JP5515140B2 - α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストの製造方法 - Google Patents
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Description
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩は、一般に、脂肪酸アルキルエステルをSO3によりスルホン化してα−スルホ脂肪酸アルキルエステルを得た後に、アルカリによって中和することによって得られる。しかしながら、上記の工程を経て得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を含む反応生成物(ペースト)は、その中和の工程や、その後濃縮により水分量を調整する際に、硫酸ナトリウムが析出することが知られている。硫酸ナトリウムが析出すると、ポンプ類が詰まったり、その内部が磨耗したりしてα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造に支障を来たすなどの問題が生じる。また、硫酸ナトリウムが析出したα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストは一般に粘度が高く、扱いづらい。
このような硫酸ナトリウムの析出を抑制するための手段として、中和工程での水分量を増加させたり、また、中和の際に非イオン性界面活性剤を添加する方法などが報告されている(特許文献1)。しかしながら、硫酸ナトリウム析出は特殊な条件下でなければ有効に抑制できないのが実情であり、硫酸ナトリウムの析出をさらに抑制したα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストの製造方法が求められている。
即ち、本発明は、
(a)アルキルベンゼンスルホン酸/α−スルホ脂肪酸アルキルエステルの質量比が0.01〜0.20となるようにα−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルキルベンゼンスルホン酸を混合して混合物を得る工程、
(b)混合物をアルカリで中和する工程、および
(c)混合物にノニオン界面活性剤を添加する工程、
を含む、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストの製造方法を提供する。
また、本発明は、上記製造方法により製造されたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを提供する。
本発明の工程(a)において、アルキルベンゼンスルホン酸/α−スルホ脂肪酸アルキルエステルの質量比が0.01〜0.20となるようにα−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルキルベンゼンスルホン酸を混合して混合物を得る。
〔α−スルホ脂肪酸アルキルエステル〕
本発明におけるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル(以下、α−SF酸と記すこともある)としては、以下の式で表されるものを好適に用いることができる。
│
SO3H
R2は炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3の直鎖又は分岐、好ましくは直鎖アルキル又はアルケニル基であり、より好ましくはメチル基である。
特に好ましいものは、上記式においてR1が炭素数12〜16の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、R2がメチル基である化合物である。
本発明において、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルは一種単独を使用することもできるし、二種以上の混合物として使用することもできるが、混合物であるのが好ましい。
本発明において、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルは、好ましくは脂肪酸残基の鎖長が炭素数16及び炭素数18であるものの混合物である。本発明の方法は、硫酸ナトリウムの析出し易いα−スルホ脂肪酸アルキルエステルの製造の際にも、硫酸ナトリウムの析出を有効に抑制することができる。
本発明において使用するα−スルホ脂肪酸アルキルエステルは、公知の方法で製造することもできるし、市販品を使用することもできる。
本発明において使用するアルキルベンゼンスルホン酸は以下の式で表される。
R3−C6H4−SO3H
式中、R3は炭素数8〜20、好ましくは8〜18、より好ましくは10〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。
R3の炭素数が8未満であるか20超であると洗浄力が劣ることがある。
本発明においては、例えば、炭素数10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸が好ましい。
本発明において、アルキルベンゼンスルホン酸は一種単独を使用することもできるし、二種以上の混合物として使用することもできる。
本発明において使用するアルキルベンゼンスルホン酸は、公知の方法で製造することもできるし、市販品を使用することもできる。
本発明における、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルキルベンゼンスルホン酸の混合方法については特に制約は無い。図1に示すように、混合槽等でα−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルキルベンゼンスルホン酸を混合してもよい。
より好ましくは、図3に示すように混合ミキサーと熱交換器とを用いたループ型連続中和装置における中和リサイクルラインにアルキルベンゼンスルホン酸を添加することにより、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルキルベンゼンスルホン酸を混合する方法である。
特に好ましくは前記ループ型連続中和装置において、中和リサイクルラインの熱交換器以降でアルキルベンゼンスルホン酸を添加する方法が、特にα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを濃縮した場合の濃縮物のpH低下および加水分解によるα−スルホ脂肪酸ジ塩の生成が抑制されるため好ましい。
本発明の工程(b)において、工程(a)で得られた混合物をアルカリで中和する。
本発明において用いられるアルカリとしては、ナトリウムを含むアルカリ剤の水溶液が挙げられる。上記のうち、特に水酸化ナトリウムの水溶液が好ましく、また、アルカリ水溶液は例えば2〜50重量%の濃度で使用することができる。
また、中和工程はアルカリ水溶液を用いる以外に、ナトリウムを含む固体の金属炭酸塩または炭酸水素塩と反応させて行うこともできる。金属炭酸塩または炭酸水素塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどを例示することができ、無水塩、水和塩、またはこれらの混合物などを用いることができる。
本発明の工程(b)においては、中和する方法については特に制約はないが、より好ましくは、図1および図3に示すように混合ミキサーと熱交換器とを用いたループ型連続中和装置を用いる方法である。その理由としては、高濃度の中和用アルカリ物質とα−スルホ脂肪酸アルキルエステルが、中和時の局所的な接触によって起こる加水分解(α−スルホ脂肪酸ジ塩の生成)が抑制できるため好ましい。
また、中和前後に過酸化水素等の漂白剤を加えて漂白してもよい。
本発明の工程(c)において、工程(a)で得られた混合物にノニオン界面活性剤を添加する。
〔ノニオン界面活性剤〕
本発明においては、ノニオン界面活性剤としては、洗剤を製造するのに一般的に用いられているものであれば特に制約なく用いることができる。具体的には、
(1)炭素数10〜20のアルキル基を有し、ポリオキシアルキレン(アルキレンの炭素数は2〜4)の付加モル数が5〜50のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、
(2)炭素数8〜18のアルキル基を有し、グルコースユニットの平均付加モル数が1〜10のアルキルポリグルコシド、
(3)炭素数8〜18のアルキル基を有し、グリセリンユニットの平均付加モル数が1〜3のアルキルグリセリルエーテル、
(4)炭素数10〜20の脂肪酸ジエタノールアミド、
(5)炭素数10〜18アルキル基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が1〜30のメトキシポリオキシエチレンアルカノエート等があげられる。
なかでも、(1)のポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、更に特に、アルキル基の平均炭素差長が10〜18、好ましくは12〜16であり、かつエチレンオキサイド(EO)の平均付加モル数が5〜25、好ましくは8〜20、より好ましくは12〜18であるポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
本発明においては、好ましくはノニオン界面活性剤/α−スルホ脂肪酸アルキルエステルの質量比が0.10〜0.45、好ましくは0.25〜0.43、より好ましくは0.30〜0.41となるようにノニオン界面活性剤を添加する。上記の範囲でノニオン界面活性剤を添加することにより、硫酸ナトリウムの析出を有効に抑制することができる。
工程(a)〜(c)を経て得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストの水分量は好ましくは25〜50質量%である。上記の範囲とすることにより、粘度が低くハンドリング性に優れる。また、中和の工程の際には水とともにメタノールを加えてもよく、その量は例えば5.0〜15.0質量%、好ましくは8.0〜13.0質量%である。また、メタノール/水の比率は例えば0.20〜0.50、好ましくは0.30〜0.40とすることができる。上記の範囲とすることにより、粘度が低くハンドリング性に優れる。
本発明の方法は、さらに(d)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストの水分量を8〜20質量%、好ましくは9〜16質量%に濃縮する工程を含んでもよい。
工程(a)〜(c)により得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを、必要により濃縮して中和物に含まれる水分やエステル化に用いたアルコール分を除去し、水分量を上記の範囲とすることにより、粒状洗剤に配合(添加)する際に持ち込み水分が低減でき粉体物性が良好となる。漂白を行う場合は、その際に使用したアルコールも除去する。
ここで、濃縮を行う方法は特に限定されないが、硫酸ナトリウムの析出を抑制するためには、なるべく短時間で濃縮を行うことが好ましい。そのような濃縮方法は当業者に知られており、例えば特開2004−210807号公報に示される方法を用いて、リサイクルフラッシュ蒸発装置を用いて行うことができる。
また、上記のようにして得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストは、その後、常法により洗剤ビルダー等と共に調製したスラリーを噴霧乾燥したり、後述の洗剤ビルダー等と混合または造粒することにより、顆粒とすることができる。
・炭酸カリウム、炭酸ナトリウム及び硫酸ナトリウム:これらは、洗剤ビルダーとして作用する。
・任意成分としてのビルダー:例えばゼオライトを添加してもよい。ゼオライトを加える場合、A型ゼオライトが好ましい。
・石鹸:本発明において使用できる石鹸としては、脂肪酸の平均炭素数が10〜20、好ましくは炭素数12〜18の高級脂肪酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、好ましくはアルカリ金属塩、より好ましくはナトリウム又はカリウム塩が挙げられる。脂肪酸のアルキル基は1級であるのが好ましい。鎖長は、単一のものでも二種以上の混合物であってもどちらも好適に用いることが出来る。
・蛍光剤:蛍光増白剤としては、たとえば4,4’−ビス−(2−スルホスチリル)−ビフェニル塩、4,4’−ビス−(4−クロロ−3−スルホスチリル)−ビフェニル塩、2−(スチリルフェニル)ナフトチアゾール誘導体、4,4’−ビス(トリアゾール−2−イル)スチルベン誘導体、ビス−(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体等が挙げられる。
上記蛍光増白剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の蛍光増白剤の含有量は、0.001〜1質量%が好ましい。
市販品として具体的には、ホワイテックスSA、ホワイテックスSKC(以上、商品;住友化学(株)製);チノパールAMS−GX、チノパールDBS−X、チノパールCBS−X(以上、商品名;チバ・ジャパン(株)製);LemoniteCBUS−3B(以上、商品名;Khyati Chemicals製)等が好適なものとして挙げられる。なかでも、チノパールCBS−X、チノパールAMS−GXがより好ましい。
・ポリマー類:バインダーもしくは粉体物性調整剤として、または疎水性微粒子(汚れ)に対する再汚染防止効果を付与するため、平均分子量が200〜200000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1000〜100000のアクリル酸および/またはマレイン酸ポリマーの塩、ポリビニルアルコールを配合できる。また、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体等を配合することができる。かかるポリマー類は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
次に、実施例及び比較例により、本発明を更に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
・炭酸ナトリウム:粒灰(ソーダアッシュジャパン(株)製)
・蛍光剤:チノパールCBS−X(チバ・ジャパン(株)製)
・水酸化Na:フレーク状か性ソーダ(鶴見曹達(株)製)
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸:ライポンLH−200(ライオン(株)製)
・LAS−Na:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ライオン(株)製、ライポンLH−200)(AV値(LAS−Hを1g中和するに要する水酸化カリウムのmg数)=180.0)をα−SF含有ペースト中で48質量%水酸化ナトリウム溶液で中和したもの。)。表中の配合量は、LAS−Naとしての質量%を示す。
・LAS−K:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ライオン(株)製、ライポンLH−200)(AV値(LAS−Hを1g中和するに要する水酸化カリウムのmg数)=180.0)を噴霧乾燥粒子調製用スラリー中で48質量%水酸化カリウム溶液で中和したもの。)。表中の配合量は、LAS−Kとしての質量%を示す。
・アクリル酸/マレイン酸コポリマー塩:アクアリックTL−400((株)日本触媒製、純分40質量%水溶液)
・ノニオン界面活性剤:ECOROL26(ECOGREEN社製炭素数12〜16のアルキル基をもつアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体(ライオン(株)製、純分90%)
・A型ゼオライト:シルトンB(水澤化学(株)製、純分80%)
・炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子(株)製)
・硫酸ナトリウム:中性無水芒硝A0(四国化成(株)製)
・石鹸:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン(株)製、純分:67%、タイター:40〜45℃、脂肪酸組成:C12:11.7%、C14:0.4%、C16:29.2%、C18F0(ステアリン酸):0.7%、C18F1(オレイン酸):56.8%、C18F2(リノール酸):1.2%、分子量:289)
・酵素:サビナーゼ12TW(ノボザイムズジャパン(株)製)/LIPEX100T(ノボザイムズジャパン(株)製)/ステインザイム12T(ノボザイムズジャパン(株)製)/セルクリーン4500T(ノボザイムズジャパン(株)製)=4/2/2/2(質量比)の混合物、平均粒子径700μm、嵩密度0.85g/mL
・色素:群青(大日精化工業(株)製、Ultramarine Blue)
・香料:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物A
<原料>
脂肪酸メチルエステルとして、パルミチン酸メチル(ライオン(株)製、商品名:パステルM−16)とステアリン酸メチル(ライオン(株)製、商品名:パステルM−180)とを、表1に示す質量比で混合したものを用いた。なお、ヨウ素価は、脂肪酸アルキルエステル100グラムと反応するハロゲンの量を、ヨウ素のグラム数に換算した値であり、基準油脂分析法2.3.4.1−1996に従って測定した。水添処理後、濾過により触媒を除去した。
スルホン化ガスとして、脱湿した空気で7%に希釈したSO3ガスを用いた。
流下型薄膜反応器を用いて、上記脂肪酸メチルエステルを上記SO3ガスで、反応モル比(SO3/飽和脂肪酸エステル)=1.18、反応温度80℃の条件にてスルホン化し、スルホン化生成物を得た。
<熟成>
得られたスルホン化生成物を熟成した。熟成は、平均滞留時間20分の二重管ジャケット付きのループ式熟成管を3基連続して繋げ、平均滞留時間を60分としたところにスルホン化生成物を導入し、78〜82℃(熟成管設定温度80℃)において、線速0.16m/sでスルホン化生成物を流すことにより行った。斯様にしてα−スルホ脂肪酸アルキルエステルを得た。
<漂白>
得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル100質量部にメタノール20質量部を添加し、混合物を得た。この混合物と35%過酸化水素5.7質量部とを、混合ミキサーと熱交換器を備えた連続ループ式反応器に導入して漂白した。
次に、表1の各々の原料界面活性剤組成となるように、48%NaOH水溶液と、ノニオン界面活性剤と、水と、メタノールと、上記α−スルホ脂肪酸アルキルエステルと、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸とを、ループ型連続中和装置に導入し、pHを7に調整してα−スルホ脂肪酸アルキルエステルを中和し、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを得た。なお、ループ型連続中和装置として図1に示す装置を用いた。ループ型連続中和装置は、混合槽と、中和ミキサーと、リサイクルポンプと、抜き出しポンプと熱交換器から構成される。なお、図1に示すようにリサイクル比は20(原料供給能力の1/21のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストをリサイクルラインから抜き出す)である。
原料として直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を加えないこと以外は実施例1〜10と同様の製造方法によりα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを製造した。
実施例及び比較例のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを内容量900mL(胴径×高さ、95×181mm)マヨネーズ瓶に800mL取り、温度を50℃に調整した状態で、攪拌子で100rpmの条件で攪拌しながら1日間、3日間保管後、析出物の有無を目視で確認した。○を合格とした。
<評価基準>
○:3日間析出物無し
△:1日間析出物無し、3日間析出物有り
×:1日間析出物有り
実施例11〜22
更に、実施例1〜10で得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを原料として用い、図2に示した装置でリサイクルフラッシュ蒸発を行い、水分及び低級アルコールの除去及び濃縮化を行って濃縮したα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを得た。なお、リサイクルフラッシュ蒸発装置は、加熱器(例えば日阪製作所製、熱交換器UX-005A-J-48)、圧力コントロールバルブ(例えばKITZ社製グローブ弁(3/8B))フラッシュ缶(容量30L)、循環ポンプ(例えば大東工業HP-4TJV2B-38(5L/min))、凝縮器(シェル&チューブ型熱交換器)から構成される。リサイクルフラッシュ蒸発の条件は以下のとおり:加熱器温度120〜130℃、加熱器内圧:0.2MPa以下加圧、循環圧0.6MPa以下で蒸発操作を行い、各実施例の水分が表2に記載された値になるまで常圧でフラッシュ濃縮を行った。
実施例1で得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを原料として用い、図2に示した装置でリサイクルフラッシュ蒸発を行い、低級アルコールの除去及び濃縮化を行って濃縮したα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを得た。蒸発操作を行い、水分が20.5質量%になるまで常圧でフラッシュ濃縮を行った。
比較例1で得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを原料として用い、図2に示した装置でリサイクルフラッシュ蒸発を行い、低級アルコールの除去及び濃縮化を行って濃縮したα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを得た。蒸発操作を行い、水分が10.8質量%になるまで常圧でフラッシュ濃縮を行った。
粘度の測定は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペースト濃縮物の温度をそれぞれ70℃に調整し、円筒形のステンレス製試料容器(内容積1L(直径:約10.5cm、高さ:約11.55cm))に、実施例及び比較例のペーストを満たし、B型粘度計(東京計器製、製品名:B8H)を使用して回転数20rpm、ローターNo.4又はローターNo.5の条件で10回転した時の目盛りを読み取り、所定の換算を行うことにより測定した。
<評価基準>
濃縮物:10Pa・sec以下を○、10Pa・secを超える場合を×とし、○を合格とした。
[熱交換器圧力損失]
実施例及び比較例のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペースト濃縮物を調製した後の熱交換器前後の圧力損失を前後の圧力計によって測定し、下記基準によって判定した。○を合格とした。なお、15kg/hrの供給速度でα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペースト濃縮物を供給した。
<評価基準>
○:0.03MPa以上0.05MPa未満
△:0.05MPa以上0.08MPa未満
×:0.08MPa以上
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の添加位置を図3のように中和リサイクルラインに変更した以外は、実施例1〜10と同様にしてα−スルホ脂肪酸アルキルエステル含有ペーストを得た。結果を表3に示す。
更に、実施例11〜22と同様にして濃縮したα−スルホ脂肪酸アルキルエステル含有ペーストを得た。結果を表4に示す。
上記の実施例において、得られた濃縮したα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストの濃縮物pHと、濃縮物のα−スルホ脂肪酸ジナトリウム塩(ジ−Na塩)の量は、以下のように測定した。
[pH]
JIS Z 8802−1984に記載の方法により、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル中和物を、後述の方法により算出されるAI濃度(α−スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム塩とα−スルホ脂肪酸ジナトリウム塩(ジ−Na塩)との合計濃度)が10%になるように、脱気した中性水で希釈した溶液を25℃で測定した値。なお、pHの測定には、携帯用pH計(横河電機(株)製、本体デジタル指示、本体型式PH71、電極型式pH測定用ガラス電極PH72SN-11)を使用し、校正用の規格pH標準液として、中性りん酸塩pH標準液(第2種)pH6.86、および、フタル酸塩pH標準液(第2種)pH4.01を使用した。
<評価基準>
○:5〜7
△:4〜5未満
×:4未満
[AI濃度(α−スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム塩とα−スルホ脂肪酸ジナトリウム塩(ジ−Na塩)との合計濃度)]
ペースト0.3gを200mLメスフラスコに正確に量り取り、イオン交換水(蒸留水)を標線まで加えて超音波で溶解させた。溶解後、約25℃まで冷却し、この中から5mLをホールピペットで滴定瓶にとり、MB指示薬(メチレンブルー)25mLとクロロホルム15mLを加え、更に0.004mol/L塩化ベンゼトニウム溶液を5mL加えた後、0.002mol/Lアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液で滴定した。滴定は、その都度滴定瓶に栓をして激しく振とうした後静置し、白色板を背景として両層が同一色調になった点を終点とした。同様に空試験(漂白品を使用しない以外は上記と同じ試験)を行い、滴定量の差からAI濃度を算出した。
[AI中のジ−Na塩の割合]
ジ−Na塩の標準品0.02,0.05,0.1gを200mLメスフラスコに正確に量りとり、水約50mLとエタノール約50mLを加えて超音波を用いて溶解させた。溶解後、約25℃まで冷却し、メタノールを標線まで正確に加え、これを標準液とした。
この標準液約2mLを、0.45μmのクロマトディスクを用いて濾過後、下記測定条件の高速液体クロマトグラフィーを行い、ピーク面積から検量線を作成した。
(高速液体クロマトグラフィー測定条件)
・装置(送液ポンプ):LC−6A(島津製作所製)
・カラム:Nucleosil 5SB(ジーエルサイエンス社製)
・カラム温度:40℃.
・検出器:示差屈折率検出器RID−6A(島津製作所製)
・移動相:0.7%過塩素酸ナトリウムのH2O/CH3OH=1/4(体積比)溶液
・流量:1.0mL/min.
・注入量:100μL
次に、ペースト1.5gを200mLメスフラスコに正確に量りとり、水約50mLとエタノール約50mLを加えて超音波を用いて溶解させた。溶解後、約25℃まで冷却し、メタノールを標線まで正確に加え、これを試験溶液とした。
試験溶液約2mLを、0.45μmのクロマトディスクを用いて濾過後、上記と同じ測定条件の高速液体クロマトグラフィーで分析し、上記で作成した検量線を用いて、試料溶液中のジ−Na塩濃度を求めた。
算出したジ−Na塩濃度と、上記で求めたAI濃度とから、AI中のジ−Na塩の割合(質量%)を算出した。
<評価基準>
○:3%未満
△:3〜7質量%
×:7質量%超え
実施例26〜28で調製したα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペースト濃縮物を使用して、粒状洗剤組成物を以下のようにして製造した:
[噴霧乾燥粒子の調製]
噴霧乾燥粒子組成に示す成分を、攪拌機、ジャケットを有する反応装置内に投入し、水に溶解分散させ(攪拌機のジャケット温度75℃)、固形分濃度60質量%のスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを向流式乾燥塔を用いて以下の条件で噴霧乾燥し、噴霧乾燥塔の下部より噴霧乾燥粒子コート被覆剤としてA型ゼオライトの一部(2質量%)を導入して噴霧乾燥粒子を得た。
・噴霧乾燥装置:向流式、塔径2.0m、有効長5.0m。
・微粒化方式:加圧ノズル方式。
・噴霧圧力:30kg/cm2。
・熱風入口温度:250℃。
・熱風出口温度:100℃。
得られた噴霧乾燥粒子の平均粒子径は約300μm、嵩密度は0.3g/L、水分含有量は5質量%であった。
噴霧乾燥粒子中の水分含有量(質量%)の測定は、Kett水分計(商品名、(株)ケツト科学研究所製;赤外線水分計)により測定した。測定条件は170℃、20分で行った。
LAS−KはLAS−Hを噴霧乾燥粒子用スラリー中で水酸化カリウム溶液で中和したLAS−Kとしての質量%で示す。
得られた噴霧乾燥粒子72.3重量部と、実施例26〜28で得られた濃縮したα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペースト15重量部、ノニオン界面活性剤2重量部、水0.5重量部を連続ニーダー(栗本鐵工所社製、KRC−S4型)に投入し、捏和して[ニーダーの回転数135rpm、ジャケット温度:ジャケット入り口5℃、出口25℃(ジャケットに通水して冷却)]、ドウ状物を調製した。得られたドウ状物の温度は55±15℃であった。
次いで、得られたドウ状物を、ペレッターダブル(不二パウダル(株)製、製品名:EXD−100型)に投入し、孔径約10mm、厚さ10mmのダイスから押し出すと同時に切断し、ペレット状成形体[直径約10mm、長さ70mm以下(実質的には5mm以上)]を得た[ペレッター(カッター)のカッター周速は5m/s]。
このペレット状成形体89.8重量部に、粉砕助剤としてのA型ゼオライト6.5重量部を添加し、送風共存下で3段直列に配置されたフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−6型)を用いて粉砕して粉体を得た。粉砕条件は以下の通りとした。得られた粉体の温度は30±10℃であった。
・送風温度:15±3℃。
・送風量(気/固の比率):2.8±0.25m3/kg。
・スクリーン径:1段目6mm、2段目4mm、3段目2mm。
・粉砕機回転数:4700rpm(周速約60m/s)。
・処理速度:230kg/hr。
水平円筒転動ドラム(直径0.70m、長さ1.40m、傾斜角3°、厚さ1mm×高さ50mm×長さ350mmの邪魔板15枚付き)に、処理速度が240kg/hrになるように前記粉砕した粉体96.3重量部およびゼオライト2重量部を投入し、混合すると同時にノニオン界面活性剤0.5重量部を噴霧した。ノニオン界面活性剤は圧力円錐ノズルKシリーズ((株)いけうち製)を用、噴霧圧力0.5〜1.5MPaでの噴霧した。その後色素(20質量%水溶液)0.1重量部、香料0.1重量部を噴霧した後、酵素1重量部を添加して処方例の粒状洗剤組成物を得た。なお、調製した粒状洗剤組成物の水分は、Kett水分計(商品名、(株)ケツト科学研究所製;赤外線水分計、測定条件は130℃、20分)により測定した結果、7質量%であった。
Claims (5)
- (a)アルキルベンゼンスルホン酸/α−スルホ脂肪酸アルキルエステルの質量比が0.05〜0.20となるようにα−スルホ脂肪酸アルキルエステルとアルキルベンゼンスルホン酸を混合して混合物を得る工程であって、前記α−スルホ脂肪酸アルキルエステルは、脂肪酸残基の鎖長が炭素数16及び炭素数18であるものの混合物である、工程、
(b)混合物をアルカリで中和する工程、および
(c)混合物にノニオン界面活性剤を添加する工程、
を含む、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストの製造方法。 - ノニオン界面活性剤/α−スルホ脂肪酸アルキルエステルの質量比が0.20〜0.40となるようにノニオン界面活性剤を添加する、請求項1記載の製造方法。
- α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストの水分量が25〜50質量%である、請求項1または2記載の製造方法。
- (d)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストの水分量を9〜16質量%に濃縮する工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法により製造されたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペースト。
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