JP6644797B2 - 形質転換体、およびテルペノイドの製造方法 - Google Patents

形質転換体、およびテルペノイドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、形質転換体、および当該形質転換体を用いたテルペノイドの製造方法に関する。
テルペノイド(テルペン又はイソプレノイドとも称する)は、これまでに植物や微生物等から約4万種類が単離されている化合物群であり、自然界で最も複雑かつ多様な化合物群である。テルペノイドとその誘導体とは、様々な生理活性を有していることが報告されており、医薬品、機能性食品、または香料等として広く市場に流通している。
テルペノイドは、天然における存在量が少ないこと、および、構造が複雑な化合物が多いことなどから、テルペノイドの効率的な生産技術の開発が期待されてきた。
近年、様々な宿主(例えば、大腸菌、酵母、または、植物)の代謝経路を改変することによって、テルペノイドを生産する技術の開発が試みられている(例えば、特許文献1〜3、および非特許文献1〜2参照)。
日本国公開特許公報「特開2001−190294号公報」 日本国公開特許公報「特表2006−500046号公報」 日本国公開特許公報「特表2006−500055号公報」
Falk Matthaus et. al., Production of Lycopene in the Non-Carotenoid-Producing Yeast Yarrowia lipolytica, Appl Environ Microbiol, 2014 Mar, 80(5):1660-1669 Kiyotaka Y Hara et. al., Development of a multi-gene expression system in Xanthophyllomyces dendrorhous, Microbial Cell Factories, 2014 Dec 4, 13(1):175
上述のようにテルペノイドを生産する技術の開発が進んでいるが、現在までに開発されてきた技術だけでは十分とはいえず、さらなるテルペノイドの生産技術の開発が要望されている。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、所望のテルペノイドの生産を可能とする、新規な形質転換体、および当該形質転換体を用いたテルペノイドの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、膨大な種類存在する微生物の中でも、ロドトルラ(Rhodotorula)属に属する微生物中には、脂肪酸、ステロイド、または、カロテノイドを多量に生産する種が存在することを、新たに見出した。そして、本発明者らは、これらの種に、当該種とは異なる生物種に由来する酵素(具体的には、テルペノイドを生合成する酵素、または、テルペノイドを基質とする酵素)をコードする遺伝子を導入して形質転換体を作製すれば、当該形質転換体によって、種々の構造のテルペノイド(例えば、これまでに知られていないような新規な構造のテルペノイド)を効率よく製造し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の形質転換体は、上記課題を解決するために、ロドトルラ(Rhodotorula)属に属する微生物に、当該微生物とは異なる生物種に由来する、テルペノイドを生合成する酵素、または、テルペノイドを基質とする酵素をコードする遺伝子が導入されているものであることを特徴としている。
本発明のテルペノイドの製造方法は、上記課題を解決するために、本発明の形質転換体を培養する培養工程と、上記培養工程にて得られた形質転換体からテルペノイドを回収する回収工程とを有することを特徴としている。
本発明に係る形質転換体によれば、種々の構造のテルペノイドを製造することができるという効果を奏する。
本発明に係る形質転換体によれば、テルペノイドの生合成に関連する酵素をコードする遺伝子を導入することによって、テルペノイド生合成系を活性化することができる。
本願の実施例における、コロニーPCRの結果を示す図である。 本願の実施例における、mRNAの検出結果を示す図である。 本願の実施例における、HPLCによる分析結果を示す図である。 本願の実施例における、ブレバンディモナス属に属する微生物に由来するカロテノイドケトラーゼが触媒する反応を示す図である。 本願の実施例における、コロニーPCRの結果を示す図である。 本願の実施例における、mRNAの検出結果を示す図である。 本願の実施例における、HPLCによる分析結果を示す図である。 本願の実施例における、コロニーPCRの結果を示す図である。 本願の実施例における、mRNAの検出結果を示す図である。 本願の実施例における、HPLCによる分析結果を示す図である。 本願の実施例における、アルテミシア・アヌア由来のアモルファジエン合成酵素が触媒する反応を示す図である。 本願の実施例における、コロニーPCRの結果を示す図である。 本願の実施例における、mRNAの検出結果を示す図である。 本願の実施例における、GC−MSによる分析結果を示す図である。 本願の実施例における、グリチライザ ウラレンシス由来のβ−アミリン合成酵素が触媒する反応を示す図である。 本願の実施例における、コロニーPCRの結果を示す図である。 本願の実施例における、mRNAの検出結果を示す図である。 本願の実施例における、GC−MSによる分析結果を示す図である。 本願の実施例における、グリチライザ ウラレンシス由来のルペオール合成酵素が触媒する反応を示す図である。 本願の実施例における、コロニーPCRの結果を示す図である。 本願の実施例における、mRNAの検出結果を示す図である。 本願の実施例における、GC−MSによる分析結果を示す図である。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意図する。
本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「核酸」または「核酸分子」と交換可能に使用され、ヌクレオチドの重合体が意図される。ここで、遺伝子は、DNAの形態(例えば、cDNAもしくはゲノムDNA)、または、RNA(例えば、mRNA)の形態であり得る。DNAまたはRNAは、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。一本鎖DNAまたは一本鎖RNAは、コード鎖(センス鎖)であっても、非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。また、遺伝子は、化学的に合成されたものであってもよく、コードするタンパク質の発現が向上するように、コドンユーセージ(Codon usage)が変更されたものであってもよい。同じアミノ酸をコードするコドン同士であれば置換することも可能である。また、用語「タンパク質」は、「ペプチド」または「ポリペプチド」と交換可能に使用される。本明細書において使用される場合、塩基およびアミノ酸の表記は、適宜IUPACおよびIUBの定める1文字表記または3文字表記を使用する。
本明細書中において「テルペノイド」とは、テルペノイド生合成酵素の触媒活性により、基質としてゲラニル二リン酸(GDP、GPPとも称する)(GPPの各種異性体を含む)、ファルネシル二リン酸(FDP、FPPとも称する)(FPPの各種異性体を含む)、および/または、ゲラニルゲラニル二リン酸(GGDP、GGPPとも称する)(GGPPの各種異性体を含む)から生成されるC(xは10、15、20、30、または、40であり、yは14〜54であり、yは0〜4である)の化学式を有する化合物、および、当該化合物に対して、炭素原子数の増加、炭素原子数の減少、または、酸化等の修飾を施した化合物、を意図する。テルペノイドの触媒活性による基質の環化、酸化、水酸化等の生体内の酵素反応、および付随する非酵素反応により脱水反応等が行われることがあるが、これらに限定されない。テルペノイドは、非環、単環または多環の任意の形態をとり得るが、共通して、テルペノイド基本骨格を有する。したがって、テルペノイド基本骨格を有する任意の化合物は、本明細書におけるテルペノイドの概念に包含される。
〔1.本発明に関して〕
ロドトルラ属に属する微生物には、脂肪酸、ステロイド、または、カロテノイドを多量に生産する種が存在することを本願発明者らは独自に見出した。つまり、これらの種には、脂肪酸、ステロイド、カロテノイド、および、これらの代謝物(例えば、これらの前駆体となる化合物、および/または、これらから合成される化合物)が、大量に含まれている。本発明では、これらの微生物内で、当該微生物とは異なる生物種に由来する所望の酵素を発現させるので、当該酵素が多量の基質と接触することになる。その結果、本発明は、所望のテルペノイド(例えば、新規な構造を有するテルペノイド)を大量に生産することができる。
ロドトルラ属に属する微生物に、所望の遺伝子を導入する技術についてはこれまでのところ報告されていない。そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、ロドトルラ属に属する微生物に対して、容易に外来遺伝子を導入する技術を確立した。それ故に、本発明は、これらの微生物に所望の遺伝子を導入することによって、所望のテルペノイドを容易に生産することができる。
なお、後述する実施例に示すように、本発明の形質転換体は、固体培地を用いて培養した場合よりも、液体培地を用いて培養した方が、菌体1gに含まれるテルペノイドの量が多い。それ故に、本発明は、形質転換体の培養スケール(換言すれば、テルペノイドの生産スケール)を、容易に所望のスケールに調節できる。例えば、液体培養であれば、固体培養と比較して、単位スペース中で培養できる微生物の量が多いので、形質転換体の培養スケールを容易に大きくすることができる。更に、液体培養であれば、形質転換体を連続培養することができるので、テルペノイドを、連続的かつ大量に生産することができる。
本発明の形質転換体は、固体培地を用いて培養した場合よりも、液体培地を用いて培養した場合の方が、菌体1gに含まれるテルペノイドの量が多い。このことは、本発明の形質転換体が、自身の生育やテルペノイド生産において過剰な量の酸素を要求しないことを示している。本発明は、形質転換体の培養時に過剰な量の酸素を供給する必要が無いので、形質転換体の培養装置を安価にできる(換言すれば、安価にテルペノイドを生産できる)。
以下、本発明について詳説する。
〔2.形質転換体〕
本実施の形態の形質転換体は、特定の微生物に対して、当該微生物とは異なる生物種に由来する、テルペノイドを生合成する酵素、または、テルペノイドを基質とする酵素をコードする遺伝子が導入されたものである。本発明であれば、元々微生物中に存在しなかった代謝経路(例えば、テルペノイドを合成する代謝経路、テルペノイドに修飾(例えば、官能基)を加える代謝経路、または、テルペノイドを他の化合物へ変換する代謝経路など)を微生物中に人工的に構築することによって、または、元々微生物中に存在する代謝経路にさらに改良することによって、所望のテルペノイドを大量に製造することができる微生物を実現することができる。
遺伝子が導入される微生物(換言すれば、宿主)は、脂肪酸、ステロイド、および、カロテノイドからなる群より選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つの生産能力が高い微生物であってもよい。より具体的に、遺伝子が導入される微生物は、脂肪酸およびステロイドの生産能力が高い微生物であってもよいし、カロテノイドの生産能力が高い微生物であってもよい。
なお、脂肪酸の生産能力が高い微生物とは、本願の実施例の<1>に記載の方法にて測定した時に、1gの乾燥菌体に含まれる脂肪酸の量が、100mg以上、好ましくは110mg以上、より好ましくは120mg以上、より好ましくは130mg以上、より好ましくは140mg以上、より好ましくは150mg以上、より好ましくは160mg以上、最も好ましくは170mg以上である微生物を意図する。なお、1gの乾燥菌体に含まれる脂肪酸の量の上限値は、特に限定されないが、例えば、500mg、300mg、または200mgであってもよい。
また、ステロイドの生産能力が高い微生物とは、本願の実施例の<1>に記載の方法にて測定した時に、1gの乾燥菌体に含まれるステロイドの量が、50mg以上、より好ましくは60mg以上、より好ましくは70mg以上、より好ましくは80mg以上、最も好ましくは90mg以上である微生物を意図する。なお、1gの乾燥菌体に含まれるステロイドの量の上限値は、特に限定されないが、例えば、500mg、300mg、200mg、または100mgであってもよい。
また、カロテノイドの生産能力が高い微生物とは、本願の実施例の<1>に記載の方法にて測定した時に、1gの乾燥菌体に含まれるカロテノイドの量が、5mg以上、好ましくは6mg以上、より好ましくは7mg以上、より好ましくは8mg以上、より好ましくは9mg以上、最も好ましくは10mg以上である微生物を意図する。なお、1gの乾燥菌体に含まれるカロテノイドの量の上限値は、特に限定されないが、例えば、500mg、300mg、200mg、100mg、または50mgであってもよい。
遺伝子が導入される微生物のより具体的な例としては、ロドトルラ属に属する微生物を挙げることができる。
更に具体的に、ロドトルラ属に属する微生物としては、ロドトルラ・アウランティアカ(Rhodotorula aurantiaca)、ロドトルラ・アケニオラム(Rhodotorula acheniorum)、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)、ロドトルラ・アクタ(Rhodotorula acuta)、ロドトルラ・アラウカリアエ(Rhodotorula araucariae)、ロドトルラ・アルメニアカ(Rhodotorula armeniaca)、ロドトルラ・オーランティアカ(Rhodotorula aurantiaca)、ロドトルラ・アウリクラリアエ(Rhodotorula auriculariae)、ロドトルラ・バカラム(Rhodotorula bacarum)、ロドトルラ・ベンチカ(Rhodotorula benthica)、ロドトルラ・ビオルゲイ(Rhodotorula biourgei)、ロドトルラ・ボゴリエンシス(Rhodotorula bogoriensis)、ロドトルラ・ブロンキアリス(Rhodotorula bronchialis)、ロドトルラ・ブッフォニ(Rhodotorula buffonii)、ロドトルラ・カリプトジニア(Rhodotorula calyptogenae)、ロドトルラ・グラディエンシス(Rhodotorula cladiensis)、ロドトルラ・クレゾリカ(Rhodotorula cresolica)、ロドトルラ・クロセア(Rhodotorula crocea)、ロドトルラ・シクロクラスティカ(Rhodotorula cycloclastica)、ロドトルラ・エベルグラディエンシス(Rhodotorula evergladiensis)、ロドトルラ・フェルリカ(Rhodotorula ferulica)、ロドトルラ・フォリオルム(Rhodotorula foliorum)、ロドトルラ・フラガリア(Rhodotorula fragaria)、ロドトルラ・フジサネンシス(Rhodotorula fujisanensis)、ロドトルラ・フトロネンシス(Rhodotorula futronensis)、ロドトルラ・ゲラティノーサ(Rhodotorula gelatinosa)、ロドトルラ・グラシアリス(Rhodotorula glacialis)、ロドトルラ・グラシリス(Rhodotorula gracilis)、ロドトルラ・グラミニス(Rhodotorula graminis)、ロドトルラ・グリンベルグシ(Rhodotorula grinbergsii)、ロドトルラ・ヒマラエンシス(Rhodotorula himalayensis)、ロドトルラ・ヒヌレア(Rhodotorula hinnulea)、ロドトルラ・ヒストリティカ(Rhodotorula histolytica)、ロドトルラ・ヒロフィラ(Rhodotorula hylophila)、ロドトルラ・インカルナタ(Rhodotorula incarnata)、ロドトルラ・インゲニオサ(Rhodotorula ingeniosa)、ロドトルラ・ジャワニカ(Rhodotorula javanica)、ロドトルラ・コイシカウエンシス(Rhodotorula koishikawensis)、ロドトルラ・ラクトーサ(Rhodotorula lactosa)、ロドトルラ・ラメリブラキア(Rhodotorula lamellibrachiae)、ロドトルラ・ラリニギス(Rhodotorula laryngis)、ロドトルラ・リグノフィラ(Rhodotorula lignophila)、ロドトルラ・リニ(Rhodotorula lini)、ロドトルラ・ロンジシマ(Rhodotorula longissima)、ロドトルラ・ラドウィギー(Rhodotorula ludwigii)、ロドトルラ・リシノフィラ(Rhodotorula lysinophila)、ロドトルラ・マリナ(Rhodotorula marina)、ロドトルラ・マトリテンシス(Rhodotorula matritensis)、ロドトルラ・メリ(Rhodotorula meli)、ロドトルラ・ミヌタ(Rhodotorula minuta)、ロドトルラ・ムシラジノーサ(Rhodotorula mucilaginosa)、ロドトルラ・ニテンス(Rhodotorula nitens)、ロドトルラ・ノトファギ(Rhodotorula nothofagi)、ロドトルラ・オリーゼ(Rhodotorula oryzae)、ロドトルラ・パシフィカ(Rhodotorula pacifica)、ロドトルラ・パリダ(Rhodotorula pallida)、ロドトルラ・フィリア(Rhodotorula philyla)、ロドトルラ・ピリマナ(Rhodotorula pilimanae)、ロドトルラ・ピニコラ(Rhodotorula pinicola)、ロドトルラ・プシクロフェノリカ(Rhodotorula psychrophenolica)、ロドトルラ・プシクロフィラ(Rhodotorula psychrophila)、ロドトルラ・パスツーラ(Rhodotorula pustula)、ロドトルラ・レチノフィラ(Rhodotorula retinophila)、ロドトルラ・ロスラタ(Rhodotorula rosulata)、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、ロドトルラ・ルブロルゴサ(Rhodotorula rubrorugosa)、ロドトルラ・シルベストリス(Rhodotorula silvestris)、ロドトルラ・シネンシス(Rhodotorula sinensis)、ロドトルラ・スルーフィエ(Rhodotorula slooffiae)、ロドトルラ・ソンキー(Rhodotorula sonckii)、ロドトルラ・ストラミニア(Rhodotorula straminea)、ロドトルラ・スベリコラ(Rhodotorula subericola)、ロドトルラ・テルペノイダリス(Rhodotorula terpenoidalis)、ロドトルラ・テリア(Rhodotorula terrea)、ロドトルラ・トキオエンシス(Rhodotorula tokyoensis)、ロドトルラ・ウルザマエ(Rhodotorula ulzamae)、ロドトルラ・バニリカ(Rhodotorula vanillica)、ロドトルラ・ブイレミニ(Rhodotorula vuilleminii)、ロドトルラ・ヤロウィ(Rhodotorula yarrowii)、ロドトルラ・ユンナネンシス(Rhodotorula yunnanensis)、および、ロドトルラ・ゾルティー(Rhodotorula zsoltii)を挙げることができる。
これらの微生物の中では、ロドトルラ・アウランティアカ(Rhodotorula aurantiaca)、または、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)が好ましい。その理由は、これらの微生物は、他の微生物を比較して、脂肪酸、ステロイド、または、カロテノイドの生産量が高いからである。
上述した微生物は、以下の機関から入手可能である。つまり、(1)PYCC(Portuguese Yeast Culture Collection)、(2)NBRC NITE Biological Resource Center、(3)CBS CBS-KNAW Fungal Biodiversity Centre(An institute of the Royal Netherlands Academy of Arts and Sciences)、(4)BCRC Bioresource Collection and Research Center、(5)DBVPG(Industrial Yeasts Collection)、(6)DSM DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(7)JCM(Japan Collection of Microorganisms)、(8)KCTC(Korean Collection for Type Cultures)、(9)MUCL((Agro)industrial fungi & yeasts collection)、(10)NRRL(ARS Culture Collection)、(11)CCTCC(China Center for Type Culture Collection)、(12)ATCC(American Type Culture Collection)、(13)CECT(Spanish Type Culture Collection)、(14)RIFY Research Institute of Fermentation、(15)VKM All-Russian Collection of Microorganisms、(16)IGC Center of Biology, Gulbenkian Institute of Science、(17)CCY Culture Collection of Yeasts, Institute of Chemistry, Slovak Academy of Sciences、(18)NCYC National Collection of Yeast Cultures、(19)NCIM National Collection of Industrial Microorganisms, National Chemical Laboratory、(20)CGMCC China General Microbiological Culture Collection Center, Institute of Microbiology, Chinese Academy of Sciences、(21)NCAIM National Collection of Agricultural and Industrial Microorganisms、(22)VTT VTT Culture Collection, VTT Technical Research Center of Finland、または、(23)FMJ Faculty of Medicine, Juntendo University、にて、上述した微生物を入手可能である。
本実施の形態の形質転換体は、宿主の微生物とは異なる生物種に由来する、テルペノイドを生合成する酵素、または、テルペノイドを基質とする酵素を発現している。つまり、本実施の形態の形質転換体は、ロドトルラ属に属していない微生物に由来する、テルペノイドを生合成する酵素、または、テルペノイドを基質とする酵素を発現している。当該酵素は、宿主に元々存在する酵素が触媒作用を及ぼすことが無かった反応に対して触媒作用を及ぼすものであることが好ましい。上記構成であれば、宿主内に元々存在しなかった新たな代謝経路を形質転換体内に形成することができるので、所望のテルペノイド(例えば、新規なテルペノイド)を効率よく生産することができる。また、宿主内に存在する酵素と同じ酵素活性を有する酵素であって、宿主の微生物とは異なる生物種に由来する酵素(例えば、テルペノイドを生合成する酵素、または、テルペノイドを基質とする酵素)を発現させることで、所望のテルペノイド(例えば、新規なテルペノイド)を効率よく生産することができる。宿主の微生物とは異なる生物種は、特に限定されず、細菌、酵母、糸状菌、藻類、昆虫、植物、または動物であってもよい。
上記テルペノイドを生合成する酵素、または、テルペノイドを基質とする酵素は、特に限定されないが、その一例として、モノテルペノイド、セスキテルペノイド、ジテルペノイド、トリテルペノイド、または、カロテノイドを生合成する酵素、または、基質とする酵素を挙げることができる。更に具体的に、上記酵素は、モノテルペノイド、セスキテルペノイド、ジテルペノイド、トリテルペノイド、または、カロテノイドに、様々な官能基(例えば、−CO−、−OH、−O−、−COH、−COOH、−SH、−C=C−、−C=C=C−、−O−O−、−NH、または、−C≡C−)を導入する酵素であってもよい。
基質となるモノテルペノイドは、特に限定されず、その一例として、ミルセン、リナロール、ネロール、リモネン、カルボン、α−ピネン、メンタン、メントール、ゲラニオール、シトロネロール、シトロネラール、シトラール、シトロネリルアセテート、ゲラニルアセテート、リナリルアセテート、およびカンファーを挙げることができる。
基質となるセスキテルペノイドは、特に限定されず、その一例として、アモルファジエン、ゲルマクレン、エレメン、オイデスメン、グアイエン、ヒマカレン、オイデスモール、ファルネソール、カジネン、フムレン、ヌートカトン、セドロール、グアイアズレン、バーノレピン、プタキロシド、ペリプラノン、アブシシン酸、およびゴシポールを挙げることができる。
基質となるジテルペノイドは、特に限定されず、その一例として、レチノール、レチナール、α−トコフェノール、フィトール、アビエチン酸、ジベレリン、インゲノール、アビエタジエン、タキサジエン、およびモミラクトンを挙げることができる。
基質となるトリテルペノイドは、特に限定されず、ステロイド類も含みその一例として、スクアレン、アンブレイン、エルゴステロール、ラノステロール、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、コレカルシフェロール、オレアノール、ボスウェリン酸、β−シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール、β−アミリン、α−アミリン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、ルペオールおよびガノデリン酸を挙げることができる。
基質となるカロテノイドは、特に限定されず、その一例として、カロテン類(例えば、αカロテン、βカロテン、γカロテン、およびδカロテン)、リコペン、トルレン、およびキサントフィル類(例えば、ルテイン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、フコキサンチン、アスタキサンチン、アンテラキサンチン、およびビオラキサンチン)を挙げることができる。
上記テルペノイドを生合成する酵素、または、テルペノイドを基質とする酵素の更に具体的な例としては、特に限定されないが、その一例として、カロテノイドケトラーゼ(crtW、または、crtO)、カロテノイドサイクラーゼ、モノテルペノイドシンターゼ、セスキテルペノイドシンターゼ、ジテルペノイドシンターゼ、および、トリテルペノイドシンターゼを挙げることができる。
また、上記テルペノイドを生合成する酵素、または、テルペノイドを基質とする酵素の別の例として、カロテノイドジオキシゲナーゼ、カロテノイドヒドロキシラーゼ、カロテノイドオキシゲナーゼ、カロテノイドデサチュラーゼ、カロテノイドメチルトランスフェラーゼ、カロテノイドヒドラターゼ、カロテノイドオキシドレダクターゼ、カロテノイドイソメラーゼ、カロテノイドグリコシルトランスフェラーゼ、カロテノイドエポキシダーゼ、カロテノイドデエポキシダーゼ、カロテノイドデヒドロゲナーゼ、モノテルペノイドジオキシゲナーゼ、モノテルペノイドヒドロキシラーゼ、モノテルペノイドオキシゲナーゼ、モノテルペノイドデサチュラーゼ、モノテルペノイドメチルトランスフェラーゼ、モノテルペノイドヒドラターゼ、モノテルペノイドオキシドレダクターゼ、モノテルペノイドイソメラーゼ、モノテルペノイドグリコシルトランスフェラーゼ、モノテルペノイドエポキシダーゼ、モノテルペノイドデエポキシダーゼ、モノテルペノイドデヒドロゲナーゼ、セスキテルペノイドジオキシゲナーゼ、セスキテルペノイドヒドロキシラーゼ、セスキテルペノイドオキシゲナーゼ、セスキテルペノイドデサチュラーゼ、セスキテルペノイドメチルトランスフェラーゼ、セスキテルペノイドヒドラターゼ、セスキテルペノイドオキシドレダクターゼ、セスキテルペノイドイソメラーゼ、セスキテルペノイドグリコシルトランスフェラーゼ、セスキテルペノイドエポキシダーゼ、セスキテルペノイドデエポキシダーゼ、セスキテルペノイドデヒドロゲナーゼ、ジテルペノイドジオキシゲナーゼ、ジテルペノイドヒドロキシラーゼ、ジテルペノイドオキシゲナーゼ、ジテルペノイドデサチュラーゼ、ジテルペノイドメチルトランスフェラーゼ、ジテルペノイドヒドラターゼ、ジテルペノイドオキシドレダクターゼ、ジテルペノイドイソメラーゼ、ジテルペノイドグリコシルトランスフェラーゼ、ジテルペノイドエポキシダーゼ、ジテルペノイドデエポキシダーゼ、ジテルペノイドデヒドロゲナーゼ、トリテルペノイドジオキシゲナーゼ、トリテルペノイドヒドロキシラーゼ、トリテルペノイドオキシゲナーゼ、トリテルペノイドデサチュラーゼ、トリテルペノイドメチルトランスフェラーゼ、トリテルペノイドヒドラターゼ、トリテルペノイドオキシドレダクターゼ、トリテルペノイドイソメラーゼ、トリテルペノイドグリコシルトランスフェラーゼ、トリテルペノイドエポキシダーゼ、トリテルペノイドデエポキシダーゼ、および、トリテルペノイドデヒドロゲナーゼを挙げることができる。
上記カロテノイドケトラーゼは、例えば、以下の(a)〜(c)の何れかに示されるタンパク質からなるタンパク質、または、以下の(a)〜(c)の何れかに示されるタンパク質を少なくとも一部分として含むタンパク質であってもよい:
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質;または、
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、カロテノイドケトラーゼ活性を有するタンパク質。
(c)配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、カロテノイドケトラーゼ活性を有するタンパク質。
なお、タンパク質がカロテノイドケトラーゼ活性を有するか否かは、周知の方法によって確認することができる。例えば、所望のタンパク質と基質とを接触させた後、当該基質の赤外線スペクトル、または核磁気共鳴スペクトルを解析し、基質に「−CO−」が導入されていることが確認できれば、タンパク質がカロテノイドケトラーゼ活性を有していると判定することができる。あるいは、所望のタンパク質と基質とを接触させた後、当該基質と対照物質(基質に「−CO−」が導入されている物質)とをクロマトグラフィーにて分離し、当該分離の過程において、基質と対照物質とが同じ挙動(例えば、同じ溶出液にて溶出される)をとれば、タンパク質がカロテノイドケトラーゼ活性を有していると判定することができる。
上記カロテノイドサイクラーゼは、例えば、以下の(d)〜(f)の何れかに示されるタンパク質からなるタンパク質、または、以下の(d)〜(f)の何れかに示されるタンパク質を少なくとも一部分として含むタンパク質であってもよい:
(d)配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質;または、
(e)配列番号7で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、カロテノイドサイクラーゼ活性を有するタンパク質。
(f)配列番号7で表されるアミノ酸配列と80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、カロテノイドサイクラーゼ活性を有するタンパク質。
上記モノテルペノイドシンターゼは、例えば、以下の(g)〜(i)の何れかに示されるタンパク質からなるタンパク質、または、以下の(g)〜(i)の何れかに示されるタンパク質を少なくとも一部分として含むタンパク質であってもよい:
(g)配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質;または、
(h)配列番号9で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、モノテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質。
(i)配列番号9で表されるアミノ酸配列と80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、モノテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質。
上記セスキテルペノイドシンターゼは、例えば、以下の(j)〜(l)の何れかに示されるタンパク質からなるタンパク質、または、以下の(j)〜(l)の何れかに示されるタンパク質を少なくとも一部分として含むタンパク質であってもよい:
(j)配列番号11で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質;または、
(k)配列番号11で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、セスキテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質。
(l)配列番号11で表されるアミノ酸配列と80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、セスキテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質。
上記ジテルペノイドシンターゼは、例えば、以下の(m)〜(o)の何れかに示されるタンパク質からなるタンパク質、または、以下の(m)〜(o)の何れかに示されるタンパク質を少なくとも一部分として含むタンパク質であってもよい:
(m)配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質;または、
(n)配列番号13で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、ジテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質。
(o)配列番号13で表されるアミノ酸配列と80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、ジテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質。
上記トリテルペノイドシンターゼは、例えば、以下の(p)〜(r)の何れかに示されるタンパク質からなるタンパク質、または、以下の(p)〜(r)の何れかに示されるタンパク質を少なくとも一部分として含むタンパク質であってもよい:
(p)配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質;または、
(q)配列番号15で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、トリテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質。
(r)配列番号15で表されるアミノ酸配列と80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、トリテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質。
なお、タンパク質が、カロテノイドサイクラーゼ活性、モノテルペノイドシンターゼ活性、セスキテルペノイドシンターゼ活性、ジテルペノイドシンターゼ活性、または、トリテルペノイドシンターゼ活性を有するか否かは、周知の方法によって確認することができる。例えば、所望のタンパク質と基質とを接触させた後、当該基質の赤外線スペクトル、または核磁気共鳴スペクトルを取得し、これらのスペクトルを、対照物質の赤外線スペクトル、または核磁気共鳴スペクトルと比較することによって確認することができる。あるいは、所望のタンパク質と基質とを接触させた後、当該基質と対照物質(基質に「−CO−」が導入されている物質)とをクロマトグラフィーにて分離し、当該分離の過程において、基質と対照物質とが同じ挙動(例えば、同じ溶出液にて溶出される)をとれば、タンパク質が、カロテノイドサイクラーゼ活性、モノテルペノイドシンターゼ活性、セスキテルペノイドシンターゼ活性、ジテルペノイドシンターゼ活性、または、トリテルペノイドシンターゼ活性を有していると判定することができる。
本明細書における「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸」では、欠失、置換若しくは付加が生じる位置は特に限定されない。
また、「1若しくは数個のアミノ酸」が意図するアミノ酸の数は特に限定されないが、20個以内、19個以内、18個以内、17個以内、16個以内、15個以内、14個以内、13個以内、12個以内、11個以内、10個以内、9個以内、8個以内、7個以内、6個以内、5個以内、4個以内、3個以内、2個以内、または、1個のアミノ酸であり得る。
アミノ酸の置換は、保存的置換であることが好ましい。なお、保存的置換とは、特定のアミノ酸から、当該アミノ酸と同様な化学的性質および/または構造を有する他のアミノ酸に置換されることをいう。化学的性質としては、例えば、疎水性度(疎水性および親水性)、電荷(中性、酸性および塩基性)が挙げられる。構造としては、例えば、側鎖、または、側鎖の官能基として存在する芳香環、脂肪炭化水素基およびカルボキシル基が挙げられる。
保存的置換の例としては、例えば、セリンとスレオニンとの置換、リジンとアルギニンとの置換、およびフェニルアラニンとトリプトファンアミノとの置換、が挙げられる。勿論、本発明は、これらの置換に限定されない。
なお、アミノ酸配列の相同性は、BLASTN(核酸レベル)やBLASTX(アミノ酸レベル)のプログラム(Altschul et al. J. Mol. Biol., 215: 403-410, 1990) を利用して決定することができる。該プログラムは、KarlinおよびAltschulによるアルゴリズムBLAST (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:2264-2268, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877, 1993) に基づいている。BLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore =100、wordlength =12とする。また、BLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore =50、wordlength =3とする。また、Gapped BLASTプログラムを用いて、アミノ酸配列を解析する場合は、Altschulら(Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402, 1997)に記載されているように行うことができる。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である。比較対象の塩基配列またはアミノ酸配列を最適な状態にアラインメントするために、付加または欠失(例えば、ギャップ等)を許容してもよい。
更に具体的に、上記カロテノイドケトラーゼは、例えば、以下の(A)または(B)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質からなるタンパク質、または、以下の(A)または(B)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質を少なくとも一部分として含むタンパク質であってもよい:
(A)配列番号2で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または、
(B)配列番号2で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、カロテノイドケトラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
上記カロテノイドサイクラーゼは、例えば、以下の(C)または(D)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質からなるタンパク質、または、以下の(C)または(D)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質を少なくとも一部分として含むタンパク質であってもよい:
(C)配列番号8で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または、
(D)配列番号8で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、カロテノイドサイクラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
上記モノテルペノイドシンターゼは、例えば、以下の(E)または(F)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質からなるタンパク質、または、以下の(E)または(F)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質を少なくとも一部分として含むタンパク質であってもよい:
(E)配列番号10で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または、
(F)配列番号10で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、モノテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
上記セスキテルペノイドシンターゼは、例えば、以下の(G)または(H)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質からなるタンパク質、または、以下の(G)または(H)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質を少なくとも一部分として含むタンパク質であってもよい:
(G)配列番号12で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または、
(H)配列番号12で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、セスキテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
上記ジテルペノイドシンターゼは、例えば、以下の(I)または(J)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質からなるタンパク質、または、以下の(I)または(J)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質を少なくとも一部分として含むタンパク質であってもよい:
(I)配列番号14で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または、
(J)配列番号14で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ジテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
上記トリテルペノイドシンターゼは、例えば、以下の(K)または(L)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質からなるタンパク質、または、以下の(K)または(L)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質を少なくとも一部分として含むタンパク質であってもよい:
(K)配列番号16で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または、
(L)配列番号16で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、トリテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
本明細書中で使用される場合、用語「ストリンジェントな条件」は、いわゆる塩基配列に特異的な2本鎖のポリヌクレオチドが形成され、非特異的な2本鎖のポリヌクレオチドが形成されない条件をいう。換言すれば、相同性が高い核酸同士、例えば完全にマッチしたハイブリッドの融解温度(Tm値)から15℃、好ましくは10℃、更に好ましくは5℃低い温度までの範囲の温度でハイブリダイズする条件ともいえる。
例えば、一例を示すと、0.25M NaHPO、pH7.2、7%SDS、1mM EDTA、1×デンハルト溶液からなる緩衝液中で温度が60〜68℃、好ましくは65℃、さらに好ましくは68℃の条件下で16〜24時間ハイブリダイズさせ、さらに20mM NaHPO、pH7.2、1%SDS、1mM EDTAからなる緩衝液中で温度が60〜68℃、好ましくは65℃、さらに好ましくは68℃の条件下で15分間の洗浄を2回行う条件を挙げることができる。
他の例としては、25%ホルムアミド、より厳しい条件では50%ホルムアミド、4×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)、50mM Hepes pH7.0、10×デンハルト溶液、20μg/mL変性サケ精子DNAを含むハイブリダイゼーション溶液中、42℃で一晩プレハイブリダイゼーションを行った後、標識したプローブを添加し、42℃で一晩保温することによりハイブリダイゼーションを行う。その後の洗浄における洗浄液および温度条件は、「1×SSC、0.1%SDS、37℃」程度で、より厳しい条件としては「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」程度で、さらに厳しい条件としては「0.2×SSC、0.1%SDS、65℃」程度で実施することができる。このようにハイブリダイゼーションの洗浄の条件が厳しくなるほど、特異性の高いハイブリダイズとなる。ただし、上記SSC、SDSおよび温度の条件の組み合わせは例示であり、当業者であれば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する上記若しくは他の要素(例えば、プローブ濃度、プローブの長さ、ハイブリダイゼーション反応時間等)を適宜組み合わせることにより、上記と同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。このことは、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory(2001)等に記載されている。
本実施の形態の形質転換体は、特定の微生物に対して、当該微生物とは異なる生物種に由来する、テルペノイドを生合成する酵素、または、テルペノイドを基質とする酵素をコードする遺伝子を導入することによって作製され得る。
ロドトルラ属に属する微生物を形質転換するためのベクターは、これまで、未知であった。後述する実施例に示すように、プロモーター遺伝子、酵素をコードする遺伝子、および、ターミネーター遺伝子を連結してなるオペロンをpUC118ベクター(タカラバイオ社製)へ挿入した後、オペロンのみをPCR法によって増幅する。増幅されたオペロンを精製した後、当該オペロンをロドトルラ属に属する微生物に導入することによって、所望の形質転換体を取得することができる。
本発明は、以下のように構成することもできる。
<1>本発明の形質転換体は、上記課題を解決するために、ロドトルラ(Rhodotorula)属に属する微生物に、当該微生物とは異なる生物種に由来する、テルペノイドを生合成する酵素、または、テルペノイドを基質とする酵素をコードする遺伝子が導入されているものであることを特徴としている。
<2>本発明の形質転換体では、上記テルペノイドは、モノテルペノイド、セスキテルペノイド、ジテルペノイド、トリテルペノイド、または、カロテノイドであることが好ましい。
<3>本発明の形質転換体では、上記酵素は、カロテノイドケトラーゼ、カロテノイドサイクラーゼ、モノテルペノイドシンターゼ、セスキテルペノイドシンターゼ、ジテルペノイドシンターゼ、または、トリテルペノイドシンターゼであることが好ましい。
〔3.テルペノイドの製造方法〕
本実施の形態のテルペノイドの製造方法は、本発明の形質転換体を培養する培養工程と、培養工程にて得られた形質転換体からテルペノイドを回収する回収工程と、を有している。本発明の形質転換体については既に説明したので、ここでは、その説明を省略する。
上記培養工程では、形質転換体を、固体培地を用いて培養(固体培養)してもよいし、液体培地を用いて培養(液体培養)してもよいが、形質転換体の培養スケール(換言すれば、テルペノイドの生産スケール)の調節の容易性、および、テルペノイド生産の低コスト化の観点からは、液体培地を用いて培養することが好ましい。また、液体培地を用いた培養であれば、形質転換体を連続培養することによって、テルペノイドの生産量を飛躍的に上げることができる。
上記培養工程に用いる培地、培養温度、および、培養時間は、宿主に応じて適宜選択することができる。培地としては、F培地、またはYPD培地を挙げることができるが、本発明は、これらの培地に限定されない。培養温度としては、15〜48℃、または26〜37℃を挙げることができるが、本発明は、これらの培養温度に限定されない。培養時間としては、12〜120時間、72〜96時間、または96時間以上を挙げることができるが、本発明は、これらの培養時間に限定されない。
本実施の形態のテルペノイドの製造方法は、上述した培養工程の後に、培養工程にて得られた形質転換体からテルペノイドを回収する回収工程を有している。回収工程の具体的な構成は特に限定されないが、回収工程は、以下に説明する抽出工程、および/または、精製工程を包含する工程であってもよい。
本実施の形態のテルペノイドの製造方法は、上述した培養工程の後に、形質転換体からテルペノイドを抽出するための抽出工程を有していてもよい。当該構成であれば、純度の高いテルペノイドを取得することができる。
抽出工程では、形質転換体と有機溶媒とを接触させ、形質転換体によって生産されたテルペノイドを有機溶媒中に移行させる。そして、当該有機溶媒を回収することによって、テルペノイドを回収することができる。また、抽出工程では、炭酸ガス、メタノール、および水等を用いて、テルペノイドを超臨界抽出することもできる。
形質転換体と有機溶媒とを接触させる場合には、形質転換体を含む培地と有機溶媒とを混合してもよいし、形質転換体を含む培地を遠心分離して形質転換体を回収し、当該形質転換体を水に懸濁した後、当該水と有機溶媒とを混合してもよい。より純度の高いテルペノイドを取得するという観点からは、形質転換体を含む培地を遠心分離して形質転換体を回収し、当該形質転換体を水に懸濁した後、当該水と有機溶媒とを混合する方が好ましい。
上述した有機溶媒の種類は、テルペノイドの種類に応じて、適宜選択すればよい。有機溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルメチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジメチルスルフォキシド、クロロフォルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、アセトニトリル、または、ピリジンを単独で使用してもよいし、これらの溶媒の少なくとも2つを混合して使用してもよい。
本実施の形態のテルペノイドの製造方法は、上述した抽出工程の後に、抽出物に含まれるテルペノイドをクロマトグラフィーで精製する精製工程を有していてもよい。当該構成であれば、更に純度の高いテルペノイドを取得することができる。
この際使用される分離用の担体としては、例えば、シリカゲル、硝酸銀添加シリカゲル、オクタデシルジメチルシリル修飾シリカゲル、ジメチルシリル修飾シリカゲル、オクチルジメチルシリル修飾シリカゲル、プロピルアミノ修飾シリカゲル、シアノプロピル修飾シリカゲル、フェニル修飾シリカゲル等の各種化学修飾シリカゲル、アルミナ、活性炭等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明は、以下のように構成することもできる。
<4>本発明のテルペノイドの製造方法は、上記課題を解決するために、本発明の形質転換体を培養する培養工程と、上記培養工程にて得られた形質転換体からテルペノイドを回収する回収工程とを有することを特徴としている。
<5>本発明のテルペノイドの製造方法では、上記培養工程にて、上記形質転換体を液体培養することが好ましい。
<1.脂肪酸、ステロイド、およびカロテノイドを多量に生産する微生物の探索>
様々な微生物(例えば、ロドトルラ属に属する微生物(具体的には、ロドトルラ・アウランティアカ、ロドトルラ・グルチニス、ロドトルラ・アケニオラム)、サッカロマイセス・セルビシア(Saccharomyces cerevisiae)、ヤロビア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)、ロドスポリジウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)、クリプトコッカス・アルビダス(Cryptococcus albidas))を、各々、F培地中で、25℃の条件下で120時間培養した。
なお、ロドトルラ・アウランティアカは、NBRC(NITE Biological Resource Center)から購入したものを用い、ロドトルラ・グルチニスは、NBRC(NITE Biological Resource Center)から購入したものを用い、ロドトルラ・アケニオラムは、NBRC(NITE Biological Resource Center)から購入したものを用い、サッカロマイセス・セルビシアは、NBRC(NITE Biological Resource Center)から購入したものを用い、ヤロビア・リポリチカは、NBRC(NITE Biological Resource Center)から購入したものを用い、ロドスポリジウム・トルロイデスは、NBRC(NITE Biological Resource Center)から購入したものを用い、クリプトコッカス・アルビダスは、NBRC(NITE Biological Resource Center)から購入したものを用いた。
培養の後、遠心分離によって各菌体を回収し、回収した菌体を乾燥させた。その後、1gの乾燥菌体に含まれる、脂肪酸、ステロイドおよびカロテノイドの量を、周知の方法(例えば、日本生化学会編:新生化学実験講座4 脂質II リン脂質、東京化学同人(1991)、および、日本生化学会編:基礎生化学実験法 第5巻 脂質・糖質・複合糖質、東京化学同人(2000)参照)にしたがって測定した。測定結果を、下記の表1に示す。
表1に示すように、ロドトルラ属に属する株は、カロテノイドの生産能力が高いことが明らかになった。
<2.テルペノイドを基質とする酵素(crtW)をコードする遺伝子の導入>
まず、周知の方法にしたがって、ハイグロマイシン耐性遺伝子(Hygr)とブレバンディモナス属(Brevundimonas sp.)に属する微生物に由来するカロテノイドケトラーゼ遺伝子(crtW)が挿入されたベクター1を作製した。なお、ベクター1の基本骨格としては、pUC118ベクター(タカラバイオ株式会社製)を用いた。
ブレバンディモナス属に属する微生物に由来するカロテノイドケトラーゼ遺伝子の具体的な塩基配列を配列番号2にて示し、当該遺伝子にコードされているカロテノイドケトラーゼの具体的なアミノ酸配列を配列番号1にて示す。
また、ブレバンディモナス属に属する微生物に由来するカロテノイドケトラーゼが触媒する反応を図4に示す。図4に示すように、ブレバンディモナス属に属する微生物に由来するカロテノイドケトラーゼ(crtW)は、基質であるβ−カロテンにケト基を導入すると考えられる。
ベクター1では、ハイグロマイシン耐性遺伝子の上流にはGPDプロモーター(UmPGPD)が連結され、かつ、ハイグロマイシン耐性遺伝子の下流にはTcyc1ターミネーターが連結されている。そして、ハイグロマイシン耐性遺伝子の発現は、GPDプロモーターによって制御されている。一方、カロテノイドケトラーゼ遺伝子の上流にはGPDプロモーター(UmPGPD)が連結され、かつ、カロテノイドケトラーゼ遺伝子の下流にはTcyc1ターミネーターが連結されている。そして、カロテノイドケトラーゼ遺伝子の発現は、GPDプロモーターによって制御されている。
次いで、上述したベクター1を、ロドトルラ属に属する微生物(具体的には、ロドトルラ・アケニオラム(Rhodotorula acheniorum))に導入した。以下に、導入方法を説明する。
まず、50mLのYPD液体培地(組成:YPD液体培地1Lあたり、Bacto peptoneを20g、Yeast extractを10g、および、40%グルコース溶液を50mL、含む)中にて、上記微生物を2〜3日間培養した。
培養後の微生物の一部を、50mLの新鮮なYPD液体培地に加え、20〜28℃にて24時間培養した。培養後、増殖した微生物を遠心分離によって回収した。回収した微生物を、滅菌された蒸留水に懸濁して洗浄した後、当該微生物を、遠心分離によって回収した。
回収された微生物を、1mLの0.1M LiAc溶液中に懸濁した。微生物を含有するLiAc溶液を50μL分取し、分取された当該溶液に、70% PEG#4000溶液171μL、滅菌された蒸留水69μL、2M LiAc溶液15μL、Carrier DNA溶液(2mg−Carrier DMA/mL)15μL、および、ベクター110μgの混合物を加えた。
上記混合溶液を20〜28℃にて数時間静置した後、当該混合溶液に対して30〜40℃にて5分間のヒートショックを加えた。ヒートショックを加えた後の混合溶液から微生物を遠心分離にて回収し、当該微生物を、YPD液体培地中で数時間培養した。培養後の微生物を遠心分離によって回収し、当該微生物を、ハイグロマイシンを含有するYPD固体培地上で培養した。
数日間の培養の後、YPD固体培地上に現れたコロニーを形成する形質転換体を複数ピックアップし、周知のコロニーPCR法にて、各形質転換体中にハイグロマイシン耐性遺伝子とカロテノイドケトラーゼ遺伝子とが導入されているか否か確認した。以下に、ハイグロマイシン耐性遺伝子の検出に用いたプライマーセット1、カロテノイドケトラーゼ遺伝子の検出に用いたプライマーセット2、および、PCRの反応条件を示す。
<プライマーセット1>
フォワードプライマー :5’−atgaaaaagcctgaactcaccgcgacgtctg−3’(配列番号3)
リバースプライマー :5’−gttagcctcccccatctcccgatccccacg−3’(配列番号4)
<プライマーセット2>
フォワードプライマー :5’−atgaccgccgccgtcgccgagccccgcatc−3’(配列番号5)
リバースプライマー :5’−agactcgccgcgccacaaacgccaccaggg−3’(配列番号6)
<PCRの反応条件>
68℃にて1.5分間の反応(アニーリング反応、および、伸長反応を兼ねた反応)、および、98℃にて10秒間の変性反応からなる反応サイクルを30回繰り返す反応条件。
図1に、コロニーPCRの結果を示す。図1において、左側の写真は、カロテノイドケトラーゼ遺伝子の検出結果を示し、右側の写真は、ハイグロマイシン耐性遺伝子の検出結果を示している。また、図1において、「M」は、1kb ラダーマーカーに対応し、「1」は、ポジティブコントロールに対応し、「2」〜「8」は、各形質転換体に対応している。以下、「2」〜「8」の形質転換体の各々を、「Whyg1」〜「Whyg7」とも呼ぶ。
図1に示すように、ピックアップされた7個の形質転換体の各々には、ハイグロマイシン耐性遺伝子のみならず、カロテノイドケトラーゼ遺伝子も導入されていることが明らかになった。
次いで、各形質転換体に導入されたハイグロマイシン耐性遺伝子およびカロテノイドケトラーゼ遺伝子からmRNAが発現しているか否か、試験した。以下に、試験方法および試験結果を説明する。
上述した「2」〜「8」に対応する形質転換体の各々を、100mLのF培地(組成:F培地1Lあたり、グルコースを40g、(NHSOを0.5g、KHPOを1g、MgSO・7HOを0.5g、CaCl・2HOを0.1g、NaClを0.1g、および、Yeast extractを1.5g含み、pH5.5)に植菌した。
上記形質転換体を25℃、180rpmにて3日間培養した後、当該形質転換体を遠心分離によって回収した。
市販のキット(ニッポンジーン社製のRNA抽出キット ISOGEN II)を用いて、各形質転換体からTotal RNAを抽出するとともに、当該Total RNAから、cDNAを合成した。なお、抽出および合成の具体的な方法は、キットに添付のプロトコールにしたがった。
上記cDNAを鋳型としてPCRを行い、各形質転換体に導入されたハイグロマイシン耐性遺伝子およびカロテノイドケトラーゼ遺伝子からmRNAが発現しているか否か確認した。なお、当該PCRでは、プラーマーとして、上述したプライマーセット1またはプライマーセット2を用い、かつ、反応条件として、コロニーPCR法で採用したものと同じ反応条件を用いた。
図2に試験結果を示す。図2において、左側の写真は、カロテノイドケトラーゼ遺伝子から発現されるmRNAの検出結果を示し、右側の写真は、ハイグロマイシン耐性遺伝子から発現されるmRNAの検出結果を示している。また、図2において、「M」は、1kb ラダーマーカーに対応し、「1」〜「7」は、形質転換体である「Whyg1」〜「Whyg7」に対応し、「8」は、ポジティブコントロールに対応し、「9」は、カロテノイドケトラーゼ遺伝子、および、ハイグロマイシン耐性遺伝子が導入されていない野生型のロドトルラ属に属する微生物(具体的には、Rhodotorula acheniorum)に対応している。
図2に示すように、ピックアップされた7個の形質転換体の各々では、ハイグロマイシン耐性遺伝子のみならずカロテノイドケトラーゼ遺伝子からも、mRNAが発現していることが明らかになった。
<3.形質転換体からのカロテノイドの抽出>
取得された形質転換体、および、野生型のロドトルラ属に属する微生物(具体的には、Rhodotorula acheniorum)の各々から、テルペノイドを精製した。以下に、精製方法について説明する。
まず、各微生物をF培地(具体的には、液体状のF培地(換言すれば、液体培地)、または、固体状のF培地(換言すれば、固体培地))を用いて培養した後、増殖した各微生物を遠心分離によって回収した。回収した1g(湿重量)の微生物に対して、(a)1mLの蒸留水または有機溶媒を加え、更に(b)5mLの3% Pyrogallol−MeOH溶液、および、(c)1mLの60% KOH溶液を加えた後、当該混合溶液を30分間、70℃に加熱した。加熱後の混合溶液に対して、更に(d)11mLの1% NaCl溶液を加えた。
当該混合溶液に有機溶媒を加えて撹拌した後、静置し、水の層から分離した有機溶媒の層を回収した。更に、残った水の層に対して、再び有機溶媒を加えて撹拌した後、静置し、水の層から分離した有機溶媒の層を回収した。有機溶媒としては、2mLのn−Hexane−EtOAc溶液(n−Hexane:EtOAc=9:1)と、2mLのEtOとの混合物を用いた。
回収した2つの有機溶媒の層を合わせて1つとし、減圧下で有機溶媒を蒸発させて、残渣を回収した。当該残渣を2mLの有機溶媒(1mLのベンゼンと、1mLの3% Pyrogallol−MeOH溶液との混合溶液)に溶解した。
抽出操作の過程で水の層に残った菌体を回収したところ、野生型のロドトルラ属に属する微生物の菌体と比較して、形質転換体の菌体は、より深い赤色を呈していた。また、抽出操作で得られた残渣を有機溶媒に溶解した溶液を確認したところ、野生型のロドトルラ属に属する微生物に由来する溶液と比較して、形質転換体に由来する溶液は、より深い赤色を呈していた。なお、これらの現象は、液体培地を用いた場合も、固体培地を用いた場合も、確認された。これらのことは、形質転換体が、テルペノイドの中でも特にカロテノイドを生産したことを示唆している。
<4.形質転換体が生産するカロテノイドの分析>
抽出操作で得られた残渣をHPLC(high-performance liquid chromatography)に供し、残渣に含まれるカロテノイドを分析した。
以下に、HPCLの分析条件を示す;
カラム :inertsil ODS−3(4.6×250mm)、
カラム温度 :30℃、
溶出溶媒の流速:1.5mL/min、
検出方法 :450nm(VIS)、
外部標準 :β−カロテン。
溶出溶媒としては、溶媒A、溶媒Bおよび溶媒Cを所望の比率で含有する溶出溶媒を用い、経時的に溶出溶媒中に含まれる各溶媒の比率を変化させながら、溶出操作を行った。
以下に、溶媒A〜溶媒Cの成分を示す;
溶媒A:水、
溶媒B:メタノール、
溶媒C:アセトン。
以下の表2に、溶出溶媒中に含まれる溶媒A〜溶媒Cの比率(%)の経時的な変化(グラジエント溶出のプログラム)を示す。
図3に、残渣に含まれている成分に関する、HPLCによる分析結果を示す。更に、検出された450nm(VIS)に基づいて、以下のA値〜F値をβ-カロテン相当量として算出した。その結果を、表3に示す。
A値:湿菌体1gあたりに含まれる全カロテノイドの総量[mg/g−FW]、
B値:乾燥菌体1gあたりに含まれる全カロテノイドの総量[mg/g−DCW]、
C値:培地1Lあたりに含まれる全カロテノイドの総量[mg/L]、
D値:湿菌体1gあたりに含まれるβ−カロテンおよびβ−カロテンの異性体の量[mg/g−FW]、
E値:湿菌体1gあたりに含まれる目的のカロテノイド(図3中の「酸化物」)の量[mg/g−FW]、
F値:β−カロテンおよびβ−カロテンの異性体から、目的のカロテノイド(図3中の「カンタキサンチン」および「酸化物」)への変換率[%]。
形質転換体に由来する残渣を分析した場合には、カロテノイド(図3中の「カンタキサンチン」および「酸化物」)に対応するピークが検出されたのに対し、野生型のロドトルラ属に属する微生物に由来する残渣を分析した場合には、カロテノイドに対応するピークが検出されなかった(N.D.)。このことは、形質転換体が、野生型のロドトルラ属に属する微生物では生産されないカロテノイドを生産し得ることを示している。
また、液体培地で培養した形質転換体に由来する残渣を分析した時に検出される、カロテノイドに対応するピークは、固体培地で培養した形質転換体に由来する残渣を分析した時に検出される、カロテノイドに対応するピークと比較して、高かった。このことは、液体培地で培養した形質転換体が、固体培地で培養した形質転換体と比較して、より多くのカロテノイドを生産し得ることを示している。
また、液体培地で培養した形質転換体に由来する残渣を分析した時に検出される、β−カロテンおよびβ−カロテンの異性体に対応すると考えられるピークは、同条件下で培養した野生株に由来する残渣を分析した時に検出される、β−カロテンおよびβ−カロテンの異性体に対応すると考えられるピークと比較して、高かった。このことは、液体培地で培養した形質転換体が、同条件下で培養した野生株と比較して、より多くのβ−カロテンおよびβ−カロテンの異性体を生産し得ること(換言すれば、テルペノイドの合成経路をより活性化し得ること)を示している。
<5.テルペノイドを基質とする酵素(crtY)をコードする遺伝子の導入>
まず、周知の方法にしたがって、ハイグロマイシン耐性遺伝子(Hygr)とパントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)に由来するカロテノイドサイクラーゼ遺伝子(crtY)が挿入されたベクター2を作製した。なお、ベクター2の基本骨格としては、pUC118ベクター(タカラバイオ株式会社製)を用いた。
パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)に由来するカロテノイドサイクラーゼ遺伝子の具体的な塩基配列を配列番号8にて示し、当該遺伝子にコードされているカロテノイドサイクラーゼの具体的なアミノ酸配列を配列番号7にて示す。
また、パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)に由来するカロテノイドサイクラーゼが触媒する反応を図4に示す。図4に示すように、パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)に由来するカロテノイドサイクラーゼ(crtY)は、基質であるリコペンを環状化すると考えられる。
ベクター2では、ハイグロマイシン耐性遺伝子の上流にはGPDプロモーター(UmPGPD)が連結され、かつ、ハイグロマイシン耐性遺伝子の下流にはTcyc1ターミネーターが連結されている。そして、ハイグロマイシン耐性遺伝子の発現は、GPDプロモーターによって制御されている。一方、カロテノイドサイクラーゼ遺伝子の上流にはGPDプロモーター(UmPGPD)が連結され、かつ、カロテノイドサイクラーゼ遺伝子の下流にはTcyc1ターミネーターが連結されている。そして、カロテノイドサイクラーゼ遺伝子の発現は、GPDプロモーターによって制御されている。
次いで、上述したベクター2を、ロドトルラ属に属する微生物(具体的には、ロドトルラ・アケニオラム(Rhodotorula acheniorum))に導入した。以下に、導入方法を説明する。
まず、50mLのYPD液体培地(組成:YPD液体培地1Lあたり、Bacto peptoneを20g、Yeast extractを10g、および、40%グルコース溶液を50mL、含む)中にて、上記微生物を2〜3日間培養した。
培養後の微生物の一部を、50mLの新鮮なYPD液体培地に加え、20〜28℃にて24時間培養した。培養後、増殖した微生物を遠心分離によって回収した。回収した微生物を、滅菌された蒸留水に懸濁して洗浄した後、当該微生物を、遠心分離によって回収した。
回収された微生物を、1mLの0.1M LiAc溶液中に懸濁した。微生物を含有するLiAc溶液を50μL分取し、分取された当該溶液に、70% PEG#4000溶液171μL、滅菌された蒸留水69μL、2M LiAc溶液15μL、Carrier DNA溶液(2mg−Carrier DMA/mL)15μL、および、ベクター110μgの混合物を加えた。
上記混合溶液を20〜28℃にて数時間静置した後、当該混合溶液に対して30〜40℃にて5分間のヒートショックを加えた。ヒートショックを加えた後の混合溶液から微生物を遠心分離にて回収し、当該微生物を、YPD液体培地中で数時間培養した。培養後の微生物を遠心分離によって回収し、当該微生物を、ハイグロマイシンを含有するYPD固体培地上で培養した。
数日間の培養の後、YPD固体培地上に現れたコロニーを形成する形質転換体を複数ピックアップし、周知のコロニーPCR法にて、各形質転換体中にハイグロマイシン耐性遺伝子とカロテノイドサイクラーゼ遺伝子とが導入されているか否か確認した。以下に、ハイグロマイシン耐性遺伝子の検出に用いたプライマーセット1、カロテノイドサイクラーゼ遺伝子の検出に用いたプライマーセット3、および、PCRの反応条件を示す。
<プライマーセット1>
フォワードプライマー :5’−atgaaaaagcctgaactcaccgcgacgtctg−3’(配列番号3)
リバースプライマー :5’−gttagcctcccccatctcccgatccccacg−3’(配列番号4)
<プライマーセット3>
フォワードプライマー :5’−atgcaaccgcattatgatctgattctcgtg−3’(配列番号17)
リバースプライマー :5’−acgatgagtcgtcataatggcttgcaatgc−3’(配列番号18)
<PCRの反応条件>
68℃にて1.5分間の反応(アニーリング反応、および、伸長反応を兼ねた反応)、および、98℃にて10秒間の変性反応からなる反応サイクルを30回繰り返す反応条件。
図5に、コロニーPCRの結果を示す。図5おいて、左側の写真は、カロテノイドサイクラーゼ遺伝子の検出結果を示し、右側の写真は、ハイグロマイシン耐性遺伝子の検出結果を示している。また、図5において、「M」は、1kb ラダーマーカーに対応し、「1」は、ポジティブコントロールに対応し、「2」〜「4」は、各形質転換体に対応している。以下、「2」〜「4」の形質転換体の各々を、「Yhyg1」〜「Yhyg3」とも呼ぶ。
図5に示すように、ピックアップされた3個の形質転換体の各々には、ハイグロマイシン耐性遺伝子のみならず、カロテノイドサイクラーゼ遺伝子も導入されていることが明らかになった。
次いで、各形質転換体に導入されたハイグロマイシン耐性遺伝子およびカロテノイドサイクラーゼ遺伝子からmRNAが発現しているか否か、試験した。以下に、試験方法および試験結果を説明する。
上述した「2」〜「4」に対応する形質転換体の各々を、100mLのF培地(組成:F培地1Lあたり、グルコースを40g、(NHSOを0.5g、KHPOを1g、MgSO・7HOを0.5g、CaCl・2HOを0.1g、NaClを0.1g、および、Yeast extractを1.5g含み、pH5.5)に植菌した。
上記形質転換体を25℃、180rpmにて3日間培養した後、当該形質転換体を遠心分離によって回収した。
市販のキット(ニッポンジーン社製のRNA抽出キット ISOGEN II)を用いて、各形質転換体からTotal RNAを抽出するとともに、当該Total RNAから、cDNAを合成した。なお、抽出および合成の具体的な方法は、キットに添付のプロトコールにしたがった。
上記cDNAを鋳型としてPCRを行い、各形質転換体に導入されたハイグロマイシン耐性遺伝子およびカロテノイドサイクラーゼ遺伝子からmRNAが発現しているか否か確認した。なお、当該PCRでは、プライマーとして、上述したプライマーセット1またはプライマーセット3を用い、かつ、反応条件として、コロニーPCR法で採用したものと同じ反応条件を用いた。
図6に試験結果を示す。図6において、左側の写真は、カロテノイドサイクラーゼ遺伝子から発現されるmRNAの検出結果を示し、右側の写真は、ハイグロマイシン耐性遺伝子から発現されるmRNAの検出結果を示している。また、図6において、「M」は、1kb ラダーマーカーに対応し、「1」は、カロテノイドサイクラーゼ遺伝子、および、ハイグロマイシン耐性遺伝子が導入されていない野生型のロドトルラ属に属する微生物(具体的には、Rhodotorula acheniorum)に対応し、「2」は、ポジティブコントロールに対応し、「3」〜「5」は、形質転換体である「Yhyg1」〜「Yhyg3」に対応している。
図6に示すように、ピックアップされた3個の形質転換体の各々では、ハイグロマイシン耐性遺伝子のみならずカロテノイドサイクラーゼ遺伝子からも、mRNAが発現していることが明らかになった。
<6.形質転換体が生産するカロテノイドの分析>
<3.形質転換体からのカロテノイドの抽出>にて説明した抽出操作と同様の抽出操作で得られた残渣をHPLC(high-performance liquid chromatography)に供し、残渣に含まれるカロテノイドを分析した。
以下に、HPCLの分析条件を示す;
カラム :inertsil ODS−3(4.6×250mm)、
カラム温度 :30℃、
溶出溶媒の流速:1.5mL/min、
検出方法 :450nm(VIS)、
外部標準 :β−カロテン。
溶出溶媒としては、溶媒Aおよび溶媒Bを所望の比率で含有する溶出溶媒を用い、経時的に溶出溶媒中に含まれる各溶媒の比率を変化させながら、溶出操作を行った。
以下に、溶媒Aおよび溶媒Bの成分を示す;
溶媒A:水/メタノール=10/90、
溶媒B:メタノール/アセトン=50/50。
以下の表4に、溶出溶媒中に含まれる溶媒Aおよび溶媒Bの比率(%)の経時的な変化(グラジエント溶出のプログラム)を示す。
図7に、残渣に含まれている成分に関する、HPLCによる分析結果を示す。更に、検出された450nm(VIS)に基づいて、以下のA値〜D値をβ-カロテン相当量として算出した。その結果を、表5に示す。
A値:湿菌体1gあたりに含まれる全カロテノイドの総量[mg/g−FW]、
B値:乾燥菌体1gあたりに含まれる全カロテノイドの総量[mg/g−DCW]、
C値:培地1Lあたりに含まれる全カロテノイドの総量[mg/L]、
D値:湿菌体1gあたりに含まれるβ−カロテンの量[mg/g−FW]。
残渣を分析した結果、形質転換体では、同条件で培養した野生型のロドトルラ属に属する微生物に比べて、湿菌体1gあたりに含まれる全カロテノイドの総量が2.4倍になっていた。このことは、形質転換体が、野生型のロドトルラ属に属する微生物と比較して、多くのカロテノイドを生産し得ることを示している。
<7.テルペノイドを基質とする酵素(crtY、およびcrtW)をコードする遺伝子の導入>
まず、周知の方法にしたがって、ハイグロマイシン耐性遺伝子(Hygr)、パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)に由来するカロテノイドサイクラーゼ遺伝子(crtY)、および、ブレバンディモナス属(Brevundimonas sp.)に属する微生物に由来するカロテノイドケトラーゼ遺伝子(crtW)が挿入されたベクター3を作製した。なお、ベクター3の基本骨格としては、pUC118ベクター(タカラバイオ株式会社製)を用いた。
パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)に由来するカロテノイドサイクラーゼ遺伝子の具体的な塩基配列を配列番号8にて示し、当該遺伝子にコードされているカロテノイドサイクラーゼの具体的なアミノ酸配列を配列番号7にて示す。また、ブレバンディモナス属に属する微生物に由来するカロテノイドケトラーゼ遺伝子の具体的な塩基配列を配列番号2にて示し、当該遺伝子にコードされているカロテノイドケトラーゼの具体的なアミノ酸配列を配列番号1にて示す。
また、パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)に由来するカロテノイドサイクラーゼ、およびブレバンディモナス属に属する微生物に由来するカロテノイドケトラーゼが触媒する反応を図4に示す。図4に示すように、パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)に由来するカロテノイドサイクラーゼ(crtY)は、基質であるリコペンを環状化すると考えられる。一方、ブレバンディモナス属に属する微生物に由来するカロテノイドケトラーゼ(crtW)は、基質であるβ−カロテンにケト基を導入すると考えられる。
ベクター3では、ハイグロマイシン耐性遺伝子の上流にはGPDプロモーター(UmPGPD)が連結され、かつ、ハイグロマイシン耐性遺伝子の下流にはTcyc1ターミネーターが連結されている。そして、ハイグロマイシン耐性遺伝子の発現は、GPDプロモーターによって制御されている。一方、カロテノイドサイクラーゼ遺伝子の上流にはGPDプロモーター(UmPGPD)が連結され、かつ、カロテノイドサイクラーゼ遺伝子の下流にはTcyc1ターミネーターが連結されている。そして、カロテノイドサイクラーゼ遺伝子の発現は、GPDプロモーターによって制御されている。一方、カロテノイドケトラーゼ遺伝子の上流にはGPDプロモーター(UmPGPD)が連結され、かつ、カロテノイドケトラーゼ遺伝子の下流にはTcyc1ターミネーターが連結されている。そして、カロテノイドケトラーゼ遺伝子の発現は、GPDプロモーターによって制御されている。
次いで、上述したベクター3を、ロドトルラ属に属する微生物(具体的には、ロドトルラ・アケニオラム(Rhodotorula acheniorum))に導入した。以下に、導入方法を説明する。
まず、50mLのYPD液体培地(組成:YPD液体培地1Lあたり、Bacto peptoneを20g、Yeast extractを10g、および、40%グルコース溶液を50mL、含む)中にて、上記微生物を2〜3日間培養した。
培養後の微生物の一部を、50mLの新鮮なYPD液体培地に加え、20〜28℃にて24時間培養した。培養後、増殖した微生物を遠心分離によって回収した。回収した微生物を、滅菌された蒸留水に懸濁して洗浄した後、当該微生物を、遠心分離によって回収した。
回収された微生物を、1mLの0.1M LiAc溶液中に懸濁した。微生物を含有するLiAc溶液を50μL分取し、分取された当該溶液に、70% PEG#4000溶液171μL、滅菌された蒸留水69μL、2M LiAc溶液15μL、Carrier DNA溶液(2mg−Carrier DMA/mL)15μL、および、ベクター110μgの混合物を加えた。
上記混合溶液を20〜28℃にて数時間静置した後、当該混合溶液に対して30〜40℃にて5分間のヒートショックを加えた。ヒートショックを加えた後の混合溶液から微生物を遠心分離にて回収し、当該微生物を、YPD液体培地中で数時間培養した。培養後の微生物を遠心分離によって回収し、当該微生物を、ハイグロマイシンを含有するYPD固体培地上で培養した。
数日間の培養の後、YPD固体培地上に現れたコロニーを形成する形質転換体を複数ピックアップし、周知のコロニーPCR法にて、各形質転換体中にハイグロマイシン耐性遺伝子、カロテノイドケトラーゼ遺伝子、およびカロテノイドサイクラーゼ遺伝子が導入されているか否か確認した。以下に、ハイグロマイシン耐性遺伝子の検出に用いたプライマーセット1、カロテノイドケトラーゼ遺伝子の検出に用いたプライマーセット2、カロテノイドサイクラーゼ遺伝子の検出に用いたプライマーセット3、および、PCRの反応条件を示す。
<プライマーセット1>
フォワードプライマー :5’−atgaaaaagcctgaactcaccgcgacgtctg−3’(配列番号3)
リバースプライマー :5’−gttagcctcccccatctcccgatccccacg−3’(配列番号4)
<プライマーセット2>
フォワードプライマー :5’−atgaccgccgccgtcgccgagccccgcatc−3’(配列番号5)
リバースプライマー :5’−agactcgccgcgccacaaacgccaccaggg−3’(配列番号6)
<プライマーセット3>
フォワードプライマー :5’−atgcaaccgcattatgatctgattctcgtg−3’(配列番号17)
リバースプライマー :5’−acgatgagtcgtcataatggcttgcaatgc−3’(配列番号18)
<PCRの反応条件>
68℃にて1.5分間の反応(アニーリング反応、および、伸長反応を兼ねた反応)、および、98℃にて10秒間の変性反応からなる反応サイクルを30回繰り返す反応条件。
図8に、コロニーPCRの結果を示す。図8において、左側の写真は、カロテノイドケトラーゼ遺伝子の検出結果を示し、中央の写真は、カロテノイドサイクラーゼ遺伝子の検出結果を示し、右側の写真は、ハイグロマイシン耐性遺伝子の検出結果を示している。また、図8において、「M」は、1kb ラダーマーカーに対応し、「1」は、ポジティブコントロールに対応し、「2」〜「4」は、各形質転換体に対応している。以下、「2」〜「4」の形質転換体の各々を、「WYhyg1」〜「WYhyg3」とも呼ぶ。
図8に示すように、ピックアップされた3個の形質転換体の各々には、ハイグロマイシン耐性遺伝子のみならず、カロテノイドケトラーゼ遺伝子、およびカロテノイドサイクラーゼ遺伝子も導入されていることが明らかになった。
次いで、各形質転換体に導入されたハイグロマイシン耐性遺伝子、カロテノイドケトラーゼ遺伝子、およびカロテノイドサイクラーゼ遺伝子からmRNAが発現しているか否か、試験した。以下に、試験方法および試験結果を説明する。
上述した「2」〜「4」に対応する形質転換体の各々を、100mLのF培地(組成:F培地1Lあたり、グルコースを40g、(NHSOを0.5g、KHPOを1g、MgSO・7HOを0.5g、CaCl・2HOを0.1g、NaClを0.1g、および、Yeast extractを1.5g含み、pH5.5)に植菌した。
上記形質転換体を25℃、180rpmにて3日間培養した後、当該形質転換体を遠心分離によって回収した。
市販のキット(ニッポンジーン社製のRNA抽出キット ISOGEN II)を用いて、各形質転換体からTotal RNAを抽出するとともに、当該Total RNAから、cDNAを合成した。なお、抽出および合成の具体的な方法は、キットに添付のプロトコールにしたがった。
上記cDNAを鋳型としてPCRを行い、各形質転換体に導入されたハイグロマイシン耐性遺伝子、カロテノイドケトラーゼ遺伝子、およびカロテノイドサイクラーゼ遺伝子からmRNAが発現しているか否か確認した。なお、当該PCRでは、プライマーとして、上述したプライマーセット1、プライマーセット2、または、プライマーセット3を用い、かつ、反応条件として、コロニーPCR法で採用したものと同じ反応条件を用いた。
図9に試験結果を示す。図9において、左側の写真は、カロテノイドケトラーゼ遺伝子から発現されるmRNAの検出結果を示し、中央の写真は、カロテノイドサイクラーゼ遺伝子から発現されるmRNAの検出結果を示し、右側の写真は、ハイグロマイシン耐性遺伝子から発現されるmRNAの検出結果を示している。また、図9において、「M」は、1kb ラダーマーカーに対応し、「1」は、カロテノイドケトラーゼ遺伝子、カロテノイドサイクラーゼ遺伝子、およびハイグロマイシン耐性遺伝子が導入されていない野生型のロドトルラ属に属する微生物(具体的には、Rhodotorula acheniorum)に対応し、「2」は、ポジティブコントロールに対応し、「3」〜「5」は、形質転換体である「WYhyg1」〜「WYhyg3」に対応している。
図9に示すように、ピックアップされた3個の形質転換体の各々では、ハイグロマイシン耐性遺伝子のみならずカロテノイドケトラーゼ遺伝、およびカロテノイドサイクラーゼ遺伝子からも、mRNAが発現していることが明らかになった。
<8.形質転換体が生産するカロテノイドの分析>
<3.形質転換体からのカロテノイドの抽出>にて説明した抽出操作と同様の抽出操作で得られた残渣をHPLC(high-performance liquid chromatography)に供し、残渣に含まれるカロテノイドを分析した。
以下に、HPCLの分析条件を示す;
カラム :inertsil ODS−3(4.6×250mm)、
カラム温度 :30℃、
溶出溶媒の流速:1.5mL/min、
検出方法 :450nm(VIS)、
外部標準 :β−カロテン。
溶出溶媒としては、溶媒Aおよび溶媒Bを所望の比率で含有する溶出溶媒を用い、経時的に溶出溶媒中に含まれる各溶媒の比率を変化させながら、溶出操作を行った。
以下に、溶媒Aおよび溶媒Bの成分を示す;
溶媒A:水/メタノール=10/90、
溶媒B:メタノール/アセトン=50/50。
以下の表6に、溶出溶媒中に含まれる溶媒Aおよび溶媒Bの比率(%)の経時的な変化(グラジエント溶出のプログラム)を示す。
図10に、残渣に含まれている成分に関する、HPLCによる分析結果を示す。更に、検出された450nm(VIS)に基づいて、以下のA値〜D値をβ-カロテン相当量として算出した。その結果を、表7に示す。
A値:湿菌体1gあたりに含まれる全カロテノイドの総量[mg/g−FW]、
B値:乾燥菌体1gあたりに含まれる全カロテノイドの総量[mg/g−DCW]、
C値:培地1Lあたりに含まれる全カロテノイドの総量[mg/L]、
D値:湿菌体1gあたりに含まれるカンタキサンチンの量[mg/g−FW]。
残渣を分析した結果、形質転換体では、同条件で培養した野生型のロドトルラ属に属する微生物に比べて、全カロテノイドの総量が1.27倍になっていた。このことは、形質転換体が、複数のカロテノイド生合成遺伝子を発現させてもカロテノイドを生産し得ることを示している。
<9.アモルファジエン合成酵素(ADS)をコードする遺伝子の導入>
まず、周知の方法にしたがって、ハイグロマイシン耐性遺伝子(Hygr)とアルテミシア・アヌア(Artemisia annua)に由来するアモルファジエン合成酵素遺伝子(ADS)が挿入されたベクター4を作製した。なお、ベクター4の基本骨格としては、pUC118ベクター(タカラバイオ株式会社製)を用いた。
アルテミシア・アヌア(Artemisia annua)に由来するアモルファジエン合成酵素遺伝子(ADS)の具体的な塩基配列を配列番号12にて示し、当該遺伝子にコードされているアモルファジエン合成酵素の具体的なアミノ酸配列を配列番号11にて示す。
また、アルテミシア・アヌア(Artemisia annua)に由来するアモルファジエン合成酵素が触媒する反応を図11に示す。図11に示すように、アルテミシア・アヌア(Artemisia annua)に由来するアモルファジエン合成酵素は、基質であるFPPを環状化すると考えられる。
ベクター4は、ハイグロマイシン耐性遺伝子の上流にはGPDプロモーター(UmPGPD)が連結され、かつ、ハイグロマイシン耐性遺伝子の下流にはTcyc1ターミネーターが連結されている。そして、ハイグロマイシン耐性遺伝子の発現は、GPDプロモーターによって制御されている。一方、アモルファジエン合成酵素遺伝子の上流にはGPDプロモーター(UmPGPD)が連結され、かつ、アモルファジエン合成酵素遺伝子の下流にはTcyc1ターミネーターが連結されている。そして、アモルファジエン合成酵素遺伝子の発現は、GPDプロモーターによって制御されている。
次いで、上述したベクター4を、ロドトルラ属に属する微生物(具体的には、ロドトルラ・アケニオラム(Rhodotorula acheniorum))に導入した。以下に、導入方法を説明する。
まず、50mLのYPD液体培地(組成:YPD液体培地1Lあたり、Bacto peptoneを20g、Yeast extractを10g、および、40%グルコース溶液を50mL、含む)中にて、上記微生物を2〜3日間培養した。
培養後の微生物の一部を、50mLの新鮮なYPD液体培地に加え、20〜28℃にて24時間培養した。培養後、増殖した微生物を遠心分離によって回収した。回収した微生物を、滅菌された蒸留水に懸濁して洗浄した後、当該微生物を、遠心分離によって回収した。
回収された微生物を、1mLの0.1M LiAc溶液中に懸濁した。微生物を含有するLiAc溶液を50μL分取し、分取された当該溶液に、70% PEG#4000溶液171μL、滅菌された蒸留水69μL、2M LiAc溶液15μL、Carrier DNA溶液(2mg−Carrier DMA/mL)15μL、および、ベクター110μgの混合物を加えた。
上記混合溶液を20〜28℃にて数時間静置した後、当該混合溶液に対して30〜40℃にて5分間のヒートショックを加えた。ヒートショックを加えた後の混合溶液から微生物を遠心分離にて回収し、当該微生物を、YPD液体培地中で数時間培養した。培養後の微生物を遠心分離によって回収し、当該微生物を、ハイグロマイシンを含有するYPD固体培地上で培養した。
数日間の培養の後、YPD固体培地上に現れたコロニーを形成する形質転換体を複数ピックアップし、周知のコロニーPCR法にて、各形質転換体中にハイグロマイシン耐性遺伝子とアモルファジエン合成酵素遺伝子とが導入されているか否か確認した。以下に、ハイグロマイシン耐性遺伝子の検出に用いたプライマーセット1、アモルファジエン合成酵素遺伝子の検出に用いたプライマーセット4、および、PCRの反応条件を示す。
<プライマーセット1>
フォワードプライマー :5’−atgaaaaagcctgaactcaccgcgacgtctg−3’(配列番号3)
リバースプライマー :5’−gttagcctcccccatctcccgatccccacg−3’(配列番号4)
<プライマーセット4>
フォワードプライマー :5’−atgtcacttacagaagaaaaacctattcgc−3’(配列番号19)
リバースプライマー :5’−tatactcataggataaacgagtagagactttatg−3’(配列番号20)
<PCRの反応条件>
68℃にて1.5分間の反応(アニーリング反応、および、伸長反応を兼ねた反応)、および、98℃にて10秒間の変性反応からなる反応サイクルを30回繰り返す反応条件。
図12に、コロニーPCRの結果を示す。図12において、左側の写真は、アモルファジエン合成酵素遺伝子の検出結果を示し、右側の写真は、ハイグロマイシン耐性遺伝子の検出結果を示している。また、図12において、「M」は、1kb ラダーマーカーに対応し、「1」は、ポジティブコントロールに対応し、「2」〜「3」は、各形質転換体に対応している。以下、「2」〜「3」の形質転換体の各々を、「ADShyg1」〜「ADShyg2」とも呼ぶ。
図12に示すように、ピックアップされた2個の形質転換体の各々には、ハイグロマイシン耐性遺伝子のみならず、アモルファジエン合成酵素遺伝子も導入されていることが明らかになった。
次いで、各形質転換体に導入されたハイグロマイシン耐性遺伝子およびアモルファジエン合成酵素遺伝子からmRNAが発現しているか否か、試験した。以下に、試験方法および試験結果を説明する。
上述した「2」〜「3」に対応する形質転換体の各々を、100mLのF培地(組成:F培地1Lあたり、グルコースを40g、(NHSOを0.5g、KHPOを1g、MgSO・7HOを0.5g、CaCl・2HOを0.1g、NaClを0.1g、および、Yeast extractを1.5g含み、pH5.5)に植菌した。
上記形質転換体を25℃、180rpmにて3日間培養した後、当該形質転換体を遠心分離によって回収した。
市販のキット(ニッポンジーン社製のRNA抽出キット ISOGEN II)を用いて、各形質転換体からTotal RNAを抽出するとともに、当該Total RNAから、cDNAを合成した。なお、抽出および合成の具体的な方法は、キットに添付のプロトコールにしたがった。
上記cDNAを鋳型としてPCRを行い、各形質転換体に導入されたハイグロマイシン耐性遺伝子およびアモルファジエン合成酵素遺伝子からmRNAが発現しているか否か確認した。なお、当該PCRでは、プライマーとして、上述したプライマーセット1またはプライマーセット4を用い、かつ、反応条件として、コロニーPCR法で採用したものと同じ反応条件を用いた。
図13に試験結果を示す。図13において、左側の写真は、アモルファジエン合成酵素遺伝子から発現されるmRNAの検出結果を示し、右側の写真は、ハイグロマイシン耐性遺伝子から発現されるmRNAの検出結果を示している。また、図13において、「M」は、1kb ラダーマーカーに対応し、「1」は、アモルファジエン合成酵素遺伝子、および、ハイグロマイシン耐性遺伝子が導入されていない野生型のロドトルラ属に属する微生物(具体的には、Rhodotorula acheniorum)に対応し、「2」は、ポジティブコントロールに対応し、「3」〜「4」は、形質転換体である「ADShyg1」〜「ADShyg2」に対応している。
図13に示すように、ピックアップされた2個の形質転換体の各々では、ハイグロマイシン耐性遺伝子のみならずアモルファジエン合成酵素遺伝子からも、mRNAが発現していることが明らかになった。
<10.形質転換体が生産するセスキテルペノイドの分析>
各微生物をF培地(具体的には、液体状のF培地(換言すれば、液体培地)、または、固体状のF培地(換言すれば、固体培地))を用いて培養した後、増殖した各微生物を遠心分離によって回収した。回収した1g(湿重量)の微生物に対して、(a)1mLの蒸留水または有機溶媒を加え30分間抽出した後、更に(b)10mLの蒸留水を加えた。
当該混合溶液に有機溶媒を加えて撹拌した後、静置し、水の層から分離した有機溶媒の層を回収した。更に、残った水の層に対して、再び有機溶媒を加えて撹拌した後、静置し、水の層から分離した有機溶媒の層を回収した。さらに同操作を2回行い、計3回抽出操作をおこなった。有機溶媒としては、3mLのEtOAcを用いた。
回収した3つの有機溶媒の層を合わせて1つとし、窒素気流下で有機溶媒を揮発させて、残渣を回収した。当該残渣を1mLのEtOAcに溶解した。
抽出操作で得られたEtOAc溶液をGC−MS(Gas Chromatography - mass spectrometry)に供し、残渣に含まれるセスキテルペノイドを分析した。
以下に、GC−MSの分析条件を示す;
カラム :HP−5MS(30m×0.25mm×0.25μm)、
気化室温度 :250℃
カラム温度 :100℃(2分間保持)〜(昇温:10℃/min)〜280℃
(5分間保持)
ガス :ヘリウム
線速度 :30.5cm/sec、
スピリット比 :10、
イオン源温度 :250℃
インターフェース温度:280℃、
溶媒溶出時間 :3min、
イオン化法 :EI、
スキャン速度 :4scan/sec
スキャン範囲 :m/z 40〜600
外部標準 :アモルファ−4,11−ジエン。
図14に、残渣に含まれている成分に関する、GC−MSによる分析結果を示す。更に、検出されたピークエリア面積に基づいて、以下のA値〜D値をアモルファ−4,11−ジエン量として算出した。その結果を、表8に示す。
A値:湿菌体1gあたりに含まれるセスキテルペノイドの量[μg/g−FW]、
B値:乾燥菌体1gあたりに含まれるアモルファ−4,11−ジエンの量の総量[μg/g−DCW]、
C値:培地1Lあたりに含まれるアモルファ−4,11−ジエンの量の総量[mg/L]、
D値:湿菌体1gあたりに含まれるアモルファ−4,11−ジエンの量[μg/g−FW]。
残渣を分析した結果、野生型のロドトルラ属に属する微生物ではアモルファ−4,11−ジエンを含むセスキテルペンが検出されないのに対して、形質転換体では、同条件で培養した、培地1Lあたりに含まれるアモルファ−4,11−ジエンが0.180mg/L検出された。このことは、形質転換体が、野生型のロドトルラ属に属する微生物と比較して、セスキテルペノイドを生産し得ることを示している。
<11.β―アミリン合成酵素(bAS)をコードする遺伝子の導入>
まず、周知の方法にしたがって、ハイグロマイシン耐性遺伝子(Hygr)とグリチライザ ウラレンシス(Glycyrrhiza uralensis)に由来するβ―アミリン合成酵素遺伝子(bAS)が挿入されたベクター5を作製した。なお、ベクター5の基本骨格としては、pUC118ベクター(タカラバイオ株式会社製)を用いた。
グリチライザ ウラレンシス(Glycyrrhiza uralensis)に由来するβ―アミリン合成酵素遺伝子(bAS)の具体的な塩基配列を配列番号16にて示し、当該遺伝子にコードされているβ―アミリン合成酵素の具体的なアミノ酸配列を配列番号15にて示す。
また、グリチライザ ウラレンシス(Glycyrrhiza uralensis)に由来するβ―アミリン合成酵素が触媒する反応を図15に示す。図15に示すように、グリチライザ ウラレンシス(Glycyrrhiza uralensis)に由来するβ―アミリン合成酵素は、基質である2,3-オキシドスクアレンを環状化すると考えられる。
ベクター5は、ハイグロマイシン耐性遺伝子の上流にはGPDプロモーター(UmPGPD)が連結され、かつ、ハイグロマイシン耐性遺伝子の下流にはTcyc1ターミネーターが連結されている。そして、ハイグロマイシン耐性遺伝子の発現は、GPDプロモーターによって制御されている。一方、β―アミリン合成酵素遺伝子の上流にはGPDプロモーター(UmPGPD)が連結され、かつ、β―アミリン合成酵素遺伝子の下流にはTcyc1ターミネーターが連結されている。そして、β―アミリン合成酵素遺伝子の発現は、GPDプロモーターによって制御されている。
次いで、上述したベクター5を、ロドトルラ属に属する微生物(具体的には、ロドトルラ・アケニオラム(Rhodotorula acheniorum))に導入した。以下に、導入方法を説明する。
まず、50mLのYPD液体培地(組成:YPD液体培地1Lあたり、Bacto peptoneを20g、Yeast extractを10g、および、40%グルコース溶液を50mL、含む)中にて、上記微生物を2〜3日間培養した。
培養後の微生物の一部を、50mLの新鮮なYPD液体培地に加え、20〜28℃にて24時間培養した。培養後、増殖した微生物を遠心分離によって回収した。回収した微生物を、滅菌された蒸留水に懸濁して洗浄した後、当該微生物を、遠心分離によって回収した。
回収された微生物を、1mLの0.1M LiAc溶液中に懸濁した。微生物を含有するLiAc溶液を50μL分取し、分取された当該溶液に、70% PEG#4000溶液171μL、滅菌された蒸留水69μL、2M LiAc溶液15μL、Carrier DNA溶液(2mg−Carrier DMA/mL)15μL、および、ベクター110μgの混合物を加えた。
上記混合溶液を20〜28℃にて数時間静置した後、当該混合溶液に対して30〜40℃にて5分間のヒートショックを加えた。ヒートショックを加えた後の混合溶液から微生物を遠心分離にて回収し、当該微生物を、YPD液体培地中で数時間培養した。培養後の微生物を遠心分離によって回収し、当該微生物を、ハイグロマイシンを含有するYPD固体培地上で培養した。
数日間の培養の後、YPD固体培地上に現れたコロニーを形成する形質転換体を複数ピックアップし、周知のコロニーPCR法にて、各形質転換体中にハイグロマイシン耐性遺伝子とβ―アミリン合成酵素遺伝子とが導入されているか否か確認した。以下に、ハイグロマイシン耐性遺伝子の検出に用いたプライマーセット1、β―アミリン合成酵素遺伝子の検出に用いたプライマーセット5、および、PCRの反応条件を示す。
<プライマーセット1>
フォワードプライマー :5’−atgaaaaagcctgaactcaccgcgacgtctg−3’(配列番号3)
リバースプライマー :5’−gttagcctcccccatctcccgatccccacg−3’(配列番号4)
<プライマーセット5>
フォワードプライマー :5’−aaggacccatacatatacagcacaaacaac−3’(配列番号21)
リバースプライマー :5’−caatggaacccgtctacgatactcagctag−3’(配列番号22)
<PCRの反応条件>
68℃にて1.5分間の反応(アニーリング反応、および、伸長反応を兼ねた反応)、および、98℃にて10秒間の変性反応からなる反応サイクルを30回繰り返す反応条件。
図16に、コロニーPCRの結果を示す。図16において、左側の写真は、β−アミリン合成酵素遺伝子の検出結果を示し、右側の写真は、ハイグロマイシン耐性遺伝子の検出結果を示している。また、図16において、「M」は、1kb ラダーマーカーに対応し、「1」は、ポジティブコントロールに対応し、「2」〜「5」は、各形質転換体に対応している。以下、「2」〜「5」の形質転換体の各々を、「bAShyg1」〜「bAShyg4」とも呼ぶ。
図16に示すように、ピックアップされた4個の形質転換体の各々には、ハイグロマイシン耐性遺伝子のみならず、β―アミリン合成酵素遺伝子も導入されていることが明らかになった。
次いで、各形質転換体に導入されたハイグロマイシン耐性遺伝子およびβ−アミリン合成酵素遺伝子からmRNAが発現しているか否か、試験した。以下に、試験方法および試験結果を説明する。
上述した「2」〜「5」に対応する形質転換体の各々を、100mLのF培地(組成:F培地1Lあたり、グルコースを40g、(NHSOを0.5g、KHPOを1g、MgSO・7HOを0.5g、CaCl・2HOを0.1g、NaClを0.1g、および、Yeast extractを1.5g含み、pH5.5)に植菌した。
上記形質転換体を25℃、180rpmにて3日間培養した後、当該形質転換体を遠心分離によって回収した。
市販のキット(ニッポンジーン社製のRNA抽出キット ISOGEN II)を用いて、各形質転換体からTotal RNAを抽出するとともに、当該Total RNAから、cDNAを合成した。なお、抽出および合成の具体的な方法は、キットに添付のプロトコールにしたがった。
上記cDNAを鋳型としてPCRを行い、各形質転換体に導入されたハイグロマイシン耐性遺伝子およびβ―アミリン合成酵素遺伝子からmRNAが発現しているか否か確認した。なお、当該PCRでは、プライマーとして、上述したプライマーセット1またはプライマーセット5を用い、かつ、反応条件として、コロニーPCR法で採用したものと同じ反応条件を用いた。
図17に試験結果を示す。図17において、左側の写真は、β―アミリン合成酵素遺伝子から発現されるmRNAの検出結果を示し、右側の写真は、ハイグロマイシン耐性遺伝子から発現されるmRNAの検出結果を示している。また、図17において、「M」は、1kb ラダーマーカーに対応し、「1」は、β―アミリン合成酵素遺伝子、および、ハイグロマイシン耐性遺伝子が導入されていない野生型のロドトルラ属に属する微生物(具体的には、Rhodotorula acheniorum)に対応し、「2」は、ポジティブコントロールに対応し、「3」〜「6」は、形質転換体である「bAShyg1」〜「bAShyg4」に対応している。
図17に示すように、ピックアップされた4個の形質転換体の各々では、ハイグロマイシン耐性遺伝子のみならずβ―アミリン合成酵素遺伝子からも、mRNAが発現していることが明らかになった。
<12.形質転換体が生産するトリテルペノイドの分析>
各微生物をF培地(具体的には、液体状のF培地(換言すれば、液体培地)、または、固体状のF培地(換言すれば、固体培地))を用いて培養した後、増殖した各微生物を遠心分離によって回収した。回収した1g(湿重量)の微生物に対して、(a)1mLのクロロフォルム及び2mLのメタノールを加え30分間抽出した後、更に(b)2mLのクロロフォルム及び2mLの蒸留水を加えた。
当該混合溶液を撹拌した後、静置し、水/メタノールの層から分離したクロロフォルムの層を回収した。回収したクロロフォルムの層を減圧条件下で有機溶媒を揮発させて、残渣を回収した。
回収した残渣に1mLの2N水酸化カリウム・メタノール溶液を加え70℃で30分加熱した。1N塩酸を2.5mL及び加えた後、1mLの有機溶媒を加えて撹拌した後、静置し、水の層から分離した有機溶媒の層を回収した。さらに同操作を1回行い、計2回抽出操作をおこなった。有機溶媒としては、EtOAcを用いた。
回収した2つの有機溶媒の層を合わせて1つとし、減圧条件下で有機溶媒を揮発させて、残渣を回収した。当該残渣を0.5mLのEtOAcに溶解した。
当該溶解液から50μLを取り出し、窒素気流下で有機溶媒を揮発させた後、50μLのN-メチル-N-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドを加え70℃で30分加熱しトリメチルシリル化を行った。
抽出操作で得られたトリメチルシリル化溶液をGC−MS(Gas Chromatography - mass spectrometry)に供し、残渣に含まれるトリテルペノイドを分析した。
以下に、GC−MSの分析条件を示す;
カラム :DB−1MS(30m×0.25mm×0.25μm)、
気化室温度 :250℃
カラム温度 :60℃(1分間保持)〜(昇温:20℃/min)〜300℃
(28分間保持)
ガス :ヘリウム
線速度 :36.5cm/sec、
注入法 :スピリットレス、
イオン源温度 :280℃
インターフェース温度:300℃、
溶媒溶出時間 :4min、
イオン化法 :EI、
スキャン速度 :3scan/sec
スキャン範囲 :m/z 50〜800
外部標準 :β−アミリン。
図18に、残渣に含まれている成分に関する、GC−MSによる分析結果を示す。更に、検出されたピークエリア面積に基づいて、以下のA値〜D値をβ―アミリン量として算出した。その結果を、表9に示す。
A値:湿菌体1gあたりに含まれるトリテルペノイドの量[μg/g−FW]、
B値:乾燥菌体1gあたりに含まれるβ−アミリンの量の総量[μg/g−DCW]、
C値:培地1Lあたりに含まれるβ−アミリンの量の総量[mg/L]、
D値:湿菌体1gあたりに含まれるβ−アミリンの量[μg/g−FW]。
残渣を分析した結果、野生型のロドトルラ属に属する微生物ではβ―アミリン等の植物ステロールを含むトリテルペンが検出されないのに対して、形質転換体では、同条件で培養した、培地1Lあたりに含まれるβ―アミリンが2.75mg/L検出された。このことは、形質転換体が、野生型のロドトルラ属に属する微生物と比較して、他の生物種由来のトリテルペノイドを生産し得ることを示している。
<13.ルペオール合成酵素(LUS)をコードする遺伝子の導入>
まず、周知の方法にしたがって、ハイグロマイシン耐性遺伝子(Hygr)とグリチライザ ウラレンシス(Glycyrrhiza uralensis)に由来するルペオール合成酵素遺伝子(LUS)が挿入されたベクター6を作製した。なお、ベクター6の基本骨格としては、pUC118ベクター(タカラバイオ株式会社製)を用いた。
グリチライザ ウラレンシス(Glycyrrhiza uralensis)に由来するルペオール合成酵素遺伝子(LUS)の具体的な塩基配列を配列番号24にて示し、当該遺伝子にコードされているルペオール合成酵素の具体的なアミノ酸配列を配列番号23にて示す。
また、グリチライザ ウラレンシス(Glycyrrhiza uralensis)に由来するルペオール合成酵素が触媒する反応を図19に示す。図19に示すように、グリチライザ ウラレンシス(Glycyrrhiza uralensis)に由来するルペオール合成酵素は、基質である2,3-オキシドスクアレンを環状化すると考えられる。
ベクター6は、ハイグロマイシン耐性遺伝子の上流にはGPDプロモーター(UmPGPD)が連結され、かつ、ハイグロマイシン耐性遺伝子の下流にはTcyc1ターミネーターが連結されている。そして、ハイグロマイシン耐性遺伝子の発現は、GPDプロモーターによって制御されている。一方、ルペオール合成酵素遺伝子の上流にはGPDプロモーター(UmPGPD)が連結され、かつ、ルペオール合成酵素遺伝子の下流にはTcyc1ターミネーターが連結されている。そして、ルペオール合成酵素遺伝子の発現は、GPDプロモーターによって制御されている。
次いで、上述したベクター6を、ロドトルラ属に属する微生物(具体的には、ロドトルラ・アケニオラム(Rhodotorula acheniorum))に導入した。以下に、導入方法を説明する。
まず、50mLのYPD液体培地(組成:YPD液体培地1Lあたり、Bacto peptoneを20g、Yeast extractを10g、および、40%グルコース溶液を50mL、含む)中にて、上記微生物を2〜3日間培養した。
培養後の微生物の一部を、50mLの新鮮なYPD液体培地に加え、20〜28℃にて24時間培養した。培養後、増殖した微生物を遠心分離によって回収した。回収した微生物を、滅菌された蒸留水に懸濁して洗浄した後、当該微生物を、遠心分離によって回収した。
回収された微生物を、1mLの0.1M LiAc溶液中に懸濁した。微生物を含有するLiAc溶液を50μL分取し、分取された当該溶液に、70% PEG#4000溶液171μL、滅菌された蒸留水69μL、2M LiAc溶液15μL、Carrier DNA溶液(2mg−Carrier DMA/mL)15μL、および、ベクター110μgの混合物を加えた。
上記混合溶液を20〜28℃にて数時間静置した後、当該混合溶液に対して30〜40℃にて5分間のヒートショックを加えた。ヒートショックを加えた後の混合溶液から微生物を遠心分離にて回収し、当該微生物を、YPD液体培地中で数時間培養した。培養後の微生物を遠心分離によって回収し、当該微生物を、ハイグロマイシンを含有するYPD固体培地上で培養した。
数日間の培養の後、YPD固体培地上に現れたコロニーを形成する形質転換体を複数ピックアップし、周知のコロニーPCR法にて、各形質転換体中にハイグロマイシン耐性遺伝子とルペオール合成酵素遺伝子とが導入されているか否か確認した。以下に、ハイグロマイシン耐性遺伝子の検出に用いたプライマーセット1、ルペオール合成酵素遺伝子の検出に用いたプライマーセット6、および、PCRの反応条件を示す。
<プライマーセット1>
フォワードプライマー :5’−atgaaaaagcctgaactcaccgcgacgtctg−3’(配列番号3)
リバースプライマー :5’−gttagcctcccccatctcccgatccccacg−3’(配列番号4)
<プライマーセット6>
フォワードプライマー :5’−ggaagctgaagataggagaaggaggagcgg−3’(配列番号25)
リバースプライマー :5’−gtgagcacacaagacttggcgacgatactc−3’(配列番号26)
<PCRの反応条件>
68℃にて1.5分間の反応(アニーリング反応、および、伸長反応を兼ねた反応)、および、98℃にて10秒間の変性反応からなる反応サイクルを30回繰り返す反応条件。
図20に、コロニーPCRの結果を示す。図20において、左側の写真は、ルペオール合成酵素遺伝子の検出結果を示し、右側の写真は、ハイグロマイシン耐性遺伝子の検出結果を示している。また、図20において、「M」は、1kb ラダーマーカーに対応し、「1」は、ポジティブコントロールに対応し、「2」〜「5」は、各形質転換体に対応している。以下、「2」〜「5」の形質転換体の各々を、「LUShyg1」〜「LUShyg4」とも呼ぶ。
図20に示すように、ピックアップされた4個の形質転換体の各々には、ハイグロマイシン耐性遺伝子のみならず、ルペオール合成酵素遺伝子も導入されていることが明らかになった。
次いで、各形質転換体に導入されたハイグロマイシン耐性遺伝子およびルペオール合成酵素遺伝子からmRNAが発現しているか否か、試験した。以下に、試験方法および試験結果を説明する。
上述した「2」〜「5」に対応する形質転換体の各々を、100mLのF培地(組成:F培地1Lあたり、グルコースを40g、(NHSOを0.5g、KHPOを1g、MgSO・7HOを0.5g、CaCl・2HOを0.1g、NaClを0.1g、および、Yeast extractを1.5g含み、pH5.5)に植菌した。
上記形質転換体を25℃、180rpmにて3日間培養した後、当該形質転換体を遠心分離によって回収した。
市販のキット(ニッポンジーン社製のRNA抽出キット ISOGEN II)を用いて、各形質転換体からTotal RNAを抽出するとともに、当該Total RNAから、cDNAを合成した。なお、抽出および合成の具体的な方法は、キットに添付のプロトコールにしたがった。
上記cDNAを鋳型としてPCRを行い、各形質転換体に導入されたハイグロマイシン耐性遺伝子およびルペオール合成酵素遺伝子からmRNAが発現しているか否か確認した。なお、当該PCRでは、プライマーとして、上述したプライマーセット1またはプライマーセット6を用い、かつ、反応条件として、コロニーPCR法で採用したものと同じ反応条件を用いた。
図21に試験結果を示す。図21において、左側の写真は、ルペオール合成酵素遺伝子から発現されるmRNAの検出結果を示し、右側の写真は、ハイグロマイシン耐性遺伝子から発現されるmRNAの検出結果を示している。また、図6において、「M」は、1kb ラダーマーカーに対応し、「1」は、ポジティブコントロールに対応し、「2」〜「5」は、形質転換体である「LUShyg1」〜「LUShyg4」に対応し、「6」は、ルペオール合成酵素遺伝子、および、ハイグロマイシン耐性遺伝子が導入されていない野生型のロドトルラ属に属する微生物(具体的には、Rhodotorula acheniorum)に対応している。
図21に示すように、ピックアップされた4個の形質転換体の各々では、ハイグロマイシン耐性遺伝子のみならずルペオール合成酵素遺伝子からも、mRNAが発現していることが明らかになった。
<12.形質転換体が生産するトリテルペノイドの分析>にて説明した抽出操作と同様の抽出操作で得られたトリメチルシリル化溶液をGC−MS(Gas Chromatography - mass spectrometry)に供し、残渣に含まれるカロテノイドを分析した。
以下に、GC−MSの分析条件を示す;
カラム :DB−1MS(30m×0.25mm×0.25μm)、
気化室温度 :250℃
カラム温度 :60℃(1分間保持)〜(昇温:20℃/min)〜300℃
(28分間保持)
ガス :ヘリウム
線速度 :36.5cm/sec、
注入法 :スピリットレス、
イオン源温度 :280℃
インターフェース温度:300℃、
溶媒溶出時間 :4min、
イオン化法 :EI、
スキャン速度 :3scan/sec
スキャン範囲 :m/z 50〜800
外部標準 :ルペオール。
図22に、残渣に含まれている成分に関する、GC−MSによる分析結果を示す。更に、検出されたピークエリア面積に基づいて、以下のA値〜D値をルペオール量として算出した。その結果を、表10に示す。
A値:湿菌体1gあたりに含まれるトリテルペノイドの量[μg/g−FW]、
B値:乾燥菌体1gあたりに含まれるルペオールの量の総量[μg/g−DCW]、
C値:培地1Lあたりに含まれるルペオールの量の総量[mg/L]、
D値:湿菌体1gあたりに含まれるルペオールの量[μg/g−FW]。
残渣を分析した結果、野生型のロドトルラ属に属する微生物ではルペオール等の植物ステロールを含むトリテルペンが検出されないのに対して、形質転換体では、同条件で培養した、培地1Lあたりに含まれるルペオールが1.85mg/L検出された。このことは、形質転換体が、野生型のロドトルラ属に属する微生物と比較して、他の生物種由来のトリテルペノイドを生産し得ることを示している。
本発明は、医薬品、飼料、食品添加物、機能性食品、香料、バイオ燃料などの種々の産業において利用可能である。

Claims (4)

  1. ロドトルラ(Rhodotorula)属に属する微生物であるロドトルラ・アウランティアカ(Rhodotorula aurantiaca)、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)、または、ロドトルラ・アケニオラム(Rhodotorula acheniorum)に、当該微生物とは異なる生物種に由来する、テルペノイドを生合成する酵素、または、テルペノイドを基質とする酵素をコードする遺伝子が導入され、
    上記酵素は、カロテノイドケトラーゼ、カロテノイドサイクラーゼ、モノテルペノイドシンターゼ、セスキテルペノイドシンターゼ、または、トリテルペノイドシンターゼであり、
    上記カロテノイドケトラーゼは、以下の(a)〜(c)の何れかに示されるタンパク質、以下の(A)または(B)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質からなり:
    (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、カロテノイドケトラーゼ活性を有するタンパク質;
    (c)配列番号1で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、カロテノイドケトラーゼ活性を有するタンパク質、
    (A)配列番号2で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または、
    (B)配列番号2で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、カロテノイドケトラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
    上記カロテノイドサイクラーゼは、以下の(d)〜(f)の何れかに示されるタンパク質、以下の(C)または(D)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質からなり:
    (d)配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (e)配列番号7で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、カロテノイドサイクラーゼ活性を有するタンパク質;
    (f)配列番号7で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、カロテノイドサイクラーゼ活性を有するタンパク質、
    (C)配列番号8で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または、
    (D)配列番号8で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、カロテノイドサイクラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
    上記モノテルペノイドシンターゼは、以下の(g)〜(i)の何れかに示されるタンパク質、以下の(E)または(F)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質からなり:
    (g)配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (h)配列番号9で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、モノテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質;
    (i)配列番号9で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、モノテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質、
    (E)配列番号10で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または

    (F)配列番号10で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、モノテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
    上記セスキテルペノイドシンターゼは、以下の(j)〜(l)の何れかに示されるタンパク質、以下の(G)または(H)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質からなり:
    (j)配列番号11で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (k)配列番号11で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、セスキテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質;
    (l)配列番号11で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、セスキテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質、
    (G)配列番号12で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または、
    (H)配列番号12で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、セスキテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
    記トリテルペノイドシンターゼは、以下の(p)〜(r)の何れかに示されるタンパク質、以下の(K)または(L)のポリヌクレオチドからなる遺伝子にコードされるタンパク質からなる:
    (p)配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (q)配列番号15で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、トリテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質;
    (r)配列番号15で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、トリテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質、
    (K)配列番号16で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または、
    (L)配列番号16で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、トリテルペノイドシンターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
    ことを特徴とする形質転換体。
  2. 上記テルペノイドは、モノテルペノイド、セスキテルペノイド、トリテルペノイド、または、カロテノイドであることを特徴とする請求項1に記載の形質転換体。
  3. 請求項1または2に記載の形質転換体を培養する培養工程と、上記培養工程にて得られた形質転換体からテルペノイドを回収する回収工程と、を有することを特徴とするテルペノイドの製造方法。
  4. 上記培養工程では、上記形質転換体を液体培養することを特徴とする請求項3に記載のテルペノイドの製造方法。
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