JP6641216B2 - 全輪駆動車の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、全輪駆動車の制御装置に関し、特に、センタデファレンシャルの差動制限制御と、トラクションコントロールシステム(TCS)のトラクション制御との協調制御機能を有する全輪駆動車の制御装置に関する。
従来から、急坂路や、凸凹の多い悪路、滑りやすい路面(例えば雪道や泥路)などでの走破性が優れている全輪駆動(AWD)車(又は4輪駆動(4WD)車)が広く実用化されている。このようなAWD車では、例えばステアリングホイールを大きく操舵したときに、4輪の回転差によって生じるブレーキング現象を防止するため、前輪と後輪との回転差(差動)を許容しつつ、前輪と後輪に駆動トルクを伝達するセンタデファレンシャル(以下、単に「センタデフ」ともいう)を備えている。また、センタデフを搭載したAWD車では、例えば、一部の車輪がスリップしやすい路面に乗って空転したときに、センタデフが差動回転し、他の車輪への伝達トルクがゼロになることを防止するために、センタデフ(前後輪)の差動を制限し、スリップしない車輪に駆動力を伝える差動制限装置(LSD:Limited Slip Differential)を備えている。
一方、近年、車両制動時に車輪のロックを抑制して車両の安定性を確保するアンチロックブレーキシステム(ABS)、車両加速時に車輪のスリップを抑制して車両の安定性を確保するトラクションコントロールシステム(TCS)、及び、前・後輪の横滑りを感知して、各車輪のブレーキ力やエンジン出力を制御し、車両挙動を安定させる(横滑りを緩和する)車両挙動安定化システム/横滑り防止システム(VDC(Vehicle Dynamics Control))などが実用化されており、上述したAWD車にも搭載されている。
ここで、特許文献1には、センタデファレンシャルの差動制限制御と、トラクション制御システム(TCS)との協調制御(TCS協調制御)を行う4輪駆動車の駆動力制御装置が開示されている。より具体的には、この4輪駆動車の駆動力制御装置は、後輪へのエンジン駆動系の途中に設けられる摩擦クラッチ(差動制限装置)と、クラッチ締結力が高いほど前輪と後輪の駆動力配分率を等配分率側に変更する制御を行う4WDコントローラを備えている。そして、トラクション制御システムによる駆動力低減制御中(トラクション制御中)であり、且つ、クラッチ入力トルク検出値からクラッチ伝達トルク検出値を減じた値が所定値より小さく、且つ、左右の車輪速度がほぼ等しい場合、摩擦クラッチに対するクラッチ締結力を低減させる指令が、前後輪駆動力配分制御システムに対し出力される。
すなわち、この4輪駆動車の駆動力制御装置によれば、トラクション制御システムが作動中であり、推定車体速が上ずる可能性があるときに、摩擦クラッチに対するクラッチ締結力が低減される(TCS協調制御が実行される)ため、トラクション制御システムによる加速スリップ判定の必要時に4輪の車輪速度の同期が防止され、検出される車輪速度に基づく車体速の推定精度を確保することができる。
特許第3642041号公報
上述したように、特許文献1の4輪駆動車の駆動力制御装置によれば、トラクション制御システムによる駆動力低減制御中(トラクション制御中)に、摩擦クラッチに対するクラッチ締結力を低減するTCS協調制御が実行されること(すなわち、前後輪の差動が許容さること)により、4輪駆動による本来の車両加速性能の確保と車体速推定精度の確保との両立を達成することができる。
しかしながら、TCS協調制御を実行する場合には、次のような問題点が生じ得る。すなわち、トラクション制御を実行したにもかかわらず車輪のスリップを抑制できなかった場合(前後輪の差回転が収束しなかった場合)、トラクション制御の実行中に、TCS協調制御によってクラッチトルクが下げられていた(差動が許容されていた)ため、トラクション制御打切り時(制御放棄時)に前輪と後輪との速度差(差回転)が大きくなっているおそれがある。このような状態で、TCS協調制御が終了して通常制御に切り替わり、クラッチ締結力が増大されると(前後輪の差動が制限されると)、クラッチ締結による発熱量が増大することにより、クラッチの耐久性が劣化するおそれがある
一方、TCS協調制御を禁止した場合には、前後輪の差動が制限され、差回転が収束するため、クラッチの耐久性保護の観点からは上述した問題が解決されるが、前後輪の差動が制限されることにより、すべての車輪がスリップ状態(全輪スリップ状態)になり、推定車体速と実際の車体速(実車体速)とが乖離する(すなわち、推定車体速の推定精度が悪化する)おそれがある。そして、そのような状況において、ブレーキペダルが踏み込まれると、ABS性能(ブレーキ性能)を低下させるおそれがある。そのため、従来は、クラッチの耐久性を上げることで対策していたが、クラッチの耐久性を上げようとすると、サイズの大型化やコストアップ等などを招くという問題があった。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、センタデファレンシャルの差動制限制御と、トラクションコントロールシステム(TCS)のトラクション制御との協調制御機能を有する全輪駆動車(AWD車)の制御装置であって、トラクション制御によって車輪のスリップを抑制できなかった場合であっても、差動を制限するクラッチの耐久性の劣化を防止でき、かつアンチロックブレーキシステム(ABS)のブレーキ性能を確保することが可能な全輪駆動車の制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る全輪駆動車の制御装置は、締結力に応じて前後車輪の差動を制限自在なクラッチを有し、入力される駆動力を前輪側と後輪側とに分配して出力するセンタデファレンシャルユニットと、クラッチの締結力を調節するクラッチ制御手段と、前輪及び後輪それぞれの車輪速を検出する車輪速検出手段と、車輪を駆動する際に、該車輪にスリップが発生した場合、該車輪の駆動力を低減してスリップを抑制するトラクション制御を実行するトラクション制御手段とを備え、クラッチ制御手段が、トラクション制御手段によりトラクション制御が実行される際に、前輪車輪速及び後輪車輪速が所定速以上の場合には、前輪車輪速及び後輪車輪速の少なくともいずれか一方が所定速未満の場合よりも、前後車輪の差動を許容するように、クラッチの締結力を低下させ、前輪車輪速及び後輪車輪速の少なくともいずれか一方が所定速未満の場合には、前輪車輪速及び後輪車輪速が所定速以上の場合よりも、前後車輪の差動を制限するように、クラッチの締結力を増大することを特徴とする。
本発明に係る全輪駆動車の制御装置によれば、トラクション制御が実行される際に、前輪車輪速及び後輪車輪速が所定速以上の場合には、前後車輪の差動を許容するように、クラッチの締結力が下げられる(すなわち、TCS協調制御が実行される)。それにより、全輪(四輪)スリップが防止されて、推定車体速と実車体速との乖離が小さくなるため、ブレーキペダルが踏み込まれたとしても、ABS性能(ブレーキ性能)を満足することができる。一方、前輪車輪速及び後輪車輪速の少なくともいずれか一方が所定速未満の場合には、前後車輪の差動を制限するように、クラッチの締結力が上げられる(すなわち、TCS協調制御が禁止される)。そのため、前後輪の速度差(差回転)が減少し、トラクション制御が放棄された(打ち切られた)場合であっても、クラッチの耐久性劣化を防止することができる。なお、TCS協調制御を禁止して差動を制限した場合には、全輪(四輪)スリップ状態となり、推定車体速と実車体速との乖離が大きくなる(推定車体速の推定精度が悪化する)おそれはあるが、車速が低い領域(所定速以下)であるためABS性能に対する影響は問題とならない。その結果、トラクション制御によって車輪のスリップを抑制できなかった場合であっても、差動を制限するクラッチの耐久性の劣化を防止でき、かつアンチロックブレーキシステム(ABS)のブレーキ性能を確保することが可能となる。
本発明に係る全輪駆動車の制御装置では、クラッチ制御手段が、前輪車輪速及び後輪車輪速が所定速以上の場合には、クラッチの締結力を所定値に固定し、前輪車輪速及び後輪車輪速の少なくともいずれか一方が所定速未満の場合には、クラッチの締結力を車両の運転状態に応じて調節することが好ましい。
この場合、前輪車輪速及び後輪車輪速が所定速以上の場合には、クラッチの締結力が所定値に固定される。そのため、前後車輪の差動が許容され、トラクション制御との協調制御を適切に実行することができる。一方、前輪車輪速及び後輪車輪速の少なくともいずれか一方が所定速未満の場合には、クラッチの締結力が車両の運転状態(例えば、入力トルクや車輪速度など)に応じて調節される。そのため、車両の運転状態に応じて適切に前後輪の差動を制限することが可能となる。
本発明に係る全輪駆動車の制御装置では、クラッチ制御手段が、左右前輪の車輪速の平均値を求めて上記前輪車輪速とするとともに、左右後輪の車輪速の平均値を求めて上記後輪車輪速とすることが好ましい。
この場合、左右前輪の車輪速度の平均値(平均車輪速)が求められて前輪車輪速度とされるとともに、左右後輪の車輪速度の平均値(平均車輪速)が求められて後輪車輪速度とされる。そのため、例えば、前後スプリットμ路などにおいて、スリップしている側の車輪の車輪速が急激に上昇するような状況(走行環境)であっても、前後輪のうち遅い方の車輪速を基準としてTCS協調制御の実行可否を適確に判断することができる。
本発明に係る全輪駆動車の制御装置では、センタデファレンシャルユニットが、入力軸、前輪側出力軸、及び後輪側出力軸それぞれと対応付けられて接続される、サンギヤ、プラネタリピニオン、及びリングギヤを含んで構成されるプラネタリギヤユニット(遊星歯車機構)を有し、上記クラッチが、前輪側出力軸と後輪側出力軸との間に介装されていることが好ましい。
この場合、上記クラッチが、前輪側出力軸と後輪側出力軸との間に介装される。そのため、当該クラッチの締結力を調節することにより、前後車輪の差動制限(トルク配分)を調節することが可能となる。
本発明によれば、センタデファレンシャルの差動制限制御と、トラクションコントロールシステム(TCS)のトラクション制御との協調制御機能を有する全輪駆動車(AWD車)の制御装置において、トラクション制御によって車輪のスリップを抑制できなかった場合であっても、差動を制限するクラッチの耐久性の劣化を防止でき、かつアンチロックブレーキシステム(ABS)のブレーキ性能を確保することが可能となる。
実施形態に係る全輪駆動車の制御装置が搭載されたAWD車のパワートレイン及び駆動力伝達系の全体構成を示すブロック図である。 実施形態に係る全輪駆動車の制御装置によるLSDクラッチ制御(差動制限処理)の処理手順を示すフローチャートである。 後輪車輪速、前輪車輪速、及び車体速それぞれの変化の一例を示すタイミングチャートである。 LSDトルク、TCS実行フラグ、及び前後差回転それぞれの変化の一例を示すタイミングチャートである。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
まず、図1を用いて、実施形態に係る全輪駆動車の制御装置1の構成について説明する。図1は、全輪駆動車の制御装置1が搭載されたAWD(All Wheel Drive:全輪駆動)車4のパワートレイン及び駆動力伝達系の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るAWD車4は、差動制限(LSD)機能を有するセンタデファレンシャルユニット40を搭載したフルタイム式AWD車である。特に、AWD車4は、センタデファレンシャルユニット40の差動制限制御と、トラクションコントロールシステム(TCS)のトラクション制御との協調制御機能を有するフルタイム式AWD車である。
エンジン20は、どのような形式のものでもよいが、例えば水平対向型の筒内噴射式4気筒ガソリンエンジンである。エンジン20では、エアクリーナ(図示省略)から吸入された空気が、吸気管に設けられた電子制御式スロットルバルブ(以下、単に「スロットルバルブ」ともいう)により絞られ、インテークマニホールドを通り、エンジン20に形成された各気筒に吸入される。ここで、エアクリーナから吸入された空気の量はエアフローメータ81により検出される。さらに、スロットルバルブには、該スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ82が配設されている。各気筒には、燃料を噴射するインジェクタが取り付けられている。また、各気筒には混合気に点火する点火プラグ、及び該点火プラグに高電圧を印加するイグナイタ内蔵型コイルが取り付けられている。エンジン20の各気筒では、吸入された空気とインジェクタによって噴射された燃料との混合気が点火プラグにより点火されて燃焼する。燃焼後の排気ガスは排気管を通して排出される。
上述したエアフローメータ81、スロットル開度センサ82に加え、エンジン20のカムシャフト近傍には、エンジン20の気筒判別を行うためのカム角センサが取り付けられている。また、エンジン20のクランクシャフト近傍には、クランクシャフトの位置を検出するクランク角センサが取り付けられている。これらのセンサは、後述するエンジン・コントロールユニット(以下「ECU」という)80に接続されている。また、ECU80には、アクセルペダルの踏み込み量すなわちアクセルペダルの開度を検出するアクセルペダルセンサ83、及びエンジン20の冷却水の温度を検出する水温センサ84等の各種センサも接続されている。
エンジン20の出力軸(クランク軸)21には、例えば、乾式クラッチ22を介して、エンジン20からの駆動力を変換して出力する手動変速機(MT)30が接続されている。手動変速機30は、変速操作を手動で行う変速機であり、例えば、入出力軸同心型のものが用いられる。手動変速機30としては、公知なもの、すなわち、各変速段の駆動ギヤと従動ギヤを2軸に配置するとともに、ギヤの隣に同期機構とそれを作動させるカップリングスリーブ、シフトフォーク、ストライキングロッドなどを配置し、シフトレバーと連結したものを用いることができる。なお、手動変速機(MT)に代えて、例えば、有段自動変速機(AT)や、無段変速機(CVT)、DCT(Dual Clutch Transmission)など、他の形式の変速機を用いてもよい。
手動変速機30の出力軸30aには、センタデファレンシャルユニット40が接続されている。手動変速機30で変換された駆動力は、センタデファレンシャルユニット40によって分配され、フロントドライブシャフト43、及びプロペラシャフト46それぞれに出力(伝達)される。本実施形態では、センタデファレンシャルユニット40として、前後不等トルク配分となるプラネタリギヤユニット41からなるセンタデファレンシャル(41)に多板クラッチ(以下「LSDクラッチ」ともいう)42からなる差動制限機構を組み合わせ、そのLSDクラッチ42の締結力(すなわち差動制限の強さ)を電気的に調節可能なシステムを採用した。なお、センタデファレンシャルユニット40には、上述した構成に加えて、路面反力に差が出た瞬間に差動制限力を発生させるため、トルク差でクラッチ圧着力を立ち上げるカム機構も組み込まれている。センタデファレンシャルユニット40では、例えば、前輪41:後輪59のトルク配分を基本とし、LSDクラッチ42による、走行状況に応じた前後トルク配分により、大きな駆動力を発揮しながら安定性を確保している。
より具体的には、プラネタリギヤユニット(センタデフ)41は、サンギヤ41a、プラネタリピニオン(プラネタリキャリア)41b、及びリングギヤ(インターナルギヤ)41cを有して構成されている。プラネタリピニオン(プラネタリキャリア)41bには手動変速機30の出力軸30a(特許請求の範囲に記載の入力軸に相当)が接続されており、エンジン10から伝達された駆動力が入力される。サンギヤ41aにはフロントドライブシャフト43(前輪側出力軸に相当)が接続されており、前輪側に駆動力が伝達(出力)される。リングギヤ(インターナルギヤ)41cにはプロペラシャフト46(後輪側出力軸に相当)が接続されており、後輪側に駆動力が伝達(出力)される。なお、プラネタリギヤユニット41の各要素と、出力軸30a、フロントドライブシャフト43、及びプロペラシャフト46との接続関係は、本実施形態に限られることなく、任意に対応付けることができる。
また、センタデフレンシャルユニット40では、後輪出力を担うリングギヤ41cと、前輪出力を担うサンギヤ41aとの間に差動制限を行うLSDクラッチ(多板クラッチ)42が組み込まれており、該LSDクラッチ42を挟んで対向するように配設された、電磁ソレノイド(電磁石)及びトルクカム(図示省略)それぞれから圧着力(締結力)が加えられる構成とされている。
LSDクラッチ42は、その締結力に応じて、前後輪へのトルク配分を可変するとともに、差動制限機能を発揮する。LSDクラッチ42としては、例えば、電気的に締結力(締結・解放)を調節することができる電磁クラッチ等が好適に用いられる。なお、LSDクラッチ42の締結力(差動制限)は、AWDコントロールユニット(以下「AWDCU」という)60によって制御される(詳細は後述する)。
上述したように、手動変速機30からの入力(駆動力)は、プラネタリギヤユニット41に伝えられ、サンギヤ41aから前輪10FL,10FRへ出力されるとともに、外周のリングギヤ41cから後輪10RL,10RRへ出力される。より詳細には、手動変速機30からの入力(駆動力)は、プラネタリピニオン(プラネタリキャリア)41bに伝えられ、サンギヤ41aからフロントドライブシャフト43を介してフロントデファレンシャル(以下「フロントデフ」ともいう)44に伝達される。フロントデフ44は、例えば、ベベルギヤ式の差動装置である。フロントデフ44からの駆動力は、左前輪ドライブシャフト45Lを介して左前輪10FLに伝達されるとともに、右前輪ドライブシャフト45Rを介して右前輪10FRに伝達される。
一方、プラネタリギヤユニット41に伝えられた入力(駆動力)は、外周のリングギヤ41cからプロペラシャフト46を介してリヤディファレンシャル(以下「リヤデフ」ともいう)47に伝達される。リヤデフ47には左後輪ドライブシャフト48L及び右後輪ドライブシャフト48Rが接続されている。リヤデフ47からの駆動力は、左後輪ドライブシャフト48Lを介して左後輪10RLに伝達されるとともに、右後輪ドライブシャフト48Rを介して右後輪10RRに伝達される。
各車輪10FR〜10RR(以下、すべての車輪10FR〜10RRを総称して車輪10ということもある)それぞれには、車輪10FR〜10RRを制動するブレーキ11FR〜11RR(以下、すべてのブレーキ11FR〜11RRを総称してブレーキ11ということもある)が取り付けられている。また、各車輪10FR〜10RRそれぞれには、車輪回転速度を検出する車輪速センサ12FR〜12RR(以下、すべての車輪速センサ12FR〜12RRを総称して車輪速センサ12ということもある)が取り付けられている。
本実施形態では、ブレーキ11として、ディスクブレーキを採用した。ブレーキ11は、AWD車4の車輪10に取り付けられたブレーキディスクと、ブレーキパッド及びホイールシリンダを内蔵したブレーキキャリパを有して構成されている。ブレーキ時(制動時)には、油圧によりブレーキパッドがブレーキディスクに押圧され、摩擦力によってブレーキディスクと連結されている車輪10が制動される。なお、本実施形態で用いられているブレーキ10は、ディスクブレーキであるが、摩擦材をドラムの内周面に押し付けて制動するドラムブレーキ等を用いてもよい。
車輪速度センサ12は、車輪10とともに回転するロータ(ギヤロータ、又は磁気ロータ)による磁界の変化を検出する非接触型センサであり、例えば、ロータ回転をホール素子やMR素子で検出する半導体方式が好適に用いられる。車輪速度センサ12は、特許請求の範囲に記載の車輪速検出手段に相当する。
また、AWD車4には、車輪10を駆動する際(車両加速時)に、該車輪10にスリップが発生した場合、エンジントルクダウン制御やブレーキ制御により、該車輪10の駆動力を低減してスリップを抑制するトラクション制御を実行するトラクションコントロールシステム(TCS)、急制動や滑りやすい路面で制動した場合に生じる車輪ロックを防止し、各車輪10のスリップ率を適正に保つことで、制動時の方向安定性と操舵性を確保するとともに、最適な制動力を得るアンチロックブレーキシステム(ABS)、及び、前後輪の横滑りを感知して、各車輪のブレーキ力やエンジン出力を制御し、車両挙動を安定させる(横滑りを緩和する)車両挙動安定化システム/横滑り防止システム(VDC)が搭載されている。なお、詳細は後述する。
上述したように、LSDクラッチ42の締結力の制御(差動制限)はAWDCU60によって実行される。ここで、AWDCU60には、例えばCAN(Controller Area Network)100を介して、エンジン20を総合的に制御するECU80、及び、VDCコントロールユニット(以下「VDCU」という)50等と相互に通信可能に接続されている。
AWDCU60、ECU80、及びVDCU50は、それぞれ、演算を行うマイクロプロセッサ、該マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを記憶するRAM、バッテリによってその記憶内容が保持されるバックアップRAM、及び入出力I/F等を有して構成されている。
ECU80では、カム角センサの出力から気筒が判別され、クランク角センサの出力によって検出されたクランクシャフトの回転位置の変化からエンジン回転数が求められる。また、ECU80では、上述した各種センサから入力される検出信号に基づいて、吸入空気量、アクセルペダル開度、混合気の空燃比、及び水温等の各種情報が取得される。そして、ECU80は、取得したこれらの各種情報に基づいて、燃料噴射量や点火時期、並びにスロットルバルブ等の各種デバイスを制御することによりエンジン20を総合的に制御する。
また、ECU80は、CAN100を介して、エンジン回転数、アクセルペダル開度、エンジン軸トルク、及びエンジン水温(冷却水温度)等の各種情報をAWDCU等に送信する。
VDCU50には、4つの車輪速センサ11FL〜11RR、及びブレーキスイッチ57などが接続されている。車輪速センサ11FL〜11RRは、上述したように、車輪10FL〜10RRの中心に取り付けられた歯車の回転を磁気ピックアップ等によって検出することにより、車輪10FL〜10RRの回転状態を検出する。また、VDCU50は、CAN100を介して、AWDCU60から、操舵角、前後加速度、横加速度、ヨーレート等の情報を受信する。
VDCU50は、ABS(アンチロックブレーキ)機能を司るABS制御部51、TCS(トラクションコントロール)機能を司るTCS制御部52、及びVDC(横滑り防止)機能を司るVDC制御部53を機能的に備えている。ABS制御部51は、各車輪10FL〜10RRに設けた車輪速度センサ11FL〜11RRの回転情報を基に車体速推定行い、各車輪10FL〜10RRのスリップ状態を推定して、マスタバック(マスタシリンダ)55とホイールシリンダ間に設けられたVDCユニット(VDCアククエータ)54を駆動させ、制動時の各輪ブレーキ油圧(ホイールシリンダ油圧)を独立に(ロックを防止するように)制御する。ここで、VDCユニット54は、VDCU50(ABS制御部51)からの制御指令により制動時(ブレーキ時)のホイールシリンダ油圧を調節する。
TCS制御部52は、滑りやすい路面や過大な駆動力によって生ずる駆動輪の空転を抑えて、発進時や加速時の車両安定性と加速性を確保する。そのため、VDCユニット54には、各輪独立に自動加圧できる機能が付加されている。すなわち、TCS制御部52(VDCU50)は、特許請求の範囲に記載のトラクション制御手段として機能する。
VDC制御部53は、例えば、オーバースピードでコーナーに侵入した際や、急激なハンドル操作などによって車両姿勢(挙動)が乱れた際に、横滑りを防ぎ、優れた走行安定性を確保する。VDC制御部53は、車両姿勢(挙動)等を上記センサ等によって検知し、オーバーステアと判断するとコーナー外側の前輪10FL,10FRにブレーキをかけ、逆にアンダーステアと判断した場合は、エンジンパワーを落とすとともにコーナー内側の後輪10RL,10RRにブレーキをかける等のコントロールを、運転状況に応じて自動的に制御する。
VDCU50は、検出した各車輪10の車輪速、ABS制御・TCS制御・VDC制御が実行中であるか否かを示す情報(ABS実行フラグ・TCS実行フラグ・VDC実行フラグ)、及び制動情報(ブレーキング情報)等を、CAN100を介してAWDCU60等に送信する。
AWDCU60には、操舵角センサ16、前後加速度(前後G)センサ63、横加速度(横G)センサ64、ヨーレートセンサ65などが接続されている。前後加速度センサ63は、AWD車4に作用する前後方向の加速度(以下、単に「加速度」ともいう)を検出し、横加速度センサ83は、AWD車4に作用する横方向の加速度を検出する。操舵角センサ16は、ピニオンシャフトの回転角を検出することにより、操舵輪である前輪10FL,10FRの操舵角(すなわちステアリングホイールの操舵角)を検出する。ヨーレートセンサ65はAWD車4のヨーレートを検出する。
また、AWDCU60は、CAN100を介して、VDCU50から、各車輪10の車輪速、ABS制御・TCS制御・VDC制御が実行中であるか否かを示す情報(ABS実行フラグ・TCS実行フラグ・VDC実行フラグ)、及び制動情報(ブレーキング情報)等を受信するとともに、ECU80から、エンジン回転数、アクセルペダル開度、及びエンジン軸トルク(出力トルク)等の情報を受信する。一方、AWDCU60は、取得した操舵角、前後加速度、横加速度、ヨーレート等を、CAN100を介して、VDCU50等に送信する。
AWDCU60は、上述した各種センサ等から取得した情報、及びCAN100を介して取得した各種情報に基づいて、LSDクラッチ制御(差動制限制御/トルク配分制御)を実行する。特に、AWDCU60は、トラクション制御によって車輪10のスリップを抑制できなかった場合であっても、LSDクラッチ42の耐久性の劣化を防止でき、かつアンチロックブレーキシステム(ABS)のブレーキ性能を確保する機能を有している。そのため、AWDCU60は、LSDクラッチ制御部61を機能的に有している。AWDCU60では、ROMに記憶されているプログラムがマイクロプロセッサによって実行されることにより、LSDクラッチ制御部61の機能が実現される。
LSDクラッチ制御部61は、LSDクラッチ42に印加する電力を調節することにより、LSDクラッチ42の締結力を制御(すなわちLSDトルクを制御)する。ここで、LSDトルク制御としては、例えば、入力トルク感応制御、スリップ制御、ヨーレート制御、及びTCS協調制御の四つが挙げられる。入力トルク感応制御では、入力トルクが大きいときにLSDトルクを大きくして車輪スリップを抑制する。スリップ制御では、各車輪10の車輪速センサ12の検出値から車輪スリップを検出し、スリップに応じてLSDトルクを強めることでスリップを抑制する。ヨーレート制御では、車速、横加速度、ヨーレート、舵角に応じてLSDトルクを増減させ車両安定性を向上させる。また、TCS協調制御では、VDCの各制御信号(TCS実行フラグ)に基づき協調制御を行い、LSDクラッチ42の締結力(LSDトルク)を弱めTCS性能を確保する。
特に、LSDクラッチ制御部61は、VDCU50(TCS制御部52)によりトラクション制御(TCS制御)が実行される際に、前輪車輪速及び後輪車輪速が所定速(例えば15km/h)以上の場合には、前輪車輪速度及び後輪車輪速度の少なくともいずれか一方が所定速(例えば15km/h)未満の場合と比較して、前後車輪10の差動を許容するように、LSDクラッチ42の締結力(LSDトルク)を低下させる(すなわち、TCS協調制御を実行する)。
一方、前輪車輪速及び後輪車輪速の少なくともいずれか一方が所定速(例えば15km/h)未満の場合には、前輪車輪速及び後輪車輪速が所定速(例えば15km/h)以上の場合と比較して、前後車輪の差動を制限するように、LSDクラッチ42の締結力(LSDトルク)を増大する(すなわち、TCS協調制御を禁止する(通常制御))。すなわち、LSDクラッチ制御部61は、特許請求の範囲に記載のクラッチ制御手段として機能する。なお、ここで、上記所定速(例えば15km/h)は、例えば、前輪高μ、後輪低μの前後スプリットμ路での発進を想定したときに、該前後スプリットμ路から脱出する際に超えないように、また、その際のABS性能を考慮して設定することが好ましい。
その際に、LSDクラッチ制御部61は、前輪車輪速及び後輪車輪速が所定速(例えば15km/h)以上の場合には、LSDクラッチ42の締結力を所定値(例えばゼロ)に固定して前後輪の差動を許容し、前輪車輪速及び後輪車輪速の少なくともいずれか一方が所定速(例えば15km/h)未満の場合には、LSDクラッチ42の締結力を、車両4の運転状態(例えば、入力トルクや車輪速など)に応じて調節(前後輪の差動を制限)する。
なお、その際に、LSDクラッチ制御部61は、左右前輪10FL,10FRの車輪速の平均値(平均車輪速)を求めて上記前輪車輪速とするとともに、左右後輪10RL,10RRの車輪速の平均値(平均車輪速)を求めて上記後輪車輪速とすることが好ましい。
次に、図2を参照しつつ、全輪駆動車の制御装置1の動作について説明する。図2は、全輪駆動車の制御装置1によるLSDクラッチ制御(差動制限処理)の処理手順を示すフローチャートである。本処理は、AWDCU60において、所定のタイミングで繰り返して実行される。
ステップS100では、前輪10FL,10FRの車輪速(左前輪10FLの車輪速と右前輪10FRの車輪速との平均値)が、所定速(例えば、15km/h)以上であるか否かについての判断が行われる。ここで、前輪10FL,10FRの車輪速が所定速以上の場合には、ステップS102に処理が移行する。一方。前輪10FL,10FRの車輪速が所定速未満のときには、ステップS106に処理が移行する。
ステップS102では、後輪10RL,10RRの車輪速(左後輪10RLの車輪速と右後輪10RRの車輪速との平均値)が、所定速(例えば、15km/h)以上であるか否かについての判断が行われる。ここで、後輪10RL,10RRの車輪速が所定速以上の場合には、ステップS104に処理が移行する。一方。後輪10RL,10RRの車輪速が所定速未満のときには、ステップS106に処理が移行する。
ステップS104では、TCS制御が実行中(作動中)であるか否か(すなわちTCS実行フラグが「1」か否か)についての判断が行われる。ここで、TCS制御が実行中(作動中)である場合には、ステップS108に処理が移行する。一方。TCS制御が実行されていないときには、ステップS106に処理が移行する。
ステップS100,S102,S104のいずれかが否定された場合、ステップS106では、TCS協調制御が実行されることなく、通常制御が実行される。すなわち、前後輪の差動を制限するように、LSDクラッチ42の目標締結力(LSDトルク目標値)が、例えば入力トルクや車輪速などに基づいて算出される。そして、該目標締結力とLSDクラッチ42の実締結力が一致するように、LSDクラッチ42に電力が供給される。その後、本処理から一旦抜ける。
一方、ステップS100,S102,S104のすべてが肯定された場合、ステップS108では、TCS協調制御が実行される。すなわち、前後輪の差動を許容するように、LSDクラッチ42の目標締結力(LSDトルク目標値)が、例えば所定値(通常制御時よりも小さい値、例えばゼロ)に固定される。そして、該目標締結力とLSDクラッチ42の実締結力が一致するように、LSDクラッチ42に電力が供給される。その後、本処理から一旦抜ける。
ここで、AWD車4が、前輪高μ、後輪低μの前後スプリットμ路(すなわち、前輪10Fが路面摩擦抵抗の高い高μ路、後輪10Rが路面摩擦抵抗の低い低μ路にのっている状態)で発進した際における、後輪車輪速、前輪車輪速、及び車体速それぞれの変化の一例を示したタイミングチャートを図3に示す。図3の横軸は時間(sec)であり、縦軸は速度(車輪速及び車体速)(km/h)である。図3では、前輪車輪速を実線で、後輪車輪速を破線で、車体速を一点鎖線でそれぞれ示した。
図3に示されるように、前後スプリットμ路では、発熱量が問題になる低車体速領域であっても、スリップしている車輪、すなわち、低μの後輪10RL,10RRの車輪速は、急激に上昇してしまう。そこで、車体速に近い、低い方の車輪速(図3の例では前輪10FL,10FRの車輪速)に基づいて、TCS協調制御の実行可否を判断することが好ましい。
次に、上述した前後スプリットμ路で発進した際に、TCS協調制御を実行した場合(従来/比較例)、及びTCS協調制御の実行を禁止した場合(本実施形態)それぞれにおける、LSDトルク、TCS実行フラグ、及び前後差回転それぞれの変化の一例を示したタイミングチャートを図4に示す。ここで、図4の横軸は時刻(t)である。また、図4では、上段から、LSDトルク、TCS実行フラグ(ONで実行)、前後差回転(km/h)を示した。
図4に破線で示されるように、従来の技術(比較例)では、時刻t1で、後輪10RL,10RRが加速スリップ状態となり、前後輪の差回転が発生すると、該回転差を抑えるようにLSDクラッチ42の締結力が強められ(LSDトルクが増大され)前後輪の差動が制限される。しかしながら、後輪10RL,10RRの加速スリップを抑えられない場合、時刻t2でTCS制御が実行され、同時にTCS協調制御が実行される(LSDクラッチ42の締結力が弱められる)。そのため、前後輪の差動が制限されることなく、差回転が本実施形態(実線参照)の場合よりも拡がる(時刻t2〜t4)。その状態でTCS制御が終了(時刻t4)すると、差回転大かつLDSトルク大の状態となり、すなわちLSDクラッチ42の発熱量が増大し、LSDクラッチ42の耐久性に悪影響を与えるおそれがある。
これに対して、図4に実線で示されるように、本実施形態では、前輪車輪速又は後輪車輪速が所定速(例えば15km/h)未満のときにTCS協調制御が禁止されるため、LSDクラッチ42の締結力が弱められることなく、前後輪の差動が制限され、前後輪の差回転の拡大が抑制される(時刻t2〜t4参照)。その結果、TCS制御が終了した際(時刻t4)に、LSDクラッチ42の発熱量の増大が抑制され、LSDクラッチ42の耐久性に悪影響を与えることが防止される。
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、トラクション制御が実行される際に、前輪車輪速及び後輪車輪速が所定速(例えば15km/h)以上の場合には、前後車輪の差動を許容するように、LSDクラッチ42の締結力(LSDトルク)が下げられる(すなわち、TCS協調制御が実行される)。そのため、全輪(四輪)スリップが防止されて、推定車体速と実車体速との乖離が小さくなるため、ブレーキペダルが踏み込まれたとしても、ABS性能(ブレーキ性能)を満足することができる。一方、前輪車輪速及び後輪車輪速の少なくともいずれか一方が所定速未満の場合には、前後車輪の差動を制限するように、LSDクラッチ42の締結力(LSDトルク)が上げられる(すなわち、TCS協調制御が禁止される)。そのため、前後輪の速度差(差回転)が減少し、トラクション制御が放棄された(打ち切られた)としても、LSDクラッチ42の耐久性の劣化を防止することができる。なお、TCS協調制御を禁止して差動を制限した場合には、全輪(四輪)スリップ状態となり、推定車体速と実車体速との乖離が大きくなる(推定車体速の推定精度が悪化する)おそれはあるが、車速が低い領域(所定速以下)であるためABS性能に対する影響は問題とならない。その結果、トラクション制御によって車輪10のスリップを抑制できなかった場合であっても、差動を制限するLSDクラッチ42の耐久性の劣化を防止でき(すなわち、LSDクラッチ42の大型化やコストアップを回避でき)、かつアンチロックブレーキシステム(ABS)のブレーキ性能を確保することが可能となる。
また、本実施形態によれば、前輪車輪速及び後輪車輪速が所定速(例えば15km/h)以上の場合には、LSDクラッチ42の締結力が所定値(例えばゼロ)に固定される。そのため、前後輪の差動が許容され、トラクション制御との協調制御を適切に実行することができる。一方、前輪車輪速及び後輪車輪速の少なくともいずれか一方が所定速未満の場合には、LSDクラッチ42の締結力が車両の運転状態(例えば、入力トルクや車輪速度など)に応じて調節される。そのため、車両の運転状態に応じて適切に前後輪の差動を制限することが可能となる。
その際に、本実施形態によれば、左右前輪の車輪速度の平均値(平均車輪速)が求められて前輪車輪速度とされるとともに、左右後輪の車輪速度の平均値(平均車輪速)が求められて後輪車輪速度とされる。そのため、例えば、前後スプリットμ路などにおいて、スリップしている側の車輪10の車輪速が急激に上昇するような状況(走行環境)であっても、前後輪のうち遅い方の車輪速を基準としてTCS協調制御の実行可否を適確に判断することができる。
さらに、本実施形態によれば、LSDクラッチ42が、プラネタリギヤユニット(センタデフ)41を構成するサンギヤ(フロントドライブシャフト43)とリングギヤ(プロペラシャフト46)との間に介装される。そのため、当該LSDクラッチ42の締結力を調節することにより、前後車輪の差動を制限(トルク配分を可変)することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明をフルタイム式AWD車に適用したが、フルタイム式AWD車に代えて、例えば、エンジンに直結された主駆動輪と、エンジンにトランスファクラッチを介して接続された従駆動輪(副駆動輪)とを有し、トランスファクラッチの締結力を路面状況や走行状態等に応じて制御することにより、従駆動輪側への駆動力配分を調整して、二輪駆動と四輪駆動とを切り換えるパートタイム式AWD車にも適用することができる。また、センタデファレンシャルユニット40の構成(形式)は上記実施形態に限られることなく、他の形式のものを用いてもよい。
また、上述した駆動力伝達系の構成(例えばギヤや軸等の配置等)は一例であり、上記実施形態には限られない。さらに、上記実施形態では、LSDクラッチ42として電磁クラッチを用いたが、油圧式のものを用いてもよい。
また、制御システムの構成(各ECU及び各ECUの接続形式等)は、上記実施形態には限られない。
1 全輪駆動車の制御装置
4 AWD車
10FL,10FR,10RL,10RR 車輪
11FL,11FR,11RL,11RR ブレーキ
12FL,12FR,12RL,12RR 車輪速センサ
16 操舵角センサ
20 エンジン
22 乾式クラッチ
30 手動変速機
40 センタデファレンシャルユニット
41 プラネタリギヤユニット(センタデファレンシャル)
41a サンギヤ
41b プラネタリピニオン(プラネタリキャリア)
41c リングギヤ(インターナルギヤ)
42 LSDクラッチ
50 VDCU
51 ABS制御部
52 TCS制御部
53 VDC制御部
57 ブレーキスイッチ
60 AWDCU
61 LSDクラッチ制御部
63 前後加速度センサ
64 横加速度センサ
65 ヨーレートセンサ
80 ECU
100 CAN

Claims (4)

  1. 締結力に応じて前後車輪の差動を制限自在なクラッチを有し、入力される駆動力を前輪側と後輪側とに分配して出力するセンタデファレンシャルユニットと、
    前記クラッチの締結力を調節するクラッチ制御手段と、
    前輪及び後輪それぞれの車輪速を検出する車輪速検出手段と、
    車輪を駆動する際に、該車輪にスリップが発生した場合、該車輪の駆動力を低減してスリップを抑制するトラクション制御を実行するトラクション制御手段と、を備え、
    前記クラッチ制御手段は、前記トラクション制御手段によりトラクション制御が実行される際に、
    前輪車輪速及び後輪車輪速が所定速以上の場合には、前輪車輪速及び後輪車輪速の少なくともいずれか一方が所定速未満の場合よりも、前後車輪の差動を許容するように、前記クラッチの締結力を低下させ、
    前輪車輪速及び後輪車輪速の少なくともいずれか一方が所定速未満の場合には、前輪車輪速及び後輪車輪速が所定速以上の場合よりも、前後車輪の差動を制限するように、前記クラッチの締結力を増大する
    ことを特徴とする全輪駆動車の制御装置。
  2. 前記クラッチ制御手段は、
    前輪車輪速及び後輪車輪速が所定速以上の場合には、前記クラッチの締結力を所定値に固定し、
    前輪車輪速及び後輪車輪速の少なくともいずれか一方が所定速未満の場合には、前記クラッチの締結力を車両の運転状態に応じて調節する
    ことを特徴とする請求項1に記載の全輪駆動車の制御装置。
  3. 前記クラッチ制御手段は、左右前輪の車輪速の平均値を求めて前記前輪車輪速とするとともに、左右後輪の車輪速の平均値を求めて前記後輪車輪速とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の全輪駆動車の制御装置。
  4. 前記センタデファレンシャルユニットは、入力軸、前輪側出力軸、及び後輪側出力軸それぞれと対応付けられて接続される、サンギヤ、プラネタリピニオン、及びリングギヤを含んで構成されるプラネタリギヤユニットを有し、
    前記クラッチは、前記前輪側出力軸と後輪側出力軸との間に介装されている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の全輪駆動車の制御装置。
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