JP6641817B2 - 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、および半導体装置 - Google Patents
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ソルダーレジストを形成するための熱硬化性樹脂組成物であって、
エポキシ樹脂と、シリカ粒子と、を含み、
前記熱硬化性樹脂組成物を用いて得られた樹脂膜に対して、測定周波数62.83rad/sec、昇温速度3℃/分の条件で動的粘弾性試験を行ったときに、50〜150℃における前記樹脂膜の最低複素粘度が、0.1Pa・sec以上5000Pa・sec以下である熱硬化性樹脂組成物が提供される。
キャリア基材と、
前記キャリア基材上に設けられ、かつ上述の熱硬化性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜と、
を備えるキャリア付樹脂膜が提供される。
上述の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により構成されるソルダーレジストを備える半導体装置が提供される。
熱硬化性樹脂組成物は、ソルダーレジストを形成するために用いられる。本実施形態においては、たとえば、熱硬化性樹脂組成物を用いて形成された熱硬化性樹脂膜を回路基板上に積層し、これを熱硬化させることによりソルダーレジストが形成される。
一方で、熱硬化性樹脂組成物は、フィルム状であってもよい。この場合、たとえばワニス状の熱硬化性樹脂組成物を塗布して得られる樹脂膜に対し溶剤除去処理を行うことにより、フィルム状の熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。フィルム状の熱硬化性樹脂組成物は、溶剤含有率が熱硬化性樹脂組成物全体に対して5重量%以下である。また、フィルム状の熱硬化性樹脂組成物は、170℃、2分の熱処理前後における重量変化率が5重量%以下である。なお、フィルム状の熱硬化性樹脂組成物は、キャリア基材上に積層されてキャリア付樹脂膜を構成することができる。
熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と、シリカ(B)と、を含む。
エポキシ樹脂(A)は、たとえばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4'−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4'−(1,4−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4'−シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)などのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタン型ノボラック型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂などのアラルキル型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2官能ないし4官能エポキシ型ナフタレン樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂などのナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;フェノキシ型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、ソルダーレジストの埋め込み性や、表面平滑性を向上させる観点からは、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂を含むことがより好ましい。これにより、ソルダーレジストの線膨張率を低化させることができるとともに、その弾性率を向上させることもできる。また、回路基板の剛性を向上させて作業性の向上に寄与することや、半導体パッケージにおける耐リフロー性の向上および反りの抑制を実現することも可能である。なお、ソルダーレジストの埋め込み性を向上させる観点からは、3官能以上のナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂を含むことがとくに好ましい。
シリカ(B)は、たとえば球状シリカ粒子、および破砕シリカ粒子のうちの少なくとも一方を含む。ソルダーレジストの埋め込み性や表面平滑性を向上させる観点からは、球状シリカを含むことがより好ましい。また、シリカ(B)は、たとえば溶融シリカである。
また、第1のシリカ粒子の平均粒径D50をD1(μm)とし、第2のシリカ粒子の平均粒径D50をD2(μm)としたとき、D2−D1の値は、0.35μm以上4μm以下であるのが好ましく、0.5μm以上2μm以下であるのがさらに好ましい。第1のシリカ粒子と第2のシリカ粒子とが上記関係を満足することにより、50〜150℃における樹脂膜の最低複素粘度をより確実に0.1Pa・sec以上5000Pa・sec以下に設定することができるとともに、形成されるソルダーレジストの表面平滑性をより向上することができる。
なお、第1のシリカ粒子の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対して1重量%以上15重量%以下であることが好ましく、3重量%以上8重量%以下であることがより好ましい。第1のシリカ粒子の含有量を上記範囲内とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の流動性を制御することができる。これにより、50〜150℃における樹脂膜の最低複素粘度をより確実に上記範囲内に設定することができる。
また、第2のシリカ粒子の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対して25重量%以上75重量%以下であることが好ましく、29重量%以上70重量%以下であることがより好ましい。第2のシリカ粒子の含有量を上記範囲内とすることにより、熱硬化性樹脂組成物を用いて得られるソルダーレジストの耐熱性や耐湿性をより向上させることができる。また、第1のシリカ粒子の含有量が上記範囲内であれば、形成されるソルダーレジストの表面平滑性をより向上させることができるとともに、50〜150℃における樹脂膜の最低複素粘度をより確実に制御することができる。
熱硬化性樹脂組成物は、たとえばシアネート樹脂(C)を含むことができる。これにより、ソルダーレジスの線膨張率を低化させることができるとともに、その弾性率および剛性の向上を図ることができる。また、得られる半導体装置の耐熱性や耐湿性の向上に寄与することも可能である。
シアネート樹脂(C)は、たとえばノボラック型シアネート樹脂;ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂などのビスフェノール型シアネート樹脂;ナフトールアラルキル型フェノール樹脂と、ハロゲン化シアンとの反応で得られるナフトールアラルキル型シアネート樹脂;ジシクロペンタジエン型シアネート樹脂;ビフェニルアルキル型シアネート樹脂から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、ソルダーレジストの低線膨張率化や、弾性率および剛性を向上させる観点からは、ノボラック型シアネート樹脂およびナフトールアラルキル型シアネート樹脂のうちの少なくとも一方を含むことがより好ましく、ノボラック型シアネート樹脂を含むことがとくに好ましい。
一方、シアネート樹脂(C)の含有量は、たとえば熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対して40重量%以下であることが好ましく、35重量%以下であることがより好ましい。シアネート樹脂(C)の含有量を上記上限値以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されるソルダーレジストの耐熱性や耐湿性の向上を図ることができる。
熱硬化性樹脂組成物は、たとえば硬化促進剤(D)を含むことができる。これにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。
硬化促進剤(D)としては、エポキシ樹脂(A)の硬化反応を促進させる硬化促進剤を用いることができ、その種類はとくに限定されない。本実施形態においては、硬化促進剤(D)として、たとえば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)などの有機金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンなどの3級アミン類、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾールなどのイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノールなどのフェノール化合物、酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸、およびオニウム塩化合物から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、硬化性をより効果的に向上させる観点からは、オニウム塩化合物を含むことがより好ましい。
一方、硬化促進剤(D)の含有量は、たとえば熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対して10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましい。硬化促進剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の保存性を向上させることができる。
熱硬化性樹脂組成物は、たとえば着色剤(E)を含むことができる。着色剤(E)は、たとえば緑、赤、青、黄、および黒等の染料、顔料、および色素から選択される一種または二種以上を含む。これらの中でも、開口部の視認性等を向上させる観点から、緑色の着色剤を含むことがより好ましく、緑色染料を含むことがとくに好ましい。緑色の着色剤としては、たとえばアントラキノン系、フタロシアニン系、およびペリレン系等の公知の着色剤を一種または二種以上含むことができる。
一方、着色剤(E)の含有量は、たとえば熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対して5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましい。着色剤(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化性等をより効果的に向上させることが可能となる。
熱硬化性樹脂組成物には、上記各成分以外に、必要に応じてカップリング剤、レベリング剤、硬化剤、感光剤、消泡剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、およびイオン捕捉剤等から選択される一種または二種以上の添加物を添加してもよい。
カップリング剤としては、たとえばエポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤などのシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤などが挙げられる。
レベリング剤としては、アクリル系共重合物等が挙げられる。硬化剤としては、たとえばフェノール樹脂等が挙げられる。感光剤としては、たとえば感光性ジアゾキノン化合物が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物は、たとえば、溶剤を含むことができる。溶剤としては、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、およびN−メチルピロリドン等の有機溶剤から選択される一種または二種以上を含むことができる。
周波数:62.83rad/sec
測定温度:50〜200℃
昇温速度:3℃/min
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:10mm
プレート間隔:0.1mm
荷重(ノーマルフォース):0N(一定)
ストレイン:0.3%
測定雰囲気:空気
本実施形態においては、たとえばTMA(熱分析装置)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定することにより得られる線膨張係数の、25〜50℃における平均を算出して、これをガラス転移温度未満における上記線膨張係数とすることができる。
図1は、本実施形態に係るキャリア付樹脂膜100の一例を示す断面図である。キャリア付樹脂膜100は、ソルダーレジストを形成するのに用いられる。図1に示すように、キャリア付樹脂膜100は、たとえばキャリア基材12と、キャリア基材12上に設けられた樹脂膜(熱硬化性樹脂膜)10と、を備える。樹脂膜10は、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を用いて形成される。このため、上述したように、キャリア付樹脂膜100を用いて形成されたソルダーレジストを備える半導体装置の信頼性を向上させることができる。
図2は、本実施形態に係る半導体装置102の一例を示す断面図である。図2に示すように、半導体装置102は、ソルダーレジスト26を備えている。ソルダーレジスト26は、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物の硬化物により構成される。このため、上述したように、優れた信頼性を有する半導体装置102を実現することができる。ソルダーレジスト26の膜厚は、とくに限定されないが、たとえば5μm以上300μm以下とすることができる。
半導体素子60とボンディングワイヤ50は、たとえば封止樹脂40によって封止される。封止樹脂40は、たとえばエポキシ樹脂組成物を用いて形成することができる。
[1]熱硬化性樹脂組成物の調製
表1に示す組成の各実施例および各比較例について、ワニス状の熱硬化性樹脂組成物を調整した。熱硬化性樹脂組成物は、表1に従い配合された各成分の原料を溶剤であるメチルエチルケトンに溶解、分散させた後、高速撹拌装置を用いて1時間撹拌することにより得た。表1における各成分の原料の詳細は下記のとおりである。表1中における配合割合を示す数値のうち、かっこ外の数値は各成分の原料の配合割合(重量%)を、かっこ内の数値は各成分の固形分比率(重量%)を、それぞれ示している。
エポキシ樹脂1:ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(HP−5000、DIC(株)製)
エポキシ樹脂2:ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(HP−6000、DIC(株)製)
シリカ1:アドマナノ、(株)アドマテックス製(平均粒径D50=0.05μm、シリカ濃度40重量%)
シリカ2:SC1050−HLA、(株)アドマテックス製(平均粒径D50=0.35μm、シリカ濃度60重量%)
シリカ3:SC2050−KNO、(株)アドマテックス製(平均粒径D50=0.5μm、シリカ濃度70重量%)
シリカ4:SC4050−KNR、(株)アドマテックス製(平均粒径D50=1μm、シリカ濃度70重量%)
シリカ5:SC5050−KNR、(株)アドマテックス製(平均粒径D50=1.5μm、シリカ濃度70重量%)
フェノールノボラック型シアネート樹脂(PT30、ロンザジャパン(株)製)をメチルイソブチルケトンに溶解し、シアネート樹脂濃度を90重量%にしたものを使用した。
テトラフェニルホスホニウムとビス(ナフタレン−2,3−ジオキシ)フェニルシリケートの付加物をシクロヘキサノンに40重量%に分散したものを使用した。
緑色染料(Kayaset Green A−B、日本化薬(株)製)
カップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A−187、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
レベリング剤:BYK−361N、ビックケミー・ジャパン(株)製
各実施例および各比較例について、得られた熱硬化性樹脂組成物をキャリア基材であるPETフィルム上に塗布した後、140℃、2分の条件で溶剤を除去して、厚さ30μmの熱硬化性樹脂膜を形成した。これにより、キャリア付樹脂膜を得た。
各実施例および各比較例について、次のようにして最低複素粘度を測定した。まず、上記において得られたキャリア付樹脂膜から、キャリア基材であるPETフィルムを剥離したものを測定サンプルとして準備した。次いで、この測定サンプルに対し、動的粘弾性測定装置(Anton Paar社製、装置名Physica MCR−301)を用いて、下記の条件で複素粘度の測定をおこなった。得られた測定結果から、50〜150℃における測定サンプルの最低複素粘度(Pa・sec)を算出した。結果を表1に示す。
周波数:62.83rad/sec
測定温度:50〜200℃
昇温速度:3℃/min
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:10mm
プレート間隔:0.1mm
荷重(ノーマルフォース):0N(一定)
ストレイン:0.3%
測定雰囲気:空気
各実施例および各比較例について、得られたキャリア付樹脂膜からキャリア基材であるPETフィルムを剥離した樹脂膜を3枚積層して、厚さ90μmの樹脂シートを作製した。次いで、当該樹脂シートを、200℃、1時間で熱処理した後、幅8mm×長さ50mm×厚さ90μmに切り出して測定サンプルとした。この測定サンプルに対し、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、DMS6100)を用いて、周波数1Hz、昇温速度5℃/分の条件で動的粘弾性試験を行った。次いで、得られた測定結果から、ガラス転移温度(℃)と、25℃における貯蔵弾性率(GPa)を算出した。ガラス転移温度は、tanδのピーク値から判定した。結果を表1に示す。
各実施例および各比較例について、得られたキャリア付樹脂膜からキャリア基材であるPETフィルムを剥離した樹脂膜を3枚積層して、厚さ90μmの樹脂シートを作製した。次いで、当該樹脂シートを、200℃、1時間で熱処理した後、幅4mm×長さ20mm×厚さ90μmに切り出して測定サンプルとした。この測定サンプルに対し、TMA(TAインスツルメンツ(株)製)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で線膨張係数の測定を行った。次いで、25〜50℃における測定結果の平均を算出し、これをガラス転移温度(Tg)未満における線膨張係数(ppm/℃)とした。結果を表1に示す。
各実施例および各比較例について、次のようにして回路埋め込み性評価、平滑性評価およびたわみ量評価を行った。
まず、コア基材(40mm×85mm、60μmt)の一面および他面上に11μm厚の銅箔を積層してなる両面銅張積層板(住友ベークライト(株)製、LαZ−4785GH−J)を準備した。次いで、上記銅張積層板の銅箔をエッチング処理して導体回路パターンを形成することにより、一面および他面に上記導体回路パターンが形成された回路基板を得た。次いで、回路基板の上記一面上および上記他面上のそれぞれに、熱硬化性樹脂膜が回路基板と対向するよう上記で得られたキャリア付樹脂膜を積層した。その後、真空加圧式ラミネーター装置を用いて温度100℃、圧力0.8MPa、30秒の条件にて真空加熱加圧成形させた。次いで、キャリア付樹脂膜からキャリア基材を剥離した後、回路基板上の熱硬化性樹脂膜を200℃、1時間の条件で硬化してソルダーレジスト膜を形成した。このようにして、サンプルを得た。
上記で得られたサンプルの任意の10箇所について、回路基板の一面上に形成されたソルダーレジスト膜の表面を顕微鏡で観察した。回路埋め込み性の評価は、導体回路パターン間にソルダーレジスト膜が埋め込まれているか否かをボイドの存在の有無を確認することによって、以下の基準にしたがって行った。
A:観察した全箇所において、ボイドが存在しなかった。
B:観察した1〜5箇所において、実使用に問題が生じない程度のボイドが存在していた。
C:観察した6〜9箇所において、実使用に問題が生じない程度のボイドが存在していた。
D:観察した全箇所において、実使用に問題が生じるボイドが存在していた。
上記で得られたサンプルについて、回路基板の一面上に形成されたソルダーレジスト膜の表面の任意の10箇所をレーザー顕微鏡にてスキャンし、表面粗さRaを計測した。平滑性の評価は、以下の基準にしたがって行った。
A:10箇所におけるRaの平均値が0.90μm未満
B:10箇所におけるRaの平均値が0.90μm以上0.95μm未満
C:10箇所におけるRaの平均値が0.95μm以上1μm未満
D:10箇所におけるRaの平均値が1μm以上
上記で得られたサンプルについて、サンプルの一対の短辺のうちの一方の辺の端から10mmの部分を支持しつつ、他方の辺を自由端とした。この状態において、上記他方の辺のたわみ量を測定した。たわみ量の評価は、以下の基準にしたがって行った。
A:たわみ量が6mm未満
B:たわみ量が6mm以上6.5mm未満
C:たわみ量が6.5mm以上7mm未満
D:たわみ量が7mm以上
各実施例および各比較例について、次のようにして半導体パッケージを作製した。まず、240μm厚のコア基材(住友ベークライト(株)製、LαZ−4785TH−G)の一面および他面上に12μm厚の銅箔を積層してなる両面銅張積層板を準備した。次いで、上記銅張積層板の銅箔をエッチング処理して導体回路パターンを形成することにより、一面および他面に上記導体回路パターンが形成された回路基板を得た。次いで、回路基板の上記一面上および上記他面上のそれぞれに、熱硬化性樹脂膜が回路基板と対向するよう上記で得られたキャリア付樹脂膜を積層した後、真空加圧式ラミネーター装置を用いて温度100℃、圧力0.8MPa、30秒の条件にて真空加熱加圧成形させた。次いで、キャリア付樹脂膜からキャリア基材を剥離した後、回路基板上の熱硬化性樹脂膜を200℃、1時間の条件で硬化してソルダーレジスト膜を形成した。
各実施例および各比較例について、次のようにして吸湿信頼性を評価した。
まず、上記で得られた半導体パッケージに対し、85℃、相対湿度60%、168時間吸湿処理した後、IRリフロー処理(260℃、10秒、3回リフロー)を行った。次いで、リフロー処理後の半導体パッケージのソルダーレジスト膜を超音波映像装置SATで観察した。吸湿信頼性の評価は、以下の基準にしたがって行った。
A:ソルダーレジスト膜に剥離が生じなかった。
B:ソルダーレジスト膜に、実使用に問題が生じない程度の剥離が生じていた。
C:ソルダーレジスト膜に、実使用に若干問題が生じる程度の剥離が生じていた。
D:ソルダーレジスト膜に、実使用に適さない剥離が生じていた。
各実施例および各比較例について、得られた半導体パッケージの25℃における反り量を測定し、以下の基準にしたがって評価した。なお、パッケージ反り量は、半導体パッケージ上面の中心点と、当該上面の外周部と、の半導体素子と回路基板の積層方向における距離により定義される。A:パッケージ反り量が90μm未満
B:パッケージ反り量が90μm以上95μm未満
C:パッケージ反り量が95μm以上100μm未満
D:パッケージ反り量が100μm以上
102 半導体装置
10 樹脂膜(熱硬化性樹脂膜)
12 キャリア基材
20 回路基板
22 コア基材
24 導体回路パターン
26 ソルダーレジスト
30 半田ボール
40 封止樹脂
50 ボンディングワイヤ
60 半導体素子
62 ダイアタッチ材
Claims (11)
- ソルダーレジストを形成するための熱硬化性樹脂組成物であって、
エポキシ樹脂と、シリカ粒子と、を含み、
前記熱硬化性樹脂組成物を用いて得られた樹脂膜に対して、測定周波数62.83rad/sec、昇温速度3℃/分の条件で動的粘弾性試験を行ったときに、50〜150℃における前記樹脂膜の最低複素粘度が、0.1Pa・sec以上5000Pa・sec以下であり、
前記シリカ粒子は、平均粒径D 50 が2nm以上100nm以下である第1のシリカ粒子と、平均粒径D 50 が100nmを上回る第2のシリカ粒子とを含み、
前記第1のシリカ粒子の平均粒径D 50 をD1(μm)とし、前記第2のシリカ粒子の平均粒径D 50 をD2(μm)としたとき、D2−D1の値は、0.35μm以上4μm以下である熱硬化性樹脂組成物。 - 該熱硬化性樹脂組成物を200℃、1時間で熱処理して硬化物を得たときに、得られた前記硬化物の25℃における貯蔵弾性率が、7GPa以上である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 該熱硬化性樹脂組成物を200℃、1時間で熱処理して硬化物を得たときに、得られた前記硬化物のガラス転移温度が、160℃以上である請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 該熱硬化性樹脂組成物を200℃、1時間で熱処理して硬化物を得たときに、得られた前記硬化物のガラス転移温度未満における線膨張係数が、30ppm/℃以下である請求項1ないし3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- シアネート樹脂をさらに含む請求項1ないし4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂を含む請求項1ないし5のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記第2のシリカ粒子の平均粒径D 50 は、400nm以上5μm以下である請求項1ないし6のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記第1のシリカ粒子の含有量は、前記熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対して1重量%以上15重量%以下であり、
前記第2のシリカ粒子の含有量は、前記熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対して25重量%以上75重量%以下である請求項1ないし7のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。 - 緑色染料をさらに含む請求項1ないし8のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- キャリア基材と、
前記キャリア基材上に設けられ、かつ請求項1ないし9のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜と、
を備えるキャリア付樹脂膜。 - 請求項1ないし9のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により構成されるソルダーレジストを備える半導体装置。
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