JP2018012767A - 樹脂層付プリプレグ、金属張積層板及び伝送線路板 - Google Patents

樹脂層付プリプレグ、金属張積層板及び伝送線路板 Download PDF

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JP2018012767A JP2016142551A JP2016142551A JP2018012767A JP 2018012767 A JP2018012767 A JP 2018012767A JP 2016142551 A JP2016142551 A JP 2016142551A JP 2016142551 A JP2016142551 A JP 2016142551A JP 2018012767 A JP2018012767 A JP 2018012767A
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近藤 裕介
Yusuke Kondo
裕介 近藤
隆雄 谷川
Takao Tanigawa
隆雄 谷川
悦男 水嶋
Etsuo Mizushima
悦男 水嶋
裕希 永井
Yuki Nagai
裕希 永井
富男 福田
Tomio Fukuda
富男 福田
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Abstract

【課題】複雑なプロセスを用いることなく、差動伝送において信号品質を向上することが可能な樹脂層付プリプレグ、金属張積層板及び伝送線路板を提供すること。
【解決手段】本発明は、プリプレグと、プリプレグの両面に設けられた樹脂層と、を備え、樹脂層が、マレイミド基及びマレイミド基に結合する2価の基を有する化合物を含有する樹脂組成物からなり、2価の基が、マレイミド基に結合する飽和又は不飽和の2価の炭化水素基及びマレイミド基以外の少なくとも2つのイミド基を含む、樹脂層付プリプレグ等を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、樹脂層付プリプレグ、金属張積層板及び伝送線路板に関する。より詳細には、Gbpsオーダーの差動伝送方式による高速デジタル伝送に用いる樹脂層付プリプレグ、金属張積層板及びこれらを用いた伝送線路板に関する。
信号の高速化に伴い、信号の劣化による読み取りエラーの抑制が必要になっている。この対策として、下記の2つの対策が重要となっている。一つは、低伝送損失の配線板を得るために、比誘電率及び誘電正接が低い樹脂を基板材料として使用する方法である。もう一つは、差動伝送方式におけるスキュー又はコモンモードノイズを抑制する方法である。
差動伝送方式とは、ペア配線に逆相の信号を入力し、出力側の線路端で信号を合成して出力信号を得る伝送方式である。低電圧化して高速動作が可能となることに加え、コモンモードノイズを抑制できることから高速伝送に有利な伝送方式とされている。
差動伝送に関しては、基板材料に用いられているガラスクロスの影響が指摘されている。図1の(a)に示すように、ガラスクロス1は、複数のガラス繊維2を縦と横に織られた構造を有するため、織り目部分ではガラス繊維2(縦糸2aと横糸2bと)が互いに重なっている。したがって、ガラスクロスと樹脂との複合材料において、ガラス繊維の織り目部分は、ガラスの存在比率が高くなり、一方、ガラス繊維同士の重なりがない部分ではガラスの存在比率が低くなる。このように、複合材料面内における樹脂とガラスとの存在比率は均一ではない。
また、樹脂とガラスとでは誘電率が異なるため、複合材料面内における樹脂とガラスとの存在比率が不均一であれば、複合材料面内における誘電率も不均一になる。図1の(b)に示すように、差動配線3が形成された多層伝送線路板4では、ガラス(繊維)2の存在比率が高く樹脂5の存在比率が低い部分P1と、ガラス(繊維)2の存在比率が低く樹脂5の存在比率が高い部分P2とのそれぞれに差動配線3が存在し得るが、この場合、信号速度がそれぞれの部分P1、P2で異なるため、受信側で信号の到達時間にずれ(スキュー)が生じ、信号品質を低下させる。
スキュー対策として、配線パターンをガラスの織り方向に対して斜めに配置する等の設計技術による対策が行われているが、この方法によると、配線パターンの面付けが非効率なものとなり、材料ロスを招くことから、別の解決手段が求められている。
一方、低伝送損失の配線板を得るために、ガラスクロスを含まず、かつ低伝送損失な樹脂フィルムを適用することが試みられている。樹脂フィルムの材料として用いられる樹脂としては、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、全芳香族ポリエステルの液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンエーテル(PPO又はPPE)樹脂等が知られている。
また、低伝送損失を示す材料として、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂にシアネートエステル樹脂を配合した硬化性樹脂組成物を用いるポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム(特許文献1参照)、ポリフェニレンオキサイド、架橋性ポリマー及び架橋性モノマーと、難燃剤とを含有させた樹脂組成物からなるシート(特許文献2参照)、不飽和基を含む硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム(特許文献3参照)、変性シアネートエステル系樹脂フィルム(特許文献4及び5参照)、シアネートエステル樹脂、エポキシ樹脂及び熱可塑性樹脂を配合したフィルム状接着剤が知られている(特許文献6参照)。
特公平1−53700号公報 特公平5−77705号公報 特開平7−188362号公報 特開平11−124451号公報 特開2003−138133号公報 特開平9−279121号公報
しかしながら、いずれの材料においても、高周波領域における誘電特性(低比誘電率及び低誘電正接)には改良の余地がある。
そこで、本発明は、複雑なプロセスを用いることなく、差動伝送において信号品質を向上することが可能な樹脂層付プリプレグ、金属張積層板及び伝送線路板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく検討を進めた結果、下記本発明のように誘電特性に優れる樹脂とガラスクロスを含む材料を組み合わせることにより、当該課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、次の[1]〜[3]を提供する。
[1] プリプレグと、プリプレグの両面に設けられた樹脂層と、を備え、樹脂層が、マレイミド基及びマレイミド基に結合する2価の基を有する化合物を含有する樹脂組成物からなり、2価の基が、マレイミド基に結合する飽和又は不飽和の2価の炭化水素基及びマレイミド基以外の少なくとも2つのイミド基を含む、樹脂層付プリプレグ。
[2] プリプレグと、プリプレグの両面に設けられた樹脂層と、樹脂層のうちの少なくとも1層の、プリプレグとは反対側の面上に設けられた金属箔と、を備え、樹脂層が、マレイミド基及びマレイミド基に結合する2価の基を有する化合物を含有する樹脂組成物からなり、2価の基が、マレイミド基に結合する飽和又は不飽和の2価の炭化水素基及びマレイミド基以外の少なくとも2つのイミド基を含む、金属張積層板。
[3] プリプレグと、プリプレグの両面に設けられた樹脂層と、樹脂層のうちの少なくとも1層の、プリプレグとは反対側の面上に設けられた回路層と、を備え、樹脂層が、マレイミド基及びマレイミド基に結合する2価の基を有する化合物を含有する樹脂組成物からなり、2価の基が、マレイミド基に結合する飽和又は不飽和の2価の炭化水素基及びマレイミド基以外の少なくとも2つのイミド基を含む、伝送線路板。
本発明によれば、複雑なプロセスを用いることなく、差動伝送において信号品質を向上することが可能な樹脂層付プリプレグ、金属張積層板及び伝送線路板を提供することができる。
また、本発明に係る樹脂層付プリプレグ及び金属張積層板は、誘電特性に優れる樹脂とガラスクロスを含む材料を組み合わせることから、伝送線路板を作製する際の取扱い性、機械特性及び寸法安定性にも優れる。
(a)はガラスクロスの織り目を示す模式平面図であり、(b)は多層伝送線路板におけるガラスクロス及び差動配線の配置例を示す模式断面図である。 本実施形態に係る樹脂層付プリプレグを示す模式的断面図である。 本実施形態に係る金属張積層板を示す模式的断面図である。 本実施形態に係る伝送線路板を示す模式的断面図である。 従来の金属張積層板を示す模式的断面図である。 従来の伝送線路板を示す模式的断面図である。
以下、場合により図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。なお、特に断らない限り、明細書において記載される大きさ、量、物理的特性等を表す全ての数字は、「約」という用語によって修飾されているものと理解することもできる。したがって、そうでないことが示されない限り、明細書で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。端点による数値範囲の使用には、その範囲内に含まれる全ての数(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等が含まれる)及びその範囲内の任意の範囲が含まれる。
[樹脂層付プリプレグ]
図2は、本実施形態に係る樹脂層付プリプレグを示す模式的断面図である。図2に示すように、樹脂層付プリプレグ11は、プリプレグ12と、プリプレグ12の両面に設けられた樹脂層13a及び13bと、を備えている。なお、本明細書では、樹脂層を樹脂フィルムということがある。プリプレグ12の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、30〜400μmである。薄型化と損失低減を両立する観点からは、40〜300μmであってもよく、50〜200μmであってもよい。樹脂層13a及び13bの厚さは、特に限定されるものではないが、フィルム形成性の観点からは、0〜150μmとしてもよく、0.01〜100μmとしてもよい。また、必要に応じて作製したフィルムを複数枚重ねて張り合わせてもよい。
(プリプレグ)
プリプレグ12は、繊維基材及び繊維基材を熱硬化性樹脂組成物に含浸して乾燥又は半硬化したものである。プリプレグは、市販品を用いてもよく、公知の方法で得たものを用いてもよい。例えば、熱硬化性樹脂及び必要に応じて後述する無機充填剤等を有機溶媒に溶解及び/又は分散して得られた樹脂ワニスを、ガラスクロスに含浸する方法によって得られる。樹脂ワニスをガラスクロスに含浸する方法としては、特に限定されないが、例えば、ガラスクロスを樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターにより樹脂ワニスをガラスクロスに塗布する方法、スプレー等によって樹脂ワニスをガラスクロスに吹き付ける方法などが挙げられる。これらの中でも、樹脂ワニスの含浸性を向上させる観点から、ガラスクロスを樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。
繊維基材は特に限定されるものではないが、誘電率の不均一性を低減する観点から、ヤーンを高密度に編んだもの、開繊された繊維糸(開繊糸)等を用いてもよい。ガラスクロスの縦糸と横糸に同種のガラス繊維糸を用いると、同様に誘電率の不均一性を更に低減できる。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いることができ、含浸する樹脂ワニスの誘電率に近い誘電率のガラス繊維糸を縦糸及び横糸に用いたもの等を用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、高周波特性及び熱膨張特性の観点からは、ナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂又はビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。
シアネートエステル樹脂としては、特に制限されないが、例えば、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、α,α’−ビス(4−シアナトフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、フェノール付加ジシクロペンタジエン重合体のシアネートエステル化合物、フェノールノボラック型シアネートエステル化合物、クレゾールノボラック型シアネートエステル化合物等が挙げられる。これら熱硬化性樹脂は、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、安価である点、高周波特性及びその他特性の総合バランスを考慮すると、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンが好ましい。
市販品のプリプレグとしては、例えば、日立化成株式会社製「GWA−900G」、「GWA−910G」、「GHA−679G」、「GHA−679G(S)」、「GZA−71G」(いずれも商品名)等を用いることができる。
また、本実施形態に係るプリプレグは、後述する樹脂層を形成するために用いられる樹脂組成物を含んでいてもよい。
(樹脂層)
樹脂層13a及び13bは、マレイミド基及びマレイミド基に結合する2価の基を有する化合物を含有する樹脂組成物からなる。上記2価の基は、マレイミド基に結合する飽和又は不飽和の2価の炭化水素基及びマレイミド基以外の少なくとも2つのイミド基を含む。
<マレイミド基及びマレイミド基に結合する2価の基を有する化合物>
本実施形態に係る、マレイミド基及びマレイミド基に結合する2価の基を有する化合物であって、2価の基が、マレイミド基に結合する飽和又は不飽和の2価の炭化水素基及びマレイミド基以外の少なくとも2つのイミド基を含む、化合物を「(A)成分」ということがある。また、(A)成分のうち、マレイミド基を「構造(a)」、マレイミド基に結合する2価の基を「構造(b)」、マレイミド基に結合する飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を「構造(b1)」及びマレイミド基以外の少なくとも2つのイミド基を「構造(b2)」ということがある。(A)成分を用いることで、高周波特性及び導体との高い接着性を有する樹脂組成物を得ることができる。
構造(a)は特に限定されず、一般的なマレイミド基である。構造(a)は、後述する構造(b)のうち構造(b1)と結合するが、構造(a)における構造(b1)との結合位置は限定されない。構造(a)における構造(b1)との結合位置としては、例えば、下記式(XIV)で表されるように、マレイミド基の窒素原子が挙げられる。
Figure 2018012767
構造(b)は、構造(b1)及び構造(b2)を含む。これらのうち構造(b1)が上記構造(a)と結合する。
構造(b1)における飽和又は不飽和の2価の炭化水素基は、特に限定されず、飽和又は不飽和の2価の直鎖状炭化水素基、飽和又は不飽和の2価の分岐状炭化水素基、及び飽和又は不飽和の2価の環状炭化水素基のいずれであってもよい。また、不飽和の2価の環状炭化水素基は、芳香族基であってもよい。飽和又は不飽和の2価の炭化水素基の炭素数は、8〜300、8〜250、8〜200又は8〜100であってもよい。構造(b1)は、炭素数8〜300、8〜250、8〜200又は8〜100の分岐を有していてもよいアルキレン基であることが好ましく、炭素数10〜70の分岐を有していてもよいアルキレン基であるとより好ましく、炭素数15〜50の分岐を有していてもよいアルキレン基であると更に好ましい。(A)成分が構造(b1)を有することで、本実施形態に係る樹脂組成物の可とう性が向上し、樹脂組成物から作製される樹脂フィルムの取扱い性(タック性、割れ、粉落ち等)及び強度を高めることが可能となる。また、上記の炭素数を有する構造(b1)は、分子構造を三次元化し易く、ポリマーの自由体積を増大させて低密度化、すなわち低誘電率化できるため好ましい。
構造(b1)としては、例えば、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、テトラデシレン基、ヘキサデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基等のアルキレン基;ベンジレン基、フェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基;フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、ベンジルプロピレン基、ナフチレンメチレン基、ナフチレンエチレン基等のアリーレンアルキレン基;フェニレンジメチレン基、フェニレンジエチレン基等のアリーレンジアルキレン基などが挙げられる。
高周波特性、低熱膨張特性、導体との接着性、耐熱性及び低吸湿性の観点から、構造(b1)として下記式(II)で表される基が特に好ましい。
Figure 2018012767
式(II)中、R及びRは各々独立に炭素数4〜50のアルキレン基を示す。柔軟性の更なる向上及び合成容易性の観点から、R及びRは各々独立に、炭素数5〜25のアルキレン基であることが好ましく、炭素数6〜10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数7〜10のアルキレン基であることが更に好ましい。
式(II)中、Rは炭素数4〜50のアルキル基を示す。柔軟性の更なる向上及び合成容易性の観点から、Rは炭素数5〜25のアルキル基であることが好ましく、炭素数6〜10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数7〜10のアルキル基であることが更に好ましい。
式(II)中、Rは炭素数2〜50のアルキル基を示す。柔軟性の更なる向上及び合成容易性の観点から、Rは炭素数3〜25のアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数5〜8のアルキル基であることが更に好ましい。
流動性及び回路埋め込み性の観点からは、構造(b1)は、(A)成分中に複数存在すると好ましい。その場合、構造(b1)はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、(A)成分中に2〜40の構造(b1)が存在することが好ましく、2〜20の構造(b1)が存在することがより好ましく、2〜10の構造(b1)が存在することが更に好ましい。
構造(b2)としては特に限定されないが、例えば、下記式(I)で表される基が挙げられる。
Figure 2018012767
式(I)中、Rは4価の有機基を示す。Rは4価の有機基であれば特に限定されないが、例えば、取扱い性の観点から、炭素数1〜100の炭化水素基であってもよく、炭素数2〜50の炭化水素基であってもよく、炭素数4〜30の炭化水素基であってもよい。
は、置換又は非置換のシロキサン基を含んでいてもよい。シロキサン基としては、例えば、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン等に由来する基が挙げられる。
が置換されている場合、置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、アルコキシ基、メルカプト基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、ヘテロ環基、置換ヘテロ環基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミノ基、アミド基、−C(O)H、−NRC(O)−N(R、−OC(O)−N(R、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバメート基、スルホンアミド基等が挙げられる。ここで、Rは水素原子又はアルキル基を示す。これらの置換基は目的、用途等に合わせて、1種類又は2種類以上を選択できる。
としては、例えば、1分子中に2個以上の無水物環を有する酸無水物の4価の残基、すなわち、酸無水物から酸無水物基(−C(=O)OC(=O)−)を2個除いた4価の基であることが好ましい。酸無水物としては、後述するような化合物が例示できる。
機械強度の観点から、Rは芳香族基であることが好ましく、無水ピロメリット酸から2つの酸無水物基を取り除いた残基であることがより好ましい。すなわち、構造(b2)は下記式(III)で表される基であることがより好ましい。
Figure 2018012767
流動性及び回路埋め込み性の観点からは、構造(b2)は、(A)成分中に複数存在することが好ましい。その場合、構造(b2)は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。(A)成分中の構造(b2)の数は、2〜40であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましい。
誘電特性の観点から、構造(b2)は、下記式(IV)又は下記式(V)で表される基であってもよい。
Figure 2018012767
Figure 2018012767
(A)成分は、例えば、下記式(XIII)で表される化合物であってもよい。
Figure 2018012767
式(XIII)中、Rは飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を示し、飽和又は不飽和の2価の炭化水素基は、上記構造(b1)と同じものが使用できる。Rは式(I)中のRと同様の4価の有機基を示し、nは1〜10の整数を表す。
(A)成分としては市販されている化合物を使用することもできる。市販されている化合物としては、例えば、デジグナーモレキュールズインコーポレイテッド社製の製品が挙げられ、具体的には、BMI−1500、BMI−1700、BMI−3000、BMI−5000、BMI−9000(いずれも商品名)等が挙げられる。より良好な高周波特性を得る観点から、(A)成分としてBMI−3000を使用することがより好ましい。
BMI−1500は、式(XII−1)で表される構造を有し、BMI−1700は、式(XII−1)で表される構造を有し、BMI−3000、BMI−5000及びBMI−9000は、式(XII−3)の構造を有していると推定される。式(XII−1)〜式(XII−3)中、nは1〜10の整数を表す。
Figure 2018012767
Figure 2018012767
Figure 2018012767
樹脂組成物中の(A)成分の含有量は特に限定されない。耐熱性の観点から(A)成分の含有量の下限値は、樹脂組成物の全質量を基準として2質量%以上、10質量%以上又は15質量%以上であってもよい。また、低熱膨張係数の観点から(A)成分の含有量の上限値は、樹脂組成物の全質量を基準として98質量%以下、90質量%以下、50質量%以下、30質量%以下又は20質量%以下であってもよい。耐熱性の観点から、(A)成分の含有量は樹脂組成物の全質量を基準として2〜98質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが更に好ましく、15〜30質量%であることが特に好ましく、15〜20質量%であることがより一層好ましい。
(A)成分の分子量は特に限定されない。流動性の観点から(A)成分の重量平均分子量(Mw)の下限値は、500以上、1000以上、1500以上、1700以上、2000以上、2500以上又は3000以上であってもよい。また、取扱性の観点から(A)成分のMwの上限値は、10000以下、9000以下、7000以下又は5000以下であってもよい。取扱性、流動性及び回路埋め込み性の観点より(A)成分のMwは、500〜10000であることが好ましく、1000〜9000であることがより好ましく、1500〜9000であることが更に好ましく、1500〜7000であることがより一層好ましく、1700〜5000であることが特に好ましい。
(A)成分のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定することができる。
なお、GPCの測定条件は下記のとおりである。
ポンプ:L−6200型[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
検出器:L−3300型RI[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
カラムオーブン:L−655A−52[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
ガードカラム及びカラム:TSK Guardcolumn HHR−L+TSKgel G4000HHR+TSKgel G2000HHR[すべて東ソー株式会社製、商品名]
カラムサイズ:6.0×40mm(ガードカラム)、7.8×300mm(カラム)
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:30mg/5mL
注入量:20μL
流量:1.00mL/分
測定温度:40℃
(A)成分を製造する方法は限定されない。(A)成分は、例えば、酸無水物とジアミンとを反応させてアミン末端化合物を合成した後、該アミン末端化合物を過剰の無水マレイン酸と反応させることで作製してもよい。
酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの酸無水物は目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。なお、前述のとおり、上記式(I)のRとして、上記に挙げられるような酸無水物に由来する4価の有機基を用いることができる。より良好な誘電特性の観点から、酸無水物は、無水ピロメリット酸であることが好ましい。
ジアミンとしては、例えば、ダイマージアミン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ポリオキシアルキレンジアミン、[3,4−ビス(1−アミノヘプチル)−6−ヘキシル−5−(1−オクテニル)]シクロヘキセン等が挙げられる。これらは目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
<マレイミド基を有する化合物>
本実施形態に係る樹脂組成物は、マレイミド基を有する化合物を更に含むことができる。本実施形態に係るマレイミド基を有する化合物を(B)成分ということがある。なお、上記(A)成分及び(B)成分の双方に該当し得る化合物は、(A)成分に帰属するものとする。(B)成分を用いることで、樹脂組成物は、特に低熱膨張特性に優れるものとなる。すなわち、本実施形態に係る樹脂組成物は、(A)成分と(B)成分とを併用することにより、良好な誘電特性を維持しつつ、低熱膨張特性等を更に向上させることができる。この理由として、(A)成分と(B)成分とを含む樹脂組成物から得られる硬化物は、低誘電特性を備える(A)成分からなる構造単位と、低熱膨張特性を備える(B)成分からなる構造単位とを備えるポリマーを含むためと推測される。
(B)成分は、(A)成分よりも熱膨張係数が低いことが好ましい。(A)成分よりも熱膨張係数が低い(B)成分としては、例えば、(A)成分よりも分子量が小さい化合物、(A)成分よりも多くの芳香環を有する化合物、主鎖が(A)成分よりも短い化合物等が挙げられる。
樹脂組成物中の(B)成分の含有量は特に限定されない。低熱膨張性の観点から、(B)成分の含有量の下限値は、樹脂組成物の全質量を基準として1質量%以上、2質量%以上又は5質量%以上であってもよい。また、誘電特性の観点から(B)成分の含有量の上限値は、樹脂組成物の全質量を基準として20質量%以下、15質量%以下又は10質量%以下であってもよい。低熱膨張性の観点から、(B)成分の含有量は樹脂組成物の全質量を基準として1〜20質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましく、5〜10質量%であることが更に好ましい。
樹脂組成物中の(A)成分と(B)成分との配合割合は特に限定されない。誘電特性及び低熱膨張係数の観点から、(A)成分と(B)成分の質量比(B)/(A)が0.01〜3であることが好ましく、0.03〜2であることがより好ましく、0.05〜1であることが更に好ましい。
樹脂組成物中の(A)成分及び(B)成分の含有量の合計は特に限定されない。耐熱性の観点から、(A)成分及び(B)成分の含有量の合計の下限値は、樹脂組成物の全質量を基準として2質量%以上又は10質量%以上であってもよい。また、低熱膨張係数の観点から(A)成分及び(B)成分の含有量の合計の上限値は、樹脂組成物の全質量を基準として98質量%以下、50質量%以下、30質量%以下又は20質量%以下であってもよい。耐熱性の観点から、(A)成分及び(B)成分の含有量の合計は、樹脂組成物の全質量を基準として2〜98質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが更に好ましく、10〜20質量%であることがより一層好ましい。
このような(B)成分は特に限定されず、マレイミド基の他に、マレイミド基に結合する芳香族基、マレイミド基に結合する脂肪族基等を有する化合物を含んでいてもよい。熱膨張係数をより効果的に低減させる観点から、(B)成分は、マレイミド基及びマレイミド基に結合する芳香族基を有する化合物を含むことが好ましい。芳香族基は剛直で低熱膨張であるため、マレイミド基及びマレイミド基に結合する芳香族基を有する化合物を用いることで、更に熱膨張係数を低減させることができる。また、マレイミド基を有する化合物は、マレイミド基を2個以上有するポリマレイミド化合物であることも好ましい。
(B)成分としてのマレイミド基を有する化合物の具体例としては、1,2−ジマレイミドエタン、1,3−ジマレイミドプロパン、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,7−ジマレイミドフルオレン、N,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−(1,3−(4−メチルフェニレン))ビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)エ−テル、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(3−マレイミドフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(2−(3−マレイミドフェニル)プロピル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル)−1−プロピル)ベンゼン、ビス(マレイミドシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(マレイミドフェニル)チオフェン等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、吸湿性及び熱膨張係数をより低下させる観点からは、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンを用いることが好ましい。樹脂組成物から形成される樹脂フィルムの破壊強度及び金属箔引きはがし強さを更に高める観点からは、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンを用いることが好ましい。吸湿性及び熱膨張係数をより低下させる観点からは、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンを用いることが好ましい。
成形性の観点からは、(B)成分は、例えば、下記式(VI)で表される、ポリアミノビスマレイミド化合物を含むことが好ましい。
Figure 2018012767
式(VI)中、Aは下記式(VII)、(VIII)、(IX)又は(X)で表される基を示し、Aは下記式(XI)で表される基を示す。
Figure 2018012767
式(VII)中、R10は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。
Figure 2018012767
式(VIII)中、R11及びR12は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、Aは炭素数1〜5のアルキレン基若しくはアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基、単結合又は下記式(VIII−1)で表される基を示す。
Figure 2018012767
式(VIII−1)中、R13及びR14は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、Aは炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基又は単結合を示す。
Figure 2018012767
式(IX)中、iは1〜10の整数を表す。
Figure 2018012767
式(X)中、R15及びR16は各々独立に、水素原子又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示し、jは1〜8の整数を表す。
Figure 2018012767
式(XI)中、R17及びR18は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示し、Aは、炭素数1〜5のアルキレン基若しくはアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基、フルオレニレン基、単結合、下記式(XI−1)で表される基又は下記式(XI−2)で表される基を示す。
Figure 2018012767
式(XI−1)中、R19及びR20は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、Aは、炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、m−フェニレンジイソプロピリデン基、p−フェニレンジイソプロピリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基又は単結合を示す。
Figure 2018012767
式(XI−2)中、R21は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、A10及びA11は各々独立に、炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基又は単結合を示す。
(B)成分は、有機溶媒への溶解性、高周波特性、導体との高接着性、プリプレグの成形性等の観点から、上記式(VI)で表されるポリアミノビスマレイミド化合物として用いることが好ましい。ポリアミノビスマレイミド化合物は、例えば、末端に2個のマレイミド基を有する化合物と、分子中に2個の一級アミノ基を有する芳香族ジアミン化合物とを有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより得られる。
分子中に2個の一級アミノ基を有する芳香族ジアミン化合物は特に限定されないが、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、1,3−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル)ベンゼン等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
また、有機溶媒への溶解性が高く、合成時の反応率が高く、かつ耐熱性を高くできる観点からは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン又は1,3−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル)ベンゼンが好ましい。これらは目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
ポリアミノビスマレイミド化合物を製造する際に使用される有機溶媒は特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、酢酸エチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素類などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。また、これらの中でも、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミドが溶解性の観点から好ましい。
<触媒>
本実施形態に係る樹脂組成物は、(A)成分の硬化を促進するための触媒を更に含有してもよい。触媒の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物の全質量を基準として0.1〜5質量%であってもよい。触媒としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物等を用いることができる。
過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、2−ブタノンパーオキサイド、tert−ブチルパーベンゾエイト、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン及びtert−ブチルヒドロパーオキシドが挙げられる。アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)及び1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)が挙げられる。
<熱硬化性樹脂>
本実施形態に係る樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分とは異なる熱硬化性樹脂を更に含有することができる。なお、(A)成分又は(B)成分に該当し得る化合物は、熱硬化性樹脂に帰属しないものとする。熱硬化性樹脂を含むことで、樹脂組成物の低熱膨張特性等を向上させることができる。なお、熱硬化性樹脂としては、上記プリプレグにおいて述べたものと同様の熱硬化性樹脂が挙げられ、ここでは重複する説明は省略する。
<硬化剤>
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記熱硬化性樹脂の硬化剤を更に含有してもよい。これにより、樹脂組成物の硬化物を得る際の反応を円滑に進めることができるとともに、得られる樹脂組成物の硬化物の物性を適度に調節することが可能となる。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤としては特に制限されないが、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジシアンジアミド等のポリアミン化合物;ビスフェノールA、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂等のポリフェノール化合物;無水フタル酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物;各種カルボン酸化合物;各種活性エステル化合物などが挙げられる。
熱硬化性樹脂としてシアネートエステル樹脂を用いる場合、硬化剤としては特に限定されないが、例えば、各種モノフェノール化合物、各種ポリフェノール化合物、各種アミン化合物、各種アルコール化合物、各種酸無水物、各種カルボン酸化合物等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
<硬化促進剤>
本実施形態に係る樹脂組成物には、上記熱硬化性樹脂の種類に応じて硬化促進剤を更に配合してもよい。エポキシ樹脂の硬化促進剤としては、例えば、潜在性の熱硬化剤である各種イミダゾール類、BFアミン錯体、リン系硬化促進剤等が挙げられる。硬化促進剤を配合する場合、樹脂組成物の保存安定性、半硬化の樹脂組成物の取扱い性及びはんだ耐熱性の観点から、イミダゾール類及びリン系硬化促進剤が好ましい。
<無機充填剤>
本実施形態に係る樹脂組成物は、無機充填剤を更に含有してもよい。任意に適切な無機充填剤を含有させることで、樹脂組成物の低熱膨張特性、高弾性率性、耐熱性、難燃性等をより効果的に向上させることができる。無機充填剤としては特に制限されないが、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、マイカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー、タルク、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
無機充填剤の形状及び粒径についても特に制限はない。無機充填剤の粒径は、例えば、0.01〜20μmであっても、0.1〜10μmであってもよい。ここで、粒径とは、平均粒子径を指し、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めた時、体積50%に相当する点の粒子径のことである。平均粒径はレーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
無機充填剤を用いる場合、その使用量は特に制限されないが、例えば、樹脂組成物中の固形分を全量として無機充填剤の含有比率が3〜75体積%であることが好ましく、5〜70体積%であることがより好ましい。樹脂組成物中の無機充填剤の含有比率が上記の範囲である場合、良好な硬化性、成形性及び耐薬品性が得られ易くなる。
無機充填剤を用いる場合、無機充填剤の分散性、有機成分との密着性を向上させる等の目的で、必要に応じ、カップリング剤を併用できる。このようなカップリング剤としては特に限定されず、例えば、チタネートカップリング剤、各種のシランカップリング剤等を用いることができる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。また、カップリング剤の使用量も特に限定されず、例えば、使用する無機充填剤100質量部に対して0.1〜5質量部としてもよいし、0.5〜3質量部としてもよい。この範囲であれば、諸特性の低下が少なく、無機充填剤の使用による特長を効果的に発揮し易くなる。
カップリング剤を用いる場合、樹脂組成物中に無機充填剤を配合した後、カップリング剤を添加する、いわゆるインテグラルブレンド処理方式であってもよいが、予め無機充填剤にカップリング剤を、乾式又は湿式で表面処理した無機充填剤を使用する方式が好ましい。この方法を用いることで、より効果的に上記無機充填剤の特長を発現できる。
<熱可塑性樹脂>
本実施形態に係る樹脂組成物は、樹脂フィルムの取扱い性を高める観点から、熱可塑性樹脂を更に含有してもよい。熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず、分子量も限定されないが、(A)成分との相溶性をより高める点から、数平均分子量(Mn)が200〜60000であることが好ましい。
フィルム形成性及び耐吸湿性の観点から、熱可塑性樹脂は、熱可塑性エラストマであることが好ましい。熱可塑性エラストマとしては飽和型熱可塑性エラストマ等が挙げられ、飽和型熱可塑性エラストマとしては化学変性飽和型熱可塑性エラストマ、非変性飽和型熱可塑性エラストマ等が挙げられる。化学変性飽和型熱可塑性エラストマとしては、無水マレイン酸で変性されたスチレン−エチレン−ブチレン共重合体等が挙げられる。化学変性飽和型熱可塑性エラストマの具体例としては、タフテックM1911、M1913、M1943(全て旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名)等が挙げられる。一方、非変性飽和型熱可塑性エラストマとしては、非変性のスチレン−エチレン−ブチレン共重合体等が挙げられる。非変性飽和型熱可塑性エラストマの具体例としては、タフテックH1041、H1051、H1043、H1053(全て旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名)等が挙げられる。
フィルム形成性、誘電特性及び耐吸湿性の観点から、飽和型熱可塑性エラストマは、分子中にスチレンユニットを有することがより好ましい。なお、本明細書において、スチレンユニットとは、重合体における、スチレン単量体に由来する単位を指し、飽和型熱可塑性エラストマとは、スチレンユニットの芳香族炭化水素部分以外の脂肪族炭化水素部分が、いずれも飽和結合基によって構成された構造を有するものをいう。
飽和型熱可塑性エラストマにおけるスチレンユニットの含有比率は、特に限定されないが、飽和型熱可塑性エラストマの全質量に対するスチレンユニットの質量百分率で、10〜80質量%であると好ましく、20〜70質量%であるとより好ましい。スチレンユニットの含有比率が上記範囲内であると、フィルム外観、耐熱性及び接着性に優れる傾向にある。
分子中にスチレンユニットを有する飽和型熱可塑性エラストマの具体例としては、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体が挙げられる。スチレン−エチレン−ブチレン共重合体は、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体のブタジエンに由来する構造単位が有する不飽和二重結合に水素添加を行うことにより得ることができる。
熱可塑性樹脂の含有量は特に限定されないが、誘電特性を更に良好にする観点からは樹脂組成物の固形分を全量として0.1〜15質量%であることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることが更に好ましい。
<難燃剤>
本実施形態に係る樹脂組成物には、難燃剤を更に配合してもよい。難燃剤としては特に限定されないが、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、金属水酸化物等が好適に用いられる。臭素系難燃剤としては、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化エポキシ樹脂;ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレン、2,4,6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン等の臭素化添加型難燃剤;トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、臭素化スチレン等の不飽和二重結合基含有の臭素化反応型難燃剤などが挙げられる。これらの難燃剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ−2,6−キシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族系リン酸エステル;フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル、フェニルホスホン酸ビス(1−ブテニル)等のホスホン酸エステル;ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体等のホスフィン酸エステル;ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物;リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸アンモニウム、リン含有ビニルベンジル化合物、赤リン等のリン系難燃剤などが挙げられる。金属水酸化物難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。これらの難燃剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記した各成分を、必要に応じて溶媒を用いて均一に分散及び混合することによって得ることができ、その調製手段、条件等は特に限定されない。例えば、所定配合量の各種成分をミキサー等によって十分に均一に撹拌及び混合した後、ミキシングロール、押出機、ニーダー、ロール、エクストルーダー等を用いて混練し、更に得られた混練物を冷却及び粉砕する方法が挙げられる。なお、混練形式についても特に限定されない。溶媒については特に限定されないが、例えば後述する樹脂ワニスに用いる有機溶媒と同様のものを使用することができる。
本実施形態に係る樹脂層付プリプレグ11は、例えば、下記の製造方法に従って製造することができる。すなわち、樹脂層13a及び13bを形成するための樹脂フィルムを製造し、当該樹脂フィルムをプリプレグ12の両面に積層させて樹脂層付プリプレグ11を得る。プリプレグ12の製造方法については、上述したとおりである。樹脂層13a及び13bを形成するための樹脂フィルムは、公知の方法で製造することができ、例えば、上述した樹脂組成物を混合した後、支持体上に層形成する方法により得ることができる。樹脂組成物の混合方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。樹脂組成物を支持体上に層形成する方法としては、例えば、樹脂組成物を有機溶媒に溶解及び/又は分散することにより樹脂ワニスを調製し、該樹脂ワニスを各種コーターを用いて支持体に塗布し、加熱、熱風吹き付け等により乾燥する方法が挙げられる。このようにして得られる樹脂フィルムは、半硬化(Bステージ)させたものであってもよい。半硬化した樹脂フィルムは、積層し硬化する際に接着力が確保される状態、且つ配線への埋め込み性(流動性)が確保される状態としてもよい。
樹脂ワニスに用いる有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、カルビトール、ブチルカルビトール等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、酢酸エチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素類などの有機溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂ワニスの固形分(不揮発分)濃度は、特に限定されないが、例えば5〜80質量%とすることができる。
樹脂ワニスを支持体上に塗布する際に用いるコーターは、形成する樹脂フィルムの厚さ等に応じて適宜選択すればよく、例えば、ダイコーター、コンマコーター、バーコーター、キスコーター、ロールコーター等であってよい。
樹脂ワニスを支持体上に塗布した後の乾燥条件は、例えば、乾燥後の樹脂フィルム中の有機溶媒の含有量が10質量%以下となる条件とすることができ、また、5質量%以下となる条件とすることができる。例えば、30〜60質量%の有機溶媒を含むワニスを50〜150℃で3〜10分間程度乾燥させることにより、樹脂フィルムを形成することができる。乾燥条件は、予め簡単な実験により好適な乾燥条件を設定することができる。
樹脂フィルムの支持体は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド等からなるフィルム、銅箔、アルミニウム箔等の金属箔、離型紙などが挙げられる。なお、支持体及び後述する保護フィルムには、マット処理、コロナ処理、離型処理等を施してもよい。
支持体の厚さは、例えば、10〜150μmとすることができ、また、25〜50μmとすることができる。樹脂フィルムの厚さは、形成する樹脂層の厚さに応じて適宜決定すればよい。
樹脂フィルムの支持体が設けられていない面には、保護フィルムを更に積層することができる。保護フィルムは、支持体の材質と同じであってもよく、異なっていてもよい。保護フィルムの厚さは、例えば、1〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、異物混入を防止することができ、樹脂フィルムをロール状に巻き取って保管することもできる。
上記で得られた樹脂フィルムを上述のプリプレグの両面に積層させる方法としては、プリプレグを1枚又は複数枚貼り合わせたものに、樹脂フィルムを貼り合わせ、加熱及び/又は加圧する方法が挙げられる。より具体的には、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、例えば、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間の条件で成形を行うことができる。なお、樹脂フィルムをプリプレグにラミネートする際には、保護フィルムがある場合は保護フィルムを剥離してからラミネートし、ラミネート後に支持体を剥離すればよい。
[樹脂層付金属箔]
本実施形態に係る樹脂層付金属箔は、金属箔と、金属箔上に設けられた樹脂層と、を備えている。
(金属箔)
樹脂層付金属箔に用いられる金属箔としては、特に限定されるものではないが、従来のプリント配線板等の導電層に適用されるものであってよく、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミ箔等であってよい。取扱性及びコストの観点からは、好ましくは銅箔である。
金属箔は、その防錆性、耐薬品性、耐熱性等を向上させる観点から、ニッケル、錫、亜鉛、クロム、モリブデン、コバルト等によるバリアー層形成処理が施されていてもよい。また、金属箔は、絶縁層(樹脂層)との接着性を向上させる観点から、表面粗化処理、シランカップリング剤等による処理などの表面処理が施されていてもよい。
金属箔として、市販品の金属箔を用いてもよい。市販品の金属箔としては、例えば、銅箔である「F2−WS」(古河電気工業株式会社製、商品名、Rz=2.0μm)、「F0−WS」(古河電気工業株式会社製、商品名、Rz=1.2μm)、「3ECVLP」(三井金属鉱業株式会社製、商品名、Rz=3.0μm)等が商業的に入手可能である。
金属箔は、1種の金属材料からなる単層構造を有していてもよく、複数の金属材料からなる単層構造を有していてもよく、異なる材質の金属層を複数積層した積層構造を有していてもよい。金属箔の厚さは、特に限定されず、求める性能等に応じて適宜決定すればよい。
本実施形態に係る樹脂層付金属箔は、例えば、下記の製造方法に従って製造することができる。すなわち、樹脂層を形成するための樹脂フィルムを製造し、当該樹脂フィルムを金属箔上の一方の面又は両面に積層させて樹脂層付金属箔を得る。樹脂フィルムの製造方法については、上記樹脂層付プリプレグにおいて説明したとおりであり、ここでは重複する説明を省略する。
得られた樹脂フィルムを上述の金属箔上の一方の面又は両面に積層させる方法としては、金属箔を1枚又は複数枚貼り合わせたものに、樹脂フィルムを貼り合わせ、加熱及び/又は加圧する方法が挙げられる。具体的な成形条件等は、上記樹脂層付プリプレグにおける成形条件等と同様とすることができる。
また、金属箔は金属箔の積層によって形成してもよく、乾式めっき等の公知の方法を使用して形成してもよい。
[金属張積層板]
本実施形態に係る金属張積層板は、繊維基材及び繊維基材に含浸している熱硬化性樹脂組成物を備えるプリプレグと、プリプレグの両面に設けられた樹脂層と、樹脂層のうちの少なくとも1層の、プリプレグとは反対側の面上に設けられた金属箔と、を備える。図3は、本実施形態に係る金属張積層板の一態様を示す模式的断面図である。図3に示すように、金属張積層板21は、プリプレグ12と、プリプレグ12の両面に設けられた樹脂層13a及び13bと、樹脂層13a及び13bの、プリプレグ12とは反対側の面上にそれぞれ設けられた金属箔22a及び22bと、を備えている。
本実施形態に係る金属張積層板21は、例えば、下記の製造方法に従って製造することができる。すなわち、上記で得られた本実施形態に係る樹脂層付プリプレグ11における樹脂層13a及び13bの、プリプレグ12とは反対側の面上に金属箔22a及び22bを積層させ、樹脂成分を硬化させて金属張積層板21を得る。樹脂層付プリプレグ11の製造方法については、上記で説明したとおりであり、ここでは重複する説明を省略する。
樹脂層付プリプレグ11における樹脂層13a及び13bの、プリプレグ12とは反対側の面上に金属箔22a及び22bを積層させる方法としては、上記面上に金属箔を1枚又は複数枚貼り合わせたものを貼り合わせ、加熱及び/又は加圧する方法が挙げられる。なお、金属箔は金属箔の積層によって形成してもよく、乾式めっき等の公知の方法を使用して形成してもよい。
また、本実施形態に係る金属張積層板21は、プリプレグ12の両面に、上記で得られた本実施形態に係る樹脂層付金属箔を、樹脂層付金属箔の樹脂層側がプリプレグ12の面と接するように積層させ、樹脂成分を硬化させて得ることもできる。樹脂層付金属箔の製造方法については、上記で説明したとおりであり、ここでは重複する説明を省略する。
プリプレグ12の両面に、樹脂層付金属箔を、樹脂層付金属箔の樹脂層側がプリプレグ12の面と接するように積層させる方法としては、プリプレグ12の面と樹脂層付金属箔を樹脂層側の面とを貼り合わせ、加熱及び/又は加圧する方法が挙げられる。
[伝送線路板]
本実施形態に係る伝送線路板は、繊維基材及び繊維基材に含浸している熱硬化性樹脂組成物を備えるプリプレグと、プリプレグの両面に設けられた樹脂層と、樹脂層のうちの少なくとも1層の、プリプレグとは反対側の面上に設けられた回路層と、を備える。図4は、本実施形態に係る伝送線路板の一態様を示す模式的断面図である。図4に示すように、伝送線路板31は、プリプレグ12と、プリプレグ12の両面に設けられた樹脂層13a及び13bと、樹脂層13aの、プリプレグ12とは反対側の面上に設けられた差動配線32と、樹脂層13bの、プリプレグ12とは反対側の面上に設けられた金属箔22bと、を備えている。
なお、本実施形態に係る伝送線路板において、「差動配線」とは、製造された伝送線路板の差動配線として機能するように回路加工が施された金属箔(回路層)であればよく、伝送線路板の製造過程での該回路層をも含む。また、本実施形態に係る伝送線路板において、金属箔22bをグランド層ということがあり、「グランド層」とは、製造された伝送線路板のグランド層として機能するような金属箔(導体層)であればよく、伝送線路板の製造過程での該導体層をも含む。
(回路層)
回路層は、特に限定されず、例えば金属箔から構成される差動配線であってよい。金属箔としては、例えば、上述した樹脂層付金属箔に適用可能な金属箔を使用することができる。
本実施形態に係る伝送線路板31は、例えば、下記の製造方法に従って製造することができる。すなわち、上記で得られた金属張積層板21における金属箔22a及び22bの一方(例えば金属箔22a)に回路加工を施すことにより、差動配線32を形成させて伝送線路板31を得る。なお、回路加工を施さない金属箔(例えば金属箔22b)は、グランド層を構成する。なお、金属張積層板21の製造方法については、上記で説明したとおりであり、ここでは重複する説明を省略する。
得られた伝送線路板31に穴開けを行って、ビアホール、スルーホール等を形成してもよい。穴開けは、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により行われ、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができる。
以上説明した本実施形態に係る樹脂層付プリプレグ11、金属張積層板21及び伝送線路板31では、従来の金属張積層板及び伝送線路板におけるガラスクロスを含有する材料で構成されていた絶縁層の一部に、ガラスクロスを含有しない低損失材料を用いて伝送損失を低減することで、取扱い性を損なうことなく、誘電率の不均一性が軽減され、その結果、スキューを低減することができると考えられる。
なお、図5及び図6に、それぞれ従来の金属張積層板及び従来の伝送線路板の模式的断面図を示す。図5に示すように、従来の金属張積層板41は、ガラスクロスを含有するプリプレグ42と、プリプレグ42の両面に設けられた金属箔43a及び43bと、を備えている。また、図6に示すように、従来の伝送線路板51は、ガラスクロスを含有するプリプレグ42と、プリプレグ42の一方の面上に設けられた差動配線52と、プリプレグ42の他方の面上に設けられた金属箔43bと、を備えている。
これに対して本実施形態に係る樹脂層付プリプレグ、金属張積層板及び伝送線路板は、以上のような利点を有することから、Gbpsオーダーの差動伝送方式による高速デジタル伝送に好適に使用されるものである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されない。
[樹脂組成物(樹脂ワニス)]
下記手順に従って、各種の樹脂組成物を調製した。調製例1〜4及び比較調製例1の樹脂組成物の調製に用いた各原材料の使用量(質量部)は、表1にまとめて示す。
温度計、還流冷却管及び攪拌装置を備えた300mLの4つ口フラスコに、表1に示す各成分を投入し、25℃で1時間撹拌した後、#200ナイロンメッシュ(開口75μm)によりろ過し樹脂組成物を得た。
なお、表1における各材料の略号等は、以下のとおりである。
(1)BMI−1500[Mw:約1500、Designer Molecules Inc.製、商品名]
(2)BMI−1700[Mw:約1700、Designer Molecules Inc.製、商品名]
(3)BMI−3000[Mw:約3000、Designer Molecules Inc.製、商品名]
(4)BMI−5000[Mw:約5000、Designer Molecules Inc.製、商品名]
(5)BMI−1000[ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、大和化成工業株式会社製、商品名]
(6)BMI−4000[2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、大和化成工業株式会社製、商品名]
(7)NC−3000H[ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製、商品名]
(8)KA1165[ノボラック型フェノール樹脂、DIC株式会社製、商品名]
(9)シリカスラリー[球状溶融シリカ、表面処理:フェニルアミノシランカップリング剤(1質量%/スラリー中の全固形分)、分散媒:メチルイソブチルケトン(MIBK)、固形分濃度:70質量%、平均粒子径:0.5μm、密度:2.2g/cm、株式会社アドマテックス製、商品名「SC−2050KNK」]
(10)パーヘキシン25B[2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、日油株式会社製、商品名]
(11)2E4MZ[2−エチル−4−メチル−イミダゾール、四国化成工業株式会社製、商品名]
Figure 2018012767
(実施例1〜4、比較例1)
[樹脂層付金属箔]
調製例1〜4及び比較調製例1で得られた樹脂組成物(樹脂ワニス)を、コンマコーターを用いて、厚さ18μmのロープロファイル銅箔(M面Rz:3μm、古河電気工業株式会社製、商品名「F3−WS」)の粗化面(M面)上に塗工し(乾燥温度:130℃)、厚さ25μmの半硬化状態の樹脂層を備える樹脂付銅箔(樹脂層付金属箔)を作製した。なお、調製例1〜4の樹脂ワニスを用いて作製した樹脂層付金属箔が実施例1〜4に相当し、比較調製例1の樹脂ワニスを用いて作製した樹脂層付金属箔が比較例1に相当する。
[金属張積層板]
厚さ80μmのプリプレグ12(日立化成株式会社製、商品名:GWA−900G)を準備した。上記調製例1〜4及び比較調製例1で作製した25μm厚の樹脂層付金属箔をプリプレグ12の上下にそれぞれ1枚ずつ重ね合せ、温度200℃、圧力3.0MPa、時間70分の条件で積層一体化処理を施し、銅張積層板(金属張積層板21)を得た。
[伝送線路板]
上記各金属張積層板21の片面の銅箔(金属箔22a)をエッチングでパターニングすることにより、回路層としての差動配線32と測定端子を形成した。上記測定端子のグランドパターン部にドリル穴開けを行い、無電解めっきにより層間接続を行い、一方の面に差動配線32と測定端子を配置し、他方の面にグランド層(金属箔22b)を配置した伝送線路板31を作製した。
(比較例2)
厚さ130μmの銅張積層板(日立化成株式会社製、商品名:LW−900G)を準備した。この銅張積層板は、プリプレグ42と、プリプレグ42の両面に設けられた銅箔(金属箔43a及び43b)と、を備える、従来の金属張積層板41の構造を有していた。金属張積層板41の片面の金属箔43aをエッチングでパターニングすることにより、回路層としての差動配線52と測定端子を形成した。上記測定端子のグランドパターン部にドリル穴開けを行い、無電解めっきにより層間接続を行い、一方の面に差動配線52と測定端子を配置し、他方の面にグランド層(金属箔43b)を配置した伝送線路板51を作製した。この伝送線路板51は、プリプレグ42と、プリプレグ42の一方の面上に設けられた差動配線52と、プリプレグ42の他方の面上に設けられた金属箔43bと、を備える、従来の伝送線路板51の構造を有していた。
[伝送損失及びスキューの測定方法]
上記で得られた各伝送線路板のスキューを、以下に示す方法により測定した。
同軸ケーブル(HUBER−SUHNER社製、商品名:SUCOFLEX104)を介して接続されたネットワークアナライザー(キーサイトテクノロジー社製、商品名:N5227A)から差動配線に10GHzの高周波信号を入射し、信号の伝送損失(Sパラメータ)を測定した。また、信号が配線を伝搬する際の遅延時間を測定し、配線間の遅延時間差からスキューを算出した。従来構造を有する比較例2の伝送線路板のスキューを100%と定義し、比較例2のスキューに対する割合(%)をそれぞれ表2に示した。該数値が小さいほど、スキュー低減効果が高いことを示す。
Figure 2018012767
実施例1〜4の伝送線路板31は、従来構造を有する比較例2の伝送線路板51において、プリプレグと金属箔、及びプリプレグと差動配線との間に低損失な樹脂層13a及び13bを配置した例である。実施例1〜4は、各々樹脂組成物の組成が異なるが、いずれも比較例2に比べて伝送損失を低減していた。また、スキューについても、実施例1〜4は50%以下であり、比較例2に比べて大幅に低減していた。これは、ガラスクロスを含まない、誘電率の均一な樹脂層13a及び13bを備えることで、誘電率の不均一性が大きく改善されたためであると考えられる。
さらに、実施例1〜4の伝送線路板31は、既存の樹脂組成物を用いて樹脂層13a及び13bを形成した比較例1の伝送線路板31と比較して、いずれも伝送損失を低減していた。これは、本発明に係る樹脂組成物を樹脂層13a及び13bに適用することにより、誘電特性(誘電率及び比誘電率)が低減されたためと考えられる。
上述した結果から、本発明の樹脂層付プリプレグ、金属張積層板及び伝送線路板が、複雑な製造プロセスを用いることなく、差動伝送において伝送損失とスキューのいずれも低減可能であることがわかる。さらに、これらの伝送線路板は、いずれもガラスクロスを含むものであるため、取扱い性を損なうことなく上記の効果を得ることができる。
1…ガラスクロス、2…ガラス繊維、4…多層伝送線路板、5…樹脂、11…樹脂層付プリプレグ、12,42…プリプレグ、13a,13b…樹脂層、21…金属張積層板、22a,22b,43a,43b…金属箔、31…伝送線路板、3,32,52…差動配線。

Claims (3)

  1. プリプレグと、前記プリプレグの両面に設けられた樹脂層と、を備え、
    前記樹脂層が、マレイミド基及び前記マレイミド基に結合する2価の基を有する化合物を含有する樹脂組成物からなり、前記2価の基が、前記マレイミド基に結合する飽和又は不飽和の2価の炭化水素基及びマレイミド基以外の少なくとも2つのイミド基を含む、樹脂層付プリプレグ。
  2. プリプレグと、前記プリプレグの両面に設けられた樹脂層と、前記樹脂層のうちの少なくとも1層の、前記プリプレグとは反対側の面上に設けられた金属箔と、を備え、
    前記樹脂層が、マレイミド基及び前記マレイミド基に結合する2価の基を有する化合物を含有する樹脂組成物からなり、前記2価の基が、前記マレイミド基に結合する飽和又は不飽和の2価の炭化水素基及びマレイミド基以外の少なくとも2つのイミド基を含む、金属張積層板。
  3. プリプレグと、前記プリプレグの両面に設けられた樹脂層と、前記樹脂層のうちの少なくとも1層の、前記プリプレグとは反対側の面上に設けられた回路層と、を備え、
    前記樹脂層が、マレイミド基及び前記マレイミド基に結合する2価の基を有する化合物を含有する樹脂組成物からなり、前記2価の基が、前記マレイミド基に結合する飽和又は不飽和の2価の炭化水素基及びマレイミド基以外の少なくとも2つのイミド基を含む、伝送線路板。
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