次に、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。
なお、添付した全図面の中の記載で、同一又は対応する部材又は部品には、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、特に指定しない限り、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的としない。従って、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定することができる。
また、以下説明する実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1〜図4は、電磁変換装置の一実施形態である発電装置10を示している。
図1は発電装置10の斜視図であり、図2は発電装置10の断面図であり、図3は発電装置の分解斜視図であり、図4は発電装置10のトップカバー22を取り外した状態の斜視図である。
発電装置10は、ケース20、スイッチユニット40、コイルユニット80、磁石ユニット90Aを有している。この発電装置10は、スイッチユニット40のスイッチレバー41を操作することによりコイルユニット80に対して磁石ユニット90を変位させ、コイルを貫く磁束を変化させることにより発電を行う構成とされている。
ケース20は樹脂成型品であり、ケース本体21Aとトップカバー22を有している。このケース本体21Aとトップカバー22との間に形成される空間内に、スイッチユニット40、コイルユニット80、磁石ユニット90Aが装着される。
ケース本体21Aは矩形状を有しており、コイルユニット装着部26A〜26D、磁石ユニット装着部27、立設壁28A,28B、傾斜壁29A,29B、軸受部30A,30B、ばね装着部37A,37Bが形成されている。
コイルユニット装着部26A〜26Dは、コイルユニット80に設けられたコイルコア82A〜82Dが装着される。よってコイルユニット装着部26A〜26Dは、コイルコア82A〜82Dが嵌着されるよう窪んだ形状とれさている。
このコイルユニット装着部26A〜26Dは、ケース本体21Aに対角線上に配置されている。具体的には、矩形状とされたケース本体21Aが有する一対の対角線の内、コイルユニット装着部26Aとコイルユニット装着部26Cは一方の対角線上に位置するよう配置され、コイルユニット装着部26Bとコイルユニット装着部26Dは他方の対角線上に位置するよう配置されている。よってコイルユニット装着部26A〜26Dは、90°間隔で配置された構成とされている。
磁石ユニット装着部27は、磁石ユニット90Aに設けられた磁石93が装着される。磁石ユニット装着部27の形状は磁石93の形状よりも大きく設定されており、よって磁石93は磁石ユニット装着部27の内部で移動可能な構成とされている。
この磁石ユニット装着部27は、ケース本体21Aの中央に形成されている。また本実施形態では、磁石ユニット装着部27はケース本体21Aを貫通する穴として形成されているが、磁石93の移動を確保できれば、有底状の凹部とすることも可能である。
立設壁28A,28B及び傾斜壁29A,29Bは、ケース本体21Aの一辺(Y1方向側の辺)の中央に形成されている。換言すると、立設壁28A,28B及び傾斜壁29A,29Bは、コイルユニット装着部26Cとコイルユニット装着部26Dの間に形成されている。この立設壁28A,28B及び傾斜壁29A,29Bには、スイッチユニット40の係合部68A,68Bが係合する。
立設壁28Aと傾斜壁29Aは一体的に形成されており、立設壁28Bと傾斜壁29Bも一体的に形成されている。立設壁28Aは傾斜壁29Aの上部に設けられ、立設壁28Bは傾斜壁29Bの上部に設けられている。また、立設壁28A及び傾斜壁29Aと、立設壁28B及び傾斜壁29Bは、図中矢印X1,X2方向に離間して配置されている。
軸受部30A,30Bは、ケース本体21Aの立設壁28A,28B及び傾斜壁29A,29Bが形成された辺と対向する一辺(Y2方向側の辺)の中央に形成されている。この軸受部30A,30Bには、スイッチユニット40のスイッチレバー41に形成された軸部50A,50Bが回転可能に係合する。よってスイッチレバー41は、軸受部30A,20Bに軸支されることにより、ケース本体21Aに軸承される。
ばね装着部37A,37Bは、磁石ユニット装着部27を介して対向するよう形成されている。ばね装着部37Aはコイルユニット装着部26Aとコイルユニット装着部26Dの間に形成されており、ばね装着部37Bはコイルユニット装着部26Bとコイルユニット装着部26Cとの間に配設されている。
ばね装着部37A,37Bは、ばね部材92AのV字状ばね部106の形状に対応してV字状に窪んだ形状とされている。更に、ばね装着部37A,37Bの両側部には、ばね部材92Aを固定する固定ネジ112から螺着されるネジ孔32が形成されている。
また、ケース本体21Aの四隅位置にはトップカバー22を固定するネジ35が螺着されるネジ孔31が形成されている。更に、磁石ユニット装着部27及び軸受部30A,30Bの近傍位置には、スイッチユニット40のコイルばね48が取り付けられるボス部36が形成されている。
トップカバー22は、中央にY1,Y2方向に延在するアーム装着空間33が形成されている。またトップカバー22の四隅には、ネジ35を挿通する貫通孔34が形成されている。
トップカバー22は、スイッチユニット40、コイルユニット80、磁石ユニット90Aが装着されたケース本体21Aを覆うように配設され、貫通孔34を介してネジ35をネジ孔31に螺着することによりケース本体21Aに固定される。
トップカバー22がケース本体21Aに固定された状態において、スイッチユニット40のスイッチレバー41はアーム装着空間33からトップカバー22の上方に突出する(図1及び図2参照)。
次に、スイッチユニット40について説明する。
スイッチユニット40は、スイッチレバー41、操作部材42、連結シャフト43、ガイドシャフト44、ローラ46、捩りばね47を有している。このスイッチユニット40は、操作時にスイッチレバー41に印加された操作力(運動エネルギー)を磁石ユニット90Aに伝達する機能を奏するものである。
スイッチレバー41は樹脂成型品であり、押圧部49、軸部50A,50B、軸承部51、掛止部53A,53B等が一体的に形成されている。スイッチレバー41は、平面視で略矩形状とされている。なお、スイッチレバー41の材料は樹脂に限定されるものではなく、金属等の樹脂以外の材料を用いることも可能である。
軸部50A,50B(軸部50Bは図に現れず)は、スイッチレバー41の一端部(矢印Y2方向側の端部)に形成されている。軸部50A,50Bは、スイッチレバー41の側部から外方に向け突出するよう形成されている。
この軸部50A,50Bは、スイッチユニット40がケース本体21Aに装着される際、ケース本体21Aに形成された軸受部30A,30Bに軸支される。軸部50A,50Bが軸受部30A,30Bに軸支されることにより、スイッチユニット40はケース本体21Aに対して図中矢印A1,A2で示す方向に揺動可能となる。
軸承部51は、スイッチレバー41の軸部50A,50Bが形成された側に対して反対側の端部(矢印Y1方向側の端部)に形成されている。軸承部51には貫通孔が形成され、この貫通孔には操作部材42を軸承する連結シャフト43が挿通される。
操作部材42は、樹脂成形されている。なお、操作部材42の材料は樹脂に限定されるものではなく、金属等の樹脂以外の材料を用いることも可能である。
操作部材42は、下部(Z2方向側)に下部二股状部が形成されると共に、上部(Z1方向側)には上部二股状部が形成されている。また各二股状部には、それぞれ図中X1,X2方向に貫通する貫通孔が形成されている。
下部二股状部の内側には、ローラ46が装着される。ローラ46は下部二股状部に装着された後、貫通孔にガイドシャフト44を挿通することにより操作部材42に軸承される。
上部二股状部の内側には、スイッチレバー41の軸承部51が挿入される。上部二股状部に軸承部51を装着すると、連結シャフト43を上部二股状部及び軸承部51の貫通孔に挿通する。これにより、操作部材42はスイッチレバー41に連結され、操作部材42はスイッチレバー41に対して連結シャフト43を中心として図2及び図3に矢印C1,C2で示す方向に回転可能な構成となる。
連結シャフト43がスイッチレバー41及び操作部材42の上部二股状部に装着された状態において、連結シャフト43の両側の挿入部65A,65Bは上部二股状部から外方に突出するよう構成されている。
また、ガイドシャフト44がローラ46及び操作部材42の下部二股状部に装着された状態において、ガイドシャフト44の両側の係合部68A,68Bは下部二股状部から外方に突出するよう構成されている。
トーションばね47は、ばね線材を用いて巻回部73A,73B、連結部75を一体的に形成した構成とされている。トーションばね47は、操作部材42をスイッチレバー41に装着する際、操作部材42と共にスイッチレバー41に装着される。
スイッチレバー41に装着された状態において、トーションばね47の巻回部73A,73Bは連結シャフト43の挿入部65A,65Bに装着される。また端部74A,74Bはスイッチレバー41の掛止部53A,53Bに掛止され、連結部75は操作部材42の外面に係合する(端部74B及び掛止部53Bは図に現れず)。
トーションばね47がスイッチレバー41と操作部材42の間に配設されることにより、トーションばね47は操作部材42を内側(図中、矢印B2方向)に向けて弾性付勢する。しかしながら操作部材42には図に現れない突起が設けられており、この突起がスイッチレバー41に当接することにより、操作部材42は図3に示す位置(スイッチレバー41に対して略直角下方に延出した位置)より更にB2方向に回転することが規制されている。
上記構成とされたスイッチユニット40は、スイッチレバー41の軸部50A,50Bがケース本体21Aの軸受部30A,30Bに取り付けられることによりケース本体21Aに装着される。スイッチユニット40がケース本体21Aに装着される際、スイッチレバー41の下面とケース本体21Aの間にはコイルばね48が介装される。コイルばね48は、スイッチレバー41を軸部50A,50Bを中心としてケース本体21Aの底面に対し離間する方向に弾性付勢する。
次に、コイルユニット80について説明する。
コイルユニット80は、コイル81A〜81D及びコイルコア82を有している。コイル81A〜81Dは、絶縁材でコーティングしたコイル線を樹脂製ホルダに多数巻回した構成とされている。各コイル81A〜81Dの下部には端子83が設けられており、巻回されたコイル線の端部は端子83にはんだ付け接続される。
コイルコア82は珪素鋼板を複数の積層した積層コアであり、コイルコア82A〜82Dと枠体82Eを有している。コイルコア82A〜82Dは、矩形状の枠体82Eの四隅位置から内側に向けて延出するよう形成されている。
具体的には、矩形状とされた枠体82Eが有する一対の対角線の内、コイルコア82Aとコイルコア82Cは一方の対角線上に位置するよう配置され、コイルコア82Bとコイルコア82Dは他方の対角線上に位置するよう配置されている。よってコイルコア82A~コイルコア82Dは、90°間隔で配置された構成とされている。
コイル81A〜81Dは、コイルコア82A〜コイルコア82Dに夫々装着される。よって、コイル81Aとコイルコア82Cも枠体82Eの対角線の内、一方の対角線上に位置する。またコイル81Bとコイルコア82Dは、枠体82Eの対角線の内、他方の対角線上に位置する。よって、コイル81A〜81Dも45°間隔で配置された構成とされている。更に、枠体82Eの大きさは、ケース20の外形に対応した形状とされている。
コイルユニット80は、ケース本体21A上に搭載された後、トップカバー22をネジ35でケース本体21Aに固定することにより、枠体82Eがケース本体21Aとトップカバー22との間に挟まれた状態で固定される。なお、枠体82Eの四隅位置の外側には、ネジ35が挿通される挿通溝82Fが形成されている。
コイルユニット80がケース20に固定された状態(以下の説明でコイル固定状態ということがある)において、コイル81A〜81D及びコイルコア82は、後述する磁石ユニット90Aの磁石93と共に磁気回路を構成する。またコイル固定状態において、コイル81A〜81Dはケース本体21Aに形成されたコイルユニット装着部26A~26Dの内部に嵌着される。このコイル固定状態において、各コイルコア82A〜82Dの内側端部は、後述する磁石ユニット90と対向した状態となる。
次に、磁石ユニット90Aについて説明する。
図5及び図6は、磁石ユニット90Aを示している。磁石ユニット90Aは、ヨーク91、ばね部材92A、磁石93、可動部材94Aを有している。この磁石ユニット90Aは、スイッチユニット40と磁石ユニット90Aがケース本体21Aに取り付けられた状態において、スイッチユニット40の配設位置の下部に配設される。
ヨーク91は、上部ヨーク91Aと下部ヨーク91Bとにより構成されている。上部ヨーク91A及び下部ヨーク91Bはいずれも磁性体金属よりなり、円盤状の形状とされている。
上部ヨーク91Aの中央位置には、固定ネジ108が挿通される貫通孔109が形成されている。また、貫通孔109を中央に挟んだ両側位置にはV字状突起部114が形成されている。V字状突起部114の形状は、後述するばね部材92AのV字状ばね部106の形状に対応した形状とされている。更に、上部ヨーク91Aの中央位置には、固定ネジ108が螺着されるネジ孔116が形成されている。
磁石93は、単磁極の円板状の磁石である。この磁石93は、例えば図中上方(Z1方向側)の磁極がN極であり、下方(Z2方向)の磁極がS極に着磁されている。また、磁石93の中央位置には、固定ネジ108が挿通される貫通孔115が形成されている。
ばね部材92Aは、ばね性を有する金属板を一体的にプレス成型したものであり、ベース部105、V字状ばね部106、ホルダ部107を有している。ばね部材92Aには、ヨーク91、磁石93、可動部材94Aが取り付けられる。またばね部材92Aは、ヨーク91、磁石93、可動部材94Aが取り付けられた状態でケース本体21Aに固定される。ばね部材92Aがケース本体21Aに固定されることにより、ヨーク91、磁石93、可動部材94Aはケース本体21に対して弾性的に支持される。
ベース部105は、ケース本体21Aに固定される部位である。ベース部105は、V字状ばね部106の両端部から側方(V字状ばね部106の延出方向に対して直交する方向)に延出するよう形成されている。
4個形成された各ベース部105には、それぞれ固定ネジ112が挿通される貫通孔111が形成されている。この貫通孔111の形成位置は、ケース本体21Aのネジ孔32の形成位置と対応するよう設定されている。
V字状ばね部106は、側面視(図3におけるX1方向又はX2方向から見た状態)でV字形状とされている。このV字状ばね部106は、ホルダ部107を挟んで一対設けられている。この一対のV字状ばね部106は、直線状に配置されている。後述するようにスイッチレバー41が操作された際に磁石93が変位する際、V字状ばね部106が弾性変形すること(撓むこと)により、磁石93はコイル81A〜81Dに対して変位する。
ホルダ部107は、可動部材94Aと上部ヨーク91Aとの間に挟持される部位である。ホルダ部107は環状形状とされており、よって中央には開口部110が形成されている。この開口部110の大きさは、内部に磁石93を挿入可能な大きさとされている。
可動部材94Aは樹脂により一体成形されており、本体部98、V字状凹部100、磁石装着部101、ホルダ部装着部102、開口部110を有している。
本体部98は、中央に磁石装着部101が形成されることにより環状形状を有している。V字状凹部100は、本体部98の上面に180°離間して形成されている。このV字状凹部100は、ばね部材92AのV字状ばね部106に対応した形状を有している。またホルダ部装着部102は、本体部98の上面においてV字状凹部100の形成位置を除き形成されている。ホルダ部装着部102は、ばね部材92Aのホルダ部107に対応した形状を有している。
フック部103は、本体部98の所定位置から外方に延出するよう形成されている。フック部103は、スイッチユニット40及び磁石ユニット90Aをケース20に装着した際、スイッチユニット40の操作部材42(具体的には、ローラ46)と係合するよう構成されている。
磁石ユニット90Aを組み立てるには、先ず下部ヨーク91Bの上部に可動部材94Aを載置すると共に、可動部材94Aの上部にばね部材92Aを載置する。この際、V字状ばね部106がV字状凹部100と係合し、ホルダ部107がホルダ部装着部102と係合するようにする。
次に、磁石装着部101及び開口部110の内部に磁石93を挿入すると共に、その上部を覆うように上部ヨーク91Aを配設する。この際、上部ヨーク91Aに異形成されたV字状突起部114がV字状ばね部106と係合するようにする
次に、固定ネジ108を貫通孔109,115、開口部110、磁石装着部101に挿通し、下部ヨーク91Bに形成されたネジ孔116に螺着する。これにより、図5に示すように上部ヨーク91A、磁石93、ばね部材92A、可動部材94A、及び下部ヨーク91Bは、一体化した構成となる。
一体化した状態において、V字状ばね部106はV字状突起部114とV字状凹部100との間で挟持され、ホルダ部107はホルダ部装着部102と上部ヨーク91Aの間で挟持される。よってヨーク91、磁石93、及び可動部材94Aは、ばね部材92Aに対して強固に固定される。このため、後述するようにスイッチユニット40によりフック部103が操作され、これに伴い可動部材94Aが変位した場合、この変位は確実にばね部材92Aに伝達される。
上記のよう組み立てられた磁石ユニット90Aは、ケース本体21Aに固定される。磁石ユニット90Aをケース本体21Aに固定するには、V字状ばね部106をばね装着部37Aの上部載置すると共に、ベース部105に形成された貫通孔111とケース本体21Aに形成されたネジ孔32を位置決めする。そして、固定ネジ112を貫通孔111に挿通しネジ孔32に螺着することにより、磁石ユニット90Aはケース本体21Aに固定される。
ここで、磁石ユニット90Aがケース本体21Aに固定された状態におけるばね部材92Aの弾性変形する方向について説明する。
ばね部材92Aのベース部105はケース本体21Aに固定される部位であり、ホルダ部107はヨーク91,磁石93,可動部材94Aが取り付けられる部位である。よって、上部ヨーク91Aの弾性変形は、主にV字状ばね部106において発生する。
V字状ばね部106は、ばね部材92Aの延在方向に、換言するとばね部材92Aの長手方向(X1,X2方向)に延在している。
いま、磁石ユニット90Aの中心位置(図5に矢印Oで示す)を通るばね部材92Aの延在方向に延在する軸を軸MXとする。また、ヨーク91及び磁石93の面方向で、軸MXと磁石ユニット90Aの中心位置Oで直交する方向に延在する軸を軸MYとする。更に、磁石ユニット90Aの中心位置Oで、軸MX及び軸MYと共に直交する軸をMZとする。
断面がV字形状を有したV字状ばね部106は、軸MZを中心とした回転方向の剛性及び軸MYを中心とした回転方向の剛性は高く弾性変形しにくい構造となっている。これに対し、V字状ばね部106の軸MXを中心とした回転方向の剛性は、他の軸回りの剛性に比べて低くなっている。
よってV字状ばね部106を有したばね部材92Aを用いることにより、取り付けらけれたヨーク91及び磁石93は軸MXを中心とした回転方向にのみ移動させることが可能となる。換言すると、ヨーク91と磁石93は、ばね部材92Aの延在方向の軸回りに対してのみ回動可能な構成となる。これにより、ヨーク91及び磁石93の不要な移動を規制することが可能になり、発電を行う際の発電効率を高めることが可能になる。
またこの際、V字状ばね部106のV字部分の角度(図5に矢印θで示す角度。以下、V字角度ということがある。)は、90°以上120°以下の角度であることが望ましい。
これは、V字角度が90°未満であるとV字状ばね部106は重なる状態に近づき、ばね部材92Aの軸MZを中心とした回転方向に対する剛性が漸次小さくなる。またV字角度が120°を超える角度にすると、V字状ばね部106は平板状態に近づき、ばね部材92Aの軸MYを中心とした回転方向に対する剛性が漸次小さくなる。
このように、V字角度が90°未満又は120°を超える場合は、ヨーク91及び磁石93を移動させたい方向以外の方向に対する剛性を十分に高めることができない。このため、ヨーク91が発電に寄与しない方向へ移動するおそれが生じ、発電効率が低下するおそれがある。従って、V字角度は90°以上120°以下の角度であることが望ましい。
また、V字角度が小さくなるにつれて、V字状ばね部106の高さ寸法(Z1,Z2方向の寸法)は大きくなる。この場合、上部ヨーク91Aに形成されるV字状突起部114の深さ、及び可動部材94Aに形成されるV字状凹部100の深さも大きくなり、磁石ユニット90Aが大型化してしまう。よって、磁石ユニット90Aの薄型化を図る面からも、V字角度は120°以下であることが望ましい。
一方、可動部材94Aに形成されたフック部103は、ヨーク91及び磁石93の面方向で軸MXと直交する軸MYの軸方向に延出している(図5参照)。よって、フック部103がスイッチユニット40により図5に矢印Fで示す方向に押圧操作された場合、ばね部材92Aには軸MXを中心とした回転力が付与される。このためV字状ばね部106は弾性変形し、このV字状ばね部106の弾性変形によりヨーク91及び磁石93は、押圧操作前の水平状態から軸MXを中心として回転する。
なお、押圧操作を解除した場合、ヨーク91及び磁石93はV字状ばね部106の弾性復元力により操作前の水平状態に戻る。
次に、発電装置10の発電動作について説明する。
図4、図7、及び図8は、発電装置10の発電動作を説明するための図である。図4は、ケース本体21Aに対してスイッチユニット40、コイルユニット80、磁石ユニット90Aが固定された状態をす斜視図である。図7は発電装置10の断面図であり、図8はヨーク91とコイルコア82との磁気的な接続状態を示す要部構成図である。
図4、図7(A)、及び図8(A)は、スイッチレバー41が操作されていない状態を示している(以下、この状態を操作前状態ということがある)。
操作前状態では、スイッチユニット40の係合部68A,68Bは立設壁28A,28Bと係合している。また操作部材42に設けられたローラ46は、磁石ユニット90Aのフック部103と係合している。
しかしながら、ローラ46はフック部103を押圧操作しておらず、V字状ばね部106は弾性変形していない。よって、磁石ユニット90Aに設けられたヨーク91及び磁石93は水平状態を維持している。
ヨーク91及び磁石93が水平状態を維持する操作前状態では、コイルユニット80のコイルコア82A〜82Dは、磁石ユニット90Aの上部ヨーク91Aと下部ヨーク91Bの間に位置している。よって、上部ヨーク91A及び下部ヨーク91Bとコイルコア82A〜82Dは磁気的に接続されてない状態となっている。
図7(B)及び図8(B)は、発電装置10の操作者が、スイッチレバー41の押圧操作を開始した状態を示している(以下、この状態を操作開始状態ということがある)。
スイッチレバー41が押圧操作されると、スイッチレバー41は軸部50Aを中心に矢印A1方向に揺動し、これに伴い操作部材42に配設されたローラ46はフック部103を押圧操作する。
フック部103が押圧操作されることにより、可動部材94Aを介してV字状ばね部106には、ばね部材92Aの延在方向の軸(図5に示す軸MX)を中心とした回転力が印加される。前記のように、V字状ばね部106は軸MXを中心とした回転方向に対しては弾性変形が可能な構成とされている。
よってフック部103が押圧操作されることにより、ヨーク91及び磁石93は軸MXを中心として矢印B1方向に回転する。この際、V字状ばね部106は弾性変形するため、V字状ばね部106は弾性力を蓄成する。
また、スイッチレバー41の押圧操作が開始された直後の状態では、操作部材42に設けられたガイドシャフト44の係合部68A,68Bは、ケース本体21Aに形成された立設壁28A,28Bと係合した状態となっている。
立設壁28A,28Bは、ケース本体21Aの底面に対して直角方向に延出している。また、傾斜壁29A,29Bは、手前方向(X1方向)に行くに従い漸次幅が広がる傾斜を有している。更に、係合部68Aは立設壁28A及び傾斜壁29Aと係合し、係合部68Bは立設壁28B及び傾斜壁29Bと係合する。
立設壁28Aと傾斜壁29A、及び立設壁28Bと傾斜壁29Bは、連続的に接続された構成とされている。よって、係合部68Aは立設壁28Aと傾斜壁29Aとの間で自在に移動が可能であり、係合部68Bは立設壁28Bと傾斜壁29Bとの間で自在に移動が可能である。
一方、操作部材42は、トーションばね47により矢印C1方向に付勢されている。このトーションばね47の弾性力により、係合部68A,68Bは立設壁28A,28B及び傾斜壁29A,29Bに押し付けられるよって、係合部68A,68Bは、立設壁28A,28B及び傾斜壁29A,29Bに確実に案内されて移動する。
係合部68A,68Bが立設壁28A,28Bと係合した状態では、操作部材42は略鉛直下方に延出した状態となっている。よって、係合部68A,68Bが立設壁28A,28B上を移動する場合、操作部材42がC1,C2方向に回転するようなことはない。
また操作開始状態では、ヨーク91及び磁石93は軸MXを中心として矢印B1方向に回転するため、図8(B)に示すように、磁石93のN極側に配設された上部ヨーク91Aはコイル81C,81Dのコイルコア82C,82Dと対向し、また磁石93のS極側に配設された下部ヨーク91Bはコイル81A,81Bのコイルコア82A,82Bと対向する。
よって、上部ヨーク91Aはコイルコア82C,82Dと磁気的に結合され、また下部ヨーク91Bはコイルコア82A,82Bと磁気的に結合される。これにより、コイルユニット80と磁石ユニット90Aは、(磁石93のN極)→(上部ヨーク91A)→(コイルコア82C,82D)→(枠体82E)→(コイル81A,81B)→(下部ヨーク91B)→(磁石93のS極)の順に磁束が流れる磁路を形成する。なお、磁束の流れる方向を図8に太線の矢印で示す。
図7(C)及び図8(C)は、操作開始状態より更にスイッチレバー41を押圧操作した状態を示している(以下、この状態を操作状態ということがある)。
スイッチレバー41が操作開始状態よりも更に押圧操作されると、操作部材42も下方向(Z2方向)に移動する。操作部材42が下方向に移動することにより、係合部68A,68Bは立設壁28A,28Bから離脱し、続いて傾斜壁29A,29Bと係合する。
傾斜壁29A,29Bは、下方に向かうに連れて漸次幅が広がる傾斜面とされている。よって、係合部68A,68Bが傾斜壁29A,29Bと係合した後に、更に操作部材42が下方向に移動することにより、係合部68A,68Bは傾斜壁29A,29Bに案内されて外側(X1方向側)に向けて移動付勢される。
操作部材42は、連結シャフト43によりスイッチレバー41に回転可能に軸承されている。このため、係合部68A,68B(ガイドシャフト44)が外側(X1方向)に移動付勢されることにより、操作部材42は連結シャフト43を中心にフック部103から離間する方向(矢印C2方向)に回転する。
前記のように操作部材42の下部にはローラ46が設けられており、操作前状態及び操作開始状態においては、ローラ46はV字状ばね部106に係合している。しかしながら、連結シャフト43がC2方向に回転することにより、ローラ46もV字状ばね部106から離脱する方向に移動する。図7(C)は、ローラ46がフック部103から離脱する直前の状態を示している。
また操作状態においても、図8(C)に示すように、上部ヨーク91Aはコイルコア82C,82Dと磁気的に結合され、また下部ヨーク91Bはコイルコア82A,82Bと磁気的に結合された状態とされている。よって操作状態においても、コイルユニット80と磁石ユニット90Aは、(磁石93のN極)→(上部ヨーク91A)→(コイルコア82C,82D)→(枠体82E)→(コイル81A,81B)→(下部ヨーク91B)→(磁石93のS極)の順に磁束が流れる磁路を形成している。
図7(D)及び図8(D)は、操作状態より更にスイッチレバー41を押圧操作した状態を示している(以下、この状態を発電状態ということがある)。
操作状態より更にスイッチレバー41が押圧操作されると、操作部材42は更にC2方向に回動し、ローラ46はフック部103から離脱する。ローラ46がフック部103から離脱することにより、ヨーク91及び磁石93はV字状ばね部106に蓄成されていた弾性力によりB2方向に瞬時に回転する。
ヨーク91及び磁石93がB2方向に回転することにより、ヨーク91及び磁石93は再び操作前状態に戻る。しかしながら、ヨーク91及び磁石93は直ちに操作前状態の位置で停止することはなく、図7(D)に示すように慣性力により操作前状態を過ぎた位置まで回転する(以下、この状態を過移動状態という)。
この過移動状態では、図8(D)に示すように、ヨーク91及び磁石93は軸MXを中心として矢印B2方向に回転するため、図8(B)に示すように、磁石93のN極側に配設された上部ヨーク91Aはコイル81A,81Bのコイルコア82A,82Bと対向し、また磁石93のS極側に配設された下部ヨーク91Bはコイル81C,81Dのコイルコア82C,82Dと対向する。
よって、上部ヨーク91Aはコイルコア82A,82Bと磁気的に結合され、また下部ヨーク91Bはコイルコア82C,82Dと磁気的に結合される。これにより、コイルユニット80と磁石ユニット90Aは、(磁石93のN極)→(上部ヨーク91A)→(コイルコア82A,82B)→(枠体82E)→(コイル81C,81D)→(下部ヨーク91B)→(磁石93のS極)の順に磁束が流れる磁路を形成する。
図8(D)に示す過移動状態における磁束の流れ方向は、図8(C)に示す操作状態における磁束の流れ方向に対し逆方向となっている。
この磁束の反転は、ローラ46がフック部103から離脱した際、V字状ばね部106に蓄成された弾性力によりヨーク91及び磁石93が操作状態位置から過移動状態位置に瞬時に移動することにより発生する。よってコイルコア82には大きな磁束変化が瞬時に発生し、コイルコア82A〜82Dに装着されたコイル81A〜81Dに大きな誘導起電力が発生する(発電が行われる)。
ここで、「ヨーク91及び磁石93の瞬時の移動」とは、コイル81A〜81Dに誘導起電力が発生する速度でヨーク91及び磁石93が移動することをいうものとする。
上記のように過移動状態まで移動したヨーク91は、V字状ばね部106の弾性力により振動を繰り返した後に操作前状態(水平状態)に戻る。
なお、本実施形態に係る発電装置10は、発電時に可動するヨーク91、磁石93、可動部材94A(以下の説明では、これらを総称して可動体ということがある)の慣性モーメントをJとし、V字状ばね部106の軸MXを中心軸とした捩り方向のばね定数をKSP
とした場合、可動体は下式(1)によって算出される共振周波数Frで振動する。
また本実施形態に係る発電装置10は、下式(2)ど示す運動方程式、及び下式(3)で示す回路方程式に基づいて駆動する。
即ち、発電装置10における慣性モーメント、角度、初期角度、トルク定数、電流、バネ定数、減衰係数等は、式(2)を満たす範囲内で適宜変更でき、逆起電力定数、抵抗、インダクタンスは、式(3)を満たす範囲内で適宜変更できる。
上記した本実施形態に係る発電装置10は、ヨーク91、磁石93、及び可動部材94A(可動体)を、V字状ばね部106を有するばね部材92Aで支持している。前記のようにV字状ばね部106は、軸MZを中心とした回転方向の剛性及び軸MYを中心とした回転方向の剛性は高く、軸MXを中心とした回転方向の剛性は他の軸回りの剛性に比べて低い特性を有している。
よってばね部材92Aを用いることにより、ヨーク91及び磁石93はばね部材92Aの延在方向に延在する軸回り(軸MX回り)の回転のみが許容される。これにより、ヨーク91及び磁石93の不要な移動(軸MY,軸MZを中心とした回転)が規制され、発電効率を高めることができる。
また、ばね部材92Aは両端部にベース部105を有し、このベース部105はケース本体21Aに固定ネジ112を用いて固定される。このように、ばね部材92Aを両端で固定することにより、ヨーク91及び磁石93が回転動作を行う際の回転中心の精度を高めることができる。
また、ばね部材92Aの両端部を固定する構造とすることにより、片側固定する構造に比べ、V字状ばね部106として弱いバネを使用してもヨーク91、磁石93、及び可動部材94A等の可動体の支持が可能となり、またばね剛性を高めやいためばね部材92A(V字状ばね部106)の小型化を図ることもできる。
更に、ばね部材92Aを用いることにより、ヨーク91、磁石93、及び可動部材94A等の可動体を支持するのに、軸や軸受等から構成される支軸機構が不要になる。このため、支軸機構を用いた場合に比べて部品点数及びコストの削減を図れると共に、組み立て性を向上することができる。また、ばね部材92Aは軸摺動部がないため摩擦の発生はなくなり信頼性を高めることができると共に騒音の発生を抑制することができる。
次に、図9〜図11を用いて、上記した発電装置10の変形例について説明する。
図9は変形例に係る発電装置のトップカバー22を取り外した状態を示す斜視図であり、図10は変形例に係る発電装置の磁石ユニット90Bを拡大して示す斜視図であり、図11は磁石ユニット90Bのばね部材92Bを拡大して示す平面図である。なお、図9〜図11において、図1〜図8に示した発電装置10の構成と対応する構成については同一符号を付してその説明を省略する。
図1〜図8に示した発電装置10では、ばね性を有する金属板を一体的にプレス成型することにより磁石ユニット90Aを形成した。これに対して本変形例では、ばね部材92Bをばね部半体124Aとばね部半体124Bの二つの部材により構成したことを特徴としている。
ばね部半体124A,124Bは、先に説明したばね部材92Aに形成されたV字状ばね部106のV字状部分の下端部(頂角部分)を長手方向に切断した形状とされている。
ばね部半体124A,124Bは、ベース部125A,125B、V字状部126A,126B、ホルダ部127A,127Bを有している。
ベース部125A,125Bは、貫通孔128A,128Bが形成されている。このベース部125A,125Bは、図9に示されるように、固定ネジ112を貫通孔128A,128Bに挿通しネジ孔32(図3参照)に螺着することによりケース本体21Aに固定される。よって、ベース部125A,125Bもケース本体21Aに対して両端が固定された構造となる。
V字状部126A,126Bは、ベース部125A,125Bとホルダ部127A,127Bとの間に形成されている。ベース部125A,125B及びホルダ部127A,127Bはケース本体21Aの底面に対して略並行に延在するのに対し、V字状部126A,126Bはケース本体21Aの底面に対して傾いている。
また、ばね部半体124A,124Bをケース本体21Aに固定した状態で、V字状部126AとV字状部126Bは、側面視(図10におけるX1方向又はX2方向から見た状態)でV字形状とされている。しかしながら、ばね部半体124Aとばね部半体124Bは別個の部材であるため、V字の頂角部分には間隙部129が形成されている。なお、V字状部126AとV字状部126BのV字部分のV字角度(図10に矢印θで示す角度)は、90°以上120°以下の角度であることが望ましい。
ホルダ部127A,127Bは、ばね部半体124A,124Bをケース本体21Aに固定した状態で環状形状を呈する。このホルダ部127A,127Bには、ヨーク91、磁石93、及び可動部材94Aが取り付けられる。
本変形例で用いる磁石ユニット90Bは、ばね部半体124Aとばね部半体124Bが別個の構成とされているが、V字状部126A,126Bはベース部125A,125Bの延在方向(ケース本体21の底面の面方向)に対して傾いた構成となっており、ばね部材92Bがケース本体21Aに固定された状態においてV字状となる。
このため、磁石ユニット90Bは、軸MXを中心とした回転方向にのみヨーク91及び磁石93を移動させることが可能となる。よって本変形例においても、ヨーク91及び磁石93の不要な移動を規制することが可能になり、発電を行う際の発電効率を高めることが可能になる。
また本変形例のように、ばね部材92Bをばね部半体124Aとばね部半体124Bの二つの部材としたことにより、ばね部材92Aと異なりV字状ばね部106のV字部分における加工精度(角度)の影響がなくなるため、ばね部半体124A,124Bの製造性を高めることができる。
次に、本発明の第2実施形態である発電装置200について説明する。
図12及び図13は、第2実施形態である発電装置200を説明するための図である。図12は発電装置200の斜視図であり、図13はトップカバー222を取り外した発電装置200を示している。
発電装置200は、前記した第1実施形態に係る発電装置10と同様にケース220、スイッチユニット240、コイルユニット280、磁石ユニット290を有している。この発電装置200も、スイッチユニット240のスイッチレバー241を操作することによりコイルユニット280に対して磁石ユニット290を変位させ、コイルを貫く磁束を変化させることにより発電を行う構成とされている。
ケース220は、ケース本体221とトップカバー222を有している。また、トップカバー222はトップカバー半体222A,222Bとにより構成されている。トップカバー半体222Aとトップカバー半体222Bの間には空間部が形成されており、スイッチユニット240のスイッチレバー241はこの空間部内に配設される(図1参照)。
スイッチユニット240は、第1実施形態のスイッチユニット40と同様に、スイッチレバー241、操作部材、ローラ、トーションばね、連結シャフト、ガイドシャフト等を有している(スイッチレバー241を除き図に現れず)。
操作部材に設けられたローラは、スイッチレバー241が押圧操作されることにより、磁石ユニット290のフック部203を押圧操作する。そして、スイッチレバー241が所定位置まで押されると、第1実施形態におけるスイッチユニット40と同様に、操作部材が回転してローラがフック部203から離脱するよう構成されている。
コイルユニット280は、図13に示すように、コイル281A,281B、コイルコア282A,282B、及び磁石ユニット290を有している。
コイル281A,281Bは、絶縁材でコーティングした銅線を樹脂製ホルダに多数巻回した構成とされている。また、コイルコア282A,282Bは磁性体金属板よりなり、平面視した状態で楕円形の一部を切り欠いた形状(略Ω形状)とされている。
コイル281A,281B及びコイルコア282A,282Bは、ケース本体21に装着される。装着状態において、コイルコア282A,282B及びコイルコア282A,282Bは、後述する磁石ユニット90と対向した状態となる。よって、コイルコア282A,282B及びコイルコア282A,282Bは、磁石ユニット90を挟んで配設された構成となる。
なお以下の説明において、コイルコア282Aにおいて、磁石ユニット90(磁石装着部201)と対向する部分を対向部282A−1,282A−2ということがある。また、コイルユニット280Bのコイルコア282Bにおいて、磁石ユニット90(磁石装着部202)と対向する部分を対向部282B−1,282B−2ということがある。
次に、磁石ユニット290について説明する。
磁石ユニット290は、図13に示すように、ヨーク291、ばね部材292、磁石ペア294〜297を有している。
磁石ユニット290は、ケース本体21の略中央位置に配設されている。また磁石ユニット290は、スイッチユニット40の下部に配設される。
ヨーク291は、磁性体金属よりなる略角柱状の部材である。このヨーク291は、中央にばね固定部299が形成されている。また、ばね固定部299の両側に磁石装着部201,202が形成されている。更にばね固定部299は、ばね部材292の形状に対応した形状のV字状凹部205が形成されている。
磁石装着部201,202は、ばね固定部299から両側に延出するよう形成されている。この磁石装着部201,202には、磁石ペア294〜297が固定されている。
また、磁石装着部201の手前方向の端部には、フック部203が形成されている。このフック部203は、スイッチユニット240のローラ(図に現れず)が係合する。
ばね部材292は、ばね板材をプレス加工により一体的に成形したものである。ばね部材292は、第1実施形態のV字状ばね部106と同様にV字形状とされている。本実施形態では、V字状の頂部が上側に位置するよう配置されている。
ばね部材292の両端部は、図示しない固定ネジによりケース本体221に固定される。また前記したヨーク291のばね固定部299は、ばね部材292の中央位置に固定される。ヨーク291がばね部材292に固定された状態において、ヨーク291の長手方向と、V字状ばね部106の延在方向は直交した状態となる。
このように本実施形態では、ヨーク291がV字形状を有したばね部材292に支持される。ばね部材292の図13に軸MXを中心とした回転方向の剛性は、他の軸回りの剛性に比べて低くなっている。よって、ヨーク291は軸MXを中心とした方向にのみ移動する。よって、本実施形態においても、ヨーク291及び磁石ペア294〜297の不要な移動を規制することが可能になる。
磁石ペア294〜297は、各々極性の異なる磁石MGNと磁石MGSの対により構成されている。各磁石ペア294〜297は、上方向側に磁石MGNが、下方側に磁石MGSが並んで配設されている。
磁石ペア294と磁石ペア296は磁石装着部201に固定されており、磁石ペア295と磁石ペア297は磁石装着部202に固定されている。また磁石ペア294と磁石ペア296は磁石装着部201を中央に挟んで背中合わせに配置されており、磁石ペア295と磁石ペア297も磁石装着部202を挟んで背中合わせに配置されている。
次に、本実施形態に係る発電装置200の動作ついて説明する。
図14及び図15は、発電装置200の動作を説明するための図である。図14(A)〜図14(C)は図示及び説明の便宜上、コイルユニット280を拡大して示す斜視図である。また図15(A)〜図15(C)は、コイルコア282A,282Bと磁石MGN,MGSとの位置関係を示す概略構成図である。
なお実際には、対向部282A−1と対向部282B−1、及び対向部282A−2と対向部282B−2は磁石ユニット90Aの両側面に配設される。しかしながら、対向部282A−1,282B−1のケース本体221に対する高さ一は常に同一であり、また対向部282A−2,282B−2のケース本体221に対する高さ一も常に同一である。このため、図15においては、対向部282A−1と対向部282B−1、及び対向部282A−2と対向部282B−2を重ねて記載している。更に、磁石ペア294と磁石ペア296、及び磁石ペア295と磁石ペア297についても、同様の理由から図15では重ねて記載している。
図14(A)及び図15(A)は、コイルユニット280の操作前状態(スイッチレバー41が押圧操作されていない状態)を示している。操作前状態では、ヨーク91は水平状態となっており、またばね部材292は弾性力を蓄成していない状態である。
また操作前状態では、コイルコア282A,282Bの対向部282A−1,282B−1は、磁石ペア294,296の磁石MGNと磁石MGSとの境界位置と対向するよう構成されている。同様に、コイルコア282A,282Bの対向部282A−2,282B−2は、磁石ペア295,297の磁石MGNと磁石MGSとの境界位置と対向するよう構成されている。
なお磁石MGNは、各対向部282A−1,282A−2,282B−1,282B−2と対向する側の極性が正極(N極)である磁石である。また磁石MGSは、対向部282A−1,282A−2,282B−1,282B−2と対向する側の極性が負極(S極)である磁石である。
図14(B)及び図15(B)は、スイッチレバー41が押圧操作された操作状態のコイルユニット280を示している。操作状態では、スイッチレバー241が押圧操作されることにより、スイッチユニット240はフック部103を押圧する。これにより、ヨーク291は、ばね部材292の弾性力に抗して矢印B1方向に移動する。
ヨーク291がB1方向に回転することにより、ヨーク291に固定されている磁石ペア294,296,295,297も移動する。また、ヨーク291がB1方向に回転することによりV字状のばね部材292は弾性変形し、よってばね部材292には弾性力が蓄成される。
この操作状態では、図15(B)に示すように、磁石ペア294,296の磁石MGNは対向部282A−1,282B−1と対向する。また磁石ペア295,297の磁石MGSは、対向部282A−2,282B−2と対向する。
対向部282A−1,282B−1に磁気的に結合される磁石MGNと、対向部282A−2,282B−2に磁気的に結合される磁石MGSは逆磁極である。このため、コイルコア282A,282Bには対向部282A−1,282B−1から対向部282A−2,282B−2に向かう磁束の流れが発生する(各磁束の流れを、図14(B)に太字の矢印で示す)。
操作状態から更にスイッチレバー41が押圧操作されると、スイッチユニット240の操作部材に設けられていたローラはフック部203から離脱する。これにより、スイッチユニット40によるヨーク291の押圧は解除され、ヨーク291はばね部材292に蓄成されていた弾性力により矢印C2方向に瞬時に回転して過移動状態となる。図14(C)及び図15(C)は,過移動状態のコイルユニット280を示している。
この過移動状態では、磁石ペア294,296の磁石MGSは対向部282A−1,282B−1と対向する。また磁石ペア295,297の磁石MGNは対向部282A−2,282B−2と対向する。
対向部282A−1,282B−1に磁気的に結合される磁石MGSと、対向部282A−2,282B−2に磁気的に結合される磁石MGNは逆磁極である。このため、コイルコア282A,282Bには対向部282A−2,282B−2から対向部282A−1,282B−1に向かう磁束の流れが発生する(各磁束の流れを、図14(C)に太字の矢印で示す)。
このように本実施形態に係る発電装置200は、操作状態においてコイルコア282A,282Bに流れる磁束の方向と、過移動状態においてコイルコア282A,282Bに流れる磁束の方向は逆方向となるよう構成されている。また発電装置200が操作状態から過移動状態となる際、ヨーク291はばね部材292の弾性力により操作状態の位置から過移動状態の位置までC2方向に瞬時に移動する。
これにより、コイルコア282A,282Bを流れる磁束は瞬時に逆転する。よってコイルコア282A,282Bには大きな磁束変化が瞬時に発生し、コイルコア282A,282Bに装着されたコイル81A(81B)に大きな誘導起電力が発生する。
本実施形態の発電装置200もばね部材292がV字状とされているため、ヨーク291及び磁石ペア294〜297の不要な移動を規制することが可能になり、発電を行う際の発電効率を高めることが可能になる。またばね部材292は両端部がケース本体221に固定されているため、ヨーク91及び磁石ペア294〜297の回転動作を行う際の回転中心の精度を高めることができる。
また本実施形態では、磁石ペア294と磁石ペア296及び磁石ペア295と磁石ペア297が、ヨーク291(磁石装着部201,202)を挟んで配設されることにより、磁石ペア297の表裏に夫々同様の構成の磁気回路が配置されるため、発電量を倍増させることが可能となる。
なお、本実施形態では磁石ペア294と磁石ペア296の磁極の向き、及び磁石ペア295と磁石ペア297の磁極の向きを同一方向とした例を示したが、これを逆方向とすることも可能である。この構成した場合、磁石ペア294と磁石ペア296との間、及び磁石ペア295と磁石ペア297との間で磁束が相殺されることを防止できる。
また、本実施形態では合計8個の磁石MGN,MGSを用いた例を示したが、磁石の配設数は特に限定されるものではなく、例えばヨーク291の上側に配置された磁石を一体化することも可能である。
更に、本実施形態では磁石MGN,MGSをヨーク291の上下に夫々1個、合計2個配置したが、2極着磁された磁石を用いることにより、本実施形態では2個配置されていた磁石を一体化して1個の磁石とすることも可能である。
次に、本発明の第3実施形態であるポンプ300について説明する。
本実施形態は、本発明に係る電磁変換装置をアクチュエータ400として用い、これをポンプ300の駆動源として用いたものである。
図16〜図19は、ポンプ300を説明するための図である。図16はポンプ300の断面図であり、図17はポンプ300に設けられるアクチュエータ400の斜視図であり、図18はアクチュエータ400の断面図であり、図19はアクチュエータ400の分解斜視図である。なお、図16〜図19において、図1〜図8に示した第1実施形態に係る発電装置10と対応する構成については同一符号を付し、その説明は適宜省略するものとする。
ポンプ300は、吸引口321−1から吸入した空気を圧縮して吐出口324から突出する圧縮ポンプである。このポンプ300は、ケース320、可動体326、アクチュエータ400を有する。
ケース320は気密構造とされており、ケース本体321、トップカバー322、中間プレート323を有している。ケース本体321、トップカバー322、及び中間プレート323は、いずれも樹脂により成形されている。
ケース本体321は、上部に開口が形成された有底形状とされている。またケース本体321の側壁には、空気を吸入する吸引口321−1が形成されている。
トップカバー322は、ケース本体321の上部の開口を覆うように配設される。トップカバー322の中央には、圧縮された空気が吐出される吐出口324が形成されている。また、吐出口324の下部には、後述する可動体326の第1吐出弁334及び第2吐出弁335が装着される弁装着部325が形成されている。
中間プレート323は、ケース本体321の上部開口を覆うように配設される。この中間プレート323には、後述する可動体326の第1及び第2ダイアフラム部327,238が挿入装着される開口が形成されている。前記のトップカバー322は、可動体326を介在させた状態で、中間プレート323の上部に配設される。
可動体326は、中間プレート323とトップカバー322の間に配設される。可動体326はゴム等の弾性体により形成されており、第1ダイアフラム部327、第2ダイアフラム部328、中央支持部332、第1吐出弁334、第2吐出弁335、第1連結部337、第2連結部338、及び弁当接部336を有している。
第1ダイアフラム部327は、ケース320の内部に第1圧縮室341を形成する。また第2ダイアフラム部328は、ケース320の内部に第2圧縮室342を形成する。第1ダイアフラム部327の中央には第1吸入弁330が形成され、第2ダイアフラム部328の中央には第2吸入弁331が形成されている。
中央支持部332、は、第1ダイアフラム部327と第2ダイアフラム部328の間に形成されている。この中央支持部332は、中間プレート323に支持される。
第1ダイアフラム部327の下部には第1連結部337が配設され、第2ダイアフラム部328の下部には第2連結部338が配設されている。この第1及び第2連結部337,338の下端部は、アクチュエータ400の連結部118と連結されている。
第1連結部337及び第2連結部338には、連通路339,340が形成されている。連通路339は、吸引口321−1と第1圧縮室341を連通する通路である。また連通路340は、吸引口321−1と第2圧縮室342を連通する通路である。
連通路339の上端部には第1吸入弁330が設けられており、第1吸入弁330が開弁することにより吸引口321−1と第1圧縮室341は連通した状態となる。また、連通路340の上端部には第2吸入弁331が設けられており、第2吸入弁331が開弁することにより吸引口321−1と第2圧縮室342は連通した状態となる。
第1吐出弁334及び第2吐出弁335は、中央支持部332の上面から上方に向け立設されている。また弁当接部336は、中央支持部332の上面で第1吐出弁334と第2吐出弁335の間の位置に立設されている。
第1及び第2吐出弁334,335は変位することにより、弁装着部325の内壁に気密に当接すると共に、弁当接部336の外周壁に気密に当接するよう構成されている。
第1吐出弁334が弁当接部336の外周壁に当接することにより第1圧縮室341と吐出口324は連通し、第1吐出弁334が弁装着部325の内壁に当接することにより第1圧縮室341と吐出口324は遮断される。
また、第2吐出弁335が弁当接部336の外周壁に当接することにより第2圧縮室342と吐出口324は連通し、第2吐出弁335が弁装着部325の内壁に当接することにより第2圧縮室342と吐出口324は遮断される。
アクチュエータ400は、第1連結部337及び第2連結部338を上下方向(矢印Z1,Z2方向)に駆動する。アクチュエータ400は、図17〜図19に示すように、ケース本体21B、コイルユニット80、磁石ユニット90Cを有している。本実施形態に係るアクチュエータ400は、第1実施形態に係る発電装置10と異なり、トップカバー22及びスイッチユニット40は設けられていない。このため、コイルユニット80はケース本体21Bに固定ネジ401用いて直接固定されている。
磁石ユニット90Cは、可動部材94Bを除き第1実施形態の磁石ユニット90Aと同一構成とされている。磁石ユニット90Aはスイッチユニット40に操作されるフック部103が設けられていたが(図6参照)、本実施形態に設けられる可動部材94Bは、フック部103に代えて第1及び第2連結部337,338と連結する連結部118が設けられている。
アクチュエータ400は、コイル81A〜81Dに対して所定の周期で交流を流すことにより、可動部材94Bを図中矢印B1,B2で示す方向に交番的に回転する。よって、可動部材94Bに設けられた連結部118も交互に上下移動を行う。
可動部材94Bが矢印B1方向に回転した場合、第1連結部337は下方に向け移動付勢され、第1ダイアフラム部327は第1圧縮室341の体積が増大するよう変位する。これにより、第1圧縮室341内は負圧になり、第1吸入弁330が開弁すると共に第1吐出弁334は弁装着部325の内壁に当接した状態となる。従って、第1ダイアフラム部327は、吸引口321−1から連通路339を介して第1圧縮室341内に空気を吸入する。
また可動部材94Bが矢印B1方向に回転した場合、第2連結部338は上方に向け移動付勢され、第2ダイアフラム部328は第2圧縮室342の体積が減少するよう変位する。これにより、第2圧縮室342内の圧力は上昇し、第2吸入弁331が閉弁すると共に第2吐出弁335は弁当接部336の外壁に当接した状態となる。従って、第2連結部338は、第2圧縮室342内の圧縮された空気を吐出口324から吐出する。
なお、可動部材94Bが矢印B2方向に回転した場合には、上記と逆の動作が行われ、第1連結部337は第1圧縮室341内の圧縮された空気を吐出口324から吐出し、第2ダイアフラム部328は吸引口321−1から連通路340を介して第2圧縮室342内に空気を吸入する。
本実施形態のようにアクチュエータ400をポンプ300の駆動源として用いた場合でも、第1実施形態に係る発電装置10と同様に、ばね部材92AのV字状ばね部106がV字状とされているため、可動部材94Bの不要な移動が規制され、可動体326(第1ダイアフラム部327,第2ダイアフラム部328)を精度よく駆動することができる。また、ばね部材92Aは両端部がケース本体221に固定されているため、可動部材94Bの回転中心の精度を高めることができ、騒音の発生を抑制することができる。
なお、本実施形態に係るアクチュエータ400は、発電時に可動するヨーク91、磁石93、可動部材94B(可動体)の慣性モーメントをJ、V字状ばね部106の軸MXを心軸とした捩り方向のばね定数をKSPとした場合、可動体は下式(4)によって算出される共振周波数Frで振動する。
また本実施形態に係るアクチュエータ400は、下式(5)ど示す運動方程式、及び下式(6)で示す回路方程式に基づいて駆動する。
即ち、本発明に係る電磁変換装置をアクチュエータ400に用いた場合、イナーシャの大小に合わせて最適な共振周波数とすることが可能となり設計の自由度を高めることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。