JP6641010B2 - 熱式流量計 - Google Patents

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Description

本発明は熱式流量計に関する。
気体の流量を計測する熱式流量計は、流量を計測するための流量検出部を備え、流量検出部と計測対象である気体との間で熱伝達を行うことにより、気体の流量を計測するように構成されている。熱式流量計では、汚損対策の観点から、サイクロンバイパスによる遠心分離や、分岐通路による慣性分離等の副通路構造が採用されている。例えば、特許文献1には、排水孔を有する熱式流量測定装置の構造が示されている。
DE 10 2008 049 843 A1
空気流量検出装置など主通路の空気を迂回させて副通路内部に流量検出素子を配置して計測する場合、主通路を流れる空気に含まれる水滴や異物の影響を考慮した設計が必要となる。水滴が、流量検出素子表面に付着した場合、瞬時的な出力変動が発生し、計測誤差となる。特許文献1では、副通路の入口から真っ直ぐ出口に向かう第1通路から分岐した第2通路入口部で発生する剥離領域に排水孔が設けられている。
しかし、主通路の流れが低流速から中流速の場合、水滴等は壁面に付着し測定通路の分岐部を経由して流量検出素子へ到達する。特に、特許文献1では、排水孔近傍に剥離流発生構造が無いため、排水孔近傍で圧力勾配が大きくなる。したがって、排水孔の持つ排水能力を超える量の水滴が一度に排水孔に到達した場合に、排水孔から排水しきれなかった水滴が壁面をつたって流量検出素子へ到達する懸念がある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、副通路に流れ込んだ水滴を主通路に効率よく排出することができる熱式流量計を提供することである。
上記課題を解決する本発明の熱式流量計は、主通路に配置される筐体と、該筐体に設けられて前記主通路を流れる被計測気体を取り込む副通路と、該副通路に設けられて前記被計測気体の流量を計測する流量検出部と、を備える熱式流量計であって、前記副通路は、前記筐体に開口する第1入口と前記筐体に開口する第1出口との間を連通する第1通路部と、該第1通路部に開口する第2入口と前記筐体若しくは前記第1通路部に開口する第2出口との間を連通する第2通路部と、該第2通路部に開口する第3入口と前記筐体に開口する第3出口との間を連通する第3通路部と、を有し、前記第3通路部の前記第3入口と前記第3出口との間に圧力損失発生手段が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、第3通路部の第3入口と第3出口との間に、圧力損失発生手段が設けられているので、副通路に流れ込んだ水滴を第3通路部の第3出口に円滑に導くことができ、主通路に効率よく排出することができる。本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
内燃機関制御システムに本発明に係る熱式流量計を使用した一実施例を示すシステム図。 実施例1に係る熱式流量計の外観を示す正面図。 実施例1に係る熱式流量計の外観を示す左側面図。 実施例1に係る熱式流量計の外観を示す背面図。 実施例1に係る熱式流量計の外観を示す右側面図。 ハウジング本体の正面図。 ハウジング本体の背面図。 図3Bの要部を拡大して示す図。 表カバーの背面図。 図4AのIVB−IVB線断面図。 裏カバーの背面図。 図5AのVB−VB線断面図。 本発明に係わる熱式流量計の排水構造を説明する図。 本発明に係わる熱式流量計の排水構造を説明する図。 図6AのC−C線断面図。 圧力損失発生手段を有する第3通路部内部の圧力勾配を示す図。 圧力損失発生手段が無い第3通路部内部の圧力勾配を示す図。 実施例2に係る熱式流量計の具体例を示す図。 実施例2に係る熱式流量計の具体例を示す図。 実施例3に係る熱式流量計の具体例を示す図。 実施例3に係る熱式流量計の具体例を示す図。 実施例4に係る熱式流量計の具体例を示す図。 実施例4に係る熱式流量計の具体例を示す図。 実施例5に係る熱式流量計の具体例を示す図。 実施例6に係る熱式流量計の具体例を示す図。
次に、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
[実施例1]
図1は、電子燃料噴射方式の内燃機関制御システムに、本発明に係る熱式流量計を使用した一実施例を示すシステム図である。
本実施例における内燃機関制御システムは、自動車用エンジンの制御システムであり、車両に搭載されている。内燃機関制御システムでは、エンジンシリンダ112とエンジンピストン114を備える内燃機関110の動作に基づき、吸入空気が被計測気体30としてエアクリーナ122から吸入され、主通路124である例えば吸気管、スロットルボディ126、吸気マニホールド128を介してエンジンシリンダ112の燃焼室に導かれる。燃焼室に導かれる吸入空気である被計測気体30の流量は、本発明に係る熱式流量計300で計測され、計測された流量に基づいて燃料噴射弁152より燃料が供給され、吸入空気である被計測気体30と共に混合気の状態で燃焼室に導かれる。なお、本実施例では、燃料噴射弁152は内燃機関110の吸気ポートに設けられ、吸気ポートに噴射された燃料が吸入空気である被計測気体30と共に混合気を成形し、吸気弁116を介して燃焼室に導かれ、燃焼して機械エネルギを発生する。
燃焼室に導かれた燃料および空気は、燃料と空気の混合状態を成しており、点火プラグ154の火花着火により、爆発的に燃焼し、機械エネルギを発生する。燃焼後の気体は排気弁118から排気管に導かれ、排気24として排気管から車外に排出される。燃焼室に導かれる吸入空気である被計測気体30の流量は、アクセルペダルの操作に基づいてその開度が変化するスロットルバルブ132により制御される。燃焼室に導かれる吸入空気の流量に基づいて燃料供給量が制御され、運転者はスロットルバルブ132の開度を制御して燃焼室に導かれる吸入空気の流量を制御することにより、内燃機関110が発生する機械エネルギを制御することができる。
エアクリーナ122から取り込まれて主通路124を流れる吸入空気である被計測気体30の流量および温度が、熱式流量計300により計測され、熱式流量計300から吸入空気の流量および温度を表す電気信号が制御装置200に入力される。また、スロットルバルブ132の開度を計測するスロットル角度センサ144の出力が制御装置200に入力され、さらに内燃機関110のエンジンピストン114や吸気弁116や排気弁118の位置や状態、さらに内燃機関110の回転速度を計測するために、回転角度センサ146の出力が、制御装置200に入力される。排気24の状態から燃料量と空気量との混合比の状態を計測するために、酸素センサ148の出力が制御装置200に入力される。
制御装置200は、熱式流量計300の出力である吸入空気の流量、および回転角度センサ146の出力に基づき計測された内燃機関110の回転速度に基づいて燃料噴射量や点火時期を演算する。これら演算結果に基づいて、燃料噴射弁152から供給される燃料量及び点火プラグ154により点火される点火時期が制御される。燃料供給量や点火時期は、実際にはさらに熱式流量計300で計測される吸気温度やスロットル角度の変化状態、エンジン回転速度の変化状態、酸素センサ148で計測された空燃比の状態に基づいて、きめ細かく制御されている。制御装置200はさらに内燃機関110のアイドル運転状態において、スロットルバルブ132をバイパスする空気量をアイドルエアコントロールバルブ156により制御し、アイドル運転状態での内燃機関110の回転速度を制御する。
図2は、熱式流量計300の外観を示している。図2Aは熱式流量計300の正面図、図2Bは左側面図、図2Cは背面図、図2Dは右側面図である。熱式流量計300は、ハウジング(筐体)301を備えている。ハウジング301は、吸気管に挿入されて主通路124(図1を参照)に配置される。ハウジング301の基端部には、吸気管に固定するためのフランジ305と、吸気管外部に露出する外部接続部306が設けられている。
ハウジング301は、フランジ305を吸気管に固定することにより片持ち状に支持され、主通路124を流れる被計測気体の主流れ方向に垂直な方向に沿って延びるように配置される。ハウジング301には、主通路124を流れる被計測気体30を取り込むための副通路が設けられており、その副通路内に被計測気体30の流量を検出するための流量検出部602が配置されている。
ハウジング301の主流れ方向上流側に配置される一方端部には、吸入空気などの被計測気体30の一部を副通路に取り込むための入口(第1入口)311が開口している。そして、ハウジング301の主流れ方向下流側に配置される他方端部には、副通路から被計測気体30を主通路124に戻すための第1出口312と第2出口313が開口している。第1出口312と第2出口313は、図2Dに示すように、ハウジング301の厚み方向に横並びに配置されている。
入口311は、ハウジング301の一方端部の先端部側に設けられており、主通路の内壁面から離れた中央部に近い部分の気体を副通路に取り込むことができる。したがって、主通路の内壁面の温度の影響を受け難くなり、気体の流量や温度の計測精度の低下を抑制できる。
主通路の内壁面近傍では流体抵抗が大きく、主通路の平均的な流速に比べ、流速が低くなるが、本実施例の熱式流量計300では、フランジ305から主通路の中央に向かって延びる薄くて長いハウジング301の先端部側に入口311が設けられているので、主通路中央部の流速の速い気体を副通路に取り込むことができる。また、副通路の第1出口312と第2出口313もハウジング301の先端部側に設けられているので、副通路内を流れた気体を流速の速い主通路中央部に戻すことができる。
ハウジング301は、正面に略長方形の幅広面を有するのに対して、側面が狭い(厚さが薄い)形状を成している。ハウジング301は、主通路を流れる被計測気体の主流れ方向に沿って正面と背面が配置され、主流れ方向に対向するように側面が配置される。これにより、熱式流量計300は、被計測気体30に対しては流体抵抗を小さくして、十分な長さの副通路を備えることができる。
すなわち、本実施例の熱式流量計300は、主通路124を流れる被計測気体30の流れ方向と直交する直交面に投影されるハウジング301の形状が、前記の直交面上で第1の方向50に定義される長さ寸法と、前記の直交面上で第1の方向50(図2B参照)に対して垂直な第2の方向51に定義される厚み寸法とを有し、厚み寸法が長さ寸法よりも小さい形状を成している。
ハウジング301には、被計測気体30の温度を計測するための温度検出部452が設けられている。温度検出部452は、長手方向中央部で且つ一方端部において他方端部側に向かって窪んだ位置に設けられており、主流れ方向に沿って突出する形状を成している。
図3は、ハウジング301から表カバー303および裏カバー304を取り外した状態を示しており、図3Aは正面図、図3Bは背面図、図3Cは図3Bの要部を拡大して示す図である。
ハウジング301は、ハウジング本体302の表面と裏面に表カバー303及び裏カバー304を取り付けることによって構成される。ハウジング本体302には、被計測気体30の流量を計測するための流量検出部602や、被計測気体30の温度を計測するための温度検出部452を備える回路パッケージ400が一体にモールド成形されている。
そして、ハウジング本体302には、表カバー303及び裏カバー304との協働により副通路を成形する副通路溝が形成されている。本実施例では、ハウジング本体302の表裏両面に副通路溝が凹設されており、表カバー303及び裏カバー304をハウジング本体302の表面及び裏面にかぶせることにより、ハウジング301の副通路が完成する構成になっている。かかる構成とすることで、ハウジング本体302の成形時(樹脂モールド工程)にハウジング本体302の両面に設けられる金型を使用して、表側副通路溝321と裏側副通路溝331の両方をハウジング本体302の一部として全てを成形することが可能となる。
副通路溝は、ハウジング本体302の裏面に形成された裏側副通路溝331と、ハウジング本体302の表面に形成された表側副通路溝321とからなる。裏側副通路溝331は、第1溝部332と、第1溝部332の途中で分岐する第2溝部333と、第2溝部333の途中で分岐する第3溝部334を有している。
第1溝部332は、ハウジング本体302の先端部側で被計測気体30の主流れ方向に沿うように一方端部317から他方端部318に亘って延在している。第1溝部332は、一方端部317の入口311から他方端部318に向かって略一定の断面形状で延在する直線部332Aと、直線部332Aから他方端部318の第1出口312に向かって移行するに従って溝幅が漸次狭くなる絞り部332Bとを有している。第1溝部332は、裏カバー304との協働により、副通路に被計測気体を取り込み、被計測気体に含まれる塵埃等を排出させる第1通路部701(図6Bを参照)を構成する。ハウジング301の入口311は第1通路部701の第1入口701aとなり、ハウジング301の第1出口312は第1通路部701の第1出口701bとなる。
第2溝部333は、第1溝部332の直線部332Aから分岐してカーブしながらハウジング本体302の基端部側に向かって進み、ハウジング本体302の長手方向中央部に設けられている計測用流路341につながっている。第2溝部333は、第1溝部332を構成する一対の側壁面のうち、ハウジング本体302の基端部側に位置する側壁面332aに始端部が開口しており、底壁面333aが第1溝部332の直線部332Aの底壁面332bと面一に連続している。第2溝部333は、計測用流路341に終端部がつながっている。第2溝部333は、裏カバー304との協働により、被計測気体30を計測用流路341の流量検出部602に導き、第2出口313からハウジング301の外部に排出する第2通路部702(図6Bを参照)を形成する。第2溝部333の始端部は第2通路部702の第2入口702aとなる。
第3溝部334は、図3Cに示すように、第2溝部333の内周襞333bに始端部334aが開口している。第3溝部334は、第2溝部333に開口する始端部334aからハウジング301の一方端部317側に向かって延在するように設けられている。第3溝部334の終端部334bは、始端部334aよりもハウジング301の一方端部317側の位置に設けられており、裏カバー304に開口する排水孔314が対向配置される。第3溝部334の底襞面334cは、第2溝部333の底壁面333aと面一に連続している。
第3溝部334は、第3溝部334の始端部334aと終端部334bとの間の位置において始端部334aよりも溝幅Wが拡大された拡大部が設けられており、裏カバー304で覆われることによって所定の室内空間を有するバッファ室が形成される。第3溝部334は、裏カバー304との協働により、副通路に浸入した水滴を排出する第3通路部703を形成する(図6Bを参照)。第3溝部334の始端部334aは、第3通路部703の第3入口703aとなり、裏カバー304の排水孔314は第3通路部703の第3出口703bとなる。
第3溝部334は、始端部334aと終端部334bとの間の位置に配置された突起部334dを有している。突起部334dは、第3通路部703の断面積を段差状に縮小させる急縮小構造部704aを有する。突起部334dは、始端部334aと終端部334bの間の中央位置よりも終端部334bに接近した位置に設けられており、本実施例では、終端部334bの近傍位置に設けられている。突起部334dは、第3通路部703の縮小部分の断面積が裏カバー304の排水孔314の開口面積よりも大きい値となるように、その大きさが設定されている。
計測用流路341は、ハウジング本体302を厚さ方向に貫通して形成されており、回路パッケージ400の流路露出部430が突出して配置されている。計測用流路341は、回路パッケージ400の流路露出部430よりもハウジング本体302の他方端部318側に第2溝部333の他端が開口している。第2溝部333は、計測用流路341に近づくにつれて溝深さが深くなる形状を有しており、特に計測用流路341の手前で急激に深くなる急傾斜部333dを有している。急傾斜部333dは、計測用流路341において、回路パッケージ400の流路露出部430が有する表面431と裏面432のうち、流量検出部602が設けられている表面431側に被計測気体30の気体を通過させ、裏面432側には被計測気体30に含まれる塵埃などの異物を通過させる作用を有する。
被計測気体30は、第2溝部333内を流れるにつれてハウジング301の表側(図3Bで図の奥側)の方向に徐々に移動する。そして、質量の小さい空気の一部は、急傾斜部333dに沿って移動し、計測用流路341において流路露出部430の表面431の方を流れる。一方、質量の大きい異物は遠心力によって急激な進路変更が困難なため、急傾斜部333dに沿って流れることができず、計測用流路341において流路露出部430の裏面432の方を流れる。
流量検出部602は、回路パッケージ400の流路露出部430の表面431に設けられている。流量検出部602では、流路露出部430の表面431の方に流れた被計測気体30との間で熱伝達が行われ、流量が計測される。被計測気体30は、回路パッケージ400の流路露出部430の表面431側と裏面432側を通過すると、ハウジング301の一方端部317側で計測用流路341から表側副通路溝321に流れ込み、表側副通路溝321内を流れて第2出口313から主通路124に排出される。
表側副通路溝321は、図3Aに示すように、ハウジング301の一方端部317側で計測用流路341に一端が開口する。そして、ハウジング301の他方端部318の第2出口313に他端が連通する。表側副通路溝321は、計測用流路341からハウジング301の先端部側に移行するに従って漸次他方端部318に向かって進むようにカーブし、ハウジング301の先端部で被計測気体30の主流れ方向下流側に向かって直線状に延びる形状を有している。
この実施例では、裏側副通路溝331で構成される流路は曲線を描きながらハウジング301の先端部側から基端部側に向かい、最もフランジ305に接近した位置では、副通路を流れる被計測気体30は主通路124の主流れ方向に対して逆方向の流れとなる。そして、この逆方向の流れの部分でハウジング301の裏面側に設けられた裏側副通路が、表面側に設けられた表側副通路につながる。
計測用流路341は、回路パッケージ400の流路露出部430によって、表面431側の空間と裏面432側の空間に分けられており、ハウジング本体302によって分けられてはいない。即ち、計測用流路341は、ハウジング本体302の表面と裏面とを貫通して形成されており、この一つの空間に回路パッケージ400が片持ち状に突出して配置されている。このような構成とすることで、1回の樹脂モールド工程でハウジング本体302の表裏両面に副通路溝を成形でき、また計測用流路341によって表裏両面の副通路溝を繋ぐ構造を合わせて成形することが可能となる。尚、回路パッケージ400はハウジング本体302の固定部351、352、353に樹脂モールドにより埋設して固定されている。
また、上記した構成によれば、ハウジング本体302の樹脂モールド成形と同時に、回路パッケージ400をハウジング本体302にインサートして実装することができる。なお、回路パッケージ400よりもハウジング301の一方端部側と他方端部側のどちらか一方をハウジング301の幅方向(第2の方向51)に貫通した構成とすることで、裏側副通路溝331と表側副通路溝321とをつなぐ副通路形状を1回の樹脂モールド工程で成形することも可能である。
ハウジング301の表側副通路は、表側副通路溝321を構成する一対の側壁面の溝高さ方向上側の側壁上端部と表カバー303の裏面とが密着することによって形成される。そして、ハウジング301の裏側副通路は、裏側副通路溝331を構成する一対の側壁面の溝高さ方向上側の側壁上端部と裏カバー304の裏面とが密着することによって形成される。
図3A及び図3Bに示すように、ハウジング本体302には、フランジ305と副通路溝が形成された部分との間に空洞部342が形成されている。空洞部342は、ハウジング本体302を厚さ方向に貫通することによって形成されている。この空洞部342の中に、回路パッケージ400の接続端子412と外部接続部306の外部端子の内端306aとを接続する端子接続部320が露出して配置されている。接続端子412と内端306aとは、スポット溶接あるいはレーザ溶接などにより、電気的に接続される。空洞部342は、表カバー303と裏カバー304をハウジング本体302に取り付けることによって閉塞され、空洞部342の周囲が表カバー303と裏カバー304とレーザ溶接されて密封される。
図4Aは、表カバーの背面図、図4Bは、図4AのIVB−IVB線断面図である。
表カバー303と裏カバー304は、ハウジング本体302の表面と裏面にそれぞれ取り付けられて表側副通路溝321及び裏側副通路溝331との協働により副通路を形成する。表カバー303と裏カバー304は、薄い板状であり、広い冷却面を備える形状を成している。このため熱式流量計300は、空気抵抗が低減され、さらに主通路124を流れる被計測気体30により冷却されやすい効果を有している。
表カバー303は、ハウジング本体302の表面を覆う大きさを有している。表カバー303の裏面には、ハウジング本体302の表側副通路溝321を閉塞する第5領域361と、ハウジング本体302の計測用流路341の表側を閉塞する第6領域362と、空洞部342の表側を閉塞する第7領域363が形成されている。そして、第5領域361と第6領域362の幅方向両側には、ハウジング本体302の表側副通路溝321の側壁上端部が入り込む凹部361aが凹設されている。また、第7領域363の周囲には、空洞部342の表側外周端部が入り込む凹部363aが凹設されている。
そして、表カバー303の裏面には、回路パッケージ400の流路露出部430の先端とハウジング本体302の計測用流路341との間の隙間に挿入される凸部364が設けられている。また、回路パッケージ400の流路露出部430の表面431に対向する位置には、インサート成形により金属プレート501が設けられている。
図5Aは、裏カバーの背面図、図5Bは、図5AのVB−VB線断面図である。
裏カバー304は、ハウジング本体302の裏面を覆う大きさを有している。裏カバー304の裏面には、ハウジング本体302の裏側副通路溝331の第1溝部332を閉塞する第1領域371Aと、第2溝部333を閉塞する第2領域371Bと、第3溝部334を閉塞する第3領域371Cと、ハウジング本体302の計測用流路341の裏側を閉塞する第4領域372と、空洞部342の裏側を閉塞する第5領域373が形成されている。そして、第1領域371A、第2領域371B、第4領域372の幅方向両側と、第3領域371Cの周囲には、ハウジング本体302の裏側副通路溝331の側壁上端部が入り込む凹部371aが凹設されている。また、第5領域373の周囲には、空洞部342の裏側外周端部が入り込む凹部373aが凹設されている。
裏カバー304の裏面には、回路パッケージ400の流路露出部430の先端とハウジング本体302の計測用流路341との間の隙間に挿入される凸部374が設けられている。凸部374は、表カバー303の凸部364と協働して、回路パッケージ400の流路露出部430の先端とハウジング本体302の計測用流路341との間の隙間を埋める。
裏カバー304には、副通路に連通する排水孔314が穿設されている。排水孔314は、ハウジング本体302に裏カバー304を取り付けた状態でハウジング本体302の第3溝部334を閉塞する第3領域に貫通して形成されており、副通路内で第3通路部703に取り込まれた液体をハウジング301の外部に排出させることができる。
図6Aは、本発明に係わる熱式流量計の要部を拡大して示す図、図6Bは、図6Aにおける裏カバー304を省略して示した図、図6Cは、図6AのC−C線断面図である。
ハウジング301の副通路は、ハウジング301の入口311と第1出口312との間を連通する第1通路部701と、第1通路部701に開口する第2入口702aと計測用流路341を介して第2出口313との間を連通する第2通路部702と、第2通路部702に開口する第3入口703aと裏カバー304に開口する第3出口703bとの間を連通する第3通路部703を有する。
第1通路部701は、ハウジング301の第1溝部332(図3Bを参照)が裏カバー304の第1領域371A(図5Aを参照)で覆われることにより形成され、第2通路部702は、ハウジング301の第2溝部333(図3Bを参照)が裏カバー304の第2領域371B(図5Aを参照)で覆われることにより構成される。そして、第3通路部703は、ハウジング301の第3溝部334(図3Bを参照)が裏カバー304の第3領域371C(図5Aを参照)で覆われることにより構成される。
第1通路部701は、主通路124を流れる被計測気体30の一部を入口311から取り込み、その取り込んだ被計測気体30を第1出口312から主通路124に排出する。第2通路部702は、第1通路部701から被計測気体30の一部を取り込み、その取り込んだ被計測気体30を計測用流路341に設けられている流量検出部602に導く。流量検出部602を通過した被計測気体30は、計測用流路341から表側副通路に流れ込み、表側副通路を通過して第2出口313から外部に排出される。第3通路部703は、第2通路部702から被計測気体30の一部を取り込み、その取り込んだ被計測気体30を排水孔314から外部に排出する。
第2通路部702は、第2入口702aにおいて第1通路部701に対して所定の角度を有して分岐している。したがって、第2通路部702の第2入口702a付近では、剥離流が発生する。したがって、第2通路部702では、図6Bに示すように、第2入口702aの内周壁333b付近の流速が低下して低速部900が形成される。第3通路部703の第3入口703aは、第2通路部702の第2入口702aで発生する剥離流の低速部900に配置されている。したがって、第3通路部703へ流入する空気量は少なく、大部分の空気が第2通路部702へ流れる。これにより、流速低下に伴う流量検出部602の計測精度悪化を抑制できる。
また、一直線状に延在する第1通路部701は、比較的流速が早い場合、被計測気体30の慣性を利用して被計測気体中に含まれる水滴や異物を排出することが可能となる。しかし、流速が低下した場合は慣性力が弱く、その効果は低減する。特に、副通路内の流速低下や副通路内の第1通路部701と第2通路部702との間の分岐部分で発生する剥離部における低速部900では、水滴が壁面に付着し液膜が発生し易い。液膜が成長するにつれ、液膜高さが増加し空気の慣性により、壁面を伝わり空気流れ方向へ徐々に移動する。
これに対して、本実施例では、第2通路部702を構成する第2溝部333の内周壁333bに、第3通路部703の第3入口703aが開口して設けられている。したがって、液膜を第2通路部702から第3通路部703に積極的に流入させることができ、液膜が第2通路部702の流量検出部602側に進入するのを抑制し、流量検出部602での計測精度低下を抑制できる。
第3通路部703は、ハウジング301の他方端部318側から一方端部317側に向かって移行するにしたがって先端部側から基端部側に移行するように斜めに傾斜して形成されている。したがって、例えばハウジング301の基端部と先端部が上下に配置される姿勢状態で主通路124に取り付けられている場合に、エンジン運転停止により空気の流れがなくなったときに、第3通路部703内の水滴を自重により移動させて第3入口703aから第2通路部702にもどすことができ、第3通路部703内に水滴が滞留するのを防ぐことができる。
排水孔314は、図6Cに示すように、裏カバー304を貫通して形成されている。そして、ハウジング本体302の第3溝部334に対向する位置に配置されて、第3溝部334とハウジング301の外部との間を連通している。
ハウジング301の一方端部317は、ハウジング301の表面及び裏面、すなわち、表カバー303及び裏カバー304に対して直交している。したがって、主通路124を主流れ方向に流れる被計測気体30が一方端部317に衝突することによって、ハウジング301の表面側と裏面側には、表カバー303及び裏カバー304から離れる方向に流れる剥離流が発生する。剥離流の流速分布の厚さは、剥離開始点である一方端部317から被計測気体30の主流れ方向に進むにつれて徐々に厚くなる。
したがって、第3溝部334の終端部の静圧に対して、ハウジング301の外部でかつ排水孔314よりもハウジング301の一方端部317側の位置で発生する静圧の方が低くなり、負圧となり、その圧力差により第3溝部334の終端部から排水孔314を経由する空気流れを発生させることができる。したがって、第3通路部703に流入した液体(液膜)を、ハウジング301の外部である主通路124に排出することが可能となる。
剥離流の流速は、剥離開始点が最も早くなるため、ハウジング301の一方端部317と排水孔314との距離が近いほどその負圧効果は大きくなる。したがって、排水孔314を設ける位置は、ハウジング301の一方端部317に近い方が好ましく、例えば、図6Aに示すように、ハウジング301の一方端部317から排水孔314までの距離LHを、ハウジング301の一方端部317から他方端部318までの距離LBの2分の1以下にすることが好ましい。
図7Aは、急縮小構造部704aを有する第3通路部703の内部の圧力勾配を示す図、図7Bは、急縮小構造部704aを有しない第3通路部703の内部の圧力勾配を示す図である。図7A、図7Bにおいて、図中の細線は圧力等高線とする。
図7Bに示すように、第3通路部703が急縮小構造部704aを有していない場合、圧力勾配は、排水孔314である第3出口703b付近で急峻となる。したがって、第3通路部703内に流入した水滴は、排水孔314である第3出口703b付近まで水位が上昇することによって第3出口703bから排出される。
したがって、第3出口703b付近まで圧力差ΔP1が小さい場合、水滴が第3出口703bに到達しづらい。また、第3通路部703の第3出口703b付近から第3出口703bの外までの圧力差ΔP2が大きい場合、すなわち、第3出口703bの内側と外側との間の圧力差が大きい場合、水滴が第3出口703b付近に達したときに一度に大量の水滴が第3出口703bに流入し、流入量が第3出口703bの排出能力を超えるおそれがある。かかる場合には、第3通路部703内に引き込めなくなった水滴が第2通路部702内に溢れて、第2通路部702の流量検出部602に影響を与えることが懸念される。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、第3通路部703に、圧力損失発生手段として急縮小構造部704aを設けている。急縮小構造部704aは、第3通路部703の第3入口703aと第3出口703bとの間に設けられており、第3通路部703の断面積を段差状に縮小させている。本実施例では、急縮小構造部704aは、第3通路部703の第3入口703aと第3出口703bとの間の中央位置よりも第3出口703b側に偏倚した位置に設けられており、特に第3出口703bに接近した近傍位置に設けられている。急縮小構造部704aは、第3通路部703の第3入口703aから第3出口703bである排水孔314に向かって流れる空気や水滴などの流体に剥離流を発生させて圧力損失を発生させることができる。そして、急縮小構造部704a近傍で発生した圧力損失により、第3出口703b近傍の圧力勾配を小さくすることができる。したがって、第3出口703bへ流出する水滴の量を制限することが出来る。
例えば、第3通路部703が急縮小構造部704aを有していない場合、第3通路部703の第3入口703aから第3出口703bの直前までの圧力差をΔP1、排水孔314の内外、すなわち副通路と主通路124との圧力差をΔP2とした場合の圧力勾配は、図7Bに示すように、ΔP2の圧力差が大きい。第2通路部702内に水滴が浸入しない必要最低限の水排出のための圧力差をΔPw、第3出口703bの水排出能力限界となる圧力差をΔPxとしたとき、ΔP2>ΔPwとなり、水を排出するために必要な圧力差を有する。しかしながら、ΔP2>ΔPxとなることで、例えば排水孔314に水排出能力限界を超える水量の水が一度に流入した場合に、第3通路部703内に水を引き込むことが出来ずに、第2通路部702内に水滴が浸入し、流量検出部602に影響を与えることが懸念される。
一方、本実施例では、急縮小構造部704aにより、通路断面積を段差状に縮小させて急縮小構造部704aと第3出口703bとの間の水滴に剥離流を発生させる。したがって、圧力差ΔP1’がΔP1より大きくなり、第3出口703bに水滴が誘導され易くなる。そして、第3出口703bである排水孔314の内外の圧力差ΔP2’は、ΔP2より小さくなり、ΔP2’>ΔPwの大小関係は維持して水を排出するために必要な圧力差を有するものの、ΔP2’<ΔPxとなり排水孔314の排出能力限界以上の水滴の流入を抑制することができる。したがって、排水孔314が詰まることによる第3通路部703内に水滴を引き込む力の低下を防ぎ、第3通路部703に引き込めなかった水滴の第2通路部702内への浸入を防ぎ、流量検出部への影響を低減することができる。
本実施例では、第3出口703bの近傍に急縮小構造部704aが形成されているが、第3出口703b自体の断面積変化を除いて急縮小構造部704aを第3通路部703内に設けていればよい。したがって、例えば、急縮小構造部704aを、第3通路部703の第1入口703aの近傍に設けてもよい。また、本実施例では、第3通路部703を構成する第2溝部333の溝幅方向片側にだけ、急縮小構造部704aを設けた構成について説明したが、片側だけでなく両側から段差状に縮小してもよい。また、第3通路部703の高さ方向を連通しなければ、溝幅方向両側が連通してもよい。
そして、急縮小構造部704aの前後の通路断面積以外は一定でも一定でなくてもよい。また、急縮小構造部704aは、ハウジング本体302に設ける構成に限定されるものではなく、裏カバー304から突出する構成としてもよい。さらに、急縮小構造部704aは、段差状に縮小したものに限定されるものではなく、緩やかな縮小でもよく、また、その数は、一つに限定されるものではなく複数設けてもよい。
そして、急縮小構造部704aを設ける位置は、第3出口703b直前の圧力勾配を変化させることと、第3通路部703の第3出口703bの近傍まで出来るだけ第3通路部703の容積を確保して水を溜めるバッファ性能を持たせることが効果的であるため、第3出口703b近傍に設けるのが望ましい。
本発明によれば、第3通路部703の第3入口703aと第3出口703bとの間に、圧力損失発生手段として急縮小構造部704aが設けられているので、第3通路部703内に引き込まれて排水孔314である第3出口703bに向かう水滴を、急縮小構造部704aの前後で圧力損失が発生することにより生じる圧力勾配によって効果的に第3出口703bへ導くことができる。一方で、第3通路部703の第3出口703b近傍の圧力勾配を小さくすることが出来るため、排水孔314の水排出能力限界を超えずに水を排出することができ、排出できない水滴が第2通路部702に浸入するのを防ぎ、第2通路部702の流量検出部602を水滴から保護することができる。
[実施例2]
次に、本発明の実施例2について説明する。
図8A及び図8Bは、実施例2に係る熱式流量計の具体例を説明する図である。
本実施例において特徴的なことは、圧力損失発生手段を通路抵抗構造部により構成したことである。なお、実施例1と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
図8Aに示す例では、通路抵抗構造部705aは、第3通路部703の第3出口703bの近傍に設けられている。通路抵抗構造部705aは、第3溝部334の底壁面から突出する断面形状が円形の円柱形状を有している。
第3通路部703は、一定の断面積で第3入口703aから第3出口703bに向かって延在している。第3通路部703は、通路抵抗構造部705aによって断面積が変化するのを防ぐために、通路抵抗構造部705aが設けられている場所においては通路抵抗構造部705aの形状に沿って溝幅方向に膨らむ形状を有している。
通路抵抗構造部705aは、第3通路部703の第3入口703aから第3出口703bである排水孔314に向かって流れる空気や水滴などの流体に剥離流を発生させて圧力損失を発生させることができる。そして、通路抵抗構造部705a近傍で発生した圧力損失により、第3出口703b近傍の圧力勾配を小さくすることができる。したがって、第3通路部703内に引き込まれて排水孔314である第3出口703bに向かう水滴を、通路抵抗構造部705aの前後で圧力損失が発生することにより生じる圧力勾配によって効果的に第3出口703bへ導くことができる。一方で、第3通路部703の第3出口703b近傍の圧力勾配を小さくすることが出来るため、排水孔314の水排出能力限界を超えずに水を排出することができ、排出できない水滴が第2通路部702に浸入するのを防ぎ、第2通路部702の流量検出部602を水滴から保護することができる。
図8Aに示す例では、第3出口703bの近傍に通路抵抗構造部705aが設けられているが、第3通路部703の第3入口703aと第3出口703bとの間に設けられていればよく、図8Bに示すように、通路抵抗構造部705bを第3通路部703の第3入口703a近傍に設けてもよい。また、通路抵抗構造部705a、705bは、断面形状が円形でなくてもよく、通路抵抗構造部705a、705bにより第3通路部703の通路断面積が変化してもよい。さらに、通路抵抗構造部705a、705bは、裏カバー304に設けてもよく、複数設置しても良い。そして、通路抵抗構造部705a、705bを設ける位置は、第3出口703b直前の圧力勾配を変化させることが最も効果的であるため、第3出口703b近傍に設けるのが望ましい。
[実施例3]
次に、本発明の実施例3について説明する。
図9A及び図9Bは、実施例3に係る熱式流量計の具体例を説明する図である。
本実施例において特徴的なことは、圧力損失発生手段をオリフィス構造部により構成したことである。なお、実施例1と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
図9Aに示す例では、オリフィス構造部706aは、第3通路部703の第3出口703bの近傍に設けられている。オリフィス構造部706aは、第3溝部334の一方の溝壁面から突出する凸形状を有している。第3通路部703は、一定の断面積で第3入口703aから第3出口703bに向かって延在している。
オリフィス構造部706aは、オリフィス構造部706a周りに流れの剥離を生じさせ、圧力損失を発生させる。したがって、第3入口703aからオリフィス構造部706aまでの圧力勾配が大きくなり、オリフィス構造部706a近傍へ水滴が誘導され易くなり、一方で第3出口703bである排水孔314の内外の圧力差は弱まり、排水孔314から一度に流出する水滴の量が減少し、排水孔314の排出能力以上の水滴の流入を抑制できる。
本実施例では、図9Aに示すように第3出口703b近傍にオリフィス構造部706aが設けられているが、第3通路部703の第3入口703aと第3出口703bの間に設けられていればよい。また、オリフィス構造部706aは、第2通路部703の片側の溝壁面から突出するだけでなく、両側の溝壁面から突出してもよく、また、第3通路部703の溝底面から突出してもよく、さらに、裏カバー304から突出した構造でもよい。そして、オリフィス構造部706aは、図9Bに示すオリフィス構造部706bのように、第3通路部703の第3入口703aの近傍に設けてもよく、複数設置しても良い。そして、オリフィス構造部706a、706bを設ける位置は、第3出口703b直前の圧力勾配を変化させることが最も効果的であるため、第3出口703b近傍に設けるのが望ましい。
[実施例4]
次に、本発明の実施例4について説明する。
本実施例において特徴的なことは、圧力損失発生手段を折れ曲がり構造部により構成したことである。なお、実施例1と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
図10Aに示す例では、折れ曲がり構造部707aは、第3通路部703の第3出口703bの近傍に設けられている。第3通路部703は、一定の断面積で第3入口703aから第3出口703bに向かって延在しており、折れ曲がり構造部707aは、第3出口703bの近傍で第3通路部703が折れ曲がることによって形成されている。本実施例では、曲がり角度θが89°〜91°に設定されている。
折れ曲がり構造部707aは、折れ曲がり構造部707a周りに流れの剥離を生じさせ、圧力損失を発生させる。したがって、第3入口703aから折れ曲がり構造部707aまでの圧力勾配が大きくなり、折れ曲がり構造部707a近傍へ水滴が誘導され易くなり、一方で第3出口703bである排水孔314の内外の圧力差は弱まり、排水孔314から一度に流出する水滴の量が減少し、排水孔314の排出能力以上の水滴の流入を抑制できる。
第3通路部703は、ハウジング301の他方端部318側から一方端部317側に向かって移行するにしたがって先端部側から基端部側に移行するように斜めに傾斜して形成されており、折れ曲がり構造部707aによって、ハウジング301の一方端部側の端部でハウジング301の基端部側に向かって折曲されている。したがって、例えばハウジング301の基端部と先端部が上下に配置される姿勢状態で主通路124に取り付けられている場合に、エンジン運転停止により空気の流れがなくなったときに、第3通路部703内の水滴を自重により移動させて第3入口703aから排出させることができ、第3通路部703内に水滴が滞留するのを防ぐことができる。
本実施例では、図10Aに示すように第3出口703b近傍に折れ曲がり構造部707aが設けられているが、第3通路部703の第3入口703aと第3出口703bの間に設けられていればよい。また、曲がり角度θは、89°〜91°に限定されるものではなく、流体が通過する際に剥離流を生じさせて圧力損失を発生させることができる角度であればよい。また、図10Bに示すように、折れ曲がり構造部707bを第3通路部703の第3入口703a近傍に設けてもよく、2箇所以上の複数箇所に設置しても良い。そして、折れ曲がり部707a、707bを設ける位置は、第3出口703b直前の圧力勾配を変化させることが最も効果的であるため、第3出口703b近傍に設けるのが望ましい。
[実施例5]
次に、本発明の実施例5について説明する。
図11は、実施例5に係る熱式流量計の具体例を説明する図である。
本実施例において特徴的なことは、圧力損失発生手段を急拡大構造部により構成したことである。なお、実施例1と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
図11に示す例では、急拡大構造部708aは、第3通路部703の第3出口703bの近傍に設けられている。急拡大構造部708aは、一定の断面積で第3入口703aから第3出口703bに向かって延在している第3通路部703の通路幅を第3出口703bの近傍で段差状に広げることによって形成されている。
急拡大構造部708aは、急拡大構造部708a周りに流れの剥離を生じさせ、圧力損失を発生させる。したがって、第3入口703aから急拡大構造部708aまでの圧力勾配が大きくなり、急拡大構造部708a近傍へ水滴が誘導され易くなり、一方で第3出口703bである排水孔314の内外の圧力差は弱まり、排水孔314から一度に流出する水滴の量が減少し、排水孔314の排出能力以上の水滴の流入を抑制できる。
本実施例では、図11に示すように、第3出口703bの近傍に急拡大構造部708aが形成されているが、第3出口703b自体の断面積変化を除く第3通路部703内に設ければよい。また、本実施例では、急拡大構造部708aは、第3通路703の溝幅方向両側に段差状に広がる構成を有しているが、両側でなく片側のみを拡大してもよく、急拡大構造部708a前後の通路断面積以外は一定でも一定でなくてもよい。また、第3通路部703の高さ方向の片側を拡大してもよく、両側を拡大しても良い。そして、急拡大構造部708aは、段差状に拡大したものに限定されるものではなく、緩やかな拡大でもよく、また、その数は、一つに限定されるものではなく複数設けてもよい。そして、急拡大構造部708aを設ける位置は、第3出口703b直前の圧力勾配を変化させることが最も効果的であるため、第3出口703b近傍に設けるのが望ましい。
[実施例6]
次に、本発明の実施例6について説明する。
図12は、実施例6に係る熱式流量計の具体例を説明する図である。なお、上述の各実施例と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
本実施例は、上述の各実施例とは副通路の形状が異なっている。副通路は、ハウジング本体302に形成された副通路溝と、不図示のカバーとの協働により形成される。副通路は、上述の各実施例の構成と同様に、第1通路部701、第2通路部702、第3通路部703を有している。第1通路部701は、ハウジング301の一方端部から他方端部に亘って設けられており、入口311と出口312との間を連通している。第1通路部701は、主通路124を流れる被計測気体30の流れ方向に沿って緩やかに湾曲しながら延在している。
第2通路部702は、ハウジング本体302の一方端部側で第1通路部701から分岐して、ハウジング本体302の他方端部側で第1通路部701の下流部に合流する迂回形状を有しており、その途中位置に流量検出部602が設けられている。第2通路部702は、第1通路部701から分岐して第1通路部701から離れる方向に移行する。そして、第1通路部701から離れた位置でハウジング301の一方端部側から他方端部側に向かって移行し、次いで第1通路部701に向かって接近する方向に移行する湾曲形状を有する。
第3通路部703は、第2通路部702の外周面に第3入口703aが開口し、第3入口703aからハウジング301の一方端部側に向かって延在する。不図示のカバーには、第3通路部703の終端部に配置されるように、排水孔314が設けられている。排水孔314は、第3通路部703の第3出口703bとなる。第3通路部703は、排水孔314の近傍に急縮小構造部704aを有している。
本発明によれば、第3通路部703の第3入口703aと第3出口703bとの間に、圧力損失発生手段として急縮小構造部704aが設けられているので、第3通路部703内に引き込まれて排水孔314である第3出口703bに向かう水滴を、急縮小構造部704aの前後で圧力損失が発生することにより生じる圧力勾配によって効果的に第3出口703bへ導くことができる。一方で、第3通路部703の第3出口703b近傍の圧力勾配を小さくすることが出来るため、排水孔314の水排出能力限界を超えずに水を排出することができ、排出できない水滴が第2通路部702に浸入するのを防ぎ、第2通路部702の流量検出部602を水滴から保護することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
30 被計測気体
124 主通路
300 熱式流量計
301 ハウジング(筐体)
302 ハウジング本体
303 表カバー
304 裏カバー
311 入口(第1通路の第1入口)
312 第1出口(第1通路部の第1出口)
313 第2出口(第2通路部の第2出口)
314 排水孔
602 流量検出部
701 第1通路部
701a 第1入口
701b 第1出口
702 第2通路部
702a 第2入口
702b 第2出口
703 第3通路部
703a 第3入口
703b 第3出口
704a 急縮小構造部(圧力損失発生手段)
705a 通路抵抗構造部(圧力損失発生手段)
706a オリフィス構造部(圧力損失発生手段)
707a 折れ曲がり構造部(圧力損失発生手段)
708a 急拡大構造部(圧力損失発生手段)

Claims (15)

  1. 主通路に配置される筐体と、該筐体に前記主通路を流れる被計測気体を取り込む副通路と、該副通路で前記被計測気体の流量を計測する流量検出部と、を備える熱式流量計であって、
    前記副通路は、
    前記筐体に開口する第1入口と前記筐体に開口する第1出口との間を連通する第1通路部と、
    該第1通路部に開口する第2入口と前記筐体若しくは前記第1通路部に開口する第2出口との間を連通する第2通路部と、
    該第2通路部に開口する第3入口と前記筐体に開口する第3出口との間を連通する第3通路部と、を有し、
    前記流量検出部は、前記第2通路部に設けられ、
    前記第3入口は、前記第2入口と前記流量検出部との間に設けられ、
    前記第3通路部の前記第3入口と前記第3出口との間に圧力損失発生手段が設けられていることを特徴とする熱式流量計。
  2. 前記圧力損失発生手段は、前記第3出口の近傍位置に設けられていることを特徴とする
    請求項1に記載の熱式流量計。
  3. 前記圧力損失発生手段は、前記第3通路部の通路断面積を段差状に縮小させた急縮小構造部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱式流量計。
  4. 前記圧力損失発生手段は、オリフィス構造部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱式流量計。
  5. 前記圧力損失発生手段は、前記第3入口から前記第3出口に向かって流れる流体の抵抗となる通路抵抗構造部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱式流量計。
  6. 前記圧力損失発生手段は、前記第3通路部の通路途中位置で折曲された折れ曲がり構造
    部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱式流量計。
  7. 前記圧力損失発生手段は、前記第3通路部の通路断面積を段差状に拡大させた急拡大構
    造部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱式流量計。
  8. 前記第3出口は、前記第3入口よりも前記第1入口が開口する前記筐体の一方端部側の
    位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の熱式流量計。
  9. 前記第1通路部は、前記主通路を流れる被計測気体の流れ方向に沿って延在し、
    前記第2通路部は、前記第1通路部から離れる方向に移行し、該第1通路部から離れた位置で前記第1出口が開口する前記筐体の他方端部側から前記筐体の一方端部側に向かって移行し、次いで前記第1通路部に向かって接近する方向に移行する湾曲形状を有し、
    前記第3通路部は、前記第2通路部の内周面に前記第3入口が開口し、前記第3入口から前記筐体の一方端部側に向かって延在することを特徴とする請求項8に記載の熱式流量
    計。
  10. 前記第1通路部は、前記主通路を流れる被計測気体の流れ方向に沿って延在し、
    前記第2通路部は、前記第1通路部から離れる方向に移行し、該第1通路部から離れた位置で前記第1入口が開口する前記筐体の一方端部側から前記筐体の他方端部側に向かって移行し、次いで前記第1通路部に向かって接近する方向に移行する湾曲形状を有し、
    前記第3通路部は、前記第2通路部の外周面に前記第3入口が開口し、前記第3入口から前記筐体の一方端部側に向かって延在することを特徴とする請求項8に記載の熱式流量
    計。
  11. 主通路に配置される筐体と、該筐体に前記主通路を流れる被計測気体を取り込む副通路と、該副通路で前記被計測気体の流量を計測する流量検出部と、を備える熱式流量計であって、
    前記副通路は、
    前記筐体に開口する第1入口と前記筐体に開口する第1出口との間を連通する第1通路部と、
    該第1通路部に開口する第2入口と前記筐体若しくは前記第1通路部に開口する第2出口との間を連通する第2通路部と、
    該第2通路部に開口する第3入口と前記筐体に開口する第3出口との間を連通する第3通路部と、を有し、
    前記第3通路部の前記第3入口と前記第3出口との間に圧力損失発生手段が設けられ、
    前記圧力損失発生手段は、前記第3通路部の通路途中位置で折曲された折れ曲がり構造
    部を有することを特徴とする熱式流量計。
  12. 主通路に配置される筐体と、該筐体に前記主通路を流れる被計測気体を取り込む副通路と、該副通路で前記被計測気体の流量を計測する流量検出部と、を備える熱式流量計であって、
    前記副通路は、
    前記筐体に開口する第1入口と前記筐体に開口する第1出口との間を連通する第1通路部と、
    該第1通路部に開口する第2入口と前記筐体若しくは前記第1通路部に開口する第2出口との間を連通する第2通路部と、
    該第2通路部に開口する第3入口と前記筐体に開口する第3出口との間を連通する第3通路部と、を有し、
    前記第3通路部の前記第3入口と前記第3出口との間に圧力損失発生手段が設けられ、
    前記圧力損失発生手段は、前記第3通路部の通路断面積を段差状に拡大させた急拡大構
    造部を有することを特徴とする熱式流量計。
  13. 主通路に配置される筐体と、該筐体に前記主通路を流れる被計測気体を取り込む副通路と、該副通路で前記被計測気体の流量を計測する流量検出部と、を備える熱式流量計であって、
    前記副通路は、
    前記筐体に開口する第1入口と前記筐体に開口する第1出口との間を連通する第1通路部と、
    該第1通路部に開口する第2入口と前記筐体若しくは前記第1通路部に開口する第2出口との間を連通する第2通路部と、
    該第2通路部に開口する第3入口と前記筐体に開口する第3出口との間を連通する第3通路部と、を有し、
    前記第3通路部の前記第3入口と前記第3出口との間に圧力損失発生手段が設けられ、
    前記第3出口は、前記第3入口よりも前記第1入口が開口する前記筐体の一方端部側の
    位置に配置されていることを特徴とする熱式流量計。
  14. 前記第1通路部は、前記主通路を流れる被計測気体の流れ方向に沿って延在し、
    前記第2通路部は、前記第1通路部から離れる方向に移行し、該第1通路部から離れた位置で前記第1出口が開口する前記筐体の他方端部側から前記筐体の一方端部側に向かって移行し、次いで前記第1通路部に向かって接近する方向に移行する湾曲形状を有し、
    前記第3通路部は、前記第2通路部の内周面に前記第3入口が開口し、前記第3入口から前記筐体の一方端部側に向かって延在することを特徴とする請求項13に記載の熱式流量計。
  15. 前記第1通路部は、前記主通路を流れる被計測気体の流れ方向に沿って延在し、
    前記第2通路部は、前記第1通路部から離れる方向に移行し、該第1通路部から離れた位置で前記第1入口が開口する前記筐体の一方端部側から前記筐体の他方端部側に向かって移行し、次いで前記第1通路部に向かって接近する方向に移行する湾曲形状を有し、
    前記第3通路部は、前記第2通路部の外周面に前記第3入口が開口し、前記第3入口から前記筐体の一方端部側に向かって延在することを特徴とする請求項13に記載の熱式流量計。
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