JP6644000B2 - 被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群及びその製造方法並びに粉末洗剤 - Google Patents

被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群及びその製造方法並びに粉末洗剤 Download PDF

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Description

本発明は、被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群及びその製造方法並びに粉末洗剤に関する。
本願は、2014年10月1日に、日本に出願された特願2014−203126号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(α−SF塩)は、衣料用粉末洗剤等に配合される界面活性剤として広く用いられている。
近年では、α−SF塩を、高濃度で含有する粒子の群(α−SF塩粒子群)として製造し、この粒子群と、他の洗剤成分とをドライブレンドすることで粉末洗剤が製造されるようになってきた。そのため、α−SF塩粒子群は、その製造後に、洗剤成分とブレンドされる等して使用されるまで、運搬されたり、長期間保管されることがある。
しかしながら、α−SF塩粒子群は、運搬中に加重下におかれたり、高温環境下で保管されると、粒子同士が凝集し固化するという問題があった。特に、α−SF塩粒子群に微粉が多く含まれる場合には、固化がより生じやすい。
かかる問題に対して、特許文献1には、α−SF塩粒子に、コーティング剤と、液体原料を被覆することで、前記粒子を含む粒子群の固化を抑制できることが開示されている。
特開2011−116807号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、固化の抑制性にいまだ改良の余地があった。特に、α−SF塩粒子群に微粉が多く含まれる場合には、固化の抑制性が充分でなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、固化の抑制性に優れる被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群が、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、以下の構成を有する。
[1]α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(A)が、ゼオライト粒子群を含む被覆成分(B)で被覆された被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子の群であって、前記ゼオライト粒子群が平均粒子径0.8μm以上3.8μm未満のゼオライト粒子群(b1)である、被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群。
[2]前記粒子(A)中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が0.9〜4.0質量%であり、かつ、前記被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群における粒子径355μm以下の粒子の含有量が20質量%以上である、[1]に記載の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群。
[3]前記粒子(A)は、示差走査熱分析計で熱分析した際に観測される50〜130℃における熱吸収ピーク面積S1が、0〜130℃における熱吸収ピーク面積S2に対して50%未満である、[1]又は[2]に記載の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群を含有する、粉末洗剤。
[5][1]〜[3]のいずれかに記載の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群の製造方法であって、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(A)を、ゼオライト粒子群を含む被覆成分(B)で被覆する工程を有し、前記ゼオライト粒子群が平均粒子径0.8μm以上3.8μm未満のゼオライト粒子群(b1)である、被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群の製造方法。
[6]前記粒子(A)が構成する粒子群における粒子径355μm以下の粒子の含有量が20質量%以上であり、かつ、前記粒子(A)中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が0.9〜4.0質量%である、[5]に記載の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群の製造方法。
[7]前記粒子(A)を製造する粒子(A)製造工程を有し、前記粒子(A)製造工程が、脂肪酸アルキルエステルをスルホン化ガスと接触させてスルホン化するスルホン化処理を含み、前記スルホン化処理における脂肪酸アルキルエステルに対する前記スルホン化ガスのモル比が1.05〜1.13である、[5]又は[6]に記載の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群の製造方法。
[8]α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(A)が、ゼオライト粒子群を含む被覆成分(B)で被覆された被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子の群であって、前記被覆成分(B)が、脂肪酸アルキルエステル、炭素数8〜22の高級アルコール、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種(b2)を含む、被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群。
[9]前記被覆成分(B)が、平均粒子径0.8μm以上3.8μm未満のゼオライト粒子群(b1)をさらに含む、[8]に記載の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群。
[10]前記粒子(A)は、示差走査熱分析計で熱分析した際に観測される50〜130℃における熱吸収ピーク面積S1が、0〜130℃における熱吸収ピーク面積S2に対して50%未満である、[8]又は[9]に記載の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群。
[11][8]〜[10]のいずれかに記載の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群を含有する、粉末洗剤。
[12][8]〜[10]のいずれかに記載の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群の製造方法であって、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(A)を、ゼオライト粒子群を含む被覆成分(B)で被覆する工程を有し、前記被覆成分(B)が、脂肪酸アルキルエステル、炭素数8〜22の高級アルコール、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種(b2)を含む、被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群の製造方法。
[13]前記粒子(A)を製造する粒子(A)製造工程を有し、前記粒子(A)製造工程が、脂肪酸アルキルエステルをスルホン化ガスと接触させてスルホン化するスルホン化処理を含み、前記スルホン化処理における脂肪酸アルキルエステルに対する前記スルホン化ガスのモル比が1.05〜1.13である、[11]又は[12]に記載の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群の製造方法。
[14]α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(A)を含有するα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粉末であって、粒子径355μm以下の粒子の含有量が20質量%以上であり、かつ、前記粒子(A)中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が0.9〜4.0質量%である、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粉末。
[15]前記粒子(A)が、ゼオライト粒子群を含む被覆成分(B)で被覆された、[14]に記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粉末。
[16]前記ゼオライト粒子群が平均粒子径3.8μm以上5.0μm以下のゼオライト粒子群(b3)を含む、[15]に記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粉末。
[17]前記粒子(A)は、示差走査熱分析計で熱分析した際に観測される50〜130℃における熱吸収ピーク面積S1が、0〜130℃における熱吸収ピーク面積S2に対して50%未満である、[14]〜[16]のいずれかに記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粉末。
[18][14]〜[17]のいずれかに記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粉末を含む、粉末洗剤。
[19][14]〜[17]のいずれかに記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粉末の製造方法であって、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(A)を製造する粒子(A)製造工程を有し、前記粒子(A)製造工程が、脂肪酸アルキルエステルをスルホン化ガスと接触させてスルホン化するスルホン化処理を含み、前記スルホン化処理における脂肪酸アルキルエステルに対する前記スルホン化ガスのモル比が1.05〜1.13である、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粉末の製造方法。
[20]前記粒子(A)を、ゼオライト粒子群を含む被覆成分(B)で被覆する工程を有する、[19]に記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粉末の製造方法。
[21]前記ゼオライト粒子群が平均粒子径3.8μm以上5.0μm以下のゼオライト粒子群(b3)を含む、[20]に記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粉末の製造方法。
本発明の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群は、固化の抑制性に優れる。
<被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群>
本発明の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群(以下、「被覆α−SF塩粒子群」ともいう)は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(A)が、ゼオライト粒子群を含む被覆成分(B)で被覆された、被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子の群である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかる被覆α−SF塩粒子群は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(A)が、平均粒子径0.8μm以上3.8μm未満のゼオライト粒子群(b1)を含む被覆成分(B)で被覆される。
被覆α−SF塩粒子群の平均粒子径は250μm〜3mmが好ましく、350μm〜1mmがより好ましい。前記粒子群の平均粒子径が250μm以上であると、固化がより抑制されやすくなる。前記粒子群の平均粒子径が3mm以下であると、粉末洗剤等に配合する際に他の成分の粒子径との差が大きくなりすぎず分離等の問題が抑制されやすくなる。
なお、本発明の被覆α−SF塩粒子群の平均粒子径は、以下に従い測定される値である。
目開き1700μm、1400μm、1180μm、1000μm、710μm、500μm、355μm、250μm、150μm、の9段の篩と受け皿を用いて粒子の分級操作を行なう。分級操作は、受け皿に目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1700μmの篩の上から100g/回の粒子を入れ、蓋をしてロータップ型ふるい振盪機(ダルトン株式会社製、タッピング:125回/分、ローリング:250回/分)に取り付け、3.5分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収する操作を行う。この操作を繰り返すことによって、1400μm超1700μm以下(1400μm.on)、1180μm超1400μm以下(1180μm.on)、1000μm超1180μm以下(1000μm.on)、710μm超1000μm以下(710μm.on)、500μm超710μm以下(500μm.on)、355μm超500μm以下(355μm.on)、250μm超355μm以下(250μm.on)、150μm超250μm以下(150μm.on)、皿〜150μm以下(150μm.pass)の各粒子径の分級サンプルを得、質量頻度(%)を算出する。
篩の目開きをXとし、目開きXとXより大きい目開きの篩の上に回収された分級サンプルの質量頻度(%)の総和をYとする。
logXに対してlog{log(100/Y)}をプロットした時の最小2乗近似直線の傾きをa、切片をyとする(logは常用対数)。ただし、Yが5%以下およびYが95%以上となる点は上記プロットからは除外する。
このa、yを用いて次式によって平均粒子径を求めることができる。
平均粒子径(質量50%径)= 10((−0.521−y)/a)
被覆α−SF塩粒子群の嵩密度は、0.55〜0.75kg/Lが好ましく、0.60〜0.70kg/Lがより好ましい。前記粒子群の嵩密度が前記好ましい範囲であると、溶解性を高めやすくなり、また、保管する際に省スペースにできる。なお、嵩密度は、JIS K3362:1998に準拠して測定される。
<(A)成分>
(A)成分は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子である。
(A)成分は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(α−SF塩)を高濃度で含有する粒子であり、α−SF塩を60質量%以上含有する。
(A)成分中のα−SF塩の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
(A)成分に含まれるα−SF塩は、以下の式(1)で示される。
−CH(SOM)−COOR ・・・ (1)
[式(1)中、Rは、炭素数6〜20の直鎖もしくは分岐のアルキル基又は炭素数6〜20の直鎖もしくは分岐のアルケニル基であり、Rは、炭素数1〜6のアルキル基であり、Mは、対イオンである。]
の炭素数は、8〜18が好ましく、12〜16がより好ましい。
の炭素数は、1〜3が好ましい。前記Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、洗浄力がより向上することからメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
Mとしては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましい。
上記α−SF塩としては、Rの炭素数14と16が質量比40:60〜100:0からなるものが好ましい。また、Rがメチル基であるα−スルホ脂肪酸メチルエステル塩(MES塩)が好ましい。
α−SF塩は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(A)成分には、上記α−SF塩以外に、α−SF塩の合成過程で副生される、α−スルホ脂肪酸金属塩、硫酸アルキル金属塩等の副生成物や水分が含まれていてもよい。一般に、(A)成分には、60〜98質量%のα−SF塩と、1〜10質量%のα−スルホ脂肪酸金属塩と、1〜10質量%の硫酸アルキル金属塩が含まれる。
(A)成分中の水分量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。(A)成分中の水分量が10質量以下であると、(A)成分の低温での粘着性が抑制されやすくなり、低温での保存安定性を高めやすくなる。
(A)成分には、脂肪酸アルキルエステルが含まれることが好ましい。前記脂肪酸アルキルエステルとしては、以下の式(2)で示される化合物が挙げられる。
COOR ・・・ (2)
[式(2)中、Rは、炭素数7〜21の直鎖もしくは分岐のアルキル基又は炭素数7〜21の直鎖もしくは分岐のアルケニル基であり、Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。]
の炭素数は、9〜19が好ましく、13〜17がより好ましい。
の炭素数は、1〜3が好ましい。前記Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、Rがメチル基である脂肪酸メチルエステル(ME)が特に好ましい。
上記脂肪酸アルキルエステルとしては、Rの炭素数15と17が質量比40:60〜100:0からなるものが好ましい。
脂肪酸アルキルエステルは、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
また、脂肪酸アルキルエステルは、α−SF塩を製造する際の原料である脂肪酸アルキルエステルと同じであってもよいし、異なってもよい。
(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量は、(A)成分の総質量に対して、0.9質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましく、1.5質量%以上であることがさらに好ましい。(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が前記好ましい量であると、固化の抑制性に優れる被覆α−SF塩粒子群が得られやすくなる。
また、(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量は、(A)成分の総質量に対して、4.0質量%以下であることが好ましく、3.5質量%以下であることがより好ましく、2.5質量%以下であることがさらに好ましい。(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が前記好ましい量であると、有効成分であるα−SF塩の含有量の高い被覆α−SF塩粒子群が得られやすくなる。
(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量は、(A)成分の総質量に対して、0.9〜4.0質量%が好ましく、1.0〜3.5質量%がより好ましく、1.5〜3.5質量%がさらに好ましく、1.5〜2.5質量%が特に好ましい。(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が前記好ましい範囲であると、固化の抑制性に優れ、かつ、有効成分の含有量が高い被覆α−SF塩粒子群が得られやすくなる。
上記脂肪酸アルキルエステルは、例えば、上記α−SF塩を製造する際に、原料である脂肪酸アルキルエステルとスルホン化ガスの反応モル比を調整して、未反応の脂肪酸アルキルエステルが(A)成分中に前記範囲で含まれるようにしてもよいし、上記α−SF塩を製造した後に脂肪酸アルキルエステルを添加して、脂肪酸アルキルエステルが(A)成分中に前記範囲で含まれるようにしてもよい。製造工程が少なくなり生産性に優れる点等から、前者が好ましい。
(A)成分の群の平均粒子径は、250〜3000μmが好ましく、350〜1000μmがより好ましい。(A)成分の群の平均粒子径が250μm以上であると、本発明の被覆α−SF塩粒子群の固化がより抑制されやすくなる。(A)成分の群の平均粒子径が3000μm以下であると、本発明の被覆α−SF塩粒子群を粉末洗剤等に配合する際に他の成分の粒子径との差が大きくなりすぎず分離等の問題が抑制されやすくなる。
なお、(A)成分の群の平均粒子径は、被覆α−SF塩粒子群の平均粒子径と同じ方法で求められる値である。
(A)成分の群には、粒子径が355μm以下の粒子(以下、「微粉」ともいう)が、(A)成分の群の総質量に対して20質量%以上含まれてもよい。(A)成分の群中における微粉の含有量が前記範囲であると、後述する(A)成分の製造方法において、分級操作を省略でき生産性が高められる。(A)成分の群中の微粉の含有量は、より生産性が高められる点から、(A)成分の群の総質量に対して、30質量%以上が好ましい。また、(A)成分の群中の前記微粉の含有量は、(A)成分の群の総質量に対して、100質量%でもよく、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。(A)成分の群中の微粉の含有量が、上記上限以下であると、固化の抑制性に優れる被覆α−SF塩粒子群が得られやすくなる。
(A)成分の群中の微粉の含有量は、(A)成分の群の総質量に対して、20〜70質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましく、30〜60質量%がさらに好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。(A)成分の群中の微粉の含有量が前記好ましい範囲であると、固化の抑制性に優れる被覆α−SF塩粒子群が得られやすく、かつ、その生産性が高められる。
前記微粉中、粒子径が250μm超355μm以下の粒子の含有量は、微粉の総質量に対して20〜50質量%が好ましい。前記微粉中、粒子径が150μm超250μm以下の粒子の含有量は、微粉の総質量に対して20〜50質量%が好ましい。前記微粉中、150μm以下の粒子の含有量は、微粉の総質量に対して15〜45質量%が好ましい。
(A)成分の群の粒度分布としては、特に限定されないが、例えば、粒子径が1180μm超の粒子が(A)成分の群の総質量に対して0〜5質量%、粒子径が710μm超1180μm以下の粒子が(A)成分の群の総質量に対して15〜35質量%、粒子径が355μm超710μm以下の粒子が(A)成分の群の総質量に対して15〜55質量%、微粉が(A)成分の群の総質量に対して20〜70質量%となる粒度分布が挙げられる。
(A)成分としては、(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が0.9〜4.0質量%であり、(A)成分の群中の微粉の含有量が20質量%以上であるものが好ましい。かかる(A)成分を用いることで、生産性に優れ、かつ、固化の抑制性に優れる被覆α−SF塩粒子群が得られやすくなる。
(A)成分は、公知の方法で製造することもできるし、市販品を使用することもできる。
[(A)成分の製造方法]
(A)成分(粒子(A))の製造方法としては、α−SF塩を含有するペーストを調製する工程(ペースト調製工程)、前記ペーストからフレークを調製する工程(フレーク化工程)、前記フレークからヌードルを調製する工程(ヌードル化工程)、前記ヌードルからペレットを調整する工程(ペレット化工程)、前記フレーク、ヌードル又はペレットを粉砕して粒子を得る工程(粉砕工程)を有する方法が挙げられる。
なお、上記(ヌードル化工程)及び(ペレット化工程)は、任意の工程であり省略してもよい。また、上記(粉砕工程)の後に、α−SF塩粒子の群を分級する工程(分級工程)を設けてもよい。さらに、上記(フレーク化工程)、(ヌードル化工程)又は(ペレット化工程)の後に、フレーク、ヌードル又はペレットを熟成する工程(熟成工程)を設けてもよい。
[ペースト調製工程]
ペースト調製工程では、例えば、原料の脂肪酸アルキルエステルをスルホン化ガス(SO)等に接触させてスルホン化するスルホン化処理と、スルホン化処理で得られたスルホン化物に炭素数1〜6の低級アルコールを加えてエステル化するエステル化処理と、エステル化処理で得られたエステル化物を中和する中和処理と、中和処理で得られた中和物を漂白する漂白処理とを行うことにより、α−SF塩含有ペーストを得る。このようにして得たα−SF塩含有ペーストには、通常、α−SF塩の他に、α−スルホ脂肪酸金属塩、硫酸アルキル金属塩等の副生成物、メタノール、水、未反応の原料である脂肪酸アルキルエステル等が含まれる。上記漂白処理は省略されてもよい。
なお、α−SF塩含有ペーストは、上記のようにして得たα−SF塩含有ペーストを一旦冷却し、固化させたものをサイロやフレキシブルコンテナバック等に保管した後、再び溶融してペーストに戻して調製されてもよい。さらに、市販のα−SF塩をそのまま加熱溶融したり、適量の水を加える等して調製されたものでもよい。
上記スルホン化処理における、原料の脂肪酸アルキルエステルに対するスルホン化ガスのモル比(「スルホン化ガス/脂肪酸アルキルエステル」で表されるモル比)は、1.05〜1.13が好ましく、1.07〜1.11がより好ましく、1.07〜1.10がさらに好ましい。スルホン化ガス/脂肪酸アルキルエステルのモル比が前記範囲であると、(A)成分中の脂肪酸エステルの含有量を前記所望の好ましい範囲に調整しやすくなる。また、上記スルホン化処理に要する時間が長くなったり、α−SF塩の収率が低下するのを抑制しやすくなる。
[フレーク化工程]
フレーク化工程では、α−SF塩含有ペーストを冷却して固体にする際に、フレーカー、ベルトクーラー等で平板状固体とし、次いで、前記平板状固体を解砕機で解砕することによりα−SF塩含有フレークを得る。α−SF塩含有ペーストを冷却して固体にする際には、必要に応じて、真空薄膜蒸発機等で前記ペーストを濃縮してもよい。
上記フレーカーとしては、例えば、カツラギ工業株式会社製のドラムフレーカー、三菱マテリアルテクノ株式会社製のドラムフレーカーFL等が挙げられる。ベルトクーラーとしては、例えば、日本ベルティング株式会社製のダブル・ベルト・クーラーやNR型ダブル・ベルト・クーラー、サンドビック株式会社製のダブルベルト冷却システム等が挙げられる。解砕機としては、例えば、ホソカワミクロン株式会社製のフレーククラッシャFC等が挙げられる。
[ヌードル化工程]
ヌードル化工程では、α−SF塩含有フレークを溶融し、押出造粒機又は混練機に投入し、適当な径を持つダイス等を通してヌードルを得る。
押出造粒機としては、例えば、不二パウダル株式会社製のペレッターダブル、ツインドームグラン、ホソカワミクロン株式会社製のギアペレタイザ、エクストルード・オー・ミックス等が挙げられる。
上記混練機としては、特に限定されないが、連続式又はバッチ式のものが挙げられ、装置内部に内容物を強制的に撹拌、混合するための羽根等を有する混合機類も含まれる。
連続式混練機としては、例えば、株式会社栗本鐵工所製のKRCニーダー、KEXエクストルーダ、SCプロセッサ、ホソカワミクロン株式会社製のエクストルード・オーミックス、株式会社モリヤマ製の2軸1軸押出機、フィーダールーダー等が挙げられる。バッチ式混練機としては、例えば、栗本鐵工所製のバッチニーダ/加圧ニーダ、株式会社ダルトン製の万能混合撹拌機、株式会社モリヤマ製の一般型混合機、加圧型ニーダー、ホソカワミクロン株式会社製のナウタミキサ、株式会社マツボー製のレディゲミキサー、太平洋機工株式会社製のプロシェアミキサ等が挙げられる。混練品の次工程への移送をスムーズに行う点からは、連続式混練機を用いることが好ましい。
[ペレット化工程]
ペレット化工程では、α−SF塩含有ヌードルを解砕機等を用いて、任意の大きさに解砕してα−SF塩含有ペレットを得る。上記解砕機としては、例えば、ホソカワミクロン株式会社製のニブラ等が挙げられる。
[粉砕工程]
粉砕工程では、上記フレーク、ペレット又はヌードルを粉砕機で粉砕することにより(A)成分を得る。粉砕機としては、例えば、ハンマーミル、ピンミル等が挙げられる。ハンマーミルとしては、例えば、ホソカワミクロン株式会社製のフェザミルFSやFitzPatrick Company製のFitzmill等が挙げられる。
粉砕時の粉砕機の内部温度は、特に限定されないが、30〜50℃が好ましく、30〜40℃がより好ましく、33〜38℃がさらに好ましい。30℃以上であると、得られる粒子の粒度分布を狭くしやすくなり、微粉の発生を抑制しやすくなる。50℃以下であると、粒子の粘着性を低減しやすくなり、粒子が装置に付着するのを抑制しやすくなり生産性を高めやすくなる。
また、粉砕の際には、スクリーンを取り付けることが好ましい。例えば、粗粉量が増えることが予想される場合は穴径2mmのスクリーンを用い、微粉量が増えることが予想される場合は穴径3〜5mmのスクリーンを用いる。
粉砕時の解砕刃の回転数は、200〜8000rpmが好ましく、600〜5000rpmがより好ましい。なお、前記回転数が大きくなると得られる粒子の粒子径が小さく、回転数が小さくなると粒子径が大きくなりやすい。また、解砕刃の先端の周速は、20〜70m/sが好ましく、30〜60m/sがより好ましく、35〜55m/sがさらに好ましい。粉砕時間は、通常、5秒〜5分である。粉砕機は直列又は並列に多段配置してもよい。
[分級工程]
分級工程では、分級装置を用いて(A)成分の群の粒度を所望の範囲に調整する。分級装置としては、特に限定されず公知の分級装置を使用できるが、篩を用いることが好ましい。篩の中でも、ジャイロ式篩、平面篩及び振動篩が好ましい。ジャイロ式篩は、僅かに傾斜した平面篩に対し、水平な円運動を与える篩であり、平面篩は、僅かに傾斜した平面篩に対し、面にほぼ平行に往復運動を与える篩であり、振動篩は、篩面にほぼ直角方向に急速な振動を与える篩である。篩に供する時間は5秒以上が好ましい。また、篩効率を向上するために、タッピングボールを用いることもできる。
一般に、上記分級工程前の(A)成分の群には、製造条件等によっても異なるが、微粉が30質量%以上含まれる。
(A)成分の群中における微粉の含有量が多いと、保存中に固化が進みやすい。したがって、固化を抑制するために分級工程を行って(A)成分の群中の微粉量を調整し、たとえば(A)成分の群中の微粉の含有量が20質量%未満となるように調整される。
しかし、本発明においては、(A)成分を(B)成分で被覆することにより、固化の抑制性を高められることから、(A)成分の群中の微粉が20質量%以上であっても、固化の抑制性に優れた被覆α−SF塩粒子群を得ることができる。さらに、(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が0.9〜4.0質量%であると、固化の抑制性をより高められる。
したがって、(A)成分の群中の微粉の含有量は、特に限定されない。上記分級操作を省略でき生産性を高められる点からは、(A)成分の群として、微粉の含有量が、100質量%でもよく、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下であるものを用いることが好ましく、本発明の固化抑制効果をより有効に得ることができる点からは、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であるものを用いることが好ましい。また、微粉の含有量が多いと、(A)成分の粒子群の平均粒子径が小さくなり、粉末洗剤に配合した場合に、他の成分との粒子径の差が大きくなり分離等の問題を生じるおそれがあるため、この点からは(A)成分の群中の微粉の含有量は50質量%以下が好ましい。
(A)成分の群中の微粉の含有量は、20〜70質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましく、30〜60質量%がさらに好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。
(A)成分としては、(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が0.9〜4.0質量%であり、(A)成分の群中の微粉の含有量が20質量%以上であるものが好ましい。かかる(A)成分を用いることで、生産性に優れ、かつ、固化の抑制性に優れる被覆α−SF塩粒子群が得られやすくなる。
[熟成工程]
α−SF塩含有フレーク、ヌードル、ペレット及び粒子(以下、これらをまとめて「α−SF塩含有固形物」ともいう)には、準安定な結晶状態と、α−SF塩含有固形物を結晶化することで形成される安定な結晶状態とが存在することが知られている。そして、安定な結晶状態のα−SF塩含有固形物(以下、「安定固体」ともいう)は、準安定な結晶状態のα−SF塩含有固形物(以下、「準安定固体」ともいう)よりも、固化の抑制性に優れることが知られている(国際公開第2009/054406号参照)。
一般に、高純度のα−SF塩からは準安定固体は形成されにくいが、脂肪酸アルキルエステルを出発原料として、上記各工程を経てα−SF塩を得ると、通常、α−SF塩以外に、硫酸アルキル金属塩、α−スルホ脂肪酸塩等の副生物が生じる。α−SF塩含有固形物にこのような副生物が含まれると、α−SF塩含有固形物は準安定状態となりやすい。
熟成工程では、準安定固体を安定固体に変換する。
準安定固体を、安定固体に変換する方法は公知であり、かかる方法としては、例えば下記(I−1)〜(I−3)の方法が挙げられる。
(I−1)準安定固体を、30℃以上、200000Pa以下の圧力において、少なくとも48時間維持する方法。
(I−2)準安定固体を溶融して得られた溶融物を、準安定固体の融点以上で、かつ、安定固体の融点以下の温度で、5分間以上維持する方法。
(I−3)準安定固体を溶融して得られた溶融物に対して、準安定固体の融点以上、かつ、80℃以下の温度において、100(1/s)以上の剪断速度で剪断力を与える方法。
なお、準安定固体と、安定固体とは、示差走査熱分析計による熱分析で容易に判別できる。準安定固体は、示差走査熱分析計で熱分析した際に観測される50〜130℃における熱吸収ピーク面積S1が、0〜130℃における熱吸収ピーク面積S2に対して50%未満である。一方、安定固体は、示差走査熱分析計で熱分析した際に観測される50〜130℃における熱吸収ピーク面積S1が、0〜130℃における熱吸収ピーク面積S2に対して50%以上となる。
本発明においては、(A)成分を(B)成分で被覆することにより、固化の抑制性を高められることから、(A)成分が準安定固体であっても、固化の抑制性を高められる。
したがって、(A)成分としては、準安定固体を用いてもよく、安定固体を用いてもよい。熟成工程を省略でき生産性を高められる点からは、(A)成分として準安定固体を用いることが好ましい。
なお、(A)成分が準安定固体であるか、安定固体であるかは、上記示差走査熱分析測定以外にも、両者のX線回折測定や顕微鏡観察から容易に判別できる(国際公開第2009/054406号参照)。
(B)成分で被覆された被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(以下、「被覆α−SF塩粒子」ともいう)中の(A)成分の含有量は、被覆α−SF塩粒子の総質量に対して、70〜99質量%が好ましく、80〜97質量%がより好ましく、85〜90質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が、被覆α−SF塩粒子の総質量に対して70質量%以上であると、被覆α−SF塩粒子の溶解性を高めやすくなる。また、(A)成分の含有量が被覆α−SF塩粒子の総質量に対して99質量%以下であると、固化の抑制効果が得られやすくなる。
<(B)成分>
本実施形態の(B)成分は、ゼオライト粒子群として平均粒子径0.8μm以上3.8μm未満のゼオライト粒子群((b1)成分)を含む被覆成分である。
(B)成分は、脂肪酸アルキルエステル、炭素数8〜22の高級アルコール、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種((b2)成分)を含んでもよい。
また、(B)成分は、本発明の効果を妨げない範囲で、(b1)成分及び(b2)成分以外の任意成分を含んでもよい。
(B)成分は、固化の抑制性を高める点からは、(b1)成分からなることが好ましい。本発明の被覆α−SF塩粒子群を製造する際の発塵を抑制する点、微粉が多く含まれる被覆α−SF塩粒子群の固化の抑制性を高める点、(A)成分が準安定固体である場合の固化の抑制性を高める点からは、(B)成分は、(b1)成分及び(b2)成分からなることが好ましい。
被覆α−SF塩粒子中の(B)成分の含有量は、被覆α−SF塩粒子の総質量に対して、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、10〜15質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が被覆α−SF塩粒子の総質量に対して1質量%以上であると、固化の抑制効果が得られやすくなる。また、(B)成分の含有量が被覆α−SF塩粒子の総質量に対して30質量%以下であると、被覆α−SF塩粒子を粉末洗剤に配合する場合に、他の成分の配合の自由度を保ちやすくなる。
被覆α−SF塩粒子は、(A)成分の表面積の30%以上が(B)成分で被覆されていることが好ましく、50%以上が被覆されていることがより好ましく、70%以上が被覆されていることがさらに好ましく、100%被覆されていてもよい。
(A)成分の表面積に対する被覆された面積の割合(被覆率)は、例えば、被覆α−SF塩粒子をマイクロスコープ(株式会社朝日光学機器製作所製、Handi Scope TM)や、走査電子顕微鏡(例えば、株式会社日立製作所製、S−2380N)とエネルギー分散型X線分析装置(例えば、株式会社堀場製作所製、EMAX−7000)にて表面観察し、画像処理、あるいは表面元素分析等により確認できる。
<(b1)成分>
(b1)成分は、平均粒子径が0.8μm以上3.8μm未満のゼオライト粒子群である。(b1)成分で(A)成分を被覆することにより、本発明の被覆α−SF塩粒子群の固化を抑制できる。
(b1)成分の平均粒子径は、0.8μm以上3.8μm未満であり、1.0〜3.4μmが好ましく、1.0〜3.0μmがより好ましい。(b1)成分の平均粒子径が3.8μm以上であると、固化の抑制効果が充分に得られない。(b1)成分の平均粒子径が0.8μm未満であると、ゼオライト粒子同士が凝集してしまい、固化抑制効果が充分に得られない。
(b1)成分の平均粒子径は、より小さな方が良好な固化抑制効果が得られやすいが、小さすぎるとゼオライト粒子同士が凝集してしまい固化抑制効果が充分に得られなくなる。かかる点から、(b1)成分の平均粒子径の下限値は、0.8μm以上であり、1.0μm以上が好ましく、2.0μm以上がより好ましい。一方、(b1)成分の平均粒子径の上限値は、良好な固化抑制効果が得られる点から、3.8μm未満であり、3.4μm以下が好ましく、3.0μm以下がより好ましく、2.8μm以下がさらに好ましい。
なお、(b1)成分の平均粒子径は、レーザ回折・散乱法による装置(例えば、粒度分布測定装置(LS13 320、ベックマン・コールター株式会社製))によって測定される体積基準のメジアン径である。
(b1)成分は、天然物を用いても合成品を用いてもよい。(b1)成分のゼオライトとしては、例えば、A型ゼオライト、P型ゼオライト、ホージャサイト型ゼオライト等が挙げられる。これらの中でも、A型ゼオライトが好ましい。
ゼオライト粒子群としては、例えば、表1に示す市販品が挙げられる。当該市販品のゼオライト粒子群について本発明の測定方法により求めた平均粒子径を表1に示す。
Figure 0006644000
表1に示す市販品のゼオライト粒子群の平均粒子径は、本発明の(b1)成分の平均粒子径の範囲の上限を超える。このようなゼオライト粒子群は、篩い分けしたり、磨り潰す等して所望の平均粒子径となるように調製され、本発明の(b1)成分として用いられ得る。
(b1)成分は、いずれか1種が単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(B)成分中の(b1)成分の含有量は、(B)成分の総質量に対して、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましく、100質量%であってもよい。(B)成分中の(b1)成分の含有量が50質量%以上であると、固化の抑制効果が得られやすくなる。
また、被覆α−SF塩粒子中の(b1)成分の含有量は、被覆α−SF塩粒子の総質量に対して、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましく、10〜15質量%が特に好ましい。被覆α−SF塩粒子中の(b1)成分の含有量が1質量%以上であると、固化の抑制効果が得られやすくなる。また、被覆α−SF塩粒子中の(b1)成分の含有量が30質量%以下であると、被覆α−SF塩粒子を粉末洗剤に配合する場合に、他の成分の配合の自由度を保ちやすくなる。
<(b2)成分>
(b2)成分は、脂肪酸アルキルエステル、炭素数8〜22の高級アルコール及びポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種である。
(B)成分に(b2)成分が含まれることで、本発明の被覆α−SF塩粒子群の固化をより抑制できる。また、(B)成分は、本発明の被覆α−SF塩粒子群を製造する際の発塵が抑制されやすくなる点、微粉が多く含まれる被覆α−SF塩粒子群の固化の抑制性がより高められやすくなる点、(A)成分が準安定固体である場合の固化の抑制性を高められやすくなる点等から(b2)成分を含むことが好ましい。
上記脂肪酸アルキルエステルとしては、上述した式(2)で示される化合物と同様の化合物が挙げられる。
上記炭素数8〜22の高級アルコールとしては、カプリルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ブチルオクタノール、イソトリデシルアルコール、イソヘキサデシルアルコール、2−ブチルデカノール、2−ヘキシルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−オクチルデカノール、2−ヘキシルドデカノール、2−オクタデカノール、2−ドデシルヘキサデカノール等の天然系もしくは合成系の高級アルコールが挙げられる。炭素数8〜22の高級アルコールの中でも、炭素数10〜20のものが好ましく、炭素数14〜18のものがより好ましい。
上記ポリエチレングリコールとしては、重量平均分子量200〜20,000のものが好ましく、300〜1500のものがより好ましい。
これら(b2)成分の中でも、脂肪酸アルキルエステル、炭素数8〜22の高級アルコールが好ましく、脂肪酸メチルエステル(ME)が特に好ましい。また、脂肪酸アルキルエステルは、α−SF塩を製造する際の原料である脂肪酸アルキルエステルと同じであってもよいし、異なってもよい。
(b2)成分は、いずれか1種が単独で用いられても、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(B)成分中の(b2)成分の含有量は、(B)成分の総質量に対して、0〜50質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましく、0〜10質量%がさらに好ましい。(B)成分中の(b2)成分の含有量が上記好ましい範囲であると良好な固化の抑制効果が得られやすい。
また、被覆α−SF塩粒子中の(b2)成分の含有量は、被覆α−SF塩粒子の総質量に対して、10質量%以下が好ましく、5.0質量%以下がより好ましく、3.0質量%以下がさらに好ましい。被覆α−SF塩粒子中の(b2)成分の含有量が10質量%以下であると、被覆α−SF塩粒子の溶解性を高めやすくなる。
本発明の被覆α−SF塩粒子群の固化の抑制性を高める点から、(B)成分が(b1)成分からなることが好ましい。
また、本発明の被覆α−SF塩粒子群を製造する際の発塵を抑制する点、微粉が多く含まれる被覆α−SF塩粒子群の固化の抑制性を高める点、(A)成分が準安定固体である場合の固化の抑制性を高める点からは、(B)成分が(b2)成分を含むことが好ましく、(B)成分が(b1)成分及び(b2)成分からなることがより好ましい。
(B)成分が(b2)成分を含む場合、(B)成分中の(b1)成分の含有量は、(B)成分の総質量に対して、60〜99.8質量%が好ましく、80〜99.5質量%がより好ましく、90〜98質量%がさらに好ましい。(B)成分中の(b2)成分の含有量は、(B)成分の総質量に対して、0.2〜40質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、2〜10質量%がさらに好ましい。
(b1)成分に対する(b2)成分の質量比{(b2)成分/(b1)成分}は、0.002〜0.7が好ましく、0.005〜0.25がより好ましく、0.02〜0.1がさらに好ましい。
被覆α−SF塩粒子中の(b1)成分の含有量は、被覆α−SF塩粒子の総質量に対して、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、10〜15質量%がさらに好ましい。被覆α−SF塩粒子中の(b2)成分の含有量は、被覆α−SF塩粒子の総質量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましい。
<被覆α−SF塩粒子群の製造方法>
実施形態の被覆α−SF塩粒子群の製造方法は、(A)成分を(B)成分で被覆する工程(被覆工程)を有する。
本実施形態の被覆α−SF塩粒子群の製造方法は、例えば、(A)成分(粒子(A))を製造する粒子(A)製造工程と、(B)成分の選定工程と、(A)成分を(B)成分で被覆する被覆工程とを有する。
粒子(A)製造工程は、上述した(A)成分の製造方法により、(A)成分を製造する工程である。
即ち、粒子(A)製造工程は、α−SF塩を含有するペーストを調製する工程(ペースト調製工程)と、前記ペーストからフレークを調製する工程(フレーク化工程)と、前記フレークからヌードルを調製する工程(ヌードル化工程)と、前記ヌードルからペレットを調整する工程(ペレット化工程)と、前記フレーク、ヌードル又はペレットを粉砕して粒子を得る工程(粉砕工程)とを有する。
上記(ヌードル化工程)及び(ペレット化工程)は、任意の工程であり省略してもよい。また、上記(粉砕工程)の後に、α−SF塩粒子の群を分級する工程(分級工程)を設けてもよい。さらに、上記(フレーク化工程)、(ヌードル化工程)又は(ペレット化工程)の後に、フレーク、ヌードル又はペレットを熟成する工程(熟成工程)を設けてもよい。
上記ペースト調製工程では、例えば、原料の脂肪酸アルキルエステルをスルホン化ガス(SO)等に接触させてスルホン化するスルホン化処理と、スルホン化処理で得られたスルホン化物に炭素数1〜6の低級アルコールを加えてエスエル化するエステル化処理と、エステル化処理で得られたエステル化物を中和する中和処理と、中和処理で得られた中和物を漂白する漂白処理とが行われる。前記漂白処理は省略されてもよい。
上述のとおり、上記スルホン化処理において、スルホン化ガス/脂肪酸アルキルエステルのモル比を調整することで、粒子(A)中に含まれる脂肪酸アルキルエステルの含有量を調整できる。さらに、上記分級工程が設けられることで、粒子(A)の群の粒度分布を調整できる。
この粒子(A)製造工程において、粒子(A)中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が0.9〜4.0質量%である(A)成分が製造されると、固化の抑制性に優れ、かつ、有効成分であるα−SF塩の含有量の高い被覆α−SF塩粒子群が得られやすくなる。さらに、上記熟成工程及び/又は分級工程が設けられなくても、固化の抑制性に優れる被覆α−SF塩粒子群が得られやすくなる。加えて、粒子(A)の群中の微粉の含有量が20質量%以上であっても、固化の抑制性に優れる被覆α−SF塩粒子群が得られやすくなる。
(B)成分の選定工程は、被覆工程の前に、ゼオライト粒子群の中から0.8μm以上3.8μm未満の平均粒子径を有するゼオライト粒子群(b1)成分を選定する工程である。
選定工程では、ゼオライト粒子群の平均粒子径(体積基準のメジアン径)が上記レーザ回折・散乱法による装置によって測定され、その平均粒子径が所定の範囲を満たすか否かが確認される。そして、所定の平均粒子径の範囲を満たすゼオライト粒子群が、(b1)成分として選定され(A)成分の被覆成分として用いられる。ゼオライト粒子群が所定の平均粒子径の範囲を満たさない場合は、かかるゼオライト粒子群を篩い分けしたり、磨り潰す等してから、再び上記選定工程を行うこともできる。この選定工程は、所定の平均粒子径のゼオライト粒子群が得られるまで繰り返し(2回以上)行うことができる。
被覆工程において、(A)成分に(B)成分を被覆する方法は、(B)成分の組成に応じて適宜設定することができる。以下、(B)成分の組成に応じて被覆処理の方法を説明する。
[(II−1):(B)成分が(b1)成分からなる場合]
(B)成分が(b1)成分からなる場合、(A)成分に対する(B)成分の被覆方法としては、(A)成分と(B)成分を混合機に投入し、混合する方法が挙げられる。
混合機には、(A)成分と(B)成分のどちらを先に投入してもよく、また、両者を同時に投入してもよい。
上記混合機としては、特に限定されないが、乾式混合に用いる混合機が好ましく、例えば、水平円筒型混合機、V型混合機等の容器回転式混合機、撹拌式混合機等が挙げられる。
[(II−2):(B)成分が(b1)成分及び(b2)成分を含む場合]
(B)成分が(b1)成分及び(b2)成分を含む場合、(A)成分を、(b1)成分で被覆する工程と、(b2)成分で被覆する工程とを有する。(A)成分を、(b1)成分で被覆する工程と、(b2)成分で被覆する工程は、どちらを先に行ってもよく、また、同時に行ってもよいが、固化の抑制性をより向上する点及び発塵を抑制する点からは、(b2)成分で被覆する工程を行った後に、(b1)成分で被覆する工程を行うことが好ましい。
(b1)成分で被覆する方法としては、上記(II−1)の方法が挙げられる。
(b2)成分で被覆する方法としては、撹拌式混合機または容器回転式混合機等の混合機に、(A)成分又は(b1)成分で被覆された(A)成分を投入し、これを流動状態に保ちながら、(b2)成分を添加し、混合する方法が挙げられる。
(b2)成分の添加方法としては、(b2)成分を噴霧する方法や、滴下する方法等が挙げられるが、発塵を抑制し、固化の抑制性をより向上する点から、噴霧する方法が好ましい。
(b2)成分を噴霧する方法としては、例えば、容器回転式円筒型混合機内に(A)成分又は(b1)成分で被覆された(A)成分を投入し、該混合機を回転させながら、該混合機内に設けた噴霧ノズルから(b2)成分を噴霧する方法が挙げられる。(b2)成分は、混合機の内壁面に直接当たらないように噴霧されることが好ましい。混合機は、回分式のものでもよいし、連続式のものでもよい。また、混合機内のバッフルの枚数や形状等も特に限定されない。
噴霧ノズルとしては、特に限定されないが、例えば、ガスと液体を混合して噴霧する二流体ノズル、比較的高い圧力をかけて噴霧する加圧ノズル等が挙げられる。二流体ノズルとしては、例えば、株式会社いけうち製のBIMVシリーズ、BIMV.Sシリーズ等が挙げられる。加圧ノズルとしては、例えば、株式会社いけうち製のKシリーズ、KBシリーズ、VVシリーズ、VVPシリーズ、VEシリーズ等が挙げられる。
(b2)成分を噴霧する際には、所望の液滴径が得られるように、必要に応じて(b2)成分を加温してもよい。しかし、(b2)成分の液温が高すぎると、粘度が下がり微粒化し過ぎて噴霧圧が上がる場合があることから、安定した噴霧圧で運転するためには、(b2)成分の液温は、室温(20℃)〜95℃が好ましい。
<粉末洗剤>
本実施形態の粉末洗剤は、上記被覆α−SF塩粒子群を含有する。
本実施形態の粉末洗剤は、上記被覆α−SF塩粒子群と、他の洗剤成分とを混合することで容易に製造される。
洗剤成分としては、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、αオレフィンスルホン酸金属塩、アルキルサルフェート金属塩、石鹸金属塩等のアニオン界面活性剤;高級アルコールのアルキレンオキシド付加物等のノニオン界面活性剤;両性界面活性剤;カチオン界面活性剤;ゼオライト、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の無機ビルダー;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ剤;蛍光剤;漂白剤;漂白活性化剤;酵素;香料;色素;柔軟剤;カチオン化セルロース、粉末セルロース、ポリアクリル酸ナトリウム等の高分子ビルダー等が挙げられる。
粉末洗剤中の被覆α−SF塩粒子群の含有量は、特に限定されないが、粉末洗剤の総質量に対して、1〜80質量%が好ましく、1〜50質量%がより好ましく、5〜40%質量がさらに好ましい。前記好ましい範囲であると、粉末洗剤の固化が抑制されやすく、また、流動性が高められやすくなる。
なお、本実施形態の被覆α−SF塩粒子群は、粉末洗剤に限られず、例えばタブレット状やシート状の固体洗剤や、液体洗剤に配合されてもよい。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態にかかる被覆α−SF塩粒子群は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(A)が、ゼオライト粒子群と、脂肪酸アルキルエステル、炭素数8〜22の高級アルコール、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種(b2)とを含む被覆成分(B)で被覆される。
本実施形態における被覆α−SF塩粒子群の平均粒子径は、第1の実施形態における被覆α−SF塩粒子群の平均粒子径と同様である。
本実施形態における被覆α−SF塩粒子群の嵩密度は、第1の実施形態における被覆α−SF塩粒子群の嵩密度と同様である。
<(A)成分>
本実施形態における(A)成分は、第1の実施形態における(A)成分と同様のものを用いることができる。
本実施形態における(A)成分の群は、第1の実施形態における(A)成分の群と同様のものを用いることができる。
[(A)成分の製造方法]
本実施形態における(A)成分は、第1の実施形態の(A)成分の製造方法と同様の製造方法で製造できる。
本実施形態における被覆α−SF塩粒子中の(A)成分の含有量は、第1の実施形態の被覆α−SF塩粒子中の(A)成分の含有量と同様である。
<(B)成分>
本実施形態における(B)成分は、ゼオライト粒子群と、脂肪酸アルキルエステル、炭素数8〜22の高級アルコール、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種(b2)とを含む被覆成分である。
上記被覆成分で(A)成分を被覆することにより、本発明の被覆α−SF塩粒子群の固化を抑制できる。
上記ゼオライト粒子群の平均粒子径は特に限定されない。上記ゼオライト粒子群としては、例えば、表1に示される市販のゼオライト粒子群を用いてもよいし、上述の(b1)成分を用いてもよい。上記ゼオライト粒子群としては平均粒子径が0.8〜5.0μmの範囲のものが好ましく使用できる。より良好な固化抑制効果が得られる点から、上記ゼオライト粒子群として(b1)成分を用いることが好ましい。
(b1)成分としては、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
(b2)成分としては、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
また、(B)成分は、本発明の効果を妨げない範囲で、ゼオライト粒子群及び(b2)成分以外の任意成分を含んでもよい。
本実施形態における被覆α−SF塩粒子中の(B)成分の含有量は、第1の実施形態の被覆α−SF塩粒子中の(B)成分の含有量と同様である。
本実施形態における被覆α−SF塩粒子の被覆率は、第1の実施形態の被覆α−SF塩粒子の被覆率と同様である。
(B)成分中のゼオライト粒子群の含有量は、(B)成分の総質量に対して、60〜99.8質量%が好ましく、80〜99.5質量%がより好ましく、90〜98質量%がさらに好ましい。
(B)成分中の(b2)成分の含有量は、(B)成分の総質量に対して、0.2〜40質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、2〜10質量%がさらに好ましい。
本実施形態では、(B)成分が(b2)成分を含むことで、被覆α−SF塩粒子群を製造する際の発塵が抑制されやすくなり、微粉が多く含まれる被覆α−SF塩粒子群の固化の抑制性が高められやすくなり、(A)成分が準安定固体である場合の固化の抑制性が高められやすくなる。
(B)成分中の、ゼオライト粒子群に対する(b2)成分の質量比{(b2)成分/ゼオライト粒子群}は、0.002〜0.7が好ましく、0.005〜0.25がより好ましく、0.02〜0.1がさらに好ましい。
被覆α−SF塩粒子中のゼオライト粒子群の含有量は、被覆α−SF塩粒子の総質量に対して、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、10〜15質量%がさらに好ましい。
被覆α−SF塩粒子中の(b2)成分の含有量は、被覆α−SF塩粒子の総質量に対して、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜5.0質量%がより好ましく、0.2〜3.0質量%がさらに好ましい。
上記ゼオライト粒子群として、(b1)成分を用いることが好ましい。
<被覆α−SF塩粒子群の製造方法>
本実施形態の被覆α−SF塩粒子の製造方法は、(A)成分を(B)成分で被覆する工程(被覆工程)を有する。
本実施形態の被覆α−SF塩粒子群の製造方法は、例えば、(A)成分(粒子(A))を製造する粒子(A)製造工程と、(A)成分を(B)成分で被覆する被覆工程とを有する。
粒子(A)製造工程は、第1の実施形態と同様である。
被覆工程において、(A)成分を(B)成分で被覆する方法は、特に限定されないが、例えば(A)成分を、ゼオライト粒子群で被覆する工程と、(b2)成分で被覆する工程とを有する。(A)成分を、ゼオライト粒子群で被覆する工程と、(b2)成分で被覆する工程は、どちらを先に行ってもよく、また、同時に行ってもよいが、固化の抑制性をより向上する点及び発塵を抑制する点からは、(b2)成分で被覆する工程を行った後に、ゼオライト粒子群で被覆する工程を行うことが好ましい。
ゼオライト粒子群で被覆する方法としては、上記(II−1)の方法において、(b1)成分に代えてゼオライト粒子群を用いた方法が挙げられる。
(b2)成分で被覆する方法としては、上記(II−2)の方法において、(b1)成分に代えてゼオライト粒子群を用いた方法が挙げられる。
なお、上記ゼオライト粒子群として(b1)成分を用いてもよい。この場合、被覆工程の前に、ゼオライト粒子群の中から0.8μm以上3.8μm未満の平均粒子径を有するゼオライト粒子群(b1)成分を選定する選定工程を有する。この選定工程は、第1の実施形態と同様である。
<粉末洗剤>
本実施形態の粉末洗剤は、第1の実施形態の被覆α−SF塩粒子群に代えて、本実施形態(第2の実施形態)の被覆α−SF塩粒子群を用いること以外は、第1の実施形態の粉末洗剤と同様である。
なお、本実施形態の被覆α−SF塩粒子群は、粉末洗剤に限られず、例えばタブレット状やシート状の固体洗剤や、液体洗剤に配合されてもよい。
(第3の実施形態)
<α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粉末>
ゼオライト粒子群を含む被覆成分(B)((B)成分)により被覆を行わないα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(A)((A)成分)の群は固化が生じやすく、前記群中の微粉含有量が多くなるほどより固化が生じやすくなる。しかし、(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量を0.9質量%以上とすることで、(A)成分の群が固化しても解砕しやすくなる(参考例3〜5)。
本発明の第3の実施形態にかかるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粉末(以下、「α−SF塩含有粉末」といもいう)は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(A)((A)成分)の群である。α−SF塩含有粉末における粒子径355μm以下の粒子(微粉)の含有量は20質量%以上であり、かつ、前記粒子(A)中の脂肪酸アルキルエステルの含有量は0.9〜4.0質量%である。
<(A)成分>
本実施形態における(A)成分は、第1の実施形態における(A)成分と同様のものを用いることができる。ただし、本実施形態においては、(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が、(A)成分の総質量に対して0.9〜4.0質量であるものを用いる。
(B)成分により被覆を行わない場合、固化の抑制性により優れるα−SF塩含有粉末を得る点からは、(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量を多くすることが好ましい。(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量は、(A)成分の総質量に対して、1.5質量%以上が好ましく、2.0質量%以上がより好ましい。(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が前記好ましい量であると、固化の抑制性に優れるα−SF塩含有粉末が得られやすくなる。また、(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量は、(A)成分の総質量に対して、4.0質量%以下であることが好ましく、3.5質量%以下であることがより好ましく、2.5質量%以下であることがさらに好ましい。(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が前記好ましい量であると、有効成分であるα−SF塩の含有量の高いα−SF塩含有粉末が得られやすくなる。
(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量は、(A)成分の総質量に対して、1.5〜4.0質量%が好ましく、1.5〜3.5質量%がより好ましく、2.0〜3.5質量%がさらに好ましく、2.0〜2.5質量%が特に好ましい。(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が前記好ましい範囲であると、固化の抑制性に優れ、かつ、有効成分の含有量が高いα−SF塩含有粉末が得られやすくなる。
本実施形態における(A)成分の群は、第1の実施形態における(A)成分の群と同様のものを用いることができる。ただし、本実施形態においては、(A)成分の群中における粒子径が355μm以下の粒子(微粉)の含有量が、(A)成分の群の総質量に対して、20質量%以上であるものを用いる。
(A)成分の群中における微粉の含有量が前記下限以上であると、後述する(A)成分の製造方法において、分級操作を省略でき生産性が高められる。(A)成分の群中の微粉の含有量は、より生産性が高められる点から、(A)成分の群の総質量に対して、30質量%以上が好ましい。また、(A)成分の群中の前記微粉の含有量は、(A)成分の群の総質量に対して、100質量%でもよく、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。(A)成分の群中の微粉の含有量が、上記上限以下であると、固化の抑制性に優れるα−SF塩含有粉末が得られやすくなる。
(A)成分の群中の微粉の含有量は、(A)成分の群の総質量に対して、20〜70質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましく、30〜60質量%がさらに好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。(A)成分の群中の微粉の含有量が前記好ましい範囲であると、固化の抑制性に優れるα−SF塩含有粉末が得られやすく、かつ、その生産性が高められる。
<α−SF塩含有粉末の製造方法>
本実施形態のα−SF塩含有粉末の製造方法は、第1の実施形態における(A)成分の製造方法と同様である。
ただし、本実施形態においては、(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が、(A)成分の総質量に対して0.9〜4.0質量%であり、(A)成分の群中の微粉の含有量が、(A)成分の群の総質量に対して20質量%以上であるものを製造する。
(A)成分の製造方法において、スルホン化処理における、原料の脂肪酸アルキルエステルに対するスルホン化ガスのモル比(「スルホン化ガス/脂肪酸アルキルエステル」で表されるモル比)は、1.05〜1.13が好ましく、1.07〜1.11がより好ましく、1.07〜1.10がさらに好ましい。スルホン化ガス/脂肪酸アルキルエステルのモル比が前記範囲であると、(A)成分中の脂肪酸エステルの含有量を前記所望の好ましい範囲に調整しやすくなる。また、上記スルホン化処理に要する時間が長くなったり、α−SF塩の収率が低下するのを抑制しやすくなる。
本実施形態のα−SF塩含有粉末は、固化の抑制性に優れるため、その製造方法において、熟成工程及び/又は分級工程が設けられなくてもよい。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態にかかるα−SF塩含有粉末は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(A)((A)成分)が、ゼオライト粒子群を含む被覆成分(B)((B)成分)で被覆された被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(被覆α−SF塩粒子)の群である。本実施形態にかかるα−SF塩含有粉末における粒子径355μm以下の粒子(微粉)の含有量は、α−SF塩含有粉末の総質量に対して20質量%以上であり、かつ、前記(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量は、(A)成分の総質量に対して0.9〜4.0質量%である。
本実施形態におけるα−SF塩含有粉末の平均粒子径は、第1の実施形態における被覆α−SF塩粒子群の平均粒子径と同様である。
本実施形態におけるα−SF塩含有粉末の嵩密度は、第1の実施形態における被覆α−SF塩粒子群の嵩密度と同様である。
<(A)成分>
本実施形態における(A)成分は、第3の実施形態における(A)成分と同様のものを用いることができる。
[(A)成分の製造方法]
本実施形態における(A)成分は、第1の実施形態における(A)成分の製造方法と同様に製造できる。
ただし、本実施形態においては、(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が、(A)成分の総質量に対して0.9〜4.0質量%であり、(A)成分の群中の微粉の含有量が、(A)成分の群の総質量に対して20質量%以上であるものを製造する。
本実施形態の被覆α−SF塩粒子中の(A)成分の含有量は、第1の実施形態における被覆α−SF塩粒子中の(A)成分の含有量と同様である。
<(B)成分>
本実施形態における(B)成分は、ゼオライト粒子群を含む被覆成分である。
上記被覆成分で(A)成分を被覆することにより、α−SF塩含有粉末の固化をより抑制できる。
本実施形態のゼオライト粒子群としては、表1に示される市販のゼオライト粒子群のような(b1)成分以外のゼオライト粒子群を用いることができる。より良好な固化抑制効果が得られる点からは、上記ゼオライト粒子群として(b1)成分を用いることが好ましいが、本実施形態においては(b1)成分以外のゼオライト粒子群が使用されても固化の抑制効果を得ることができる。(b1)成分以外のゼオライト粒子群としては、平均粒子径が3.8〜5.0μmのゼオライト粒子群(b3)((b3)成分)を好ましく使用することができる。
(B)成分は、脂肪酸アルキルエステル、炭素数8〜22の高級アルコール、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種(b2)成分を含んでもよい。
(b2)成分としては、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
(B)成分は、例えば、(b3)成分からなるものでもよいし、(b3)成分と(b2)成分からなるものでもよい。また、(b2)成分及び(b3)成分以外の任意成分を含んでもよい。
本実施形態における被覆α−SF塩粒子中の(B)成分の含有量は、第1の実施形態の被覆α−SF塩粒子中の(B)成分の含有量と同様である。
本実施形態における被覆α−SF塩粒子の被覆率は、第1の実施形態の被覆α−SF塩粒子の被覆率と同様である。
(B)成分中のゼオライト粒子群の含有量は、第1の実施形態における(B)成分中の(b1)成分の含有量と同様である。
また、被覆α−SF塩粒子中のゼオライト粒子群の含有量は、第1の実施形態における被覆α−SF塩粒子中の(b1)成分の含有量と同様である。
(B)成分中の(b2)成分の含有量は、第1の実施形態における(B)成分中の(b2)成分の含有量と同様である。
また、被覆α−SF塩粒子中の(b2)成分の含有量は、第1の実施形態における被覆α−SF塩粒子中の(b2)成分の含有量と同様である。
本実施形態のα−SF塩含有粉末を製造する際の発塵を抑制する点、微粉が多く含まれるα−SF塩含有粉末の固化の抑制性を高める点、(A)成分が準安定固体である場合の固化の抑制性を高める点からは、(B)成分が(b2)成分を含むことが好ましい。
(B)成分が(b2)成分を含む場合、(B)成分中のゼオライト粒子群の含有量、(B)成分中の(b2)成分の含有量、(B)成分中のゼオライト粒子群に対する(b2)成分の質量比は、それぞれ、第2の実施形態における(B)成分中のゼオライト粒子群の含有量、(B)成分中の(b2)成分の含有量、(B)成分中のゼオライト粒子群に対する(b2)成分の質量比と同様である。
(B)成分が(b2)成分を含む場合、被覆α−SF塩粒子中のゼオライト粒子群の含有量、被覆α−SF塩粒子中の(b2)成分の含有量は、それぞれ、第2の実施形態における被覆α−SF塩粒子中のゼオライト粒子群の含有量、被覆α−SF塩粒子中の(b2)成分の含有量と同様である。
<α−SF塩含有粉末の製造方法>
本実施形態のα−SF塩含有粉末の製造方法は、(A)成分を(B)成分で被覆する工程(被覆工程)を有する。
本実施形態のα−SF塩含有粉末の製造方法は、例えば、(A)成分(粒子(A)を製造する粒子(A)製造工程と、(A)成分を(B)成分で被覆する被覆工程とを有する。
粒子(A)製造工程は、第1の実施形態の(A)成分の製造方法と同様の製造方法により(A)成分を製造する工程である。
ただし、本実施形態においては、(A)成分中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が、(A)成分の総質量に対して0.9〜4.0質量%であり、(A)成分の群中の微粉の含有量が、(A)成分の群の総質量に対して20質量%以上であるものを製造する。
本実施形態のα−SF塩含有粉末は、固化の抑制性に優れるため、その製造方法において、熟成工程及び/又は分級工程が設けられなくてもよい。
被覆工程において、(A)成分に(B)成分を被覆する方法は、(B)成分の組成に応じて適宜設定される。
(B)成分がゼオライト粒子群からなる場合の被覆方法としては、第1の実施形態の(II−1)の方法において、(b1)成分に代えてゼオライト粒子群を用いた方法が挙げられる。
(B)成分が(b2)成分を含む場合の被覆方法としては、第2の実施形態の被覆工程と同様の方法が挙げられる。
なお、本実施形態においては、ゼオライト粒子群として(b1)成分が用いられてもよい。この場合、被覆工程の前に、ゼオライト粒子群の中から0.8μm以上3.8μm未満の平均粒子径を有するゼオライト粒子群(b1)成分を選定する選定工程を有する。この選定工程は、第1の実施形態と同様である。
<粉末洗剤>
第3の実施形態のα−SF塩含有粉末又は第4の実施形態のα−SF塩含有粉末を含む粉末洗剤は、第1の実施形態の被覆α−SF塩粒子群に代えて、それぞれ第3の実施形態のα−SF塩含有粒子又は第4の実施形態のα−SF塩含有粉末を用いること以外は、第1の実施形態の粉末洗剤と同様である。
第3の実施形態のα−SF塩含有粉末又は第4の実施形態のα−SF塩含有粉末は、粉末洗剤に限られず、例えばタブレット状やシート状の固体洗剤や、液体洗剤に配合されてもよい。
以上、説明したとおり、本発明の被覆α−SF塩粒子群は、特定の(B)成分で被覆された被覆α−SF塩粒子からなるため、固化の抑制性に優れる。
本発明の被覆α−SF塩粒子群又はα−SF塩含有粉末は、脂肪酸アルキルエステルの含有量が0.9〜4.0質量%である(A)成分を含有するため、固化の抑制性に優れる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本実施例において「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
<(A)成分>
本実施例において使用した(A)成分の群であるa−1〜a−22の組成、a−1〜a−22中の微粉量、結晶化度、a−1〜a−22を調製した際のSO/脂肪酸メチルエステルの反応モル比を、表2〜4に示す。
また、参考までに、a−1(微粉量15質量%)、a−10(微粉量40質量%)の粒度分布を表5に示す。
なお、a−1〜a−22は、上記一般式(1)において、Rが炭素数14〜16のアルキル基、Rがメチル基、Mがナトリウムであるα−SF塩粒子の群である。
a−1〜a−22の調製方法、組成の分析方法、結晶化度の測定方法は、以下に記載するとおりである。
Figure 0006644000
Figure 0006644000
Figure 0006644000
Figure 0006644000
a−1〜a−22を以下のように調製した。
(a−1〜a−5の調製方法)
[ペースト化工程]
パルミチン酸メチル(ライオン株式会社製、商品名「パステルM−16」)と、ステアリン酸メチル(ライオン株式会社製、商品名「パステルM−180」)とを、80:20(質量比)となるように混合した。
撹拌機を備えた容量1kLの反応装置に、前記脂肪酸メチルエステル混合物330kgと、着色抑制剤として、無水硫酸ナトリウムを、脂肪酸メチルエステル混合物の5質量%となる量で投入し、撹拌しながら、窒素ガスで4容量%に希釈したSOガス(スルホン化ガス)110kgをバブリングしながら3時間かけて等速で吹き込み反応させた。反応温度は80℃に保った。脂肪酸メチルエステル混合物に対するスルホン化ガスのモル比(スルホン化ガス/脂肪酸メチルエステル混合物)は、1.15であった。
上記反応物を、エステル化槽に移し、メタノール14kgを供給して、80℃においてエステル化反応を行った。反応終了後のエステル化物をエステル化槽から抜き出し、ラインミキサーで当量の水酸化ナトリウム水溶液を添加して連続的に中和した。
ついで、この中和物を漂白剤混合ラインに注入し、35%過酸化水素水を純分換算で、α−SF塩に対して1〜2質量%となる量で供給し、80℃に保ちながら混合し漂白して、α−SF塩含有ペーストを得た。
[フレーク化工程]
得られたα−SF塩含有ペーストを、真空薄膜蒸発機(伝熱面:4m、Ballestra社製)に200kg/hrで導入し、内壁加熱温度100〜160℃、真空度0.01〜0.03MPaにて濃縮し、温度100〜130℃の溶融物として取り出した。
この溶融物をベルトクーラー(株式会社日本ベルティング製)を用いて、20〜30℃まで0.5分間で冷却し、さらに解砕機(株式会社日本ベルティング製)を用いてα−SF塩含有フレークを得た。
[熟成工程]
上記α−SF塩含有フレーク600kgを、1mのフレキシブルコンテナバックに充填し、30℃以上の環境で4週間維持し、α−SF塩含有フレークを安定固体に変換した。
[粉砕工程]
上記フレークを粉砕機(Fitzmill)に投入し1300rpmで粉砕して、α−SF塩粒子を得た。
[分級工程]
得られたα−SF塩粒子の群を目開き355μmの篩を用いて篩い、篩を通過した微粉をカットした。次に、所定の微粉量となるように、カットした微粉をα−SF塩粒子の群に還元(混合)して、a−1〜a−5を調製した。
(a−6、a−12の調製方法)
α−SF塩含有フレークを得た後に、熟成工程を行わなかった以外は、a−1〜a−5と同様にして、a−6、a−12を調製した。
(a−7の調製方法)
ペースト化工程において、脂肪酸メチルエステル混合物に対するスルホン化ガスのモル比(スルホン化ガス/脂肪酸メチルエステル混合物)を1.11としたこと以外は、a−1〜a−5と同様にして、a−7を調製した。
(a−8、a−19、a−21の調製方法)
ペースト化工程において、脂肪酸メチルエステル混合物に対するスルホン化ガスのモル比(スルホン化ガス/脂肪酸メチルエステル混合物)を1.07としたこと以外は、a−1〜a−5と同様にして、a−8、a−19、a−21を調製した。
(a−9、a−20、a−22の調製方法)
ペースト化工程において、脂肪酸メチルエステル混合物に対するスルホン化ガスのモル比(スルホン化ガス/脂肪酸メチルエステル混合物)を1.05としたこと以外は、a−1〜a−5と同様にして、a−9、a−20、a−22を調製した。
(a−10の調製方法)
ペースト化工程において、脂肪酸メチルエステル混合物に対するスルホン化ガスのモル比(スルホン化ガス/脂肪酸メチルエステル混合物)を1.13としたこと、及び、熟成工程において、上記α−SF塩含有フレークを、30℃以上の環境で2週間維持したこと以外は、a−1〜a−5と同様にして、a−10を調製した。
(a−11の調製方法)
熟成工程において、α−SF塩含有フレークを、30℃以上の環境で2週間維持したこと以外は、a−7と同様にして、a−11を調製した。
(a−13の調製方法)
ペースト化工程において、脂肪酸メチルエステル混合物に対するスルホン化ガスのモル比(スルホン化ガス/脂肪酸メチルエステル混合物)を1.12としたこと、及び、熟成工程において、上記α−SF塩含有フレークを、30℃以上の環境で1週間維持したこと以外は、a−1〜a−5と同様にして、a−13を調製した。
(a−14の調製方法)
ペースト化工程において、脂肪酸メチルエステル混合物に対するスルホン化ガスのモル比(スルホン化ガス/脂肪酸メチルエステル混合物)を1.10としたこと以外は、a−6、a−12と同様にして、a−14を調製した。
(a−15の調製方法)
ペースト化工程において、脂肪酸メチルエステル混合物に対するスルホン化ガスのモル比(スルホン化ガス/脂肪酸メチルエステル混合物)を1.05としたこと以外は、a−14と同様にして、a−15を調製した。
(a−16の調製方法)
a−1〜a−5と同様にして、フレーク化工程、熟成工程、粉砕工程を行った。その後、分級工程において、α−SF塩粒子の群を目開き355μmの篩を用いて篩い、篩を通過した微粉を集めてa−16を調製した。
(a−17の調製方法)
ペースト化工程において、脂肪酸メチルエステル混合物に対するスルホン化ガスのモル比(スルホン化ガス/脂肪酸メチルエステル混合物)を1.07としたこと以外は、a−16と同様にして、a−17を調製した。
(a−18の調製方法)
ペースト化工程において、脂肪酸メチルエステル混合物に対するスルホン化ガスのモル比(スルホン化ガス/脂肪酸メチルエステル混合物)を1.05としたこと以外は、a−16と同様にして、a−18を調製した。
(結晶化度の測定方法)
示差走査熱分析計として、SII社製DSC6220を用いた。トリオブレンダー(トリオサイエンス社製)で試料20gを粉砕し、そのうちの5〜30mgを銀製のサンプルパンに入れ、0℃から130℃まで2℃/minの速度で昇温し、熱分析した。
この時の50〜130℃における熱吸収ピーク面積S1と、0〜130℃における熱吸収ピーク面積S2から、100×S1/S2を求め、これを結晶化度(%)とした。なお、面積S1と面積S2は、示差走査熱分析計に付属しているソフトウエアを用いて、「自動分割積分」処理を行うことにより、それぞれ求めた。また、50〜130℃において発熱ピークが認められた場合には、該発熱ピーク面積の絶対値を50〜130℃における熱吸収ピーク面積から差し引いた値をS1とし、0〜130℃において発熱ピークが認められた場合には、該発熱ピーク面積の絶対値を0〜130℃における熱吸収ピーク面積から差し引いた値をS2とした。
(a−1〜a−22の組成分析方法)
a−1〜a−22の組成分析を以下のように行った。
[AIの測定方法]
α−SF塩とα−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩(Di−Na塩)の合計(AI)の含有量を以下のようにして測定した。
α−SF塩含有フレーク(a−1〜a−5、a−7〜a−11、a−13、a−16〜a−22については熟成工程後のもの、a−6、a−12、a−14、a−15についてはフレーク化工程後のもの、以下の測定方法においても同様)を約0.2g、容量200mLメスフラスコに正確に量り取り、イオン交換水(蒸留水)を標線まで加え、超音波で試料をイオン交換水に溶解させた。溶解後、約25℃まで冷却し、この試料水溶液中から5mLをホールピペットで滴定瓶に取り、メチレンブルー指示薬25mLとクロロホルム15mLとを加え、さらに0.004mol/L塩化ベンゼトニウム溶液5mLを加えた後、0.002mol/Lアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液で滴定した。滴定は、その都度、滴定瓶に栓をして激しく振とうした後、静置し、白色板を背景として分離した両層が同一色調になった点を終点とした。
同様に、空試験(試料を使用しない以外は上記と同じ試験)を行い、前記アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液の滴定量の差から、(A)成分中のAIの含有量を下式より算出した。
AI含有量(質量%)=(空試験での滴定量(mL)−滴定量(mL))×0.002(mol/L)×α−SF塩の分子量/(試料採取量(g)×5(mL)/200(mL))/10
[α−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩(Di−Na塩)の含有量の測定方法]
(A)成分中のα−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩の含有量を以下のようにして測定した。
α−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩の標準品0.02g、0.05g、0.1gをそれぞれ容量200mLメスフラスコに正確に量り取り、水約50mLとエタノール約50mLとを加えて超音波を用いて溶解させた。溶解後、約25℃まで冷却し、メタノールを標線まで正確に加え、これを標準液とした。この標準液約2mLを、0.45μmのクロマトディスクを用いて濾過後、下記測定条件の高速液体クロマトグラフィーによる分析を行い、そのピーク面積から検量線を作成した。
≪高速液体クロマトグラフィー分析の測定条件≫
・装置:LC−6A(島津製作所製)
・カラム:Nucleosil 5SB(ジーエルサイエンス社製)
・カラム温度:40℃
・検出器:示差屈折率検出器RID−6A(島津製作所製)
・移動相:0.7%過塩素酸ナトリウムのHO/CHOH=1/4(体積比)溶液
・流量:1.0mL/min.
・注入量:100μL
次に、α−SF塩含有フレークを約0.8g、容量200mLメスフラスコに正確に量り取り、水約50mLとエタノール約50mLとを加えて溶解させた。溶解後、約25℃まで冷却し、メタノールを標線まで正確に加え、これを試験溶液とした。試験溶液約2mLを、0.45μmのクロマトディスクを用いて濾過後、上記と同じ測定条件の高速液体クロマトグラフィーで分析し、上記検量線を用いて試料溶液中のα−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩の濃度を求め、(A)成分中のα−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩の含有量(質量%)を算出した。
[硫酸ナトリウム及びメチル硫酸ナトリウムの含有量の測定方法]
(A)成分中の硫酸ナトリウム及びメチル硫酸ナトリウムの含有量を以下のようにして測定した。
硫酸ナトリウム及びメチル硫酸ナトリウムの標準品をそれぞれ0.01、0.02、0.05、0.1gずつ、1000mLメスフラスコに正確に量りとり、イオン交換水(蒸留水)を標線まで加え、超音波を用いて溶解させた。溶解後、約25℃まで冷却し、これを標準液とした。この標準液約2mLを、0.45μmのクロマトディスクを用いて濾過後、下記測定条件のイオンクロマトグラフ分析を行い、メチル硫酸ナトリウム及び硫酸ナトリウム標準液のピーク面積から検量線を作成した。
≪イオンクロマトグラフ分析測定条件≫
・装置:DX−500(日本ダイオネクス株式会社製)
・検出器:電気伝導度検出器CD−20(日本ダイオネクス株式会社製)
・ポンプ:IP−25(日本ダイオネクス株式会社製)
・オーブン:LC−25(日本ダイオネクス株式会社製)
・インテグレータ:C−R6A(株式会社島津製作所製)
・分離カラム:AS−12A(日本ダイオネクス株式会社製)
・ガードカラム:AG−12A(日本ダイオネクス株式会社製)
・溶離液:2.5mMのNaCO/2.5mMのNaOH/5%(体積)アセトニトリル水溶液
・溶離液流量:1.3mL/min
・再生液:純水
・カラム温度:30℃
・ループ容量:25μL
次に、α−SF塩含有フレーク約0.2gを、200mLメスフラスコに正確に量り、イオン交換水(蒸留水)を標線まで加え、超音波を用いて溶解させた。溶解後、約25℃まで冷却し、これを試験溶液とした。試験溶液約2mLを、0.45μmのクロマトディスクを用いて濾過後、上記と同じ測定条件のイオンクロマトグラフで分析し、上記で作成した検量線を用いて、試験溶液中の硫酸ナトリウム濃度及びメチル硫酸ナトリウム濃度を求め、(A)成分中の硫酸ナトリウムの含有量及びメチル硫酸ナトリウムの含有量(質量%)を算出した。
[脂肪酸メチルエステル(ME)の含有量の測定方法]
(A)成分中の脂肪酸メチルエステルの含有量を以下のようにして測定した。
脂肪酸メチルエステルの標準品0.02g、0.10g、0.20gをそれぞれ容量50mLメスフラスコに正確に量り取り、メタノールを標線まで加えて超音波を用いて溶解させた。溶解後、約25℃まで冷却し、これを標準液とした。この標準液約2mLを、0.45μmのクロマトディスクを用いて濾過後、下記測定条件の高速液体クロマトグラフィーによる分析を行い、そのピーク面積から検量線を作成した。
≪高速液体クロマトグラフィー分析の測定条件≫
・装置:LC−10AT(島津製作所製)
・カラム:Inertsil ODS−2(ジーエルサイエンス社製)
・カラム温度:40℃
・検出器:示差屈折率検出器RID−6A(島津製作所製)
・移動相:HO/CHOH=5/95(体積比)混合溶液
・流量:1.0mL/min.
・注入量:100μL
次に、α−SF塩含有フレーク約4.0gを、容量50mLメスフラスコに正確に量り取り、メタノールを標線まで加え超音波を用いて溶解させた。溶解後、約25℃まで冷却し、これを試験溶液とした。試験溶液約2mLを、0.45μmのクロマトディスクを用いて濾過後、上記と同じ測定条件の高速液体クロマトグラフィーで分析し、上記検量線を用いて試料溶液中の脂肪酸メチルエステルの濃度を求め、(A)成分中の脂肪酸メチルエステルの含有量(質量%)を算出した。
[水分の測定方法:カールフィッシャー法]
α−SF塩含有フレークを細かく砕いて粉砕物とした。この粉砕物約0.05gを採取し、カールフィッシャー水分計MKC−210(京都電子工業社製)を用いて前記粉砕物中の水分を測定し、(A)成分中の水分(質量%)を算出した。
<(B)成分>
<(b1)成分>
b1−1:A型ゼオライト(平均粒子径1.0μm)。
b1−2:A型ゼオライト(平均粒子径2.5μm)。
b1−3:A型ゼオライト(平均粒子径2.7μm)。
b1−4:A型ゼオライト(平均粒子径3.4μm)。
<(b1’)成分>
b1’−1:A型ゼオライト(平均粒子径0.5μm)。
b1’−2:A型ゼオライト(平均粒子径4.0μm)、Guangzhou社製、4Aゼオライト。
b1−1〜b1−4及びb1’−1は、b1’−2のGuangzhou社製の4Aゼオライト(平均粒子径4.0μm)を、所定の平均粒子径となるように乳鉢で磨り潰して調製した。
<(b2)成分>
b2−1:ME、脂肪酸メチルエステル(脂肪酸の炭素数16〜18)、Emery oleochemicals社製、C16/C18=85/15(質量比)。
<実施例1〜33、比較例1〜7、参考例1〜11>
[実施例1〜12,25〜33、比較例1〜7、参考例6〜11]
表6,8〜10に示す組成に従い、(A)成分の群と(b1)成分とを容器回転式混合機に投入し、両者を混合して実施例1〜12,25〜33の被覆α−SF塩粒子群を得た。
また、(b1)成分に代えて、(b1’)成分を用いた以外は、上記と同様にして、比較例1〜7、参考例6〜11の被覆α−SF塩粒子群を得た。なお、前記参考例6〜11の被覆α−SF塩粒子群は、上述の第4の実施形態のα−SF塩含有粉末の例であり、この例で用いられた(b1’−2)成分は、第4の実施形態の(b3)成分に相当する。
[実施例13〜24、参考例1〜2]
表7に示す組成に従い、容器回転式混合機に(A)成分の群を投入し流動状態にしながら、(b2)成分を噴霧した。(b2)成分の噴霧終了後、(b1)成分又は(b1’)成分を投入し、混合して実施例13〜24、参考例1〜2の被覆α−SF塩粒子群を得た。
[参考例3〜5]
参考例3〜5としては、a−16〜a−18をそのまま用いた(なお、前記参考例4,5は、上述の第3の実施形態のα−SF塩含有粉末の例である。以下、参考例3〜5のα−SF塩粒子群についても、他の例と同様に被覆α−SF塩粒子群という)。
表6〜10に、得られた被覆α−SF塩粒子群の組成(配合成分、含有量(質量部))を示す。
表中、空欄の配合成分がある場合、その配合成分は配合されていない。
各例の被覆α−SF塩粒子群について、微粉(粒子径355μm以下の粒子)含有量の測定を以下のように行った。測定結果を表6〜10に示す。
また、各例の被覆α−SF塩粒子群について、固化の抑制性を以下のように評価した。評価結果を表6〜10に示す。
[微粉含有量の測定]
各例の被覆α−SF塩粒子群を目開き355μmの篩を用いて篩い、篩を通過した微粉の量から下記式により算出した。
微粉含有量(質量%)=(篩を通過した微粉の質量/篩にかけた被覆α−SF塩粒子群の総質量)×100
[固化の抑制性の評価]
各例の被覆α−SF塩粒子群の固化の抑制性を、下記に示す固化指数により評価した。
≪固化指数の測定方法≫
85質量部のa−1と、15質量部のb1’−2とを容器回転式混合器に投入し、両者を混合して、被覆α−SF塩粒子群を得た。これを基準サンプルとした。
内径50mm、高さ100mmの円筒状のセルに上記基準サンプルを80g入れ、40℃雰囲気で、2kgの荷重で1週間静置して円柱状の成形体とした。前記成形体を取り出し、IMDA製FORCE GAUGE(モデルNo、本体:MX−500N、検知部:ZP−500N)を用いて上部から5.32mm/秒の条件で検知部を降下させ、成形体の上面全体に荷重を徐々に加え、成形体が破壊するまでにかかった最大荷重(kgf)を測定した。この測定を3回行い、その平均値(W)を求めた。
上記と同様にして、各例の被覆α−SF塩粒子群を円柱状の成形体とした。そして、上記と同様にして、この成形体が破壊するまでにかかった最大荷重(kgf)を測定した。各例の成形体についてこの測定を3回ずつ行い、前記3回の測定の平均値(W)をそれぞれ求めた。
そして、以下の式により固化指数を算出した。
固化指数=10×(W/W
この固化指数が小さいほど、固化の抑制性に優れると評価できる。
Figure 0006644000
Figure 0006644000
Figure 0006644000
Figure 0006644000
Figure 0006644000
表6〜10に示す結果から、本発明を適用した実施例1〜33の被覆α−SF塩粒子群は、固化の抑制性に優れることが確認できた。
実施例1〜12と、比較例1〜7との対比から、(B)成分として平均粒子径が特定の範囲である(b1)成分を用いることで、固化の抑制性が高められることが確認できる。
実施例13〜24、参考例1〜2から、(B)成分が(b2)成分を含むことで、固化の抑制性が高められることが確認できる。実施例23,24は、結晶化度が50%未満の(A)成分を用いた被覆α−SF塩粒子群であるが、固化の抑制性に優れる。
実施例25〜33、参考例3〜11から、(A)成分中の脂肪酸メチルエステルの含有量が0.9〜4.0質量%である被覆α−SF塩粒子群は、固化の抑制性に優れることが確認できる。また、前記含有量の範囲の中でも、脂肪酸メチルエステルの含有量が高い方が、固化の抑制性に優れることが確認できる。さらに、結晶化度が50%未満の(A)成分を用いた被覆α−SF塩粒子群において、固化の抑制性の向上効果をより享受できることが確認できる。
一方、(b1)成分に代えて、(b1’−1)成分を用いた被覆α−SF塩粒子群(比較例1)は、(b1’−1)成分自身が凝集し、粒子径の効果を得ることができず充分な固化の抑制性が得られなかった。また、(b1)成分に代えて、(b1’−2)成分を用いた被覆α−SF塩粒子群(比較例2〜6)は、例えば同じ(A)成分を被覆した実施例2と比較例2、実施例3と比較例3等との対比から明らかなように、いずれも本発明を適用したα−SF塩粒子群よりも固化の抑制性に劣るものであった。
以上の結果から、本発明を適用した被覆α−SF塩粒子群は、固化の抑制性に優れることが確認できた。
本発明を適用した被覆α−SF塩粒子群は、粉末洗剤等に用いられる。

Claims (5)

  1. α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(A)が、ゼオライト粒子群を含む被覆成分(B)で被覆された被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子の群であって、
    前記ゼオライト粒子群が平均粒子径0.8μm以上3.8μm未満のゼオライト粒子群(b1)であり、
    前記粒子(A)中の脂肪酸アルキルエステルの含有量が0.9〜4.0質量%であり、かつ、前記被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群における粒子径355μm以下の粒子の含有量が20質量%以上であり、
    前記粒子(A)の含有量が、被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群の総質量に対して、70〜99質量%である、被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群。
  2. 前記粒子(A)は、示差走査熱分析計で熱分析した際に観測される50〜130℃における熱吸収ピーク面積S1が、0〜130℃における熱吸収ピーク面積S2に対して50%未満である、請求項に記載の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群。
  3. 請求項1又は2に記載の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群を含有する、粉末洗剤。
  4. 請求項1又は2に記載の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群の製造方法であって、
    α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子(A)を、ゼオライト粒子群を含む被覆成分(B)で被覆する工程を有し、
    前記ゼオライト粒子群が平均粒子径0.8μm以上3.8μm未満のゼオライト粒子群(b1)である、被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群の製造方法。
  5. 前記粒子(A)を製造する粒子(A)製造工程を有し、
    前記粒子(A)製造工程が、脂肪酸アルキルエステルをスルホン化ガスと接触させてスルホン化するスルホン化処理を含み、
    前記スルホン化処理における脂肪酸アルキルエステルに対する前記スルホン化ガスのモル比が1.05〜1.13である、請求項に記載の被覆α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩粒子群の製造方法。
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