銅箔とをこの順に積層して成形する方法により製造することができる。
〔プリプレグ〕
絶縁層(1−I)31を形成するためのプリプレグは、前述のとおり市販品を用いてもよく、公知の方法で得たものを用いてもよい。
絶縁層(1−I)31を形成するためのプリプレグは、例えば、前記樹脂及び、必要に応じて使用される前記無機充填材等を有機溶媒に溶解及び/又は分散して得られた樹脂ワニスを、前記ガラスクロスに含浸する方法により得られる。
樹脂ワニスをガラスクロスに含浸する方法としては、特に限定されないが、例えば、ガラスクロスを樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターにより樹脂ワニスをガラスクロスに塗布する方法、スプレーによって樹脂ワニスをガラスクロスに吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、樹脂ワニスの含浸性を向上させる観点から、ガラスクロスを樹脂ワニスに浸漬する方法を用いることができる。
絶縁層(1−II)32を形成するためのプリプレグは、例えば、前記樹脂組成物を有機溶媒に溶解及び/又は分散して得られた樹脂ワニスを、前記ガラスクロスに前述の方法で含浸することにより得られる。
樹脂ワニスに用いる有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、カルビトール、ブチルカルビトール等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、酢酸エチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素類などの有機溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂ワニスの固形分(不揮発分)濃度は、特に限定されないが、例えば、5〜80質量%とすることができる。
樹脂ワニスをガラスクロスに含浸した後の乾燥条件は、例えば、乾燥後のプリプレグ中の有機溶媒の含有量が10質量%以下となる条件とすることができ、また、5質量%以下となる条件とすることができる。例えば、30〜60質量%の有機溶媒を含むワニスを50〜150℃で3〜10分程度乾燥させることにより、プリプレグを形成することができる。
プリプレグを硬化させた際の誘電率は特に限定されないが、高周波領域での使用により適合する観点から、4.0以下であることが好ましく、3.8以下であることがより好ましい。
プリプレグの厚さは、形成する絶縁層の厚さに応じて適宜決定すればよい。
〔積層成形条件〕
本発明の第一実施形態に係る多層伝送線路板の成形方法及び成形条件は、特に限定されないが、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の成形方法及び成形条件を適用することができる。具体的には、例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。
なお、グランド層は、上記のとおり金属箔の積層によって形成してもよく、乾式メッキ等の公知の方法を使用して形成してもよい。
得られた多層伝送線路板の絶縁層に穴開けを行ってビアホール、スルーホールを形成してもよい。穴開けは、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができる。
以上述べた本発明の第一実施形態に係る多層伝送線路板では、図5に示すように絶縁層(1−I)31と絶縁層(1−II)32が上下反対になる構成を、上記と同様に形成して用いることもできる。また、絶縁層(1−I)31と絶縁層(1−II)32を構成するプリプレグは同一のものであってもよい。
次に、本発明の第二実施形態に係る多層伝送線路板について説明する。
<第二実施形態に係る多層伝送線路板>
図4は、本発明の第二実施形態に係る多層伝送線路板2Aを示す模式的断面図である。
図4に示すように、本発明の第二実施形態に係る多層伝送線路板2Aは、一対のグランド層12、22と、一対のグランド層12、22のうち一方のグランド層12と他方のグランド層22との間に配置された差動配線92と、差動配線92と一方のグランド層12との間に配置された絶縁層(2−I)41と、差動配線92と他方のグランド層22との間に配置された絶縁層(2−II)42とを含む。絶縁層(2−I)41は、ガラスクロスを含有せず、樹脂を含有する層であり、絶縁層(2−II)42は、ガラスクロスと樹脂組成物とを含有する層であり、絶縁層(2−II)42におけるガラスクロスと樹脂組成物との誘電率の差が1.0以下である、多層伝送線路板である。
本発明の第二実施形態に係る多層伝送線路板2Aは、図3に示す第一実施形態における多層伝送線路板1Aにおける絶縁層(1−I)31を、ガラスクロスを含有しない絶縁層(2−I)41に変更することで、伝送損失の増加をより抑制しながらスキューを低減することができると考えられる。
本発明の第二実施形態に係る多層伝送線路板2Aに用いられる、グランド層12、22、差動配線92、絶縁層(2−I)41及び絶縁層(2−II)42に用いられる樹脂及び樹脂組成物を構成する成分、並びにガラスクロスは、本発明の第一実施形態に係る多層伝送線路板1Aに用いられるものと同様のものが用いられる。
絶縁層(2−I)41の厚さ及び絶縁層(2−II)42の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、30〜400μmであり、薄型化と損失低減を両立する観点からは、40〜300μmとすることができ、同様の観点から、50〜200μmとすることができる。
(第二実施形態に係る多層伝送線路板の製造方法)
本発明の第二実施形態に係る多層伝送線路板2Aは、例えば、プリプレグの両面に銅箔を積層して硬化して得られた積層板の片側の銅箔に回路加工を施すことにより、一方の面に差動配線92を、他方の面にグランド層22を配置した絶縁層(2−II)42を形成し、次いで差動配線92が形成された面に絶縁層(2−I)41を形成するための樹脂フィルムと、グランド層12を構成する銅箔とをこの順に積層して成形する方法により製造することができる。
〔樹脂フィルム〕
絶縁層(2−I)41を形成するための樹脂フィルムは、公知の方法で得ることができ、例えば、前記樹脂を、必要に応じて前記その他の成分と混合した後、支持体上に層形成する方法により得られる。
樹脂の混合方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
樹脂を支持体上に層形成する方法としては、例えば、樹脂を有機溶媒に溶解及び/又は分散することにより樹脂ワニスを調製し、該樹脂ワニスを各種コーターを用いて支持体に塗布し、加熱、熱風吹きつけ等により乾燥する方法が挙げられる。
このようにして得られる樹脂フィルムは、半硬化(Bステージ化)させたものであってもよい。半硬化した樹脂フィルムは、積層し硬化する際に接着力が確保される状態、且つ差動配線92への埋めこみ性(流動性)が確保される状態としてもよい。
樹脂ワニスに用いる有機溶媒としては、前記プリプレグの製造に用いることができる有機溶媒を用いることができる。樹脂ワニスの固形分(不揮発分)濃度は、特に限定されないが、例えば、5〜80質量%とすることができる。
樹脂ワニスを支持体上に塗布する際に用いるコーターは、形成する樹脂フィルムの厚さ等に応じて適宜選択すればよく、例えば、ダイコーター、コンマコーター、バーコーター、キスコーター、ロールコーター等を用いることができる。
樹脂ワニスを支持体上に塗布した後の乾燥条件は、例えば、乾燥後の樹脂フィルム中の有機溶媒の含有量が10質量%以下となる条件とすることができ、また、5質量%以下となる条件とすることができる。例えば、30〜60質量%の有機溶媒を含むワニスを50〜150℃で3〜10分程度乾燥させることにより、樹脂フィルムを形成することができる。乾燥条件は、予め簡単な実験により適宜、好適な乾燥条件を設定することができる。
樹脂フィルムの厚さは、形成する絶縁層の厚さに応じて適宜決定すればよい。
樹脂フィルムの支持体は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート、ポリイミド等からなるフィルム、更には離型紙、金属箔(銅箔、アルミニウム箔等)などが挙げられる。なお、支持体及び後述する保護フィルムには、マット処理、コロナ処理の他、離型処理等を施してもよい。
支持体の厚さは、例えば、10〜150μmとすることができ、また、25〜50μmとすることができる。樹脂フィルムの支持体が設けられていない面には、保護フィルムを更に積層することができる。保護フィルムは、支持体の材質と同じであってもよく、異なっていてもよい。保護フィルムの厚さは、例えば、1〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、異物混入を防止することができ、樹脂フィルムをロール状に巻き取って保管することもできる。
第二実施形態に係る多層伝送線路板2Aの製造方法に用いられるプリプレグ、樹脂フィルム等の積層成形条件は、第一実施形態に係る多層伝送線路板1Aと同様である。
以上述べた本発明の第二実施形態に係る多層伝送線路板では、絶縁層(2−I)41及び絶縁層(2−II)42が上下反対になる構成を、上記と同様に形成して用いることもできる。
本発明の第一及び第二実施形態のいずれの多層伝送線路板においても、低損失材を用いれば伝送損失が低減され、信号品質を一層向上することが可能である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
なお、本発明の多層伝送線路板及びプリプレグは、1GHz以上の高周波信号を扱う電子機器に好適に用いることができ、特に10GHz以上の高周波信号又は30GHz以上の高周波信号を扱う電子機器に好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、必ずしも以下の実施例に限定されない。
[合成例1]
(ポリフェニレンエーテル誘導体(A)の製造)
下記手順に従って、分子中に少なくとも1個のN−置換マレイミド基を有するポリフェニレンエーテル誘導体(A)を製造した。
温度計、還流冷却管、撹拌装置を備えた加熱及び冷却可能な容積2リットルのガラス製フラスコ容器に、トルエン190質量部、PPO640(ポリフェニレンエーテル、数平均分子量:約16000、SABICイノベーティブプラスチックス社製)100質量部、p−アミノフェノール1.35質量部を投入し、フラスコ内の温度を90℃に設定し、保温して撹拌しながら溶解した。溶解を目視で確認後、パーブチル−I(t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、日油株式会社製)2質量部とナフテン酸マンガン0.15質量部とを添加し、溶液温度90℃で4時間反応させた後、70℃に冷却して分子末端に一級アミノ基を有するポリフェニレンエーテル化合物(A’)を得た。
次に上記反応溶液に、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(大和化成工業株式会社製、商品名「BMI−4000」)7.2質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル190質量部を加えて、攪拌しながら液温を昇温し、120℃で保温しながら4時間反応させた後、冷却及び200メッシュ濾過してポリフェニレンエーテル誘導体(A)を製造した。
[合成例2]
(ポリアミノビスマレイミド化合物(B)の製造)
温度計、還流冷却管、撹拌装置を備えた加熱及び冷却可能な容積1リットルのガラス製フラスコ容器に、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン50質量部、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(大和化成工業株式会社製、商品名「BMI−5100」)50質量部、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン(三井化学株式会社製、商品名「ビスアニリンM」)14質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル50質量部を投入し、液温を120℃に保ったまま、撹拌しながら3時間反応させた後、冷却及び200メッシュ濾過してポリアミノビスマレイミド化合物(B)を製造した。
[製造例1]
(熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニス)1の調製)
上記で得られたポリフェニレンエーテル誘導体(A)100質量部、ポリアミノビスマレイミド化合物(B)450質量部、無機充填材AlOOH(ベーマイト型水酸化アルミニウム、密度3.0g/cm3、河合石灰工業株式会社製)870質量部、硬化促進剤パーブチル−P(α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、日油株式会社製)7質量部、G−8009L(イソシアネートマスクイミダゾール、第一工業製薬株式会社製)7質量部、メチルエチルケトン800質量部を用いて、60℃で加熱しながら攪拌及び混合して、固形分(不揮発分)濃度約55質量%の熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニス)1を調製した。
[製造例2]
(熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニス)2の調製)
無機充填材AlOOHを640質量部、メチルエチルケトンを620質量部とした以外は、製造例1と同様にして、固形分(不揮発分)濃度約55質量%の熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニス)2を調製した。
[製造例3]
(熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニス)3の調製)
無機充填材AlOOHを460質量部、メチルエチルケトンを470質量部とした以外は、製造例1と同様にして、固形分(不揮発分)濃度約55質量%の熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニス)3を調製した。
[製造例4]
(銅張積層板1の作製)
前記熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニス)1を、厚さ0.1mmのガラス布(NEガラス、日東紡績株式会社製、誘電率:4.4)に塗工した後、160℃で7分間加熱乾燥して、樹脂含有量(樹脂分)約54質量%のプリプレグを作製した。このプリプレグの上下に、厚さ18μmのロープロファイル銅箔(FV−WS、M面Rz:1.5μm、古河電気工業株式会社製)をM面が接するように配置し、温度230℃、圧力3.9MPa、時間180分間の条件で加熱加圧成形して、銅張積層板1(厚さ:130μm)を作製した。なお、この樹脂ワニスを温度230℃、時間180分の条件で加熱硬化して作製した樹脂板の誘電率を、空洞共振器摂動法(摂動法空洞共振器:CP531、株式会社関東電子応用開発製)にて、10GHz帯で測定したところ、4.4(10GHz)であった。
[製造例5]
(銅張積層板2の作製)
熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニス)を前記熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニス)2とした以外は、製造例4と同様にして、銅張積層板2(厚さ:130μm)を作製した。なお、この樹脂ワニスから、製造例4と同様の条件で作製した樹脂板の誘電率を、空洞共振器摂動法(摂動法空洞共振器:CP531、株式会社関東電子応用開発製)にて、10GHz帯で測定したところ、4.0(10GHz)であった。
[製造例6]
(銅張積層板3の作製)
熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニス)を前記熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニス)3とした以外は、製造例4と同様にして、銅張積層板3(厚さ:130μm)を作製した。なお、この樹脂ワニスから、製造例4と同様の条件で作製した樹脂板の誘電率を、空洞共振器摂動法(摂動法空洞共振器:CP531、株式会社関東電子応用開発製)にて、10GHz帯で測定したところ、3.6(10GHz)であった。
[実施例1]
(多層伝送線路板1A−1の作製)
図3に示す多層伝送線路板1Aを次の手順で作製した。
まず、前記銅張積層板1の片面の銅箔をエッチングでパターニングすることにより、内層回路板Pを形成した。すなわち、内層回路板Pとは絶縁層(1−II)32の一方の面に差動配線91を、他方の面にグランド層21を配置したものを指す。
次に、厚さが130μmのプリプレグ(日立化成株式会社製、商品名:GWA−910G)を内層回路板Pの差動配線91側の面に重ね合わせ、更にそのプリプレグの差動配線91とは反対側の面に、グランド層11を構成する厚さ18μmの銅箔(FV−WS、M面Rz:1.5μm、古河電気工業株式会社製)を重ね合わせて、温度230℃、圧力3.9MPa、時間180分の条件で積層一体化処理を施し、層間接続前の多層伝送線路板を得た。
続いて、上記多層伝送線路板のグランド層11、21をエッチングでパターニングし、測定端子を形成した。上記測定端子のグランドパターン部にドリル穴開けを行い、無電解めっきにより層間接続を行い、多層伝送線路板1A−1を作製した。
[実施例2]
(多層伝送線路板1A−2の作製)
実施例1において、銅張積層板を銅張積層板2とした以外は、実施例1と同様の手順により、多層伝送線路板1A−2を作製した。
[実施例3]
(多層伝送線路板1A−3の作製)
実施例1において、銅張積層板を銅張積層板3とした以外は、実施例1と同様の手順により、多層伝送線路板1A−3を作製した。
[実施例4]
(多層伝送線路板2A−1の作製)
図4に示す多層伝送線路板2Aを次の手順で作製した。
まず、前記銅張積層板1の片面の銅箔をエッチングでパターニングすることにより、内層回路板Qを形成した。すなわち、内層回路板Qとは絶縁層(2−II)42の一方の面に差動配線92を、他方の面にグランド層22を配置したものを指す。
次に、絶縁層(2−I)41を形成するための樹脂フィルムを次の手順で作製した。
2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(ロンザ社製、商品名:BADCY)48質量部(固形分量)、p−(α−クミル)フェノール(東京化成工業株式会社製)4質量部(固形分量)、及びナフテン酸マンガン(和光純薬工業株式会社製)0.008質量部(固形分量)をトルエン21mlに溶解させ、110℃で約3時間加熱反応させた。
その後、温度を80℃とし、この溶液にスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:タフテックH1051、スチレン含有比率:42%、数平均分子量Mn66,000)48質量部(固形分量)、トルエン80ml、及びメチルエチルケトン25mlを撹拌しながら配合して室温まで冷却した。そして、ナフテン酸亜鉛(和光純薬工業株式会社製)0.02質量部(固形分量)を配合して調製したワニスから、65μm厚の半硬化の樹脂フィルムを作製した。
次に、作製した樹脂フィルムを前記内層回路板Qの差動配線92側の面に2枚重ね合わせ、温度120℃、圧力0.5MPa、時間40秒の条件で仮圧着した。更に、樹脂フィルムの差動配線92とは反対側の面に、グランド層12を構成する厚さ18μmの銅箔(FV−WS、M面Rz:1.5μm、古河電気工業株式会社製)を重ね合わせて、温度230℃、圧力3.9MPa、時間180分の条件で積層一体化処理を施し、層間接続前の多層伝送線路板を得た。
続いて、上記多層伝送線路板のグランド層12、22をエッチングでパターニングし、測定端子を形成した。上記測定端子のグランドパターン部にドリル穴開けを行い、無電解めっきにより層間接続を行い、多層伝送線路板2A−1を作製した。
[実施例5]
(多層伝送線路板2A−2の作製)
実施例4において、銅張積層板を銅張積層板2とした以外は、実施例4と同様にして、多層伝送線路板2A−2を作製した。
[実施例6]
(多層伝送線路板2A−3の作製)
実施例4において、銅張積層板を銅張積層板3とした以外は、実施例4と同様にして、多層伝送線路板2A−3を作製した。
[比較例1]
(多層伝送線路板4A−1の作製)
図6に示す多層伝送線路板4Aを、以下の手順で作製した。
まず、絶縁層62の両面に銅箔が形成された積層板(日立化成株式会社製、商品名:LW−900G)を準備した。絶縁層62の厚さは130μmであり、銅箔の厚さは18μm、絶縁層62側の導体表面粗さ(Rz)は1.5μmである。
次に、前記積層板の片面の銅箔をエッチングでパターニングすることにより、内層回路板Sを形成した。すなわち、内層回路板Sとは絶縁層62の一方の面に差動配線94を、他方の面にグランド層24を配置したものを指す。
次に、絶縁層61として用いる厚さが130μmのプリプレグ(日立化成株式会社製、商品名:GWA−900G)を内層回路板Sの差動配線94側の面に重ね、更にそのプリプレグの差動配線94とは反対側の面に、グランド層14を構成する厚さ18μmの銅箔(FV−WS、M面Rz:1.5μm、古河電気工業株式会社製)を重ね合わせて、温度230℃、圧力3.9MPa、時間180分の条件で積層一体化処理を施し、層間接続前の多層伝送線路板を得た。
続いて、上記多層伝送線路板のグランド層14、24をエッチングでパターニングし、測定端子を形成した。上記測定端子のグランドパターン部にドリル穴開けを行い、無電解めっきにより層間接続を行い、多層伝送線路板4A−1を作製した。
[比較例2]
(多層伝送線路板4A−2の作製)
絶縁層61としてプリプレグ(日立化成株式会社製、商品名:GWA−910G)を使用した以外は、比較例1と同様にして、多層伝送線路板4A−2を作製した。
[比較例3]
(多層伝送線路板4A−3の作製)
絶縁層61としてプリプレグ(日立化成株式会社製、商品名:GWA−910G)を、絶縁層62として積層板(日立化成株式会社製、商品名:LW−910G)を使用した以外は、比較例1と同様にして、多層伝送線路板4A−3を作製した。
[スキューの測定方法]
上記で得られた各多層伝送線路板のスキューを、以下に示す方法により測定した。
同軸ケーブル(HUBER−SUHNER社製、商品名:SUCOFLEX104)を介して接続されたネットワークアナライザー(キーサイトテクノロジー社製、商品名:N5227A)から差動配線に10GHzの高周波信号を入射し、信号が配線を伝搬する際の遅延時間を測定した。配線間の遅延時間差からスキューを算出した。
従来構造を有する比較例1の多層伝送線路板のスキューを100%と定義し、比較例1のスキューに対する割合(%)をそれぞれ表1に示した。該数値が小さい方が、スキュー低減効果が高いことを示す。
実施例1〜3は、従来構造を有する比較例1〜3の多層伝送線路板4Aにおいて、絶縁層の一部を、ガラスクロスと樹脂組成物との誘電率の差が1.0以下になるように変更した例である。実施例1〜3は、いずれもスキューは23〜33%に低減している。これは、材料の置き換えにより、誘電率の不均一性が改善されたためであると考えられる。
実施例4〜6は、実施例1〜3の絶縁層の一部を、さらにガラスクロスを含有しない材料に変更した例である。いずれもスキューは8%以下に大きく低減している。これは、材料の置き換えにより誘電率の不均一性がより大きく改善されたためであると考えられる。
上述した測定結果から、本発明の多層伝送線路板が、複雑なプロセスを用いることなく、差動伝送においてスキューを低減することが可能であることが分かる。
1A〜4A 多層伝送線路板
11〜14、21〜24 グランド層
31 絶縁層(1−I)
32 絶縁層(1−II)
41 絶縁層(2−I)
42 絶縁層(2−II)
51 絶縁層(3−I)
52 絶縁層(3−II)
61、62 ガラスクロスと樹脂組成物とを含有する絶縁層
91〜94 差動配線

Claims (4)

  1. 一対のグランド層と、
    前記一対のグランド層のうち一方のグランド層と他方のグランド層との間に配置された差動配線と、
    前記差動配線と前記一方のグランド層との間に配置された絶縁層Iと、
    前記差動配線と前記他方のグランド層との間に配置された絶縁層IIとを有し、
    前記絶縁層I又は絶縁層IIの一方がガラスクロスと樹脂組成物とを含有する層であり、
    前記絶縁層I又は絶縁層IIの他方がガラスクロスを含有せず、樹脂組成物を含有する層であり、
    前記ガラスクロスと樹脂組成物とを含有する層における前記ガラスクロスと前記樹脂組成物との誘電率の差が1.0以下である、多層伝送線路板。
  2. 前記ガラスクロスの誘電率が5.0以下である、請求項1に記載の多層伝送線路板。
  3. 前記ガラスクロスと樹脂組成物とを含有する層の樹脂組成物、及び前記ガラスクロスを含有せず、樹脂組成物を含有する層の樹脂組成物からなる群から選択される1以上の樹脂組成物が、分子中に少なくとも1個のN−置換マレイミド基を有するポリフェニレンエーテル誘導体を含有する、請求項1又は2に記載の多層伝送線路板。
  4. 前記絶縁層I及び前記絶縁層IIの厚さが、30〜400μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層伝送線路板。
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